(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
さらに、前記キャビティを構成するキャビティブロックの上方又は下方に、前記キャビティブロックを上下方向に移動可能なように設けられたキャビティブロック弾性部材を備える、請求項1に記載の成形型。
互いに対向して配置される第1型及び第2型を有する成形型を用い、前記第1型及び前記第2型の少なくとも一方に設けられたキャビティに流動性樹脂を導入して、前記第1型又は前記第2型に配置された支持部材に対して樹脂成形する樹脂成形方法であって、
前記成形型には、前記キャビティに前記流動性樹脂を導入させるように上下方向に移動可能なプランジャが設けられ、
前記第1型には、弾性部材が取付けられた取付部材が上下方向に移動可能なように設けられ、
前記第2型には、前記弾性部材を押圧する押圧部材が上下方向に移動可能なように設けられており、
前記成形型を型締めし、前記取付部材により前記第2型側の対向面に前記弾性部材を押圧して弾性変形させて、前記支持部材の端面と前記第1型又は前記第2型とによって形成される隙間を塞ぎ、
前記取付部材又は前記押圧部材を押し上げる又は押し下げる摺動安定化部材と前記プランジャとを連動させて移動させる、樹脂成形方法。
さらに、前記キャビティを構成するキャビティブロックの上方又は下方に、前記キャビティブロックを上下方向に移動可能なようにキャビティブロック弾性部材を設定する、請求項4又は請求項5に記載の樹脂成形方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照して説明する。本出願書類におけるいずれの図についても、わかりやすくするために、適宜省略し又は誇張して模式的に描かれている。同一の構成要素については、同一の符号を付して説明を適宜省略する。なお、本出願書類において、「支持部材」とは、チップを支持する部材であって、ガラスエポキシ基板、セラミック基板、樹脂基板、金属基板などの一般的な基板、及び、リードフレーム、半導体ウェーハなどが挙げられる。
〔実施形態1〕
【0011】
(樹脂成形装置の構成)
本発明に係る樹脂成形装置の構成を
図1を参照して説明する。
図1に示される樹脂成形装置1は、例えば、トランスファ成形法による樹脂成形装置である。樹脂成形装置1は基盤2を有する。基盤2の四隅において、4本の保持部材3が固定される。上方に向かって伸びる4本の保持部材3の上部に、基盤2に対向する固定プラテン4が固定される。基盤2と固定プラテン4との間において、基盤2と固定プラテン4のそれぞれに対向する可動プラテン5が、4本の保持部材3にはめ込まれる。基盤2の上には、可動プラテン5を昇降させる型締機構6が設けられる。型締機構6は、可動プラテン5を昇降させて成形型の型開きと型締めとを行う。型締機構6は、駆動源と伝達部材との組合せで構成される。例えば、型締機構6として、サーボモータとボールねじとの組合せ、油圧シリンダとロッドとの組合せなどが使用される。
【0012】
固定プラテン4の下面には上型7が固定される。上型7の真下には、上型7に対向して下型8が設けられる。下型8は、可動プラテン5の上面に固定される。上型7と下型8とは、併せて成形型9を構成する。上型7及び下型8には加熱手段であるヒータ(図示なし)が適宜設けられる。
【0013】
下型8には、樹脂成形される対象物となる支持部材が配置される支持部材配置部10が設けられる。支持部材としては、例えば、半導体チップが装着されたリードフレーム、半導体チップが装着された基板などが支持部材配置部10に配置される。また、樹脂成形される対象物に対応して、下型8に硬化樹脂が成形される空間となる下型キャビティ11を設けてもよい。
【0014】
下型8には、例えば、樹脂材料として打錠成形された樹脂タブレット12を収容するポット13が設けられる。ポット13内には、収容された樹脂タブレット12を加熱して溶融した流動性樹脂を押圧するためのプランジャ14が設けられる。プランジャ14は、伝達部材を介して駆動機構15に接続される。駆動機構15は、可動プラテン5の内部又は可動プラテン5の外部に設けられる。駆動機構15によって、プランジャ14はボット13内を昇降する。
【0015】
上型7には、支持部材配置部10又は下型キャビティ11に対向して硬化樹脂が成形される空間となる上型キャビティ16が設けられる。さらに、上型7には、ポット13に対向する位置にカル凹部17が設けられる。カル凹部17と上型キャビティ16とは、樹脂通路となるランナ18を介して連通する。溶融した流動性樹脂は、ポット13からカル凹部17とランナ18とを経由して上型キャビティ16に注入される。
【0016】
(成形型の構成)
実施形態1に係る成形型の構成を
図2〜3を参照して説明する。
図2に示される成形型は、
図1に示したトランスファ成形法による樹脂成形装置において使用される成形型である。
図2はA−A線から見た成形型を示す概略断面図であり、リードフレームや基板などの支持部材に装着された半導体チップを樹脂封止する部分を示す。
図3はB−B線から見た成形型を示す断面図であり、型締めした際に溶融した流動性樹脂が漏出することを抑制する部分を示す。
【0017】
図2(b)に示されるように、成形型9は、上型7と上型7に対向して配置される下型8とを備える。樹脂成形装置1において、例えば、上型7は固定型であり、下型8は上型7に対して昇降することができる可動型である。
【0018】
図2(a)、(b)に示されるように、下型8は、下型ベース19と、下型ベース19の上に配置されるポットブロック20と下型キャビティブロック21と下型サイドブロック22と下型エンドブロック23とを備える。ポットブロック20は下型ベース19の中央に配置され、ポットブロック20の両側に下型キャビティブロック21が配置される。ポットブロック20及び2個の下型キャビティブロック21は、下型サイドブロック22及び下型エンドブロック23によって取り囲まれる。
【0019】
ポットブロック20には、打錠成形された樹脂タブレット12を収容する複数のポット13(
図2においては4個)が設けられる。ポット13内には収容された樹脂タブレット12を押圧するプランジャ14が設けられる。プランジャ14は、駆動機構15(
図1参照)によってポット13内を昇降する。
【0020】
