(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記薄膜トランジスタは、前記第1基板上に配置されたゲート電極と、前記ゲート電極上に配置されたゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に配置された半導体層と、前記半導体層上に互いに離隔して配置されたソース電極およびドレイン電極とを含み、
前記ゲート絶縁膜の下部に前記第1電極が配置された、請求項6に記載のアレイ基板。
前記薄膜トランジスタは、前記第1基板上に配置されたゲート電極と、前記ゲート電極上に配置されたゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に配置された半導体層と、前記半導体層上に互いに離隔して配置されたソース電極およびドレイン電極と、を含み、
前記ゲート絶縁膜の下部に前記第1電極が配置され、
前記連結パターンは、前記第2電極と同じ層に同じ物質からなり、
前記第1電極は、前記連結パターンによって前記ドレイン電極と接続される、請求項10に記載のアレイ基板。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、一般的に液晶の光学的異方性と分極性質によって駆動される。液晶分子は、細長い構造をしているため、その配列に方向性があり、液晶に電界を人為的に印加することで、分子の配列方向を制御することができる。
【0003】
したがって、液晶分子の配列を任意に調節することでその配列が変わり、液晶の光学的異方性によって光が液晶分子の配列方向に屈折して、画像を表示することができる。
【0004】
現在は、薄膜トランジスタおよび薄膜トランジスタに接続された画素電極がマトリクス状に配列されたアクティブマトリクス液晶表示装置(AM−LCD:Active Matrix LCD、以下、液晶表示装置と略す。)が、解像度および動映像の具現能力から、最も注目を浴びている。
【0005】
前記液晶表示装置は、共通電極が形成されたカラーフィルター基板と、画素電極が形成されたアレイ基板と、前記両基板の間に介在された液晶とからなるが、かかる液晶表示装置は、共通電極と画素電極が上下にかかる電界によって液晶を駆動する方式であり、透過率や開口率といった特性に優れる。
【0006】
また、最近は、上下基板のうちの一方に電極が交互に配置され、基板の間に液晶が配置されて映像を表示する横電界方式の液晶表示装置と、横電界方式の液晶表示装置より視野角特性に優れたフリンジフィールドスイッチング(Fringe−Field Switching:FFS)モードの液晶表示装置が提案されている。
【0007】
図1は、従来のフリンジフィールドスイッチングモードの液晶表示装置を概略的に示す図である。
【0008】
図1に示すように、フリンジフィールドスイッチングモードの液晶表示装置100には、ゲート配線43、およびゲート配線43と交差して画素領域Pを定義するデータ配線51が構成されている。
【0009】
また、画素領域Pには、前記データ配線51および前記ゲート配線43に接続され、ゲート電極(不図示)やゲート絶縁膜(不図示)、半導体層(不図示)、ソース電極55およびドレイン電極58を含むスイッチング素子である薄膜トランジスタTrが形成されている。
【0010】
また、画素領域Pには、板状の画素電極60が形成されている。
【0011】
さらに、画素領域Pを含む表示領域の全面には、画素領域Pに対応して、前記板状の画素電極60と重なり、画素領域P内にバー状の複数の開口opを有する共通電極70が形成されている。そのとき、前記共通電極70は、表示領域の全面に形成されるが、1つの画素領域Pに対応する部分を一点鎖線で示している。
【0012】
このような構成を有するフリンジフィールドスイッチングモードの液晶表示装置100は、画素領域P毎に複数のバー状の開口opを有する前記共通電極70および画素電極60に電圧が印加されることによって、フリンジフィールドを形成する。
【0013】
すなわち、共通電極70と画素電極60との間に電界が形成されると、垂直成分を含むフリンジフィールドが形成され、それによって液晶分子(不図示)が駆動される。
【0014】
図2は、切断線II−IIに沿って切断した部分を概略的に示す断面図である。
【0015】
図2に示すように、第1基板11の上部に画素電極60が配置され、画素電極60の上部に保護層80が配置され、保護層80の上部に共通電極70が配置される。
【0016】
ここで、共通電極70と画素電極60は、透明導電性物質、例えば酸化インジウムスズ(ITO)を蒸着することによって形成される。
【0017】
また、共通電極70の上部には、ポリイミド系列の有機物質からなる第1配向膜90aが形成される。
【0018】
