特許第6804313号(P6804313)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6804313飛行作業体、および、それを用いた作業システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6804313
(24)【登録日】2020年12月4日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】飛行作業体、および、それを用いた作業システム
(51)【国際特許分類】
   B64C 37/00 20060101AFI20201214BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20201214BHJP
   B64D 47/08 20060101ALI20201214BHJP
   B62D 57/02 20060101ALI20201214BHJP
【FI】
   B64C37/00
   B64C39/02
   B64D47/08
   B62D57/02 N
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-9145(P2017-9145)
(22)【出願日】2017年1月23日
(65)【公開番号】特開2018-118525(P2018-118525A)
(43)【公開日】2018年8月2日
【審査請求日】2019年8月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】波田野 利昭
(72)【発明者】
【氏名】服部 誠
【審査官】 長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−199902(JP,A)
【文献】 特開2016−211878(JP,A)
【文献】 特開2016−026946(JP,A)
【文献】 特開2015−223995(JP,A)
【文献】 米国特許第08794566(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 37/00
B62D 57/02
B64C 39/02
B64D 47/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井面を接触移動して作業を行う飛行作業体であって、
天井面に接触する接触部を備えた天井面接触ユニットと、
該天井面接触ユニットの下方に設けられ、飛行のための推進部を備えた飛行ユニットと、
上方の前記天井面接触ユニットと下方の前記飛行ユニットを接続するとともに、少なくとも1軸方向以上の回転自由度を有する接続部と、
を具備し、
前記天井面接触ユニットの前記接触部は、
自走用アクチュエータを設けていない3輪以上の車輪を用いた台車構造であり、
前記車輪の車軸の向きを制御することで天井面を接触移動する際の進行方向を制御する操舵手段を備え
前記接続部は、前記天井面接触ユニットの主たる進行方向と直交するように両ユニットを連結する固定ピンからなる回転軸であることを特徴とする飛行作業体。
【請求項2】
請求項1に記載の飛行作業体において、
前記接続部は、少なくとも1つ以上の弾性体を用いたものであることを特徴とする飛行作業体。
【請求項3】
請求項1または2に記載の飛行作業体において、
前記接触部に用いる車輪の接地面を正面視したときの曲率を、湾曲天井面の曲率に近似させたことを特徴とする飛行作業体。
【請求項4】
請求項1または2に記載の飛行作業体において、
前記接触部に用いる車輪を、湾曲天井面に対し、法線方向を向くように傾けたことを特徴とする飛行作業体。
【請求項5】
請求項1ないしの何れか一項に記載の飛行作業体をコントローラで操作する作業システムであって、
前記飛行作業体にはカメラが搭載されており、
前記コントローラに接続されたモニタには、前記カメラが撮影した映像が表示されることを特徴とする作業システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下水管路等の構造物の天井面を接触移動しながら、点検、調査、補修等の作業を行う飛行作業体、および、それを用いた作業システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
天井面を接触移動しながら点検作業等を行う飛行作業体の従来技術として、特許文献1や非特許文献1等が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1の特許請求の範囲や図12には、「飛行体本体の主たる進行方向に垂直となるように取り付けた車軸と、前記飛行体本体の中心に配置した1個の推進部または前記主たる進行方向に対して左右対称に配置される複数の推進部と、前記車軸に回転可能で前記飛行体本体を立体的に包み込む車輪と、を備えた飛行体において、前記車輪と走行する面との接触面積を増すこと、または前記車輪の前記面への押圧力を増やすことにより、前記車輪と前記面との摩擦力を大きくしたことを特徴とする飛行体」が開示されている。
