(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
下記成分(A)、下記成分(B)、下記成分(C)、下記成分(D)、下記成分(E)、及び下記成分(F)を含有し、前記成分(A)の含有割合が0.05〜3.0質量%、前記成分(B)の含有割合が3.0〜50.0質量%、前記成分(C)の含有割合が0.5〜20.0質量%、前記成分(D)の含有割合が1.0〜10.0質量%、前記成分(E)の含有割合が30.0〜90.0質量%、前記成分(F)の含有割合が0.5〜10.0質量%である、毛髪化粧料。
成分(A):サーファクチン及び/又はその塩
成分(B):グリセリン、ジグリセリン、ポリエチレングリコール、及び糖アルコールからなる群より選択される1以上の多価アルコール
成分(C):水
成分(D):25℃における動粘度1000万〜3000万mPa・sのシリコーン化合物
成分(E):揮発性オイル
成分(F):エステル油及び/又は植物油
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の毛髪化粧料には、サーファクチン及び/又はその塩;グリセリン、ジグリセリン、ポリエチレングリコール、及び糖アルコールからなる群より選択される1以上の多価アルコール;水;25℃における粘度1000万〜3000万mPa・sのシリコーン化合物;揮発性オイル;並びにエステル油及び/又は植物油を少なくとも含む。なお、本明細書において、サーファクチン及び/又はその塩を「成分(A)」、グリセリン、ジグリセリン、ポリエチレングリコール、及び糖アルコールからなる群より選択される1以上の多価アルコールを「成分(B)」、水を「成分(C)」、25℃における粘度1000万〜3000万mPa・sのシリコーン化合物を「成分(D)」、揮発性オイルを「成分(E)」、エステル油及び/又は植物油を「成分(F)」とそれぞれ称する場合がある。
【0012】
すなわち、本発明の毛髪化粧料は、成分(A)、成分(B)、成分(C)、成分(D)、成分(E)、及び成分(F)を少なくとも含む。本発明の毛髪化粧料は、上記成分(A)〜(F)以外の成分を含んでいてもよい。また、本発明の毛髪化粧料に含まれる各成分、例えば、成分(A)、成分(B)、成分(C)、成分(D)、成分(E)、成分(F)、及び他の成分等の各成分は、それぞれ、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0013】
[成分(A):サーファクチン及び/又はその塩]
成分(A)は、サーファクチン及び/又はその塩(サーファクチン(塩))である。すなわち、成分(A)は、サーファクチン及びサーファクチン塩のうちのいずれか一方又は両方である。成分(A)は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0014】
本発明の毛髪化粧料においては、成分(A)と成分(B)と成分(C)とを、油性成分と組み合わせて用いることにより、液晶ゲル構造からなるオイルゲルを形成し、オイル組成物中に水を取り込むことが可能となる。これにより、本発明の毛髪化粧料は、毛髪をまとめるヘアオイルの機能に加えて、毛髪自体をやわらかくし、毛髪に潤いを含んだやわらかさを付与することができる。さらに、毛髪をまとめる機能をより一層高めることができる。
【0015】
上記サーファクチンは、バチルス属微生物により生産される天然系の界面活性剤であり、7分子のアミノ酸からなる環状ペプチドの親水性部と、炭化水素鎖の疎水性部とで構成され、環状ペプチドには二個のカルボキシ基があり、全体として2価のアニオンの状態をとり得る。
【0016】
上記成分(A)としては、中でも、下記式(1)で表される化合物が好ましい。
【化1】
【0017】
上記式(1)中、L−Leuは、L−ロイシン残基、D−LeuはD−ロイシン残基、L−ValはL−バリン残基をそれぞれ示す。
【0018】
上記式(1)中、*は光学活性点を表す。上記式(1)で表される化合物は、光学活性体であってもよいし、ラセミ体等光学活性体の混合物であってもよい。
【0019】
上記式(1)中、Xは、ロイシン、イソロイシン、及びバリンから選択されるアミノ酸残基を示す。上記アミノ酸残基は、L体でもD体でもよいが、L体が好ましい。上記Xとしては、中でも、L−Leu(L−ロイシン残基)が好ましい。
【0020】
上記式(1)中、R
1は、同一又は異なって、−COOH、−COO
-、又は−COO
