【実施例】
【0089】
本発明のいくつかの例示的、非限定的な実施例を、本発明およびその実施の理解を助けるために以下に提供する。
【0090】
(実施例1)
(塩基の存在下での酸化セリウム系触媒の調製)
水420g中の硝酸セリウム六水和物87g(99.9%、Acros社;製品コード218695000;CAS番号10294-41-4)の溶液を、室温(25℃)で、磁気撹拌棒を備えた1リットルビーカーで激しく攪拌することにより調製した。激しい撹拌を維持しながら、前もって市販の30%水溶液(Carlo Erba社、30% RPE-ACSアンモニア溶液;製品コード419941、CAS番号1336-21-6)を希釈することにより調製した15%水酸化アンモニウム(NH
4OH)水溶液77gを、得られた溶液に、25分間かけて蠕動ポンプにより添加し、EUTECH Instruments pH1500 pHメーターに接続されたHamilton LIQ-GAS複合ガラス実験室用pH電極を使用して、pHを観察した。前記溶液の添加完了時に、9.0に相当するpHを有する懸濁液を得た。混合物の激しい撹拌を64時間続けた。その後、激しい撹拌を維持しながら、上記のように前もって調製した15%水酸化アンモニウム(NH
4OH)水溶液をさらに34g、4.0に相当するpHを有する得られた懸濁液に、蠕動ポンプにより10分間かけて添加し、9.0に相当するpHを有する懸濁液を得た。懸濁液を、さらに24時間激しく撹拌し、その期間の終了時にpHを再測定すると8.9に相当することが判明し、そして沈殿物を得た。得られた沈殿物を濾過し、500mlの水で洗浄し、続いて120℃で2時間オーブンで乾燥させた。乾燥後、得られた固体を6時間1000℃でか焼した。
【0091】
か焼後に得られた固体のXRDスペクトルは、結晶性の酸化セリウム系触媒の形成を明らかにした(既に上述したPDF-4データベースに存在する参照カード04-008-6551との比較により同定される)。
【0092】
得られた酸化セリウム系触媒は、上述のように測定され、4m
2/gに相当するBET比表面積を有していた。
【0093】
(実施例2)
(塩基の存在下での酸化セリウム系触媒の調製)
水4200g中の硝酸セリウム六水和物870gの溶液(99%、Aldrich社;製品コード238538; CAS番号10294-41-4)を、室温(25℃)で、磁気攪拌棒を備えたガラスビーカーで激しく攪拌することにより調製した。得られた溶液を、アンカー攪拌機を備えたガラス反応器に移し、撹拌を15分間維持した。攪拌を維持しながら、前もって市販の28%〜30%水溶液(Aldrich社、28%〜30% NH3 Basis ACS試薬、製品コード221228;CAS番号1336-21-6)を希釈することにより調製した15%水酸化アンモニウム(NH
4OH)水溶液790gを、3時間かけて蠕動ポンプにより得られた溶液に添加し、Metrohm 691 pH計に接続されたMetrohmガラスpH電極(6.0248.030)により、pHを観察した。前記溶液の添加終了後には、懸濁液のpHは9.0に相当し、撹拌を同じ条件下で64時間続け、その期間の終了時には、pHは4.3に相当することが判明した。その後、撹拌を維持しながら、上記のように前もって調製した15%水酸化アンモニウム(NH
4OH)水溶液をさらに90g、得られた懸濁液に蠕動ポンプにより25分間かけて添加し、9.0に相当するpHを有する懸濁液を得た。懸濁液をさらに24時間激しく撹拌し、その期間の終了時にpHを再測定すると8.8に相当することが判明し、そして沈殿物を得た。得られた沈殿物を濾過し、約10リットルの水で洗浄し、続いて120℃で2時間オーブンで乾燥させた。乾燥後、得られた固体を6時間600℃でか焼した。
【0094】
か焼後に得られた固体のXRDスペクトルは、結晶性の酸化セリウム系触媒の形成を明らかにした(既に上述したPDF-4データベースに存在する参照カード04-008-6551との比較により同定される)。
【0095】
得られた酸化セリウム系触媒は、上述のように測定され、19m
2/gに相当するBET比表面積を有していた。
【0096】
(実施例3)
(塩基の存在下での酸化セリウム系触媒の調製)
市販の約30%の水酸化アンモニウム(NH
