(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
2種以上の材料を混合することによって変形可能な状態となり、身体における四肢、胴体、首、又は頭部のいずれかの部位に合わせて形状付けした状態において硬化する変形部と、
前記変形部の外表面の少なくとも一部に設けられて身体のいずれかの前記部位と接触し、前記変形部から身体の前記部位への伝熱を抑制するカバーと、
前記変形部を設置する凹部を備え、前記凹部に前記変形部を設置し、かつ、前記変形部に身体の前記部位を接触させた状態において、前記変形部を身体の前記部位に倣って変形させる規制部と、を有し、
前記変形部は、外表面に凸状に形成された複数の柔軟な突起を有する、固定具。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。図面における部材の大きさや比率は、説明の都合上誇張され実際の大きさや比率とは異なる場合がある。
【0010】
以下、
図1〜
図9を参照して第1実施形態に係る固定具100について説明する。
図1〜
図9は本発明の第1実施形態に係る固定具100の説明に供する図である。
【0011】
本実施形態に係る固定具100は、例えば病院のベッドにて安静状態の患者の前腕B1等を固定する際に使用される。固定具100は、
図1を参照して概説すれば、変形部材11を含み前腕B1と接触する接触部10を有する。以下、詳述する。
【0012】
接触部10は、
図5〜
図7に示すように変形可能に構成され、前腕B1等の部位に合わせて形状づけした状態で硬化する変形部材11(変形部に相当)と、変形部材11の外表面に設けられる断熱材12(カバーに相当)と、を有する。
【0013】
変形部材11は、
図1に示すように前腕B1等の人体の所望の部位を固定(支持)する際に当該所望の部位の形状に合わせて形状づけされる部位である。変形部材11は、
図5に示すように混合によって状態が変化する第1変形剤111及び第2変形剤112と、収容部材113及び収容部材114と、を有する。
【0014】
第1変形剤111及び第2変形剤112は、種類の異なる液体等によって構成している。第1変形剤111及び第2変形剤112は、二種類の液体等を混合することによって発泡し、本実施形態では液体から固体に変形しつつ体積を増加させる。第1変形剤111は例えばポリオール、第2変形剤112は、ポリイソシアネート等によって構成でき、これらを混合することによってポリウレタン等が得られる。しかし、両者を混合することによって変形可能な状態となり、その後硬化すれば、第1変形剤111及び第2変形剤112の材料は上記に限定されない。なお、第1変形剤111は発泡剤、第2変形剤112は重合開始剤等とも呼ばれる。
【0015】
収容部材113は、第1変形剤111及び第2変形剤112が外部に漏出しないように収容する部材である。収容部材113は、変形部材11の表面に設けられ変形部材11及び接触部10の外形を形成する。変形部材11は、
図3、
図6に示すように人体の様々な部位を少なくとも部分的に覆うことができるように、第1変形剤111及び第2変形剤112の混合前の形状としていわゆる偏平な略直方体形状に形成している。
【0016】
しかし、第1変形剤111及び第2変形剤112を混合でき、前腕B1等の部位に合わせて形状づけできれば、第1変形剤111及び第2変形剤112の混合前の変形部材11の形状は上記に限定されない。変形部材11の形状は、上記以外にも偏平な略円柱形状等で構成してもよい。
【0017】
収容部材114は、
図5に示すように収容部材113の内部空間に設けられ、第2変形剤112が第1変形剤111と混合されるまで第2変形剤112を第1変形剤111と離隔して収容するための部材である。そのため、収容部材114は、収容部材113に比べて厚さを薄くしたり、切れ込み(ノッチ)を設けて外部からの衝撃によって容易に破断できるように構成してもよい。収容部材113、114は、例えばポリエチレンによって構成される。
【0018】
変形部材11は、前腕B1等の人体と接触する際には、前腕B1の長手方向に直交する断面で見た際に
図7に示すように変形によって略円弧状を備えるように形成される。本明細書では、固定具100を取り付ける前腕B1等の人体の所定部位における長手方向を図面において長手方向Xとする。また、
図7に示すように長手方向Xに直交する断面において変形部材11の端部115、116を結ぶ線分に沿う方向を第1横断方向Yとする。また、長手方向Xおよび第1横断方向Yに直交する方向を第2横断方向Zとする。
【0019】
変形部材11は、上記のように第1変形剤111と第2変形剤112とを混合させ、前腕B1等を変形部材11に接触させた状態を所定時間維持することによって前腕B1等の形状に倣った状態で形状付けされる。この状態で前腕B1等の部位は、
図1、