ここで、第1基板11は、液晶層99を介在して、第2配向膜90bが形成された第2基板12と貼り合わされる。
【0019】
かかるFFSモードの液晶表示装置100は、画素電極60と共通電極70が保護層80を介在して離隔されており、液晶駆動時に印加される直流電圧(DC voltage)が高抵抗層である保護層80に溜まることになる。
【0020】
図3は、配向膜の界面に分極現象が生じた画像である。
【0021】
図3に示すように、液晶セル内に直流電圧(DC)が印加されると、液晶層(
図2の99)の不純物がイオン化されて、第1配向膜(
図2の90a)に積層される分極現象が生じることになる。
【0022】
それによって、液晶分子は、第1配向膜(
図2の90a)に吸着されたイオンのため、直流電圧(DC)を独自に有することになるが、それを残留直流電圧(residual DC voltage、以下R−DCと略する。)と称する。
【0023】
このようなR−DCは、第1配向膜(
図2の90a)の電気的特性と共に残像を起こす重要な原因になるが、かかるR−DCは、液晶セル内の液晶分子の光学的な媒介変数であるプレチルト角(pretilt angle)を変化させ、分子の配列方向を変化させるので、外部から印加された、変化した信号の電圧に液晶分子が敏感に反応することができず、長時間、同じ画像を表示する場合は、表示画面が変わっても累積された電荷によって初期画面の名残が残るという問題が発生する。
【発明を実施するための形態】
【0048】
FFSモードの液晶表示装置(
図2の100)において、高抵抗層である保護層(
図2の80)に溜まった直流電圧(DC voltage、以下ではDCと略す。)は、相対的に抵抗の低い第1配向膜(
図2の90a)を通じて放出される。以下、このような放出のことを、DC Releaseと称することとする。
【0049】
一方、R−DCは、第1配向膜(
図2の90a)における分極量が多いほど、多く誘導されるので、第1配向膜(
図2の90a)における速やかなDC Releaseが重要である。
【0050】
ここで、第1配向膜(
図2の90a)を通じたDC Releaseは、配向膜の抵抗値(Ωcm)に依存する。
【0051】
すなわち、第1配向膜(
図2の90a)の抵抗値(Ωcm)が低いほど、第1配向膜(
図2の90a)を通じたDC Releaseが速やかに行われ、その結果、分極を抑制することができる。
【0052】
図4は、配向膜の抵抗値に対する分極量を示すグラフである。
【0053】
図4に示すように、Y軸は、分極量を表し、X軸は、第1配向膜(
図2の90a)の界面から第2配向膜(
図2の90b)の界面までの距離A−A´を表す。
【0054】
第1配向膜(
図2の90a)の抵抗値(Ωcm)が低いほど、第1配向膜(
図2の90a)の界面Aに形成された分極量が少なくなることが分かる。
【0055】
分極量が少なくなるのでR−DCが最小化され、R−DCによる残像を防止することができる。
【0056】
このように、FFSモードの液晶表示装置(
図2の100)における残像を改善するためには、第1配向膜(
図2の90a)の抵抗値を低め、保護層80の抵抗値(Ωcm)を高めることが好ましい。
【0057】
但し、上述したように、第1配向膜(
図2の90a)は、ポリイミド系列の有機物質からなるが、ポリイミドの場合、低抵抗に形成されると配向力が低下するという問題があり、第1配向膜(
図2の90a)を通じた残像の改善には限界があった。
【0058】
それ故、本発明は、第1配向膜の配向力が低下することなく、残像を改善することができるアレイ基板およびそれを含む液晶表示装置を提示する。
【0059】
以下、図面を参照し、本発明の実施例について説明する。
【0060】
第1実施例
図5は、本発明の第1実施例に係る液晶表示装置を概略的に示す断面図であり、
図6は、本発明の第1実施例に係る液晶表示装置のB部分を拡大した図である。
【0061】
図5に示すように、本発明の第1実施例に係る液晶表示装置200は、第1電極160および第2電極170が形成された第1基板110と、第1基板110と対向する第2基板120と、それらの間の液晶層199とを備える。ここで、第1基板110は、アレイ基板であり、カラーフィルター層を含む第2基板120は、カラーフィルター基板であり得る。
【0062】
第1基板110上の各画素領域P内における、薄膜トランジスタが形成される素子領域TrAには、半導体層115と、前記第1基板110の全面に、前記半導体層115上にゲート絶縁膜118が形成されており、前記ゲート絶縁膜118上に、前記半導体層115のうちの中央部に対応してゲート電極112が形成されている。
【0063】
