(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
病室内の患者のベッド付近は、患者にとってプライベートが保護されるべき空間であり環境である。しかしながら、従来の防犯カメラを有するナースコールシステムの構成では、患者のプライベートへの配慮に改善の余地があった。
【0005】
そこで、本発明は、患者のプライベートに配慮しつつ防犯性を向上させることが可能なナースコールシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のナースコールシステムは、
ナースコール子機と、
ナースコール親機と、
ベッド上の患者を撮像するためのカメラと、
前記ナースコール子機、前記ナースコール親機、および前記カメラの間の通信を制御するナースコール制御機と、
を備えるナースコールシステムであって、
前記カメラは、ベッド上の患者を撮像するための見守り範囲と、当該患者のベッド周辺を含む範囲であって当該患者病室内で私的に利用することが可能な利用範囲とを撮像することが可能であり、
さらに、
前記利用範囲内において前記患者が存在するか否かを判別可能な判別部を有し、
前記判別部が前記利用範囲から前記患者が不在になると判別した場合、前記利用範囲の撮像データの記録が開始され、その後、前記判別部が前記利用範囲内に前記患者が存在すると判別した場合、前記撮像データの記録が停止される。
【0007】
上記構成によれば、利用範囲の撮像データを常時記録するのでは無く、患者がその患者の利用範囲内に存在するか否かに関する判別結果に基づいて、患者が利用範囲外に存在する場合に、撮像データが記録される。患者が利用範囲外に存在する場合には撮像データが記録されているため、盗難等が有った場合に現場検証等に利用することができる。
また、患者が利用範囲内に存在する場合には、撮像データの記録は停止されるため、患者のプライバシーが侵害される事態が発生することを抑制することができる。
【0008】
また、本発明のナースコールシステムにおいて、
前記カメラは、常時、撮像動作するように制御され、
前記判別部は、前記撮像データを解析することにより、前記利用範囲内に前記患者が存在するか否かを判別するように構成されていてもよい。
【0009】
上記構成によれば、例えば、痴呆患者等のための見守り用のカメラを利用して、防犯機能を実現することができる。
【0010】
また、本発明のナースコールシステムにおいて、
前記判別部は、前記ベッド上における前記患者の起き上がる動作又は離床する動作を検出したときに、前記利用範囲から前記患者が不在になると判別し、
前記利用範囲の撮像データは、前記起き上がる動作又は前記離床する動作を解析するための撮像データとは、別の保存データとして記録されていてもよい。
【0011】
上記構成によれば、利用範囲の撮像データは、ベッド上の患者の動作(起き上がる動作又は離床する動作)を解析するための撮像データとは別の保存データとして記録される。このため、利用範囲の撮像データが不意に医療従事者等に見られてしまうことを抑制し、患者のプライバシーが侵害される事態が発生することを抑制することができる。
【0012】
また、本発明のナースコールシステムにおいて、
前記判別部が前記利用範囲から前記患者が不在になると判別した場合に、前記カメラによって撮像される範囲が、前記見守り範囲から前記利用範囲に切り替えられても良い。
【0013】
上記構成によれば、痴呆患者等のための見守り用のカメラを利用して、防犯機能を実現することができる。
【0014】
また、本発明のナースコールシステムは、
更に、前記ベッドの近傍に配置される表示装置を備え、
前記表示装置は、所定の認証処理の後に、記録された前記撮像データを表示することが可能であってもよい。
【0015】
上記構成によれば、患者はベッドの近傍に配置された表示装置を用いて、不在中にカメラで撮像された映像を確認することができる。
【0016】
また、本発明のナースコールシステムは、
更に、患者の入退院情報又は外出情報が記録された記録部を備え、
前記判別部が前記利用範囲から前記患者が不在になると判別した場合、前記入退院情報又は外出情報が参照されて、前記患者が退院又は外出の予定がある場合には、前記撮像データの記録が開始されないように構成されていてもよい。
【0017】
上記構成によれば、不要な撮像データが記録されることを抑制することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明のナースコールシステムによれば、患者のプライベートに配慮しつつ防犯性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本実施形態の一例について、図面を参照して説明する。
