【実施例】
【0035】
合成遺伝子の設計とクローニング
MC1アミノ酸配列を鋳型として使用し、大腸菌の天然コドンバイアスがある合成遺伝子を、http://www.idtdna.com/CodonOptで利用可能なIntegrated DNA Technologies社からのコドン修飾ツールを使用して設計した。生じた配列は配列番号1として与えられる。BamH1部位とHindIII部位をそれぞれ5'末端及び3'末端に加えて、pET22bベクター(EMD-Millipore社)のIPTG(イソプロピルβ-D-1-チオガラクトピラノシド)誘導的発現カセットへのクローニングを可能にした。このような戦略によって、pelBリーダーペプチドのN末端融合及びHis-タグ(His)
6配列のC末端融合があるMC1ポリペプチドが生成すると予想した。pelBシグナルペプチドは原形質周辺空間に融合タンパク質を誘導し、これによって宿主細胞RNA機構に対するリボヌクレアーゼ活性の任意の考えられる有害な影響を未然に防ぐと予想される。
【0036】
実験によって得た配列の翻訳を介して組換え型クローンの配列及びリーディングフレームを確認した後、組換え型pET22b-MC1を有するRosetta(DE3)細胞をMC1生成用に使用した。RosettaDE3細胞は組換え型pET22b(+)MC1プラスミドで形質転換し、LB-アンピシリン(50μg/mL)及びクロラムフェニコール(34μg/mL)プレート上に平板培養した。次いでシングルコロニーを、種培養用にアンピシリンとクロラムフェニコールを補充したLB-培地内で一晩増殖させた。その後種培養物を使用して、抗生物質を補充した0.20L(小規模)又は1L培地のいずれかに接種した。200rpmにおいて一定攪拌しながら30℃で、オービタルシェーカーにおいて細胞を増殖させた。ブロス培地にIPTGを加えることにより発現を誘導した。
【0037】
タンパク質発現条件の最適化
4つの異なる実験変数、タンパク質誘導の増殖段階、増殖温度、誘導時間、及びインデューサーの濃度を調べてRNaseMC1の誘導的発現に最適な条件を決定した。
【0038】
具体的には、(0.3〜0.9単位の範囲での600nmにおける光学濃度によって測定した)異なる細菌増殖段階をタンパク質誘導に関して評価した。アンピシリンとクロラムフェニコールを補充した200mLのLB培地の4つの異なるフラスコに、組換え型プラスミドを有するRosetta(DE3)細胞株の同じ種培養物から2mL接種した。1mLの細胞を決まった間隔(30〜90分)で取り出し600nmにおける光学濃度を測定した。λ
600で0.3〜0.9単位の範囲において光学細胞濃度によって測定した対数期増殖曲線中の異なる段階で、IPTGを加えることによりMC1発現を誘導した。
図4Aは、各増殖段階における誘導後の代表的増殖曲線を示す。ほぼ全ての場合、MC1の誘導的発現は、増殖から対数期に移行する増殖曲線の変化をもたらした。
図4B中に示したように、約0.6のOD
600で細胞を誘導したとき、採取した細胞から精製したタンパク質量の比較によって高収率が明らかとなった。
【0039】
図4C中に示したように、精製したタンパク質をSDS-PAGEによりその相対分子質量と純度に関して分析した。この分析によって、0.6及び0.9のOD
600で細胞を誘導したとき、M
r約24kDaで低分子質量の数個の少量ポリペプチドの主要ポリペプチドバンドが明らかとなった。MC1-(His)
6融合タンパク質の予想分子質量(24.1kDa)はSDS-PAGEにおいて観察したそれと類似しており、細菌宿主中で予想されるポリペプチドの生成を示唆する。驚くべきことに、0.3及び0.7のOD
600で細胞を誘導したとき、このようなポリペプチドは観察されなかった。各増殖曲線の試験は、0.7のOD
600で3時間の誘導後に光学濃度は本質的に不変状態のままであることを示唆し、これらの宿主細胞における代謝活性の停止を示す。おそらく培養細胞の少ない細胞数及び低速増殖のため、初期対数期における誘導(0.3のOD
600)によって予想されるポリペプチドが生成することはなかった。0.9のOD
600での誘導によって約24kDaのポリペプチドが生じたが、生成したタンパク質収量は0.6のOD
600で誘導を行ったときに観察した量より有意に少なかった。したがって0.6のOD
600での誘導は、大腸菌宿主におけるMC1タンパク質の発現に最適であると考えた。
【0040】
MC1誘導の最適な時間は0.6のOD
600でのIPTG添加地点から2時間であることを観察し、この場合タンパク質収量は培養物200mLあたり約5μgでピークに達した。30℃と37℃の間で増殖温度及び0.4mMと1.0mMの間でIPTG濃度を変更することによってタンパク質収量に対する有意な影響はなく、培養物200mLあたり約5μgで不変状態のままであった(データ示さず)。
【0041】
RNaseMC1の精製
誘導したMC1タンパク質を、バッチプロセス又は製造者の説明に従いニッケル-セファロース樹脂(Novagen社)を使用したカラムクロマトグラフィーのいずれかによって精製した。最適発現条件の調査中バッチ精製を利用し、カラムクロマトグラフィーは大規模精製のために実施した。精製したタンパク質収量はブラッドフォードアッセイによって測定した。溶出タンパク質は100mM酢酸アンモニウム(pH5.5)バッファーと交換し、Amicon Ultra 0.5mLフィルターを使用して濃縮した。