4OH)水溶液200g(Aldrich社、28%〜30% NH3 Basis ACS試薬;製品コード221228;CAS番号1336-21-6)を、Teflon半月パドル撹拌機を備えた1リットルビーカーに加え、pH測定用電極[Metrohm 780 pH計に接続されたMetrohmガラスpH電極(6.0248.030)]を導入した。水200g中の硝酸セリウム六水和物200gの溶液(99%、Aldrich社;製品コード238538;CAS番号10294-41-4)を、磁気撹拌棒を備えた別の500mlビーカー中で調製した:硝酸セリウムを、室温(25℃)で激しく撹拌することにより溶解させた。得られた溶液を滴下漏斗に導入し、1リットルビーカー中に存在する上記の水酸化アンモニウム溶液に、一定に激しく撹拌しながら、6分間で滴下して分注した。得られた懸濁液のpHは10.1に相当した。混合物の激しい撹拌を3時間続け、その後、水200mlを添加し、pHを測定すると9.6に相当することが判明した。混合物の激しい撹拌をさらに1.5時間続け、その期間の終了時にさらに水200mlを添加し、pHを測定すると9.5に相当することが判明した。前記懸濁液を64時間激しく攪拌し、その期間の終了時にpHを再測定すると4.5に相当することが判明した。続いて、約30%水酸化アンモニウム(NH
4OH)(Aldrich社、28%〜30% NH
3 Basis ACS試薬、製品コード221228;CAS番号1336-21-6)をさらに23g加え、9.0に相当するpHが得られた:混合物の撹拌を6時間継続し、8.5に相当するpHが得られた。続いて、16gの約30%水酸化アンモニウム(NH
4OH)(Aldrich社、28%〜30% NH3 Basis ACS試薬、製品コード221228;CAS番号1336-21-6)を加え、9.0に相当するpHが得られた。混合物の激しい撹拌を17時間続け、その期間の終了時にはpHは7.9に相当し、そして沈殿物を得た。得られた沈殿物を濾過し、2リットルの水で洗浄し、続いて120℃で2時間オーブンで乾燥させた。乾燥後、得られた固体を5時間600℃でか焼した。
【0097】
か焼後に得られた固体のXRDスペクトルは、結晶性の酸化セリウム系触媒の形成を明らかにした(既に上述したPDF-4データベースに存在する参照カード04-008-6551との比較により同定される)。
【0098】
得られた酸化セリウム系触媒は、上述のように測定され、49m
2/gに相当するBET比表面積を有していた。
【0099】
(実施例4)
(1,3-ブタンジオールの脱水によるアルケノールの調製)
触媒活性試験を、以下に記載の実験装置および操作方法を使用して実施した。
【0100】
1,3-ブタンジオールの脱水反応を、長さ400mmおよび内径9.65mmを有するAISI 316Lスチールの固定床管状反応器で実施した。反応器内には、その軸に沿って、温度を制御するための熱電対を収容する3mmの外径を有するウェルがあった。反応器を、上記反応に選択された温度に達することが可能な電熱炉内に置いた。試験に使用する触媒を粉砕して篩にかけ、0.5mm〜1mm画分を得た。
【0101】
3gの触媒充填を、2層の不活性物質(コランダム)の間の上記反応器に設置し、触媒床を、下方フローを有する反応器(「ダウンフロー反応器」)の底部に配置された焼結スチールバッフルにより定位置に固定した。
【0102】
充填を、反応器の頂部、不活性原料で充填され、蒸発器として作用し、反応物質が触媒と接触する前に反応温度に達するのを可能にする領域の上から行った。
【0103】
液体反応物を、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で使用されるタイプの定量ポンプにより供給した。ガスを、「熱質量流量計」(TMF)で供給した。反応器の下流で、得られた生成物を熱交換器で冷却し、凝縮液を一連のタイマー制御バルブを用いてガラスバイアル中に集めた。一方、生成ガスの体積を測定するために、未凝縮ガスを体積測定湿式ガスメーターに通した。ガスのごく一部を、分析用のオンラインガスクロマトグラフ(GC)に採取した。ガスのオンライン分析を、HP-Al/Sカラム(長さ50m、直径0.53mm、フィルム厚15ミクロン)を備えたAgilent HP7890ガスクロマトグラフ(GC)により実施し、使用するキャリアガスは、30cm/秒で流れるヘリウムであり、検出器は火炎検出器であった。ガス分析は、個々の既知成分の検量線での外部標準を用いて実施した。
