特許第6804487号(P6804487)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6804487熱可塑性ポリウレタン樹脂製造用2液硬化型組成物、熱可塑性ポリウレタン樹脂および繊維強化樹脂
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6804487
(24)【登録日】2020年12月4日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】熱可塑性ポリウレタン樹脂製造用2液硬化型組成物、熱可塑性ポリウレタン樹脂および繊維強化樹脂
(51)【国際特許分類】
   C08J 5/04 20060101AFI20201214BHJP
   C08K 7/02 20060101ALI20201214BHJP
   C08G 18/32 20060101ALI20201214BHJP
   C08G 18/08 20060101ALI20201214BHJP
   C08G 18/76 20060101ALI20201214BHJP
【FI】
   C08J5/04CFF
   C08K7/02
   C08G18/32 015
   C08G18/32 006
   C08G18/08 038
   C08G18/76
【請求項の数】7
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-90400(P2018-90400)
(22)【出願日】2018年5月9日
(65)【公開番号】特開2019-196432(P2019-196432A)
(43)【公開日】2019年11月14日
【審査請求日】2020年7月2日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003506
【氏名又は名称】第一工業製薬株式会社
(72)【発明者】
【氏名】西村 卓真
(72)【発明者】
【氏名】山田 欣範
(72)【発明者】
【氏名】及川 慧
【審査官】 久保 道弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−265544(JP,A)
【文献】 特開平11−166155(JP,A)
【文献】 特開2003−287924(JP,A)
【文献】 特開2013−189502(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08K 7/00−7/28
C08G 18/00−18/87
C08L 75/00−75/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジオール(A)を含むポリオール成分と、ジイソシアネート(B)を含むポリイソシアネート成分と、を有する2液硬化型組成物であって、
前記ジオール(A)は、分子量が200〜700の芳香環を有するジオール(A−1)と、分子量が500以下の芳香環を有しないジオール(A−2)とを含み、
前記ジオール(A−1)と前記ジオール(A−2)との合計に対する前記ジオール(A−1)の質量比((A−1)/((A−1)+(A−2)))が(10/100)〜(75/100)である、繊維強化樹脂製造用熱可塑性ポリウレタン樹脂製造用2液硬化型組成物。
【請求項2】
前記芳香環を有しないジオール(A−2)は、脂肪族ジオール、およびオキシアルキレン基を有するジオールの少なくともいずれか一方である、請求項1に記載の繊維強化樹脂製造用熱可塑性ポリウレタン樹脂製造用2液硬化型組成物。
【請求項3】
前記ジイソシアネート(B)は、芳香族ジイソシアネート(B−1)を含む、請求項1または2に記載の繊維強化樹脂製造用熱可塑性ポリウレタン樹脂製造用2液硬化型組成物。
【請求項4】
前記芳香環を有するジオール(A−1)は、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物である、請求項1〜3のいずれかに記載の繊維強化樹脂製造用熱可塑性ポリウレタン樹脂製造用2液硬化型組成物。
【請求項5】
前記ポリオール成分は、さらに多孔質粉体(C)を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の繊維強化樹脂製造用熱可塑性ポリウレタン樹脂製造用2液硬化型組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の繊維強化樹脂製造用熱可塑性ポリウレタン樹脂製造用2液硬化型組成物の反応物を含む、繊維強化樹脂製造用熱可塑性ポリウレタン樹脂。
【請求項7】
請求項に記載の繊維強化樹脂製造用熱可塑性ポリウレタン樹脂と、強化繊維とを含む、繊維強化樹脂。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性ポリウレタン樹脂製造用2液硬化型組成物、熱可塑性ポリウレタン樹脂および繊維強化樹脂に関する。