【0042】
ヌクレオシド修飾をマッピングするためのMC1の特徴付け
溶出画分中の推定MC1タンパク質の存在を、4%〜20%変性ポリアクリルアミドゲル(Precise、Thermo Scientific社)上の約24kDaポリペプチドの検出によって確認した。精製タンパク質の非特異的RNase活性は、10μL体積中で1時間37℃において、200pmolの基質オリゴヌクレオチド、UAACUAUAACG(配列番号12)、及び所定量(100〜800ng)のタンパク質をインキュベートすることによって試験した。260nmにおけるUV-吸光度測定値(A
260)を、製造者の説明に従いナノフォトメーター(Implen社)でT
0及び1時間後(T
1h)において記録した。RNAオリゴマーを含有しタンパク質は含有しないバッファー対照も同一の形式でアッセイした。
【0043】
RNaseによる配列番号12の切断によって、A
260値の増大をもたらす開始基質と比較してスタッキング相互作用が低減したオリゴヌクレオチド産物が生じる。3つのタンパク質量を試験した(200、400、及び800ng)。
図4D中に示したように、200ngから400ngにタンパク質量を増大したときA
260の増大を測定した一方で、800ngのタンパク質では更なる増大は検出されなかった。おそらく、多量のタンパク質はオリゴヌクレオチド基質の更なる切断はもたらさず、又はタンパク質量の増大はUV吸光度の任意の追加的変化の検出に干渉する。
【0044】
精製タンパク質によるRNAのヌクレオシド特異的酵素切断を、37℃における2時間の3μgの市販の大腸菌tRNA
TyrI(Sigma-Aldrich社)と所定量の精製酵素(100〜2000ng)のインキュベーション、及びIP-RP-HPLC-MSによる消化産物の分析によって試験した。消化産物は、30μL/分の流速で移動相A(200mMヘキサフルオロイソプロパノール[HFIP][Sigma社]、8.15mMトリエチルアミン[TEA、Fisher Fair Lawn社]、水中[Burdick and Jackson社、ブリッジポート]、pH7.0)及び移動相B(100mM HFIP、4.08mM TEA、50%メタノール中[Burdick and Jackson社]、pH7.0)を利用して1×150mmのXBridge C18カラム(Waters社)において分離した。勾配は以下の通りであった。5%B〜20%Bを5分間、20%B〜30%Bを2分間、30%B〜95%Bを43分間、95%Bを5分間保持、次いで更に15分間5%Bで平衡化。
【0045】
溶出した消化産物に、Thermo Scientific社のLTQ-XL質量分析計を使用して質量分析を施した。各質量選択前駆体イオンのタンデム質量スペクトルの自動収集のための機器設定は知られており、更なる記載はしない。イオン化ソースにおけるシースガス、助剤ガス、及びスイープガスは、それぞれ25、14、及び10任意単位(au)に設定した。スプレー電圧は4kVであり、キャピラリー温度は275℃であり、キャピラリー電圧は-23Vであり、チューブレンズは-80Vに設定した。
【0046】
推定消化産物(ウリジン特異的と非特異的の両方)及び対応する衝突誘起解離(CID)フラグメントイオンの理論上のm/z(質量/電荷)値を、Mongo Oligo(http://mods.rna.albany.edu/masspec/Mongo-Oligo)を使用してコンピューターで計算した。消化に関するウリジン特異性を確認するため、大腸菌tRNA
TyrIのRNaseMC1消化から設定したLC-MS/MSデータを記載したように収集した。それぞれのMS/MSスペクトルを、典型的ヌクレオチドのc
1産物イオン質量に対応するm/z328.1(A)、344.2(G)、304.1(C)、及び305.1(U)の存在に関して分析した。同様にMS/MSスペクトルを、典型的ヌクレオチドのy
1産物イオン質量に対応するm/z346.2(A)、362.2(G)、322.1(C)、及び323.1(U)の存在に関しても調べ、消化産物が3'-直鎖状リン酸と共に存在したと仮定した。これらのm/z値がいずれも観察されなかった場合(長鎖オリゴマー又は2',3'-環状リン酸のみの場合)、c
2産物イオンの組合せ、例えば、UA/UG/UC/UU/AU/GU/CUに対応するm/z値を考えた。
【0047】
ヌクレオチド特異的切断性を、その質量が3'-リン酸含有切断産物と一致する各オリゴヌクレオチド前駆体イオンからのMS/MSスペクトルの系統的考察によって決定した。これらのデータの評価によって、5'-ウリジン残基を示すオリゴヌクレオチド消化産物が明らかとなった。対照的に、消化産物の3'末端は非常に様々であった。ウリジンは3'末端におけるその不在が顕著であった。2つのこのような代表的消化産物、ΨCとUCCは、それぞれ
図5A〜
図5Dと
図6A〜
図6D中に示す。
図5A〜
