(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
酸化ベース3-(2,5-ジアミノフェニル)-1-プロパノール及び/又はその酸性塩若しくはその溶媒和物、並びにパラ-アミノフェノール、3-メチル-4-アミノフェノール、N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)-パラ-フェニレンジアミン、その付加塩、その溶媒和物、及びそれらの混合物から選択される1種又は複数の酸化ベース、並びに少なくとも1種のカプラーを含む組成物(A)を含有する第1の区画と、少なくとも1種の化学的酸化剤を含む組成物(B)を含有する第2の区画とを含む多区画装置。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の他の特徴及び利点は、以下の説明及び実施例を読むことにより、より明らかになろう。
【0020】
以下の本明細書中において、別段指定しない限り、値の範囲の上限及び下限は、その範囲に含まれる。表現「少なくとも1つ(種)の」は、表現「1つ(種)又は複数の」と同義である。
【0021】
a)3-(2,5-ジアミノフェニル)-1-プロパノール酸化ベース
本発明の組成物は、a)次式
【0023】
を有する3-(2,5-ジアミノフェニル)-1-プロパノール(又は2-γ-ヒドロキシプロピル-パラ-フェニレンジアミン)、その酸性塩又はその溶媒和物、例えば水和物から選択される1種又は複数の酸化ベースを含む。
【0024】
本発明による、(2,5-ジアミノフェニル)プロパノール、その酸性塩又はその溶媒和物、例えば水和物から選択される酸化ベースは、組成物の総質量に対して0.0001質量%〜20質量%、好ましくは組成物の総質量に対して0.005質量%〜10質量%、より特定すると0.01質量%〜10質量%の範囲の量で本発明の組成物中に存在し得る。
【0025】
b)パラ-アミノフェノール、3-メチル-4-アミノフェノール、N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)-パラ-フェニレンジアミン酸化ベース
本発明の組成物は、b)以下:
- 次式のパラ-アミノフェノール:
【0027】
- 次式の3-メチル-4-アミノフェノール:
【0029】
- 次式のN,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)-パラ-フェニレンジアミン:
【0031】
並びにその付加塩、その溶媒和物及びそれらの混合物から選択される少なくとも1種の酸化ベースを含む。
【0032】
本発明に従って使用できる酸性塩は、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、乳酸塩、トシル酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、リン酸塩及び酢酸塩から選択できる。
【0033】
酸化ベースb)は、それぞれ、組成物の総質量に対して0.0001質量%〜20質量%、好ましくは組成物の総質量に対して0.005質量%〜10質量%、特に0.01質量%〜10質量%を占め得る。
【0034】
追加の酸化ベース
本発明による組成物は、上記の酸化ベースa)及びb)以外に、1種又は複数の追加の酸化ベースを含み得る。
【0035】
追加のベンゼン系酸化ベースの例として、3-(2,5-ジアミノフェニル)-1-プロパノール及びN,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)-パラ-フェニレンジアミン以外のパラ-フェニレンジアミン類、ビス(フェニル)アルキレンジアミン類、パラ-アミノフェノール及び3-メチル-4-アミノフェノール以外のパラ-アミノフェノール類、並びにオルト-アミノフェノール類、その付加塩、その溶媒和物、並びにその混合物を挙げることができる。
【0036】
パラフェニレンジアミン類の中で挙げることができる例として、パラ-フェニレンジアミン、パラ-トリレンジアミン、2-クロロ-パラ-フェニレンジアミン、2,3-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、2,6-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、2,6-ジエチル-パラ-フェニレンジアミン、2,5-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ジエチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ジプロピル-パラ-フェニレンジアミン、4-アミノ-N,N-ジエチル-3-メチルアニリン、4-N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)アミノ-2-メチルアニリン、4-N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)アミノ-2-クロロアニリン、2-フルオロ-パラ-フェニレンジアミン、2-イソプロピル-パラ-フェニレンジアミン、N-(β-ヒドロキシプロピル)-パラ-フェニレンジアミン、2-ヒドロキシメチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ジメチル-3-メチル-パラ-フェニレンジアミン、N-エチル-N-(β-ヒドロキシエチル)-パラ-フェニレンジアミン、N-(β,γ-ジヒドロキシプロピル)-パラ-フェニレンジアミン、N-(4'-アミノフェニル)-パラ-フェニレンジアミン、N-フェニル-パラ-フェニレンジアミン、2-β-ヒドロキシエチルオキシ-パラ-フェニレンジアミン、2-β-アセチルアミノエチルオキシ-パラ-フェニレンジアミン、N-(β-メトキシエチル)-パラ-フェニレンジアミン、4-アミノフェニルピロリジン、2-チエニル-パラ-フェニレンジアミン、2-β-ヒドロキシエチルアミノ-5-アミノトルエン、3-ヒドロキシ-1-(4'-アミノフェニル)ピロリジン、及びその酸付加塩、又はその溶媒和物が挙げられる。
