(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記エチレン系インターポリマーが、エチレン/プロピレンコポリマー、エチレン/1−オクテンコポリマー、及びエチレン/プロピレン/ジエンコモノマーターポリマーから選択される、インターポリマーである、請求項1に記載の架橋性ポリマー組成物。
前記充填剤が、0重量パーセント超〜10重量パーセント未満の量で存在し、前記充填剤が、熱処理された粘土、表面処理された粘土、及び有機粘土からなる群から選択される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の架橋性ポリマー組成物。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本発明の様々な実施形態は、エチレン系インターポリマーを含む架橋性ポリマー組成物に関する。更なる実施形態は、かかる架橋性ポリマー組成物から調製された架橋ポリマー組成物に関する。更なる実施形態は、架橋性ポリマー組成物を組み込むコーティングした導体に関する。
【0006】
架橋性ポリマー組成物
上述のように、本明細書に記載の架橋性ポリマー組成物の1つの成分は、エチレン系インターポリマーである。本明細書で使用される場合、「エチレン系」インターポリマーは、エチレンモノマーを主要な(即ち、少なくとも50重量パーセント(「重量%」)の)モノマー成分として調製されるが、1つ以上の他のコモノマーが用いられるインターポリマーである。「ポリマー」は、そのモノマーまたは異なる種類のモノマーを反応(即ち、重合)させることによって調製される高分子化合物を意味し、ホモポリマー及びインターポリマーを含む。「インターポリマー」は、少なくとも2つの異なるモノマー種の重合によって調製されるポリマーを意味する。この総称は、コポリマー(通常、2つの異なるモノマー種から調製されるポリマーを指すために用いられる)、及び2つ超の異なるモノマー種から調製されるポリマー(例えば、ターポリマー(3つの異なるモノマー種)及びクアテルポリマー(4つの異なるモノマー種))を含む。
【0007】
ある実施形態では、エチレン系インターポリマーは、α−オレフィン含有量が全インターポリマー重量に基づき少なくとも1重量%、少なくとも5重量%、少なくとも10重量%、少なくとも15重量%、少なくとも20重量%、または少なくとも25重量%であるエチレン/アルファオレフィン(「αオレフィン」)インターポリマーであり得る。これらのインターポリマーは、α−オレフィン含有量が、全インターポリマー重量に基づき、50重量%未満、45重量%未満、40重量%未満、または35重量%未満であり得る。α−オレフィンが用いられるとき、α−オレフィンは、C
3−20(即ち、3〜20個の炭素原子を有する)線状、分岐、または環状α−オレフィンであり得る。C
3−20α−オレフィンの例には、プロペン、1ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1ドデセン、1テトラデセン、1ヘキサデセン、及び1−オクタデセンが挙げられる。α−オレフィンはまた、シクロヘキサンまたはシクロペンタンなどの環状構造を有してもよく、それにより、3シクロヘキシル−1−プロペン(アリルシクロヘキサン)及びビニルシクロヘキサンなどのα−オレフィンがもたらされる。例示的なエチレン/α−オレフィンインターポリマーには、エチレン/プロピレン、エチレン/1−ブテン、エチレン/1ヘキセン、エチレン/1−オクテン、エチレン/プロピレン/1−オクテン、エチレン/プロピレン/1−ブテン、及びエチレン/1−ブテン/1−オクテンが挙げられる。
【0008】
