(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記中性点端子の先端部は、前記回転電機軸方向と直交する平面において、前記ティースが軸中心へ伸びる方向と直交する方向に偏心しており、前記係合部分は前記根元部とテーパ形状でつながれていると共に、前記接合部分が回転電機円周方向外側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の回転電機。
前記接合部分は、前記回転電機軸方向と直交する平面において、前記ティースが軸中心へ伸びる方向と直交する方向で、前記ティースの中心付近に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の回転電機。
前記接合部分は、前記中性点端子の先端部における一側縁を折り曲げ形成して設けられていることを特徴とする請求項1から請求項3までの何れか1項に記載の回転電機。
前記中性点端子は、前記回転電機軸方向および回転電機周方向に延在し、前記接合部分は前記中性点端子の外周側に形成されていることを特徴とする請求項1から請求項4までの何れか1項に記載の回転電機。
前記接合部分は、前記回転電機軸方向と直交する平面において、前記ティースが軸中心へ伸びる方向と直交する方向へ傾斜していることを特徴とする請求項1から請求項6までの何れか1項に記載の回転電機。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の形態1.
実施の形態1を
図1から
図5までに基づいて説明する。
図1は実施の形態1に係る回転電機における固定子の構成を示す上面図である。
図2は実施の形態1に係る回転電機におけるコイルの巻線構成を説明する展開図である。
図2(a)は上面図、
図2(b)は側面図を示す。
図3は実施の形態1に係る回転電機における中性点端子接続部の接続工程を示す部分展開図である。
図3(a)は上面図、
図3(b)は側面図を示す。
図4は実施の形態1に係る回転電機における中性点端子接続部の接続構成を示す部分展開図である。
図4(a)は上面図、
図4(b)は側面図を示す。
図5は実施の形態1に係る回転電機における固定子の他の構成例を示す上面図である。
【0013】
回転電機の固定子10は、例えば永久磁石を用いる回転子と組み合わされてブラシレスDCモータを構成するものである。また、固定子10は、三相のスター結線の巻線に電源を供給するために使用される電源供給端子および中性点接続に使用される中性点端子を備えたものである。また、以下の説明では、例として6スロットの固定子について説明する。
【0014】
図1に示すように固定子10は軸心に向けて突出する6個のティース31aを有する積層鉄心からなるステータ31と、ティース31aに直接集中巻方式により巻回された三相のスター結線のコイル41と、固定子コイルとしてのコイル41へ電源を供給するために使われる電源端子21と、中性点接続として使われる中性点端子22と、ステータ31とコイル41間を絶縁し、電源端子21を固定する絶縁支持部材51と、中性点端子を固定する絶縁支持部材52とを備えている。
【0015】
ステータ31は、例えば厚さ0.3〜0.6mm程度の電磁鋼板を帯状に打ち抜き、それらを回転電機の軸方向にカシメ、溶着、溶接、などで積層し、これにより形成された6個のティース31aに三相のスター結線を施した後、各ティース31aが回転電機の円周方向中心へ向くように折り曲げて構成されたものである。つまり、固定子10は、巻線後のステータ31をティース31aが内側になるように正曲げし、ステータ突合せ部32を溶接して、固定することで構成される。
【0016】
絶縁支持部材51,52はコイル41とステータ31間を絶縁するために設けられるものであり、例えばPPS(ポリフェニレンサルファイド)やPOM(ポリオキシメチレン)などの熱可塑性樹脂を用いて成形され、回転電機軸方向の両端側から挟み込むようにして、ステータ31に挿入して装着されている。また、絶縁支持部材51は電源端子21を圧入するための溝(図示しない)と、ステータ31のティース31aにコイル41を巻回した後に、ステータ31の回転電機円周方向外側へコイル41の端部を構成する絶縁被覆電線41aを通過させるための溝部51aが設けられている。絶縁支持部材52は、中性点接続を行うために、3つの端子が電気的に接続されている中性点端子22と一体成形して製作されており、ステータ31のティース31aにコイル41を巻回した後に、ステータの回転電機円周方向外側へ排出されたコイル41の端部を構成する絶縁被覆電線41aをステータ31の回転電機円周方向内側へ引き込むための溝部52aが設けられている。