下型キャビティブロック21には、ポット13から供給された流動性樹脂が硬化して硬化樹脂が成形される下型キャビティ11が設けられる。下型キャビティブロック21の上面と、ポットブロック20、下型サイドブロック22及び下型エンドブロック23のそれぞれの側面とによって囲まれる空間が、支持部材を配置する支持部材配置部10となる。例えば、半導体チップ24が装着されたリードフレーム25が支持部材配置部10に配置される。支持部材配置部10の型面からの深さは、例えば、リードフレーム25の厚さとほぼ等しくなるように設定しても良いし、リードフレーム25の厚さより浅くしても良い。実施形態1においては、リードフレーム25に装着された複数の半導体チップ24を樹脂封止する例について示す。
【0021】
図2(a)に示されるように、下型キャビティブロック21に設けられた位置合わせピン26とリードフレーム25に設けられたガイド孔とを位置合わせすることによって、リードフレーム25は支持部材配置部10に配置される。リードフレーム25が支持部材配置部10に配置された際には、リードフレーム配置マージン(位置合わせマージン)としてリードフレーム25の端部とポットブロック20との間にわずかな隙間27が形成されても良い。隙間27ができると、この隙間27に沿って流動性樹脂が漏出するおそれがある。したがって、ポットブロック20の両端(最も外側)には、リードフレーム25の端部とポットブロック20との間に形成される隙間27から流動性樹脂が漏出することを抑制するための下型樹脂止め凹部28(
図3参照)が設けられる。
【0022】
図2(b)に示されるように、上型7は、上型ベース29と、上型ベース29の上に設けられるカルブロック30と上型キャビティブロック31と上型サイドブロック32と上型エンドブロック(図示なし)とを備える。カルブロック30はポットブロック20に対向する位置に配置される。上型キャビティブロック31は下型キャビティブロック21に対向する位置に配置される。なお、上型7に位置合わせピン26用の逃げ穴を設けてもよい。
【0023】
カルブロック30には、カル凹部17と樹脂タブレット12が加熱されて溶融した流動性樹脂の樹脂通路となるランナ18aとが設けられる。カル凹部17は、ポットブロック20に設けられた複数のポット13に対向する位置にそれぞれ設けられる。
【0024】
上型キャビティブロック31には、ポット13から供給された流動性樹脂が硬化して硬化樹脂が成形される上型キャビティ16と流動性樹脂の樹脂通路となるランナ18bとが設けられる。上型7において、ランナ18aとランナ18bとは連通して、カル凹部17と上型キャビティ16とを連通するランナ18を形成する。なお、ポット13から上型キャビティ16及び下型キャビティ11に流動性樹脂が供給される樹脂通路をわかりやすくするために、
図2(a)に示す下型8の平面図において、カル凹部17及びランナ18を仮想線(二点鎖線)で示している。
【0025】
図2、
図3に示されるように、リードフレーム25の端部とポットブロック20との間に形成される隙間27から流動性樹脂が漏出することを抑制するために、少なくともポットブロック20の両端(
図2(a)においては4箇所)に下型樹脂止め凹部28が設けられる。
図3(b)に示されるように、カルブロック30には、ポットブロック20に設けられた下型樹脂止め凹部28に対向する位置に上型樹脂止め部材33が設けられる。上型樹脂止め部材33の先端に弾性変形可能な弾性部材であるエラストマー34が設けられる。
【0026】
エラストマー34はゴム状の弾性部材であり、例えば、耐熱性を有するシリコーンゴムやフッ素ゴムなどが使用される。成形型9を型締めした際に、エラストマー34は圧縮されて弾性変形する。弾性変形することによって、エラストマー34は上下方向に収縮し水平方向に伸張する。したがって、平面視して、下型樹脂止め凹部28の平面積は、エラストマー34の平面積とほぼ等しくなるように設定してもよいし、エラストマー34の平面積よりも大きくなるように設定してもよい。
【0027】
エラストマー34の長さLは、任意に設定すれば良い。例えば、リードフレーム25の厚さtよりも厚くなるように設定しても良い。成形型9を型締めした際に、リードフレーム25の厚さにばらつきがあった場合、又は、リードフレーム25の端面精度にばらつきがあった場合においても、エラストマー34が押圧され弾性変形することによって、リードフレーム25の端部とポットブロック20との間に形成される隙間27を塞ぐことができれば良い。
【0028】
図3(b)に示されるように、上型樹脂止め部材33を配置するために、カルブロック30において、カルブロック30を貫通する貫通孔35と貫通孔35につながる凹部36とが設けられる。上型樹脂止め部材33及びエラストマー34は貫通孔35に挿入される。
図3においては、エラストマー34が上型7の型面から突出するように設定される。上型ベース29と上型樹脂止め部材33との間には、上型樹脂止め部材33を支持するスプリング37が設けられる。スプリング37は、例えば、螺旋状のスプリングである。上型樹脂止め部材33及びエラストマー34は、貫通孔35に対して上下方向に移動する。更に、上型樹脂止め部材33及びエラストマー34が樹脂つまりなどによって摺動不良になった場合には、上型樹脂止め部材33を押し下げることが可能な押し下げピン38が、凹部36に設けられる。押し下げピン38は、螺旋状のスプリング37の内部に配置される。
【0029】
(型締め動作)
図4〜5を参照して、成形型9を型締めして樹脂封止する動作及び型締めした際に溶融した流動性樹脂が漏出することを抑制する動作について説明する。
【0030】
図4を参照して、成形型9を型締めして樹脂封止する動作について説明する。
図4(a)に示されるように、成形型9において、上型7と下型8とを型開きする。次に、基板搬送機構(図示なし)を用いて、2個のリードフレーム25を上型7と下型8との間の所定位置に搬送する。次に、リードフレーム25に設けられたガイド孔を下型8に設けられた位置合わせピン26に挿入(位置合わせ)することによって、下型8に設けられた支持部材配置部10にリードフレーム25を配置する。この状態において、リードフレーム25の端部とポットブロック20との間には、わずかな隙間27が形成される場合がある。
【0031】
次に、樹脂搬送機構(図示なし)を用いて、4個の樹脂タブレット12(
図2(a)参照)を下型8に設けられたそれぞれのポット13に供給する。この時、上型7と下型8とは、上型7と下型8とに設けられたヒータ(図示なし)を使用して、樹脂タブレット12を加熱して溶融することが可能な温度に、すでに昇温されていることが好ましい。
【0032】
次に、
図4(b)に示されるように、型締め機構6(
