特許第6804447号(P6804447)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6804447
(24)【登録日】2020年12月4日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】分注装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 15/08 20060101AFI20201214BHJP
【FI】
   A61M15/08
【請求項の数】8
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-529156(P2017-529156)
(86)(22)【出願日】2015年8月18日
(65)【公表番号】特表2017-525538(P2017-525538A)
(43)【公表日】2017年9月7日
(86)【国際出願番号】GB2015052392
(87)【国際公開番号】WO2016027075
(87)【国際公開日】20160225
【審査請求日】2018年6月29日
(31)【優先権主張番号】1414796.1
(32)【優先日】2014年8月20日
(33)【優先権主張国】GB
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】517056239
【氏名又は名称】ナサレゼ パテンツ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ボトムリー、サイモン
【審査官】 小原 一郎
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第01687705(US,A)
【文献】 実開平02−096139(JP,U)
【文献】 米国特許第03146919(US,A)
【文献】 特開昭59−135878(JP,A)
【文献】 実開昭50−017335(JP,U)
【文献】 特開平07−257619(JP,A)
【文献】 米国特許第6386394(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末の所定量を供給および/または分注するための定量用量分注装置であって、
第1の端部および前記第1の端部の反対側にある閉鎖された第2の端部を有するチャネル部材であって、単一一体線状中空チャネルが、前記第1の端部から前記第2の端部に隣接する部分まで前記チャネル部材内に画定される、チャネル部材の形態の分注機構であって、前記単一一体線状中空チャネルが、粉末が前記単一一体線状中空チャネルに入ることを可能にするために、前記第2の端部から距離を隔てられ、且つ前記チャネル部材の外表面から前記単一一体線状中空チャネルを画定する壁部の内表面まで通過する2つ以上の入口を有する、分注機構と、
前記第1の端部における前記単一一体線状中空チャネルの出口であって、前記出口が、前記単一一体線状中空チャネル内に収容可能な粉末が前記分注装置の分注動作中に前記出口から分注されることを可能し、前記単一一体線状中空チャネルが、粉末が前記2つ以上の入口と前記出口との間を移動することを可能にするために、前記2つ以上の入口と前記出口との間に設けられ、前記2つ以上の入口が、同じ高さに、ならびに/または前記単一一体線状中空チャネルの前記第1の端部および/もしくは前記第2の端部から同じ距離に位置し、前記第2の端部を閉鎖するように、前記第2の端部に隣接して、前記単一一体線状中空チャネルの端部である凹部が形成され、前記凹部の寸法が、前記分注装置の各分注動作について前記出口を通じて供給され得る粉末の所定量を規定または実質的に規定し、前記分注機構内に画定される前記2つ以上の入口は、前記単一一体線状中空チャネル内に収容された前記凹部内に収まり得ない余剰な粉末が、前記出口からの粉末の分注動作の前に、使用中に前記入口を通過し前記単一一体線状中空チャネルの外に出ることができるように、配置されており、かつ/またはそうできるような寸法のものである、出口と、
変形可能な容器であって、前記容器の中に前記分注機構が位置し、前記容器の1つ以上の側面が使用中に圧搾されることの結果としての前記容器の変形により、前記容器内に収納可能な体積の空気またはガスが、前記2つ以上の入口、単一一体線状中空チャネル、および出口を通じて推進されることを可能にし、前記推進されたガスが前記単一一体線状中空チャネル内の前記凹部を通ると、前記凹部内に収容された粉末が前記出口を通じて外に運ばれる、容器と
を含む、分注装置。
【請求項2】
前記凹部が、前記単一一体線状中空チャネルを画定する1つ以上の壁部内に画定される、請求項1に記載の分注装置。
【請求項3】