図1に示すように、ナースコールシステム1は、ナースコール子機2と、カメラ3と、表示装置4と、廊下灯5と、ナースコール親機6と、解析装置7と、携帯端末8と、ナースコール制御機9と、構内交換機10と、ローカル用基地局11と、管理サーバ12とを備えている。
【0021】
ナースコール子機2は伝送線L1を介して廊下灯5に接続されており、カメラ3は伝送線L2を介して廊下灯5に接続されており、表示装置4は伝送線L3を介して廊下灯5に接続されている。ローカル用基地局11は、伝送線L4を介して構内交換機9に接続されている。また、各部は、ネットワークN(本例では、LAN:Local Area Network)を介して通信可能に接続されるとともに、必要に応じてハブ(HUB)15により分配されて接続されている。
【0022】
ナースコール子機2は、病室内のベッド毎に設置されており、プレート子機21と、プレート子機21に着脱可能な握り子機22とを備えている。プレート子機21には、医療従事者を呼び出すための呼出ボタンと、通話するためのマイクおよびスピーカとが設けられている。握り子機22には、医療従事者を呼び出すための呼出ボタンが設けられている。ナースコール子機2は、ネットワークN上で用いられる子機番号(子機ID)を有する。
【0023】
カメラ3は、ベッド上にいる患者の様子またはベッド周辺にいる患者の様子、あるいは患者が不在なベッド周辺の様子を撮像するためのものであり、病室内の例えばベッド毎に設置されている。カメラ3は、例えばプレート子機21に埋め込んで設けられていてもよいし、独立して例えば壁などに取り付けられていてもよい。各カメラ3は、それぞれのカメラを特定することが可能なIPアドレス(Internet Protocolアドレス)を有する。
【0024】
表示装置4は、カメラ3で撮像された映像を再生することが可能な装置であり、病室内の例えばベッド毎に設置されている。表示装置4として、例えば患者のバイタルサインをモニタリングするためのベッドサイドモニタが用いられる。表示装置4は、ネットワークN上で用いられる表示装置番号(表示装置ID)を有する。
【0025】
廊下灯5は、例えば各病室の出入口付近に設置されており、ナースコール子機2を操作した患者の情報を表示する液晶表示部51と、ナースコール子機2から呼び出しが発せられたことを報知する表示ランプ52とを備えている。患者の氏名、患者番号(患者ID)、病室番号、ベッド番号等の患者情報は、カメラのIPアドレス、表示装置ID、ナースコール子機2の子機ID等と互いに対応付けて廊下灯5の記憶部(図示省略)に記憶されている。
【0026】
ナースコール親機6は、ナースステーション等に設置されており、呼び出しに応答するためのハンドセット61と、患者情報が表示される小型モニタ62と、各患者の詳細情報が一覧表示される大型モニタ63とを備えている。
【0027】
解析装置7は、カメラ3で撮像された映像を解析する装置であり、例えばナースステーション等に設置されている。なお、本例では、解析装置7は独立して設けられているが、例えばナースコール制御機内9あるいは廊下灯5内に設けてもよい。
【0028】
携帯端末8(本例では、携帯端末8a〜8d)は、患者が携帯する端末であり、カメラ3で撮像された映像を表示することが可能である。携帯端末8としては、例えばタッチパネル式の表示画面83を有するとともに、無線通信(例えば、「WiFi」)可能なスマートフォン等が用いられる。携帯端末8は、ネットワークN上で用いられる携帯番号(携帯端末ID)を有する。携帯端末IDは、患者ID、カメラのIPアドレス等と対応付けて廊下灯5の記憶部に記憶されている。
【0029】
携帯端末8は、病院内に構築されたローカル通信網(ネットワークN)を介して携帯端末8とカメラ3とを通信可能に接続する通信モードを有する。この通信モードでは、ローカル用基地局11を介して無線通信により構内交換機10と携帯端末8とを接続し、上記携帯端末IDを用いて携帯端末8とカメラ3との間の通信が可能になる。
【0030】
ナースコール制御機9は、ナースコール子機2、カメラ3、表示装置4、ナースコール親機6、および携帯端末8の間の通信を制御するとともに、各部の動作を制御する。
【0031】
構内交換機10(例えば、PBX:Private Branch eXchange)は、カメラ3と携帯端末8との通信接続や、ナースコール子機2と携帯端末8との通話接続等を管理するための機器であり、病院内の共用部等に設置されている。ローカル用基地局11は、携帯端末8との間で無線通信(例えば、WiFi)を行うためのアンテナであり、病院内に所定の間隔で設置されている。