図5D中、(A)はトータルイオンクロマトグラム(TIC)であり、(B)は消化産物ΨCp(配列番号7の位置55〜56)に対応するm/z628.3の抽出イオンクロマトグラム(XIC)であり、(C)は11.7分におけるXICと関連する質量スペクトルであり、(D)はm/z628.3前駆体イオンの衝突誘起解離(CID)のタンデム質量スペクトル(MS/MS)である。ホスホジエステル骨格上の切断位置を下付き文字で示した、観察した配列情報を示す産物イオン、(共通5'末端を有する)c及び(共通3'末端を有する)yを、当技術分野の標準的命名後に標識しプロットした。
図6中、(A)は消化産物UCCp(配列番号7の位置55〜56)に対応するm/z933.4のXICであり、(B)は24.5分におけるXICと関連する質量スペクトルであり、(C)はm/z933.4前駆体イオンのCIDタンデム質量スペクトルである。
図5中と同様に、配列情報を示すフラグメントイオンを標識する。
【0048】
MS/MSデータにおいてその5'末端を直接観察できなかった長鎖消化産物に関して、ウリジンの存在と一致する第二位置のフラグメントイオンを観察した。MS/MSデータのこの調査に基づいて、予想tRNA
TyrI消化産物及びそれらの衝突誘起解離(CID)フラグメントイオンのm/z値の一覧を計算し、ウリジン残基での切断によって5'-ウリジン又は5'-修飾ウリジンヌクレオシドを含む消化産物が生じると仮定した。
【0049】
これらの消化の法則を使用して、tRNA
TyrIに関する全LC-MS/MSデータセットを調べた。予想消化産物の1つは、tRNAの3'末端由来の消化産物、UCCCCCACCACCA(配列番号9)であった。
図7中に示したように、このシチジン多量消化産物を実験によって大量に検出した。
図7中、(A)は消化産物配列番号9(配列番号7の位置73〜85)に対応するm/z1325.1のXICであり、(B)は39.5分におけるXICと関連する質量スペクトルであり、(C)はm/z1325.2前駆体イオンのCIDタンデム質量スペクトルである。配列情報を示すフラグメントイオンは
図5中と同様に標識した。星印(*)はc-タイプのフラグメントイオンを示し、黒丸記号(●)はy-タイプのフラグメントイオンを示す。重要なことに、LC-MS/MSデータ内でシチジンにおける切断に対応する消化産物は観察されず、ウリジンに対する精製タンパク質の特異性が示された。
【0050】
実験データの更なる調査によって、消化産物に関する3'-直鎖状リン酸と2',3'-環状リン酸の存在が明らかとなった(代表的消化産物は
図6中に示す)。
図8中、(A)はm/z1012.3(直鎖状リン酸)とm/z1003.3(2',3'-環状リン酸)のXICであり、(B)は35分と33分におけるXICと関連するMSであり、(C)はm/z1012.3前駆体イオンのCIDタンデム質量スペクトルである。配列情報を示すフラグメントイオンを標識する。環状リン酸の存在は、最終産物としての3'-直鎖状リン酸の形成前に2',3'-環状リン酸中間体を介して進行するRNaseT2機構と一致する。過剰な酵素(最大50倍の酵素)は環状リン酸レベルに影響を与えなかったので、この特徴は酵素濃度依存的ではなかった。環状リン酸の濃度非依存的形成は、低速のホスホジエステル結合加水分解と更に一致する。
【0051】
転写後修飾ウリジンにおける切断の優先
tRNA
TyrI基質によって、MC1の切断性に対する修飾ヌクレオシドの影響の初期研究が可能となった。このtRNAは多数の修飾ヌクレオシド、4-チオウリジン[s
4U8]、2'-O-メチルグアノシン[Gm17]、クエオシン[Q34]、2-メチルチオ-N
6-イソペンテニルアデノシン[ms
2i
6A37]、5-メチルウリジン[m
5U54]、及び2つのシュードウリジン[Ψ39とΨ55]を含有する。ウリジンとシュードウリジンは質量に基づいて区別できない一方で、他の修飾は典型的非修飾ヌクレオシドからのその特徴的質量シフトによって直接確認することができ、MS/MSデータの調査によってtRNA
TyrI配列全体内に配置することができる。
【0052】
4-チオウリジンと5-メチルウラシル
特に興味深いのは、MC1の切断が修飾ウリジンの存在によって影響を受けるかどうかを決定することであった。tRNA
TyrIは3つの修飾ウリジン(s
4U、m
5U、及びΨ)を含有するので、LC-MS/MSデータは、s
4Uとm
5Uが切断に関して認識されるか又はされない予想消化産物をin silicoで生成し、これらの予想m/z値と実験データを比較することによって評価した。このデータによって、s
4Uとm
5UがMC1によって認識されないシナリオに対応するm/z値の存在が明らかとなった。例えば、消化産物UGGGG[s
4U]pはm/z1012.3で検出し(
図6A、
図6B)、この配列はMS/MSによって確認された(
図6C)。同様に、m/z1320.5での消化産物UCGAAGG[m
5U]の検出によって記したようにm
5Uは切断基質として認識されず、
図9中に示したように、これはMS/MSデータによっても確認された。
図9中、(A)は消化産物UCGAAGG[m