【0017】
電源端子21は、絶縁支持部材51の電源端子21を圧入するための溝に圧入されて固定されており、コイル41の端部を引っ掛けて、ヒュージング加工を行うことでコイル41と電源端子21を電気的に接続する導通接続部21aが設けられている。中性点端子22は、電源端子21と同様に、コイル41と中性点端子22をヒュージング加工により電気的に接続する導通接続部22aが設けられており、また、U,V,W各相のティース31aへの巻回後にコイル41を中性点接続できるように、3相分の端子が1つの端子として製作されている。さらに、中性点端子22の導通接続部22aがある先端部TPは、回転電機の軸方向と直交する平面において、ティース31aが軸中心へ伸びる方向と直交する方向に偏心しており、絶縁支持部材に固定されている根元部RPと偏心している先端部TPはテーパ形状でつながれて、係合部分LPを形成している。コイル41と中性点端子22とは、コイル41の端部を構成する絶縁被覆電線41aを導通接続部22aに接続することにより電気的に接続される。
【0018】
次に巻線工程について説明する。ステータのティース31aにはU,V,W相の巻線が巻回されるが、動作は同様のため、U相の巻回工程について説明する。
図2に示すように、ステータ31のティース31aへコイル41のコイル素線を巻回する際の作業性を向上させるため、ステータ31はティース31aを直線状に配列して展開した直性形状にて巻回工程が行われる。説明のため、U相巻線工程の内、先に前記コイル素線が巻回されるティース31aをU1相、U1相への巻回後に前記コイル素線が巻回されるティース31aをU2相と称する。まず、前記コイル素線は電源端子21の接続部21aの根元部にからげられ、U1相のステータ31のティース31aへ前記コイル素線を巻回させる。
【0019】
前記コイル素線の巻回後、
図2(a)の矢印で示すように、絶縁支持部材51の溝部51aを通過し、ステータ31の回転電機円周方向外側へ前記コイル素線を引き出し、V1、W1相の絶縁支持部材の背面を通過し、絶縁支持部材52の溝部52aを通過し、ステータ31の回転電機円周方向内側へ前記コイル素線を引きこむ。引き込んだ後、U2相のステータのティース31aへ前記コイル素線を巻回し、中性点端子22の導通接続部22aの根元部へからげ、前記コイル素線を自動機のニッパ等で切断する。
【0020】
本実施の形態による効果を説明するため、上記で説明した巻線工程の内、中性点端子22における導通接続部22aの根元部へのからげ動作を詳細に説明する。巻線動作説明のため、
図3に示すようにx,y,z軸を設定する。
図3(b)におけるS1はU2相のステータのティース31aへの巻回が終了した状態を表している。
まず、絶縁被覆電線41aの先端部に装着され絶縁被覆電線41aの挿通配線作業を行うため自動機等に取り付けられた作業用ノズル61を、
図3(b)におけるS2に示すようにx軸負方向に移動させた後、S3に示すように作業用ノズル61をz軸正方向へ移動させることで、中性点端子22の係合部分LPにコイル41の端部を構成する絶縁被覆電線41aを引っ掛ける。その後、作業用ノズルを、
図3(b)におけるS4に示すようにx軸正方向とz軸負方向に移動させ絶縁被覆電線41aのクセ付けを行う。その後、作業用ノズル61を、
図3(b)におけるS5に示すようにy軸負方向に移動させた後、
図3(b)におけるS6に示すようにx軸負方向へ移動させることで、導通接続部22aへのからげ動作により絶縁被覆電線41aの挿通配線作業を行う。絶縁被覆電線41aは導通接続部22aの接合部分に嵌入され当接される。
【0021】
コイル41の端部を構成しコイル14のコイル素線と一体化されている絶縁被覆電線41aの先端部は、絶縁被覆電線41aの自由端を把持する作業用ノズル61による引き回し動作によって、まず、前記中性点端子22の
図4(b)における図示上面から図示下面へ挿通配線されて係合部分LPに係合する(
図3(b)S1〜S3)。ついで、絶縁被覆電線41aをその弾性力に抗して変形させることによりクセ付けを行う(
図3(b)S4)。そして、絶縁被覆電線41aを導通接続部22aに向かい移動させて(
図3(b)S5)、接合部分CPに嵌入させる(
図3(b)S6)。絶縁被覆電線41aの先端部は接合部分CPに絶縁被覆電線41aが有する弾性による復元力によって圧接され、絶縁被覆電線41aは圧接状態で加熱されてヒュージング加工による熱カシメ工法による接合部分CPに固着されて、導通接続部22aと絶縁被覆電線41aとは電気的に導通接続されるものである。
【0022】
上記のように、