【0004】
また、非特許文献1には、プロペラをダクトで覆ったダクテッドファンの空気取り込み口に生じる負圧を利用し、検査対象物に直接張り付きながら天井面または垂直面を自走し、強烈な突風が吹くなど独特の環境下においても、安定した壁面検査を行うことができる自走式張り付き型ドローンが開示されており、自走に関する仕様として、「張り付き検査時自走用車輪×6」、「最大速度:5km/h(検査時の自走速度)」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016−120809号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】株式会社プロドローン、“天井面・垂直壁面両方の検査が可能な自走式張り付き型ドローン「PD6-CI-L」を開発”、[online]、平成28年9月7日、株式会社プロドローン、[平成28年10月26日検索]、インターネット<URL:https://www.prodrone.jp/archives/1400/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の飛行体は、天井面を接触移動する場合、左右車輪の各一点のみで天井面と接触する構成のため、前後方向の姿勢が不安定となり、また、トンネルのような湾曲天井面を直進する場合、少しでも直進方向から外れると、湾曲天井面の周方向に向ける力が車輪に作用するため、飛行体が左右に蛇行しやすく、直進が困難になるという問題があった。
【0008】
また、非特許文献1の自走式張り付き型ドローンは、6つの駆動輪のうち、4つの駆動輪を天井または壁面に接触させた状態で検査を行う構成のため、安定した接触移動、安定した検査を実現できるが、全ての自走輪に自走用アクチュエータを設ける必要があるため、総重量が増加し、最大ペイロードが小さくなるという問題がある。また、自走検査中は自走用アクチュエータが常時駆動されるため、消費電力が大幅に増え、ドローンの駆動時間が短くなるという問題がある。さらに、6つのファンと6つの自走輪を備えた小型化困難な構成であるため、φ600mm程度のマンホールが出入口となる下水管路等、狭い空間での使用が難しいという問題もあった。
【0009】
本発明の目的は、天井面を安定して接触移動でき、安定した点検、調査、補修等の作業を、エネルギー効率良く実現する、小型化容易な構成の飛行作業体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために本発明の飛行作業体は、天井面を接触移動して作業を行う飛行作業体であって、天井面に接触する接触部を備えた天井面接触ユニットと、該天井面接触ユニットの下方に設けられ、飛行のための推進部を備えた飛行ユニットと、上方の前記天井面接触ユニットと下方の前記飛行ユニットを接続するとともに、少なくとも1軸方向以上の回転自由度を有する接続部と、を具備し、前記天井面接触ユニットの前記接触部は、自走用アクチュエータを設けていない3輪以上の車輪を用いた台車構造であり、前記車輪の車軸の向きを制御することで天井面を接触移動する際の進行方向を制御する操舵手段を備え、前記接続部は、前記天井面接触ユニットの主たる進行方向と直交するように両ユニットを連結する固定ピンからなる回転軸であるものとした。
【発明の効果】
【0011】
本発明の飛行作業体によれば、自走用アクチュエータを用いることなく安定した接触移動と進行方向制御ができるので、飛行作業体の重量や消費エネルギーを抑制しつつ、天井面等に対し安定した点検、調査、補修等の作業を実現することができる。上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施例の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施例1の飛行作業体による下水管路内点検動作の概略図。
図2】実施例1の飛行作業体の側面図。
図3】実施例1の飛行作業体の天井面接触ユニットの上面図。
図4】実施例1の飛行作業体が天井面を接触移動する状態を示した側面図。
図5】実施例1の飛行作業体の天井面接触ユニットの変形例1の上面図。
図6】実施例1の飛行作業体の天井面接触ユニットの変形例2の上面図。
図7】天井面曲率と同等曲面を有する車輪を用いた、変形例3の飛行作業体の正面図。
図8】車輪にキャンバー角を付けた、変形例3の飛行作業体の正面図。
図9】実施例2の飛行作業体の側面図。