図2等に示すように固定具100によって固定される。ここで、上記にて記載した前腕B1等の人体の所定部位を「固定する」とは、硬化した変形部材11を含む固定具100に前腕B1等を設置することによって前腕B1が少なくとも第1横断方向Yに移動できない状態となることを意味する。上記における「固定」の目安としては、
図7に示すように接触部10の外表面が前腕B1等の外周の略半分以上と接触する、又は略半分以上を覆うことである。
【0020】
断熱材12は、前腕B1等の固定したい部位と接触し、第1変形剤111及び第2変形剤112の混合時に発生する熱が患者等の使用者に伝わることを抑制する。断熱材12は、本実施形態において変形部材11の収容部材113の全周を被覆するように構成している。しかし、使用時に前腕B1等の部位と変形部材11とが直接接触しうる箇所に少なくとも設けられていれば、断熱材12は必ずしも変形部材11の収容部材113を全周被覆しなくてもよい。断熱材12は、例えばガラス繊維添加塩化ビニールシート、酸化アルミナ又はガラス繊維等の断熱性のある不織布で構成できる。
【0021】
また、断熱材12は、例えばポリエチレンテレフタレート等を含み、表面にシボ加工等によって凹凸形状を形成したフィルム状の部材として構成することもできる。断熱材12は、上記以外にも中空状のセラミックファイバーをメッシュ状に成形したもので構成することもできる。
【0022】
図8は
図2の8部分を示す拡大図であり、
図9は
図8の変形例を示す拡大図である。
図8において断熱材12の外表面は前腕B1の外表面、いわゆる皮膚と面接触する。断熱材12は、上記以外にも
図9に示す変形例のように、エラストマー、ポリウレタン、塩化ビニル等から構成し、外表面に凸状に成形した複数の柔軟な突起13を設けることもできる。複数の柔軟な突起13を断熱材12の外表面における前腕B1等との接触部位に設けることによって、断熱材12と前腕B1との接触面積を減らすことができる。また、断熱材12の外表面において前腕B1と接触していない箇所から変形部材11の発泡時に発生する熱を外部に効率的に放熱することができ、使用者への伝熱をより抑制できる。
【0023】
次に本実施形態に係る固定具100の使用方法について説明する。ここでは、医療現場にて患者に手技(手術)を行なう際を一例として説明する。固定具100は、例えば患者の体内にカテーテル等を導入して手技を行なう前であって前腕B1等を固定する際に用いられる。
【0024】
固定具100の使用としては、まず、
図4、6に示すように前腕B1等の外側面(外表面)の一部を覆い、前腕B1の第1横断方向Yにおいて前腕B1よりも長さが長い変形部材11を含む固定具100を用意する。
【0025】
次に、
図5の矢印に示すように接触部10の外方から収容部材114が配置された部位に押圧力を作用させ、収容部材114を破り、収容部材114に収容された第2変形剤112を第1変形剤111と混合する。これにより、第1変形剤111は発泡を始め、膨張すると共に変形可能な状態となる。
【0026】
次に、
図4に示すように、固定する部位である前腕B1を接触部10における変形部材11の第1横断方向Yにおける中間の位置に配置する。ここで、変形部材11の変形前の状態の面を基部14と呼ぶ(
図6参照)。なお、
図6において基部14は略平面に構成しているが、必ずしも平面でなくてもよい。
【0027】
次に、第1変形剤111の膨張変形及び前腕B1等の位置等を調整しつつ、変形部材11を含む接触部10を前腕B1に倣って形状づけする。これにより、変形部材11を含む接触部10は、
図7に示すように、変形部材11が膨張変形し、
図6に示す基部14において前腕B1と接触する箇所以外の箇所が
図7の上方向、すなわち基部14の面と交差する第2横断方向Zに向かって隆起する。これにより、接触部10によって前腕B1の外表面と接触する範囲が変形前よりも増加し、前腕B1が固定される。
【0028】
なお、固化の程度は第1変形剤111と第2変形剤112との混合の具合によって決まる。そのため、術者は、適宜、変形部材11において固化の進んでいない箇所に第1変形剤111と第2変形剤112の混合物を手指等で引き伸ばし、固化した箇所を全体に分散させてもよい。変形部材11が形状づけされると、前腕B1は固定具100によって固定された状態となり、その後カテーテルの導入等の手技を実施することができる。
【0029】
第1変形剤111と第2変形剤112との混合の際には重合反応が進行することによって発熱が起こる。手技等の際に固定具を使用者の体に沿わせて接触させると、上記のように発熱した箇所が接触することによって使用者は発汗したり、かゆみを感じる場合があり、それらは不快感につながるおそれがある。
【0030】