図1参照)を使用して可動プラテン5(
図1参照)を上昇させる。可動プラテン5により下型8を上昇させて、上型7と下型8とを型締めする。
【0033】
次に、駆動機構15(
図1参照)を使用してプランジャ14を上昇させ、溶融した流動性樹脂を押圧する。ポット13からカル凹部17及びランナ18を経由して、流動性樹脂を上型キャビティ16及び下型キャビティ11に注入する。上型キャビティ16及び下型キャビティ11を流動性樹脂により充填した状態で、更に流動性樹脂を加熱することによって硬化樹脂39を成形する。このことによって、リードフレーム25に装着された半導体チップ24が硬化樹脂39によって樹脂封止される。
【0034】
次に、型締め機構6を使用して可動プラテン5を下降させ、上型7と下型8とを型開きする。樹脂封止された樹脂成形品を成形型9から取り出し、カル凹部17及びランナ18に成形された不要な樹脂成形部をディゲートすることによって樹脂封止が完了する。
【0035】
次に、
図5を参照して、成形型9を型締めした際に溶融した流動性樹脂が漏出することを抑制する動作について説明する。
図5(a)に示されるように、成形型9において、上型7と下型8とを型開きした状態で、下型8に設けられた支持部材配置部10にリードフレーム25を配置する。リードフレーム25の端部とポットブロック20との間には、わずかな隙間27が形成される場合がある。
【0036】
次に、型締め機構6を使用して上型7と下型8とを型締めする。下型8を上昇させることによって、上型樹脂止め部材33の先端にあるエラストマー34を、下型樹脂止め凹部28に挿入し、エラストマー34を下型樹脂止め凹部28の底面に接触させる。更に、下型8を上昇させて型締めすることによって、エラストマー34を上型樹脂止め部材33と下型樹脂止め凹部28の底面とによって圧縮し弾性変形させる。
【0037】
図5(b)に示されるように、エラストマー34が圧縮され弾性変形することによって、エラストマー34は上下方向に収縮し水平方向に伸張する。リードフレーム25の厚さにばらつきがあった場合、又は、リードフレーム25の端面精度にばらつきがあった場合においても、エラストマー34が弾性変形することによって、リードフレーム25の端部とポットブロック20との間に形成される隙間27を塞ぐことができる。したがって、リードフレーム25の端部とポットブロック20との間に形成された隙間27から流動性樹脂が上型樹脂止め部材33よりも下型エンドブロック23側(
図2(a)参照)に漏出することを抑制することができる。加えて、上型樹脂止め部材33を上下方向に移動可能な構成にしているので、隙間27の大きさのばらつきに対してさらに対応可能である。
【0038】
上型樹脂止め部材33がエラストマー34を下型樹脂止め凹部28の底面に押圧することにより、エラストマー34が上型樹脂止め部材33を押し返そうとする反力が生じる。この反力によって、上型樹脂止め部材33は上方に押し上げられ、スプリング37によって支持される。
【0039】
弾性変形したエラストマー34がリードフレーム25の端部とポットブロック20との間に形成される隙間27を塞いだ状態で、プランジャ14を上昇させ溶融した流動性樹脂を上型キャビティ16及び下型キャビティ11に注入する(
図4(b)参照)。リードフレーム25の端部とポットブロック20との間に形成された隙間27を弾性変形したエラストマー34が塞いでいるので、流動性樹脂が漏出することを抑制することができる。上型樹脂止め部材33の先端に設けたエラストマー34を弾性変形させることにより、リードフレーム25の変形を抑制して流動性樹脂が漏出することを抑制できる。流動性樹脂の漏出を抑制するので、所定量の流動性樹脂を上型キャビティ16及び下型キャビティ11に供給して樹脂封止することができる。
【0040】
(作用効果)
本実施形態の成形型9は、第1型である上型7と、上型7に対向して配置される第2型である下型8と、上型7及び下型8の少なくとも一方に設けられた弾性部材であるエラストマー34と、上下方向に移動可能なように上型7に設けられ、エラストマー34が取付けられた取付部材である上型樹脂止め部材33とを備え、上型7又は下型8に支持部材であるリードフレーム25が配置され、上型7及び下型8を型締めすることで、上型樹脂止め部材33を上下方向に移動させ、下型8側の対向面にエラストマー34を押圧して弾性変形させて、リードフレーム25の端面と上型7又は下型8とによって形成される隙間27を塞ぐ構成としている。
【0041】
このような構成とすることにより、上型7と下型8とを型締めした際に、上型樹脂止め部材33がエラストマー34を押圧してエラストマー34を弾性変形させることができる。したがって、リードフレーム25の端部とポットブロック20との間に形成される隙間27を、弾性変形したエラストマー34によって塞ぐことができる。このことにより、リードフレーム25の変形を抑制して溶融した流動性樹脂が漏出することを抑制することができる。
【0042】
本実施形態の樹脂成形方法は、互いに対向して配置される第1型である上型7及び第2型である下型8を有する成形型9を用い、上型7及び下型8の少なくとも一方に設けられたキャビティである上型キャビティ16又は下型キャビティ11に流動性樹脂を導入して、上型7又は下型8に配置された支持部材であるリードフレーム25に対して樹脂成形する樹脂成形方法であって、上型7には、弾性部材であるエラストマー34が取付けられた取付部材である上型樹脂止め部材33が上下方向に移動可能なように設けられており、成形型9を型締めし、上型樹脂止め部材33により下型8側の対向面にエラストマー34を押圧して弾性変形させて、リードフレーム25の端面と上型7又は下型8とによって形成される隙間27を塞ぐ。
【0043】
この方法によれば、上型7と下型8とを型締めした際に、リードフレーム25の端部とポットブロック20との間に形成される隙間27を、弾性変形したエラストマー34によって塞ぐことができる。したがって、リードフレーム25の変形を抑制して溶融した流動性樹脂が漏出することを抑制することができる。流動性樹脂が漏出することを抑制して、所定量の流動性樹脂を上型キャビティ16及び下型キャビティ11に供給し、流動性樹脂に樹脂圧を加えて樹脂封止することができる。
【0044】
