特許第6804477号(P6804477)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6804477
(24)【登録日】2020年12月4日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】電動工具
(51)【国際特許分類】
   B25B 21/00 20060101AFI20201214BHJP
【FI】
   B25B21/00 530Z
【請求項の数】5
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2017-565918(P2017-565918)
(86)(22)【出願日】2016年6月9日
(65)【公表番号】特表2018-519175(P2018-519175A)
(43)【公表日】2018年7月19日
(86)【国際出願番号】EP2016063230
(87)【国際公開番号】WO2017001167
(87)【国際公開日】20170105
【審査請求日】2019年5月23日
(31)【優先権主張番号】1550913-6
(32)【優先日】2015年6月30日
(33)【優先権主張国】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】502212604
【氏名又は名称】アトラス・コプコ・インダストリアル・テクニーク・アクチボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100159846
【弁理士】
【氏名又は名称】藤木 尚
(72)【発明者】
【氏名】ヨハンソン カール ゴラン
【審査官】 山村 和人
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭59−163254(JP,U)
【文献】 実開平07−031281(JP,U)
【文献】 実開昭49−011137(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B 21/00
F16H 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動工具(10)であって、
‐電気モータ(11)と、
‐出力シャフト(13)と、
‐前記電気モータ(11)および前記出力シャフト(13)の少なくとも一部を収容したハウジング(18)と、
‐前記電気モータ(11)と前記出力シャフト(13)との間に駆動的に配置された減速歯車装置(12)とを有し、前記減速歯車装置(12)は、前記電力工具の作動中に生じた反力に応動して回転可能である負荷敏感部を有し、捩じりばね(19)が前記負荷敏感部のかかる回転に反作用するよう配置されている、電動工具において、前記捩じりばね(19)は、第1の端(20)および第2の端(21)を一体となって有し、前記第1の端(20)は、前記減速歯車装置(12)の前記負荷敏感部の連結インターフェースに対して回転的にロック可能である第1の連結インターフェース(25)を有し、前記第2の端(21)は、前記ハウジング(18)および/または前記電気モータ(11)に対して回転的にロック可能である第2の連結インターフェース(26)を有し、前記第1および前記第2の連結インターフェース(25;26)のうちの少なくとも一方は、前記連結された部品相互間の軸方向運動を阻止する要素を有し、
前記第1および前記第2の連結インターフェース(25;26)のうちの少なくとも一方は、スプラインを含む、
ことを特徴とする電動工具。
【請求項2】
前記連結部品相互間の軸方向運動を阻止する前記要素は、ねじ山付き連結部で構成されている、請求項1記載の電動工具。
【請求項3】
前記第1の連結インターフェース(25)は、ねじ山付き連結部であり、前記第2の連結インターフェース(26)は、スプライン付きである、請求項1記載の電動工具。
【請求項4】
前記減速歯車装置(12)は、太陽歯車(22)、遊星歯車、および歯車リムを有する遊星歯車装置であり、前記歯車リムは、前記減速歯車装置(12)の前記負荷敏感部を構成している、請求項1〜のうちいずれか一に記載の電動工具。
【請求項5】
前記歯車リムは、1つの軸受(24)でのみ支承されるとともに前記歯車リムには前記捩じりばね(19)の作用によって前記軸受(24)に向かって軸方向にプレストレスが加えられている、請求項記載の電動工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、締め付け作業中の反力を受け取るよう配置されたばねを備える電気トルク送出電動工具に関する。
【背景技術】
【0002】
継手のボルトまたはねじを締め付ける技術分野において、継手をできるだけ迅速に締め付けることが望ましい場合が多い。設定された標的トルクをオーバーシュートしないようにする要望もまた存在するということにおいて矛盾が生じる。堅固な(hard)継手に関し、これは、典型的には、迅速に回転するモータを高い角速度からトルクが継手中で増大し始めるときにラップの何分の一かで停止状態まで遅らせる必要があるということを示唆する場合がある。