【0037】
上記のパラ-フェニレンジアミン類の中でも、パラ-フェニレンジアミン又はPPD、パラ-トリレンジアミン又はPTD、2-イソプロピル-パラ-フェニレンジアミン、2-β-ヒドロキシエチルオキシ-パラ-フェニレンジアミン、2,6-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、2,6-ジエチル-パラ-フェニレンジアミン、2,3-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、2-クロロ-パラ-フェニレンジアミン及び2-β-アセチルアミノエチルオキシ-パラ-フェニレンジアミン、並びにその酸付加塩、又はその溶媒和物が特に好ましい。
【0038】
ビス(フェニル)アルキレンジアミン類の中でも、列挙することができる例として、N,N'-ビス(β-ヒドロキシエチル)-N,N'-ビス(4'-アミノフェニル)-1,3-ジアミノプロパノール、N,N'-ビス(β-ヒドロキシエチル)-N,N'-ビス(4'-アミノフェニル)エチレンジアミン、N,N'-ビス(4-アミノフェニル)テトラメチレンジアミン、N,N'-ビス(β-ヒドロキシエチル)-N,N'-ビス(4-アミノフェニル)テトラメチレンジアミン、N,N'-ビス(4-メチルアミノフェニル)テトラメチレンジアミン、N,N'-ビス(エチル)-N,N'-ビス(4'-アミノ-3'-メチルフェニル)エチレンジアミン及び1,8-ビス(2,5-ジアミノフェノキシ)-3,6-ジオキサオクタン、並びにその付加塩、又はその溶媒和物が挙げられる。
【0039】
列挙することができるパラ-アミノフェノール類の中でも、例えば、4-アミノ-3-フルオロフェノール、4-アミノ-3-クロロフェノール、4-アミノ-3-ヒドロキシメチルフェノール、4-アミノ-2-メチルフェノール、4-アミノ-2-ヒドロキシメチルフェノール、4-アミノ-2-メトキシメチルフェノール、4-アミノ-2-アミノメチルフェノール、4-アミノ-2-(β-ヒドロキシエチルアミノメチル)フェノール及び4-アミノ-2-フルオロフェノール、並びにその酸付加塩、又はその溶媒和物がある。
【0040】
オルト-アミノフェノール類の中でも挙げることができる例として、2-アミノフェノール、2-アミノ-5-メチルフェノール、2-アミノ-6-メチルフェノール、5-アセトアミド-2-アミノフェノール、及びその付加塩、又はその溶媒和物が挙げられる。
【0041】
追加の酸化ベースは、それぞれ、有利には、組成物の総質量に対して0.0001質量%〜10質量%、好ましくは組成物の総質量に対して0.005質量%〜5質量%を占め得る。
【0042】
c)カプラー
本発明の組成物は、少なくとも1種のカプラーを含む。これらのカプラーの中でも、特に、メタ-フェニレンジアミン類、メタ-アミノフェノール類、メタ-ジフェノール類、ナフタレン系カプラー及び複素環式カプラー、並びにその付加塩又は溶媒和物を挙げることができる。
【0043】
列挙できる例として、1,3-ジヒドロキシベンゼン、1,3-ジヒドロキシ-2-メチルベンゼン、4-クロロ-1,3-ジヒドロキシベンゼン、1-ヒドロキシ-3-アミノベンゼン、2,4-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチルオキシ)ベンゼン、1-メチル-2-ヒドロキシ-4-β-ヒドロキシエチルアミノベンゼン、2-メチル-5-アミノフェノール、5-アミノ-6-クロロ-2-メチルフェノール、2-アミノ-4-(β-ヒドロキシエチルアミノ)-1-メトキシベンゼン、1,3-ジアミノベンゼン、1,3-ビス(2,4-ジアミノフェノキシ)プロパン、3-ウレイドアニリン、3-ウレイド-1-ジメチルアミノベンゼン、セサモール、1-β-ヒドロキシエチルアミノ-3,4-メチレンジオキシベンゼン、α-ナフトール、2-メチル-1-ナフトール、6-ヒドロキシインドール、4-ヒドロキシインドール、4-ヒドロキシ-N-メチルインドール、2-アミノ-3-ヒドロキシピリジン、6-ヒドロキシベンゾモルホリン、3,5-ジアミノ-2,6-ジメトキシピリジン、1-N-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-3,4-メチレンジオキシベンゼン、2,6-ビス(β-ヒドロキシエチルアミノ)トルエン、6-ヒドロキシインドリン、2,6-ジヒドロキシ-4-メチルピリジン、1-H-3-メチルピラゾール-5-オン、1-フェニル-3-メチルピラゾール-5-オン、2,6-ジメチルピラゾロ[1,5-b]-1,2,4-トリアゾール、2,6-ジメチル[3,2-c]-1,2,4-トリアゾール及び6-メチルピラゾロ[1,5-a]-ベンゾイミダゾール、その酸付加塩又はその溶媒和物、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0044】
一実施形態によれば、カプラーは、レゾルシノール(1,3-ヒドロキシベンゼン)、4-クロロレゾルシノール、2-メチルレゾルシノール、メタ-アミノフェノール、2-メチル-5-アミノフェノール、2-メチル-5-ヒドロキシエチルアミノフェノール、5-アミノ-6-クロロ-2-メチルフェノール、2,4-ジアミノフェノキシエタノール、6-ヒドロキシベンゾモルホリン、6-ヒドロキシインドール、2-アミノ-3-ヒドロキシピリジン、その酸付加塩又はその溶媒和物、及びその混合物から選択される。
【0045】