本実施形態によれば、上型7に、上下方向に移動する上型樹脂止め部材33を設ける。下型8に、上型樹脂止め部材33に対向するように下型樹脂止め凹部28を設ける。上型樹脂止め部材33の先端に弾性変形可能な弾性部材であるエラストマー34を設ける。上型7と下型8とを型締めした際に、上型樹脂止め部材33がエラストマー34を下型樹脂止め凹部28の底面に押圧することにより、エラストマー34を弾性変形させる。リードフレーム25の端部とポットブロック20との間に形成される隙間27を、弾性変形させたエラストマー34によって塞ぐ。したがって、樹脂タブレット12を溶融して生成された流動性樹脂が、リードフレーム25の端部とポットブロック20との間に形成される隙間27から漏出した場合でも、上型樹脂止め部材33よりも下型エンドブロック23側に流動性樹脂が漏出することを抑制することができる。
【0045】
本実施形態によれば、エラストマー34を弾性変形させることによって、リードフレーム25の端部とポットブロック20との間に形成される隙間27を塞ぐ。したがって、リードフレーム25の厚さにばらつきがあった場合、又は、リードフレーム25の端面精度にばらつきがあった場合においても、弾性変形したエラストマー34によって隙間27を塞ぐことが可能となる。
【0046】
本実施形態によれば、エラストマー34を弾性変形させることによってリードフレーム25の端部とポットブロック20との間に形成される隙間27を塞ぐことができる。したがって、低粘度で流動しやすい樹脂材料を使用する場合であっても、溶融した流動性樹脂が漏出することを抑制することができる。
【0047】
本実施形態によれば、リードフレーム25の変形を抑制して溶融した流動性樹脂が漏出することを抑制することができる。流動性樹脂が漏出することを抑制して、所定量の流動性樹脂を上型キャビティ16及び下型キャビティ11に供給し、流動性樹脂に樹脂圧を加えて樹脂封止することができる。したがって、キャビティに供給する樹脂量が不足して充填不良が発生することを抑制することができる。
【0048】
本実施形態によれば、支持部材配置部10に配置されたリードフレームや基板などの支持部材の端部とポットブロック20との間に形成される隙間27を弾性変形したエラストマー34によって塞ぐ。そのため、支持部材配置部10に配置された支持部材に機械的な損傷を与えることを抑制して支持部材に対して樹脂成形することができる。したがって、外観不良や信頼性不良が発生することを抑制することができる。
【0049】
本実施形態においては、上型7に上下方向に移動する上型樹脂止め部材33を設け、下型8に下型樹脂止め凹部28を設けた。そして、上型樹脂止め部材33の先端に弾性変形可能なエラストマー34を設けた。これに限らず、下型8に上下方向に移動する下型樹脂止め部材を設け、上型7に上型樹脂止め凹部を設けてもよい。この場合であれば、下型樹脂止め部材の先端にエラストマーを設けて弾性変形させることができる。
【0050】
本実施形態においては、平面視してポットブロック20の最も外側に下型樹脂止め凹部28を設け、カルブロック30の最も外側に上型樹脂止め部材33を設けた。これに限らず、平面視してそれぞれのランナ17の両側に下型樹脂止め凹部28及び上型樹脂止め部材33を設けてもよい。この場合には、リードフレーム25の端部とポットブロック20との間に形成される隙間27を短い間隔でエラストマー34によって塞ぐことができる。
〔実施形態2〕
【0051】
(成形型の構成)
図6を参照して、実施形態2に係る成形型の構成を説明する。実施形態1との違いは、下型8にも下型樹脂止め部材を設けたことである。それ以外の構成は実施形態1と同じなので同一の構成要素は同一の符号を付して説明を省略する。実施形態1と同様に、リードフレーム25に装着された半導体チップ24を樹脂封止する例について説明する。
【0052】
図6(a)に示されるように、下型8には、上型樹脂止め部材33に対向する位置に下型樹脂止め部材40が設けられる。下型樹脂止め部材40を配置するために、ポットブロック20において、ポットブロック20を貫通する貫通孔41と貫通孔41につながる凹部42とが設けられる。下型樹脂止め部材40は貫通孔41に挿入される。下型ベース19と下型樹脂止め部材40との間には、下型樹脂止め部材40を支持する弾性体であるスプリング43が設けられる。スプリング43は螺旋状のスプリングである。下型樹脂止め部材40は、貫通孔41に対して上下方向に移動する。更に、下型樹脂止め部材40が樹脂つまりなどによって摺動不良になった場合には、下型樹脂止め部材40を押し上げることが可能な押し上げピン44が、凹部42に設けられる。押し上げピン44は、螺旋状のスプリング43の内部に配置される。
【0053】
実施形態1と同様に、エラストマー34は上型樹脂止め部材33の先端に設けられる。成形型9を型締めした際に、エラストマー34は圧縮されて弾性変形する。弾性変形することによって、エラストマー34は上下方向に収縮し水平方向に伸張する。したがって、平面視して、下型樹脂止め部材40の平面積(貫通孔41の平面積)は、上型樹脂止め部材33の平面積(貫通孔35の平面籍又はエラストマー34の平面積)とほぼ等しくなるように設定してもよいし、上型樹脂止め部材33の平面積よりも大きくなるように設定してもよい。
【0054】
図6においては、エラストマー34を上型樹脂止め部材33の先端に設けた場合を示したが、これに限らない。エラストマー34を下型樹脂止め部材40の先端に設けてもよいし、上型樹脂止め部材33の先端と下型樹脂止め部材40の先端との双方に設けてもよい。エラストマー34が弾性変形した際に、リードフレーム25の端部とポットブロック20との間に形成される隙間27を塞ぐことが可能であれば、どのような構成や形態でも構わない。
【0055】
下型樹脂止め部材40はスプリング43によって支持され、上型樹脂止め部材33はスプリング37によって支持される。上型樹脂止め部材33に設けられたエラストマー34と下型樹脂止め部材40とが型締め動作により接触し、それぞれのスプリング37、43が撓むように構成されている。すなわち、スプリング43の反発力(弾性復元力)を用いた下型樹脂止め部材40の押圧力は上型樹脂止め部材33によってスプリング37に作用し、スプリング37の反発力(弾性復元力)を用いた上型樹脂止め部材33の押圧力は下型樹脂止め部材40によってスプリング43に作用する。したがって、上型樹脂止め部材33の押圧力と下型樹脂止め部材40の押圧力とが直接的に、上型キャビティブロック31と下型キャビティブロック21とに影響を及ぼさない構成になっている。このことにより、例えば、上型キャビティブロック31の上方、及び、下型キャビティブロック21の下方に弾性体を設けたフローティング機構を採用した成形型において、型当たりバランスが悪くなることを抑制することができる。