図10】実施例2の飛行作業体の変形例の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を用いて、本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0014】
始めに、図1の概略図を用いて、実施例1の飛行作業体10を用いた点検システム1の概要を説明する。なお、図1では、下水管路の平坦な天井面の点検作業を例示するが、雨水貯留管、共同溝、トンネル、橋梁下等の他の構造物の天井面の点検に、本発明の飛行作業体を用いても良い。また、本発明における天井面とは、構造物内部の上側の面であって、重力ベクトルが面外を向いている面のことである。例えば、下水管路のような円管の場合、重力方向に対して垂直な面より上部の円管上半面全てを天井面とする。また、該天井面の形状は、平坦に限らず、傾斜面、湾曲面や凹凸面を含み、不連続面が含まれていても良い。さらに、飛行作業体に、天井面等の補修に用いる補修装置を付加した構成としても良い。
【0015】
図1に示すように、本実施例の点検システム1は、主に、飛行作業体10とコントローラ5からなる。飛行作業体10は、φ600mm程度のマンホールを通過できる小型のものである。小型化を実現するための構成の詳細は後述する。また、コントローラ5は、飛行作業体10との間で信号を送受信する通信アンテナ7と、この通信アンテナ7を介して受信した飛行作業体10からの管内映像、環境データを表示する表示部(モニタ6)と、を有しており、点検作業員はモニタ6を見ながら飛行作業体10を操作できる。
【0016】
この点検システム1を用いて下水管路2を点検するには、例えば、図1の黒塗り矢印で示すように、飛行作業体10を、第1マンホール3から下水管路2内に侵入させ、天井面を接触移動させながら下水管路2の内壁や下水管路2内の環境をモニタリング(調査)し、第2マンホール4を通り地上へ帰還させる経路が考えられる。このように、天井面を接触移動させながらモニタリングするのは、飛行作業体10が下水に浸かるのを避けるためだけではなく、自身が発生させた風による飛行の不安定化を抑制し、安定移動中のモニタリングを可能とするためである。
【0017】
また、他の経路として、点線矢印で示すように、第1マンホール3から下水管路2内に侵入し、下水管路2内の所望範囲をモニタリング(調査)した後、折り返し、第1マンホール3を通り地上へ帰還する経路を用いても良い。この経路の場合、第2マンホール4の蓋を開ける必要がなくなり、第2マンホール4上の交通規制作業が省かれるため、交通規制を最小限にすることができるだけではなく、点検作業員による作業負荷が低減される。
【0018】
なお、図1では、第1マンホール3より下水管路2内に下ろした通信アンテナ7を介して、飛行作業体10を点検作業員がコントローラ5により遠隔操作する場合を示したが、飛行作業体10に周辺環境を認識するセンサを搭載し、点検作業員の操作がない場合であっても、自動で点検作業できる構成としても良い。また、図1では、接触移動に関し、天井面に連続して接触し、水平方向に移動する例を示したが、当然のことながら、飛行作業体は、常に天井面に接触し続けなければならないというものではない。例えば、天井面にひび割れや破損、不連続面や突起物がある場合、飛行作業体がそれらへの接触を回避するために間欠的に接触と非接触を繰り返しながら移動する方法が有効である。
【0019】
次に、実施例1の飛行作業体10について、図2から図4を用いて説明する。まず、図2に示す飛行作業体の基本構成について述べる。ここに示すように、飛行作業体10は、天井面と接触しながら移動するための天井面接触ユニット11と、天井面接触ユニット11の下方に設けられ、飛行のための推進部を備えた飛行ユニット12から構成され、両者は、少なくとも1軸方向以上の回転自由度を有する接続部13で接続されている。この構成によって、通常は天井面接触ユニット11と略平行に保たれた飛行ユニット12を、適当な操作によって、前傾または後傾させることができるため、天井面に天井面接触ユニット11を接触させたまま、飛行作業体10を前進または後進させることができる。
【0020】
飛行作業体10は、上述の基本構成に加えて、下水管路2内を点検するための機器として、下水管路2内を照らす照明器21と、動画及び/又は静止画を撮像可能なカメラ22と、撮影した画像を地上の作業者が確認するモニタ6へリアルタイムで送信する映像送信器23と、下水管路2内の温度、湿度、ガス濃度等を測定する環境センサ24を搭載している。なお、図2では、照明器21、カメラ22、映像送信器23、環境センサ24を、天井面接触ユニット11に設けた構成を例示しているが、これらの一部または全部を飛行ユニット12に設ける構成としても良い。
【0021】