5U](位置47〜54)に対応するm/z1320.2のXICであり、(B)は37.7分におけるXICと関連するMSであり、(C)はm/z1320.6前駆体イオンのCIDタンデム質量スペクトルである。MSにおいて観察した同時溶出イオン(m/z1284.6)は、tRNA
TyrIIイソデコーダー(RY1661)に属するMC1消化産物(UCACAGAC、位置46〜53)に対応する。配列情報を示すフラグメントイオンを標識する。星印(*)はc-タイプのフラグメントイオンを示し、黒丸記号(●)はy-タイプのフラグメントイオンを示す。
【0053】
MC1がこれらの修飾ヌクレオシドを基質として認識した場合、消化産物は単一ヌクレオチド(s
4U又はm
5Uの5'一リン酸)であったと思われる。tRNA
TyrI配列中でそれらにウリジン又はシュードウリジンのいずれかが続くからである。s
4U又はm
5Uにおいて部分的切断が起こらなかったことを確認するため、m/z851.1における(3)-UGGGG-(7)及びm/z1160.1における(56)-UCGAAGG-(62)等の切断と一致する予想二重帯電消化産物もこのデータ内で検索した。これらのm/z値に関するイオンは検出されず、s
4Uとm
5UはMC1により基質として認識されないことを確認した。
【0054】
シュードウリジン
MC1がシュードウリジンを基質として認識する場合、m/z628.4(ΨC)及びm/z815.1(ΨCGAA)で予想消化産物を予想する。前者は
図5中に例示したように発見し、後者と一致するデータは
図10中に示す。
図10中、(A)は消化産物ΨCGAAp(位置55〜59)に対応するm/z815.4のXICであり、(B)は37.7分におけるXICと関連するMSであり、(C)はm/z815.4前駆体イオンのCIDタンデムMSである。配列情報を示すフラグメントイオンを標識する。シュードウリジンを質量によってウリジンと区別することはできないが、配列UC又はUCGAAに対応する他のtRNA
TyrI消化産物は予想されない。したがって、ウリジンとシュードウリジンはMC1のヌクレオシド特異性の点で区別できない。
【0055】
欠如した切断
MC1によるtRNA
TyrIの切断パターンの分析によって、多量の修飾ヌクレオシドがウリジンに先行する場合、切断が観察されなかったことも明らかとなった。例えば、
図11中に示したように、オリゴヌクレオチドU[Q]UA[ms
2i
6A]Aに関してそれぞれ3'-直鎖状リン酸と2',3'-環状リン酸消化産物と一致するm/z1100.5とm/z1091.7で検出した消化産物によって記したように、位置34におけるクエオシンはU35でMC1による切断を阻害した。これらの前駆体イオンのタンデムMSによって配列を確認し、ウリジンの認識及び切断に対する5'-ヌクレオシドの影響が明らかとなった。
図11中、(A)はm/z1091.5のXICであり、(B)は48.3分におけるXICと関連するMSであり、(C)はm/z1091.7前駆体イオンのCIDタンデムMSであり、配列情報を示すフラグメントイオンを標識する。質量スペクトルによって、U[Q]UA[ms
2i
6A]Aの直鎖状(m/z1100.5)と2',3'-環状リン酸(m/z1091.7)消化産物(配列番号7の位置33〜38)の両方に関する二重帯電イオンが明らかとなる。オリゴヌクレオチドにおける115Daの損失によるクエオシンの断片化をMSにおいて示す。
【0056】
ウリジンにおける部分的消化が起こるかどうか決定するため、tRNA
TyrI基質を様々な量のMC1とインキュベートした。低い酵素/基質比(tRNA3μgあたりタンパク質0.05〜1μg)で、連続したウリジンにおける部分的消化が記された。これらの部分的消化は、酵素/基質比の増大によって排除することができた(tRNA3μgあたりタンパク質2.5μg)。
【0057】
粗製クサチビンタンパク質抽出物の調達及び精製
ピクルス型品種のキュウリ(Cucumis sativus)の乾燥種子を粉末状にすりつぶし、激しく攪拌しながら0.14MのNaClを含有する5mMリン酸ナトリウム(pH7.2)を使用し一晩4℃で抽出した。次いで抽出物を4層のチーズクロスを介して濾過し、20%氷酢酸を用いてpH4まで酸性状態にした。次いで濾過物を20分間10,000rpmで遠心分離し、ペレットは廃棄した。次いで上澄みを更に30分間15,000rpmで遠心分離し、生成したペレットは再度廃棄した。次いで抽出物をWhatman No.1濾過紙を介して濾過し、大部分の残存粒子を除去した。
【0058】
次いで濾過物を、10mM酢酸ナトリウム(pH4.5)で平衡状態にしたSephadex G-25カラム(2.5mL床体積)に供した。フロースルーはイオン交換クロマトグラフィーの後工程用に使用した。
【0059】
次いで溶出物を、10mM酢酸ナトリウム(pH4.5)で平衡状態にしたCM-セルロースカラムに供した。次いでカラムを5mMリン酸ナトリウム(pH7)で洗浄し、溶出物は廃棄した。次いでタンパク質を、50mM、100mM、200mM、及び500mM NaClを含有する5mMリン酸ナトリウム(pH7)の不連続勾配でカラムから溶出させた。溶出物は2mL画分で回収し、ブラッドフォードアッセイ又は280nmでのUV吸光度のいずれかを使用してタンパク質を含有する画分を同定した。
