特許第6804322号(P6804322)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6804322三次元円筒形物体を造形するための方法およびデバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6804322
(24)【登録日】2020年12月4日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】三次元円筒形物体を造形するための方法およびデバイス
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/241 20170101AFI20201214BHJP
   B29C 64/112 20170101ALI20201214BHJP
   B29C 64/209 20170101ALI20201214BHJP
   B29C 64/264 20170101ALI20201214BHJP
   B29C 64/393 20170101ALI20201214BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20201214BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20201214BHJP
【FI】
   B29C64/241
   B29C64/112
   B29C64/209
   B29C64/264
   B29C64/393
   B33Y30/00
   B33Y50/02
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-21613(P2017-21613)
(22)【出願日】2017年2月8日
(65)【公開番号】特開2017-149141(P2017-149141A)
(43)【公開日】2017年8月31日
【審査請求日】2020年1月23日
(31)【優先権主張番号】15/050,803
(32)【優先日】2016年2月23日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アーウィン・ルイス
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴン・エム・ラッセル
(72)【発明者】
【氏名】ポール・エム・フロム
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー・エヌ・スウィング
【審査官】 北澤 健一
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/177598(WO,A1)
【文献】 特表2011−520652(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/012992(WO,A2)
【文献】 特開2015−074164(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00−64/40
B33Y 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒部材が支持され、支持体内で回転することを可能にするように構成されている、少なくとも2つの支持体と、
各プリントヘッドが、材料の供給部に流体接続されている複数の吐出装置を有する少なくとも2つのプリントヘッドであって、前記少なくとも2つのプリントヘッド内で各プリントヘッドに供給される前記材料は、前記少なくとも2つのプリントヘッドのうちの他方の前記プリントヘッドに供給される前記材料とは異なり、前記少なくとも2つのプリントヘッドは、前記少なくとも2つの支持体によって支持されている前記円筒部材の周りに配置されている、少なくとも2つのプリントヘッドと、
前記少なくとも2つの支持体によって支持されている前記円筒部材の周りに位置付けられている、少なくとも1つの物体処理デバイスと、
前記少なくとも2つの支持体によって支持されている前記円筒部材に動作可能に接続されて、前記支持体内で前記円筒部材を回転させるように構成されているアクチュエータと、
前記少なくとも2つのプリントヘッド、前記少なくとも1つの物体処理デバイス、および前記アクチュエータに動作可能に接続されているコントローラであって、前記コントローラは、前記アクチュエータを動作させて、前記円筒部材を前記少なくとも2つの支持体内で回転させ、前記少なくとも2つのプリントヘッドの各々の中の前記複数の吐出装置を動作させて、前記少なくとも2つのプリントヘッドに供給される異なる前記材料を用いて、前記回転している円筒部材上に層形成させ、前記少なくとも1つの物体処理デバイスを動作させて、前記円筒部材が前記少なくとも2つの支持体内で回転している間に、回転している前記円筒部材上に形成されている前記層を改質させるように構成されている、コントローラと、
前記コントローラに動作可能に接続された硬化デバイスと、