【背景技術】
【0002】
繊維強化樹脂は、軽量で優れた性能を有するため、電気・電子部品、車両および航空機などの幅広い用途で使用されている。繊維強化樹脂には、マトリクスとしてエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂が使用されることが多い。
【0003】
一方で、樹脂の硬化後に再成形可能であることから、熱可塑性のポリウレタン樹脂をマトリックス樹脂として使用した繊維強化樹脂が開発されている。熱可塑性のポリウレタン樹脂について開示している特許文献1では、ジオールとして、ポリカーボネートジオールを用いている。また、特許文献2では、ジオールとして、ポリエーテルカーボネートジオールが用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭63−305127号公報
【特許文献2】特開2005−232447号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のポリカーボネートジオールは、ポリイソシアネートとの混合粘度が高いため、樹脂成形時の作業性等が悪いという問題がある。また、特許文献2のポリエーテルカーボネートジオールを用いて作成したポリウレタン樹脂はガラス転移温度が低いため、繊維強化樹脂の使用環境が制限されるという問題がある。
【0006】
この発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、混合粘度が低く、かつ硬化後のガラス転移温度が高い熱可塑性ポリウレタン樹脂製造用2液硬化型組成物、その硬化物である熱可塑性ポリウレタン樹脂、および当該熱可塑性ポリウレタン樹脂を含む繊維強化樹脂を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)上記課題を解決するために、本発明の繊維強化樹脂製造用熱可塑性ポリウレタン樹脂製造用2液硬化型組成物は、ジオール(A)を含むポリオール成分と、ジイソシアネート(B)を含むポリイソシアネート成分と、を有する2液硬化型組成物であって、前記ジオール(A)は、分子量が200〜700の芳香環を有するジオール(A−1)と、分子量が500以下の芳香環を有しないジオール(A−2)とを含み、前記ジオール(A−1)と前記ジオール(A−2)との合計に対する前記ジオール(A−1)の質量比((A−1)/((A−1)+(A−2)))が(10/100)〜(75/100)である。
【0008】
)また、本発明の繊維強化樹脂製造用熱可塑性ポリウレタン樹脂は、前記繊維強化樹脂製造用熱可塑性ポリウレタン樹脂製造用2液硬化型組成物の反応物を含む。
【0009】
)また、本発明の繊維強化樹脂は、前記繊維強化樹脂製造用熱可塑性ポリウレタン樹脂と、強化繊維とを含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、混合粘度が低いにもかかわらず、高いガラス転移温度を有する熱可塑性ポリウレタン樹脂を形成可能である、熱可塑性ポリウレタン樹脂製造用2液硬化型組成物、当該熱可塑性ポリウレタン樹脂および当該熱可塑性ポリウレタン樹脂を含む繊維強化樹脂を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
最初に、本発明の実施形態の内容を列記して説明する。
【0012】
(1)本発明の実施の形態に係る熱可塑性ポリウレタン樹脂製造用2液硬化型組成物は、ジオール(A)を含むポリオール成分と、ジイソシアネート(B)を含むポリイソシアネート成分と、を有する2液硬化型組成物であって、前記ジオール(A)は、分子量が200〜700の芳香環を有するジオール(A−1)と、分子量が500以下の芳香環を有しないジオール(A−2)とを含み、前記ジオール(A−1)と前記ジオール(A−2)との合計に対する前記ジオール(A−1)の質量比((A−1)/((A−1)+(A−2)))が(10/100)〜(75/100)である。
【0013】
このような構成により、ポリオール成分とポリイソシアネート成分との混合粘度が低いにもかかわらず、高いガラス転移温度を有するポリウレタン樹脂を形成可能である。また、混合粘度が低いことにより、たとえば樹脂成形時の作業性も向上させることができる。
【0014】
(2)好ましくは、前記芳香環を有しないジオール(A−2)は、脂肪族ジオール、およびオキシアルキレン基を有するジオールの少なくともいずれか一方である。
【0015】
このような構成により、ポリオール成分とポリイソシアネート成分との混合粘度が低いにもかかわらず、より高いガラス転移温度を有するポリウレタン樹脂を形成可能である。
【0016】
(3)好ましくは、前記ジイソシアネート(B)は、芳香族ジイソシアネート(B−1)を含む。
【0017】