-M
+を示す。上記M
+は、カルボキシ基のカウンターカチオンを示し、例えば、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオンが挙げられる。上記アルカリ金属イオンとしては、例えば、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等が挙げられる。上記アンモニウムイオンは、窒素原子上に置換基を有していてもよい。上記置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基等の炭素数1〜6(C
1-6)アルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ビフェニル基等のC
6-12アリール基;ベンジル基、メチルベンジル基、フェニルエチル基等のC
7-18アラルキル基等の有機基が挙げられる。上記R
1は、−COO
-M
+(特に、−COO
-Na
+)を含むことが好ましい。
【0021】
上記式(1)中、R
2は、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を示す。上記直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基は直鎖状又は分岐鎖状のC
9-16アルキル基が好ましく、例えば、n−ノニル基、6−メチルオクチル基、7−メチルオクチル基、n−デシル基、8−メチルノニル基、n−ウンデシル基、9−メチルデシル基、n−ドデシル基、10−メチルウンデシル基、n−トリデシル基、11−メチルドデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基等が挙げられる。中でも、10−メチルウンデシル基が好ましい。
【0022】
上記サーファクチン塩は、予め塩に調製されたサーファクチン塩が配合されたものであってもよいし、サーファクチン及びアルカリ金属等の塩基としてそれぞれ配合され、本発明の毛髪化粧料を製造する過程でサーファクチン及び塩基から形成されたものであってもよい。
【0023】
上記成分(A)としては、サーファクチン塩が好ましく、より好ましくはサーファクチンナトリウム、特に好ましくはR
1が−COO
-M
+(特に、−COO
-Na
+)を含む上記式(1)で表される化合物である。上記成分(A)としては、INCI(International Nomenclature of Cosmetic Ingredient)名で「Sodium Surfactin(サーファクチンNa)」と表記される化合物が挙げられる。
【0024】
上記成分(A)の市販品としては、商品名「カネカ・サーファクチン」(株式会社カネカ製)(XがL−Leuであり、少なくとも1つのR
1が−COO
-Na
+であり、R
2が10−メチルウンデシル基である、上記式(1)で表される化合物)が挙げられる。
【0025】
本発明の毛髪化粧料中の成分(A)の含有割合は、本発明の毛髪化粧料100質量%に対して、0.05〜3.0質量%であり、好ましくは0.1〜2.5質量%である。上記含有割合が上記範囲内であることにより、成分(B)及び成分(C)と組み合わせて用いることで、水を取り込むことが可能なオイルゲルを形成できる。上記成分(A)の含有割合は、本発明の毛髪化粧料中の全ての成分(A)の含有割合の合計である。
【0026】
[成分(B):グリセリン、ジグリセリン、ポリエチレングリコール、及び糖アルコールからなる群より選択される1以上の多価アルコール]
成分(B)は、グリセリン、ジグリセリン、ポリエチレングリコール、及び糖アルコールからなる群より選択される1以上の多価アルコールである。成分(B)は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0027】
上記ポリエチレングリコールは、特に限定されないが、皮膚への刺激を低減する観点から、数平均分子量が50〜10000であることが好ましく、より好ましくは100〜1000である。
【0028】
上記糖アルコールとしては、特に限定されないが、例えば、ソルビトール、マルチトール、トレハロース、エリスリトール、アラビトール、リビトール、キシリトール、ガラクチトール、マンニトール等が挙げられる。
【0029】