次に、図3の上面図を用いて、天井面接触ユニット11の詳細を説明する。天井面接触ユニット11は、飛行作業体10が天井面に接触したときに安定した接触移動を実現するためのものであり、天井面接触ユニットフレーム15で形成したシャーシに、二本の車軸31に車輪14を取り付けた、二軸四輪の台車構造である。車輪14の各々には、自走用アクチュエータを設けていないため、自走用アクチュエータの回転制御による進行方向制御には対応していないが、サーボモータ52とステアリング機構30からなる操舵装置によって、一方の車軸31の向きを制御し、進行方向を制御することができる。なお、サーボモータ52としては、自走用アクチュエータよりも軽い、20g程度のものの使用を想定している。また、常時駆動が必要な自走用アクチュエータと異なり、サーボモータ52は、進行方向を変更するときのみ駆動すれば良い。これらの理由により、本実施例の操舵装置を用いることで、自走用アクチュエータを用いる構成に比べ、総重量と消費電力の両方を大きく抑制することができる。
【0022】
なお、図3の天井面接触ユニット11では、センタピボット方式のステアリング機構30を図示しているが、従来の自動車に用いられているようなアッカーマン方式のリンク機構を用いても良い。また、ステアリング機構30は、前輪、後輪の一方に備えれば良いが、両方に備えてもよい。
【0023】
次に、図2の側面図を用いて、飛行ユニット12の詳細を説明する。飛行ユニット12は、飛行ユニットフレーム18、プロペラ16及びモータ17からなる推力部、飛行制御部19、バッテリー等の動力源20より構成される。本実施例では、4組のプロペラ16とモータ17から成る、従来のマルチコプタ型の推進部を用いた制御方式を取っている。すなわち、各プロペラ16の回転数を変化させることで、飛行ユニット12自体を傾け、前後左右、上下へ移動させることができ、飛行制御部19に搭載されているIMU(Inertial Measurement Unit)センサの加速度、角速度、方位情報をフィードバックし、空中での姿勢制御を行っている。なお、十分な飛行推力を発生させ、推力方向を任意に制御できるのであれば、他の構成の推力発生部を用いても良い。
【0024】
次に、図2の側面図を用いて、接続部13の詳細を説明する。本実施例では、天井面接触ユニット11と飛行ユニット12を接続する接続部13として、天井面接触ユニット11の主たる進行方向(管軸方向、図2では左方向)と垂直に円柱状の固定ピン32を配置しており、これにより両ユニットを回動自在に連結している。本構成により、図4に示すように、固定ピン32を回転軸として、天井面接触ユニット11に対して飛行ユニット12を前後に傾けることができるので、天井面接触ユニット11の車輪14を天井壁面40に押し付けながら、飛行作業体10を安定して接触移動させることが可能となる。
【0025】
以上で説明したように、本実施例の飛行作業体10を用いた点検システム1によれば、天井面接触ユニット11に自走用アクチュエータを用いなくとも、安定した接触移動と進行方向制御ができるので、飛行作業体の重量や消費エネルギーを抑制しつつ、天井面等に対し安定した点検、調査、補修等の作業を実現することができる。また、小型化が容易な構成であるため、下水管内のような狭い空間内でも安定したモニタリングを行うことができる。
(変形例1)
次に、図5を用いて、実施例1の飛行作業体10の変形例1を説明する。図3では、天井と接した飛行作業体10の進行方向を制御するために、ステアリング機構30を用いたが、本変形例では、ステアリング機構の代替構成として、図5に示すような車輪14にブレーキパッド50をリンク機構51を介してサーボモータ52に取り付けた。すなわち、本変形例で用いられるのは、サーボモータ52の駆動によりブレーキパッド50を車輪14に押し当て、左右の車輪14で回転差を生じさせ、進行方向を制御する方式である。ステアリング方式のように前輪の車軸31を左右に大きく可動させなくて済むため、実施例1の効果に加え、車輪可動部と天井面接触ユニットフレーム15との干渉の問題を解決することが可能となる。
(変形例2)
次に、図6を用いて、実施例1の飛行作業体10の変形例1を説明する。図3の天井面接触ユニット11では、天井面接触部として二軸四輪の台車構造を示したが、必ずしもこれに限られるものではない。すなわち、天井面接触ユニット11が、安定した天井面の接触移動を達成するための接触方式として、同一直線上にない3点以上の接触点を形成できる天井面接触部であれば良く、例えば、図6に示す天井面接触ユニット11のように、二軸三輪の台車構造を用いても良い。なお、接触点の数は、3輪(3点)以上であれば個数や種類に制限は無いが、飛行ユニット12のペイロードに余裕を持たせるため、軽量であること、すなわち、車輪14の数が少ないことが好ましい。また、壁面の状態に応じて、種類や外径の異なる車輪を組み合わせてもよい。各車輪14(接触点)の配置は、天井面接触ユニット11が天井面に接触し、移動した際に、左右前後のふらつきを抑制するため、また、各接触点に均等に接触力が加わるように接触点を飛行作業体10の主たる進行方向(管軸方向)に対して、左右対称に配置することが望ましい。