を備える、プリンタであって、
前記コントローラは、前記硬化デバイスを動作させて、回転している前記円筒部材上に吐出された少なくとも1種類の材料を硬化させるようにさらに構成されており、
前記プリンタが、さらに、前記少なくとも2つのプリントヘッドと、前記硬化デバイスとに動作可能に接続されている少なくとも1つの他のアクチュエータを備え、
前記コントローラは、前記少なくとも1つの他のアクチュエータに動作可能に接続されており、
前記コントローラは、前記少なくとも1つの他のアクチュエータを動作させて、前記プリントヘッドのそれぞれと、前記硬化デバイスとを、互いに独立して、前記回転している円筒部材の中心に関して半径方向の双方向に動かすようにさらに構成されており、
前記プリンタは、前記少なくとも2つの支持体内で前記円筒部材を長手方向軸に沿って動かすように構成されている線形アクチュエータをさらに備え、
前記コントローラは、前記線形アクチュエータに動作可能に接続されており、前記コントローラは、前記線形アクチュエータを動作させて、前記少なくとも2つの支持体内で前記円筒部材を長手方向軸に沿って動かすようにさらに構成されており、
前記少なくとも2つのプリントヘッドのうちの1つと、前記少なくとも1つの物体処理デバイスは、前記円筒部材の長手方向軸に沿った方向において、ずらされて配置されており、
前記コントローラは、
前記線形アクチュエータを動作させて、前記少なくとも2つのプリントヘッド形成された前記円筒部材上の前記層を、前記少なくとも1つの物体処理デバイスに対向する位置まで前記長手方向軸に沿って動かし、
前記少なくとも1つの物体処理デバイスを動作させて、それに対向する前記円筒部材上の前記層を改質させると共に、前記少なくとも2つのプリントヘッドのうちの少なくとも1つを動作させて、それに対向する前記円筒部材上にを形成させるように、さらに構成される、
プリンタ。
【請求項2】
前記少なくとも2つのプリントヘッドは、回転している前記円筒部材の長手方向軸に沿って互いからずれており、
前記コントローラは、前記線形アクチュエータを動作させて、回転している前記円筒部材を前記少なくとも2つのプリントヘッドの間で選択的に動かすようにさらに構成されている、請求項1に記載のプリンタ。
【請求項3】
前記少なくとも1つの物体処理デバイスは、前記コントローラに動作可能に接続されているレベラをさらに備え、前記コントローラは、前記レベラを動作させて、回転している前記円筒部材上に吐出された少なくとも1つの材料の部分を所定の高さにおいて除去するようにさらに構成されている、請求項1に記載のプリンタ。
【請求項4】
前記少なくとも1つの物体処理デバイスは、前記コントローラに動作可能に接続されているカッターをさらに備え、前記コントローラは、前記カッターを動作させて、回転している前記円筒部材上に吐出された少なくとも1つの材料の部分を除去させるようにさらに構成されている、請求項1に記載のプリンタ。
【請求項5】
前記少なくとも1つの物体処理デバイスは、前記コントローラに動作可能に接続されている研磨機をさらに備え、前記コントローラは、前記研磨機を動作させて、回転している前記円筒部材上に形成された外層の表面を処理させるようにさらに構成されている、請求項1に記載のプリンタ。
【請求項6】
前記研磨機は、
少なくとも2つのローラの周りに掛け渡されたエンドレスベルトと、
前記研磨機の前記2つのローラのうちの少なくとも一方に動作可能に接続されているもう1つの別のアクチュエータと、をさらに含み、
前記コントローラは、前記もう1つの別のアクチュエータに動作可能に接続されており、前記コントローラは、前記もう1つの別のアクチュエータを動作させて、前記2つのローラのうちの少なくとも一方を回転させて、前記少なくとも2つのローラの周りに掛け渡されたエンドレスベルトを回転させるようにさらに構成されている、請求項5に記載のプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示するデバイスは、三次元物体を生成するプリンタに関し、より詳細には、円筒形断面を有する物体を生成することに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル積層造形としても知られているデジタル三次元物体造形は、デジタルモデルから三次元固体物体を作成する工程である。三次元物体印刷は、種々の形状で基板上に連続した材料層が形成される積層工程である。それらの層は、バインダ材を吐出すること、指向性エネルギー付与、材料を押出成形すること、材料を吐出すること、粉末床を溶融結合すること、シートを積層すること、または、液体感光性樹脂材料を硬化放射に暴露することによって形成することができる。層が形成される基板が、プラットフォームに動作可能に接続されているアクチュエータの動作によって三次元的に動かすことができるプラットフォーム上に支持されるか、または、材料堆積デバイスが、物体を形成する層を生成するように堆積デバイスの動きを制御するために1つまたは複数のアクチュエータに動作可能に接続される。三次元物体印刷は、切断または穿孔のような除去造形によって作業片から材料を除去することにほぼ依拠する従来の物体形成技法から区別される。