【0032】
管理サーバ12は、患者の情報、携帯端末の情報、医療従事者の情報等を含む病院に関する最新の情報を一括して管理するサーバである。
【0033】
次に、解析装置7の機能について説明する。
図2に示すように、解析装置7は、解析装置CPU71と、解析装置CPU71に接続された解析アプリケーション72、記憶部73、および解析装置インターフェース回路(以下、インターフェース回路を「I/F」と称す)74とを備えている。
【0034】
解析アプリケーション72には、例えばカメラ3で撮像された映像に映る人物がそのベッドに入院している患者であるか否かを判別するための顔認証アプリケーションがインストールされている。また、解析アプリケーション72には、例えば患者の起き上がる動作および患者の離床する動作を検出するための動作解析アプリケーションがインストールされている。記憶部73には、患者の顔認証を行うために予め撮像された患者の顔情報が記憶されている。
【0035】
解析装置CPU71は、解析アプリケーション72にインストールされているアプリケーションに基づいて、患者の顔認証および患者の動作解析等を行う。解析装置I/F74は、ネットワークNとの信号伝送路を形成するための通信部を構成する。
【0036】
次に、ナースコール制御機9の機能について説明する。
図3に示すように、ナースコール制御機9は、制御機CPU91と、制御機CPU91に接続された記憶部92、および制御機I/F93とを備えている。
【0037】
記憶部92には、患者情報テーブル92aと、動作解析ファイル92bと、不在時映像ファイル92cとが設けられている。
患者情報テーブル92aには、患者の氏名、患者ID、子機ID、カメラのIPアドレス、表示装置ID、携帯端末ID、担当看護師(看護師ID)等の患者情報が相互に対応付けて記憶されている。また、患者情報テーブル92aには、各患者の入院日時および退院予定日時等の情報、あるいは外出および外泊の予定日時等の情報が患者IDに対応付けて記憶されている。なお、患者情報テーブル92aの各情報は、例えば、管理サーバ12の情報が更新されるたびに管理サーバ12から送信されて最新の情報へと更新される。
【0038】
動作解析ファイル92bには、患者の起き上がる動作および患者の離床する動作を検出するためにカメラ3で撮像された撮像データ、すなわち患者がベッドに居るときに撮像された患者の撮像データが記憶されている。
【0039】
不在時映像ファイル92cには、患者が病室内で私的に利用することが可能な利用範囲から不在になったときに、カメラ3で撮像された上記利用範囲の撮像データが記憶されている。利用範囲とは、例えば複数の患者が入院している大部屋において、例えばカーテンで仕切ることが可能な領域、すなわち患者の私物を収納しておくことが可能な収納棚やロッカーが置いてあるベッド周辺も含む領域を意味する。
【0040】
制御機CPU91は、例えば動作解析ファイル92bまたは不在時映像ファイル92cに記憶される撮像データの記録処理を行う。また、患者情報テーブル92aに記憶されている患者情報に基づいて各部の接続処理等を行う。制御機I/F93は、ネットワークNとの信号伝送路を形成するための通信部を構成する。
【0041】
次に、ナースコールシステム1の動作について
図4を参照しつつ説明する。
図4は、例えば四人の患者が入院することが可能な大部屋(例えば101号室)内を表している。以下、101号室のベッド番号1に入院している患者Mを対象とする動作について説明する。
【0042】
カメラ3aは、見守り対象の患者Mを撮像対象とし、患者Mの頭部上方に設置されている。カメラ3aは、基本的には常時、撮像動作するように、ナースコール制御機9によって制御されている。また、カメラ3aの撮像範囲は、患者Mが居るベッドAの全体を撮像することが可能な見守り範囲S1となるように、撮影画角W1が制御されている。撮影画角W1は、見守り範囲S1において、ベッド上の患者が中心として撮像されるように設定されている。
【0043】
カメラ3aによって撮像された上記見守り範囲S1の撮像データAは、伝送線L2を介して廊下灯5に送信される。廊下灯5は、撮像データAを送信したカメラ3aを識別し、記憶部に記憶されている患者情報を参照して、カメラ3aのIPアドレスを撮像データAに付加する。IPアドレス付きの撮像データAは、ネットワークNを介して、廊下灯5から解析装置7およびナースコール制御機9に送信される。
