特許第6804312号(P6804312)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6804312
(24)【登録日】2020年12月4日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】浴室ユニットの施工方法
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/122 20060101AFI20201214BHJP
   E03C 1/28 20060101ALI20201214BHJP
   E04H 1/12 20060101ALN20201214BHJP
【FI】
   E03C1/122 Z
   E03C1/28 B
   !E04H1/12 301
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-7986(P2017-7986)
(22)【出願日】2017年1月19日
(65)【公開番号】特開2018-115510(P2018-115510A)
(43)【公開日】2018年7月26日
【審査請求日】2019年9月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】302045705
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】飯尾 和典
(72)【発明者】
【氏名】堀江 直也
【審査官】 津熊 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−063163(JP,A)
【文献】 特開2010−270533(JP,A)
【文献】 特開2016−146927(JP,A)
【文献】 特開平11−131837(JP,A)
【文献】 特開平03−008980(JP,A)
【文献】 特開2013−227844(JP,A)
【文献】 特開2003−210351(JP,A)
【文献】 実開平05−067759(JP,U)
【文献】 特開2016−151150(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第10014044(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/122
E03C 1/28
E04H 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽に湯を溜め、前記浴槽に連結された排水部によって前記浴槽から湯を排出可能とし、前記排水部の上流側にトラップ部を有する浴室ユニットの施工方法において、
前記浴槽を支持する架台を設置する第1工程と、
前記排水部の下流側端部を建築側排水口に連結し、前記トラップ部を含めて前記排水部を前記架台の内側に配設する第2工程と、
前記排水部の上方に位置するように前記浴槽を前記架台に載置する第3工程と、
前記トラップ部を前記浴槽に設けられた排水口に連結する第4工程と、
を備えることを特徴とする浴室ユニットの施工方法。
【請求項2】
湯を溜める浴槽の下方側が浴槽パンによって覆われており、前記浴槽に連結された排水部によって前記浴槽から湯を排出可能としてある浴室ユニットの施工方法において、
前記浴槽を支持する架台を設置する第1工程と、
外部排水管を建築側排水口に連結し、前記外部排水管を前記架台の内側に配設する第2工程と、
前記外部排水管の上方に位置するように前記浴槽パンを前記架台に載置する第3工程と、
前記排水部の下流側端部を前記外部排水管に連結し、前記排水部を前記浴槽パンの内側に配設する第4工程と、
前記排水部の上方に位置するように前記浴槽を前記架台に載置する第5工程と、
前記排水部の上流側端部を前記浴槽に設けられた排水口に連結する第6工程と、
を備えることを特徴とする浴室ユニットの施工方法。
【請求項3】