このような構成により、ポリオール成分とポリイソシアネート成分との混合粘度が低いにもかかわらず、より高いガラス転移温度を有するポリウレタン樹脂を形成可能である。
【0018】
(4)好ましくは、前記芳香環を有するジオール(A−1)は、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物である。
【0019】
このような構成により、ポリオール成分とポリイソシアネート成分との混合粘度が低いにもかかわらず、より高いガラス転移温度を有するポリウレタン樹脂を形成可能である。
【0020】
(5)好ましくは、前記ポリオール成分は、さらに多孔質粉体(C)を含む。
【0021】
このような構成により、ポリオール成分とポリイソシアネート成分との混合粘度が低いにもかかわらず、より高いガラス転移温度を有するポリウレタン樹脂を形成可能である。
【0022】
(6)好ましくは、熱可塑性ポリウレタン樹脂製造用2液硬化型組成物は、繊維強化樹脂製造用である。
【0023】
このような混合粘度が低い熱可塑性ポリウレタン樹脂製造用2液硬化型組成物を用いる構成により、たとえば成形時の樹脂粘度を低く抑えることができるため、強化繊維と複合化させる際のマトリックス樹脂の流動性を向上して、成形作業性を向上させることができ、かつ、得られる繊維強化樹脂製造のガラス繊維温度を高くすることができる。
【0024】
(7)本発明の実施の形態に係る熱可塑性ポリウレタン樹脂は、熱可塑性ポリウレタン樹脂製造用2液硬化型組成物の反応物を含む。
【0025】
このように、熱可塑性ポリウレタン樹脂製造用2液硬化型組成物のポリオール成分およびポリイソシアネート成分の反応物を含む構成により、混合時ならびに成形時の作業性が改善されており、かつ熱可塑性ポリウレタン樹脂は高いガラス転移温度を有している。
【0026】
(8)本発明の実施の形態に係る繊維強化樹脂は、前記熱可塑性ポリウレタン樹脂と、強化繊維とを含む。
【0027】
このような構成により、繊維強化樹脂の製造時の作業性は改善されており、また、繊維強化樹脂は、高いガラス転移温度を有している。
【0028】
本開示において、「分子量」は、ポリプロピレングリコール等のように分子量分布を有する化合物については、数平均分子量を表す。
【0029】
[熱可塑性ポリウレタン樹脂製造用2液硬化型組成物]
本発明の実施の形態に係る熱可塑性ポリウレタン樹脂製造用2液硬化型組成物は、少なくとも、ジオール(A)を含むポリオール成分と、ジイソシアネート(B)を含むポリイソシアネート成分とから構成される。2液硬化型組成物とは、たとえば2種類の液を混合することにより硬化する、樹脂の原料である。
【0030】
[ポリオール成分]
本発明の実施の形態に係る熱可塑性ポリウレタン樹脂製造用2液硬化型組成物におけるポリオール成分は、ジオール(A)を含む。
【0031】
[芳香環を有するジオール(A−1)]
本発明の実施の形態に係るジオール(A)は、分子量が200〜700の芳香環を有するジオール(A−1)を含む。芳香環を有するジオール(A−1)としては、分子量が200〜700であること以外は特に限定されない。
【0032】
たとえば、芳香環を有するジオール(A−1)として、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、ビスフェノールS、ビスフェノールA、または4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンが挙げられる。また、芳香環を有するジオール(A−1)として、たとえば、キシリレングリコール、ハイドロキノン、4,4’−ビフェノール、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、ビスフェノールS、ビスフェノールA、または4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン等のアルキレンオキサイド付加物が挙げられる。アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、α−オレフィンオキサイド等が挙げられる。芳香環を有するジオール(A−1)は、これらの化合物を2種類以上含んでも良い。
【0033】
芳香環を有するジオール(A−1)としては、得られる樹脂のガラス転移温度を向上させる観点から、1分子中に2以上のベンゼン環を有するものが好ましく、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物がより好ましく、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物またはプロピレンオキサイド付加物がさらに好ましい。
【0034】
芳香環を有するジオール(A−1)の分子量は、上述のように200〜700であり、得られる樹脂のガラス転移温度を向上させる観点から、300〜600がより好ましく、350〜500がさらに好ましい。
【0035】