【0044】
ナースコール制御機9は、送信されてくる撮像データAを記録部92の動作解析ファイル92bに記録する。
【0045】
解析装置7は、撮像データAを映像処理して、患者Mの顔認証を行った後、患者Mの動作解析を行う。顔認証は、カメラ3aで撮像された人物の顔画像と、記憶部73に記憶されている患者の顔情報とを比較して行われる。動作解析は、例えば患者MがベッドA上に伏している状態、上半身を起こした起き上がり状態、ベッドAから離れた離床状態を検出することにより行われる。
【0046】
動作解析において、先ず、患者MがベッドA上に伏している状態は、例えば患者Aの頭部の位置に基づき判別される。次に、患者Mがベッド上に伏した状態から上半身を起こした状態に移行したことが検出されることで、起き上がり動作が発生したと判別される。そして、起き上がり動作が検出された後、患者MがベッドA上から外方へ移動した(見守り範囲S1から居なくなった)ことが検出されることで、離床動作が発生したと判別される。離床動作が発生したと判別された場合、その旨を知らせる離床信号が、ネットワークNを介して、解析装置7からナースコール制御機9に送信される。
【0047】
離床信号を受信したナースコール制御機9は、カメラ3aの撮像画角を撮影画角W2に変更させて、カメラ3aの撮像範囲を例えば収納棚BやロッカーCが置かれている領域を含むカーテンDで仕切られる利用範囲S2に拡大させる。
【0048】
カメラ3aによって撮像された上記利用範囲S2の撮像データBは、上記と同様に、カメラ3aのIPアドレスが付加され、廊下灯5を介して解析装置7およびナースコール制御機9に送信される。
【0049】
解析装置7は、撮像データBを解析して、利用範囲S2内に患者Mが存在しているか否かを判別する。解析装置7は、利用範囲S2内に患者Mが存在しない、すなわち患者Mが利用範囲S2から外方へ移動した(利用範囲S2から居なくなった)と判別された場合、その旨を知らせる不在信号をナースコール制御機9に送信する。
【0050】
不在信号を受信したナースコール制御機9は、その後にカメラ3aから送信されてくる撮像データBを記録部92の不在時映像ファイル92cに記録する。
【0051】
解析装置7は、その後も継続してカメラ3aで撮像された撮像データBを解析して、利用範囲S2内に患者Mが存在しているか否かを判別する。そして、解析装置7は、利用範囲S2内に患者Mが存在する、すなわち利用範囲S2への患者Mの進入動作が検出された(利用範囲S2内に戻ってきた)と判別された場合、その旨を知らせる存在信号をナースコール制御機9に送信する。この場合、患者Mが戻ってきてから所定時間(例えば数秒間)経過したときに、患者Mが利用範囲S2内に存在すると確定するようにしてもよい。なお、解析装置7は、利用範囲S2内に患者M以外の人物が検出されても存在信号を送信しない。
【0052】
存在信号を受信したナースコール制御機9は、不在時映像ファイル92cへの撮像データBの記録を停止する。なお、ナースコール制御機9は、存在信号を受信しない限り、不在時映像ファイル92cへの撮像データBの記録を継続する。すなわち、利用範囲S2内に患者M以外の人物(例えば不審者)が検出された場合には、撮像データBは不在時映像ファイル92cに記録される。
【0053】
患者Mが不在であった期間に記録された撮像データBは、例えばベッドAの近傍に配置されるベッドサイドモニタ4を用いて再生することが可能である。ただし、その場合、例えば患者認証アプリケーションを用いて、患者ID認証等の所定の認証処理が行われた後に、上記撮像データBがベッドサイドモニタ4に再生されるようにしてもよい。なお、患者Mが不在のときに撮像された撮像データBは、ナースコール制御機9の不在時映像ファイル92cに記録されているが、例えばベッドサイドモニタ4、ナースコール親機6、廊下灯5、管理サーバ12のいずれかに記録されるようにしてもよい。
【0054】
なお、上記形態では、患者Mの離床動作が検出された後にカメラ3aの撮像範囲を利用範囲S2に変更し、その後、利用範囲S2から患者Mが居なくなった場合に撮像データBを不在時映像ファイル92cに記録しているがこれに限定されない。
例えば、患者Mの離床動作が検出された後、所定時間(例えば数秒間)経過しても見守り範囲S1内に患者Mが戻って来なかった場合に、利用範囲S2から患者が不在になったと判別して、カメラ3aの撮像範囲を見守り範囲S1から利用範囲S2に変更して撮像データBの記録を開始するようにしてもよい。なお、カメラ3aの撮像範囲を見守り範囲S1から利用範囲S2に切り替えた際に、患者が利用範囲S2内に存在した場合は、撮像データBの記録を開始しなくて良い。