様々な実施形態において、エチレン系インターポリマーは、非共役ジエンコモノマーを更に含み得る。好適な非共役ジエンには、6〜15個の炭素原子を有する、直鎖、分岐鎖、または環状炭化水素ジエンが挙げられる。好適な非共役ジエンの例には、直鎖非環状ジエン、例えば、1,4−ヘキサジエン、1,6−オクタジエン、1,7−オクタジエン、及び1,9−デカジエン;分岐鎖非環状ジエン、例えば、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン、3,7−ジメチル−1,7−オクタジエン、及びジヒドロミリセン(dihydromyricene)とジヒドロオシネン(dihydroocinene)との混合異性体;単環脂環式ジエン、例えば、1,3−シクロペンタジエン、1,4−シクロヘキサジエン、1,5−シクロオクタジエン、及び1,5−シクロドデカジエン;ならびに多環脂環式の縮合環及び架橋環のジエン、例えば、テトラヒドロインデン、メチルテトラヒドロインデン、ジシクロペンタジエン、ビシクロ−(2,2,1)−ヘプタ−2−5−ジエン;アルケニル,アルキリデン、シクロアルケニル、シクロアルキリデンノルボルネン、例えば、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−プロペニル−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−(4−シクロペンテニル)−2−ノルボルネン、5−シクロヘキシリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、及びノルボルエナジンンが挙げられるが、これらに限定されない。典型的にEPDMの調製に使用されるジエンの中でも、特に好ましいジエンは、1,4−ヘキサジエン(「HD」)、5−エチリデン−2−ノルボルネン(「ENB」)、5−ビニリデン−2−ノルボルネン(「VNB」)、5−メチレン−2−ノルボルネン(「MNB」)、及びジシクロペンタジエン(「DCPD」)である。最も好ましいジエンはENBである。存在する場合、本エチレン系インターポリマーのジエン含有量は、全インターポリマー重量に基づき、0.1〜10.0重量%、0.2〜5.0重量%、または0.3〜3.0重量%の範囲内であり得る。
【0009】
ある実施形態では、本エチレン系インターポリマーは、エチレン/α−オレフィンエラストマーであり得る。様々な実施形態において、ジエンコモノマーが用いられる場合、本エチレン系インターポリマーは、エチレン/プロピレン/ジエンコモノマーインターポリマーなどのエチレン/α−オレフィン/ジエンコモノマーインターポリマーであり得る。
【0010】
ある実施形態では、本エチレン系インターポリマーは、エチレン/プロピレンコポリマー、エチレン/1−オクテンコポリマー、エチレン/プロピレン/ジエンコモノマーターポリマー、及びそれらの2つ以上の組み合わせであり得る。
【0011】
本エチレン系インターポリマーがエチレン/プロピレンコポリマーである場合、全インターポリマー重量に基づき、コポリマー中、エチレンは50.0〜98.0重量%の範囲の量で存在することができ、プロピレンは2.0〜50.0重量%の範囲の量で存在することができる。本エチレン系インターポリマーがエチレン/1−オクテンコポリマーである場合、全インターポリマー重量に基づき、コポリマー中、エチレンは50.0〜95.0重量%の範囲の量で存在することができ、1−オクテンは5.0〜50.0重量%の範囲の量で存在することができる。本エチレン系インターポリマーがエチレン/プロピレン/ジエンコモノマーターポリマーである場合、全インターポリマー重量に基づき、コポリマー中、エチレンは50.0〜97.9重量%の範囲の量で存在することができ、プロピレンは2.0〜49.9重量%の範囲の量で存在することができ、ジエンコモノマーは0.1〜10重量%の範囲の量で存在することができる。
【0012】
本明細書における使用に好適なエチレン系インターポリマーは、密度が、0.93g/cm
3以下、0.92g/cm
3以下、0.91g/cm
3以下、0.90g/cm
3以下、または0.89g/cm
3以下であり得る。加えて、本明細書における使用に好適なエチレン系インターポリマーは、密度が、少なくとも0.85g/cm
3、少なくとも0.86g/cm
3、少なくとも0.87g/cm
3、または少なくとも0.88g/cm
3であり得る。本明細書で提供されるポリマー密度は、ASTM International(「ASTM」)法D792に従って決定される。
【0013】
本明細書における使用に好適なエチレン系インターポリマーは、100s
−1、190℃、及び10%ひずみでの高剪断粘度(V100)が、1,200Pa・s以下、1,000Pa・s未満、900Pa・s未満、800Pa・s未満、または700Pa・s未満である。加えて、本明細書における使用に好適なエチレン系インターポリマーは、高剪断粘度が、同じ条件下で少なくとも200Pa・sであり得る。高剪断粘度は、以下の試験方法の節に提供される手順に従って決定される。