本発明の毛髪化粧料中の成分(B)の含有割合は、本発明の毛髪化粧料100質量%に対して、3.0〜50.0質量%であり、好ましくは5.0〜30.0質量%である。上記含有割合が上記範囲内であることにより、成分(A)及び成分(C)と組み合わせて用いることで、水を取り込むことが可能なオイルゲルを形成できる。上記成分(B)の含有割合は、本発明の毛髪化粧料中の全ての成分(B)の含有割合の合計である。
【0030】
[成分(C):水]
成分(C)は水であり、特に限定されないが、精製水が好ましい。本発明の毛髪化粧料中の成分(C)の含有量は、本発明の毛髪化粧料100質量%に対して、0.5〜20.0質量%であり、好ましくは1.5〜15.0質量%、より好ましくは2.5〜10.0質量%である。
【0031】
[成分(D):25℃における動粘度1000万〜3000万mPa・sのシリコーン化合物]
成分(D)は、25℃における動粘度1000万〜3000万mPa・sのシリコーン化合物である。成分(D)は、成分(E)と組み合わせて用いることにより、毛髪化粧料の塗布後に毛髪上に皮膜を形成し、比較的少量で毛髪のまとまり(毛髪全体および毛先のまとまり)を優れたものとすることができる。このため、毛髪のべたつき及び不自然な光沢を抑え、自然な風合いとすることができ、軽い感触を与えることができる。さらに、加えて、毛髪の指どおりを向上したり、軋みの発生を抑えたりして、毛髪の手触りをよいものとすることができる。成分(D)は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0032】
成分(D)の25℃における動粘度は、上述のように1000万〜3000万mPa・sであり、好ましくは1200万〜2500万mPa・sである。
【0033】
成分(D)としては、ジメチルポリシロキサン、ジメチコノール等が挙げられる。上記成分(D)の市販品としては、商品名「XF49−811」、商品名「XF49−813」、商品名「XF49−D1747」、商品名「XF49−C2070」、商品名「XF49−B2317」(いずれも、モメンティヴ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)等が挙げられる。
【0034】
本発明の毛髪化粧料中の成分(D)の含有割合は、本発明の毛髪化粧料100質量%に対して、1.0〜10.0質量%であり、好ましくは1.5〜8.0質量%、より好ましくは3.0〜7.0質量%である。上記含有割合が1.0質量%以上であることにより、毛髪化粧料の塗布後に成分(D)が毛髪上に皮膜を形成し、毛髪のべたつき及び不自然な光沢を抑えつつ、毛髪のまとまりを優れたものとできる。上記含有割合が10.0質量%を越える場合には、高粘度の成分(D)を安定に毛髪化粧中に含有させることが困難となる。上記成分(D)の含有割合は、本発明の毛髪化粧料中の全ての成分(D)の含有割合の合計である。
【0035】
[成分(E):揮発性オイル]
成分(E)は、25℃で揮発性を有するオイル(油分)である。成分(E)の沸点は、例えば250℃以下であり、好ましくは230℃以下である。成分(E)は、成分(D)を溶解して毛髪上に塗布することを可能とし、また、塗布後は揮発することにより成分(D)の毛髪上への皮膜の形成を促進する。成分(E)は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0036】
成分(E)としては、例えば、環状シリコーン油、メチルトリメチコン、エチルトリシロキサン、トリシロキサン、カプリリルメチコン、炭化水素油、25℃における動粘度が0.1〜2.0mPa・sであるジメチルポリシロキサン等が挙げられる。上記環状シリコーン油としては、例えば、メチルシクロポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等が挙げられる。上記炭化水素油としては、例えば、イソパラフィン、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、水添ポリイソブテン、水添(テトラデセニル/メチルペンタデセン)、イソドデカン等が挙げられる。
【0037】