前記下流側端部と前記上流側端部との間にトラップ部が組み込まれていることを特徴とする請求項に記載の浴室ユニットの施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室ユニットの施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、専らシャワー装置から吐出される湯水を浴び、浴槽に溜めた湯に浸かることなく入浴を行う生活様式が見られるようになってきた。このような生活様式に合わせて、シャワー装置から吐出された湯水を受ける防水パンと、該防水パンを囲繞するように配設された壁部とを備えるコンパクトな浴室ユニットが考案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、入浴可能な深さに湯を溜めることができる深型の防水パンを有し、防水パンの周縁部に配設された壁部もしくは天井部にシャワー装置を設けた浴室ユニットが開示されている。防水パンは、内部に湯を落とし込むための給湯手段を有しており、湯を溜めるための浴槽として機能する。防水パンには、給湯手段のほか、排水栓およびオーバーフロー用排水口が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平03−029088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の浴室ユニットは、排水栓およびオーバーフロー用排水口からの排水を建築側排水口へ流す排水部を防水パン下に設ける必要がある。特許文献1には排水栓が設けられているだけであり、それ以外の排水部に関する記述が見られないものの、防水パン下の狭い空間で排水部を防水パンや建築側排水口へ連結させる組立作業は、施工方法に拠っては困難となり、手間がかかってしまうという問題点があった。
【0006】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、浴槽および排水部の組立作業を容易に行うことができる浴室ユニットの施工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る浴室ユニットの施工方法は、浴槽に湯を溜め、前記浴槽に連結された排水部によって前記浴槽から湯を排出可能としてある浴室ユニットの施工方法において、前記浴槽を支持する架台を設置する第1工程と、前記排水部の下流側端部を建築側排水口に連結し、前記排水部を前記架台の内側に配設する第2工程と、前記排水部の上方に位置するように前記浴槽を前記架台に載置する第3工程と、前記排水部の上流側端部を前記浴槽に設けられた排水口に連結する第4工程と、を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明にあっては、浴室ユニットは浴槽に湯を溜め、浴槽に連結された排水部によって浴槽から湯を排出可能としてある。浴室ユニットの施工方法は、第1工程により、浴槽を支持する架台を設置し、第2工程により、排水部の下流側端部を建築側排水口に連結し、排水部を架台の内側に配設する。浴室ユニットの施工方法は、第3工程により、排水部の上方に位置するように浴槽を架台に載置し、第4工程により、排水部の上流側端部を浴槽に設けられた排水口に連結する。これにより、浴室ユニットの施工方法は、浴槽および排水部の組立作業を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、浴室ユニットの施工方法は、浴槽および排水部の組立作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態1に係る浴室ユニットの外観を示す斜視図である。
図2】本発明の実施形態1に係る浴室ユニット内の外観を示す斜視図である。
図3】シャワー装置の正面図である。
図4図4(a)および(b)は本発明の実施形態1に係る浴室ユニットの施工方法における途中工程を示す模式図である。
図5図5(a)および(b)は本発明の実施形態1に係る浴室ユニットの施工方法における他の途中工程を示す模式図である。
図6図6(a)および(b)は本発明の実施形態1に係る浴室ユニットの施工方法における他の途中工程を示す模式図である。
図7】本発明の実施形態2に係る浴室ユニットの浴槽部の分解斜視図である。
図8図8(a)および(b)は本発明の実施形態2に係る浴室ユニットの施工方法における途中工程を示す模式図である。
図9図9(a)および(b)は本発明の実施形態2に係る浴室ユニットの施工方法における他の途中工程を示す模式図である。
図10図10(a)および(b)は本発明の実施形態2に係る浴室ユニットの施工方法における他の途中工程を示す模式図である。
図11図11(a)および(b)は本発明の実施形態2に係る浴室ユニットの施工方法における他の途中工程を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図1から図11を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0012】