カプラーは、それぞれ、有利には、組成物の総質量に対して0.0001質量%〜10質量%、好ましくは本発明の組成物の総質量に対して0.005質量%〜5質量%を占める。
【0046】
一般に、本発明に関連して使用できる酸化ベース及びカプラーの付加塩は、特に、酸付加塩、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、乳酸塩、トシル酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、リン酸塩及び酢酸塩等から選択される。
【0047】
追加の染料
本発明の組成物は、1種又は複数の直接染料も含み得る。直接染料は、より具体的には、イオン性又は非イオン性種、好ましくはカチオン性又は非イオン性種から選択される。これらの直接染料は、合成起源であっても天然起源であってもよい。直接染料は、存在する場合、より詳細には、組成物の総質量に対して0.0001質量%〜10質量%、好ましくは0.005質量%〜5質量%を占める。
【0048】
d)脂肪物質
本発明の組成物は、前述の通り、d)1種又は複数の脂肪物質を含み得る。
【0049】
用語「脂肪物質」は、通常の温度(25℃)及び大気圧(760mmHg)において水に不溶性(溶解度が5%未満、好ましくは1%未満、更により優先的には0.1%未満)である有機化合物を意味する。これらは、それらの構造中に、少なくとも6個の炭素原子又は連続した少なくとも2個のシロキサン基を含む少なくとも1つの炭化水素系鎖を有する。加えて、脂肪物質は、同じ温度及び圧力条件下で、有機溶媒、例えばクロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、エタノール、ベンゼン、トルエン、テトラヒドロフラン(THF)、流動ワセリンゼリー(liquid petroleum jelly)又はデカメチルシクロペンタシロキサンに一般に可溶性である。
【0050】
好ましくは、本発明の脂肪物質は、任意の塩化又は非塩化カルボン酸基(-C(O)OH又は-C(O)O
-)を含有しない。本発明の脂肪物質は、ポリオキシアルキレン化もポリグリセロール化もされていない。
【0051】
好ましくは、本発明による組成物中で使用される脂肪物質は、非シリコーン油である。
【0052】
用語「油」は、室温(25℃)及び大気圧(760mmHg)で液体である「脂肪物質」を意味する。
【0053】
用語「非シリコーン油」は、ケイ素原子(Si)を含有しない油を意味し、用語「シリコーン油」は、少なくとも1個のケイ素原子を含有する油を意味する。
【0054】
より特定すると、脂肪物質は、C
6〜C
16炭化水素、16個超の炭素原子を含有する炭化水素、動物起源の非シリコーン油、トリグリセリドタイプの植物油、合成トリグリセリド、フルオロ油、脂肪アルコール、トリグリセリド以外の脂肪酸及び/又は脂肪アルコールのエステル、並びに植物ワックス、非シリコーンワックス及びシリコーンから選択される。
【0055】
本発明においては、脂肪アルコール、脂肪エステル及び脂肪酸は、より特定すると、6〜30個の炭素原子を含む1つ又は複数の直鎖状又は分枝状の飽和又は不飽和の炭化水素系の基を含有し、これは、特に1つ又は複数(特に1〜4個)のヒドロキシル基で任意に置換されていることが想起される。それらが不飽和である場合、これらの化合物は1個から3個の共役又は非共役炭素-炭素二重結合を含んでいてもよい。
【0056】
C
6〜C
16炭化水素に関しては、それらは直鎖状、分枝状又は任意に環状であり、好ましくはアルカンである。列挙できる例には、ヘキサン、ドデカン及びイソパラフィン、例えばイソヘキサデカン及びイソデカンが含まれる。
【0057】
列挙できる動物起源の炭化水素系油は、ペルヒドロスクアレンである。
【0058】
植物又は合成起源のトリグリセリド油は、好ましくは、6〜30個の炭素原子を含む液体脂肪酸トリグリセリド、例えばヘプタン酸又はオクタン酸トリグリセリド、或いは、例えば、ヒマワリ油、トウモロコシ油、ダイズ油、カボチャ油、ブドウ種子油、ゴマ種子油、ヘーゼルナッツ油、杏仁油、マカダミア油、アララ油、ヒマシ油、アボカド油、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、例えばStearineries Dubois社により販売されているもの又はDynamit Nobel社によりMiglyol(登録商標)810、812及び818の名称で販売されているもの、ホホバ油並びにシアバター油から選択される。
【0059】
16個超の炭素原子を有する無機又は合成起源の直鎖状又は分枝状炭化水素は、好ましくは、流動パラフィン、ワセリン、流動ワセリンゼリー、ポリデセン及び水素化ポリイソブテン、例えばParleam(登録商標)から選択される。
【0060】
フルオロ油は、BNFL Fluorochemicals社によりFlutec(登録商標)PC1及びFlutec(登録商標)PC3の名称で販売されているペルフルオロメチルシクロペンタン及びペルフルオロ-1,3-ジメチルシクロヘキサン、ペルフルオロ-1,2-ジメチルシクロブタン、ペルフルオロアルカン、例えば3M社によりPF 5050(登録商標)及びPF 5060(登録商標)の名称で販売されているドデカフルオロペンタン及びテトラデカフルオロヘキサン、或いはAtochem社によりForalkyl(登録商標)の名称で販売されているブロモペルフルオロオクチル、ノナフルオロメトキシブタン及びノナフルオロエトキシイソブタン、ペルフルオロモルホリン誘導体、例えば3M社によりPF 5052(登録商標)の名称で販売されている4-トリフルオロメチルペルフルオロモルホリンから選択できる。
【0061】
