特許第6804320号(P6804320)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6804320
(24)【登録日】2020年12月4日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】地絡検出装置、電源システム
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/02 20060101AFI20201214BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20201214BHJP
   H02H 7/18 20060101ALI20201214BHJP
   H02H 3/16 20060101ALI20201214BHJP
   G01R 31/50 20200101ALI20201214BHJP
【FI】
   B60R16/02 650R
   H02J7/00 S
   H02H7/18
   H02H3/16 A
   G01R31/50
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-21275(P2017-21275)
(22)【出願日】2017年2月8日
(65)【公開番号】特開2018-127085(P2018-127085A)
(43)【公開日】2018年8月16日
【審査請求日】2020年1月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】河村 佳浩
【審査官】 菅 和幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−130706(JP,A)
【文献】 特開2004−354247(JP,A)
【文献】 特開2017−001425(JP,A)
【文献】 特開2016−099323(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/02
G01R 31/50
H02H 3/16
H02H 7/18
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷との接続状態がメインリレーで切り換えられる、非接地の高電圧バッテリと接続し、前記高電圧バッテリが設けられた系の地絡を検出する地絡検出装置であって、
フライングキャパシタとして動作する検出用コンデンサと、
前記検出用コンデンサを放電する経路から、前記高電圧バッテリと、前記高電圧バッテリと接地との絶縁抵抗と、前記検出用コンデンサとを含んだ測定経路に切り換えるスイッチ群と、
前記メインリレーがオンに切換制御されているときの、前記測定経路に切り換えた際の前記検出用コンデンサの所定微小時間における電圧変化量と、前記メインリレーがオフに切換制御されているときの、前記測定経路に切り換えた際の前記検出用コンデンサの所定微小時間における電圧変化量との差に基づいて、前記メインリレーのオン固着を判定する制御部と、
を備えたことを特徴とする地絡検出装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記電圧変化量の差が、所定の基準値よりも小さい場合に前記メインリレーでオン固着が生じていると判定することを特徴とする請求項1に記載の地絡検出装置。
【請求項3】
前記所定微小時間は、前記検出用コンデンサの充電が完了する時間よりも短い時間であることを特徴とする請求項1または2に記載の地絡検出装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記メインリレーの切換制御情報を上位装置である外部制御装置から取得することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の地絡検出装置。
【請求項5】
非接地の高電圧バッテリと、
負荷と、
前記高電圧バッテリと前記負荷との接続状態を切り換えるメインリレーと、
前記メインリレーの切換制御を行なう外部制御装置と、
前記高電圧バッテリと接続し、前記高電圧バッテリが設けられた系の地絡を検出する地絡検出装置とを備えた電源システムであって、
前記地絡検出装置は、
フライングキャパシタとして動作する検出用コンデンサと、
前記検出用コンデンサを放電する経路から、前記高電圧バッテリと、前記高電圧バッテリと接地との絶縁抵抗と、前記検出用コンデンサとを含んだ測定経路に切り換えるスイッチ群と、