[芳香環を有しないジオール(A−2)]
本発明の実施の形態に係るジオール(A)は、分子量200〜700の芳香環を有するジオール(A−1)以外に、分子量500以下の芳香環を有しないジオール(A−2)を含む。芳香環を有しないジオール(A−2)として、たとえば、以下に説明する脂肪族ジオール、オキシアルキレン基を有するジオールおよび脂環式ジオール等を挙げることができる。芳香環を有しないジオール(A−2)は、これらの化合物を2種類以上含んでも良い。
【0036】
本発明の実施の形態に係る脂肪族ジオールとしては、特に限定されないが、たとえば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール,2−エチル−1,3−ヘキサンジオールが挙げられる。本発明の実施の形態に係る脂肪族ジオールは、これらの化合物を2種類以上含んでも良い。
【0037】
本発明の実施の形態に係る脂肪族ジオールとしては、1,4−ブタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールが特に好ましい。
【0038】
本発明の実施の形態に係るオキシアルキレン基を有するジオールとしては、特に限定されないが、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロプレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール等の2価アルコールと、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、およびα−オレフィンオキサイド等のアルキレンオキサイドとの付加重合物が挙げられる。本発明の実施の形態に係るオキシアルキレン基を有するジオールは、これらの化合物を2種類以上含んでも良い。
【0039】
本発明の実施の形態に係るオキシアルキレン基を有するジオールとしては、2価アルコールとプロピレンオキサイドとの重合付加物が好ましく、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコールがさらに好ましい。
【0040】
本発明の実施の形態に係る脂環式ジオールとしては、特に限定されないが、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA等を挙げることができる。
【0041】
本発明の実施の形態に係る芳香環を有しないジオール(A−2)の分子量は、上述のように500以下であり、混合粘度を抑制し、かつ得られる樹脂のガラス転移温度を向上させる観点から、400以下であることが好ましく、300以下であることがより好ましく、200以下であることがより好ましく、100以下であることがさらに好ましい。
【0042】
本発明の実施の形態において、芳香環を有するジオール(A−1)は、混合粘度を抑制し、かつ得られる樹脂のガラス転移温度を向上させる観点から、ジオール(A)100質量部に対して10〜80質量部であることが好ましく、20〜70質量部であることがより好ましく、30〜65質量部であることがさらに好ましく、40〜60質量部であることがさらに好ましい。
【0043】
本発明の実施の形態において、ポリオール成分に含まれるポリオールのうち、ジオール(A)は、混合粘度を抑制し、かつ得られる樹脂のガラス転移温度を向上させる観点から、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることがさらに好ましく、98質量%以上であることがさらに好ましい。本発明の実施の形態において、ポリイソシアネート成分と反応させるポリオール成分としては、熱可塑性樹脂を形成するために2官能のポリオールすなわちポリイソシアネートが用いられるが、熱可塑性樹脂が得られる範囲内において、3官能以上のポリオールが含まれてもよい。
【0044】
本発明の実施の形態において、ポリオール成分には、モノオール、ポリアミン化合物等のジイソシアネート(B)と反応して硬化する他の化合物が含まれてもよい。
【0045】
本発明の実施の形態において、芳香環を有するジオール(A−1)と芳香環を有しないジオール(A−2)との合計に対する芳香環を有するジオール(A−1)の質量比((A−1)/((A−1)+(A−2)))は、(10/100)〜(75/100)であり、混合粘度を抑制し、かつ得られる樹脂のガラス転移温度を向上させる観点から、(20/100)〜(65/100)であることが好ましく、(30/100)〜(60/100)であることがより好ましく、(40/100)〜(60/100)であることがさらに好ましい。
【0046】
[ポリイソシアネート成分]
本発明の実施の形態に係る熱可塑性ポリウレタン樹脂製造用2液硬化型組成物におけるイソシアネート成分は、ジイソシアネート(B)を含む。ジイソシアネート(B)としては、特に限定されないが、脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート(B−1)および芳香脂肪族ジイソシアネートが挙げられる。本発明の実施の形態に係るジイソシアネート(B)は、これらの化合物を2種類以上含んでも良い。