本発明による組成物に使用できる脂肪アルコールは、飽和又は不飽和、直鎖状又は分枝状であり、6〜30個の炭素原子、より具体的には8〜30個の炭素原子を含む。列挙できるのは、例えば、セチルアルコール、ステアリルアルコール及びそれらの混合物(セテアリルアルコール)、オクチルドデカノール、2-ブチルオクタノール、2-ヘキシルデカノール、2-ウンデシルペンタデカノール、オレイルアルコール又はリノレイルアルコールである。
【0062】
本発明による組成物に使用できるワックスは、とりわけ、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、エスパルトグラスワックス、パラフィンワックス、オゾケライト、植物ワックス、例えば、オリーブワックス、ライスワックス、水素化ホホバワックス又はBertin社(フランス)により販売されているブラックカラント花のエッセンシャルワックス等の花のアブソリュートワックス等、動物ワックス、例えば、ミツロウ又は変性ミツロウ(セラベリナ(cerabellina))から選択され、本発明に従って使用することができるその他のワックス又はワックス状出発原料は、とりわけ、海洋ワックス、例えば、Sophim社によりM82の参照名で販売されている製品等、及び一般的なポリエチレンワックス又はポリオレフィンワックスである。
【0063】
有利には前述のトリグリセリドと異なる脂肪酸及び/又は脂肪アルコールエステルに関しては、特に飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のC
1〜C
26脂肪族の一酸又は多酸のエステル、及び飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のC
1〜C
26脂肪族の一価アルコール又は多価アルコールのエステルを特に挙げることができ、より特定すると、エステルの総炭素数は10以上である。
【0064】
モノエステルの中でも、ベヘン酸ジヒドロアビエチル、ベヘン酸オクチルドデシル、ベヘン酸イソセチル、乳酸セチル、乳酸C
12〜C
15アルキル、乳酸イソステアリル、乳酸ラウリル、乳酸リノレイル、乳酸オレイル、オクタン酸(イソ)ステアリル、オクタン酸イソセチル、オクタン酸オクチル、オクタン酸セチル、オレイン酸デシル、イソステアリン酸イソセチル、ラウリン酸イソセチル、ステアリン酸イソセチル、オクタン酸イソデシル、オレイン酸イソデシル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸イソステアリル、リシノール酸メチルアセチル、ステアリン酸ミリスチル、イソノナン酸オクチル、イソノナン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸オクチル、ペラルゴン酸オクチル、ステアリン酸オクチル、エルカ酸オクチルドデシル、エルカ酸オレイル、パルミチン酸エチル及びイソプロピル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸2-オクチルデシル、ミリスチン酸アルキル、例えばミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、ミリスチン酸セチル、ミリスチン酸2-オクチルドデシル、ミリスチン酸ミリスチル又はステアリル、ステアリン酸ヘキシル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸イソブチル、リンゴ酸ジオクチル、ラウリン酸ヘキシル、ラウリン酸2-ヘキシルデシルを挙げることができる。
【0065】
更に、この変形形態と関連して、C
4〜C
22のジカルボン酸又はトリカルボン酸及びC
1〜C
22アルコールのエステル、並びにモノ-、ジ-又はトリカルボン酸及びC
2〜C
26のジ-、トリ-、テトラ-、又はペンタヒドロキシアルコールのエステルも使用することができる。
【0066】
特に、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジ-n-プロピル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソステアリル、マレイン酸ジオクチル、ウンデシレン酸グリセリル、ステアリン酸オクチルドデシルステアロイル、モノリシノール酸ペンタエリスリチル、テトライソノナン酸ペンタエリスリチル、テトラペラルゴン酸ペンタエリスリチル、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル、テトラオクタン酸ペンタエリスリチル、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジカプリン酸プロピレングリコール、エルカ酸トリデシル、クエン酸トリイソプロピル、クエン酸トリイソステアリル、三乳酸グリセリル、トリオクタン酸グリセリル、クエン酸トリオクチルドデシル、クエン酸トリオレイル、ジオクタン酸プロピレングリコール、ジヘプタン酸ネオペンチルグリコール、ジイソノナン酸ジエチレングリコール、及びジステアリン酸ポリエチレングリコールを挙げることができる。
【0067】
上記のエステルの中では、パルミチン酸エチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸ミリスチル、パルミチン酸セチル又はパルミチン酸ステアリル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸2-オクチルデシル、ミリスチン酸アルキル、例えば、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、ミリスチン酸セチル若しくはミリスチン酸2-オクチルドデシル等、ステアリン酸ヘキシル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸イソブチル、リンゴ酸ジオクチル、ラウリン酸ヘキシル、ラウリン酸2-ヘキシルデシル、イソノナン酸イソノニル又はオクタン酸セチルを使用することが好ましい。