図3におけるS4に示すように、作業用ノズル61をx軸正方向とz軸負方向に移動させ、係合部分LPに掛けてクセ付を行ってから、導通接続部22aにコイル41の端部を構成する絶縁被覆電線41aを掛けることで、絶縁被覆電線41aには、
図3におけるS4に示す矢印方向へ戻ろうとするスプリングバックが発生する。これにより、絶縁被覆電線41aに中性点端子22の導通接続部22aの接合部分CPへと移動する力が作用し、巻線工程後のヒュージング加工において、コイル41の端部を構成する絶縁被覆電線41aの位置が安定し、電気的な接続の品質を安定させることが出来る。
【0023】
さらに、
図2を用いて説明した巻線工程において、例えば、上記の巻線工程で説明した
図2(b)の平面において、反時計方向にコイル41のコイル素線を巻回するような固定子の場合では、
図3(a)で設定したx軸方向において、電源端子21の接続部21aをティース31aの中心であるティース中心よりも負方向の位置に配置し、絶縁支持部材51の溝部51aを前記ティース中心よりも正方向の位置に配置し、絶縁支持部材52の溝部52aを前記ティース中心よりも負方向に配置することで、ティース巻回前後の渡線をクロスすることや、端子との干渉を回避し、自動機等の巻線作業の作業性を向上させることができる。この場合、絶縁支持部材52の溝部52aは
図3(a)で設定したx軸方向において、前記ティース中心よりも負方向に配置されているため、中性点端子22の先端部TPが
図3(a)で設定したx軸方向において、負方向に偏心していると、溝部52aへコイルを引き込む際に、作業用ノズル61と中性点端子22が干渉してしまう。
【0024】
図5に固定子10を保護部材60で覆った際の構成と、中性点端子22の先端部が実施の形態1と異なる場合を破線で表した図を示す。中性点端子22の先端部TPが
図3(a)で設定したx軸方向において、正方向に偏心し、接続部22aが正方向に配置されていると、
図5のハッチング枠で示す位置に接続部22aが配置されることとなり、例えば、コイルを保護する等の目的で、例えば、PPSやPOM等の熱可塑性樹脂でからなる保護部材60固定子10を覆うような構造において、中性点端子22が、回転電機の円周方向において、ステータよりも外周側へ位置し、回転電機の小型化が困難となる。
【0025】
上記より、実施の形態1に示すように、中性点端子22の先端部TPが
図3(a)で設定したx軸方向において、正方向に偏心し、導通接続部22aが負方向に配置されていることで、溝部52aへ引き込む際の作業用ノズルと端子の干渉を回避でき、また、保護部材60で覆う際に小型化することが出来る。
【0026】
さらに、中性点端子22は板厚方向が、回転電機の軸方向と直交する平面において、ティース31aが軸心へ伸びる方向となっているため、ティース31aが軸心へ伸びる方向への変形は大きいが、ティース31aが軸心へ伸びる方向と直交する方向への変形は小さい。そのため、コイル41の端部を構成する絶縁被覆電線41aを中性点端子22の係合部分LPに引っ掛けても、中性点端子22の変形は小さくすることができる。
なお、巻線が時計回りの際は、全て逆の配置とすれば同一の効果を得られる。
【0027】
この出願に開示される回転電機の固定子は、複数のティース31aを有するステータ31と、前記ティース31aに施される絶縁支持部材51,52と、前記絶縁支持部材51,52が施されたティース41aに施されるコイル41と、前記絶縁支持部材に51に設けられ、前記コイル41へ電源を供給する電源端子21と、前記絶縁支持部材52に設けられ、前記コイル41の中性点接続を行う中性点端子22と、前記端子22は端子22とコイル41を電気的に接続させるために行うヒュージング用の接続部22aと、を備え、前記中性点端子22は、前記ヒュージング接続部22aが端子先端部に設けられており、前記先端部は、回転電機の軸方向と直交する平面において、ステータティース41aが軸心へ伸びる方向と直交する方向に偏心しており、前記中性点端子22の導通接続部22aは、前記中性点端子22の回転電機の円周方向外側に配置されている。
【0028】
中性点端子22の偏心部としての係合部分LPに絶縁被覆電線41aを引っ掛けて、ヒュージング接続部を構成する中性点端子22の根元部RPにコイルを掛けることにより、絶縁被覆電線41aに発生するスプリングバックで、絶縁被覆電線41aをヒュージング接続部への根元に安定して配置することができ、ヒュージング時の電気接続を安定させることができる。さらに、絶縁被覆電線41aにかかるテンションを、中性点端子22の係合部分LPに、係合部が変形しにくい方向でかけることができるため、ヒュージング接続部を構成する中性点端子22の変形を防ぐことが出来、また、中性点端子22の根元近傍に配置することで、中性点端子22のレイアウトを小型化でき、固定子を小型化することが可能となる。