【0047】
本発明の実施の形態に係る脂肪族ジイソシアネートとしては、テトラメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、3−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネートなどが挙げられる。
【0048】
本発明の実施の形態に係る脂環式ジイソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサンなどが挙げられる。
【0049】
本発明の実施の形態に係る芳香族ジイソシアネート(B−1)としては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、4,4’−ジベンジルジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネートなどが挙げられる。ジフェニルメタンジイソシアネートとしては、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートが挙げられる。
【0050】
本発明の実施の形態に係る芳香脂肪族ジイソシアネートとしては、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、α,α,α,α−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどが挙げられる。
【0051】
本発明の実施の形態に係るジイソシアネート(B)は、イソシアネート基含有化合物と水酸基含有化合物とを反応させてなるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー変性体およびカルボジイミド変性体等の変性体であってもよい。
【0052】
本発明の実施の形態に係るジイソシアネート(B)としては、混合粘度を抑制し、かつ得られる樹脂のガラス転移温度を向上させる観点から、芳香族ジイソシアネート(B−1)が好ましく、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートのカルボジイミド変性体がさらに好ましい。ジフェニルメタンジイソシアネートとしては、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートが好ましい。
【0053】
本発明の実施の形態において、ポリイソシアネート成分に含まれるポリイソシアネートのうち、ジイソシアネート(B)が80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることがさらに好ましく、98質量%以上であることがさらに好ましい。本発明の実施の形態において、ポリオール成分と反応させるイソシアネート成分としては、熱可塑性樹脂を形成するために2官能のイソシアネートすなわちジイソシアネートが用いられるが、熱可塑性樹脂が得られる範囲内において、3官能以上のポリイソシアネートが含まれてもよい。
【0054】
本発明の実施の形態において、ジイソシアネート(B)のうち、芳香族ジイソシアネートが80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることがさらに好ましく、98質量%以上であることがさらに好ましい。
【0055】
[多孔質粉体(C)]
本発明の実施の形態に係るポリオール成分は、樹脂、具体的には硬化塗膜の引張物性を高める観点から、多孔質粉体(C)を含んでもよい。多孔質粉体(C)としては、無機の多孔質粉体が好ましく、ゼオライトがより好ましい。多孔質粉体(C)は、当該ポリオール成分100質量部に対して、1〜10質量部用いられることが好ましく、2〜8質量部用いられることがより好ましく、3〜7質量部用いられることがさらに好ましい。
【0056】
[2液硬化型組成物]
本発明の実施の形態に係る熱可塑性ポリウレタン樹脂製造用2液硬化型組成物(以下、単に2液硬化型組成物とも称する。)は、上記ポリオール成分と上記ポリイソシアネート成分とを含むものであり、これらポリオール成分とポリイソシアネート成分との反応により熱可塑性樹脂が生成されるものである。すなわち、当該2液硬化型組成物は、反応生成物が熱可塑性樹脂になるという性質を持つものである。2液硬化型組成物は、ポリオール成分を第1液とし、ポリイソシアネート成分を第2液として、これら第1液と第2液を混ぜ合わせることにより両成分を反応硬化させることができる、2液硬化性の樹脂組成物である。
【0057】