【0014】
本明細書における使用に好適なエチレン系インターポリマーは、190℃及び10%ひずみでの剪断粘度減少比(V0.1/V100)が、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、または少なくとも11である。加えて、本明細書における使用に好適なエチレン系インターポリマーは、これらの条件下での剪断粘度減少比が、80未満または70未満であり得る。剪断粘度減少比は、以下の試験方法の節に提供される手順に従って決定される。
【0015】
ある実施形態では、本エチレン系インターポリマーは、メルトインデックス(I
2)が、1.0g/10分以下であり得る。代替的実施形態では、本エチレン系インターポリマーは、メルトインデックス(I
2)が、1.0g/10分超、少なくとも1.1g/10分、少なくとも1.2g/10分、少なくとも1.3g/10分、少なくとも1.4g/10分、または少なくとも1.5g/10分であり得る。この実施形態では、本エチレン系インターポリマーは、メルトインデックス(I
2)が、10g/10分未満、5g/10分未満、3g/10分未満、または2.5g/10分未満であり得る。この実施形態では、本エチレン系インターポリマーは、メルトインデックスが、1.5〜2.4g/10分の範囲であり得る。本明細書で提供されるメルトインデックスは、ASTM法D1238に従って決定される。別途記述のない限り、メルトインデックスは、190℃及び2.16Kgで決定される(即ち、I
2)。
【0016】
本明細書における使用に好適なエチレン系インターポリマーは、多分散性指数(「PDI」、または重量平均分子量(Mw)対数平均分子量(Mn)の比)が、1〜15、1.5〜11、2〜5、または2.5〜4.3の範囲であり得る。PDIは、以下の試験方法の節に提供される手順に従って、ゲル浸透クロマトグラフィーによって決定される。
【0017】
本明細書における使用に好適なエチレン系インターポリマーは、Maddock軸及び20/40/60/20メッシュスクリーン(頭からダイまで5つ全てのゾーンにわたって設定温度115.6℃)を100rpmの軸速度で使用する2.5インチの24:1 L/D押出機上で押し出されている間の溶融物吐出温度が、190℃未満、180℃未満、または170℃未満であり得る。溶融物吐出温度は、以下の試験方法の節に提供される手順に従って決定される。
【0018】
本明細書における使用に好適なエチレン系インターポリマーは、190℃での溶融強度が、1〜30センチニュートン(「cN」)、2〜20cN、3〜10cN、または3〜5cNの範囲である。本エチレン系インターポリマーのメルトインデックスが少なくとも1.0g/10分である場合など、様々な実施形態において、本エチレン系インターポリマーは、190℃での溶融強度が、2〜4cN、3〜4cN、または3.2〜3.8cNの範囲であり得る。溶融強度は、以下の試験方法の節に提供される手順に従って決定される。
【0019】
1つ以上の実施形態では、本エチレン系インターポリマーは、高圧反応器またはプロセスにおいて調製されない。本明細書で使用される場合、「高圧反応器」または「高圧プロセス」という用語は、少なくとも5000psiの圧力で動作する任意の反応器またはプロセスである。当業者には既知である通り、高圧反応器またはプロセスで調製されたポリエチレンは、高度に分岐したポリマー構造を有する傾向にあり、分岐は、ポリマー骨格と分岐自体に見出される。対照的に、本明細書に記載のエチレン系インターポリマーは、実質的に線状のポリマーであり得る。本明細書で使用する場合、「実質的に線状」という用語は、1,000個の炭素原子あたり0.01〜3個の長鎖分岐で置換される骨格を有するポリマーを示す。一部の実施形態では、本エチレン系インターポリマーは、1,000個の炭素原子あたり0.01〜1個の長鎖分岐、または1,000個の炭素原子あたり0.05〜1個の長鎖分岐で置換される骨格を有し得る。
【0020】
長鎖分岐化は、少なくとも6個の炭素原子の鎖長として本明細書では定義され、それを超える長さは、
13C核磁気共鳴分光学(「
13C NMR」)分光法によって区別できない。長鎖分岐は、長さが最大でポリマー骨格とほぼ同じ長さであり得る。長鎖分岐化は、