(実施形態1)
図1は本発明の実施形態1に係る浴室ユニット100の外観を示す斜視図、図2は本発明の実施形態1に係る浴室ユニット100内の外観を示す斜視図である。浴室ユニット100は、壁部51、天井52、扉6、シャワー装置7、および浴槽部1等を有する。浴室ユニット100は、図1に示すように壁90および床91等により区画された屋内空間において床91上に設置される。浴槽部1は、湯を溜めることができる浴槽10の周縁部10aに配設された壁部51によって、周囲が覆われ、上方を天井52によって覆われている。扉6は、壁部51の一部に設けられており、開閉可能である。
【0013】
浴槽部1は、壁部51および扉6によって外部から遮蔽されている。入浴者は、扉6を開状態にして浴槽10内に移動し、扉6を閉状態にしてシャワー装置7から吐出される湯を浴び、浴槽10に溜めた湯に浸かって入浴することができる。尚、浴室ユニット100は、浴槽部1の側方に洗い場床が設けられておらず、浴槽10内で入浴が行われるものである。
【0014】
図3はシャワー装置7の正面図である。シャワー装置7は、吐水横バー71、縦ガイドバー72、シャワーヘッド73を有する。吐水横バー71は、水平方向を軸方向とする棒状であり、浴槽部1の上方の壁面51aに取付けられている。吐水横バー71は、軸方向の所定長さに亘って、細かな吐水孔を点在させた吐水部71aを有する。吐水部71aの軸方向の長さは、例えばユーザの肩幅程度とする。吐水部71aは、浴槽部1に着座した入浴者の両肩に当たるように湯を浴びせる。吐水横バー71は軸まわりに回転可能であり、回転させることで吐水部71aの角度を上下方向に変えることができる。
【0015】
縦ガイドバー72は、上下方向を軸方向とする棒状であり、吐水横バー71の一端部から上方に延びる。縦ガイドバー72は、軸方向に摺動可能なスライド部材72aを有する。スライド部材72aは、水平方向を軸方向とする棒状であり、一端部が縦ガイドバー72に摺動可能に取り付けられており、任意の高さ位置で保持することができる。スライド部材72aの他端部には、シャワーヘッド73を掛けるフック72bが設けられている。シャワーヘッド73は、フック72bに着脱可能である。
【0016】
シャワー装置7は、吐水横バー71の一端部に設けた切替水量調節つまみ74aによって、吐水横バー71またはシャワーヘッド73のいずれか一方からの吐水を切り替え、水量を調節することができる。またシャワー装置7は、吐水横バー71の他端部に設けた温度調節つまみ74bによって、吐出する水の温度を調節することができる。
【0017】
浴槽10は、上端開口が平面視矩形の深皿状であり、湯を排水するための排水栓21、湯を供給するための吐水具22、水位が上昇したときに湯を排水するためのオーバーフロー栓23等が取り付けられる。排水栓21、吐水具22およびオーバーフロー栓23は、浴槽部1における給排水のために機能する部品であり、これらの部品を機能部品2と呼ぶこととする。浴槽10は、排水栓21、吐水具22およびオーバーフロー栓23等の機能部品2が配設される位置に表裏を貫通する貫通孔が形成されており、該貫通孔の縁部に機能部品2が取り付けられ、機能部品2に配管が接続される。
【0018】
排水栓21は、浴槽10の底部10bに設けられており、下水道側へ接続される。吐水具22は、浴槽10の周縁部10aに設けられており、給水管および給湯装置へ接続される。オーバーフロー栓23は、浴槽10の内側面における上部に設けられており、下水道側へ接続される。
【0019】
次に実施形態1に係る浴室ユニット100の施工方法について説明する。図4(a)および(b)は、本発明の実施形態1に係る浴室ユニット100の施工方法における途中工程を示す模式図である。浴室ユニット100の施工方法は、浴槽10を支持する架台81を設置する第1工程と、排水部3の下流側端部を建築側排水口92に連結し、排水部3を架台81の内側に配設する第2工程とを備える。
【0020】
図4(a)に示すように、第1工程において、床91上に架台81を設置する。架台81は、直方体状のフレーム構造体であり、脚部81aを四隅および内側の4か所の計8か所に有する。脚部81aは高さ調整機構を有しており、四隅等での脚部81aに浮きが生じないように脚部81aの高さを調整する。次に第2工程において、建築側排水口92に排水部3の下流側端部を連結し、排水部3を架台81の内側に配設する。第1工程および第2工程によって、浴室ユニット100は、図4(b)に示す状態まで組み立てられる。
【0021】