【0060】
CM-セルロースカラムでのイオン交換クロマトグラフィー後まで、タンパク質の存在はモニタリングしなかった。CM-セルロースカラムからのタンパク質の溶出後、
図12中に示したように、各溶出画分の280nmにおける吸光度をモニタリングした。最大吸光度を示したタンパク質含有イオン交換クロマトグラフィー画分を変性ゲル電気泳動(SDS-PAGE)に供し、タンパク質サイズ標準(EZ run Recタンパク質サイズ標準、Fisher scientific社)との比較に基づいて、約23〜25kDaのポリペプチドの存在を検証した。
図13中に示したように、標的タンパク質(約25kDa)は200mM NaClを含有する5mMリン酸ナトリウムにおいて大部分が溶出したことが分かった。更に、多くの低分子タンパク質(5〜10kDa)もこれらの画分中に溶出した。
【0061】
25kDaタンパク質を含有する画分をspeedvac(Thermo Scientific社)で2mL以下の複合体積に濃縮し、500mM NaClを含有する5mMリン酸ナトリウム(pH7)で平衡状態にしたSephadex G-75カラム(床体積おおよそ36mL、GE Life Sciences社)におけるサイズ排除クロマトグラフィーに供した。約1.5カラム体積の500mM NaClを含有する5mMリン酸ナトリウム(pH7)でタンパク質を溶出した。1.5mLの画分を回収し、ブラッドフォードアッセイを実施して、どの画分がタンパク質を含有していたか決定した。
図14参照。サイズ排除カラム画分における23〜25kDaのポリペプチドの存在はSDS-PAGEによって検証した。標的酵素は約1〜1.2カラム体積のバッファー(画分30〜34)がカラムを通過した後に溶出した。
【0062】
約23〜25kDaのポリペプチドを含有するサイズ排除クロマトグラフィー画分をプールし、濃縮し、Amicon Ultra-5遠心濾過デバイス(サイズ=3k)を使用してオートクレーブ処理水で脱塩した。次いで280nmにおける吸光度を使用して、純タンパク質(356μg/mL)のおおよその濃度を決定した。
【0063】
図15中に示したように、精製の各工程で得たタンパク質含有アリコートをSDS-PAGEに供してRNaseクサチビン精製の経過を示した。初回抽出及び遠心分離後、標的酵素(サイズ約23〜25kDa)はゲル上で目に見えず、非常な低濃度でのその存在が示された。Sephadex G-25におけるゲル濾過後その標的酵素は依然として目に見えなかった。Sephadex G-25は低分子のみを濾過するからである。それをCM-セルロースカラムにおけるイオン交換クロマトグラフィーに供して、これらの画分中に多くの他の低分子タンパク質と共に溶出する標的タンパク質を濃縮した。高塩濃度でのSephadex G-75におけるサイズ排除クロマトグラフィーによって最終的に低分子タンパク質から標的タンパク質を分離し、比較的純粋な酵素を生成した。
【0064】
純酵素のクサチビン活性の確認
濃縮純タンパク質のアリコート(2.5μL、5μL、7μL)を、1μLの220mM酢酸アンモニウム及び200pmolのRNAオリゴヌクレオチド配列、AUCACCUCCUUUCU(配列番号13)と組み合わせた。オートクレーブ処理水を使用して10μLの一定体積にサンプルを希釈した。次いでこれらのサンプルを37℃又は50℃のいずれかで2時間インキュベートし、260nmにおける吸光度をモニタリングした。ブランク(オートクレーブ処理水及び酢酸アンモニウム)と陰性対照(オートクレーブ処理水、酢酸アンモニウム、及びRNAオリゴヌクレオチド)の両方もインキュベートした。A
260における吸光度の増大は活性酵素の存在に原因があると考えられた。
【0065】
ポリ(C)及びポリ(U)を使用して一般的な酵素活性のアッセイを最初に実施すると、インキュベーション後に吸光度の増大を観察しなかった。
図15中に示したように、RNAオリゴヌクレオチド及び精製した(より濃縮した)タンパク質を使用して活性のアッセイを実施すると、
図16及び
図17中に示したように、陰性対照(0μLタンパク質)と比較して吸光度の有意な増大を観察した。これらの吸光度の増大は、37℃と50℃両方で2時間のサンプルのインキュベーション後に観察された。LC-MSにおける消化RNAの初回分析は如何なる消化産物も示さなかったが、しかしながら、希釈酵素を使用すると消化産物を観察した。
【0066】
幾つかの濃度の精製酵素を、大腸菌tRNA
Tyr(配列番号7)と37℃又は50℃のいずれかで1〜2時間インキュベートした。1μL(約35.6ng)、2μL(約71.2ng)、又は5μL(178ng)の希釈酵素(水で10μLに希釈した1μLストック酵素)及び1μLの非希釈酵素(356ng)を両方の温度でtRNA
Tyrとインキュベートした。次いでtRNA