本発明の毛髪化粧料中の成分(E)の含有割合は、本発明の毛髪化粧料100質量%に対して、30.0〜90.0質量%であり、好ましくは40.0〜85.0質量%、より好ましくは50.0〜85.0質量%である。上記含有割合が30.0質量%以上であることにより、成分(D)の溶解性が十分であり、また、成分(D)の溶媒として機能した後(塗布後)は毛髪化粧料中の多くの成分が揮発することになるため、成分(D)の毛髪上への皮膜の形成を促進する。さらに、毛髪のべたつき及び不自然な光沢を抑え、自然な風合いとすることができ、軽い感触を与えることができる。上記含有割合が90.0質量%以下であることにより、成分(A)〜(D)及び成分(F)等の他の成分を十分に配合することができる。上記成分(E)の含有割合は、本発明の毛髪化粧料中の全ての成分(E)の含有割合の合計である。
【0038】
[成分(F):エステル油及び/又は植物油]
成分(F)は、エステル油及び/又は植物油である。すなわち、エステル油及び植物油のうちのいずれか一方又は両方である。成分(F)は、塗布後は毛髪にしっとり感を与えて、毛髪のまとまりを良好にする。成分(F)は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0039】
上記エステル油としては、例えば、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ミリスチル、パルミチン酸セチル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸プロピレングリコール、2−エチルヘキサン酸セチル、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、イソノナン酸イソノニル、アジピン酸ジイソプロピル、テトラオクタン酸ペンタエリスリチル、テトライソステアリン酸ペンタエリトリット、リンゴ酸ジイソステアリル、トリエチルヘキサン酸エリスリチル、ヒドロキシステアリン酸2−エチルヘキシル、ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、テトラ(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチル、ヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、(エチルヘキサン酸/ステアリン酸/アジピン酸)グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸)グリセリル、ヘキサ(ベヘン酸/安息香酸/エチルヘキサン酸)ジペンタエリスリチル等が挙げられる。
【0040】
上記植物油としては、例えば、マカデミアナッツ油、ユーカリ油、ヤシ油、アボカド油、サフラワー油、オリーブ油、パーム油、パーム核油、ククイナッツ油、シア脂(シアバター)、カカオバター、アーモンド油、ヒマワリ油、ローズヒップ油、オリーブスクワラン、カメリアオイル、キウイフルーツシード油、ツバキ油、杏仁油、ゴマ油、大豆油、ホホバ油、ヒマシ油、ヘーゼルナッツ油、メドホーム油、ハッカ油、アルガンオイル、カロットオイル、ラベンダー油、シュガースクワラン、ダマスクバラ花ロウ、センチフォリアバラ花ロウ、ソケイ花ワックス、これらの水素添加物(例えば、水素添加ヒマシ油、水素添加ホホバ油、水素添加パーム油、水素添加アボカド油、水素添加大豆油等)等が挙げられる。
【0041】
本発明の毛髪化粧料中の成分(F)の含有割合は、本発明の毛髪化粧料100質量%に対して、0.5〜10.0質量%であり、好ましくは1.0〜7.0質量%、より好ましくは1.0〜5.0質量%である。上記含有割合が0.5質量%以上であることにより、毛髪にしっとり感を与え、毛髪のまとまりを良好にする。上記含有割合が10.0質量%以下であることにより、成分(D)及び(E)を用いることにより得られる、毛髪のべたつき及び不自然な光沢を抑え、自然な風合いとすることができ、軽い感触が得られるという効果と、毛髪のまとまりを作ることができるという効果を両立させることができる。上記成分(F)の含有割合は、本発明の毛髪化粧料中の全ての成分(F)の含有割合の合計である。
【0042】
[成分(G):25℃における動粘度5〜10万mPa・sのジメチルポリシロキサン]
本発明の毛髪化粧料は、さらに、25℃における動粘度5〜10万mPa・sのジメチルポリシロキサン(「成分(G)」と称する場合がある)を含むことが好ましい。成分(G)の25℃における動粘度は、10〜10万mPa・sがより好ましい。本発明の毛髪化粧料が成分(G)を含む場合、毛髪をまとめる力がより向上し、さらに、軋みを抑制しなめらかとし、塗布後の毛髪をさらさらとした手触りとすることができる。成分(G)は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0043】