本発明の実施の形態に係る2液硬化型組成物には、ポリオール成分とポリイソシアネート成分との反応を促進するための触媒が含まれてもよい。触媒としては、通常、ポリウレタン樹脂の製造に使用される、金属触媒やアミン系触媒を使用することができる。金属触媒としては、ジブチルチンジラウレート、ジオクチルチンジラウレート、ジブチルチンジオクテートなどの錫触媒、オクチル酸鉛、オクテン酸鉛、ナフテン酸鉛などの鉛触媒、オクチル酸ビスマス、ネオデカン酸ビスマスなどのビスマス触媒などを挙げることができる。アミン系触媒としては、トリエチレンジアミンなどの3級アミン化合物などが挙げられる。これらの触媒は単独でまたは組み合わせて使用することができる。
【0058】
本発明の実施の形態に係る2液硬化型組成物には、その他、必要に応じて、可塑剤、難燃剤、酸化防止剤、吸湿剤、防黴剤、シランカップリング剤、消泡剤、表面調整剤、内部離型剤等の各種の添加剤を含んでもよい。
【0059】
本発明の実施の形態に係る2液硬化型組成物において、イソシアネート基と水酸基等の活性水素基とのモル比(NCO/活性水素基)は、特に限定されず、0.5以上でもよく、0.6以上でもよく、0.8以上でもよい。また、該モル比(NCO/活性水素基)は、1.5以下でもよく、1.3以下でもよく、1.2以下でもよい。
【0060】
本発明の実施の形態に係る2液硬化型組成物の25℃環境下における混合5分後の粘度は特に限定されない。一例を挙げると、粘度は、700mPa・s以下であることが好ましく、600mPa・s以下であることがより好ましく、500mPa・s以下であることがさらに好ましく、300mPa・s以下であることが特に好ましい。
【0061】
なお、本発明の実施の形態に係る2液硬化型組成物は、第1液と第2液との2液を有するものであるが、少なくとも2液あれば、3液以上有してもよい。
【0062】
[熱可塑性ポリウレタン樹脂]
本発明の実施の形態に係る熱可塑性ポリウレタン樹脂は、上記ポリオール成分と上記イソシアネート成分との反応物を含む熱可塑性樹脂であり、一実施形態として上記2液硬化型組成物を反応させることにより得られる。
【0063】
本発明の実施の形態に係るポリウレタン樹脂のガラス転移温度(Tg)は特に限定されない。ガラス転移温度は、例えば80℃以上であることが好ましく、より好ましくは100℃以上であり、更に好ましくは120℃以上である。ガラス転移温度の上限は特に限定されず、例えば200℃以上でもよい。
【0064】
[繊維強化樹脂]
本発明の実施の形態に係る繊維強化樹脂は、上記した2液硬化型組成物の硬化物である熱可塑性ポリウレタン樹脂と、強化繊維と、を含むものである。具体的には、当該熱可塑性ポリウレタン樹脂は、繊維強化樹脂におけるマトリックス樹脂として用いられる。
【0065】
強化繊維としては、特に限定されず、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、ボロン繊維、金属繊維、天然繊維、鉱物繊維等が挙げられる。強化繊維は、上記繊維のいずれか1種で構成されてもよく、2種以上組み合わせて構成されてもよい。これらの中でも、強化繊維は、強度、剛性が高く、軽量である点から、PAN系、ピッチ系、レーヨン系等の炭素繊維が好ましい。強化繊維は、経済性を高める観点からは、ガラス繊維であることが好ましいため、炭素繊維とガラス繊維とを含むことがより好ましい。さらに、強化繊維は、得られる成形品の衝撃吸収性等を高める点から、アラミド繊維を含むことが好ましい。また、強化繊維は、得られる成形品の導電性を高める点から、ニッケル等の金属を被覆した強化繊維であってもよい。
【0066】
強化繊維の形態についても特に限定されない。繊維強化樹脂は、例えば、細かく切断した繊維がマトリックス樹脂に均一に分散されたものでもよく、あるいは織物、編物、不織布など繊維に方向性を持たせた繊維シートにマトリックス樹脂が含浸されたものであってもよい。
【0067】
繊維強化樹脂すなわち繊維強化複合材料におけるマトリックス樹脂と強化繊維との割合は特に限定されない。一例を挙げると、強度等の機械的物性の観点から、繊維強化複合材料単位体積当たりの、強化繊維の体積は、30〜70%であることが好ましく、より好ましくは50〜60%である。また、繊維強化複合材料単位体積当たりの、マトリックス樹脂の体積は、30〜70%であることが好ましく、より好ましくは40〜50%である。
【0068】
本発明の実施の形態の繊維強化樹脂の製造方法は特に限定されない。一例を挙げると、繊維強化樹脂は、2液硬化型組成物を強化繊維に塗布・含浸した後、2液硬化型組成物を硬化する方法により作製し得る。2液硬化型組成物を塗布・含浸する工程は、公知の方法(ハケ、ローラーなど)を用いることができる。また、2液硬化型組成物を硬化する工程は、必要により、加熱環境下(例えば60〜180℃)であってもよく、減圧環境下(例えば5kPa以下)であってもよく、減圧環境下であってもよい。この際、本発明の実施の形態の繊維強化樹脂は、上記した2液硬化型組成物が用いられているため、成形時の作業性が改善される。
【0069】