排水部3は、排水管部30、トラップ部31、オーバーフロー配管33を備える。排水管部30の一端部30aは、本発明における下流側端部に相当しており、建築側排水口92に連結される。排水管部30の他端部はトラップ部31に連結される。トラップ部31は、浴槽10の排水栓21に連結される受け口31aを有し、浴槽10からの排水を排水管部30へ流す。トラップ部31は、内部に水が溜まった状態を保ち、排水経路を排水で封じる。オーバーフロー配管33は、トラップ部31に連結されており、一端部33aがオーバーフロー栓23に連結される。トラップ部31の受け口31aは、本発明における上流側端部に相当する。
【0022】
図5(a)および(b)は、本発明の実施形態1に係る浴室ユニット100の施工方法における他の途中工程を示す模式図である。浴室ユニット100の施工方法は、第2工程に続いて、排水部3の上方に位置するように浴槽10を架台81に載置する第3工程を備える。
【0023】
図5(a)に示すように、第3工程において、浴槽10を架台81の上方から下降させて、浴槽10が排水部3の上方に位置するように架台81に載置する。排水部3におけるトラップ部31の受け口31aは、浴槽10の底部10bに設けられた排水口10cに対応する位置に配設される。この第3工程に付随して、架台81の四隅に支柱82を立てる。第3工程によって、浴室ユニット100は、図5(b)に示す状態まで組み立てられる。
【0024】
図6(a)および(b)は、本発明の実施形態1に係る浴室ユニット100の施工方法における他の途中工程を示す模式図である。浴室ユニット100の施工方法は、第3工程に続いて、排水部3の上流側端部を浴槽10の排水口10cに連結する第4工程を備える。
【0025】
図6(a)に示すように、第4工程において、浴槽10の排水口10cの上方からフランジ10dを下降させ、フランジ10dの外周側部に設けた雄ねじを、トラップ部31の受け口31aの内周側部に設けた雌ねじに螺合させる。排水口10cは、縁部にパッキン等を配設することによって、浴槽10からの水漏れが生じないように水密に封止する。トラップ部31は、フランジ10dの取付時に浴槽10側へ引き上げられ、受け口31aが排水口10cに設けたパッキン等に密着し、トラップ部31からの水漏れが生じないように水密に封止される。第4工程によって、浴室ユニット100は、図6(b)に示す状態に組み立てられる。尚、排水栓21は、フランジ10dの上方を覆うように浴槽10に取り付けられる。
【0026】
浴室ユニット100は、第4工程に続いて、吐水具22、オーバーフロー栓23、壁部51、天井52、扉6、およびシャワー装置7を取り付けることによって組み上がる。
【0027】
次に実施形態1に係る浴室ユニット100の施工方法による作用を説明する。浴室ユニット100の施工方法は、第1工程により架台81を床91上に設置し、第2工程により排水部3を架台81の内側に配設する。作業者は、排水管部30の一端部30aを建築側排水口92に連結させる作業を、浴槽10が無い状態で上方から行えるため、作業性が良く容易に連結作業を行うことができる。
【0028】
浴室ユニット100の施工方法は、第3工程により浴槽10を架台81に載置する。この第3工程によって、浴槽10は排水部3の上方に位置することになり、浴槽10の排水口10cと、排水部3におけるトラップ部31の受け口31aとが対応する位置に配設される必要がある。作業者は、浴槽10の排水口10cからトラップ部31を目視することによって、排水口10cと受け口31aが対応する位置にあるか確認することができる。また、作業者は、浴槽10の側方からもトラップ部31および浴槽10の排水口10cの位置を目視することもできる。尚、浴槽10は、架台81への載置の際に水平方向の位置が調整可能であるようにしてもよい。
【0029】
浴室ユニット100の施工方法は、第4工程により排水部3におけるトラップ部31の受け口31aを浴槽10の排水口10cに連結する。作業者は、フランジ10dを排水口10cの上方から受け口31aに螺合させることにより、受け口31aと排水口10cとの連結作業が行えるので、作業性がよく容易に連結作業を行うことができる。このように浴室ユニット100の施工方法は、第1工程から第4工程によって浴槽10および排水部3の組立作業を容易に行うことができる。
【0030】
次に実施形態1に係る浴室ユニット100の施工方法の特徴を説明する。