これについて本実施形態では断熱材12が変形部材11の外表面を覆うように設けているため、発生した熱が使用者に伝熱することを抑制できる。よって、固定具100の使用時に生じ得る発汗やかゆみ等を抑制して不快感を低減させることができる。
【0031】
また、変形部材11は、第1変形剤111のような発泡剤と第2変形剤112のような重合開始材とを使用することによって、変形部材11を使用者の体型に合わせて様々な形状に変形させることができる。
【0032】
(第1実施形態の変形例)
図10は第1実施形態に係る固定具の変形例を示す斜視図である。第1実施形態では固定具100が前腕B1を固定する際の実施形態について説明したが、以下のように前腕B1以外の固定にも利用できる。
【0033】
固定具100aは、
図10に示すように頭部B2及び首部と接触する接触部10aを備える。接触部10aは、変形前の形状が
図3の接触部10とほぼ同様である。また、接触部10aは、第1実施形態の接触部10と同様に変形部材11及び断熱材12等の構成を有するため、同様の構成には同様の符号を用い、詳細な説明を省略する。
【0034】
固定具100aの使用方法は、以下の通りである。まず、第1横断方向Yにおいて頭部B2及び首部の一部を覆い、頭部B2及び首部よりも長さが長い変形部材11を含む固定具100aを用意する。次に、第1変形剤111と第2変形剤112とを混合して第1変形剤111を膨張変形可能な状態とする。
【0035】
次に、固定具100aを頭部B2のいずれかの位置、例えば後頭部付近に配置し、変形部材11の基部14から第1変形剤111を隆起させ、変形前よりも接触部10aが頭部B2及び首部の外表面と接触する範囲を増加させる。これにより、固定具100aによって頭部B2及び首部が固定される。
【0036】
なお、変形部材11が膨張変形する際に、変形部材11が意図しない形状に変形しないよう、
図10に示すように手指B3で固定具100aの端部等を把持してもよい。このように前腕B1以外に頭部B2及び首部等についても固定具100aを用いてしっかりと固定することができる。
【0037】
(第2実施形態)
図11〜
図15は第2実施形態に係る固定具の説明に供する図である。第1実施形態では前腕B1、第1実施形態の変形例では頭部B2及び首部を固定する実施形態について説明したが、上記以外にも例えば足B4の固定に利用することもできる。なお、以下において第1実施形態と同様の構成については同様の符号を用いて説明する。
【0038】
第2実施形態に係る固定具100bは、
図11、
図12に示すように変形部材11bを含み足B4と接触する接触部10bと、変形部材11bの形状を規制する規制部20と、接触部10bが足B4に接触した状態を保持する保持部30と、を有する。
【0039】
接触部10bは、第1実施形態と同様に変形部材11b及び断熱材12を有する。変形部材11bは、
図12、
図15に示すように第1実施形態の変形部材11と外形が異なるが、内部構造は同様であるため、詳細な説明を省略する。断熱材12は、第1実施形態と同様であるため、詳細な説明を省略する。なお、接触部10bの変形部材11bは、
図12に示すように足B4への形状付けが行い易いように予め足B4の外形に合わせて形成している。しかし、これに限定されず、第1実施形態の
図3と同様に偏平な直方体形状等で構成してもよい。
【0040】
規制部20は、第1変形剤111及び第2変形剤112の混合によって変形部材11が意図しない形状に変形しないように変形部材11の変形を規制する。規制部20は、接触部10bを設置する土台、基台、又はベースにあたる。規制部20は、
図12に示すように横方向横断部21と、端部包囲部22と、凹部23と、を有する。規制部20は、足B4等の部位を基準として接触部10bよりもさらに外方に配置している。
【0041】
横方向横断部21は、足B4等の人体を基準として放射方向において接触部10bの外方に配置し、接触部10bと接触する。端部包囲部22は、第1横断方向Yと直交する長手方向Xにおける足B4の端部にあたる踵付近において接触部10bよりも外方に配置し、接触部10bと接触する。凹部23は、接触部10bを設置する部位であり、本実施形態では横方向横断部21と端部包囲部22によって足B4の形状に近しい形状に形成している。しかし、足B4等を固定できればこれに限定されず、上記以外にも横方向横断部21のみによって構成してもよい。なお、規制部20は、例えばポリプロピレン等の材料から構成できる。
【0042】
また、規制部20は、変形部材11bの発泡時に発生する熱を放熱するために、横方向横断部21および端部包囲部22において、それぞれの厚さ方向に貫通する貫通孔(不図示)を有していてもよい。このとき、凹部23、横方向横断部21および端部包囲部22のそれぞれの外表面には、規制部20の貫通孔の端部の形状として開口部が形成される。このように構成することで、足B4を固定具100bによって固定する際に、固定具100bは、足B4と接触する接触部10bにおいて変形部材11bの発泡時に発生する熱を断熱材12により遮断する。また、断熱材12の外表面において足B4と接触していない箇所では変形部材11bの発泡時に発生する熱を凹部23に設けられた貫通孔を介することによって外部に効率的に放熱でき、使用者への伝熱をより抑制できる。