【0003】
動力工具中の引張り力を減少させるため、ある特定の大きさを超える反力を受けるばねを配置することが知られている。典型的には、モータは、少なくとも1つの減速歯車装置を介して出力シャフトに連結されている。歯車は、負荷敏感部、すなわち出力シャフトからの反応トルクの影響を受ける部分を含む場合がある。遊星歯車装置において、歯車リムは、典型的には、モータのトルクが継手中に完全には加えられないときに回転するようになっている場合のある負荷敏感部を構成する場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
かかるばねの配置は、典型的には、比較的スペースを必要として複雑である。通常、かかる装置は、軸受およびばねの端をそれぞれハウジングおよび歯車の負荷敏感部に固定する取り付け片を含む。
【0005】
それゆえ、締め付け作業中に力の分布に対して融通性を提供するが、完全かつ機能的な動力工具を製作してそれに取り付けやすくする装置が要望されている。
【0006】
本発明の目的は、反力を減衰させるばねを備えたトルク送出電動工具であって、取り付けやすく、しかも動力工具の諸部分を容易に交換することができるという意味でモジュール式の構造を有するトルク送出電動工具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、請求項1記載に記載された本発明によって達成され、請求項1記載に記載された発明は、電動工具であって、
‐電気モータと、
‐出力シャフトと、
‐電気モータおよび出力シャフトの少なくとも一部を収容したハウジングと、
‐電気モータと出力シャフトとの間に駆動的に配置された減速歯車装置とを有し、減速歯車装置は、電力工具の作動中に生じた反力に応動して回転可能である負荷敏感部を有し、捩じりばねが負荷敏感部のかかる回転に反作用するよう配置され、捩じりばねは、第1の端および第2の端を一体となって有し、第1の端は、減速歯車装置の負荷敏感部の連結インターフェースに対して回転的にロック可能である第1の連結インターフェースを有し、第2の端は、ハウジングおよび/または電気モータに対して回転的にロック可能である第2の連結インターフェースを有し、第1および第2の連結インターフェースのうちの少なくとも一方は、連結された部品相互間の軸方向運動を阻止する要素を有することを特徴とする電動工具に関する。
【0008】
捩じりばねが連結インターフェースを有することにより、電動工具中に取り付けて所望時にこの捩じりばねを交換することが極めて容易である。さらに、これにより、工具ハウジング内の必要な部品数が劇的に減少する。
【0009】
本発明の特定の実施形態では、第1および第2の連結インターフェースのうちの少なくとも一方は、連結された部品相互間の軸方向運動を阻止する要素を有する。連結部品相互間の軸方向運動を阻止する要素は、ねじ山付き連結部で構成されるのが良い。
【0010】
本発明の別の特定の実施形態では、第1および第2の連結インターフェースのうちの少なくとも一方は、スプラインを含み、特に、第1の連結インターフェースは、ねじ山付き連結部であり、第2の連結インターフェースは、スプライン付きである。
【0011】
本発明の更に別の特定の実施形態では、減速歯車装置は、太陽歯車、遊星歯車、および歯車リムを有する遊星歯車装置であり、歯車リムは、負荷敏感部を構成する。
【0012】
さらに、歯車リムは、1つの軸受でのみ支承されるとともに歯車リムには捩じりばねの作用によって軸受に向かって軸方向にプレストレスが加えられるのが良い。
【0013】
本発明の他の特徴および他の利点は、図面の記載および図示の実施形態の以下の詳細な説明から明らかになろう。
【0014】
以下の詳細な説明において、添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の特定の実施形態としての動力工具を示す図である。
図2図1の動力工具の動力伝動装置の断面図である。
図3】本発明の捩じりばねの図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1には、本発明の特定の実施形態としての動力工具が示されている。図示の動力工具10は、減速歯車装置12を含む動力伝動装置を介して出力シャフト13に連結されたモータ11を含むトルク送出電動工具である。ビットホルダ14がねじ連結可能なビットの挿入のために出力シャフトの外端に取り付けた状態で配置されている。
【0017】
動力伝動装置は、減速歯車装置12と連結関係にある入力歯車16にカップリング17を介して連結されているモータ歯車15を更に含む。ハウジング18がモータ11および動力伝動装置を収容するよう配置されている。出力シャフト13は、ハウジング18の前端を貫通している。捩じりばね19が減速歯車装置12とハウジング18との間に働く反力を吸収するよう配置されている。図示の実施形態では、捩じりばね19は、ハウジング18の管状部分内にぴったりと嵌め込まれた螺旋ばねである。別の形式のばね、例えばコイルばねを用いることもまた可能な場合がある。
【0018】