実施形態1に係る浴室ユニット100は、浴槽10に湯を溜め、浴槽10に連結された排水部3によって浴槽10から湯を排出可能としてある。浴室ユニット100の施工方法は、第1工程により、浴槽10を支持する架台81を設置し、第2工程により、排水部3の下流側端部である排水管部30の一端部30aを建築側排水口92に連結し、排水部3を架台81の内側に配設する。浴室ユニット100の施工方法は、第3工程により排水部3の上方に位置するように浴槽10を架台81に載置し、第4工程により排水部3の上流側端部であるトラップ部31の受け口31aを浴槽10に設けられた排水口10cに連結する。これにより、浴室ユニット100の施工方法は、浴槽10および排水部3の組立作業を容易に行うことができる。
【0031】
また浴室ユニット100は、トラップ部31によって、排水部3における下流側端部である排水管部30の一端部30aと、上流側端部であるトラップ部31の受け口31aとの間を部分的に排水によって封じる。これにより、例えば建築側排水口92の更に下流側等にトラップ部を別途配置する手間がかからず、浴室ユニット100の施工方法は、浴槽10および排水部3の組立作業を容易に行うことができる。
【0032】
(実施形態2)
図7は本発明の実施形態2に係る浴室ユニット100の浴槽部1の分解斜視図である。浴槽部1は、浴槽10、浴槽パン11、排水部3、給湯給水配管4を備える。浴槽10は、上述のように排水栓21、吐水具22およびオーバーフロー栓23等の機能部品2が取り付けられている。
【0033】
浴槽パン11は、上端が開口した矩形の箱状であり、浴槽10の下方および側方を覆う。浴槽パン11の上端部11aは、浴槽10の周縁部10aに接続される。浴槽パン11の上端部11aと、浴槽10の周縁部10aとは水密に接続されていてもよい。浴槽パン11は、底部11bの内側に排水部3が配設されており、底部11bより一段高い段部11cが設けられており、段部11cの下方の外部に後述する外部排水管35が配設されている。
【0034】
排水部3は、排水管部30、トラップ部31、パン内排水管32、およびオーバーフロー配管33を有する。排水管部30は、一端部30aが外部排水管35に連結されており、他端部がトラップ部31に連結される。トラップ部31は、浴槽10の排水栓21から排出された水を排水管部30へ流す。尚、排水管部30およびトラップ部31は、一体的に形成されていてもよいし、別体として形成されていてもよい。
【0035】
トラップ部31には、パン内排水管32およびオーバーフロー配管33が連結されている。パン内排水管32は、一端部がトラップ部31に連結され、他端部に逆止弁32aを有する。逆止弁32aは、浴槽パン11内部に溜まった水がパン内排水管32へ流入することを許容するが、パン内排水管32の中から浴槽パン11内部への水の流出を遮断する。尚、オーバーフロー配管33は、実施形態1と同様であり、記載の簡潔化のため説明を省略する。
【0036】
給湯給水配管4は、2本が設けられており、一方が給湯用、他方が給水用であり、一端部が吐水具22に連結され、浴槽パン11を内外に貫通する貫通孔に設けた取付部41を通して浴槽パン11外部に引き出され、他端部が図示しない給湯装置に接続される。吐水具22から浴槽10へ供給される湯は、吐水具22のハンドル部の操作による湯および水の開度に従って温度が設定される。給湯給水配管4から吐水具22へ供給される湯の温度や水量は、該給湯装置によって制御されており、適宜、入浴者が設定可能であるものとする。
【0037】
浴槽10は、排水栓21、吐水具22およびオーバーフロー栓23等の機能部品2が配設される位置において内外に貫通する貫通孔が設けられている。貫通孔は、パッキン等により、浴槽10から水漏れが生じないように水密に封止されている。それらの貫通孔において、経年劣化等の要因でパッキン等による封止性能が低下して浴槽10からの漏水が生じても、浴槽10の下方および側方を覆うように設けた浴槽パン11で水を受け止めるため、床91への水の流出を防止することができる。また、排水部3が浴槽パン11の内部に設けられているため、排水部3からの漏水が生じても、浴槽パン11で水を受け止め、床91への水の流出を防止することができる。
【0038】
次に実施形態2に係る浴室ユニット100の施工方法について説明する。図8(a)および(b)は、本発明の実施形態2に係る浴室ユニット100の施工方法における途中工程を示す模式図である。浴室ユニット100の施工方法は、浴槽10を支持する架台81を設置する第1工程と、外部排水管35を建築側排水口92に連結し、外部排水管35を架台81の内側に配設する第2工程とを備える。尚、浴室ユニット100の施工方法において、記載の簡潔のため、給湯給水配管4の取付および連結作業については記載を省略する。