本実施形態に係る繊維強化樹脂は、電子機器筐体として好適であり、コンピューター、テレビ、カメラ、オーディオプレイヤー等に好適に使用される。また、該繊維強化樹脂は、電気電子部品用途に好適であり、コネクター、LEDランプ、ソケット、光ピックアップ、端子板、プリント基板、スピーカー、小型モーター、磁気ヘッド、パワーモジュール、発電機、電動機、変圧器、変流器、電圧調整器、整流器、インバーターなどに好適に使用される。さらに、複合材料は、自動車用部品や車両関連部品などに好適であり、安全ベルト部品、インストルメントパネル、コンソールボックス、ピラー、ルーフレール、フェンダー、バンパー、ドアパネル、ルーフパネル、フードパネル、トランクリッド、ドアミラーステー、スポイラー、フードルーバー、ホイールカバー、ホイールキャップ、ガーニッシュ、インテークマニホールド、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイント、ウィンドウォッシャーノズル、ワイパー、バッテリー周辺部品、ワイヤーハーネスコネクター、ランプハウジング、ランプリフレクター、ランプソケットなどに好適に使用される。ほかにも、該繊維強化樹脂は、建材として好適であり、土木建築物の壁、屋根、天井材関連部品、窓材関連部品、断熱材関連部品、床材関連部品、免震制振部材関連部品、ライフライン関連部品などに好適に使用される。加えて、該繊維強化樹脂は、スポーツ用品として好適であり、ゴルフクラブのシャフト、ゴルフボールなどのゴルフ関連用品、テニスラケットやバトミントンラケットなどのスポーツラケット関連用品、アメリカンフットボールや野球、ソフトボールなどのマスク、ヘルメット、胸当て、肘当て、膝当てなどのスポーツ用身体保護用品、釣り竿、リール、ルアーなどの釣り具関連用品、スキー、スノーボードなどのウィンタースポーツ関連用品などに好適に使用される。
【0070】
[作用効果]
本発明の実施の形態であると、混合時ならびに成形時の樹脂粘度が低いにもかかわらず、高いガラス転移温度を有する熱可塑性樹脂を提供することができる。成形時の樹脂粘度が低いことにより、強化繊維と複合化させる際のマトリックス樹脂の流動性を向上して、成形作業性を向上することができる。
【0071】
また、このように高いガラス転移温度を持ちかつ熱可塑性の樹脂を、繊維強化複合材料のマトリックス樹脂として用いることにより、硬化後にも熱による加工が可能である。そのため、例えば、平板状の繊維強化複合材料を作製しておき、これを用いて熱により曲面状に賦形する加工も可能になり、加工性に優れる。しかも、このように熱による加工が可能でありながら、ガラス転移温度が高いことにより、実際の使用環境下における耐熱性を向上することができ、耐熱性が高い繊維強化複合材料を提供することができる。そのため、熱源に近い部材などに用途を拡大することができる。
【実施例】
【0072】
以下、実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
【0073】
下記表1,2に示す配合(質量部)に従い、実施例1〜21及び比較例1〜4の2液硬化型組成物を調製した。詳細には、ポリイソシアネート成分を除く成分を混合してポリオール成分(第1液)を調製し、得られた第1液を25℃に調整し、これに25℃に調整したポリイソシアネート成分(第2液)を添加し、1分間攪拌混合した。表1,2中の成分の詳細は以下の通りである。
【0074】
[芳香環を有するジオール(A−1)]
・A−1−1:ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加体(分子量:360)
ADEKA社製「アデカポリエーテルBPX−11」

・A−1−2:ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加体(分子量:532)
三洋化成社製「ニューポールBP−5P」

・A−1−3:ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加体(分子量:672)
三洋化成社製「ニューポールBPE−100」

・(比較用材料)A−1C:ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加体(分子量:790)
ADEKA社製「アデカポリエーテルBPX−55」
【0075】
[芳香環を有しないジオール(A−2)]
・A−2−1:1,4−ブタンジオール(分子量:90)
三菱ケミカル社製 「1,4−ブタンジオール」

・A−2−2:ジプロピレングリコール(分子量:134)
旭硝子社製「ジプロピレングリコール」

・A−2−3:2−エチル−1,3−ヘキサンジオール(分子量:146)
KHネオケム社製「2−エチル−1,3−ヘキサンジオール」

・A−2−4:トリプロピレングリコール(分子量:192)
旭硝子社製「トリプロピレングリコール」

・A−2−5:ポリプロピレングリコール(分子量400)