13C NMR分光法によって決定され、開示が参照により本明細書に組み込まれるRandallの方法(Rev.Macromol.Chem.Phys.,C29(2&3),p.285−297)を使用して定量化される。
【0021】
好適なエチレン系インターポリマーには、VISTALON(商標)722エチレン/プロピレンコポリマー、及びVISTALON(商標)1703Pエチレン/プロピレン/ジエンターポリマーが挙げられる(しかしこれらに限定されない)。
【0022】
長鎖分岐化を有しない線状オレフィンポリマーとして知られるポリマーも、本エチレン系インターポリマーとは区別される。つまり、「線状オレフィンポリマー」は、例えば、Ziegler重合プロセス(例えば、米国特許第4,076,698号及び第3,645,992号で教示されている通り)を使用して作製される伝統的な線状低密度ポリエチレンまたは線状高密度ポリエチレンポリマーのように、長鎖分岐化が存在しない。
【0023】
連続して動作する複数のループ反応器、及びそれらと共に使用するための様々な好適な動作条件の使用の使用を含む、本エチレン系インターポリマーの産出に有用な好適なプロセスは、例えば、米国特許第5,977,251号、第6,545,088号、第6,319,989号、及び第6,683,149号に見出され得る。具体的には、重合は、連続重合、好ましくは連続溶液重合として実行され、これにおいては、触媒成分、モノマー、ならびに任意に溶媒、アジュバント、捕捉剤、及び重合補助剤が1つ以上の反応器またはゾーンに連続して供給され、そこからポリマー産出物が連続して除去される。短い定期または不定期な間隔で断続的な反応物の添加及び産出物の除去を行い、結果として、経時的にはプロセス全体が実質的に連続的となるプロセスが、本文脈で使用される「連続的」及び「連続して」という用語の範囲内である。連続して接続した反応器またはゾーンのうちの少なくとも2つの間の、モノマー、温度、圧力における差異、または重合条件における他の差異に起因して、同じ分子内のコモノマー含有量、結晶性、密度、立体規則性、部位規則性、または他の化学的もしくは物理的差異などの異なる組成のポリマーセグメントが、異なる反応器またはゾーンにおいて形成される。
【0024】
連続した各反応器は、溶液、スラリー、または気相重合条件下で動作し得る。複数のゾーンにおける重合では、全てのゾーンが、溶液、スラリー、または気相など同じ種類の重合下ではあるが、異なるプロセス条件で動作する。溶液重合プロセスには、ポリマーが用いられる重合条件下で可溶性である希釈液に触媒成分を均一に分散させたものを用いるのが望ましい。極めて微細なシリカまたは類似の分散剤を利用して、通常は金属錯体または共触媒のいずれかが難溶性であるかかる均一な触媒分散液を産出するための1つのプロセスが、米国特許第5,783,512号に開示されている。スラリープロセスは、典型的には、不活性炭化水素希釈剤、及び0℃〜結果として得られるポリマーがその不活性重合媒体に実質的に可溶性となる温度の真下の温度までの温度を使用する。スラリー重合における好ましい温度は、30℃、好ましくは60℃から、115℃、好ましくは100℃までである。圧力は、典型的には、大気圧(100kPa)〜500psi(3.4MPa)の範囲である。ある実施形態では、本エチレン系インターポリマーは、溶液重合を使用して調製される。
【0025】
前述のプロセス全てにおいて、連続的なまたは実質的に連続的な重合条件が用いられ得る。かかる重合条件、特に連続的な溶液重合プロセスの使用により、上昇した反応器温度を使用できるようになるため、経済的な産出及び効率がもたらされる。
【0026】
触媒は、必須の金属錯体または複数の錯体を、重合が実施されることになる溶媒、または最終反応混合物と相溶性の希釈剤に添加することによって、均一な組成物として調製され得る。所望の共触媒または活性剤及びは、触媒を、重合されるモノマー及び任意の追加の反応希釈剤と組み合わせる前に、それと同時に、またはその後に、触媒組成物と組み合わされてもよい。触媒はチーグラーナッタ触媒であってもよい。
【0027】
常に、個々の成分及びいずれの活性触媒組成物も、酸素、湿気、及び他の触媒毒から保護されなければならない。したがって、触媒成分、シャトリング剤、及び活性化触媒は、酸素及び湿気のない雰囲気、好ましくは窒素などの乾性不活性ガス下で調製し保管しなければならない。