【0068】
組成物は、脂肪エステルとして、C
6〜C
30、好ましくはC
12〜C
22脂肪酸の糖エステル及びジエステルも含むことができる。用語「糖」は、アルデヒド又はケトン官能基の有り無しでいくつかのアルコール官能基を有する、少なくとも4個の炭素原子を含む酸素含有炭化水素系化合物を意味することが想起される。これらの糖は、単糖、オリゴ糖又は多糖であり得る。
【0069】
列挙することができる好適な糖の例として、スクロース(又はショ糖)、グルコース、ガラクトース、リボース、フコース、マルトース、フルクトース、マンノース、アラビノース、キシロース及びラクトース、並びにこれらの誘導体、特にメチル誘導体等のアルキル誘導体、例えばメチルグルコースが挙げられる。
【0070】
脂肪酸の糖エステルは、前述した糖類と、直鎖状若しくは分枝状の飽和若しくは不飽和のC
6〜C
30、好ましくはC
12〜C
22脂肪酸とのエステル又はエステル混合物を含む群から特に選択することができる。それらが不飽和である場合、これらの化合物は1個から3個の共役又は非共役炭素-炭素二重結合を含んでいてもよい。
【0071】
この代替形態によるエステルはまた、モノ、ジ、トリ及びテトラエステル、並びにポリエステル、並びにそれらの混合物から選択することもできる。
【0072】
これらのエステルは、例えば、オレイン酸エステル、ラウリン酸エステル、パルミチン酸エステル、ミリスチン酸エステル、ベヘン酸エステル、ヤシ油脂肪酸エステル、ステアリン酸エステル、リノール酸エステル、リノレン酸エステル、カプリン酸エステル、若しくはアラキドン酸エステル、又はそれらの混合物、例えば、特に、オレイン酸エステル/パルミチン酸エステル、オレイン酸エステル/ステアリン酸エステル又はパルミチン酸エステル/ステアリン酸エステルの混合エステルであることができる。
【0073】
より具体的には、使用されるのは、スクロース、グルコース又はメチルグルコースのモノエステル及びジエステル、特にモノ-又はジ-オレイン酸エステル、-ステアリン酸エステル、-ベヘン酸エステル、-オレイン酸エステル/パルミチン酸エステル、-リノール酸エステル、-リノレン酸エステル又は-オレイン酸エステル/ステアリン酸エステルである。列挙することができる例には、Amerchol社によりGlucate(登録商標)DOという名称で販売されている製品があり、これはジオレイン酸メチルグルコースである。
【0074】
列挙することができる脂肪酸の糖エステル又は糖エステル混合物の例として、
- Crodesta社によってF160、F140、F110、F90、F70及びSL40の名称で販売されている、それぞれモノエステル73%とジエステル及びトリエステル27%、モノエステル61%とジエステル、トリエステル及びテトラエステル39%、モノエステル52%とジエステル、トリエステル及びテトラエステル48%、モノエステル45%とジエステル、トリエステル及びテトラエステル55%、モノエステル39%とジエステル、トリエステル及びテトラエステル61%から形成されるパルミトステアリン酸スクロース、並びにモノラウリン酸スクロースを示す製品、
- モノエステル20%及びジ-トリエステル-ポリエステル80%から形成されるベヘン酸スクロースに相当する、例えばB370で参照される、Ryoto Sugar Estersの名称で販売されている製品、
- Goldschmidt社によりTegosoft(登録商標)PSEの名称で販売されているモノパルミトステアリン酸スクロース-ジパルミトステアリン酸スクロース
が挙げられる。
【0075】
本発明に従って使用できるシリコーンは、油、ワックス、樹脂又はガムの形態であり得る。
【0076】
好ましくは、シリコーンは、ポリジアルキルシロキサン、特に、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、並びにアミノ基、アリール基及びアルコキシ基から選択される少なくとも1つの官能基を含む有機変性ポリシロキサンから選択される。
【0077】
オルガノポリシロキサンは、Walter NollのChemistry and Technology of Silicones、(1968)、Academic Pressにおいてより詳細に定義されている。オルガノポリシロキサンは、揮発性であっても不揮発性であってもよい。
【0078】
これらのシリコーンは、より特定するとポリジアルキルシロキサンから選択され、これらの中でも、トリメチルシリル末端基を有するポリジメチルシロキサンを主に挙げることができる。シリコーンの粘度は、ASTM規格445付録Cに従って25℃で測定される。
【0079】
これらのポリジアルキルシロキサンの中では、非限定的に、以下の市販製品を挙げることができる:
- Rhodia社により販売されているSilbione(登録商標)油の47及び70 047シリーズ又はMirasil(登録商標)油、例えば70 047 V 500 000油、
- Rhodia社により販売されているMirasil(登録商標)シリーズの油、
- Dow Corning社製の200シリーズの油、例えば粘度が60000mm
2/sであるDC200、
- General Electric社製のViscasil(登録商標)油、及びGeneral Electric社製のSFシリーズのある種の油(SF 96、SF 18)。
【0080】
名称ジメチコノール(CTFA)で公知のジメチルシラノール末端基を有するポリジメチルシロキサン、例えばRhodia社製の48シリーズの油を挙げることもできる。
【0081】
このポリジアルキルシロキサンの部類において、Goldschmidt社によりAbil Wax(登録商標) 9800及び9801の名称で販売されている製品も挙げることができ、これらはポリ(C
1〜C