前記入口が、前記単一一体線状中空チャネル内で前記凹部から所定の距離を隔てて画定される、請求項1に記載の分注装置。
【請求項4】
前記入口が、前記出口と前記凹部との間に設けられている、請求項1に記載の分注装置。
【請求項5】
前記入口、かつ/または前記入口を画定する壁部が、前記チャネル部材の外表面から前記チャネル部材の内表面まで、かつ/またはその逆方向に、幅が狭くなるテーパーを有するか、または前記チャネル部材の前記外表面から前記チャネル部材の前記内表面まで、線状または実質的に線状の形態である、請求項1に記載の分注装置。
【請求項6】
前記分注機構が、摩擦嵌合、締まり嵌め、スナップフィット、取付部、ねじ山配置、凸部/凹部配置、スナップフィット接続、溶接、接着部材、または相互係合部材によって、前記容器内に位置している、請求項1に記載の分注装置。
【請求項7】
前記分注装置が使用中ではないとき、または前記分注装置のプライミング動作中に、前記分注機構および/または単一一体線状中空チャネルが前記容器内にあるとき、キャップ、蓋、または閉鎖部が前記分注機構および/または単一一体線状中空チャネルの前記出口にわたって設けられる、請求項1に記載の分注装置。
【請求項8】
前記キャップ、蓋、または閉鎖部の内表面上に画定されたピンまたは凸部部材が、粉末が前記単一一体線状中空チャネルから出て行くのを防止するように、前記単一一体線状中空チャネルの前記出口において突出する、請求項7に記載の分注装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分注装置およびその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
以下の説明は、所定量の粉末状組成物をヒトまたは動物の鼻腔に供給および/または分注するための定量用量分注装置にほぼ専ら言及するものの、分注装置は、それが液体であれ、流体であれ、および/または粉末であれ、所定量の任意の製品を鼻腔、口腔および/または必要に応じて任意の他の好適な位置に供給および/または分注するために使用され得ることが当業者によって理解されるであろう。
【0003】
出願人らは、供給される粉末の量をある程度まで調整する様式で粉末材料を分注するための装置に関して付与された特許である特許文献1を有する。装置は、粉末材料のリポジトリを提供する変形可能なボトルを備える。ボトルは出口を有し、ボトルの出口と基部との間に延在する導管がボトル内に設けられる。ボトルの側面を圧搾することによって、ある体積の空気が、リポジトリ内に静止している粉末材料を通じて推進され得る。推進された空気は、粉末材料を引き込み、粉末材料を導管に沿って運び、出口から外に出る。規制切欠部が導管の基部に隣接して設けられており、この切欠部は、導管に入り得る引き込まれた粉末の量を、規制切欠部が不在の場合に導管に入り得るであろう粉末の量と比較して規制する。それによって、この規制は、装置によって供給される粉末の量を調整する。しかしながら、この装置の問題点は、装置によって供給される粉末の量の調整が、各分注動作について、十分に正確かつ再現可能ではないことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許第1368090号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の目的は、分注装置を介して製品の所定量または定量服用量が正確かつ再現可能に供給および/または分注され得る分注装置を提供することである。
【0006】
本発明の更なる目的は、分注装置を使用する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、使用中に製品の所定量を供給および/または分注するための分注装置であって、該装置が、分注手段であって、使用中に製品が分注手段に入ることを可能にするための入口手段と、使用中に分注手段内に収容可能な製品が装置の分注動作中にそこから分注されることを可能にするための出口手段と、使用中に製品が入口手段と出口手段との間を移動することを可能にするための、入口手段と出口手段との間に設けられたチャネル手段と、を有する分注手段を含み、凹部手段が、チャネル手段内に画定され、凹部手段の寸法が、装置の各供給動作について出口手段を通じて供給され得る製品の所定量を規定または実質的に規定し、入口手段および/または分注手段内に画定される少なくとも1つの開口部は、チャネル手段内に収容された凹部手段内に収まり得ない余剰な製品が、出口手段からの製品の分注動作の前に、使用中に該入口手段および/または該少なくとも1つの開口部を通過しチャネル手段の外に出ることができるように、配置されており、かつ/またはそうできるような寸法のものである、分注装置、が提供される。