本発明の毛髪化粧料が成分(G)を含む場合、本発明の毛髪化粧料中の成分(G)の含有割合は、本発明の毛髪化粧料100質量%に対して、0.5〜10.0質量%が好ましく、より好ましくは1.0〜7.0質量%である。上記含有割合が0.5質量%以上であると、毛髪をまとめる力がより向上し、さらに、軋みを抑制しなめらかとし、塗布後の毛髪をさらさらとした手触りとすることができる。上記含有割合が10.0質量%を超えると、毛髪のべたつき及び不自然な光沢が生じる場合がある。上記成分(G)の含有割合は、本発明の毛髪化粧料中の全ての成分(G)の含有割合の合計である。
【0044】
[その他の成分]
本発明の毛髪化粧料は、本発明の目的を阻害しない範囲内で、上記成分(A)〜(G)以外の成分(その他の成分)を含んでいてもよい。上記その他の成分しては、特に限定されず、例えば、化粧品や医薬部外品に通常用いられる成分等が挙げられる。具体的には、例えば、エタノール等の低級アルコール;成分(B)以外の多価アルコール、成分(D)〜(G)以外の油性成分、油脂、高級アルコール等の油性成分;ミツロウ、コメヌカロウ、ラノリン、ヒマワリ種子ロウ、カルナウバロウ等のロウ;高級脂肪酸(塩)等の乳化剤;ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等の成分(A)以外の界面活性剤;カルボキシビニルポリマー、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、キサンタンガム等の増粘剤;保湿剤;殺菌剤;パール化剤;グリチルリチン酸及びその塩等の抗炎症剤;メントール等の清涼剤;リン酸及びその塩類、クエン酸及びその塩類、乳酸及びその塩類、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン等のpH調整剤;香料;紫外線吸収剤;酸化防止剤;金属イオン封鎖剤(キレート剤);ピリビニルピロリドン等の被膜形成性高分子化合物;カオリン、シリカ、タルク等の粉体;色素;顔料;ビタミン類;アミノ酸類;収斂剤;美白剤;動植物抽出物;酸;アルカリ等が挙げられる。なお、上記その他の成分からは、上記成分(A)〜(G)に含まれるものは除かれるものとする。
【0045】
本発明の毛髪化粧料は、特に限定されず、公知乃至慣用の方法により製造することができる。例えば、上記各成分を混合し、ホモミキサー、パドルミキサー等で攪拌して製造することができる。
【0046】
本発明の毛髪化粧料は、所謂ヘアオイルである。本発明の毛髪化粧料としては、例えば、アウトバストリートメント、整髪剤等が挙げられる。本発明の毛髪化粧料は、例えば、毛髪の広がりを抑え毛髪をまとめる目的、毛髪に艶を与える目的、ドライヤーやヘアアイロン等の熱から毛髪を保護する目的で用いられる。
【0047】
本発明の毛髪化粧料の使用方法は、特に限定されないが、例えば、下記の方法が挙げられる。(i)洗髪しタオルドライ後に、本発明の毛髪化粧料を、毛髪に全体的又は部分的に適量塗布し、ドライヤー等を用いて乾燥させる。(ii)乾いた毛髪又は僅かに湿らせた毛髪に、本発明の毛髪化粧料を全体的又は部分的に適量塗布し、必要に応じてヘアアイロンを用いるなどして、整髪する。本発明の毛髪化粧料を、他の整髪剤と併用して整髪を行ってもよい。
【0048】
本発明の毛髪化粧料は、界面活性剤としてサーファクチン及び/又はその塩[成分(A)]を用い、且つ、グリセリン、ジグリセリン、ポリエチレングリコール、及び糖アルコールからなる群より選択される1以上の多価アルコール[成分(B)]並びに水[成分(C)]と特定の割合で組み合わせて、水を含んだオイルゲル(液晶ゲル)を形成している。
本発明者らは、上記オイルゲルが、液晶中に水を抱え込んでいるためと推定されるが、毛髪に潤いを与えることを見出した。さらに、このようなオイルゲルを、特定の配合組成の油性成分と組み合わせることにより、毛髪にやわらかさを与え、優れたまとまりを発揮しうる、極めて優れたヘアオイルが得られることを見出した。