前記メインリレーがオンに切換制御されているときの、前記測定経路に切り換えた際の前記検出用コンデンサの所定微小時間における電圧変化量と、前記メインリレーがオフに切換制御されているときの、前記測定経路に切り換えた際の前記検出用コンデンサの所定微小時間における電圧変化量との差に基づいて、前記メインリレーのオン固着を判定する制御部と、
を備えたことを特徴とする電源システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フライングキャパシタを用いた地絡検出装置および地絡検出装置を含んだ電源システムに関する。
【背景技術】
【0002】
駆動源としてエンジンと電気モータとを備えるハイブリッド車や、電気自動車のような車両においては、車体上に搭載したバッテリを充電し、バッテリから供給される電気エネルギーを利用して推進力を発生する。一般に、バッテリ関連の電源回路は、200V以上の高電圧を扱う高電圧回路として構成されており、安全性確保ため、バッテリを含む高電圧回路は接地の基準電位点となる車体から電気的に絶縁された非接地構成となっている。
【0003】
非接地の高電圧バッテリを搭載した車両では、高電圧バッテリが設けられた系、具体的には、高電圧バッテリからモータに至るメインの電源系と車体との絶縁状態(地絡)を監視するために地絡検出装置が備えられている。地絡検出装置は、フライングキャパシタと呼ばれるコンデンサを利用した方式が広く用いられている。
【0004】
図4は、フライングキャパシタ方式の地絡検出装置を含んだ電源系の回路例を示す図である。本図に示すように地絡検出装置400は、非接地の高電圧バッテリ300と正極側電源ライン301および負極側電源ライン302を介して接続し、高電圧バッテリ300が設けられた系の地絡を検出する装置である。
【0005】
高電圧バッテリ300は、正極側電源ライン301、負極側電源ライン302を介して負荷360に電源を供給等するものであり、正極側の負荷360との接続状態は、正極側メインリレー321で切り換えられ、負極側の負荷360との接続状態は、負極側メインリレー322で切り換えられる。正極側メインリレー321、負極側メインリレー322の切換は、上位装置である外部制御装置200によって連動して行なわれる。
【0006】
ここで、高電圧バッテリ300の正極側と接地間の絶縁抵抗をRLp1と表し、負極側と接地間の絶縁抵抗をRLn1と表すものとする。また、負荷360側の正極と接地間の終端抵抗をRLp2と表し、負極と接地間の終端抵抗をRLn2と表すものとする。地絡が生じていない正常状態において、一般的には、高電圧バッテリ300側の絶縁抵抗RLp1、RLn1>負荷360側の終端抵抗RLp2、RLn2であり、RLp1、RLn1は、メインリレーオン時の合成抵抗RLp1//RLp2、RLn1//RLn2より明らかに大きくなる。
【0007】
高電圧バッテリ300の正極側電源ライン301と接地との間および負極側電源ライン302と接地との間には、電源の高周波ノイズを除去したり動作を安定化するために、それぞれYコンデンサ(ライン・バイパス・コンデンサ)と呼ばれるコンデンサCYp1、CYn1が接続されている。また、負荷360側の正極と接地との間および負荷360側の負極と接地との間には、YコンデンサとしてそれぞれCYp2、CYn2が接続されている。
【0008】
ただし、Yコンデンサは省くようにしてもよい。この場合でも、寄生容量により、接地との間にコンデンサCYp1、CYn1、CYp2、CYn2が存在する。一般には、YCp1=YCn1<<YCp2=YCn2であるが、設計や状況等により、これらの関係が成り立たない場合もある。
【0009】
本図に示すように、地絡検出装置400は、フライングキャパシタとして動作する検出用コンデンサC1を備えている。また、計測経路を切り替えるとともに、検出用コンデンサC1の充電および放電を制御するために、検出用コンデンサC1の周辺に4つのスイッチング素子S1〜S4を備えている。
【0010】
地絡検出装置400では、高電圧バッテリ300側の絶縁抵抗RLp1およびRLn1を把握するために、V0計測期間→Vc1n計測期間→V0計測期間→Vc1p計測期間を1サイクルとして計測動作を繰り返す。ただし、V0計測期間→Vc1n計測期間→Vc1p計測期間を1サイクルとしてもよい。いずれの計測期間とも、計測対象の電圧で検出用コンデンサC1を充電してから、検出用コンデンサC1の充電電圧の計測を行なう。そして、次の計測のために検出用コンデンサC1の放電を行なう。
【0011】
V0計測期間では、高電圧バッテリ300電圧に相当する電圧を計測する。このため、スイッチング素子S1、S2をオンにし、スイッチング素子S3、S4をオフにして、検出用コンデンサC1を充電する。すなわち、図5(a)に示すように、高電圧バッテリ300、抵抗R1、検出用コンデンサC1が計測経路となる。