【0003】
三次元物体の生成の1つの欠点は、円筒断面形状を有する物体を生成する能力である。物体の三次元印刷以前、これらのタイプの部品は、旋盤上で素片を回転させ、素片にカッターを当てて円筒形状素片を形成することによって作成されていた。同様に、これらのタイプの物体はまた、押出機および射出成形機を使用して形成することもできた。三次元印刷においては、三次元円筒形状物体は、一端から物体を形成し、一層ずつ物体を造形することによって生成される。除去造形技法、または、物体の周囲から延伸するように吐出されることが可能な材料によって形成される不規則な構造のための適切な支持を与えることによって、不規則な形状の物体を形成することは困難であり得る。加えて、硬化、研磨、または平滑化のような二次動作は、二次動作を実施する機械の中に設置することができるように、造形ステーションから物体を取り出すことを必要とする。したがって、不規則な特徴部を有する円筒形状物体を形成し、印刷ステーションから物体を取り出す必要なしに物体に対して二次動作を実施することができる三次元物体プリンタが有用である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
三次元円筒形状物体を生成することができる三次元物体プリンタは、円筒部材が支持され、支持体内で回転することを可能にするように構成されている、少なくとも2つの支持体と、各プリントヘッドが、材料の供給部に流体接続されている複数の吐出装置を有し、少なくとも2つのプリントヘッド内で各プリントヘッドに供給される材料は、少なくとも2つのプリントヘッドのうちの他方のプリントヘッドに供給される材料とは異なり、少なくとも2つのプリントヘッドは、少なくとも2つの支持体によって支持されている円筒部材の周りに位置付けられている、少なくとも2つのプリントヘッドと、少なくとも2つの支持体によって支持されている円筒部材の周りに位置付けられている、少なくとも1つの物体処理デバイスと、支持体内で円筒部材を回転させるように、少なくとも2つの支持体によって支持されている円筒部材に動作可能に接続されるように構成されているアクチュエータと、少なくとも2つのプリントヘッド、少なくとも1つの物体処理デバイス、およびアクチュエータに動作可能に接続されているコントローラとを含む。コントローラは、アクチュエータを、円筒部材を少なくとも2つの支持体内で回転させるように動作させ、少なくとも2つのプリントヘッドの各々の中の複数の吐出装置を、少なくとも2つのプリントヘッドに供給される異なる材料を用いて、回転している円筒部材上に層の部分を形成するように動作させ、少なくとも1つの物体処理デバイスを、円筒部材が少なくとも2つの支持体内で回転している間に、回転している円筒部材上に形成されている層を改質するように動作させるように構成されている。
【0005】
三次元円筒形状物体を生成する三次元プリンタを動作させるための方法は、コントローラを用いて、円筒部材に動作可能に接続されているアクチュエータを、少なくとも2つの支持体内で円筒部材を回転させるように動作させることと、コントローラを用いて、異なる材料を供給される少なくとも2つのプリントヘッドの各々の中の複数の吐出装置を、少なくとも2つのプリントヘッドに供給される異なる材料を用いて、回転している円筒部材上に層の部分を形成するように動作させることと、コントローラを用いて、少なくとも1つの物体処理構成要素を、円筒部材が少なくとも2つの支持体内で回転している間に、回転している円筒部材上に形成されている層を改質するように動作させることとを含む。
【0006】
三次元円筒形状物体を生成することができる装置および方法の上記の態様および他の特徴は、添付の図面とともに取り上げられる、以下の記載において説明される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1A図1Aは、円筒形状物体を形成するように構成されている印刷システムの長手方向側面図である。
図1B図1Bは、図1Aに示す円筒形状物体を形成するように構成されている印刷システムの端面図である。
図1C図1Cは、その周囲に物体が形成される円筒部材が部材の長手方向軸に沿って平行移動されるときに、円筒形状物体を造形および処理するために使用される構成要素のオフセット構成を示す、印刷システムの別の長手方向側面図である。
図2図2は、プリンタを、円筒形状物体を形成するように動作させるための方法を示す図である。
図3A図3Aは、円筒部材の周囲に形成される円筒物体の端面図である。
図3B図3Bは、円筒部材の周囲に形成される円筒物体の長手方向側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書に開示するデバイスおよび方法に関する環境ならびに装置および方法に関する詳細の全般的な理解のために、図面を参照する。図面において、同様の参照符号は同様の要素を指定する。
【0009】