【0028】
本エチレン系インターポリマーを産出するための例示的なポリマー重合プロセスは以下の通りである。溶液重合条件で動作する1つ以上の十分に撹拌した槽またはループ反応器において、重合されるモノマーを、任意の溶媒または希釈剤と併せて反応器の一部に連続的に導入する。反応器は、実質的に任意の溶媒または希釈剤及び溶解したポリマーと併せたモノマーからなる比較的均一な液相を含む。好ましい溶媒には、C
4−10炭化水素またはそれらの混合物、特に、アルカン、例えばヘキサン、またはアルカンの混合物、ならびに重合に用いるモノマーのうちの1つ以上が含まれる。
【0029】
触媒及び共触媒を、反応器液相または任意のそのリサイクルされた部分に最低1つの場所で連続的にまたは断続的に導入する。反応器温度及び圧力を、溶媒/モノマー比、触媒添加速度の調整、及び冷却もしくは加熱コイル、ジャケット、またはそれらの両方の使用によって制御してもよい。重合速度は、触媒添加によって制御する。ポリマー産出物中の所与のモノマー含有量は、反応器中のモノマーの割合の影響を受け、この反応器中のモノマーの割合は、これらの成分の反応器へのそれぞれの供給速度を操作することによって制御する。ポリマー産出物の分子量は、任意に、当該技術分野で周知のように、他の重合変数、例えば、温度、モノマー濃度、または水素などの連鎖停止剤を制御することによって制御する。第2の反応器は、第1の反応器において調製した反応混合物がポリマー成長の実質的な終結を起こさずに第2の反応器に吐き出されるように、任意に導管の手段または他の輸送手段によって反応器の吐出に接続する。第1の反応器と第2の反応器との間には、少なくとも1つのプロセス条件の差異を確立する。好ましくは2つ以上のモノマーのインターポリマーの形成における使用に対しては、この差異は、1つ以上のコモノマーの存否、またはコモノマー濃度の差異である。各々が連続して第2の反応器と類似の様式で配列される追加の反応器を提供してもよい。一連の反応器の最後の反応器を出る際に、流出物は、水、蒸気、もしくはアルコールなどの触媒無効化剤(catalyst kill agent)、または結合剤と接触する。
【0030】
結果として得られるポリマー産出物は、残留モノマーまたは希釈剤などの反応混合物の揮発性成分を低圧で洗い出すこと、及び必要であれば脱揮押出機などの機器において更なる脱揮を実施することによって回収する。連続プロセスでは、反応器における触媒及びポリマーの平均滞留時間は、一般に、5分〜8時間、または10分〜6時間である。
【0031】
あるいは、前述の重合は、任意に、触媒及び/または鎖シャトリング剤の別個の添加、ならびに断熱または非断熱重合条件下での動作を伴って、プラグフロー反応器中で、モノマー、触媒、シャトリング剤、温度、またはその異なるゾーンまたは領域間で確立された他の勾配で実行してもよい。
【0032】
本エチレン系インターポリマーの調製に用いられる触媒は、共触媒と組み合わせた第1の触媒(触媒1)及び第2の触媒(触媒2)のいずれかまたは両方を含む。触媒1は、ビス((2−オキソイル−3−(9H−カルバゾール−9−イル)−5−(メチル)フェニル)−2−フェノキシメチル)−メチレン−1,2−シクロヘキサンジイルジルコニウム(IV)ジメチルであり得、以下の式として表される:
【0034】
触媒1は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許公開第2009/0299116号に記載のプロセスを使用して調製することができる。
【0035】
触媒2は、ビス((2−オキソイル−3−(2,7−ジ−tert−ブチル−9H−カルバゾール−9−イル)−5−(2,4,4−トリメチルペンタン−2−イル)フェニル)−2−フェノキシメチル)−メチレン−1,2−シクロヘキサンジイルジルコニウム(IV)ジメチルであり得、以下の式によって表される:
【0037】
触媒2は、以下の材料の節に提供される手順によって調製することができる。
【0038】
用いられる共触媒は、ヘプタンまたはトルエンなどの溶媒に溶解したものを含む修飾メチルアルミノキサン(「MMAO」)であり得る。
【0039】