Tyr消化産物をIP-RP-LC-MS/MSによって分析した。仮定したRNAのシチジン特異的切断及び消化産物前駆体イオンのCID後のそれらの産物イオンに基づき、理論上予想した消化産物の質量/電荷(m/z)値を、Mongo Oligo Mass Calculator(http://mods.rna.albany.edu/masspec/Mongo-Oligo)を使用してコンピューターで計算した。
【0067】
tRNA
Tyrの修飾ヌクレオチド配列は知られているので、tRNA
Tyrの理論上の消化産物をCpN結合切断に関して編集し、消化産物前駆体イオンの各m/zに関する生MSデータを最初に検索した。これらの前駆体イオンのヌクレオチド配列をCIDによって更に確認し、配列情報を示す産物イオンの存在を記録した。更に、他の核酸塩基における切断から生じた消化産物も査定して、クサチビン酵素によるRNAの特異的切断を評価した。クサチビンによる特定ウリジンでの周知のRNAの不定期切断のため、これは必要であった。tRNA
Tyrと1μLの希釈タンパク質(約36ng)のインキュベーション後、この試験において見られた消化産物をTable 2 (表2)中に示す。36ngの酵素で見られたこれらの消化産物各々を他のサンプル中のそれらの存在に関しても検索し、この場合異なる量の精製タンパク質を使用した。消化産物前駆体イオンの各々に関するイオンクロマトグラムのピークはXcaliburソフトウエアを使用して一元化した。各消化産物に関するこの定量データのグラフは
図18〜
図36中に示す。3'-直鎖状リン酸は全てのシチジン特異的産物において見られたが、一方3'-環状リン酸はウリジン特異的産物においてのみ見られた。
【0068】
【表2】
【0069】
合成遺伝子の設計、増幅、及び精製
精製したタンパク質をトリプシンで消化した。タンパク質分解酵素トリプシンでの処理後クサチビンのLC-MS分析によって同定したトリプシンによって生じたペプチドをTable 3 (表3)中に示す。2つの他の低分子シードコートタンパク質に関するトリプシンによって生じたペプチドも発見した。表中に挙げた最初の2つペプチドは文献中で以前から知られている。トリプシンによって生じたペプチドの一部のアミノ酸配列を、Protein Lynx(Waters社)を使用してキュウリタンパク質データベース(GCF_0000040752_ASM407V2_protein.faa)に対してブラスト処理して、RNaseMC様タンパク質として予想ポリペプチドを同定した。
【0070】
【表3】
【0071】
NCBIデータベースにおける保存型ドメイン構造検索は、クサチビンがT2-タイプRNaseであることを示す。同様の結果をInterPro(http://www.ebi.ac.uk/interpro/)の使用によって得た。
【0072】
修飾コドンを有する合成遺伝子を同定したアミノ酸配列に基づいて設計し、配列番号4で与えた大腸菌におけるタンパク質発現の増加を可能にした。制限部位を両末端に加えて、タンパク質発現ベクター、pET22b(Novagen社)へのクローニングを可能にした。合成DNA(651bp)をIDTDNA技術により遺伝子ブロックとして作製した。
【0073】
遺伝子はPCRによって増幅した。5μLの10×PCRバッファー、1μLのdNTP、0.5μLの合成DNA鋳型、及び0.6μLのPfuTurbo DNAポリメラーゼを組み合わせた。更に、それぞれ5'及び3'末端に制限エンドヌクレアーゼのBglII及びHindIIIに関する配列も有する、それぞれ0.5μLのフォワードプライマー及びリバースプライマー、ATGGAAAAATGGAAAAGACCAAAAGTGTCGATG(配列番号23)及びAAAAATAAATGAGCCTGCGCAATTGG(配列番号24)をそれぞれ混合物に加えた。プライマー濃度は100pmol/μLであった。これらのプライマーはこの例示的な系における遺伝子配列の容易な増幅を可能にしたが、他のプライマーを本発明の他の実施形態中で使用することができる。生成した混合物は50μLの合計体積まで水で希釈した。合計3サンプルを調製し、以下のPCRサイクルに供した。2分間94℃、0.5分間92℃、0.5分間57℃及び2分間72℃の35サイクル、並びに5分間72℃の1サイクル。アガロースゲル(1.0%)電気泳動を実施してPCR産物のサイズを検証した。
【0074】
増幅した遺伝子はQIAquick PCR精製キット(スピンプロトコール)を使用して精製した。
図37及び
図38中に示したように、1.0%アガロースゲルを使用して精製の成功を調べた。
【0075】
制限酵素BglII及びHindIIIを使用して遺伝子を消化した。以下の50μL反応混合物、15μLのDNA、5μLのNEB2.1バッファー、1.5μLのBglII、1μLのHindIIIを2時間37℃でインキュベートした。更に、10μLのDNAを使用して第二の実験を実施した。消化したDNAはQIAquick PCR精製キット(スピンプロトコール)を使用して精製した。
【0076】
精製した遺伝子はpET-22b(+)ベクターに連結させた。このベクターは事前にBamHI及びHindIIIで消化した。連結反応混合物は以下の通りであった。9.5μLのDI水、2μLの10×リガーゼバッファー、2μLのpET-22b(+)ベクター、6μlの消化遺伝子、及び0.5μLのリガーゼ。この反応混合物は1時間室温に保ち、次いで約5日間4℃で冷却した。