また、前記ゲート電極112上の前記半導体層115の両縁部、すなわち、ソースおよびドレイン領域115d、115e、をそれぞれ露出させる半導体層コンタクトホール125、127を備えた層間絶縁膜123が、前記第1基板110の全面に形成されている。
【0064】
ここで、ソースおよびドレイン領域115d、115eには、高濃度の不純物がドープされていることがある。
【0065】
図5において、コプラナー構造の薄膜トランジスタTrが示されているが、これに限定されるものではない。例えば、ボトムゲート構造の薄膜トランジスタを用いることもできる。
【0066】
また、前記層間絶縁膜123上に、前記半導体層コンタクトホール125、127を介して前記ソースおよびドレイン領域115d、115eとそれぞれ接触し、互いに離隔するソースおよびドレイン電極155、158が形成されており、前記ソースおよびドレイン電極155、158上に、前記ドレイン電極158を露出させるドレインコンタクトホール153を有する絶縁層150を形成することができる。絶縁層150の上部には、第1電極160および第2電極170を配置することができ、第1電極160と第2電極170との間には、保護層180を配置することができる。
【0067】
一方、第1実施例では、ドレインコンタクトホール153を介してドレイン電極158と第1電極160が接触しているが、他の実施例では、ドレイン電極158と第2電極170が接触してもよい。
【0068】
また、第1実施例では、薄膜トランジスタTr上に第1電極160が位置しているが、他の実施例では、薄膜トランジスタTrと第1電極160を同じ層に形成することもできる。例えば、第1電極160が層間絶縁膜123上に形成されてもよい。
【0069】
一方、第2電極170上には、第1配向膜190aを形成することができる。
【0070】
第1電極160と第2電極170との間には保護層180を形成することで、電圧が印加されると、第1電極160と第2電極170との間にフリンジフィールドが形成される。
【0071】
このように、第1実施例に係る液晶表示装置200は、フリンジフィールドスイッチングモードの液晶表示装置(FFS)である。
【0072】
ここで、第1電極160および第2電極170のうち、一方は、画素電極であり、他方は、共通電極であり得る。
【0073】
一方、第1基板110に対向する第2基板120の下部には、第2配向膜190bが形成されており、示してはいないが、第2基板120と第2配向膜190bとの間に、光漏れを防止するブラックマトリクス(不図示)と、各画素領域Pに対応して赤(Red)・緑(Green)・青(Blue)のカラーフィルターパターンからなるカラーフィルター層(不図示)とを形成することができる。
【0074】
そして、前記カラーフィルター層の下部には、表面を平坦化してカラーフィルター層を保護するオーバーコート層(不図示)を形成することができる。
【0075】
このように、液晶層199を介在して第1基板110と第2基板120を貼り合わせ、フリンジフィールドスイッチングモードの液晶表示装置200を形成することができる。
【0076】
前述したフリンジフィールドスイッチングモードの液晶表示装置200の構成は、一例であって、これに限定されるものではない。
【0077】
ここで、本発明の第1実施例に係る液晶表示装置200は、第1電極160と第2電極170との間の保護層180を多層に構成することができる。
【0078】
すなわち、
図6に示すように、第1電極160と第2電極170との間の保護層180を二層180a、180bに構成することができる。
【0079】
これについて、より詳細に説明すると、第1電極160は板状であって、絶縁層150の上部に配置され、その上部に、保護層180の第1層180aが形成される。
【0080】
また、保護層180の第1層180aの上部に第2層180bを形成し、第2層の上部に、バー状の複数の開口OPを有する第2電極170を配置することができる。
【0081】
第1電極160および第2電極170のそれぞれは、透明導電性物質、例えば酸化インジウムスズ(ITO)、若しくは酸化インジウム亜鉛(IZO)からなることができる。
【0082】
また、第1電極160と第2電極170との間に配置される保護層180の第1層180aおよび第2層180bのそれぞれは、無機絶縁物質、例えば窒化シリコン(SiNx)を蒸着して形成することができる。
【0083】
ここで、保護層180の第1層180aおよび第2層180bは、互いに異なる抵抗値を有する。
【0084】
第1層180aは、高抵抗層からなる。例えば、第1層180aの抵抗値は、10
13(Ωcm)〜10
16(Ωcm)であり得るが、これに限定されるものではなく、10
13(Ωcm)以上の高抵抗値を有することができる。
【0085】