【0008】
よって、本発明の分注装置は、使用中に所定量または定量用量の製品、材料、または組成物を供給できる点で、定量用量分注装置として機能し得る。凹部手段のサイズまたは容積は、典型的に、任意の単一の分注動作において分注装置を介して供給され得る定量用量または体積を規定する。
【0009】
好ましくは、分注装置の分注動作は、製品が入口手段および/または少なくとも1つの開口部を介して分注手段のチャネル手段に入るステップと、チャネル手段に収容された製品が凹部手段に入るステップと、少なくとも凹部手段内に収容された製品を分注手段の出口手段を通じて分注する直前にチャネル手段に製品がないか、または実質的にないように、凹部手段に収まり得ない余剰な製品が入口手段を通じて、かつ/または分注手段の少なくとも1つの開口部を通じて、戻るステップと、を含む。
【0010】
チャネル手段は、典型的に分注手段内に画定され、または分注手段は、チャネル手段からなるか、もしくはチャネル手段を含む。例えば、チャネル手段は、チャネル部材、スリーブ部材、製品フロー経路、製品が使用中に中を流動または移動し得る任意の中空体等の形態であってもよい。
【0011】
好ましくは、入口手段および/または出口手段は、1つもしくは2つ以上の開口部の形態であるか、または1つもしくは2つ以上の開口部を含む。1つまたは2つ以上の開口部は、典型的に、分注手段および/またはチャネル手段内に画定される。
【0012】
好ましくは、入口手段および/または少なくとも1つの開口部は、実質的に凹部手段内に収容された製品のみが製品の分注動作によって供給されるような位置(複数可)において、チャネル手段の少なくとも1つの壁部に配置される。チャネル手段内に存在し得るが、凹部手段内には位置しないいかなる残余の製品も、出口手段を通じた製品の分注が発生する前に、入口手段および/または少なくとも1つの更なる開口部を通過しチャネル手段の外に出るように配置される。
【0013】
好ましくは、チャネルは、チャネル手段内に画定される。チャネルは、使用中に製品のフロー経路として機能する。
【0014】
好ましくは、凹部手段は、チャネルを画定するチャネル手段の壁部(複数可)内に画定される。凹部手段は、チャネル手段の主要チャネルに対して少なくとも1つの凹部または区画を提供し、分注前動作または分注動作の間製品がその中に保持されることを可能にするように配置される。
【0015】
一実施形態では、凹部手段は、チャネル手段の主要チャネルに対して後退または陥凹している。
【0016】
一実施形態では、入口手段および/または少なくとも1つの開口部が、チャネル手段内で凹部手段から所定の距離を隔てて画定される。
【0017】
好ましくは、入口手段および/または少なくとも1つの開口部が、凹部手段と出口手段との間に位置し、更に好ましくは、分注装置が第1の直立位置にあるとき、凹部手段の上方に位置する。
【0018】
一実施形態では、凹部手段は、出口手段と入口手段および/または少なくとも1つの開口部との間に距離を隔てて位置する。
【0019】
一実施形態では、入口手段および/または少なくとも1つの開口部が、分注装置が第1の直立位置にあるとき、凹部手段の下方のチャネル手段内に画定される。この配置では、出口手段および凹部手段は、典型的に、入口手段および/または少なくとも1つの開口部の上方にあり、それらから垂直方向に隔たっている。
【0020】
好ましくは、第1の直立位置は、分注装置が非使用位置または予備プライミング位置にあるときに対応する。
【0021】
好ましくは、出口手段は、チャネル手段の第1の端部に、またはそれに隣接して設けられる。
【0022】
一実施形態では、入口手段および/または少なくとも1つの開口部が、チャネル手段の端部壁部内に画定される。好ましくは、入口手段および/または少なくとも1つの開口部が、チャネル手段の第2の端部内に画定され、更に好ましくは、第2の端部は、第1の端部に対向する。
【0023】
一実施形態では、入口手段および/または少なくとも1つの開口部が、チャネル手段の側壁部上に配置される。好ましくは、側壁部は、チャネル手段の第1の端部と第2の端部との間に設けられる。
【0024】
好ましくは、入口手段および/または少なくとも1つの開口部が、出口手段に対して横方向に配置される。例えば、入口手段および/または少なくとも1つの開口部を通る中心軸は、出口手段を通る中心軸に対して横方向、垂直、または実質的に垂直に配置される。
【0025】
一実施形態では、凹部手段は、チャネル手段の第2の端部に、またはそれに隣接して設けられる。
【0026】
好ましくは、凹部手段がその中に、それに隣接して、またはそこに位置するチャネル手段の第2の端部は、盲端である。
【0027】