三次元物体印刷システム10の長手方向側面図を図1Aに示す。印刷システム10は、アクチュエータ18に動作可能に接続されている円筒部材22を支持する一対の支持体14を含む。支持体14は、円筒部材22の端部を受け入れる貫通孔26を有する。支持体14は、ベアリングを用いてフィットすることができる貫通孔を有するものとして示されているが、支持体は、円筒部材22を受け入れるためにU字形状鞍部を有して開いていてもよい。図1Aのシステム10は、円筒部材22のための2つの支持体を有するが、特に、円筒部材22を平行移動および回転させる実施形態においては、より多くの支持体が設けられてもよい。アクチュエータ18は、円筒部材22を回転させるように構成されており、いくつかの実施形態において、円筒部材22の長手方向軸の方向において円筒部材22を双方向に引いて押す線形アクチュエータを含む。図示されているシステム10はまた、アクチュエータ18が円筒部材を回転し、いくつかの実施形態においては平行移動させるときに、プリントヘッドが、円筒部材22へと材料の液滴を吐出することを可能にするために、円筒部材22を中心として周方向に位置付けられている3つのプリントヘッド30a、30b、および30cをも含む。一実施形態は、造形材料とサポート材の両方を物体形成のために吐出することができる限り、より少ないまたはより多いプリントヘッドを有してもよい。
【0010】
システム10の端面図が図1Bに示されている。この図において、円筒部材22は、第1の材料の層40と、2つの材料から形成される層44とを有する。層40は、プリントヘッド30aから吐出されているサポート材であり、層44中の2つの材料は、プリントヘッド30bおよび30cから吐出されている。材料は、異なる特性、異なる色、またはその両方を有することができる。プリントヘッドに加えて、システム10は、レベラ48と、硬化デバイス52と、カッター56と、研磨機60とを含む。レベラ48、硬化デバイス52、カッター56、および研磨機60は一般的に、本明細書においては物体処理デバイスと呼ばれる。本明細書において使用されるものとしては、「物体処理デバイス」は、プリントヘッドから吐出される材料のうちの1つの特性を改質するように構成されている任意のデバイスを参照する。レベラ48は、部材22上の外層から材料を所定の高さにおいて除去するように構成されているデバイスである。硬化デバイスは、部材22へと吐出される材料を部分的にまたは完全に凝固させる放射を放出するように構成されている。放射は、紫外線、熱、赤外線、または、プリントヘッド30a、30b、および30cによって吐出される1つまたは複数の材料を凝固させるのに適切である何らかの他の周波数範囲であってもよい。材料は、層から材料を除去する任意の処理を実施する前に硬化または凝固しなければならない。そのような硬化または凝固は、必要に応じて放射を複数回当てるために、シャフトを回転させることによって達成することができる。図1Bに示す実施形態において、プリントヘッド30aは、ワックスのようなサポート材を吐出し、一方で、プリントヘッド30bおよび30cは、物体を形成するための造形材料を吐出する。カッター56は、レベラ48によって可能であるよりも大きい深さにおいて外層から材料を除去するのに有用な尖鋭化した点を有する刃または他の硬化製品である。研磨機60は、その周囲にエンドレスベルト68を伴う少なくとも一対のローラ64を含む。エンドレスベルトは、部材22上の外層に表面仕上げを施すための砂粒または他の研磨剤を含ませられる。
【0011】
図1Bに示すように、アクチュエータ72および76は、プリントヘッド30a、30b、30c、レベラ48、硬化デバイス52、カッター56、エンドレスベルト68、および研磨機60の少なくとも1つのローラ64に動作可能に接続されている。コントローラ80が、アクチュエータ72および76に動作可能に接続されている。コントローラ80は、アクチュエータ72および76を、プリントヘッド、レベラ、硬化デバイス、カッター、および研磨機を円筒部材22の中心に関して半径方向に動かすように選択的に動作させるように構成されている。この動作は、物体処理デバイスおよびプリントヘッドが、部材22の周囲に構築されている物体の外面に対して、処理デバイスまたはプリントヘッドがその意図される機能を効果的に実施することができるような位置に移動されることを可能にする。加えて、コントローラ80は、アクチュエータ76を、ローラ64を中心としてエンドレスベルトを回転させるように研磨機60の少なくとも1つのローラ64を駆動するように動作させる。
【0012】
図1Cに示すように、システム10の構成要素は、円筒部材22の長手方向軸に沿って互いからずれることができる。図面に示すように、プリントヘッド30a、カッター56、および研磨機60は、部材22の長手方向軸に平行な方向に沿ってずれており、部材22の異なる側に位置付けられている。アクチュエータ18は、プリントヘッドによって吐出される材料が、部材22の周囲に構築されている物体を処理するための物体処理デバイスと反対の位置へと動かされ得るように、コントローラ80によって、部材22の回転速度を調整し、部材22を平行移動させるように動作させられる。