【0104】
集めた液体を、Quadrex 007 FFAPカラム(高さ25m;直径0.32mm;フィルム厚1ミクロン)に「スプリット/スプリットレス」注入器を備えたAgilent HP6890ガスクロマトグラフ(GC)を用いてガスクロマトグラフィー分析により特性評価し、使用するキャリアガスは、50cm/秒の速度のヘリウムであり、検出器は火炎検出器であった。測定は、個々の既知成分の検量線での内部標準を用いて実施した。
【0105】
以下の表に示す触媒性能値は、以下に示す式に従って、1,3-ブタンジオール[1,3-BDO](C
1,3-BDO)の変換率および種々の生成物の選択率(S
i)を計算することにより表される。
【数1】
【0106】
最初の試験で実施例1に記載のように得られた触媒(例1触媒)、第2の試験で実施例2に記載のように得られた触媒(例2触媒)、および第3の試験で実施例3に記載のように得られた触媒(例3触媒)を、粉砕して篩にかけて0.5mm〜1mm画分とし、反応器に充填し、続いて300℃で、窒素(N
2)の気流下でin situ前処理をした。
【0107】
次いで、30g/時間の1,3-ブタンジオール(Fluka社、純度≧99%)を、窒素(N
2)と共に、1に相当する1,3-ブタンジオール:窒素(N
2)比で上記反応器に供給した。
【0108】
試験を、10h
-1に相当する、1,3-ブタンジオールに対する空間速度(「重量毎時空間速度」)で、大気圧(1bara)で、段階的に上昇する温度で実施した:各試料を、上記温度で6時間後に採取した。
【0109】
表1は、種々の温度での、変換率(C%)および選択率(S%)に関して、上記のように計算して得られた触媒の結果を示す。
【0110】
【表1】
【0111】
実施例1(例1触媒)、実施例2(例2触媒)および実施例3(例3触媒)に記載のように得られた触媒を使用した本発明により提供される方法が、広い温度範囲にわたって高い変換率および選択率を提供することが可能であることは、表1に示すデータから明らかである。前記触媒の表面積の増加は、温度および変換率の広い範囲にわたって選択率に悪影響を与えないこともまた明らかである。
【0112】
(実施例5)
(塩基の存在下での酸化セリウム系触媒の調製)
水420g中の硝酸セリウム六水和物87g(99%、Aldrich社、製品コード238538;CAS番号10294-41-4)の溶液を、室温(25℃)で、磁気撹拌棒を備えた1リットルビーカーで激しく攪拌することにより調製した。激しい撹拌を維持しながら、前もって市販の28%〜30%水溶液(Aldrich社、28%〜30% NH3 Basis ACS試薬;製品コード221228、CAS番号1336-21-6)を希釈することにより調製した15%水酸化アンモニウム(NH
4OH)水溶液75gを、得られた溶液に、25分間かけて蠕動ポンプにより添加し、EUTECH Instruments pH1500 pHメーターに接続されたHamilton LIQ-GAS複合ガラス実験用pH電極を使用して、pHを観察した。前記溶液の添加完了時に、9.0に相当するpHを有する懸濁液を得た。混合物の激しい撹拌を64時間続けた。その後、激しい撹拌を維持しながら、上記のように前もって調製した15%水酸化アンモニウム(NH
4OH)水溶液をさらに25g、4に相当するpHを有する得られた懸濁液に、蠕動ポンプにより10分間かけて添加し、9.0に相当するpHを有する懸濁液を得た。懸濁液を、さらに24時間激しく撹拌し、その期間の終了時に、pHを再測定すると8.8に相当することが判明し、そして沈殿物を得た。得られた沈殿物を濾過し、500mlの水で洗浄し、続いて120℃で2時間オーブンで乾燥させた。乾燥後、得られた固体を6時間600℃でか焼した。
【0113】
か焼後に得られた固体のXRDスペクトルは、結晶性の酸化セリウム系触媒の形成を明らかにした(既に上述したPDF-4データベースに存在する参照カード04-008-6551との比較により同定される)。
【0114】
得られた酸化セリウム系触媒は、上述のように測定され、18m
2/gに相当するBET比表面積を有していた。
【0115】
(実施例6)
(アルケノールの1,3-ブタンジオールからの調製)
実施例5(例5触媒)に記載のように得た触媒(3g)を、粉砕して篩にかけて0.5mm〜1mm画分とし、反応器に充填し、実施例4に記載したように進め、続いて350℃で、窒素(N