一実施形態では、入口手段、少なくとも1つの開口部、ならびに/または入口手段および/もしくは少なくとも1つの開口部を画定する1つまたは2つ以上の壁部は、使用中に製品がより容易に入口手段および/または開口部に出入りできるように、チャネル手段の外壁部からチャネル手段の内壁部まで、かつ/もしくはその逆方向に、幅が狭くなるテーパーを有する。
【0028】
一実施形態では、入口手段、少なくとも1つの開口部、ならびに/または入口手段および/もしくは少なくとも1つの開口部を画定する1つもしくは2つ以上の壁部は、分注手段またはチャネル手段の外壁部から分注手段またはチャネル手段の内壁部まで、線状の形態、実質的に線状の形態、または非テーパーの形態である。
【0029】
一実施形態では、2つまたは3つ以上の入口手段および/または開口部が、チャネル手段内に画定される。2つもしくは3つ以上の入口手段および/もしくは開口部は、実質的に同じ形状および/もしくは寸法のものであってもよく、または相互に異なるもしくは実質的に異なる形状および/もしくは寸法のものであってもよい。
【0030】
一実施形態では、2つもしくは3つ以上の入口手段および/もしくは開口部は、同じもしくは実質的に同じ高さに、かつ/またはチャネル手段の第1および/もしくは第2の端部から同じもしくは実質的に同じ距離に位置し得る。あるいは、入口手段および/もしくは2つもしくは3つ以上の開口部は、異なるもしくは実質的に異なる高さに、かつ/またはチャネル手段の第1および/もしくは第2の端部から異なるもしくは実質的に異なる距離に位置し得る。
【0031】
2つもしくは3つ以上の入口手段および/もしくは開口部は、相互に対向して、もしくは実質的に対向して配置されてもよく、または2つもしくは3つ以上の入口手段および/もしくは開口部は、相互に対向しないように配置されてもよい。
【0032】
一実施形態では、凹部手段内に収容されない余剰な製品が使用中に凹部手段を通り過ぎることを可能にするように、凹部手段は、チャネル手段内に好適な位置で懸架および/または支持され、1つまたは2つ以上の更なる開口部または空間が、凹部手段の周囲で全体的または部分的に画定される。
【0033】
好ましくは、凹部手段を流れ過ぎる製品は、凹部手段の下方で、かつ/または凹部手段とチャネル手段の第2の端部との間に画定される第2の端部、入口手段、および/または1つまたは2つ以上の開口部から外に出る。
【0034】
一実施形態では、凹部手段をチャネル手段内に支持および/または懸架するように、1つまたは2つ以上のアームが設けられている。1つまたは2つ以上のアームは、典型的に、チャネル手段の内壁部と凹部手段の外壁部との間に位置する。
【0035】
凹部手段内に収容される製品が分注動作の間または分注動作の完了時にそれを通過できるように、好ましくは、少なくとも1つの開口部が、出口手段内に画定される。
【0036】
凹部手段は、使用中に製品の所定量を保持し得る任意の凹部、リザーバ、区画、下位区画、カップ状部材等であってよい。
【0037】
凹部手段は、チャネル手段に取り付けられてもよく、またはそれと一体形成されてもよい。
【0038】
好ましくは、分注装置は、使用中に分注手段および/またはチャネル手段がその中に位置する変形可能および/または可撓性のボトル、容器、またはリザーバを含む。
【0039】
好ましくは、例えばユーザーがボトルの1つまたは2つ以上の側面を圧搾することの結果としての、ボトル、容器、リザーバの変形または屈曲により、ボトル、容器、またはリザーバ内に収容可能な体積の空気またはガスが入口手段および/またはチャネル手段内の少なくとも1つの開口部を通じて、チャネル手段に沿って、そして分注手段の出口手段を通じて外に推進されることを可能にする。推進された空気またはガスがチャネル手段内の凹部手段を通ると、それは、凹部手段内に収容された製品をそれと共に運ぶか、または引き込み、出口手段から外に出る。この動作は、典型的に分注動作である。
【0040】
例えばユーザーが自らの指を使用すること等によって変形可能なボトル、容器、またはリザーバの側面を圧搾することは、典型的に、大気圧と比較してボトルの内圧を増大させ、ボトルから出口手段を通じて流出する気流を発生させる。
【0041】
好ましくは、ボトル、容器、またはリザーバは、使用中にチャネル手段および/または分注手段がボトル、容器、またはリザーバ内に位置するか、またはそれらに嵌合し、ボトル、容器、またはリザーバ内に収容された製品が使用中にチャネル手段の出口手段を介してのみ分注され得るように、形成される。
【0042】