【0012】
検出用コンデンサC1の充電電圧の計測時には、スイッチング素子S1、S2をオフにし、スイッチング素子S3、S4をオンにして、制御装置420でサンプリングを行ない、さらに次の計測のために検出用コンデンサC1の放電を行なう。検出用コンデンサC1の充電電圧の計測時、検出用コンデンサC1の放電時の動作は他の計測期間においても同様である。
【0013】
Vc1n計測期間では、絶縁抵抗RLn1の影響を反映した電圧を計測する。このため、スイッチング素子S1、S4をオンにし、スイッチング素子S2、S3をオフにして、検出用コンデンサC1を充電する。すなわち、図5(b)に示すように、高電圧バッテリ300、抵抗R1、検出用コンデンサC1、抵抗R4、接地、絶縁抵抗RLn1が計測経路となる。
【0014】
Vc1p計測期間では、絶縁抵抗RLp1の影響を反映した電圧を計測する。このため、スイッチング素子S2、S3をオンにし、スイッチング素子S1、S4をオフにして、検出用コンデンサC1を充電する。すなわち、図5(c)に示すように、高電圧バッテリ300、絶縁抵抗RLp1、接地、抵抗R3、抵抗R1、検出用コンデンサC1が計測経路となる。
【0015】
これらの計測期間で得られたV0、Vc1n、Vc1pから算出される(Vc1p+Vc1n)/V0に基づいて、(RLp1×RLn1)/(RLp1+RLn1)を求めることができることが知られている。このため、地絡検出装置400内の制御装置420は、V0、Vc1n、Vc1pを測定することにより、絶縁抵抗RLp1、RLn1を把握することができる。そして、絶縁抵抗RLp1、RLn1が所定の判定基準レベル以下となった場合に、地絡が発生しているものとして判定し、警報を出力する。
【0016】
図6は、V0計測期間、Vc1n計測期間、V0計測期間、Vc1p計測期間の1サイクルにおける検出コンデンサC1の両端の一般的な電圧波形を示している。ここで、図6(a)は、正極側メインリレー321、負極側メインリレー322の両方のメインリレーをオフにしたときの一般的な波形であり、図6(b)は、両方のメインリレーをオンにしたときの一般的な波形である。
【0017】
上述のように、高電圧バッテリ300側の絶縁抵抗RLp1、RLn1>負荷360側の終端抵抗RLp2、RLn2である。このため、メインリレーがオンであると、絶縁抵抗と終端抵抗とが合成され、Vc1n計測期間、Vc1p計測期間で流れる電流が大きくなる。この結果、Vc1n計測期間、Vc1p計測期間で充電される電圧が大きくなる。
【0018】
したがって、一方のメインリレーのみをオンにすると、図6(c)に示すように、両方のメインリレーをオフにしたときに比べ、Vc1n計測期間、Vc1p計測期間のうち一方の充電電圧のみが大きくなる。本図の例では、負極側メインリレー322のみをオンにしており、Vc1n計測期間の充電電圧のみが大きくなっている。
【0019】
このことから、メインリレーが両方オンの状態から、メインリレーを両方オフにする切換制御を行なったときに、図7(a)に示すように、Vc1n計測期間、Vc1p計測期間とも検出コンデンサC1の充電電圧が大幅に小さくなれば、両方のメインリレーが正常にオンからオフに切り換わったこと、すなわち、オン固着が生じていないことを検知できる。
【0020】
一方、メインリレーが両方オンの状態から、メインリレーを両方オフにする制御を行なったにもかかわらず、図7(b)に示すように、Vc1n計測期間、Vc1n計測期間のいずれかで検出コンデンサC1の充電電圧が小さくならなければ、一方のメインリレーがオンのままであること、すなわち、オン固着が生じていることを検知できる。
【0021】
これに関連して、特許文献1には、メインリレーをオフにした際に、絶縁抵抗を含んだ測定経路の充電電圧値が、メインリレーオンのときの充電電圧値と略等しい場合に、メインリレーがオン固着していると判定することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】特開2015−214264号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
しかしながら、メインリレーをオフにした際に、絶縁抵抗を含んだ測定経路の充電電圧値がオンのときの充電電圧値と略等しい場合をオン固着発生の判定基準とすると、地絡検出装置100が組み込まれる電源システムの設計上の特性や、特性変動等により、オン固着が発生していないにもかかわらず、オン固着と判定したり、オン固着が発生しているのにもかかわらず、オン固着と判定しない状況が起こり得る。
【0024】