一方、第2層180bは、低抵抗層からなる。例えば、第2層180bは、第1層180aの抵抗値の1/1000〜1/10の抵抗値を有することができるが、これに限定されるものではない。
【0086】
かかる第1層180aと第2層180bの抵抗値の差は、同じ工程で蒸着条件を変更して形成することができる。例えば、第1層180aと第2層180bの形成工程において、i)ソースガス(NH
3,SiH
4)の割合を調節、ii)工程温度を調節、iii)工程圧力を調節するなどして、互いに異なる抵抗値を持たせることができる。
【0087】
また、第2層180bの厚さは、第1層180aの厚さと同じであってもよく、または第1層180aの厚さより薄くてもよい。
【0088】
ここで、第2層180bの厚さは、3000Å以下であり得る。例えば、200Å〜3000Åであり得るが、これに限定されるものではない。
【0089】
そして、保護層180の第2層180bの上部に、複数の開口OPを有する第2電極170を配置することができる。
【0090】
また、第2電極170上に、第1配向膜190aが形成される。すなわち、第1配向膜190aは、第2電極170および第2層180bと接触することができる。
【0091】
ここで、第1配向膜190aの形成は、高分子薄膜を塗布して第1配向膜190aを一定の方向に配列させる工程で行うことができる。
【0092】
また、第1配向膜190aに、ポリイミド系列の有機物質を用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0093】
ここで、第1配向膜190aの抵抗値は、保護層180の第2層180bの抵抗値と同じであってもよく、またはそれより大きくてもよい。
【0094】
このように、本発明の第1実施例に係る液晶表示装置(
図5の200)は、第1電極160と第2電極170との間の保護層180を、高抵抗の第1層180aと低抵抗の第2層180bとから構成する。
【0095】
したがって、第1配向膜190aの下部に低抵抗層を配置することで、第1配向膜190aの界面における分極を抑制すると同時に、液晶駆動時に印加される直流電圧(DC)を、低抵抗層である第2層180bを通じて速やかに放出させることができる。
【0096】
その結果、残留直流電圧(R−DC)による残像を効果的に改善することができる。
【0097】
特に、第1配向膜190aを低抵抗に設計する場合、配向力の低下が誘発されるが、第1配向膜190aの低抵抗設計に代わって保護層180の上部を低抵抗層に形成することで、第1配向膜190aの高配向力を維持しながら、残像を効果的に改善することができる。
【0098】
図7は、本発明の第1実施例に係る液晶表示装置および従来の液晶表示装置におけるDC Releaseを示すグラフである。
【0099】
図7に示すように、Y軸は、残留直流電圧(DC)を表し、X軸は、時間(sec)を表す。従来の単層保護層(
図2の80)の液晶表示装置(
図2の100)と、本発明の第1実施例に係る液晶表示装置(
図5の200)における残留直流電圧(R−DC)の量および時間当たりの残留直流電圧(R−DC)の減少速度を比較してみると、残留直流電圧(R−DC)の量は、減少し、時間当たりの残留直流電圧(R−DC)の減少速度は、増加したことが分かる。
【0100】
このように、本発明の第1実施例は、第1電極(
図6の160)と第2電極(
図6の170)との間の保護層(
図6の180)を、高抵抗層の第1層(
図6の180a)および低抵抗層の第2層(
図6の180b)の二層に構成して分極を抑制し、残留直流電圧(R−DC)の量を減少させると同時に、低抵抗層の第2層180bを通じて時間当たりの残留直流電圧(R−DC)の減少速度を増加させ、高配向力を維持しながら、残像を効果的に改善することができる。
【0101】
図8Aは、本発明の第1実施例に係る液晶表示装置におけるグレーオフセットの変化を示すグラフであり、
図8Bは、本発明の第1実施例に係る液晶表示装置における保護層の断面を示す画像である。
【0102】
図8Aに示すように、本発明の第1実施例の場合、高抵抗層および低抵抗層の二層構造の保護層180によって、DC Releaseの時間は、減少するが、駆動Vcomと輝度曲線bcの中心軸caとの間の電圧差(以下、グレーオフセット)が、421mV発生したことが分かる。
【0103】
この場合、ポジティブ極性とネガティブ極性の非対称により、輝度差を誘発し得る。
【0104】
図8Bに示すように、共通配線またはパッドなどを
露出させるためのコンタクトホールCHを形成する過程においてドライエッチング工程を行う場合、高抵抗層の第1層180aと低抵抗層の第2層180bにおけるエッチングレートの差によって、第1層180aおよび第2層180bのコンタクトホールCHが、逆テーパ形状に変更されることが分かる。
【0105】