2)の気流下でin situ前処理をした。
【0116】
次いで、24.5g/時間の1,3-ブタンジオール(Fluka社、純度?99%)を、窒素(N
2)と共に、1に相当する1,3-ブタンジオール:窒素(N
2)比で上記反応器に供給した。
【0117】
試験を、大気圧(1bara)で、350℃の温度で実施した。
【0118】
表2は、変換率(C%)および選択率(S%)に関して、上記のように計算して得られた触媒の、種々の反応時間での結果を示す:各試料を、表2に記載した時刻より前の6時間の間に採取した。
【0119】
【表2】
【0120】
実施例5(例5触媒)に記載のように得られた触媒を使用した本発明により提供される方法が、高い変換率および選択率を提供することが可能であり、希釈剤[すなわち窒素(N
2)]の低い含有量にもかかわらず、前記触媒が高温でも長時間安定であることは、表2に示すデータから明らかである。前記触媒の生産性が上昇していることもまた明らかであり(前記生産性は、試験中に、触媒1単位当たりに生産されたブテノールの総量を意味すると解釈されている)、例えば、不活性化の明らかな兆候なしに、アルケノール1kg/触媒1gを軽く超えている。
【0121】
(実施例7)
(アルケノールの1,3-ブタンジオールからの調製)
実施例5(例5触媒)に記載のように得た触媒(3g)を、粉砕して篩にかけて0.5mm〜1mm画分とし、反応器に充填し、実施例4に記載したように操作し、続いて350℃で、窒素(N
2)の気流下でin situ前処理をした。
【0122】
次いで、窒素(N
2)の代わりに水を希釈剤として供給したことを唯一の相違点とし、実施例6に記載した方法と全く同様の方法を用いて、触媒に寿命試験を行った。
【0123】
次いで、30.7g/時間の1,3-ブタンジオール(Fluka社、純度≧99%)を、82.5%の量の水で、1に相当する1,3-ブタンジオール:水比で上記反応器に供給した。
【0124】
試験を、大気圧(1bara)で、350℃の温度で実施した。
【0125】
表3は、変換率(C%)および選択率(S%)に関して、上記のように計算して得られた触媒の、種々の反応時間での結果を示す:各試料を、表3に記載した時刻より前の6時間の間に採取した。
【0126】
【表3】
【0127】
実施例5(例5触媒)に記載のように得られた触媒を使用した本発明により提供される方法が、高い変換率および選択率を提供することが可能であり、希釈剤[すなわちH
2O]の低い含有量にもかかわらず、前記触媒が高温でも長時間安定であることは、表3に示すデータから明らかである。前記触媒が高い生産性を有することもまた明らかであり(前記生産性は、試験中に、触媒1単位当たりに生産されたブテノールの総量を意味すると解釈されている)、例えば、不活性化の明らかな兆候なしに、アルケノール1kg/触媒1gを軽く超えている。
【0128】
(実施例8)
(アルケノールの1,3-ブタンジオールからの調製)
実施例2(例2触媒)に記載のように得た触媒を、粉砕して篩にかけて0.5mm〜1mm画分とし、反応器に充填し、実施例4に記載したように操作し、続いて400℃で、窒素(N
2)の気流下でin situ前処理をした。
【0129】
次いで、29.5g/時間の1,3-ブタンジオール(Fluka社、純度≧99%)を、窒素(N
2)と共に、1に相当する1,3-ブタンジオール:窒素(N
2)比で上記反応器に供給した。
【0130】
試験を、10h
-1に相当する、1,3-ブタンジオールに対する空間速度(「重量毎時空間速度」)で、大気圧(1bara)で、400℃の温度で実施した。
【0131】
表4は、変換率(C%)および選択率(S%)に関して、上記のように計算して得られた触媒の、種々の反応時間での結果を示す:各試料を、表4に記載した時刻より前の6時間の間に採取した。
【0132】
【表4】
【0133】
実施例2(例2触媒)に記載のように得られた触媒を使用した本発明により提供される方法が、高い変換率および選択率を提供することが可能であり、希釈剤[すなわち窒素(N
2)]の低い含有量にもかかわらず、前記触媒が長時間高温でも安定であることは、表4に示すデータから明らかである。
【0134】
(実施例9)
(押出酸化セリウム系触媒の調製)