例えば、絶縁抵抗RLp1あるいはRLn1が低下しているときに、図8(a)に示すような波形が得られる場合がある。この場合、メインリレーがオンのときのVc1n計測期間の充電電圧と、メインリレーがオフのときのVc1n計測期間の充電電圧とが略等しいと判定されると、オン固着が発生していないにもかかわらず、オン固着が誤検出される。
【0025】
また、Yコンデンサについて、一般に、YCp1=YCn1<<YCp2=YCn2の関係があるが、YCp1、YCn1が設計上の都合や寄生容量の関係等から大きいときに、図8(b)に示すような波形が得られる場合がある。この場合にも、メインリレーがオンのときのVc1n計測期間の充電電圧と、メインリレーがオフのときのVc1n計測期間の充電電圧とが略等しいと判定されると、オン固着が発生していないにもかかわらず、オン固着が誤検出される。
【0026】
一方で、YCp1、YCn1、YCp2、YCn2がほぼ等しい場合は、オン固着が発生しているときであっても、図8(c)に示すように、メインリレーがオンのときのVc1n計測期間の充電電圧と、メインリレーがオフのときのVc1n計測期間の充電電圧とに差が生じる場合がある。両者が略等しいと判定されないと、オン固着が発生しているのにもかかわらず、オン固着が検出されないことになる。
【0027】
このように、メインリレーをオフにした際に、絶縁抵抗を含んだ測定経路の充電電圧値がオンのときの充電電圧値と略等しい場合をオン固着の判定基準とすると、オン固着を誤検出したりオン固着の検出漏れが生じる状況が起こり得る。
【0028】
そこで、本発明は、メインリレーのオン固着の新たな判定基準を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0029】
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様である地絡検出装置は、負荷との接続状態がメインリレーで切り換えられる、非接地の高電圧バッテリと接続し、前記高電圧バッテリが設けられた系の地絡を検出する地絡検出装置であって、フライングキャパシタとして動作する検出用コンデンサと、前記検出用コンデンサを放電する経路から、前記高電圧バッテリと、前記高電圧バッテリと接地との絶縁抵抗と、前記検出用コンデンサとを含んだ測定経路に切り換えるスイッチ群と、前記メインリレーがオンに切換制御されているときの、前記測定経路に切り換えた際の前記検出用コンデンサの所定微小時間における電圧変化量と、前記メインリレーがオフに切換制御されているときの、前記測定経路に切り換えた際の前記検出用コンデンサの所定微小時間における電圧変化量との差に基づいて、前記メインリレーのオン固着を判定する制御部と、を備えたことを特徴とする。
ここで、前記制御部は、前記電圧変化量の差が、所定の基準値よりも小さい場合に前記メインリレーでオン固着が生じていると判定することができる。
また、前記所定微小時間は、前記検出用コンデンサの充電が完了する時間よりも短い時間とすることができる。
また、前記制御部は、前記メインリレーの切換制御情報を上位装置である外部制御装置から取得することができる。
上記課題を解決するため、本発明の第2の態様である電源システムは、非接地の高電圧バッテリと、負荷と、前記高電圧バッテリと前記負荷との接続状態を切り換えるメインリレーと、前記メインリレーの切換制御を行なう外部制御装置と、前記高電圧バッテリと接続し、前記高電圧バッテリが設けられた系の地絡を検出する地絡検出装置とを備えた電源システムであって、前記地絡検出装置は、フライングキャパシタとして動作する検出用コンデンサと、前記検出用コンデンサを放電する経路から、前記高電圧バッテリと、前記高電圧バッテリと接地との絶縁抵抗と、前記検出用コンデンサとを含んだ測定経路に切り換えるスイッチ群と、前記メインリレーがオンに切換制御されているときの、前記測定経路に切り換えた際の前記検出用コンデンサの所定微小時間における電圧変化量と、前記メインリレーがオフに切換制御されているときの、前記測定経路に切り換えた際の前記検出用コンデンサの所定微小時間における電圧変化量との差に基づいて、前記メインリレーのオン固着を判定する制御部と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、メインリレーのオン固着の新たな判定基準が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の実施形態に係る地絡検出装置を含んだ電源系の回路を示す図である。
図2】波形立ち上がりの傾きを説明する図である。
図3】波形立ち上がりの傾きの具体例を説明する図である。
図4】フライングキャパシタ方式の地絡検出装置を含んだ電源系の回路例を示す図である。
図5】V0計測期間とVc1n計測期間とVc1p計測期間の計測経路を示す図である。