【0039】
図8(a)に示すように、第1工程において、床91上に架台81を設置する。架台81は、直方体状のフレーム構造体であり、脚部81aを四隅および内側の4か所の計8か所に有する。脚部81aは高さ調整機構を有しており、四隅等での脚部81aに浮きが生じないように脚部81aの高さを調整する。次に第2工程において、建築側排水口92に外部排水管35を連結し、外部排水管35を架台81の内側に配設する。第1工程および第2工程によって、浴室ユニット100は、図8(b)に示す状態まで組み立てられる。
【0040】
図9(a)および(b)は、本発明の実施形態2に係る浴室ユニット100の施工方法における他の途中工程を示す模式図である。浴室ユニット100の施工方法は、第2工程に続いて、外部排水管35の上方に位置するように浴槽パン11を架台81に載置する第3工程と、排水部3の下流側端部を外部排水管35に連結し、排水部3を浴槽パン11の内側に配設する第4工程とを備える。
【0041】
図9(a)に示すように、第3工程において、浴槽パン11を架台81の上方から下降させて、浴槽パン11が外部排水管35の上方に位置するように架台81に載置する。続いて第4工程において、排水部3の下流側端部を外部排水管35に連結し、排水部3を浴槽パン11の内側に配設する。
【0042】
排水管部30の一端部30aは、本発明における下流側端部に相当しており、外部排水管35に連結される。排水管部30の他端部はトラップ部31に連結される。トラップ部31の受け口31aは、本発明における上流側端部に相当する。トラップ部31の受け口31aは、浴槽10の排水口10cに対応する位置に配設される。この第3工程および第4工程によって、浴室ユニット100は、図9(b)に示す状態まで組み立てられる。
【0043】
図10(a)および(b)は、本発明の実施形態2に係る浴室ユニット100の施工方法における他の途中工程を示す模式図である。浴室ユニット100の施工方法は、第4工程に続いて、排水部3の上方に位置するように浴槽10を架台81に載置する第5工程を備える。
【0044】
図10(a)に示すように、第5工程において、浴槽10を架台81の上方から下降させて、浴槽10が排水部3の上方に位置するように架台81に載置する。このとき、浴槽パン11の上端部11aは、浴槽10の周縁部10aに接続される。浴槽パン11の上端部11aと、浴槽10の周縁部10aとは水密に接続されていてもよい。浴槽10の下方および側方は、浴槽パン11によって覆われる。排水部3におけるトラップ部31の受け口31aは、浴槽10の排水口10cに対応する位置に配設される。この第5工程に付随して、架台81の四隅に支柱82を立てる。第5工程によって、浴室ユニット100は、図10(b)に示す状態まで組み立てられる。
【0045】
図11(a)および(b)は、本発明の実施形態2に係る浴室ユニット100の施工方法における他の途中工程を示す模式図である。浴室ユニット100の施工方法は、第5工程に続いて、排水部3の上流側端部を浴槽10に設けられた排水口10cに連結する第6工程を備える。
【0046】
図11(a)に示すように、第6工程において、浴槽10の排水口10cの上方からフランジ10dを下降させ、フランジ10dの外周側部に設けた雄ねじを、トラップ部31の受け口31aの内周側部に設けた雌ねじに螺合させる。排水口10cは、縁部にパッキン等を配設することによって、浴槽10からの水漏れが生じないように水密に封止する。トラップ部31は、フランジ10dの取付時に浴槽10側へ引き上げられ、受け口31aが排水口10cに設けたパッキン等に密着し、トラップ部31からの水漏れが生じないように水密に封止される。第6工程によって、浴室ユニット100は、図11(b)に示す状態に組み立てられる。尚、排水栓21は、フランジ10dの上方を覆うように浴槽10に取り付けられる。
【0047】
浴室ユニット100は、第6工程に続いて、吐水具22、オーバーフロー栓23、壁部51、天井52、扉6、およびシャワー装置7を取り付けることによって組み上がる。
【0048】
次に実施形態2に係る浴室ユニット100の施工方法による作用を説明する。浴室ユニット100の施工方法は、第1工程により架台81を床91上に設置し、第2工程により外部排水管35を架台81の内側に配設する。作業者は、外部排水管35を建築側排水口92に連結させる作業を、浴槽10および浴槽パン11が無い状態で上方から行えるため、作業性が良く容易に連結作業を行うことができる。