本発明においては、当該オイルゲルと組み合わせて、油性成分として、25℃における動粘度1000万〜3000万mPa・sのシリコーン化合物[成分(D)]、揮発性オイル[成分(E)]、並びにエステル油及び/又は植物油[成分(F)]をそれぞれ特定の含有割合で用いている。上記油性成分は、成分(D)と成分(E)をそれぞれ特定の含有割合で組み合わせて用いることにより、成分(D)が毛髪化粧料に溶解し、毛髪化粧料の塗布後は成分(E)が揮発することにより、毛髪上に成分(D)の皮膜を形成する。このため、毛髪のべたつき及び不自然な光沢を抑え、自然な風合いとすることができ、軽い感触を与えることができる。また、成分(D)及び成分(E)に加え、成分(F)を特定の含有割合で用いることにより、成分(D)及び成分(E)を用いることによる効果を発揮しながら、成分(F)に起因する重い感触を抑えつつ、毛髪のまとまりをつくる力を向上させることができる。このような油性成分に上記オイルゲルによる効果が加わることにより、軽い感触でありながら、毛髪のまとまりに極めて優れ、なおかつ、毛髪にやわらかさを与える効果を発揮しうる。
【実施例】
【0049】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。なお、表に記載の配合量は、各成分の配合量(すなわち、各原料中の有効成分の配合量。所謂純分)であり、特記しない限り「質量%」で表す。
【0050】
実施例1〜13、比較例1〜12
表に記した各成分(成分(A)〜(G)及びその他の成分)を用い、実施例及び比較例の各洗浄剤を常法により調製した。
【0051】
表に記載の主な成分は、以下の通りである。
【0052】
サーファクチンナトリウム:商品名「カネカ・サーファクチン」(株式会社カネカ製)、サーファクチンNa
高重合シリコーン(1800万mPa・s):商品名「XF49−811」(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)、25℃における動粘度約1800万mPa・s、ジメチルポリシロキサン
高重合シリコーン(2000万mPa・s):商品名「XF49−C4470」(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)、25℃における動粘度約2000万mPa・s、ジメチコノール
高重合シリコーン(1200万mPa・s):商品名「XF49−B2317」(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)、25℃における動粘度約1200万mPa・s、ジメチルポリシロキサン
水添ポリイソブテン:商品名「マルカゾールR」(丸善石油化学株式会社製)
シクロペンタシロキサン:商品名「TSF405」(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)、デカメチルシクロペンタシロキサン
メチルトリメチコン:商品名「TMF−1.5」(信越化学工業株式会社製)
ジメチルポリシロキサン(6万mPa・s):商品名「SH200C Fluid 60000CS」(東レ・ダウコーニング株式会社製)、25℃における動粘度約6万mPa・s
ジメチルポリシロキサン(100mPa・s):商品名「SH200C Fluid 100CS」(東レ・ダウコーニング株式会社製)、25℃における動粘度約100mPa・s
ジメチルポリシロキサン(20mPa・s):商品名「SH200C Fluid 20CS」(東レ・ダウコーニング株式会社製)、25℃における動粘度約20mPa・s
【0053】
(評価)
実施例及び比較例で得られた各毛髪化粧料について以下の通り評価した。評価結果は表に記載した。但し、比較例1〜5は、組成物に分離又は沈殿が生じるものであったため、他の評価を行わなかった。
【0054】
(1)ゲルの状態
実施例及び比較例で得られた各毛髪化粧料の性状(調製後3日後)を目視にて観察し、以下の基準で判定した。
[ゲルの状態の判定基準]
○(良好):ゲルの性状を有しており、分離・沈殿が認められない。
×(不良):分離又は沈殿が見られた。
比較例12は、オイル状の性状であり、ゲルの性状は有していない。なお、比較例12には、分離・沈殿は認められなかった。
【0055】
(2)毛髪の手触りのよさ、毛髪のしっとり感、毛髪のやわらかさ、毛髪のべたつきのなさ
毛束(長さ30cm、重さ10g、キューティクルの揃った毛束)に、過酸化水素とアンモニアを用いてブリーチ処理を施し、試料毛束を作製した。
実施例及び比較例で得られた各毛髪化粧料約0.3gを、上記試料毛束に均一に塗布し、30分間放置した。放置後の試料毛束の上部から下部方向に指を通し、さらに毛束を手で握ることにより、手触りのよさ、しっとり感、やわらかさ、及びべたつきのなさを以下の基準で判定した。