図6】V0計測期間、Vc1n計測期間、V0計測期間、Vc1p計測期間の1サイクルにおける検出コンデンサの両端の一般的な電圧波形を示している。
図7】メインリレーのオン固着の有無と波形の変化を説明する図である。
図8】充電電圧値が略等しい場合をオン固着の判定基準としたときの、誤検出と検出漏れの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態に係る地絡検出装置100を含んだ電源系の回路を示す図である。本図に示すように地絡検出装置100は、非接地の高電圧バッテリ300と正極側電源ライン301および負極側電源ライン302を介して接続し、高電圧バッテリ300が設けられた系の地絡を検出する装置である。地絡検出装置100を含んだ電源系の回路の基本的な構成は、従来と同様とすることができる。ここで、高電圧とは、車両内の各種機器(ランプ、ワイパー等)を駆動させるための低電圧バッテリ(一般的には12V)よりも高い電圧を意味し、高電圧バッテリ300は、車両走行の駆動用に用いられるバッテリである。
【0033】
高電圧バッテリ300は、リチウムイオン電池等のように充電可能なバッテリにより構成されている。高電圧バッテリ300は、正極側電源ライン301、負極側電源ライン302を介して負荷360に電源を供給等するものであり、正極側の負荷360との接続状態は、正極側メインリレー321で切り換えられ、負極側の負荷360との接続状態は、負極側メインリレー322で切り換えられる。正極側メインリレー321、負極側メインリレー322の切換は、上位装置である外部制御装置200によって行なわれる。
【0034】
負荷360は、例えば、インバータ等を介して接続された電気モータとすることができる。また、高電圧バッテリ300は、回生時や充電設備接続時には、充電を行なうことができる。
【0035】
ここで、高電圧バッテリ300の正極側と接地間の絶縁抵抗をRLp1と表し、負極側と接地間の絶縁抵抗をRLn1と表すものとする。また、負荷360側の正極と接地間の終端抵抗をRLp2と表し、負極と接地間の終端抵抗をRLn2と表すものとする。
【0036】
高電圧バッテリ300の正極側電源ライン301と接地との間および負極側電源ライン302と接地との間には、電源の高周波ノイズを除去したり動作を安定化するために、それぞれYコンデンサ(ライン・バイパス・コンデンサ)と呼ばれるコンデンサCYp1、CYn1が接続されている。また、負荷360側の正極と接地との間および負荷360側の負極と接地との間には、YコンデンサとしてそれぞれCYp2、CYn2が接続されている。ただし、Yコンデンサは省くようにしてもよい。この場合でも、寄生容量により、接地との間にコンデンサCYp1、CYn1、CYp2、CYn2が存在する。
【0037】
本図に示すように、地絡検出装置100は、フライングキャパシタとして動作する検出用コンデンサC1と、制御装置120と、4つのスイッチング素子S1〜S4を備えている。スイッチング素子S1〜S4は、計測経路を切り替えるとともに、検出用コンデンサC1の充電および放電を制御するために、検出用コンデンサC1の周辺に配置されている。
【0038】
スイッチング素子S1〜S4は、光MOSFETのように絶縁型のスイッチング素子で構成することができる。制御装置120は、あらかじめ組み込まれたプログラムを実行することにより、スイッチ切り換え処理等の地絡検出装置100に必要とされる各種制御を実行する。
【0039】
スイッチング素子S1は、一端が正極側電源ライン301と接続し、他端がダイオードD1のアノード側と接続している。ダイオードD1のカソード側は抵抗R1と接続し、抵抗R1の他端は検出用コンデンサC1の正極側端子と接続している。
【0040】
スイッチング素子S2は、一端が負極側電源ライン302と接続し、他端が抵抗R5と接続している。抵抗R5の他端は検出用コンデンサC1の負極側端子と接続している。
【0041】
スイッチング素子S3は、一端が抵抗R2およびダイオードD3のアノード側と接続し、他端が抵抗R3と制御装置120のアナログ入力端子と接続している。ダイオードD3のカソード側は検出用コンデンサC1の正極側端子と接続し、抵抗R2の他端はダイオードD2のカソード側と接続し、ダイオードD2のアノード側は検出用コンデンサC1の正極側端子と接続している。抵抗R3の他端は接地している。
【0042】
スイッチング素子S4は、一端が検出用コンデンサC1の負極側端子と接続し、他端が抵抗R4と接続している。抵抗R4の他端は接地している。
【0043】