【0056】
下型8に設けられた押し上げピン44を、例えば、プランジャユニット(
図7参照)又は下型エジェクタピン(図示なし)と連動させて上下方向に移動させるようにしてもよい。上型7に設けられた押し下げピン38を、上型エジェクタピン(図示なし)と連動させて上下方向に移動させるようにしてもよい。
【0057】
(流動性樹脂の漏出を抑制する動作)
図6を参照して、成形型9を型締めした際に溶融した流動性樹脂が漏出することを抑制する動作について説明する。なお、成形型9を型締めして樹脂封止する動作については実施形態1と同じなので説明を省略する。
【0058】
図6(a)に示されるように、成形型9において、上型7と下型8とを型開きした状態で、下型8に設けられた支持部材配置部10にリードフレーム25を配置する。リードフレーム25の端部とポットブロック20との間には、わずかな隙間27が形成される場合がある。
【0059】
次に、型締め機構6(
図1参照)を使用して上型7と下型8とを型締めする。下型8を上昇させることによって、上型7に設けられた上型樹脂止め部材33の先端にあるエラストマー34を、下型8に設けられた貫通孔41に挿入する。更に、下型8を上昇させることによって、エラストマー34を相対的に下降させて下型樹脂止め部材40に接触させる。更に、下型8を上昇させて型締めすることにより、エラストマー34を上型樹脂止め部材33と下型樹脂止め部材40とによって圧縮し弾性変形させる。
【0060】
図6(b)に示されるように、エラストマー34が圧縮され弾性変形することによって、エラストマー34は上下方向に収縮し水平方向に伸張する。リードフレーム25の厚さにばらつきがあった場合、又は、リードフレーム25の端面精度にばらつきがあった場合においても、エラストマー34が弾性変形することによって、リードフレーム25の端部とポットブロック20との間に形成される隙間27を塞ぐことができる。したがって、リードフレーム25の端部とポットブロック20との間に形成された隙間27から流動性樹脂が上型樹脂止め部材33、又は、下型樹脂止め部材40よりも下型エンドブロック23側に漏出することを抑制することができる。
【0061】
エラストマー34が上型樹脂止め部材33と下型樹脂止め部材40とによって圧縮されることにより、エラストマー34が上型樹脂止め部材33及び下型樹脂止め部材40をそれぞれ押し返そうとする反力が生じる。この反力によって、上型樹脂止め部材33は上方に押し上げられ、スプリング37によって支持される。下型樹脂止め部材40は下方に押し下げられ、スプリング43によって支持される。
【0062】
弾性変形したエラストマー34がリードフレーム25の端部とポットブロック20との間に形成される隙間27を塞いだ状態で、樹脂タブレット12を加熱して溶融した流動性樹脂を上型キャビティ16及び下型キャビティ11に注入する(
図4(b)参照)。リードフレーム25の端部とポットブロック20との間に形成された隙間27を弾性変形したエラストマー34が塞いでいるので、流動性樹脂が漏出することを抑制することができる。上型樹脂止め部材33の先端に設けたエラストマー34を弾性変形させることにより、リードフレーム25の変形を抑制して流動性樹脂が漏出することを抑制できる。流動性樹脂の漏出を抑制するので、所定量の流動性樹脂を上型キャビティ16及び下型キャビティ11に供給して樹脂封止することができる。
【0063】
(作用効果)
本実施形態によれば、上型7に上下方向に移動する上型樹脂止め部材33を設ける。下型8に上下方向に移動する下型樹脂止め部材40を設ける。上型樹脂止め部材33の先端に弾性変形可能な弾性部材であるエラストマー34を設ける。上型7と下型8とを型締めした際に、上型樹脂止め部材33と下型樹脂止め部材40とによってエラストマー34を圧縮して弾性変形させる。リードフレーム25の端部とポットブロック20との間に形成される隙間27を、弾性変形させたエラストマー34によって塞ぐ。したがって、流動性樹脂が、リードフレーム25の端部とポットブロック20との間に形成される隙間27から漏出した場合でも、上型樹脂止め部材33、又は、下型樹脂止め部材40よりも下型エンドブロック23側に流動性樹脂が漏出することを抑制することができる。
【0064】
本実施形態によれば、リードフレーム25の変形を抑制して溶融した流動性樹脂が漏出することを抑制することができる。流動性樹脂が漏出することを抑制して、所定量の流動性樹脂を上型キャビティ16及び下型キャビティ11に供給し、流動性樹脂に樹脂圧を加えて樹脂封止することができる。したがって、キャビティに供給する樹脂量が不足して充填不良が発生することを抑制することができる。
【0065】
本実施形態によれば、上型樹脂止め部材33をスプリング37によって支持し、下型樹脂止め部材40をスプリング43によって支持する。したがって、上型樹脂止め部材33の押圧力と下型樹脂止め部材40の押圧力とが直接的に、上型キャビティブロック31と下型キャビティブロック21とに影響を及ぼさない構成になっている。このことにより、上型キャビティブロック31の上方、及び、下型キャビティブロック21の下方に弾性体を設けたフローティング機構を採用した成形型において、型当たりバランスが悪くなることを抑制することができる。
【0066】
本実施形態によれば、下型樹脂止め部材40を押し上げることが可能な押し上げピン44を下型8に設ける。上型樹脂止め部材33を押し下げることが可能な押し下げピン38を上型7に設ける。このことにより、下型樹脂止め部材40又は上型樹脂止め部材33が樹脂つまりなどによって摺動不良になった場合でも、押し上げピン44又は押し下げピン38を使用して樹脂止め部材をスムーズに摺動させることができる。
〔実施形態3〕
【0067】
(成形型の構成)
図7を参照して、実施形態3に係る成形型の構成を説明する。実施形態3においては、下型樹脂止め部材40の押し上げピン44をプランジャユニットに接続し、下型キャビティブロック21をフローティング構造にした例を示す。成形型9(上型7及び下型8)の基本的な構成は実施形態2と同じなので同一の構成要素は同一の符号を付して説明を省略し、下型8に新たに追加した構成要素のみを説明する。支持部材としては、例えば、半導体チップ45が装着された基板46を樹脂封止する例について示す。なお、
図7(a)においては、上型7に設けられたカル凹部17、ランナ18及び上型キャビティ16を仮想線(二点鎖線)で示している。
【0068】