旭硝子社製「エクセノール420」

・(比較用材料)A−2C:ポリプロピレングリコール(分子量1000)
旭硝子社製「エクセノール1020」
【0076】
[芳香族ジイソシアネート(B−1)]
・B−1−1:MDI(4,4’−MDIと2,4’−MDIとの混合物(50%:50%))
BASF INOAC ポリウレタン社製「ルプラネートMI」

・B−1−2:MDI(4,4’−MDI)
東ソー社製「ミリオネートMT」

・B−1−3:カルボジイミド変性MDI(4,4’−MDIのカルボジイミド変性体と4,4’−MDIとの混合物(25%:75%))
BASF INOAC ポリウレタン社製「ルプラネートMM−103」
【0077】
[多孔質粉体(C)]
・C−1:ゼオライト
ユニオン昭和社製「モレキュラーシーブ3AB」
【0078】
[その他(D)]
・D−1:ジオクチルチンジラウレート(金属触媒)
日東化成(株)製「ネオスタンU810」
【0079】
[評価]
実施例1〜21および比較例1〜4の2液硬化型組成物について、以下の評価方法により、混合粘度、ガラス転移温度(Tg)、引張強さ、熱溶融温度、繊維強化樹脂の曲げ強度、および繊維強化樹脂の衝撃強さを評価した。結果を表1および表2に示す。
【0080】
(1)混合粘度(mPa・s)
それぞれの上記混合物を25℃環境下に静置し、混合開始から5分後の粘度を測定した。粘度は、JIS K7117−1に準じ、BM型粘度計(東機産業(株)製)を用いて測定した。
【0081】
(2)ガラス転移温度(℃)
それぞれの上記混合物を、混合後5分経過時に膜厚1mmとなるように塗布した。これを、120℃で1時間処理することにより、ポリウレタン樹脂のシートを得た。得られた樹脂シートから5mm×2cmの試験片を切り出し、JIS K7244−4に準じ、ユービーエム社製のRheogel E−4000にてガラス転移温度を測定した。
【0082】
(3)引張強さ(MPa)
ガラス転移温度と同様の方法により、膜厚1mmのポリウレタン樹脂のシートを得た。得られたシートから、5mm×4cmの試験片を切り出し、JIS A6021−2011に準じ、インストロンジャパン社製のデジタル万能試験機(Instron 5581
)にて引張強さ(MPa)を測定した。
【0083】
(4)熱溶融温度
ガラス転移温度と同様の方法により、膜厚1mmのポリウレタン樹脂のシートを得た。得られたシートから、1mm×1mmの試験片を切り出し、JIS K7210に準じ、島津製作所社製の流動性試験機(島津フローテスタCFT−500D)にて1/2法温度を測定した。
【0084】
(5)繊維強化樹脂(CFRP)の曲げ強度
平織の炭素繊維を製品型の上で重ね合わせ、それを離形フィルムで覆って密閉し真空パックした後、樹脂を流し込み、120℃で1時間硬化し膜厚2mmの繊維強化樹脂成型体を得た。得られた成型体から100mm×15mm×2mmの試験片を切り出し、JIS K7074に準じ、精密万能試験機(島津オートグラフAG−Xplus)を用いて3点曲げ強度を測定した。
【0085】
(6)繊維強化樹脂のシャルピー衝撃試験(衝撃強さ)
曲げ強度と同様の方法により、膜厚2mmの繊維強化樹脂成型体を得た。得られた成型体から80mm×10mm×2mmの試験片を切り出し、JIS K7077に準じ、電動振子式試験機(インストロンMPXシリーズ電動振子式試験機)にてシャルピー衝撃強度を測定した。
【0086】
【表1】

【表2】
【0087】
実施例1〜21の2液硬化型組成物であると、混合粘度が低く、かつ得られた熱可塑性樹脂のガラス転移温度が高かった。特に、芳香環を有するジオール(A−1)の分子量が200〜500であり、かつ、芳香環を有しないジオール(A−2)の分子量が120以下の場合に、より高いガラス転移温度を実現できることが分かった。また、得られた熱可塑性ポリウレタン樹脂は、ある程度の引張強さを有していた。
【0088】
また、実施例1〜21の2液硬化型組成物の硬化物を繊維強化樹脂のマトリックス樹脂として用いた場合、当該繊維強化樹脂がある程度の曲げ強度や衝撃強さを有していることが分かった。このことからも、本発明の実施の形態に係る2液硬化型組成物は、繊維強化樹脂製造用として好適であるといえる。
【0089】
これに対し、比較例1〜比較例4では、混合粘度の抑制とガラス転移温度の向上とを両立することができなかった。また、比較例3および4では、混合粘度が高すぎたことにより、強化繊維に含浸させることができなかったため、曲げ強度および衝撃強さについては評価を行うことができなかった。
【0090】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これら実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその省略、置き換え、変更などは、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。