この場合、コンタクトホールCHの断線が発生し、画素不良を誘発し得る。
【0106】
このように、本発明の第1実施例は、第1電極160と第2電極170との間の保護層180を、高抵抗層の第1層180aおよび低抵抗層の第2層180bの二層に構成し、低抵抗層である第2層180bを通じて残留直流電圧(R−DC)のDC Releaseの時間を減少させることができるが、グレーオフセットやパターン工程上の問題が発生することになる。
【0107】
第2実施例
本発明の第2実施例に係る液晶表示装置は、第1実施例に係る液晶表示装置に比べ、保護層の構成に差がある。それについて以下で詳細に説明する。
【0108】
図9は、本発明の第2実施例に係る液晶表示装置の断面図であって、
図5のB部分を拡大した図である。
【0109】
図9に示すように、第1電極260と第2電極270との間の保護層280を、三層280a、280b、280cに構成することができる。
【0110】
それについて、さらに詳細に説明すると、第1電極260は、板状であって、絶縁層250の上部に配置され、その上部に保護層280の第1層280aが形成される。
【0111】
また、保護層280の第1層280aの上部に第2層280bが形成され、第2層280bの上部には、第3層280cが形成されて、第3層280cの上部にバー状の複数の開口OPを有する第2電極270が配置される。
【0112】
すなわち、第1実施例の保護層(
図6の180)の構造において、第2電極(
図6の170)と保護層(
図6の180)の第2層(
図6の180b)との間に第3層280cが配置される構成である。
【0113】
第1電極260および第2電極270は、透明導電性物質、例えば酸化インジウムスズ(ITO)、または酸化インジウム亜鉛(IZO)からなることができる。
【0114】
また、第1電極260と第2電極270との間に配置される保護層280の第1層ないし第3層280a、280b、280cは、無機絶縁物質、例えば窒化シリコン(SiNx)を蒸着して形成することができる。
【0115】
ここで、保護層280の第1層280aおよび第3層280cは、第2層280bとは異なる抵抗値を有する。
【0116】
すなわち、第1層280aおよび第3層280cは、高抵抗層からなる。例えば、第1層280aおよび第3層280cの抵抗値は、10
13(Ωcm)〜10
16(Ωcm)であり得るが、これに限定されるものではなく、10
13(Ωcm)以上の高抵抗値を有することができる。
【0117】
一方、第2層280bは、低抵抗層からなる。例えば、第2層280bは、第1層280aおよび第3層280cの抵抗値の1/1000〜1/10の抵抗値を有することができるが、これに限定されるものではない。
【0118】
かかる第1層ないし第3層280a、280b、280cの抵抗値の差は、同じ工程で蒸着条件を変更して形成することができる。例えば、第1層ないし第3層280a、280b、280cの形成工程において、i)ソースガス(NH
3,SiH
4)の割合を調節、ii)工程温度を調節、iii)工程圧力を調節するなどして、互いに異なる抵抗値を持たせることができる。
【0119】
また、第2層280bの厚さは、第1層280aの厚さと同じであるか、または第1層280aの厚さより薄くてもよく、第3層280cの厚さより厚くてもよい。
【0120】
また、第2層280bの厚さは、第1ないし第3層280a、280b、280cを含む保護層280の厚さの1/2未満であることが望ましいが、これに限定されるものではない。
【0121】
ここで、第2層280bの厚さは、3000Å以下であり得る。例えば、200Å〜3000Åであり得るが、これに限定されるものではない。
【0122】
また、第3層280cは、第1実施例に伴う過度なグレーオフセットおよびパターン工程特性上の問題(コンタクトホールの断線)を防止するための高抵抗層であって、工程上可能な最小限の厚さに形成することが望ましい。例えば、200Åであるが、これに限定されるものではない。
【0123】
そして、保護層280の第3層280cの上部に、複数の開口OPを有する第2電極270を配置することができる。
【0124】
また、第2電極270上に、第1配向膜290aが形成される。すなわち、第1配向膜290aは、第2電極270および第3層280cと接触することができる。
【0125】
ここで、第1配向膜290aの形成は、高分子薄膜を塗布して第1配向膜290aを一定の方向に配列させる工程で行うことができる。
【0126】
また、第1配向膜290aに、ポリイミド系列の有機物質を用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0127】
ここで、第1配向膜290aの抵抗値は、保護層280の第2層280bの抵抗値と同じであってもよく、またはそれより大きくてもよい。