図2には、動力工具10の動力伝動装置の断面図が示されている。この図では、捩じりばねは、減速歯車装置12の負荷敏感部に連結可能である第1の端20およびモータ11および/またはハウジング18またはハウジングに対して固定される要素に連結可能である第2の端21を有する。第2の端21がモータ11に連結可能である場合、このモータは、代表的には、ハウジングに対して回転的に固定される。
【0019】
図示の実施形態では、減速歯車装置12は、入力歯車16に連結された太陽歯車22によって駆動される遊星歯車装置である。遊星歯車装置の出力歯車23が遊星歯車装置の遊星キャリヤ(図示せず)に連結されている。歯車リム(図示せず)が遊星キャリヤの外側に配置されている。歯車リムは、ハウジングに対して単一の軸受24内に配置されている。それゆえ、歯車リムは、ハウジングには固定されておらず、捩じりばね19の作用に抗して回転するよう配置されている。それゆえ、図示の実施形態では、歯車リムは、減速歯車装置12の負荷敏感部を構成する。
【0020】
図3は、本発明の捩じりばね19の特定の実施形態を示している。捩じりばね19は、減速歯車装置12の負荷敏感部に連結可能である第1の端20およびハウジングに連結可能である第2の端21を有する。第1の端20は、第1の連結インターフェース25を備えている。第1の連結インターフェース25は、ねじ山付き部分であっても良く差し込み型カップリングであっても良く捩じりばねの第1の端をこれが軸方向運動と回転運動の両方を行うことがないようロックする任意他の連結部であって良い。捩じりばねの第2の端21は、第2の連結インターフェース26を含み、この第2の連結インターフェースは、図示の実施形態では、スプラインで構成されている。第2の連結インターフェース26は、回転運動を行わないよう固定されるが、軸方向運動を可能にすることが有利である。すなわち、かかる構成は、捩じりばねが第1の段部において第1の連結インターフェース25のところで固定されるという点で動力工具の取り付けを画期的に容易にし、この場合、動力工具の反対側の端は、捩じりばねの第2の連結インターフェース26に嵌まるよう滑らされるのが良い。第2の連結インターフェース26は、スプライン、ピンと溝、または軸方向運動を可能にするが、捩じりばねをこれが回転運動を生じないよう固定する任意他の連結部によって達成されるのが良い。
【0021】
捩じりばね19は、有利には、管状部材から一体となって機械加工されるのが良い。ばね部分27は、一様な幅および一様な螺旋間隙28を備えた螺旋体を形成するよう材料を除去することによって機械加工される。好ましくは、捩じりばねの寸法は、この捩じりばねを動力工具内に配置したときにこれにプレストレスが加えられるように幾分大きめである。かかるプレストレスは、多くの点で有利である。第1に、プレストレスは、隙間または間隙が存在することがなくしかも全ての細部が定位置に保持されるようにする。さらに、プレストレスは、歯車リムを軸受24に当たるよう外方に押す。軸受は、一方向に常にプレストレスを有するべきであり、その結果、軸受の玉が軸受の内レースと外レースの両方と接触状態にある。従来、軸受のプレストレスは、2つの軸受に互いに逆のプレストレスを与えることによって達成されている。しかしながら、捩じりばね19によって提供されるプレストレスにより、必要な軸受は一方の軸受だけであり、他方をなしで済ますことができる。
【0022】
捩じりばねの構成および取り付けが簡単であることにより、必要なときに捩じりばね19を迅速に交換することが可能である。動力工具は、一般に、モジュールの状態で製作され、その結果、モータ、減速歯車装置などを類似の形状およびインターフェースを備えた他のものに交換してこれらがハウジング内に嵌り込んで他のコンポーネントと相互作用することができるようになっている。異なるばね作用の捩じりばねは、異なる材料の使用によってまたはより適切にはばね部分の異なる寸法を用いることによって達成できる。幅が広くまたは厚みのあるばね部分27は、当然のことながら、剛性であって高いトルクに適合する。
【0023】
一例として、減速歯車装置12は、代表的には、直列に連結された2つの遊星歯車か単一の遊星歯車かのいずれかで構成できる。二重遊星歯車が当然のことながら作用効果を2倍にし、すなわち単一の遊星歯車に対してトルクを2倍にするが回転速度を半分にする。これは、互いに異なる捩じりばねを必要とする場合があり、と言うのは、ばねが支えることができなければならない力が互いに異なっており、しかも捩じりばねの長さによって補償されなければならない歯車の長さが変化するからである。同じことは、異なるサイズおよび/または作用効果の異なるモータを取り付ける場合にも生じる場合がある。
【0024】
捩じりばねを容易に取り付けたり交換したりすることができるよう捩じりばねを構成することにより、動力工具の取り付けが容易になるとともに動力工具の全体的モジュール性が高められる。
【0025】
上述したように、本発明の特定の実施形態について説明した。しかしながら、本発明は、この実施形態に限定されることはない。本発明は、特許請求の範囲の記載によって定められた本発明の保護範囲内で別の実施形態を含むことは、当業者には明らかである。
図1
図2
図3