好ましくは、ボトル、容器、またはリザーバ内に位置する製品の量は、ボトル、容器、またはリザーバが直立位置すなわち貯蔵位置にあるとき、入口手段および/またはチャネル部材の少なくとも1つの開口部の水準より下方に着座または静止している。これにより、ボトル、容器、またはリザーバ内に収容された空気またはガスは、入口手段および/または少なくとも1つの開口部に容易に出入りできるようになる。またそれにより、余剰な組成物は、入口手段および/または少なくとも1つの開口部を妨害なしに出入りできるようになる。
【0043】
一実施形態では、チャネル手段は、ボトル、容器、またはリザーバと共に一体的形成される。
【0044】
一実施形態では、ボトル、容器、またはリザーバは、開口部を有し、分注手段および/またはチャネル手段は、使用中に開口部に位置するか、またはそれに嵌合する。
【0045】
チャネル手段および/または分注手段は、ボトル、容器、もしくはリザーバの開口部に位置するか、または摩擦嵌合、締まり嵌め、スナップフィットによって、かつ/もしくは例えばねじ山配置を使用して、凸部/凹部配置、スナップフィット接続、溶接、接着剤、相互係合部材等を使用して等、取付手段を介してボトル、容器、もしくはリザーバの開口部に嵌合し得る。
【0046】
一実施形態では、分注装置は、ボトル、容器、またはリザーバ内に収容された製品がボトル、容器、またはリザーバから分注手段内へ、かつチャネル手段の凹部手段内へ移動され得るように、分注動作が行われる前にプライミングされなければならない。
【0047】
好ましくは、分注装置のプライミングは、ボトル、容器、またはリザーバ内に収容されている製品が、入口手段および/または少なくとも分注手段および/またはチャネル手段内に画定された開口部を通過し、チャネル手段内に入ることができるように、ボトル、容器、またはリザーバを逆さにすることを伴う。ひとたびボトル、容器、またはリザーバが直立位置すなわち開始位置に戻されると、一部の製品は、チャネル手段内の凹部手段内に落ち、凹部手段に収まり得ない残余の製品は、入口手段および/またはチャネル手段の少なくとも1つの開口部を通過し、ボトル、容器、またはリザーバ内に戻る。次いで、ボトル、容器、またはリザーバは、ボトル、容器、またはリザーバが直立位置すなわち開始位置にある状態で、分注動作を実行するために屈曲または変形される。
【0048】
好ましくは、出口手段は、ボトル、容器、またはリザーバの頂部に位置し、プライミング中にボトル、容器、またはリザーバを逆さにすることは、ボトル、容器、またはリザーバの基部を出口手段の上方へ移動させ、それによって、ボトル、容器、またはリザーバ内に収容されている製品が重力の下で分注手段および/またはチャネル手段内に移動することを可能にする。
【0049】
好ましくは、ボトル、容器、またはリザーバは、中に収容されている製品がチャネル手段、凹部手段の中へ、かつ/またはチャネル手段の外へ移動するのを必要に応じて助けるために、プライミング動作中、1回または2回以上表面を軽く叩かれるか、かつ/または揺すられる必要があり得る。
【0050】
一実施形態では、プライミング動作中にボトル、容器、もしくはリザーバにおいて製品がそれらを通過するのを防止するために、または装置が使用されていないときに、キャップ、蓋、または閉鎖手段が、分注手段および/またはチャネル手段の出口手段にわたって設けられてもよい。
【0051】
好ましくは、キャップ、蓋、または閉鎖手段の内表面上に画定されるピンまたは凸部部材は、使用中に該キャップ、蓋、または閉鎖手段が出口手段に係合するか、またはそれと共に位置するとき、出口手段の開口部に位置する。
【0052】
好ましくは、変形可能および/または可撓性のボトル、容器、またはリザーバは、約90%の、90%に等しい、または少なくとも90%のLDPE(低密度ポリエチレン)と、約10%の、10%に等しい、または10%未満のHDPE(高密度ポリエチレン)とから形成される。
【0053】
一実施形態では、変形可能および/または可撓性のボトル、容器、またはリザーバは、約100%の、または100%に等しいLDP(低密度ポリエチレン)から形成される。
【0054】
空気またはガスがチャネル手段を通過する際に凹部手段内に位置する製品が空気またはガスの中に引き込まれることを可能にするために、ボトル、容器、またはリザーバの内側の空気またはガスの圧力を十分に変化させ得るために、好ましくは、変形可能および/または可撓性のボトル、容器、またはリザーバは、十分な変形および/または屈曲を有する。
【0055】
好ましくは、ボトル、容器、またはリザーバは、0.001mg〜20mgの服用量を提供する任意の量の製品を含有し得る。
【0056】
好ましくは、ボトル、容器、またはリザーバの容積は、5〜50mmの液体を収容するものである。
【0057】
好ましくは、入口手段および/または少なくとも1つの開口部の寸法は、使用中にその閉塞を防止するために、直径約0.1〜8mmである。