【0043】
さらに、規制部20の凹部23の表面は金属材料で形成されていてもよい。凹部23の表面に設けられる金属材料としては、熱伝導率の高い材料であれば特に限定されず、例えば、銅、アルミニウム、マグネシウム、チタン、ステンレス等が挙げられる。このように構成することで、固定具100bは、接触部10bの外表面における凹部23の表面に接する部位で、変形部材11bの発泡により発生した熱を凹部23の金属表面へ伝導させることができる。このため、変形部材11bの発泡により発生した熱を、凹部23の表面に設けられた金属材料が吸収することで、外部に効率的に放熱でき、使用者への伝熱をより抑制できる。なお、凹部23の表面に設けられる金属材料は、足B4の形状に倣って凹部23の表面全体に亘って設けられていてもよく、一部に設けられていてもよい。
【0044】
保持部30は、接触部10bの断熱材12が足B4と接触した状態を保持(維持)する。保持部30は、
図11等に示すように紐、帯、又はストラップ状の部材によって構成し、規制部20に取り付けている。保持部30は、
図11、
図13に示すように足B4等の部位を基準として接触部10bの断熱材12が足B4と接触する側とほぼ反対側に設けられる。
【0045】
第2実施形態に係る固定具100bの使用方法は以下の通りである。まず、
図11に示すように足B4の外表面の一部形状に倣い、しぼんだ状態の接触部10bを用意する。次に、収容部材114を破って第2変形剤112を第1変形剤111と混合し、第1変形剤111を膨張変形可能な状態とする。
【0046】
次に、接触部10bを規制部20の凹部23に設置し、足B4を接触部10bの上にセットする。次に、変形部材11bを足B4に合わせて形状づけする。なお、第2変形剤112と第1変形剤111の混合は、接触部10bを凹部23に設置した後に行なってもよい。
【0047】
本実施形態では、規制部20の凹部23に変形部材11bを含む接触部10bを設置し、かつ、接触部10bに足B4等を接触させた状態で変形部材11bを変形させている。上記のように凹部23は足B4に近しい形状に形成しているため、凹部23に変形部材11bを設置することにより、変形部材11bを足B4等の形状に合わせて容易に形状付けすることができる。
【0048】
また、固定具100bは、足B4等の外周において接触部10bの断熱材12が接触する側と反対側において断熱材12が足B4と接触した状態を保持する保持部30を備える。これにより、変形部材11が勢いよく変形した場合においても足B4等と断熱材12との接触が解除されるような事態を防止できる。
【0049】
なお、本実施形態は上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、特許請求の範囲において種々の変更が可能である。上記では前腕B1、頭部B2及び首部、足B4に固定具を使用する実施形態について説明したが、これに限定されない。上記以外にも上腕、腹部、大腿等に使用してもよい。
【0050】
また、発泡を開始させる第2変形剤112は変形部材11を構成する収容部材114の内部に設ける実施形態について説明したが、これに限定されない。上記以外にも発泡の直前に変形部材11の外部から第2変形剤112を注入するように構成してもよい。
【0051】
また、上記では第1変形剤111及び第2変形剤112を混合することによって第1変形剤111が液体から固体に変化する実施形態について説明したが、これに限定されない。上記以外にもシリコン等のような材料に重合開始剤を混合することによってゲル等のように混合前よりも流体の粘度を高めた状態に変化させてもよい。
【0052】
また、変形部材11を構成する収容部材113の内部に第1変形剤111を収容する実施形態について説明したが、これに限定されない。硬化後の形状を想定して収容部材113の内部に第1変形剤111を分散させる流路を設けてもよい。
【0053】
また、上記では固定具100等をカテーテル導入時等の医療現場にて使用する実施形態について説明したが、これに限定されない。上記以外にも家庭での在宅時や自動車乗車時等において頭部B2等を固定する際に利用してもよい。
【0054】
また、第1実施形態及び第1実施形態の変形例における固定具100、100aは接触部10を有し、第2実施形態の固定具100bのように規制部20及び保持部30を備えない実施形態について説明したが、これに限定されない。上記以外にも第2実施形態の固定具100bと同様に規制部20及び保持部30を備えるように構成してもよい。