【0128】
次に、互いに対向する第1基板(
図5の110)と、第2配向膜290bが形成された第2基板220とが液晶層299を介在して貼り合わされ、本発明の液晶表示装置が形成される。
【0129】
ここで、第1基板(
図5の110)はアレイ基板であり、第2基板220はカラーフィルター基板であり得る。
【0130】
このように本発明の第2実施例に係る液晶表示装置は、第1電極260と第2電極270との間の保護層280を、高抵抗の第1層280aと低抵抗の第2層280bと高抵抗の第3層280cとから構成する。
【0131】
したがって、三層に構成された保護層280を第1配向膜290aの下部に配置することで、液晶駆動時に印加される直流電圧(DC)を、低抵抗層である第2層280bを通じて速やかに放出させることができ(DC Releaseの時間減少)、また高抵抗層である第3層280cを低抵抗層である第2層280bの上部に配置することで、第1実施例に伴う過度なグレーオフセットおよびパターン工程特性上の問題(コンタクトホールの断線)を防止することができる。
【0132】
さらに、第1配向膜290aの界面における分極を抑制することができ、その結果、残留直流電圧(R−DC)を減少させることができる。
【0133】
特に、第1配向膜290aを低抵抗に設計する場合、配向力の低下が誘発されるが、第1配向膜290aの低抵抗設計に代わって保護層280に低抵抗層を形成することで、第1配向膜290aの高配向力を維持しながら、残像を効果的に改善することができる。
【0134】
さらに、低抵抗層である第2層280bの上部に高抵抗層である第3層280cを配置することで、第1実施例に伴う過度なグレーオフセットおよびパターン工程特性上の問題(コンタクトホールの断線)を防止することができる。
【0135】
第3実施例
説明の便宜上、以下では、第1実施例と同一、または類似の構成に対する具体的な説明を省略する。
【0136】
図10は、本発明の第3実施例に係る液晶表示装置を概略的に示す図であり、
図11は、本発明の第3実施例に係る液晶表示装置の断面図である。
【0137】
図10に示すように、第1基板310上に、第1方向に延長して一定の間隔離隔する複数のゲート配線GLが備えられており、前記ゲート配線GLと交差する第2方向に延長して複数のデータ配線DLが備えられている。
【0138】
そのとき、互いに交差する前記ゲート配線GLおよび前記データ配線DLによって画素領域Pが定義される。
【0139】
一方、前記ゲート配線GLと所定の間隔離隔し、平行な方向に共通配線316を配置することもできる。
【0140】
また、前記各画素領域Pにおいて、前記ゲート配線GLと前記データ配線DLが交差する付近には、これらのゲートおよびデータ配線GL、DLと接続されたスイッチング素子である薄膜トランジスタTrが形成されている。
【0141】
ここで、薄膜トランジスタTrは、第1基板310上に配置されたゲート電極312と、ゲート電極312上に配置されたゲート絶縁膜318と、ゲート絶縁膜318上に配置された半導体層315と、半導体層315上に互いに離隔して配置されたソース電極355およびドレイン電極358とを含むことができる。
【0142】
また、ゲート電極312と同一層に、同一物質からなる第1電極360と共通配線316を配置することができる。
【0143】
そして、薄膜トランジスタTr上には、第1実施例または第2実施例に係る保護層(
図6の180、
図9の280)が配置され、保護層(
図6の180、
図9の280)の上部には、複数の開口を有する第2電極370が配置される。
【0144】
以下、保護層380について、第2実施例の三層構造(
図9の280)を基準にして説明する。
【0145】
一方、保護層380および薄膜トランジスタTrを貫通するジャンピングホール353とジャンピングホール353の上部に配置された連結パターン384を介して、前記薄膜トランジスタTrのドレイン電極358と第1電極360とを接続させることができる。
【0146】
ここで、連結パターン384は、第2電極370と同一層に、同一物質で形成することができる。
【0147】
それによって、金属材質の連結パターン384が保護層380の側面と接触できるようになる。
【0148】
特に、連結パターン384が低抵抗層である第2層380bと接触し、液晶駆動時に印加される直流電圧(DC)を、低抵抗層である第2層380bと連結パターン384および第1電極360を通じて効果的に放出できるようになる(DC Releaseの時間減少)。
【0149】
さらに、低抵抗層である第2層380bの上部に高抵抗層である第3層380cを配置させることで、ジャンピングホール353を形成する際に、逆テーパ形状が発生することを防止し、連結パターン384が断線することを防止することができる。