【0058】
一実施形態では、入口手段および/または少なくとも1つの開口部は、分注手段および/またはチャネル手段の第1の端部または出口手段から0〜12mmの間に位置する。
【0059】
好ましくは、分注手段および/またはチャネル手段内に画定されるチャネルの直径は、使用中にその閉塞を防止するために、約2.5mmであるか、または2.5mmに等しい。
【0060】
分注手段および/またはチャネル手段は、例えば、プラスチック、金属、ゴム、木材等の任意の好適な材料から、または任意の好適な材料の組み合わせから作製され得る。好ましい実施例では、分注手段および/またはチャネル手段は、プラスチック材料から作製される。プラスチック材料は、必要に応じて、光沢仕上げを有し得、またはエッチング仕上げを有し得る。
【0061】
分注装置は、必要に応じて、ヒトまたは動物に使用され得る。
【0062】
好ましくは、装置は、製品をヒトまたは動物の鼻腔に供給するために使用される。
【0063】
一実施形態では、分注される製品および/またはボトル、容器、またはリザーバ内に収容される製品は、粉末である。
【0064】
好ましくは、粉末材料は、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)等のセルロース系材料を含むか、または含有する。
【0065】
一実施形態では、分注される製品および/またはボトル、容器、またはリザーバ内に収容される製品は、液体である。
【0066】
一実施形態では、1つまたは2つ以上の好適な活性剤、薬剤、医薬品、添加剤、生薬等のうちのいずれかまたはそれらの任意の組み合わせが、必要に応じて製品、組成物、液体内に提供されてもよい。
【0067】
本発明の第2の態様によれば、使用中に製品の所定量を供給および/または分注するための分注装置を使用する方法であって、該装置が、分注手段であって、使用中に製品が分注手段に入ることを可能にするための入口手段と、使用中に分注手段内に収容可能な製品が装置の分注動作中にそこから分注されることを可能にするための出口手段と、使用中に製品が入口手段と出口手段との間を移動することを可能にするための、入口手段と出口手段との間に設けられたチャネル手段と、を有する分注手段を含み、該方法が、製品を、入口手段を通じて分注手段のチャネル手段内に移動させるステップと、チャネル手段内に収容された製品がチャネル手段内に画定された凹部手段内に移動することを可能にするステップであって、凹部手段の寸法が、装置の各分注動作について出口手段を通じて供給され得る製品の所定量を規定または実質的に規定する、ステップと、凹部手段内に収容された製品を出口手段から分注する前に、チャネル手段内に収容された凹部手段内に収まり得ない余剰な製品が入口手段および/または少なくとも1つの開口部を通過しチャネル手段の外に出ることを可能にするステップと、を含む、方法が提供される。
【0068】
本発明の第3の態様によれば、組成物の所定量を供給および/または分注するための定量用量分注装置であって、該装置が、チャネル部材であって、使用中に組成物の所定量をそこから分注するための出口手段と、該チャネル部材内に画定される凹部手段と、を有するチャネル部材を備え、凹部手段の寸法が、分注動作ごとに装置を介して供給され得る定量用量を実質的に規定し、少なくとも1つの更なる開口部は、該チャネル部材の少なくとも1つの壁部に画定され、かつ凹部手段に収まり得ない余剰な組成物が、分注動作が行われる前に、使用中にそれを通過することができるような寸法のものである、定量用量分注装置、が提供される。
【0069】
本発明の第4の態様によれば、分注装置を使用して定量用量を提供する方法が提供される。
【発明の効果】
【0070】
本発明の装置は、各分注動作において定量用量が正確かつ再現可能に供給されることを提供し、それによって組成物の過剰投与または過少投与を防止する。
【0071】
これより、本発明の実施形態を添付の図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0072】
図1a】本発明の一実施形態による、蓋の嵌合された定量用量分注装置を示す。
図1b】本発明の一実施形態による、蓋の取り外された定量用量分注装置を示す。
図2a】本発明の実施形態による定量用量分注装置のチャネル部材形成部の外観図を示す。
図2b】本発明の実施形態による定量用量分注装置のチャネル部材形成部の断面図を示す。
図3a】本発明の実施形態による分注ボトルの蓋の外観図を示す。
図3b】本発明の実施形態による分注ボトルの蓋の断面図を示す。
図4】本発明による分注装置の分注動作の精度を図示する実験結果を含む表を示す。
図5a】本発明の更なる実施形態による分注装置の断面図を示す。