(変形例3)
次に、図7図8を用いて、トンネル等の湾曲天井面との接触移動に適した、天井面接触ユニット11の変形例を説明する。湾曲天井面を接触移動する場合、平坦天井面を想定した通常形状の車輪を備える図3の天井面接触ユニット11では、トンネル等の円弧状接触面と車輪の接触が不安定となるため、蛇行が発生し易く、直進が難しい場合がある。
【0026】
そこで、図7の天井面接触ユニット11では、湾曲天井面60の管軸方向への直進安定性を向上させるため、湾曲天井面用車輪61の接地面を正面視したときの曲率を、湾曲天井面60の曲率に近似させることで、湾曲天井面60と湾曲天井面用車輪61が安定接触できるようにした。この構成を用いることで、飛行作業体10の重心移動により、天井面接触ユニット11の左右車輪にかかる負荷の割合が変化した場合であっても、湾曲天井面60の管軸方向への接触移動の際に生じる横揺れや蛇行を抑え、進行方向を安定化させることが可能となる。
【0027】
なお、図7の変形例では、湾曲天井面60の形状に応じた湾曲天井面用車輪61が用いる必要があるため、異なる曲率の湾曲天井面60をモニタリングする場合は、それに対応した他の湾曲天井面用車輪61に交換すればよい。
【0028】
また、図8の天井面接触ユニット11では、車輪14が外側に開くようにポジティブキャンバー(角)62を調整できるようにした。このように車輪14を湾曲天井面60の法線方向に傾けることで、湾曲天井面60の管軸方向への接触移動の際に、天井面接触ユニット11のステアリング機構30が左右に切り易くなり、管軸方向へ直進したい場合に進行方向を補正し易くする効果がある。尚、ポジティブキャンバー(角)62を設ける代わりにトー(トーイン)角やキャスター角を必要に応じて付けてもよい。
【実施例2】
【0029】
図9図10を用いて、実施例2の飛行作業体10における接続部13を説明する。なお、実施例1と共通する点は重複説明を省略するものとする。
【0030】
本実施例では、図9に示すように、複数のバネ等の弾性体70からなる接続部13を用いる。この構成を用いることで、飛行ユニット12の傾きに応じて、弾性体70が圧縮変形することで、天井面接触ユニット11の車輪14を天井面に押し付けながら移動させることが可能となる。
【0031】
実施例1では一本の固定ピン32からなる接続部13を用いたため、接続部13の回転自由度は1軸方向であったが、本実施例のように複数弾性体からなる接続部13を用いることで、1軸方向以上の回転自由度が得られるため、天井壁面に複雑な凹凸があっても、天井面接触ユニット11を柔軟に壁面接触させながら、飛行作業体10を接触移動させることができる。
(変形例)
本実施例の接続部13を用いる場合、図10に示すように、車輪14に代えて、互いに交差しないように配置した2本以上の低摩擦板71を天井面接触ユニット11の天井面接触部として用いても良い。なお、低摩擦体であれば、図10に示したスキー板状の低摩擦板71に限らず、棒状のものを用いても、安定した接触移動を実現することができる。
【0032】
また、図10の低摩擦板71に加え、サーボモータ52で方向制御される舵取り用の低摩擦板や、舵取り用の推進ファンを設けることで、本変形例の飛行作業体10の進行方向を適切に制御することができる。
【0033】
なお、以上では、実施例1の構成と、実施例2の構成を別個に説明したが、両者をともに備えた構成としても良い。すなわち、接続部13を、一方向の回転自由度を持つ固定ピンと、多方向の回転自由度を持つ弾性体70を組み合わせた構成としても良い。
【符号の説明】
【0034】
1 点検システム、
2 下水管路、
3 第1マンホール、
4 第2マンホール、
5 コントローラ、
6 モニタ、
7 通信アンテナ、
10 飛行作業体、
11 天井面接触ユニット、
12 飛行ユニット、
13 接続部、
14 車輪、
15 天井面接触ユニットフレーム、
16 プロペラ、
17 モータ、
18 飛行ユニットフレーム、
19 飛行制御部、
20 動力源、
21 照明器、
22 カメラ、
23 映像送信器、
24 環境センサ、
30 ステアリング機構、
31 車軸、
32 固定ピン、
40 天井壁面、
50 ブレーキパッド、
51 リンク機構、
52 サーボモータ、
60 湾曲天井面、
61 湾曲天井面用車輪、
62 ポジティブキャンバー、
70 弾性体、
71 低摩擦板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10