なお、上記毛髪化粧料を塗布した後の試料毛束を「塗布後の試料毛束」、上記毛髪化粧料を塗布する前の試料毛束を「未塗布の試料毛束」と称する。
[毛髪の手触りのよさの判定基準]
○(良好):塗布後の試料毛束に指を通した際に、指が引っ掛かるような感触がなく、すべりがよい。
×(不良):塗布後の試料毛束に指を通した際に、指が引っ掛かるような感触があり、軋み感がある。
[毛髪のしっとり感の判定基準]
○(良好):塗布後の試料毛束が、未塗布の試料毛束よりも潤いがある。
×(不良):塗布後の試料毛束が、未塗布の試料毛束と比べて潤いに差がない。
[毛髪のやわらかさの判定基準]
○(良好):塗布後の試料毛束が、未塗布の試料毛束よりもやわらかい。
×(不良):塗布後の試料毛束が、未塗布の試料毛束と比べてやわらかさに差がない。
[毛髪のべたつきのなさの判定基準]
○(良好):塗布後の試料毛束を握った際に、手に化粧料が付着する感触がなく、べたつきがない。
×(不良):塗布後の試料毛束を握った際に、手に化粧料が付着する感触があり、べたつきがある。
【0056】
(3)毛髪のまとまり、不自然な光沢のなさ
上記(2)の評価後に、試料毛束を目視にて観察し、毛髪のまとまり、不自然な光沢のなさを以下の基準で判定した。
[毛髪のまとまりの判定基準]
○(良好):毛束が下方に向けて広がっておらず毛束全体がまとまっており、さらに毛束の先端部分もまとまっている。
△(不十分):毛束が下方に向けて広がっておらず毛束全体がまとまっているものの、毛束の先端部分はやや広がっている。
×(不良):毛束全体が下方に向けて明らかに広がっている。
[不自然な光沢のなさの判定基準]
○(良好):健常毛の光沢に近い光沢である。
×(不良):油分が塗布されたような光沢や濡れたような光沢が認められる。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】
本発明の毛髪化粧料(実施例)は、毛髪にやわらかさを付与し、毛髪のまとまりをつくる力に優れ、且つべたつき及び不自然な光沢を抑えることができると評価された。
【0060】
さらに、以下に、本発明の毛髪化粧料の処方例を示す。
【0061】
(処方例1:ヘアオイル)
サーファクチンナトリウム 0.5質量%
グリセリン 10.0質量%
精製水 4.0質量%
ジメチルポリシロキサン(25℃における動粘度約1800万mPa・s)5.0質量%
ジメチルポリシロキサン(25℃における動粘度約350mPa・s) 1.0質量%
ジメチルポリシロキサン(25℃における動粘度約10mPa・s) 1.0質量%
ジメチルポリシロキサン(25℃における動粘度約1.5mPa・s) 5.0質量%
水添ポリイソブテン 残 部
アルガンオイル 1.0質量%
イソノナン酸イソノニル 2.0質量%
酢酸トコフェロール 適 量
香料 適 量
合 計 100質量%
【0062】
(処方例2:ヘアオイル)
サーファクチンナトリウム 1.0質量%
グリセリン 18.0質量%
ジグリセリン 2.0質量%
精製水 4.0質量%
ジメチルポリシロキサン(25℃における動粘度約1200万mPa・s)5.0質量%
ジメチルポリシロキサン(25℃における動粘度約100mPa・s) 1.0質量%
ジメチルポリシロキサン(25℃における動粘度約6万mPa・s) 1.0質量%
デカメチルシクロペンタシロキサン 5.0質量%
水添ポリイソブテン 残 部
アルガンオイル 1.0質量%
パルミチン酸エチルヘキシル 1.0質量%
シクロヘキサンジカルボン酸ビスエトキシジグリコール 0.5質量%
パラメトキシケイ皮酸エチルヘキシル 適 量
香料 適 量
合 計 100質量%
【0063】
(処方例3:ヘアオイル)
サーファクチンナトリウム 1.0質量%
グリセリン 10.0質量%
ポリエチレングリコール400 3.0質量%
精製水 4.0質量%
ジメチルポリシロキサン(25℃における動粘度約1200万mPa・s)5.0質量%
ジメチルポリシロキサン(25℃における動粘度約20mPa・s) 0.5質量%
ジメチルポリシロキサン(25℃における動粘度約6万mPa・s) 1.0質量%
ジメチルポリシロキサン(25℃における動粘度約1mPa・s) 10.0質量%
デカメチルシクロペンタシロキサン 5.0質量%
水添ポリイソブテン 残 部
アルガンオイル 1.0質量%
パルミチン酸エチルヘキシル 1.0質量%
ダイマージリノール酸ダイマージリノレイル 0.5質量%
パラメトキシケイ皮酸エチルヘキシル 適 量
香料 適 量
合 計 100質量%