図5b】本発明の更なる実施形態による分注装置の外観図を示す。
図5c】本発明の更なる実施形態による分注装置の出口手段の端部からの端面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0073】
先ず図1a〜3bを参照すると、本発明の実施形態による、変形可能なボトル4を備える定量用量分注装置2が図示されている。ボトル4は、基部6、頂部8、および側壁部10を有する。
【0074】
チャネル部材12は、ボトル4内に位置する。チャネル部材12は、実質的に細長の形態であり、第1の端部14に設けられた出口手段と対向する第2の盲端16とを有する。
【0075】
中空チャネル18は、第1の端部14に画定される出口開口部20と第2の盲端16に隣接して画定される凹部22との間に、チャネル部材12にわたって画定される。凹部22は、組成物の所定量を収容する寸法および形状のものである。中空チャネル18は、この実施例では線状の形態である。
【0076】
チャネル部材12は、第1の端部1から距離を隔てて設けられた、外に向かって突出するフランジ24を有する。フランジ24の下面25は、使用中にボトル4の上面8上に着座する。例えばヒトの鼻腔等の、使用中にその中に組成物が分注される空洞内に出口手段が少なくとも部分的に位置することを可能にするために、出口手段は、フランジ24から第1の端部14に向かって幅が狭くなるテーパーを有する。
【0077】
フランジ24に隣接し、その下にあるチャネル部材12の区域26は、第2の端部16に隣接する区域28よりもわずかに大きい寸法のものである。使用中にチャネル部材12とボトル4との間の摩擦嵌合によるぴったりした係合を可能にするために、区域26の外部寸法は、上面8の下に位置するボトル4の首部30の内部寸法よりもわずかに小さい。
【0078】
一対の更なる開口部32が、凹部22の上方の、チャネル部材12の区域28内に画定される。開口部32は、中空チャネル18およびボトル4と連通している。
【0079】
図示される実施例では、開口部32は、実質的に同じ寸法および形状のものであり、チャネル部材12の側壁部に実質的に相互に対向して位置する。開口部32は、実質的に線状の形態であるとして示されているが、必要であれば組成物が特定の方向により容易に通過することを可能にするために、幅が狭くなり、かつ/または幅が広くなるテーパーを有してもよい。
【0080】
各更なる開口部32は、典型的に、チャネル部材12の外表面上に画定された開口部34と、中空チャネル18を画定する壁部の内表面上に画定された開口部36とを有するチャネル32’の形態である。更なる開口部チャネル32’は、中空チャネル18に対して実質的に垂直に設けられる。更なる開口部32の内側開口部36は、凹部22の開口部38から直接上方に位置する。チャネル32’の壁部は、凹部22の開口部38と実質的に同水準または同一平面上にある。それゆえ、凹部22内に位置しないいかなる余剰な組成物も、典型的に、凹部22の両側に位置する更なる開口部32を通過する。
【0081】
図において、凹部22は、中空チャネル18と一直線上に、かつ同軸上に位置する。
【0082】
キャップ40の形態の閉鎖手段が、使用中にボトル4の頂部8の上方に設けられる。この実施例では、キャップ40は、使用中にボトル4の首部30の外表面上に設けられた相補的な雄ねじ配置44と係合する内雌ねじ配置42を有するねじキャップである。
【0083】
使用中にキャップを回転させてボトル4との係合および係合解除を行うためのユーザーによるキャップ40の容易な握持を可能にするために、複数のリブ部材46が、キャップ40の外表面上にその下縁部48に隣接して設けられる。
【0084】
ピン50が、キャップ40の頂部54の内表面52上に位置し、頂部54から内に向かって、かつ/または下に向かって突出する。ボトル4の頂部8上にキャップ40が位置するため、ピン50は、チャネル部材12の出口開口部20内に位置し、それによって組成物がチャネル部材12から出て行くのを防止する。
【0085】
ボトル4の首部30上の複数の外に向かって突出するリブ58と係合するタンパーエビデント手段56が、キャップ40上に設けられる。図示される実施例では、タンパーエビデント手段56は、キャップ40の下部表面48に対して壊れやすい手段または部分60によって取り付けられる円環の形状である。しかしながら、必要であれば他のタンパーエビデント手段が設けられてもよい。
【0086】
円環の内表面は、ボトル4の首部上の突出リブ58と係合する。キャップ40がボトル4に対して回転すると、円環の内表面は、突出リブ58と係合状態にとどまり、回転力は、壊れやすい部分60を破壊し、それによってタンパーエビデント円環からのキャップ40の開放および分離を可能にする。キャップ40からのタンパーエビデント円環の取り外しは、キャップ40が以前に開封されたかどうかをユーザーが判定することを可能にする。