【0055】
また、例えば、患者Mの離床動作が検出されたことをもって、患者Mが利用範囲S2から不在になると判別し、カメラ3aの撮像範囲を見守り範囲S1から利用範囲S2に変更して撮像データBの記録を開始するようにしてもよい。また、例えば、患者Mの起き上がり動作が検出されたことをもって、患者Mが利用範囲S2から不在になると判別し、カメラ3aの撮像範囲を見守り範囲S1から利用範囲S2に変更して撮像データBの記録を開始するようにしてもよい。
【0056】
また、患者Mの離床動作が検出された後にカメラ3aの撮像範囲を見守り範囲S1から利用範囲S2に変更するのではなく、例えば、患者Mの起き上がり動作が検出された後にカメラ3aの撮像範囲を見守り範囲S1から利用範囲S2に変更するようにしてもよい。
【0057】
また、カメラ3aの撮像範囲を見守り範囲S1から利用範囲S2に変更せずに、最初から利用範囲S2に設定しておいて、利用範囲S2から患者Mが居なくなった場合に撮像データBを不在時映像ファイル92cに記録するようにしてもよい。
【0058】
また、上記形態では、撮像データを撮像するカメラ3aと撮像データを解析する解析装置7とを用いて、患者Mが利用範囲S2に存在するか否かの判別を行っているが、これに限定されず以下のような方法で判別するようにしてもよい。
例えば、ベッドAの周囲に設置したマットセンサーE(
図4参照)を用いてもよい。マットセンサーEへの荷重を検知して患者Mの離床動作を検出し、患者Mが利用範囲S2から不在になると判別してもよい。
【0059】
また、例えば、ナースコール制御機9の患者情報テーブル92aに記憶されている患者の入退院情報や外出外泊情報等を、下記のように用いても良い。利用範囲S2から患者Mが不在になったと判別された場合、あるいは患者Mが利用範囲S2から不在になると判別された場合、さらに患者Mの入退院情報や外出外泊情報等を参照して上記記録の動作を行うか否かを確定するようにしてもよい。例えば、患者Mが退院、外出、および外泊の予定がある場合には、撮像データBを不在時映像ファイル92cに記録しないようにしてもよい。
【0060】
上記構成のナースコールシステム1によれば、病室における患者Mの利用範囲S2内に患者Mが存在しているか否かを判別し、患者Mが利用範囲S2外に存在する場合に、利用範囲S2の映像が撮像され、その撮像データBが記録される。このため、例えば盗難等が有った場合、撮像された利用範囲S2の撮像データBを現場検証等に利用することができる。また、患者Mが利用範囲S2内に存在する場合には、利用範囲S2の撮像データBの記録は停止されるため、患者Mのプライバシーが侵害される事態が発生することを抑制することができる。
【0061】
また、例えば、痴呆患者等を見守るために使用していたカメラを、防犯機能を実現するためのカメラ3aとして兼用することができる。
【0062】
また、患者Mが不在のときに撮像された利用範囲S2の撮像データBは、ベッドA上の患者Mの動作を解析するために撮像された見守り範囲S1の撮像データAとは別の保存データ(不在時映像ファイル92cと動作解析ファイル92b)として記録される。このため、利用範囲S2の撮像データBが不意に医療従事者等に見られてしまうことを抑制し、患者Mのプライバシーが侵害される事態が発生することを抑制することができる。
【0063】
また、患者Mが不在中にカメラ3aで撮像された映像を再生するには所定の認証処理が必要であるため、さらに患者Mのプライバシーが侵害される事態が発生することを抑制することができる。なお、認証処理は、暗号番号などを用いる方式でも良い。
【0064】
また、カメラ3aによって例えばベッドAの脇の荷物置き場(収納棚BやロッカーCがある領域)等を中心とする範囲を撮像して記録することができる。
【0065】
また、撮像された利用範囲S2の撮像データBを記録する際に、映像の解析結果だけでなく、さらに患者Mの入退院情報や外出外泊情報等を参照して、記録動作を実行するか否かを決定している。このため、不要な撮像データBが記録されることを抑制することができる。
【0066】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されず、適宜、変形、改良等が自在である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置場所等は、本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。