図7(b)に示されるように、プランジャ14及び押し上げピン44はプランジャユニット47に接続される。プランジャユニット47は駆動機構15(
図1参照)によって上下方向に移動する。押し上げピ44の先端部は下型ベース19に設けられた貫通孔48に挿入される。押し上げピン44は貫通孔48に対して上下方向に移動する。プランジャ14及び押し上げピン44は、プランジャユニット47に連動して昇降する。
【0069】
下型キャビティブロック21と下型ベース19との間にはフローティング用のスプリング49が設けられる。スプリング49は、例えば、螺旋状のスプリングである。下型キャビティブロック21の底面にはピラー(剛体部材)50が接続される。ピラー50は螺旋状のスプリング49の内部に配置され、下型ベース19に設けられた貫通穴51に挿入される。ピラー50の下端は下型ベース19の下面から突出する。ピラー50は下型キャビティブロック21と共に上下方向に移動する。なお、実施形態3は、半導体チップ45が装着された基板46を樹脂封止する例なので、下型キャビティブロック21に下型キャビティは形成されていない。
【0070】
ピラー50の下方には、一対のテーパ部材52、53が設けられる。上段に設けられるテーパ部材52は下面にテーパ面を有する。下段に設けられるテーパ部材53は上面にテーパ面を有する。テーパ部材52の下面のテーパ面とテーパ部材53の上面のテーパ面とは接触している。下段のテーパ部材53は移動機構54によって水平方向に移動する。移動機構54としては、サーボモータやエアシリンダなどが用いられる。
【0071】
下段のテーパ部材53を水平方向に移動させることによって、上段のテーパ部材52の高さ位置を調整することができる。一対のテーパ部材52、53は高さ位置調整機構、所謂コッターとして機能する。下段のテーパ部材53を左方向(
図7(b)において右から左)に移動させることによって、上段のテーパ部材52は上昇する。下段のテーパ部材53を右方向(
図7(b)において左から右)に移動させることによって、上段のテーパ部材52は下降する。
【0072】
(型締め動作)
図7〜9を参照して、成形型9を型締めして樹脂封止する動作及び型締めした際に溶融した流動性樹脂が漏出することを抑制する動作について説明する。
【0073】
図7に示されるように、成形型9において、上型7と下型8とを型開きした状態で、下型8に設けられた支持部材配置部10に半導体チップ45が装着された基板46を配置する。基板46の表面が下型8の型面よりわずかに突出するように、基板46は支持部材配置部10に配置される。基板46の端部とポットブロック20との間には、わずかな隙間27が形成される場合がある。樹脂タブレット12を下型8に設けられたポット13に供給する。
【0074】
次に、
図8に示されるように、型締め機構6(
図1参照)を使用して下型8を上昇させて上型7と下型8とを型締めする。この状態で、スプリング49は圧縮され、スプリング49が伸びようとする伸張力(弾性復元力)によって、下型キャビティブロック21を押し上げる力が作用し、基板46が上型キャビティブロック31と下型キャビティブロック21とでクランプされる。
【0075】
次に、移動機構54により下段のテーパ部材53を左方向(
図8において右から左)に移動させることによって、上段のテーパ部材52を上昇させる。このことによって、上段のテーパ部材52の上面とピラー50の下面とが接触し、ピラー50が下型キャビティブロック21を支持する。そして、樹脂の注入圧は、下型キャビティブロック21を介して、ピラー50が受けることになる。上段のテーパ部材52の高さ位置を調整することによって、基板46をクランプしている下型キャビティブロック21の高さ位置に対応した位置で、テーパ部材52の上面とピラー50の下面とを接触させることができる。
【0076】
次に、駆動機構15(
図1参照)を使用してプランジャユニット47を上昇させる。プランジャユニット47に連動してプランジャ14及び押し上げピン44が上昇する。プランジャ14によって溶融した流動性樹脂を押圧する。この状態においては、押し上げピン44は下型樹脂止め部材40の下面に接触していない。
【0077】
ポット13からカル凹部17及びランナ18を経由して、流動性樹脂を上型キャビティ16に注入する。上型キャビティ16を流動性樹脂により充填した状態で、更に流動性樹脂を加熱することによって硬化樹脂39を成形する。このことによって、基板46に装着された半導体チップ45が硬化樹脂39によって樹脂封止される。
【0078】
図8に示されるように、成形型9を型締めすることによって、エラストマー34は上型樹脂止め部材33と下型樹脂止め部材40とによって圧縮され弾性変形する。弾性変形したエラストマー34が基板46の端部とポットブロック20との間に形成された隙間27を塞ぐ。このことにより、基板46の端部とポットブロック20との間に形成された隙間27から流動性樹脂が漏出することを抑制する。
【0079】
次に、
図9に示されるように、上型7と下型8とを型開きする。まず、下型8を下降させ、上型7に設けられた上型エジェクタピン(図示なし)によって、樹脂成形品55を上型7から離型する。更に、下型8を下降させることによって、成形型9を完全に型開きする。下型キャビティブロック21及びピラー50は、スプリング49の弾性復元力によって元の高さ位置に戻る。
【0080】
次に、成形型9を型開きした状態で、プランジャユニット47を上昇させる。プランジャユニット47を上昇させることによって、プランジャ14及び押し上げピン44が上昇する。プランジャ14を下型8の型面よりも更に上方に上昇させることにより、樹脂成形品55を下型8から離型することができる。この場合には、プランジャ14によって樹脂成形品55を下型8から離型することができる。つまり、プランジャ14が樹脂成形品55を下型8から離型する機能を有することになる。
【0081】
プランジャ14の上昇と共に押し上げピン44も上昇する。押し上げピン44を下型樹脂止め部材40の下面に接触させ、押し上げピン44によって下型樹脂止め部材40を上昇させることができる。このことによって、下型樹脂止め部材40が樹脂つまりなどによって摺動不良になった場合においても、押し上げピン44によって強制的に下型樹脂止め部材40を摺動させることができる。したがって、プランジャユニット47を上昇させることにより、樹脂成形品55の離型と下型樹脂止め部材40の摺動とを同時に行うことができる。
【0082】