【0077】
次いで連結混合物をBL21大腸菌細胞に形質転換した。10μLの連結混合物を、BL21大腸菌細胞の2本の異なる1.5mLチューブに加え攪拌した。次いでチューブを30分間氷上に置き、2時間42℃でインキュベートし、次いで2分間氷上に戻した。200μLのSOC培地をそれぞれのチューブに加え、次いでそれらをインキュベートし、1時間と10分37℃で攪拌した。次いで形質転換細胞をLB+ampプレート上に平板培養した。次いでプレートを、15分間室温で放置した後、一晩37℃インキュベーター中に置いた。
【0078】
一晩のインキュベーション後、10コロニーをプレートから回収した。オートクレーブ処理したピペットの先端をコロニーに突き刺すことによって、コロニーを回収した。次いでこの先端をPCRチューブの底にこすりつけ、次いで1mLのLB培地及び0.05μg/mLのアンピシリンを含有する試験管中に落とした。試験管は250rpm及び37℃で一晩インキュベートした。(遺伝子の増幅に使用した混合物と類似し、コロニーを鋳型に置き換えた)38μLのPCR混合物をそれぞれのPCRチューブに加えた。次いでコロニーを以下のPCRサイクルに供した。94℃で2分間、92℃で0.5分間、57℃で0.5分間次いで72℃で2分間の30サイクル、及び最後に72℃で5分間。PCR産物の1.0%アガロースゲルを実施して、どのコロニーが遺伝子を含有したか目に見える状態にした。
【0079】
遺伝子を含有するコロニーに、0.05mg/mLのアンピシリンを補充した10mLのLB培地を加えた。これらの培養物は一晩37℃においてシェーカー(Innova社)でインキュベートした。テリフィックブロス(terrific broth)を含めた他の培地で実験を実施し、自己誘導も試みた。
【0080】
0.5mLの各コロニーを0.5mLの65%グリセロール中に置き、急速冷凍して後の培養ストックとして役立てた。各コロニーの残りの培養物はペレット状にした。ペレット化は、6700rpmで1分間遠心分離した1.5mLエッペンドルフチューブを使用して実施した。次いで上澄みを廃棄した。更なる細胞培養物をチューブに加え遠心分離除去した。全ての細胞培養物がペレット状になるまで、このペレット化手順を繰り返した。Qiagen miniprepキットを使用して、ペレットからプラスミドを精製した。
【0081】
精製したプラスミドは、次いで以下のレシピを使用して消化した。5μLのプラスミド、5μLのNEBバッファー2.1、1.5μLのBglII、1μLのHindIII、及び37.5μLの水。
図39中に示したように、反応混合物は37℃で2時間インキュベートし、1.0%アガロースゲル上に供し、消化が成功したかどうか目に見える状態にした。
【0082】
精製したプラスミドは、次いで塩基配列決定用に調製した。塩基配列決定データによって、精製プラスミドはクサチビン遺伝子が挿入されたpET-22b(+)ベクターであったことを確認した。これらの補正プラスミドを含有する(急速冷凍状態の)ストックコロニーを、次いで0.05mg/mLのアンピシリンを含有する500mLのLB培地において培養した。培養物にIPTGを加えることにより、これらの細胞を誘導して組換え型酵素を生成した。His-タグカラムクロマトグラフィーを使用して、過剰発現後細胞からタンパク質を精製した。Table 4 (表4)は、ブラッドフォードアッセイにより決定した各溶出画分中のタンパク質含有量を示す。このデータに基づき、それぞれ500mLの培養によって、3個の溶出画分を組み合わせて合計約34μgの標的タンパク質が生じたことが分かった。
図40及び
図41は、各クローンから回収したカラム画分に関するSDS-PAGEゲルを示す(少なくとも5μgのタンパク質を各レーンに充填した)。各精製における全3個の溶出画分が標的タンパク質を含有したことが分かり、したがってそれらは全て濃縮し、活性アッセイ用に使用した。
【0083】
【表4】
【0084】
溶解物を調製するため、2mgのリゾチームをそれぞれ1mLの細胞懸濁液に加えた。次いで懸濁液を30分間4℃で冷却した。4℃でのインキュベーション後、懸濁液を15000rpmで30分間遠心分離した。次いで上澄みは0.45μmのDuraporeフィルターを介して濾過した。濾過した上澄みは、帯電ニッケルカラムに三回充填した。次いでカラムを10カラム体積の1×結合バッファーで洗浄し、次いで5カラム体積の1×洗浄バッファーで洗浄した。組換え型酵素は3画分に溶出させた。第一の画分は500μLの溶出バッファーであり、第二の画分は(二回カラムに充填した)750μLの溶出バッファー及び更に200μLの溶出バッファーであり、第三の画分は500μLの溶出バッファーであった。次いでカラムを、6カラム体積の1×ストリップバッファーで被覆をはがした。ブラッドフォードアッセイを使用し各画分のタンパク質濃度を決定して、各画分に関して少なくとも5μgのタンパク質をSDS-PAGEにより分析し23〜25kDaのタンパク質の存在を調べた。各クローンからのタンパク質溶出画分を濃縮し、Amicon Ultra-5遠心濾過デバイス(サイズ=3k)を使用して水で脱塩した。