【0013】
上述したように構成されている印刷システム10を動作させるためのプロセス200を図2に示す。プロセスが何らかのタスクまたは機能を実施しているという記述は、コントローラまたは汎用プロセッサが、データを操作し、システム内の1つまたは複数の構成要素を、タスクまたは機能を実施するように動作させるためにコントローラまたはプロセッサに動作可能に接続されている非一時的コンピュータ可読記憶媒体内に記憶されているプログラム命令を実行することを指す。上記で言及されている印刷システム10のコントローラ80は、プロセス200を実施するコントローラまたはプロセッサを提供するための構成要素およびプログラム命令を用いて構成することができる。代替的に、コントローラは、2つ以上のプロセッサならびに関連回路および構成要素を用いて実装されてもよく、それらの各々は、下記に説明する1つまたは複数のタスクまたは機能を形成するように構成されている。
【0014】
図2を参照すると、プロセスは、円筒部材を2つ以上の支持体へと取り付け、円筒部材をアクチュエータに動作可能に接続することによって開始する(ブロック204)。材料を円筒部材へと吐出するプリントヘッドに、および、円筒部材の周囲に位置付けられている物体処理デバイスに動作可能に接続されているアクチュエータは、1つもしくは複数の最初の動作が円筒部材によって実施されるのに必要とされない構成要素を後退させ、または、1つもしくは複数の最初の動作を実施するために必要とされる構成要素を位置付けるように動作させられる(ブロック208)。円筒部材に動作可能に接続されているアクチュエータは、円筒部材を回転させるように作動され、それに従って、1つまたは複数の最初の動作を実施する構成要素が動作させられる(ブロック212)。一般的に、最初の動作は、複数の異なる材料を回転部材へと吐出し、回転部材上に層を形成するための、回転円筒部材の周囲に位置付けられている複数のプリントヘッド内の吐出装置の動作を含む。それらの材料の吐出の前に、構造体の研磨または部材への切断のような、他の動作が実施され得る。回転シャフト、および、回転部材の周囲に位置付けられている構成要素は、必要に応じて、部材上での物体層の作製を継続するために、または、部材上に形成されている層を処理するために動かされ得る(ブロック216)。たとえば、層が形成されるときに、線形アクチュエータは、部材の特定の領域および部材上に形成されている層を、部材に沿って互いから長手方向にずれている構成要素の反対に位置付けるために、回転部材をその長手方向軸の方向に動かすように動作させられてもよい。代替的にまたは付加的に、アクチュエータは、構成要素を、回転部材の層に対する動作を実施するために回転部材に対して適切に位置付けるために、構成要素を半径方向において回転部材から外方にまたは回転部材に向かって動かすように動作させられてもよい。これらの動作は、部材の周囲の層の半径方向の成長に対応するためにプリントヘッドを後退させること、部材上の材料を硬化させるように硬化デバイスを位置付けること、および、レベラ、研磨機、またはカッターを、部材上の材料と接触するように位置付けることを含む。動作が完了すると(ブロック220)、部材の回転が終了し(ブロック224)、形成された物体を有する部材が支持体から取り外される(ブロック228)。そうでなければ、プロセスは、回転部材の周囲での物体の造形を継続する(ブロック216)。
【0015】
円筒部材の周囲に形成される物体の一例が、図3Aの端面視点において、また、図3Bの長手方向側面視点から示されている。図3Aにおいて、物体300は、第1の材料の内部層40と、2つの材料から作成されている外部層44とを有する。内部層40は、サポート材から作成されており、これは、部材22および物体300がシステム10から取り外されるときに、溶融または化学作用によって除去することができる。サポート層40をなくすことによって、物体300を部材22から解放することが可能になる。上述したプロセスは、タブ304、歯308、および鍵312のような物体特徴部が、物体内に形成されることを可能にする。これらの特徴部は、追加の、または、層44の同心材料とは異なる材料を用いて形成することができる。図3Bに示すように、部材22を平行移動させることが可能であることによって、材料が領域320内で切り離されることが可能になる。また、物体300の特定の部分を研磨機60に対向する位置に平行移動させることによって、図3Bの領域316が、物体300の残りの外面とは異なる表面仕上げを得ることが可能になる。したがって、部材22の円筒形状が後に取り外される物体の基礎を形成するために使用されるため、システム10およびプロセス200は、円筒物体が迅速に形成されることを可能にする。本明細書において使用されるものとしては、「円筒形状物体」という用語は、物体が、概してその長手方向中心線を中心とした円筒形である不規則な表面を有することができるように、物体の壁から延伸するかまたは壁の中に割り込む特徴部を有することができる円筒部材の周囲に形成される三次元構造を指す。
図1A
図1B
図1C
図2
図3A
図3B