次に、樹脂封止された樹脂成形品55を成形型9から取り出し、カル凹部17及びランナ18に成形された不要な硬化樹脂39をディゲートする。ここまでの工程によって樹脂封止が完了する。
【0083】
樹脂成形品55を成形型9から取り出した後に、プランジャユニット47を下降させて元の位置に戻す。このことにより、押し上げピン44も下降して元の位置に戻る。これに連動して下型樹脂止め部材40が凹部42において元の位置(スプリング43の上)に戻る。したがって、樹脂つまりなどがあった場合でも、下型樹脂止め部材40をスムーズに摺動させることができる。
【0084】
(作用効果)
本実施形態によれば、上型7と下型8とを型締めした際に、上型樹脂止め部材33と下型樹脂止め部材40とによってエラストマー34を圧縮して弾性変形させる。基板46の端部とポットブロック20との間に形成される隙間27を、弾性変形させたエラストマー34によって塞ぐ。したがって、基板46の端部とポットブロック20との間に形成された隙間27から流動性樹脂が漏出することを抑制することができる。
【0085】
本実施形態によれば、プランジャ14及び押し上げピン44をプランジャユニット47に接続する。押し上げピン44がプランジャ14と連動して上下方向に移動する構成としている。プランジャ14を上昇させて樹脂成形品55を離型させると共に押し上げピン44を上昇させる。したがって、下型樹脂止め部材40が樹脂つまりなどによって摺動不良になった場合であっても、押し上げピン44によって摺動不良を解消することができる。
【0086】
本実施形態によれば、押し上げピン44をプランジャユニット47に接続し、プランジャ14と連動して押し上げピン44が上下方向に移動する構成としている。押し上げピン44を上下方向に移動させる駆動機構を新たに設ける必要がない。したがって、樹脂成形装置1の構成を簡略化して設備費を抑制することができる。
【0087】
本実施形態によれば、下型キャビティブロック21と下型ベース19との間にフローティング用のスプリング49を設ける。更に、下型キャビティブロック21の高さ位置を調整することができる一対のテーパ部材52、53(コッター)を設ける。したがって、支持部材配置部10に配置される基板46の厚さにばらつきがあった場合、又は、厚さの異なる基板を使用する場合であっても、上段のテーパ部材52の高さ位置を調整することによって、下型キャビティブロック21の高さ位置を調整し基板に加わるクランプ圧を最適にすることができる。
【0088】
本実施形態においては、押し上げピン44をプランジャユニット47に接続し、プランジャ14と連動して押し上げピン44を上下方向に移動させるようにした。これに限らず、押し上げピン44を、下型8に設けられるエジェクタピン(図示なし)と連動して上下方向に移動させるようにしてもよい。また、上型7に設けられた押し下げピン38についても、上型7に設けられるエジェクタピン(図示なし)と連動して押し下げピン38を上下方向に移動させるようにしてもよい。
〔実施形態4〕
【0089】
(型締め動作)
図10を参照して、実施形態4に係る樹脂成形方法について説明する。実施形態4においては、実施形態3に示した成形型9を用いて厚さの異なる基板に対して樹脂封止する動作及び型締めした際に溶融した流動性樹脂が漏出することを抑制する動作について説明する。成形型9の構成は実施形態3と同じなので説明を省略する。支持部材としては、実施形態3と同様に、半導体チップが装着された基板を樹脂封止する場合について示す。
【0090】
図10(a)に示されるように、成形型9において、上型7と下型8とを型開きした状態にする。下型8に設けられた支持部材配置部10a(図において左側)に半導体チップ56が装着された基板57を配置する。同様に、支持部材配置部10b(図において右側)に半導体チップ56が装着された基板58を配置する。下型8において、支持部材配置部10a及び10bの型面からの深さは同じである。実施形態4においては、基板58の厚さが基板57の厚さよりも厚い場合を示す。したがって、下型8の型面を基準として、基板58の表面の高さは基板57の表面の高さよりも高く突出することになる。基板57、58の端部とポットブロック20との間には、それぞれわずかな隙間27が形成される場合がある。
【0091】
次に、
図10(b)に示されるように、型締め機構6(
図1参照)を使用して上型7と下型8とを型締めする。この状態で、スプリング49a、49bはそれぞれ圧縮され、それぞれのスプリング49a、49bが伸びようとする伸張力(弾性復元力)によって、下型キャビティブロック21a、21bをそれぞれ押し上げる力が作用する。このことによって、基板57が上型キャビティブロック31aと下型キャビティブロック21aとでクランプされる。同様に、基板58が上型キャビティブロック31bと下型キャビティブロック21bとでクランプされる。
【0092】
次に、下段のテーパ部材53a(図において左側)を右方向(
図10(b)において左から右)に移動させて、上段のテーパ部材52aを上昇させる。上段のテーパ部材52aの上面とピラー50aの下面とが接触し、ピラー50aが下型キャビティブロック21aを支持する。上段のテーパ部材52aの高さ位置を調整することによって、基板57をクランプしている下型キャビティブロック21aの高さ位置を調整することができる。
【0093】
同様に、下段のテーパ部材53b(図において右側)を左方向(
図10(b)において右から左)に移動させて、上段のテーパ部材52bを上昇させる。上段のテーパ部材52bの上面とピラー50bの下面とが接触し、ピラー50bが下型キャビティブロック21bを支持する。上段のテーパ部材52bの高さ位置を調整することによって、基板58をクランプしている下型キャビティブロック21bの高さ位置を調整することができる。
【0094】
基板57の厚さは基板58の厚さよりも薄い。したがって、下型キャビティブロック21aの高さ位置を下型キャビティブロック21bの高さ位置よりも高くしないといけない。そのために、テーパ部材53aの移動距離をテーパ部材53bの移動距離よりも大きくして、下型キャビティブロック21aの高さ位置を下型キャビティブロック21bの高さ位置よりも高くしている。
【0095】
図10(b)に示されるように、エラストマー34は、上型樹脂止め部材33と下型樹脂止め部材40とによって圧縮され弾性変形する。弾性変形したエラストマー34が基板57、58の端部とポットブロック20との間に形成された隙間27をそれぞれ塞ぐ。このことにより、基板57、58の端部とポットブロック20との間に形成された隙間27から流動性樹脂が漏出することを抑制する。