【0085】
ヌクレオシド修飾をマッピングするための組換え型クサチビンの特徴付け
酵素の活性を、タンパク質のアリコートとRNAをインキュベートしA
260を調べることによって試験した。活性アッセイは、1μLの1:10希釈濃縮タンパク質、1μLの濃縮タンパク質、2μLの濃縮タンパク質、及び5μLの濃縮タンパク質を使用して実施した。それぞれのサンプルは10μLの合計体積を有しており、200pmolのRNAオリゴヌクレオチド配列、AUCACCUCCUUUCU(配列番号13)、及び1μLの220mM酢酸アンモニウムを含有していた。ブランクはタンパク質又はRNAを含有しておらず、陰性対照はタンパク質を含有していなかった。サンプルは37℃と50℃の両方でインキュベートし、吸光度はNanodropを使用して調べた。
【0086】
1μLの濃縮タンパク質と1μLの1:10希釈タンパク質は、RNAオリゴヌクレオチドとのインキュベーション後、A
260の如何なる増大も示さなかった。しかしながら、2μL(0.02μg)と5μL(0.1μg)の濃縮タンパク質を使用すると、吸光度は増大した。これらの吸光度の増大は
図42及び
図43中に示す。
【0087】
SDS-PAGEを使用して濃縮画分中に含有されたタンパク質の量を見積もった。1つのゲルに、各クローンから濃縮した1μLと5μLのタンパク質を施した。別のゲルには、各クローンから20μLのタンパク質を施した。各ゲルには、0.1μgのBSA、0.5μgのBSA、1μgのBSA、3μgのBSA、及び6μgのBSAを施したレーンもあった。
図44中に示したように、濃縮クローンの9個の溶出画分は20μL中に約0.2μgのタンパク質を含有しており、一方濃縮クローンの4個の溶出画分はより少量のタンパク質を含有していた。各濃縮タンパク質サンプルは約100μLの合計体積を有していた。
【0088】
各消化産物用のエッペンドルフチューブ中に3μLのtRNA
Tyrを放置することによって、RNA消化産物を調製した。次いでtRNAを95℃で2分間、次に4℃で2分間インキュベートした。次いで、10μLの220mM酢酸アンモニウム及び指定量のタンパク質(5μLの濃縮、1μLの1:5希釈、1μLの1:10希釈、及び1μLの1:20希釈)を各サンプルに加えた。次いでサンプルを2時間インキュベートしSpeedVac中で乾燥した。
【0089】
図42及び
図43中に示したように、組換え型酵素はRNase活性を示した。観察したA
260のわずかな増大は、種子から精製した酵素で観察した活性と非常に類似している(
図16及び
図17)。
【0090】
図45は、tRNA
Tyr由来のクサチビン消化産物、U[Q]UA[ms
2i
6A]A[Ψ]CのLC-MS分析を示す。組換え型タンパク質(0.1μg)を使用して大腸菌tRNATyr(2μg)を消化し、LC-MSによって分析した。
図45中、(A)は分析中に観察した全消化産物前駆体イオンのTICであり、(B)はU[Q]UA[ms
2i
6A]A[Ψ]Cの直鎖状リン酸に対応するm/z1406.4のXICであり、(C)は2',3'-環状リン酸に対応するm/z1397.4のXICであり、(D)は多重帯電イオンを示すMSであり、(E)は3'-リン酸を有するU[Q]UA[ms
2i
6A]A[Ψ]CのCIDベースの塩基配列決定である。そこから配列を復元する配列情報を示す産物イオン(共通5'末端を有するc
nと共通3'末端を有するy
n)をスペクトルにおいて標識する。
【0091】
更にクサチビンは、RNaseMC1と異なり修飾シチジンでRNAを切断する。
図46は、酵母tRNA
Phe由来のクサチビン消化産物、UGGAA[m
7G]UC[m5C]>pのLC-MS分析を示す。
図46中、(A)はTICであり、(B)は環状リン酸に対応するm/z1479.4のXICであり、(C)は二重帯電イオンを示す32.94分でのピーク保持時間に対応するMSであり、(D)は2',3'-環状リン酸を有するUGGAA[m
7G]UC[m5C]のCIDベースの塩基配列決定である。観察した配列情報を示す産物イオン(共通5'末端を有するc
nと共通3'末端を有するy
n)の一部をスペクトル中に示す。最大量存在した(m/z1396.2)分子イオンからの[m
7G]の消失に対応する特徴的な産物イオンを示す。
【0092】
図47中に示したように、クサチビンはRNAのシチジン特異的切断を示すが、クサチビンはタンデムで多数のシチジン間におけるホスホジエステル結合の低い切断率を示す。
図47は、酵母tRNA
Phe由来のクサチビン消化産物、UUCCCCC>pのLC-MS分析を示す。(A)はTICであり、(B)は環状リン酸に対応するm/z1067.8のXICであり、(C)は二重帯電イオンを示す35.9分でのピーク保持時間に対応するMSであり、(E)はUUCCCCC>pのCIDベースの塩基配列決定である。観察した配列情報を示す産物イオン(共通5'末端を有するc
nと共通3'末端を有するy
n)の一部をスペクトル中に示す。
【0093】
本発明を、本発明を実施する様々な方法と共に記載してきた。しかしながら、本発明自体は、添付の特許請求の範囲によってのみ定義されるべきである。