【0029】
この実施の形態1では、中性点端子22への絶縁被覆電線41aの配線態様は、
図4(a)(b)に示すように構成されている。
配線工程において、コイル41の端部を構成しコイル14のコイル素線と一体化されている絶縁被覆電線41aは中性点端子22の係合部分LPと係合して先端部41tを中性点端子22の他方の面F2から一方の面F1に挿通されて変形状態とされ(
図3のS3参照)、絶縁被覆電線41aの弾性に抗して絶縁被覆電線41aを変形しクセ付が行われ(
図3のS4参照)、絶縁被覆電線41aの先端部41tは中性点端子22の接合部分CPと嵌合して当接するものである。
【0030】
配線工程の準備段階では、弾性を有しコイル41の端部を構成する絶縁被覆電線41aは、コイル41との接続部位である根元部41rをコイル41に対して固定され、先端部41tを自由端とし中性点端子22の他方の面F2の上方位置において面F2と平行して軸方向に延在する自由状態とされている。
弾性を有する絶縁被覆電線41aは挿通配線動作によって係合部分LPに係合し先端部41tを中性点端子22の他方の面F2から一方の面F1に挿通される(
図3のS3参照)。係合部LPは中性点端子22の一側縁EAで軸方向に対して斜めに延在して形成され絶縁被覆電線41aの面F1方向および他側縁EB方向への移動を規制するものである。
【0031】
中性点端子22の一方の面F1に挿通された絶縁被覆電線41aの先端部41tは中性点端子22の接合部分CPに嵌合され当接される(
図3のS3〜S6参照)。絶縁被覆電線41aが係合部分LPに係合して先端部41tを中性点端子22の他方の面F2から面F1へ挿通されることにより、係合部分LPとの係合により面F1方向および他側縁EB方向への移動を規制されている絶縁被覆電線41aは、前記自由状態から面F2と反対方向へ弾性力に抗して変形状態とされるとともに、クセ付けによる変形(
図3のS4参照)によって前記自由状態から他側縁EB方向へ弾性力に抗して変形状態とされるものであって、絶縁被覆電線41aは、前記自由状態から変形された状態で先端部41tが接合部分CPと嵌合されることにより、絶縁被覆電線41aが前記変形された状態から前記自由状態へ復帰することによって生じる、いわゆるスプリングバックとしての弾性による復元力で先端部41tにおいて接合部分CPに圧着されるものである。
接合部分CPは板状部材からなる中性点端子22の一側縁EAを折り曲げ形成して設けられ、折曲げ屈曲部で他側縁EBと反対方向への絶縁被覆電線41aの移動を規制して当接する第1接合部分CPaを形成し、折曲げ屈曲部より先の折曲げ先端部材と折曲げ先端部材に対向する部分の面F1の部材とにより構成され両部材間で絶縁被覆電線41aを挟持し圧着する第2接合部分CPbを前記両部材で形成するものであり、絶縁被覆電線41aの先端部41tは、第1接合部分CPaおよび第2接合部分CPbに圧着された状態で接合部分CPに圧接状態で結合される。
【0032】
そして、絶縁被覆電線41aの先端部41tが接合部分CPに圧接した状態で絶縁被覆電線41aと中性点端子22とを通電加熱により圧着接合して絶縁被覆電線41aと接合部分CPとを電気的に導通し導通接続部22aを構成する。絶縁被覆電線41aの先端部41tでは絶縁被覆電線41aの絶縁被覆が通電加熱によって溶融され絶縁被覆電線41aの芯線が中性点端子22に密着した固着状態で結合され導通接続部22aが構成されるものである。
【0033】
実施の形態1における回転電機では、
図1から
図5までに示す通り、次の構成が適用されている。
複数のティース31aを有し固定子10を構成するステータ31と、前記ティース31aに施されるコイル41と、弾性を有し前記コイル41の端部を構成する絶縁被覆電線41aと、前記コイル41よりも軸方向に突出する板状部材で形成される中性点端子22と、前記中性点端子22に設けられ前記中性点端子22と前記絶縁被覆電線41aとを加圧および加熱し接合して中性点端子22と絶縁被覆電線41aの芯線とを固着状態として電気的に導通するための導通接続部22aとを備え、前記中性点端子22は、前記中性点端子22の根元部RPにおける一側縁EAに設けられ前記中性点端子22の他方の面F2から一方の面F1に挿通される前記絶縁被覆電線41aの前記中性点端子22の一方の面F1方向および他側縁EB方向への移動を規制する係合部分LPと、前記中性点端子22の先端部TPにおける一側縁EAに設けられ前記中性点端子22の一方の面F1に挿通される前記絶縁被覆電線41aと嵌合して当接し前記中性点端子22の他側縁EBと反対方向および前記中性点端子22の一方の面と反対方向への移動を規制する第1接合部分CPaおよび第2接合部分CPbからなる接合部分CPとを有するものであって、前記接合部分CPは前記中性点端子22と前記絶縁被覆電線41aとを電気的に導通する前記導通接続部22aを構成することを特徴とする。