【0096】
本実施形態によれば、成形型9において、下型キャビティブロック21a、21bと下型ベース19との間にフローティング用のスプリング49a、49bを設ける。更に、下型キャビティブロック21a、21bの高さ位置を調整することができる一対のテーパ部材52a、53a及び52b、53bを設ける。したがって、支持部材配置部10a、10bに配置される基板57、58の厚さが異なる場合であっても、下型キャビティブロック21a、21bの高さ位置を調整して、基板57、58に加わるクランプ圧をそれぞれ最適にすることができる。
【0097】
各実施形態においては、上型7を固定型、下型8を可動型とした成形型9について説明した。これに限らず、上型を可動型、下型を固定型とする成形型を使用してもよい。更に、上型及び下型の双方を可動型とすることもできる。
【0098】
各実施形態においては、ポット13を下型8に設けた場合を示した。これに限らず、ポットを上型に設けてもよい。この場合には、カル凹部及びランナは下型に設けられる。
【0099】
各実施形態においては、樹脂材料として打錠成形された樹脂タブレット12を使用する場合について説明した。これに限らず、樹脂材料として、粉末状、顆粒状、シート状などの固形状の樹脂、又は、常温で液状の樹脂(液状樹脂)などを使用することができる。
【0100】
以上のように、上記実施形態の成形型は、第1型と、第1型に対向して配置される第2型と、第1型及び第2型の少なくとも一方に設けられた弾性部材と、上下方向に移動可能なように第1型に設けられ、弾性部材が取付けられた取付部材とを備え、第1型又は第2型に支持部材が配置され、第1型及び第2型を型締めすることで、取付部材を上下方向に移動させ、第2型側の対向面に弾性部材を押圧して弾性変形させて、支持部材の端面と第1型又は第2型とによって形成される隙間を塞ぐ構成としている。
【0101】
この構成によれば、弾性変形させた弾性部材によって支持部材の端面と第1型又は第2型とによって形成される隙間を塞ぐ。したがって、支持部材の変形を抑制することができ、かつ流動性樹脂が漏出することを抑制することができる。
【0102】
さらに、上記実施形態の成形型は、上下方向に移動可能なように第2型に設けられ、弾性部材を押圧する押圧部材を備える構成としている。
【0103】
この構成によれば、取付部材と押圧部材とによって弾性部材を押圧して弾性変形させる。取付部材と押圧部材の押圧力が成形型に直接的に影響を及ぼさない。したがって、成形型の型当たりバランスが悪くなることを抑制することができる。
【0104】
さらに、上記実施形態の成形型では、第1型及び第2型の少なくとも一方に設けられたキャビティに流動性樹脂を導入させるように上下方向に移動可能なプランジャと、取付部材又は押圧部材を押し上げる又は押し下げる摺動安定化部材とプランジャとを連動させて移動する連動移動機構とを備える構成としている。
【0105】
この構成によれば、取付部材又は押圧部材を押し上げる又は押し下げる摺動安定化部材とプランジャとを連動させる。したがって、プランジャを移動させることによって取付部材又は押圧部材の摺動不良を抑制することができる。
【0106】
さらに、上記実施形態の成形型では、キャビティを構成するキャビティブロックの上方又は下方に、キャビティブロックを上下方向に移動可能なように設けられたキャビティブロック弾性部材を備える構成としている。
【0107】
この構成によれば、支持部材の厚さにばらつきがあった場合でも、キャビティブロック弾性部材によってキャビティブロックの高さ位置を調整することができる。したがって、支持部材に加わるクランプ圧を最適にすることができる。
【0108】
上記実施形態の樹脂成形装置は、上記いずれかの成形型を備える構成としている。
【0109】
この構成によれば、樹脂成形装置において、上記いずれかの成形型を用いることによって、支持部材の変形を抑制することができ、かつ流動性樹脂が漏出することを防止することができる。
【0110】
上記実施形態の樹脂成形方法は、互いに対向して配置される第1型及び第2型を有する成形型を用い、第1型及び第2型の少なくとも一方に設けられたキャビティに流動性樹脂を導入して、第1型又は第2型に配置された支持部材に対して樹脂成形する樹脂成形方法であって、第1型には、弾性部材が取付けられた取付部材が上下方向に移動可能なように設けられており、成形型を型締めし、取付部材により第2型側の対向面に弾性部材を押圧して弾性変形させて、支持部材の端面と第1型又は第2型とによって形成される隙間を塞ぐ。
【0111】
この樹脂成形方法によれば、弾性変形させた弾性部材によって、支持部材の端面と第1型又は第2型とによって形成される隙間を塞ぐ。したがって、支持部材の変形を抑制することができ、かつ流動性樹脂が漏出することを抑制することができる。
【0112】
さらに、上記実施形態の樹脂成形方法は、成形型には、キャビティに流動性樹脂を導入させるように上下方向に移動可能なプランジャが設けられ、第2型には、弾性部材を押圧する押圧部材が上下方向に移動可能なように設けられており、取付部材又は押圧部材を押し上げる又は押し下げる摺動安定化部材とプランジャとを連動させて移動させる。
【0113】
この樹脂成形方法によれば、取付部材又は押圧部材を押し上げる又は押し下げる摺動安定化部材とプランジャとを連動させる。したがって、プランジャを移動させることによって取付部材又は押圧部材の摺動不良を抑制することができる。
【0114】
さらに、上記実施形態の樹脂成形方法は、摺動安定化部材を用いて、取付部材又は押圧部材を上下方向に移動させる。
【0115】
この樹脂成形方法によれば、摺動安定化部材によって取付部材又は押圧部材を上下方向に移動させる。したがって、取付部材又は押圧部材の摺動不良を抑制することができる。
【0116】
さらに、上記実施形態の樹脂成形方法は、キャビティを構成するキャビティブロックの上方又は下方に、キャビティブロックを上下方向に移動可能なようにキャビティブロック弾性部材を設定する。
【0117】
この樹脂成形方法によれば、支持部材の厚さにばらつきがあった場合でも、キャビティブロック弾性部材によってキャビティブロックの高さ位置を調整することができる。したがって、支持部材に加わるクランプ圧を最適にすることができる。
【0118】
本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、必要に応じて、任意にかつ適宜に組み合わせ、変更し、又は選択して採用できるものである。