【0150】
そして、保護層380は、第2電極370を共通配線316と接続させるコンタクトホール354をさらに含むことができる。
【0151】
ここで、保護層380の低抵抗層である第2層380bは、コンタクトホール354を介して前記第2電極370と接触することになる。
【0152】
前述したように、共通配線316は、ゲート電極312と同一層に、同一物質で形成することができ、第2電極370は、コンタクトホール354を介して共通配線316と直接接触することになる。
【0153】
それによって、第2電極370が保護層380の側面と接触できるようになる。
【0154】
特に、第2電極370が低抵抗層である第2層380bと接触し、液晶駆動時に印加される直流電圧(DC)を、低抵抗層である第2層380bと金属材質の第2電極370および共通配線316を通じて効果的に放出できるようになる(DC Releaseの時間減少)。
【0155】
さらに、低抵抗層である第2層380bの上部に高抵抗層である第3層380cを配置させることで、コンタクトホール354を形成する際に、逆テーパ形状が発生することを防止し、コンタクトホール354の領域において第2電極370が断線することを防止することができる。
【0156】
図12は、従来の保護層の分極量と、本発明の第2実施例に係る保護層の分極量とを比較したグラフである。
【0157】
図12に示すように、Y軸は分極量を表し、X軸は第1配向膜(
図9の290a)の界面から第2配向膜(
図9の290b)の界面までの距離A−A´を表す。
【0158】
また、保護層(
図2の80)が単層である場合の分極量を表す比較例(Ref)と、保護層(
図9の280)が三層である場合の分極量を表す実験例1、2、3(Ex1、2、3)が示されている。
【0159】
本発明の発明者は、保護層(
図2の80)が単層である場合と比較し、保護層(
図9の280)を三層に構成した場合における、第2層(
図9の280b)の抵抗比および厚さ比による分極量を次のように実験で確認した。
【0160】
以下の表1は、保護層(
図9の280)を三層に構成した場合における、第1層(
図9の280a)に対する第2層(
図9の280b)の抵抗の比、および保護層(
図9の280)全体の厚さに対する第2層(
図9の280b)の厚さの比を示す。
【0162】
図12に示すように、保護層(
図2の80)を単層に構成した比較例(Ref)に比べ、三層に構成した実験例1、2,3(Ex1、2、3)の方が、分極量が減少したことが分かる。
【0163】
また、保護層(
図9の280)を三層に構成した場合においても、実験例1(Ex1)に比べて、実験例2(Ex2)の分極量がさらに減少し、実験例1(Ex1)に比べて、実験例3(Ex3)の分極量が減少したことが分かる。
【0164】
したがって、保護層(
図9の280)全体の厚さに対比して低抵抗層の第2層(
図9の280b)の厚さが薄いほど分極量が減少し、三層を構成する高抵抗層の第1層(
図9の280a)に対比して低抵抗層の第2層(
図9の280b)の抵抗値が低いほど分極量が減少することが分かる。
【0165】
図13は、抵抗値によるDC Releaseの時間の変化を示すグラフである。
【0166】
図13に示すように、Y軸は、DC Releaseの時間(min)を表し、X軸は、log抵抗値(Ωcm)を表す。
【0167】
ここで、グラフにおける丸のマーカーは、保護層(
図2の80)が単層であることを意味し、四角のマーカーは、保護層(
図9の280)が三層であることを意味する。
【0168】
P1ないしP4は、三層構造の保護層(
図9の280)のうち、第2層(
図9の280b)の抵抗値(Ωcm)である。
【0170】
表2は、単層(Pr)と、第2層(
図9の280b)の抵抗値が異なる三層のそれぞれ(P1、P2、P3、P4)の抵抗値およびそれによるDC Releaseの時間を示す。
【0171】
保護層(
図2の80)が単層である場合は、抵抗値が6×10
14(Ωcm)であり、保護層(
図9の280)が三層である場合は、第1層(
図9の280a)および第3層(
図9の280c)の抵抗値が6×10
14(Ωcm)であって、互いに同一である。
【0172】
このように保護層(
図9の280)を三層に構成した場合においても、保護層(
図9の280)の高抵抗層である第1層(
図9の280a)および第3層(
図9の280c)に対比して、低抵抗層である第2層(
図9の280b)の抵抗が低くなるほど、DC Releaseの時間が減少することが分かる。
【0173】
すなわち、保護層(
図9の280)に低抵抗層を配置することで、液晶駆動時に印加される直流電圧(DC)を、低抵抗層である第2層(