20)ジアルキルシロキサンである。
【0082】
本発明に従って使用できる有機変性シリコーンは、上に定義したシリコーンであり、その構造中に、炭化水素系基を介して結合する1つ又は複数の有機官能基を含む。
【0083】
有機変成シリコーンは、ポリジアリールシロキサン、特にポリジフェニルシロキサン、及び先に挙げた有機官能基により官能基化されているポリアルキルアリールシロキサンとすることができる。
【0084】
ポリアルキルアリールシロキサンは、特に、25℃で1×10
-5〜5×10
-2m
2/sの範囲の粘度を有する、直鎖状及び/又は分枝状のポリジメチル/メチルフェニルシロキサン及びポリジメチル/ジフェニルシロキサンから選択される。
【0085】
これらのポリアルキルアリールシロキサンの中でも、列挙できる例には、以下の名称で販売されている製品が含まれる:
- Rhodia社製のSilbione(登録商標)油の70 641シリーズ、
- Rhodia社製のRhodorsil(登録商標)70 633及び763シリーズの油、
- Dow Corning社製のDow Corning 556 Cosmetic Grade Fluid油、
- Bayer社製のPKシリーズのシリコーン、例えばPK20製品、
- Bayer社製のPN及びPHシリーズのシリコーン、例えば製品PN1000及びPH1000、
- General Electric社製のSFシリーズのある種の油、例えばSF 1023、SF 1154、SF 1250及びSF 1265。
【0086】
有機変性シリコーンの中でも、以下を含む、ポリオルガノシロキサンも挙げることができる:
- 置換又は非置換アミノ基、例えばGenesee社によりGP 4 Silicone Fluid及びGP 7100の名称で販売されている製品又はDow Corning社によりQ2 8220及びDow Corning 929若しくは939の名称で販売されている製品。置換アミノ基は特にC
1〜C
4アミノアルキル基である、
- アルコキシ基、例えばSWS Silicones社からSilicone Copolymer F-755の名称で販売されている製品、並びにGoldschmidt社からAbil Wax(登録商標)2428、2434及び2440の名称で販売されている製品。
【0087】
好ましくは、本発明による脂肪物質は、非シリコーンである。
【0088】
脂肪物質は、有利には、C
6〜C
16炭化水素、16個超の炭素原子を含有する炭化水素、トリグリセリド、脂肪アルコール、トリグリセリド以外の脂肪酸及び/若しくは脂肪アルコールのエステル、又はそれらの混合物から選択され、これらは好ましくは液体である。
【0089】
好ましくは、脂肪物質は、流動ワセリンゼリー、ポリデセン、液体脂肪アルコール、脂肪酸及び/若しくは脂肪アルコールの液体エステル、又はそれらの混合物から選択される。
【0090】
更により優先的には、脂肪物質は、流動ワセリンゼリー及びオクチルドデカノールから選択される。
【0091】
特定の実施形態によれば、本発明による組成物は、本発明の組成物の総質量に対して、好ましくは非シリコーンであり、好ましくは液体である、少なくとも10質量%の脂肪物質、特に非シリコーン油を含む。より特定すると、本発明による組成物は、組成物の総質量に対して、好ましくは非シリコーンである、少なくとも20質量%の脂肪物質、好ましくは少なくとも25質量%の脂肪物質、特に非シリコーン油を含む。
【0092】
本発明による組成物は、より具体的には、脂肪物質含有率が、組成物の質量に対して15質量%〜80質量%、好ましくは25質量%〜75質量%、更に良好には30質量%〜70質量%、更により有利には30質量%〜60質量%の範囲であり得る。
【0093】
特定の実施形態によれば、組成物が酸化剤及び塩基性化剤を含有する場合、本発明による組成物は、好ましくは、25%超の脂肪物質を含有する。この変形形態によれば、組成物は、好ましくは、30%超の脂肪物質を含有する。
【0094】
e)塩基性化剤
本発明の組成物は、1種又は複数の塩基性化剤も含み得る。塩基性化剤は、無機若しくは有機又は混成物であり得る。
【0095】
無機塩基性化剤は、好ましくは、アンモニア、アルカリ金属炭酸塩若しくは重炭酸塩、例えば炭酸ナトリウム若しくは炭酸カリウム及び重炭酸ナトリウム若しくは重炭酸カリウム、水酸化ナトリウム若しくは水酸化カリウム、又はそれらの混合物から選択される。
【0096】
有機塩基性化剤は、好ましくは、25℃で12未満、好ましくは10未満、更により有利には6未満のpK
bを有する有機アミンから選択される。それは、最も高い塩基性の官能基に対応するpK
bであることに留意すべきである。更に、有機アミンは、10個超の炭素原子を含む任意のアルキル又はアルケニル脂肪鎖を含まない。
【0097】
有機塩基性化剤は、例えば、アルカノールアミン、オキシエチレン化及び/又はオキシプロピレン化エチレンジアミン、アミノ酸、並びに次式(II)
【0099】
[式中、Wは、1つ若しくは複数のヒドロキシル基若しくはC
1〜C
6アルキル基で任意に置換されており且つ/又は1つ若しくは複数のヘテロ原子、例えばO若しくはNR
uで任意に中断されている二価C
1〜C
6アルキレン基であり;R
x、R
y、R
z、R
t及びR
uは、同一であっても異なっていてもよく、水素原子又はC
1〜C
6アルキル、C
1〜C
6ヒドロキシアルキル若しくはC
1〜C
6アミノアルキル基を表す]
の化合物から選択される。
【0100】
列挙できる式(II)のアミンの例として、1,3-ジアミノプロパン、1,3-ジアミノ-2-プロパノール、スペルミン及びスペルミジンが挙げられる。
【0101】
用語「アルカノールアミン」は、第1級、第2級又は第3級アミン官能基と、1つ又は複数のヒドロキシル基を有する1つ又は複数の直鎖状又は分枝状のC
1〜C
8アルキル基とを含む有機アミンを意味する。