水4200g中の硝酸セリウム六水和物870gの溶液(99%、Aldrich社;製品コード238538; CAS番号10294-41-4)を、室温(25℃)で、磁気攪拌棒を備えたガラスビーカーで激しく攪拌することにより調製した。得られた溶液を、アンカー攪拌機を備えたガラス反応器に移し、撹拌を15分間維持した。攪拌を維持しながら、前もって市販の28%〜30%水溶液(Aldrich社、28%〜30% NH3 Basis ACS試薬;製品コード221228;CAS番号1336-21-6)を希釈することにより調製した15%水酸化アンモニウム(NH
4OH)水溶液790gを、3時間かけて蠕動ポンプにより得られた溶液に添加し、Metrohm 691 pH計に接続されたMetrohmガラスpH電極(6.0248.030)により、pHを観察した。前記溶液の添加終了後には、懸濁液のpHは9.0に相当した:混合物の撹拌を64時間続け、その期間の終了時には、pHは4.3に相当した。その後、撹拌を維持しながら、上記のように前もって調製した15%水酸化アンモニウム(NH
4OH)水溶液をさらに90g、得られた懸濁液に蠕動ポンプにより25分間かけて添加し、9.0に相当するpHを有する懸濁液を得た。懸濁液をさらに24時間激しく撹拌し、その期間の終了時にpHを再測定すると8.8に相当することが判明し、そして沈殿物を得た。得られた沈殿物を濾過し、約10リットルの水で洗浄し、続いて120℃で2時間オーブンで乾燥させた。
【0135】
適当な数のバッチを得るために上述の調製を繰り返して十分な量の原料を得た後、得られた固体を乳鉢中で混合し、粉砕した:このようにして得られた1905gの粉末を、その後AMDモデルモーターを備えるErweka社製プラネタリーミキサーに入れた。
【0136】
粉末を1時間乾式混合し、その後、以下を連続的に滴下した:前もって市販の28%〜30%水溶液(Aldrich社、28%〜30% NH3 Basis ACS試薬、製品コード221228;CAS番号1336-21-6)を希釈することにより調製した25%水酸化アンモニウム(NH
4OH)水溶液250gを50分かけて、および脱イオン水250mlを同様に50分かけて;ペーストが得られ、2mmの孔を有するローラを備えるHutt押出機で押出した。押出成形により得られたペレットを、空気中で2日間乾燥させた。
【0137】
続いて、134g重量のペレットの試料を120℃で2時間オーブン乾燥し、続いて6時間600℃でか焼し、酸化セリウム系触媒を得た。
【0138】
得られた酸化セリウム系触媒は、上述のように測定され、18m
2/gに相当するBET比表面積を有していた。
【0139】
(実施例10)
(押出酸化セリウム系触媒でのアルケノールの1,3-ブタンジオールからの調製)
実施例9(例9触媒)に記載のように得た触媒を、粉砕して篩にかけて0.5mm〜1mm画分とし、反応器に充填し、実施例4に記載したように操作し、続いて400℃で、窒素(N
2)の気流下でin situ前処理をした。
【0140】
次いで、28.8g/時間の1,3-ブタンジオール(Fluka社、純度≧99%)を、窒素(N
2)と共に、1に相当する1,3-ブタンジオール:窒素(N
2)比で上記反応器に供給した。
【0141】
試験を、10h
-1に相当する、1,3-ブタンジオールに対する空間速度(「重量毎時空間速度」)で、大気圧(1bara)で、400℃の温度で実施した。
【0142】
表5は、変換率(C%)および選択率(S%)に関して、上記のように計算して得られた触媒の、種々の反応時間での結果を示す:各試料を、表5に記載した時刻より前の6時間の間に採取した。
【0143】
【表5】
【0144】
実施例9(例9触媒)に記載のように得られた触媒を使用した本発明により提供される方法が、高い変換率および選択率を提供することが可能であり、高温および希釈剤[すなわち窒素(N
2)]の低い含有量であっても、前記触媒が安定であることは、表5に示すデータから明らかである。前記触媒は、形成作業を受けていない触媒と実質的に同様に作用することもさらに留意すべきである。
【0145】
(実施例11)
(シリカアルミナ系触媒の調製)