地絡検出装置100では、高電圧バッテリ300側の絶縁抵抗RLp1およびRLn1を把握するために、V0計測期間→Vc1n計測期間→V0計測期間→Vc1p計測期間を1サイクルとして計測動作を繰り返す。ただし、V0計測期間→Vc1n計測期間→Vc1p計測期間を1サイクルとしてもよい。各計測期間で得られる測定値に基づく地絡判定については従来と同様である。なお、V0計測期間は、高電圧バッテリ300の電圧に相当する電圧を測定する期間であり、Vc1n計測期間およびVc1p計測期間は、絶縁抵抗を含んだ経路の電圧を測定する期間である。
【0044】
また、地絡検出装置100は、正極側メインリレー321および負極側メインリレー322(「メインリレー」と総称する)がオンからオフに切り換えられたときに、Vc1n計測期間およびVc1p計測期間(「Vc1計測期間」と総称する)で得られる検出用コンデンサC1の充電波形の変化に基づいて、メインリレーのオン固着(溶着)の判定を行なう。もちろん、メインリレーがオフからオンに切り換えられたときの充電波形の変化に基づいて判定を行なってもよい。Vc1n計測期間とVc1p計測期間のオン固着判定は、必ずしも連動して行なう必要はなく、独立に行なうことができる。
【0045】
上述のように、メインリレーオン時とオフ時とで、Vc1計測期間の充電電圧の値が略同一かどうかの判定では、絶縁抵抗の状態、Yコンデンサの状態等により、オン固着の誤検出や検出漏れが起こるおそれがある。
【0046】
そこで、本発明では、図2に示すように、充電電圧の波形立ち上がり時における傾きの変化の有無でメインリレーのオン固着の判定を行なう。ここでは、波形立ち上がり時における傾きが変化しなければ、オン固着が発生していると判定する。本図では、Vc1n測定期間に着目しているが、Vc1p測定期間についても同様の判定を行なうことができる。
【0047】
具体的には、図3に示すように、メインリレーオン時における波形の立ち上がりから微小時間Δt後の電圧値ΔVonを計測して、傾きGon=ΔVon/Δtを算出するとともに、メインリレーオフ時における波形の立ち上がりから微小時間Δt後の電圧値ΔVoffを計測して、傾きGoff=ΔVoff/Δtを算出する。そして、GoffとGoffとの差が、所定の基準値以上であれば、オン固着が発生していないと判定する。
【0048】
なお、Δtは、Vc1計測期間よりも短い時間とする。また、Δtは共通であるため、ΔVon、ΔVoffをΔtで割った傾きではなく、ΔVonとΔVoffとの差を所定の基準値と比較してもよい。
【0049】
ここで、絶縁抵抗を測定経路に含んだ測定期間の充電電圧の波形立ち上がり時における傾きの変化の有無で、その絶縁抵抗側のメインリレーのオン固着の判定を行なうことができる理由について説明する。
【0050】
メインリレーがオンの状態と、オフの状態とでは、例えば、絶縁抵抗が低下していて、Vc1計測期間の充電電圧に大きな差が生じない場合であっても、負荷360側のコモンモード容量であるYコンデンサ(寄生容量を含む)の影響は確実に変化する。すなわち、メインリレーをオンからオフに切換制御した際に、オン固着が生じていれば、負荷360側のYコンデンサの影響はそのまま残り、オン固着が生じていなければ、負荷360側のYコンデンサの影響がなくなる。また、オン固着が生じていれば、負荷360側のYコンデンサから検出用コンデンサC1への電荷移動も生じる。
【0051】
Yコンデンサの影響は、波形立ち上がり時の傾きに顕著に現われる。このため、オン固着が生じていなければ、メインリレーをオンからオフに切り換えた場合に、負荷360側のYコンデンサと検出用コンデンサC1との経路が切断されるので、波形立ち上がり時の傾きが小さくなるように変化する。
【0052】
なお、波形立ち上がり時の傾きは、例えば、地絡検出動作を一時停止して、Vc1計測期間の開始後、微小時間Δtの時点で制御装置120が検出用コンデンサC1の充電電圧のサンプリングを実行することで取得することができる。このとき、地絡検出装置100の制御装置120は、外部制御装置200からメインリレーのオン/オフの切換情報を取得するようにする。
【0053】
あるいは、Vc1計測期間の開始後、微小時間Δtの時点の検出用コンデンサC1の充電電圧を測定するセンサを別途設けるようにしてもよい。この場合は、外部制御装置200がセンサ値を取得することでメインリレーのオン固着を判定するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0054】
100 地絡検出装置
120 制御装置
200 外部制御装置
300 高電圧バッテリ
301 正極側電源ライン
302 負極側電源ライン
321 正極側メインリレー
322 負極側メインリレー
360 負荷
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8