【0049】
浴室ユニット100の施工方法は、第3工程により浴槽パン11を架台81に載置し、第4工程により排水部3の下流側端部を外部排水管35に連結し、排水部3を浴槽パン11の内側に配設する。排水管部30の一端部30aを外部排水管35に連結する作業は、浴槽パン11の上方から目視しつつ、浴槽パン11の上方および側方から行えるので、作業性が良く容易に連結作業を行うことができる。
【0050】
浴室ユニット100の施工方法は、第5工程により浴槽10を架台81に載置する。この第5工程によって、浴槽10は排水部3の上方に位置することになり、浴槽10の排水口10cと、排水部3におけるトラップ部31の受け口31aとが対応する位置に配設される必要がある。作業者は、浴槽10の排水口10cからトラップ部31を目視することによって、排水口10cと受け口31aが対応する位置にあるか確認することができる。尚、浴槽10は、架台81への載置の際に水平方向の位置が調整可能であるようにしてもよい。
【0051】
浴室ユニット100の施工方法は、第6工程により排水部3におけるトラップ部31の受け口31aを浴槽10の排水口10cに連結する。作業者は、フランジ10dを排水口10cの上方から受け口31aに螺合させることにより、受け口31aと排水口10cとの連結作業が行えるので、作業性がよく容易に連結作業を行うことができる。このように浴室ユニット100の施工方法は、第1工程から第6工程によって浴槽10および排水部3の組立作業を容易に行うことができる。
【0052】
次に実施形態2に係る浴室ユニット100の施工方法の特徴を説明する。
実施形態2に係る浴室ユニット100は、湯を溜める浴槽10の下方側が浴槽パン11によって覆われており、浴槽10に連結された排水部3によって浴槽10から湯を排出可能としてある。浴室ユニット100の施工方法は、第1工程により、浴槽10を支持する架台81を設置し、第2工程により、外部排水管35を建築側排水口92に連結し、外部排水管35を架台81の内側に配設する。浴室ユニット100の施工方法は、第3工程により、外部排水管35の上方に位置するように浴槽パン11を架台81に載置し、第4工程により、排水部3の下流側端部である排水管部30の一端部30aを外部排水管35に連結し、排水部3を浴槽パン11の内側に配設する。浴室ユニット100の施工方法は、第5工程により、排水部3の上方に位置するように浴槽10を架台81に載置し、第6工程により、排水部3の上流側端部であるトラップ部31の受け口31aを浴槽10に設けられた排水口10cに連結する。これにより、浴室ユニット100の施工方法は、浴槽10および排水部3の組立作業を容易に行うことができる。
【0053】
また浴室ユニット100は、トラップ部31によって、排水部3における下流側端部である排水管部30の一端部30aと、上流側端部であるトラップ部31の受け口31aとの間を部分的に排水によって封じる。これにより、例えば建築側排水口92の更に下流側等にトラップ部を別途配置する手間がかからず、浴室ユニット100の施工方法は、浴槽10および排水部3の組立作業を容易に行うことができる。
【0054】
上述の実施形態1および2においては、排水部3にトラップ部31を設ける構成としているが、排水部3にトラップ部31を設けず、排水部3の配管経路中に浴槽10の排水口10cからの排水を受ける受け口を設けるようにしてもよい。この場合、例えば建築側排水口92の下流側等にトラップ部が設けられていてもよい。
【0055】
また、浴槽10は、上端開口の形状を平面視矩形状としているが、各辺部分を曲線状とするものであってもよい。また、浴室ユニット100に設ける扉6は、引戸や折戸などの扉として開閉できるものであればよい。
【0056】
以上、本発明の実施の形態をもとに説明した。これらの実施の形態は例示であり、いろいろな変形および変更が本発明の特許請求範囲内で可能なこと、またそうした変形例および変更も本発明の特許請求の範囲にあることは当業者に理解されるところである。従って、本明細書での記述および図面は限定的ではなく例証的に扱われるべきものである。
【符号の説明】
【0057】
10 浴槽、 10c 排水口、 11 浴槽パン、 3 排水部、
30a 一端部(下流側端部)、 31 トラップ部、
31a 受け口(上流側端部)、 35 外部排水管、
81 架台、 92 建築側排水口、 100 浴室ユニット。
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