アルミニウムトリ-sec-ブトキシド7.6g(97%、Aldrich社;製品コード201073;CAS番号2269-22-9)を、500mlの2口フラスコに導入した。次いで、ケイ酸50g(99.9%、Aldrich社;製品コード288772;CAS番号1343-98-2)の脱イオン水250gとの溶液を、500ml三角フラスコ中で激しく攪拌することにより調製した。次いで、10分以後に適切な滴下漏斗を使用して、溶液をアルミナ前駆体を含む上記フラスコに、混合物を激しく撹拌しながら移した。添加が完了したら、溶液を1時間激しく撹拌した。1時間後、温度を90℃に調節し、溶液を前記温度に1時間維持した。得られた懸濁液を濾過し、脱イオン水5リットルで洗浄し、得られた沈殿物を120℃で12時間オーブン乾燥させた。乾燥後、得られた固体を、550℃でマッフル炉において5時間か焼した。
【0146】
WD-XRF(波長分散蛍光X線)により実施されたか焼後の固体の、ロジウムアノードを有する4kWのX線管を備えたPANalytical Axios Advanced分光計を用いた元素分析は、3.8%に相当するAl
2O
3含有量の固体の形成を明らかにした。
【0147】
続いて、上記のように得られた固体の一部を、指定の活性相で、アルミナ(Versal V250、UOP社)と結合させた。
【0148】
この目的で、40.4gの活性相を、24.4gのアルミナ(Versal V250、UOP社)と共に800mlビーカーに入れた。粉末を機械的に混合し、次いで、前もって市販の>99.7%水溶液(Aldrich社、>99.7%酢酸ACS試薬;製品コード320099;CAS番号64-19-7)を希釈することにより調製した4%酢酸溶液302gを添加した。得られた懸濁液を60℃に加熱し、2時間激しく攪拌しながら、前記温度に維持した。次いで懸濁液を、激しい攪拌をまだ継続した状態で、150℃まで加熱し、前記温度で12時間乾燥させ、得られた乾燥生成物を磁器蒸発皿に移し、マッフル炉中に入れ、550℃で5時間か焼した。
【0149】
(実施例12)
(1,3-ブタジエンのブテノールからの製造)
実施例11に記載したように得た触媒を、ブテノールと水との混合物の脱水試験で使用した。
【0150】
この目的で、実施例4および実施例5に記載のように得たブテノールの混合物を合わせ、混合物を得て蒸留し、表6に示す組成を有する異性体ブテノールの水溶液を得た。
【0151】
【表6】
【0152】
実施例11(例11触媒)に記載のように得た触媒を、粉砕して篩にかけて0.5mm〜1mm画分とし、反応器に充填し、実施例4に記載したように操作し、続いて300℃で、窒素(N
2)の気流下でin situ前処理をした。
【0153】
次いで、表6に示される27.8g/時間の異性体ブテノール水溶液および7.4Nl/時間の窒素(N
2)を、上記反応器に供給した。
【0154】
得られた触媒の結果を、変換率および選択率に関して表した。計算は、ジオールの脱水段階についての上述と同様の式を用いて行い、出発反応物として混合物中に存在するブテノールの和をとり、得られた1,3-ブタジエンのモル数を考慮して選択率を計算した。
【0155】
300℃での反応の2時間後、反応値は以下の通りであった:
- ブテノール変換率(C%):99%;
- 1,3-ブタジエンの選択率(S%):91%。
【0156】
本発明により提供される方法は、その後優れた変換率(C%)および選択率(S%)の値を有する1,3-ブタジエンの製造に使用され得るブテノールの混合物を生成することが可能であることは、上に示したデータから明らかである。
【0157】
(実施例13)
(1,3-ブタジエンのブテノールからの製造)
実施例11に記載したように得た触媒(例11触媒)を、ブテノールと水との混合物の脱水試験で使用した。
【0158】
この目的のために、実施例11(例11触媒)に記載のように得た触媒(3g)を、粉砕して篩にかけて0.5mm〜1mm画分とし、反応器に充填し、実施例4に記載したように操作し、続いて300℃で、窒素(N
2)の気流下でin situ前処理をした。
【0159】
次いで、表6に示される27.8g/時間のブテノール水溶液および7.4Nl/時間の窒素(N
2)を、上記反応器に供給した。
【0160】
400℃で、変換率および選択率について表され、反応の2時間、4時間、6時間後に得られた触媒の結果を、表7に示す。
【0161】
【表7】
【0162】
本発明により提供される方法は、その後優れた変換率(C%)および選択率(S%)の値を有する1,3-ブタジエンの製造に使用され得るブテノールの混合物を生成することが可能であることは、上に示したデータから明らかである。