【0102】
本発明を実施するために、1つから3つの同一である又は異なるC
1〜C
4ヒドロキシアルキル基を含む、モノアルカノールアミン、ジアルカノールアミン又はトリアルカノールアミン等のアルカノールアミンから選択される有機アミンが特に適する。
【0103】
この種の化合物の中では、モノエタノールアミン(MEA)、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、N-ジメチルアミノエタノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、トリイソプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、3-アミノ-1,2-プロパンジオール、3-ジメチルアミノ-1,2-プロパンジオール及びトリス(ヒドロキシメチルアミノ)メタンを挙げることができる。
【0104】
より具体的には、使用できるアミノ酸は、天然又は合成起源のそれらのL、D又はラセミ体のアミノ酸であり、より具体的にはカルボン酸、スルホン酸、ホスホン酸又はリン酸官能基から選択される少なくとも1つの酸官能基を含む。アミノ酸は、中性型でもイオン型でもよい。
【0105】
本発明で使用できるアミノ酸として、特にアスパラギン酸、グルタミン酸、アラニン、アルギニン、オルニチン、シトルリン、アスパラギン、カルニチン、システイン、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、リシン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、N-フェニルアラニン、プロリン、セリン、タウリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン及びバリンを挙げることができる。
【0106】
有機アミンは、複素環型の有機アミンから選択することもできる。アミノ酸において既に言及したヒスチジンに加えて、特に、ピリジン、ピペリジン、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール及びベンズイミダゾールを挙げることができる。
【0107】
好ましくは、本発明の組成物中に存在する塩基性化剤は、アルカノールアミン、及び中性又はイオン型のアミノ酸、特に塩基性アミノ酸から選択される。特に好ましい様式によれば、塩基性化剤は、モノエタノールアミン(MEA)及び中性又はイオン型の塩基性アミノ酸から選択される。
【0108】
有利には、本発明による組成物は、組成物の質量に対して0.01質量%〜30質量%、好ましくは0.1質量%〜20質量%の範囲の含有率の塩基性化剤を有する。
【0109】
第1の実施形態によれば、組成物は、塩基性化剤として主にアンモニアを含有する。
【0110】
別の実施形態によれば、組成物は、アンモニアと、好ましくはアルカノールアミンから選択される他の少なくとも1種の塩基性化剤とを含有する。この場合、組成物は、アンモニア(NH
3で表される)以外の塩基性化剤の量より少ない量で、アンモニア又はその塩を含む。特に、組成物は、アンモニアを少量のみ含有するか、又は含有しない。好ましくは、この実施形態によれば、アンモニア(NH
3で表される)含有率は、本発明の組成物の質量に対して、0.03質量%以下、好ましくは0.01質量%以下である。好ましくは、組成物は、アンモニアを含有しない。
【0111】
f)化学的酸化剤
本発明の組成物は、1種又は複数の化学的酸化剤も含み得る。用語「化学的酸化剤」は、大気中の酸素以外の酸化剤を意味する。より具体的には、化学的酸化剤は、過酸化水素、過酸化尿素、アルカリ金属臭素酸塩、過酸化塩、例えば過硫酸塩又は過ホウ酸塩、過酸及びその前駆体、並びにアルカリ金属又はアルカリ土類金属の過炭酸塩から選択される。
【0112】
有利には、酸化剤は、過酸化水素である。
【0113】
化学的酸化剤の濃度は、組成物の質量に対して、より具体的には0.1質量%〜50質量%、更により優先的には0.5質量%〜20質量%、更に良好には1質量%〜15質量%の範囲であり得る。
【0114】
好ましくは、本発明の組成物は、過酸化塩を全く含有しない。
【0115】
溶媒
本発明による組成物は、1種又は複数の有機溶媒も含み得る。
【0116】
列挙できる有機溶媒の例として、直鎖状又は分枝状C
2〜C
4アルカノール、例えばエタノール及びイソプロパノール;グリセロール;ポリオール及びポリオールエーテル、例えば2-ブトキシエタノール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル及びモノエチルエーテル;並びに芳香族アルコール又はエーテル、例えばベンジルアルコール又はフェノキシエタノール、並びにそれらの混合物が挙げられる。
【0117】
溶媒は、存在する場合には、組成物の質量に対して通常1質量%〜40質量%、好ましくは5質量%〜30質量%の範囲の含有率を占める。
【0118】
その他の成分
また、本発明による組成物は、従来から毛髪染料組成物中で使用されている種々の成分、例えば、アニオン性、カチオン性、非イオン性、両性若しくは双性イオン性ポリマー又はそれらの混合物;無機増粘剤、特に粘土又はタルク等のフィラー;有機増粘剤、特にアニオン性、カチオン性、非イオン性及び両性ポリマー性の会合性増粘剤;抗酸化剤;浸透剤;金属イオン封鎖剤;香料;分散剤;皮膜形成剤;セラミド;保存剤;透明化剤;アニオン性、カチオン性、両性及び/若しくは非イオン性界面活性剤も含有し得る。
【0119】
上記の成分は、一般に、その各量が、組成物の質量に対して0.01質量%〜20質量%の間で存在する。
【0120】
本発明の組成物は、様々な形態、例えば溶液、エマルジョン(乳液又はクリーム)又はゲル、好ましくはエマルジョンの形態をとることができる。