【0034】
この構成により、コイルの端部を構成する絶縁被覆電線と中性点端子とを加圧および加熱し接合して電気的に導通するための導通接続部に対し前記絶縁被覆電線を前記絶縁被覆電線における変形状態から自由状態へ復帰する弾性による復元力で確実に圧接でき、コイルの中性点端子への電気的接続を簡潔な構成で的確に行える回転電機を提供することができる。
【0035】
実施の形態1における回転電機の製造方法では、次の構成が適用されている。
複数のティース31aを有し固定子10を構成するステータ31と、前記ティース31aに施されるコイル41と、弾性を有し前記コイル41の端部を構成する絶縁被覆電線41aと、前記コイル41よりも軸方向に突出する板状部材で形成される中性点端子22と、前記中性点端子22に設けられ前記中性点端子22と前記絶縁被覆電線41aとを加圧および加熱し接合して電気的に導通するための導通接続部22aとを備え、前記中性点端子22は、前記中性点端子22の根元部RPにおける一側縁EAに設けられ前記中性点端子22の他方の面F2から一方の面F1に挿通される前記絶縁被覆電線41aの前記中性点端子22の一方の面F1方向および他側縁EB方向への移動を規制する係合部分LPと、前記中性点端子22の先端部TPにおける一側縁EAに設けられ前記中性点端子22の一方の面に挿通される前記絶縁被覆電線41aと嵌合して当接し前記中性点端子22の他側縁EBと反対方向および前記中性点端子22の一方の面と反対方向への移動を規制する第1接合部分CPaおよび第2接合部分CPbからなる接合部分CPとを有するものであって、前記接合部分CPは前記中性点端子22と前記絶縁被覆電線41aとを電気的に導通する前記導通接続部22aを構成する回転電機を製造するにあたり、前記絶縁被覆電線41aを前記中性点端子の一方の面F1方向および前記中性点端子の他側縁EB方向への前記絶縁被覆電線41aの移動を規制する係合部分LPに係合させて前記中性点端子22の一方の面F1に挿通し前記中性点端子22の接合部分CPに当接して、前記絶縁被覆電線41aの弾性力により前記絶縁被覆電線41a先端部41tを前記中性点端子22の接合部分CPに圧接し通電加熱により圧着接合することにより前記中性点端子22と前記絶縁被覆電線41aとを電気的に導通する前記導通接続部22aを構成することを特徴とする。
【0036】
この方法により、前記絶縁被覆電線における変形状態から自由状態へ復帰する弾性による復元力によって簡単な工程で確実に前記絶縁被覆電線を導通接続部に圧接して結着することによりコイルの中性点端子への電気的接続を簡潔な構成で的確に行える回転電機を得ることができる回転電機の製造方法を提供できるものである。
【0037】
実施の形態2.
実施の形態2を
図6に基づいて説明する。
図6は実施の形態2に係る回転電機の固定子における中性点端子接続部の接続構成を示す部分展開図である。
実施の形態2による回転電機の固定子は、中性点端子22の形状が実施の形態1の固定子と異なる。その他の構成要素は、実施の形態1による回転電機の固定子10と同一である。
【0038】
実施の形態2による中性点端子22はコイル41の端部を構成する絶縁被覆電線41aとの導通接続部22aが
図3(a)で設定したx軸正方向に傾斜している。軸方向に延在し先端部TPに導通接続部22aを有する前記中性点端子22の一側縁EAは他側縁EBの方向へ傾斜しているものである。
【0039】
これにより、導通接続部22aで受ける、係合部分LPへ絶縁被覆電線41aを引っ掛けることで発生するスプリングバックによる圧接力が向上することで、より導通接続部22aにおける絶縁被覆電線41aの位置を安定させることができる。
【0040】
実施の形態2における回転電機では、
図6に示す通り、前述した実施の形態1における構成において、次の構成が適用されている。
板状部材で形成される中性点端子22は、中性点端子22の延在する平面において一側縁EAが軸方向に対し他側縁EBの方向へ傾斜し、他側縁EBが軸方向に対し一側縁EAと反対の方向へ傾斜する形状に形成されているものであって、軸方向に延在し先端部TPに導通接続部22aを有する前記中性点端子22の一側縁EAは他側縁EBの方向へ傾斜していることを特徴とする。
【0041】
この構成により、導通接続部における加圧をより確実に行うことができコイルの中性点端子への電気的接続を簡潔な構成で一層的確に行える回転電機を提供することができる。
【0042】
実施の形態3.