【0087】
図示される実施例では、粉末状組成物は、典型的にボトル4内に収容される。ボトル4内に収容される組成物のレベルは、典型的にチャネル部材12の第2の端部16よりも下である。これにより、空気および組成物は、使用中に妨害なしに更なる開口部32を容易に通過できるようになる。
【0088】
図1aおよび1bに示されるように、定量用量分注装置2の使用中に、ボトル4は通常、直立した開始位置または貯蔵位置に位置する。この位置では、ボトル4の基部6は、ある表面上に位置するか、または上面8の下方に位置する。したがって、ボトル4内に収容されている組成物は、チャネル部材12の下方の基部6上に静止している。
【0089】
ユーザーは、凹部22を組成物で満たすプライミング動作に着手する。これを行うために、ユーザーは、基部6が頂部8の上方に来るように、ボトル4を逆さにする。ユーザーは、組成物をボトルから、更なる開口部32を通じて、チャネル部材12内へ移動させるために、ボトルを数回軽く叩き、かつ/または揺する必要があり得る。キャップ40がボトル4上の適所にあるため、組成物は、出口開口部20から出て行くことができない。次いで、ユーザーは、ボトル4を開始時の直立位置に戻し、ボトル4を軽く叩き、かつ/または揺する。これにより、チャネル部材内に収容されている組成物は凹部22に落ち、凹部22内に収容されない余剰な組成物はチャネル部材12の更なる開口部32から外に出て、ボトル内に戻ることができる。今や、ボトルは、組成物の定量用量によってプライミングされている。ボトル4が使用できる状態になるように、ユーザーは、キャップ40をボトル4から取り外す。
【0090】
次いで、ユーザーは、チャネル部材12の頂端部14を自らの鼻腔内に、または自らの鼻腔の真下に位置付け、ボトル4の側壁部10を相互に向かって圧搾する。この動作は、ボトル4内に収容されている空気を更なる開口部32を通じて押し通させる。凹部22の開口部38を空気が通過する際、空気は、凹部22内に位置する組成物を気流内に引き込み、チャネル18に沿って組成物を運び、出口開口部20から外に出て、鼻腔に入る。よって、定量用量は、典型的に、ボトルが実質的に直立した位置にある状態でボトルから供給され、それによって、鼻腔等の空洞内への組成物の供給を行う容易性を増大させる。
【0091】
本出願人の以前の特許に記載されているように、粉末状組成物がHPMCを含有する場合、この粉末は、鼻腔の粘膜内の水分と接触するとゲル状物質を形成する。
【0092】
本発明の分注装置は、定量用量の正確かつ再現可能な分注を提供する。これは、図4に示される表で例証されている。10本の15mlボトル(1〜10とラベル付けされている)を、HPMCとミントの混合物を含有する粉末状組成物によって部分的に満たした。チャネル部材12内の凹部22を、粉末状組成物の800mgの定量用量を含有するように準備した。粉末含有物を含む各ボトルの重量を計測し、第2列に記録した。各ボトルに収容された定量服用量の数を第3列に記録した。分注動作後に粉末含有物を含むボトルの重量を計測し、第4列に記録した。これにより、第5列に示されるように、分注動作中に供給される定量用量の重量を計算できるようになった。供給された用量の精度%を、供給された粉末の平均重量の尺度として第6列に示す。平均精度%は0.004であり、よって、組成物の過剰投与または過少投与を防止するために十分な精度の定量用量を提供することが見て分かるであろう。
【0093】
チャネル部材12の代替的な実施形態を図5a〜5cに示す。この実施形態では、第2の端部16は、以前の実施形態と同様に盲端ではないが、凹部22を取り囲む更なる開口部32が設けられている。凹部22は、中空チャネル18の実質的に中央において、第2の端部16の真上で支持アーム100を介して支持されている。それゆえ、凹部22に収容されない余剰な組成物は、第2の端部16を通じ、更なる開口部32を通じて落下する。
【0094】
組成物の異なる服用量が凹部に収容されることを可能にし、それによって、装置を介して供給され得る定量用量を変更するために、凹部の寸法は変更され得ることを当業者は理解するであろう。
【0095】
更なる開口部は、それらがチャネル部材のボトルの首部との係合を妨げないように、かつチャネル部材の凹部内に収容されない余剰な組成物がチャネル部材を出入りして移動することを可能にするように、チャネル部材上に配置される。
【0096】
本発明の定量用量装置は、例えば液体滴下器具等の、任意の他の好適な組成物分注装置と共に使用され得る。
図1a-1b】
図2a
図2b
図3a
図3b
図4
図5a
図5b
図5c