【0121】
本発明の方法
本発明による組成物は、湿った又は乾燥したケラチン繊維に適用される。組成物は、一般に1分〜1時間、好ましくは5分〜30分間、繊維上に置かれる。好ましい実施形態によれば、適用した組成物は、少なくとも1種の塩基性化剤及び少なくとも1種の酸化剤を含有する。
【0122】
染色方法中の温度は、従来、室温(15℃〜25℃)から80℃の間、好ましくは室温から60℃の間である。
【0123】
この処理の後、ヒトケラチン繊維は、任意に水で濯ぎ、任意にシャンプーで洗浄し、次いで水で濯いだ後、乾燥するか又は放置することによって乾燥させる。
【0124】
好ましい実施形態によれば、本発明による組成物は、酸化ベース3-(2,5-ジアミノフェニル)-1-プロパノール、及び/又はその酸性塩若しくはその溶媒和物、並びにパラ-アミノフェノール、3-メチル-4-アミノフェノール、N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)-パラ-フェニレンジアミン、及び/又はその酸性塩若しくは溶媒和物から選択される酸化ベース、並びに1種又は複数のカプラーを含む第1の組成物(A)と、少なくとも1種の化学的酸化剤を含む第2の組成物(B)との少なくとも2つの組成物を混合することによって調製される。
【0125】
以下:
- 組成物(A)又は(B)のうちの少なくとも1つは、組成物(A)+(B)の混合から得られる組成物の脂肪物質の含有率が、(A)+(B)の混合から誘導される組成物の質量に対して、少なくとも10質量%、好ましくは25質量%超、好ましくは30質量%超になるように、前述の脂肪物質を少なくとも1種含むことを理解されたい。
【0126】
一実施形態によれば、組成物(A)又は(B)のうちの少なくとも1つは水性であり、優先的には組成物(A)及び(B)は両方とも水性である。
【0127】
用語「水性組成物」は、少なくとも5%の水を含む組成物を意味する。好ましくは、水性組成物は、水を10質量%超含み、より有利には水を更に20質量%超含む。
【0128】
本発明の一変形形態において、少なくとも一部の脂肪物質は、上記の条件下で、組成物(A)及び(B)と混合される第3の組成物中に存在する。好ましくは、この第3の組成物は無水である。
【0129】
より具体的には、本発明の目的では、表現「無水化粧用組成物」は、含水量が、前記組成物の質量に対して5質量%未満、好ましくは2質量%未満、より好ましくは更に1質量%未満である化粧用組成物を意味する。組成物中に存在する水は、より具体的には、塩における結晶化の水等の「結合水」、又は本発明による組成物の調製に使用された出発原料によって吸収された微量の水であることに留意するべきである。
【0130】
以下の実施例は、本発明を例示するために役立つが、本質的に限定的なものではない。
【実施例】
【0131】
以下の組成物を調製し、その活性材料の量をグラム単位で表す。
【0132】
(実施例1)
【表1A】
【0133】
【表1B】
【0134】
【表2】
【0135】
使用時に、組成物A及びBそれぞれを、その独自の質量の酸化組成物Cと1回で混合する。
【0136】
次いで、得た混合物を、90%が白髪である天然の毛髪に適用する。
【0137】
室温で35分間落ちつかせた後、毛髪を濯ぎ、標準的なシャンプーで洗浄する。
【0138】
乾燥後、配合物Aで魅力的なダーク基本色調の毛髪が得られ、配合物Bで銅色マホガニーダークブロンドナチュラル色調の毛髪が得られる。
【0139】
(実施例2)
以下の組成物を調製し、その活性材料の量をグラム単位で表す。
【0140】
【表3A】
【0141】
【表3B】
【0142】
使用時に、組成物D、D'、E及びE'それぞれを、実施例1の酸化組成物Cと1/1の質量比で混合する。
【0143】
得られた混合物を、毛根に相当する天然毛束(BN)及び毛尖に相当するパーマ毛束(BP)に、毛髪1g当たり組成物10gの量で、それぞれ適用し、室温(25℃)で35分間放置する。
【0144】
次いで、毛髪を水で濯ぎ、10%に希釈された「Pro Classics濃縮」シャンプー(L'Oreal Prefessionnel社)で洗浄し、乾燥した。
【0145】
選択性評価
Minolta CM2006D分光光度計(光源D65、角度10°、正反射光を含む)で、CIE L*a*b*系を使用して毛髪の色を決定した。
【0146】
この系によれば、L*は、毛髪の色の明るさを示す。
【0147】
色度座標を、パラメータa*及びb*によって表し、ここでa*は赤/緑の色調の軸を示し、b*は黄/青の色調の軸を示す。
【0148】
染色の選択性は、次式
【0149】
【数1】
【0150】
(式中、L、a*及びb*は、中程度増感毛髪(sensibilized hair)で測定された値を表し、L0*、a0*及びb0*は高度の増感毛髪で測定された値を表す)
に従ってΔE変化を計算することによって求める。
【0151】
選択性は、着色天然毛髪と増感毛髪との間の色の違いによって表され、ΔE値が大きいほど、天然毛髪及び増感毛髪間の色の違いが顕著に大きくなり、毛束に沿った未処置部分(raw)と毛尖との間の色の均一性を表す。
【0152】
以下の結果が得られる:
【0153】
【表4】
【0154】
本発明による混合物D+Cは、組成物D'+Cの混合物(比較)より低選択性の色(低ΔE値)をもたらし、すなわち未処置部分と毛尖との間の差が、D'+Cを用いた場合よりもD+Cを用いた場合の方が小さく、毛束に沿った色は、D+Cを用いた場合より均一である。
【0155】
【表5】
【0156】
本発明による混合物E+Cは、組成物E'+Cの混合物(比較)より低選択性の色(低ΔE値)をもたらし、すなわち未処置部分と毛尖との間の差が、E'+Cを用いた場合よりもE+Cを用いた場合の方が小さく、毛束に沿った色は、E+Cを用いた場合より均一である。