実施の形態3を
図7および
図8に基づいて説明する。
図7は実施の形態3に係る回転電機の固定子の中性点端子接続部の接続構成を示す部分展開図である。
図8は実施の形態3に係る回転電機の固定子の中性点端子接続部の他の接続構成例を示す部分展開図である。
実施の形態3による回転電機の固定子は、絶縁支持部材と中性点端子の形状が実施の形態1の固定子と異なる。その他構成要素は、実施の形態1による回転電機の固定子10と同一である。実施の形態3による絶縁支持部材53は係合部分LPを有しており、中性点端子22は先端の偏心が無い構造となっている。
【0043】
板状部材からなる中性点端子22の根元部には中性点端子22の延在方向と同方向に延在する板状部材からなる絶縁支持部材53が連接して設けられ、中性点端子22は絶縁支持部材53により支持される。絶縁支持部材53の一方および他方の面は中性点端子22の一方および他方の面とそれぞれ連続し同方向に延在するものである。
【0044】
これにより、実施の形態1において、コイルのスプリングバックを発生させていた中性点端子22の係合部分LPを、絶縁支持部材53に持たせることができる。そのため、中性点端子22に偏心構造が無くなることで、中性点端子22の剛性が向上する。また、中性点端子22と絶縁支持部材53のレイアウト性が向上する。
また、
図8の変形例に示すように絶縁支持部材53の係合部分LPに突起53bからなる係止部分を設けることで、絶縁被覆電線41aが溝部53aに落下するのを防ぐことも可能となる。
【0045】
実施の形態3における回転電機では、
図7および
図8に示す通り、次の構成が適用されている。
複数のティース31aを有し固定子10を構成するステータ31と、前記ティース31aに施されるコイル41と、弾性を有し前記コイル41の端部を構成する絶縁被覆電線41aと、前記コイル41よりも軸方向に突出する板状部材で形成される中性点端子22と、前記中性点端子22に設けられ前記中性点端子22と前記絶縁被覆電線41aとを加熱および加圧し接合して電気的に導通するための導通接続部22aと、前記中性点端子22の根元部RPに連接し前記中性点端子22と同方向に延在して前記中性点端子22を支持する板状部材で形成される絶縁支持部材53とを備え、前記中性点端子22の根元部RPに連接する前記絶縁支持部材の一側縁EAに設けられ前記中性点端子の一方の面に前記中性点端子の他方の面と連続する前記絶縁支持部材53の他方の面から挿通される前記絶縁被覆電線41aと係合し前記絶縁被覆電線41aの前記絶縁支持部材53の他側縁EBおよび前記中性点端子の他側縁EB方向への移動を規制する係合部分LPと、前記中性点端子22の先端部TPにおける一側縁EAに設けられ前記中性点端子の一方の面に挿通される前記絶縁被覆電線41aの先端部と嵌合して当接し前記中性点端子22の他側縁EBと反対方向および前記中性点端子22の一方の面と反対方向への移動を規制する接合部分CPとを有するものであって、前記接合部分CPは前記中性点端子22と前記絶縁被覆電線41aとを電気的に導通する前記導通接続部22aを構成することを特徴とする。
【0046】
この構成により、中性点端子とこれを支持する絶縁部材とによって剛性を強化した配線構造を構成し、コイルの中性点端子への電気的接続を簡潔な構成で的確に行える信頼性を向上した回転電機を提供することができる。
【0047】
以上の実施の形態では6スロットの固定子について説明したが、6スロット以上の固定子でも同一の効果が得られる。
また、本願は上述した実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した本願の要旨を逸脱しない限りその他種々の応用例、変形例を取り得ることは勿論である。