図9の280b)を通じて速やかに放出させることができ、その結果、残留直流電圧(R−DC)による残像を効果的に改善することができる。
【0174】
ここで、保護層(
図9の280)の高抵抗層である第1層(
図9の280a)および第3層(
図9の280c)に対比して、低抵抗層である第2層(
図9の280b)の抵抗は、1/1000ないし1/10であることが望ましいが、これに限定されるものではない。
【0175】
図14Aおよび
図14Bは、第2層の厚さによるグレーオフセットの数値を示すグラフである。
【0176】
図14Aは、三層の保護層(
図9の280)における第1層(
図9の280a)の厚さを3000Åに、第2層(
図9の280b)の厚さを3000Åに、第3層(
図9の280c)の厚さを200Åに設計した場合である。
【0177】
図14Aに示すように、グレーオフセットが222mV発生したことが分かる。この場合、ポジティブ極性とネガティブ極性間における非対称により、輝度差が発生し得る。
【0178】
図14Bは、三層の保護層(
図9の280)における第1層(
図9の280a)の厚さを4000Åに、第2層(
図9の280b)の厚さを2000Åに、第3層(
図9の280c)の厚さを200Åに設計した場合である。
【0179】
図14Bに示すように、駆動Vcomと輝度曲線bcの中心軸caとの電圧差であるグレーオフセットが37mV発生したことが分かる。この場合、保護層(
図2の80)を単層に構成した場合よりも、グレーオフセットを最小化することができ、ポジティブ極性とネガティブ極性の間の非対称による輝度差を防止することができる。
【0180】
このように、保護層(
図9の280)全体の厚さに対比し、第2層(
図9の280b)の厚さは1/2未満であることが望ましいが、これに限定されるものではない。
【0181】
したがって、本発明の第2実施例では、保護層(
図9の280)を三層に構成し、保護層(
図9の280)全体の厚さに対比して第2層(
図9の280b)の厚さを調整することで、第1実施例に伴うグレーオフセットによる輝度差を防止することができる。
【0182】
図15は、第3実施例に係る液晶表示装置の保護層の断面を示す画像である。
【0183】
三層の保護層(
図11の380)の第1層(
図11の380a)の厚さを4000Åに、第2層(
図11の380b)の厚さを2000Åに、第3層(
図11の380c)の厚さを200Åに設計した場合は、
図15に示すように、保護層(
図11の380)の第1層(
図1の380a)と第2層(
図11の380b)の界面において変形が発生していないことが分かる。したがって、パターン工程の特性上発生する、コンタクトホール(
図11の354)の第2電極(
図11の370)およびジャンピングホール(
図11の353)の連結パターン(
図11の384)の断線を解決することができる。
【0184】
よって、本発明の第3実施例では、保護層(
図11の380)を三層に構成し、保護層(
図11の380)全体の厚さに対比して第2層(
図11の380b)の厚さを調整することで、第1実施例に伴う保護層(
図11の380)のパターン工程の特性上発生する、コンタクトホール(
図11の354)の第2電極(
図11の370)およびジャンピングホール(
図11の353)の連結パターン(
図11の384)の断線を防止することができる。
【0185】
このように、本発明の第2および第3実施例によると、保護層(
図9の280、
図11の380)を構成する際、高抵抗層である第1層(
図9の280a、
図11の380a)と第3層(
図9の280c、
図11の380c)の間に、低抵抗層である第2層(
図9の280b、
図11の380b)を配置することになる。これによって、高配向力を維持しながら第1配向膜(
図9の290a)の界面における分極を抑制することができ、残留直流電圧(R−DC)による残像を効果的に改善することができる。
【0186】
また、高抵抗層である第3層(
図9の280c、
図11の280c)を配置することで、グレーオフセットの増加および界面の変形によるコンタクトホール(
図11の354)の第2電極(
図11の370)およびジャンピングホール(
図11の353)の連結パターン(
図11の384)の断線を防止することができる。
【0187】
本発明を説明するため、フリンジフィールドモードの液晶表示装置を一例に挙げたが、これに限定されるものではない。本発明は、電極間に形成される保護層を、互いに異なる抵抗値を有する多層に構成できる、様々なモードの液晶表示装置に適用することができる。
【0188】
以上、前述した本発明の実施例は本発明の一例であり、本発明の精神に含まれる範囲内で本発明を自由に変形することができる。したがって、本発明は、特許請求の範囲およびそれと等価範囲内における本発明の変形を含む。