本エチレン系インターポリマーは、本架橋性ポリマー組成物の全重量に基づき、10〜99重量%、10〜89重量%、20〜89重量%、30〜89重量%、40〜89重量%、50〜89重量%、60〜89重量%、70〜89重量%、または80〜89重量%の範囲の量で本架橋性ポリマー組成物中に存在し得る。他の実施形態、例えば、充填剤がほとんどまたは全く存在しないもの(以下に記載の通り)では、本エチレン系インターポリマーは、本架橋性ポリマー組成物の全重量に基づき、10〜99重量%、20〜99重量%、30〜99重量%、40〜99重量%、50〜99重量%、60〜99重量%、70〜99重量%、80〜99重量%、または90〜99重量%の範囲の量で本架橋性ポリマー組成物中に存在し得る。
【0040】
上述のように、本明細書に記載のポリマー組成物は架橋性である。「架橋性」という用語は、ポリマー組成物が、本エチレン系インターポリマーが架橋条件(例えば、熱、放射線、または湿気)下に供されるときに架橋する能力を増強する1つ以上の添加剤または修飾を含むことを意味する。1つ以上の実施形態では、本エチレン系インターポリマーは、有機過酸化物を更に含めることによって架橋性にすることができる。本明細書における使用に好適な有機過酸化物には、単官能性過酸化物及び二官能性過酸化物が含まれる。本明細書で使用される場合、「単官能性過酸化物」は、1対の共有結合した酸素原子を有する(例えば、構造R−O−O−Rを有する)過酸化物を示す。本明細書で使用される場合、「二官能性過酸化物」は、2対の共有結合した酸素原子を有する(例えば、構造R−O−O−R−O−O−Rを有する)過酸化物を示す。ある実施形態では、有機過酸化物は、単官能性過酸化物である。
【0041】
例示的な有機過酸化物には、ジクミルペルオキシド(「DCP」);tert−ブチルペルオキシ安息香酸;ジ−tert−アミルペルオキシド(「DTAP」);ビス(t−ブチル−ペルオキシイソプロピル)ベンゼン(「BIPB」);イソプロピルクミルt−ブチルペルオキシド;t−ブチルクミルペルオキシド;ジ−t−ブチルペルオキシド;2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン;2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキシン−3;1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン;イソプロピルクミルクミルペルオキシド;ブチル4,4−ジ(tert−ブチルペルオキシ)吉草酸塩;ジ(イソプロピルクミル)ペルオキシド;及びそれらの2つ以上の混合物が挙げられる。様々な実施形態において、1種のみの有機過酸化物が用いられる。ある実施形態では、有機過酸化物はジクミルペルオキシドである。
【0042】
様々な実施形態において、有機過酸化物は、本架橋性ポリマー組成物の全重量に基づき、少なくとも0.5重量%、または0.5〜5重量%、0.5〜3重量%、0.5〜2.5重量%、1〜2.5重量%、もしくは1.5〜2.5重量%の範囲の量で本架橋性ポリマー組成物中に存在し得る。
【0043】
エチレン系インターポリマーを架橋性にするための過酸化物の使用に対する代替として、またはそれに加えて、ポリマーを架橋するための他のアプローチを使用して所望の程度の架橋を生じさせてもよい。かかるアプローチ及び技術は当業者には周知であり、これらには、放射線架橋、湿気架橋、ジスルホニルアジド架橋、ヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサンなどが挙げられる(しかしこれらに限定されない)。一部の場合には、上記のエチレン系インターポリマーを適切に官能化して、架橋を可能にすることが必要であり得る(例えば、湿気架橋またはヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサンによる架橋の場合にはアルコキシシランによって)。
【0044】
様々な実施形態において、本エチレン系インターポリマーは、加水分解性シラン基による官能化によって架橋性となり得る。当該技術分野で既知であるように、水の存在下では、かかる加水分解性シラン基は、加水分解反応を受けてSi−O−Si結合を生み、ポリマー鎖間の架橋ネットワークを形成することになる(即ち、湿気架橋または湿気硬化)。本エチレン系インターポリマーの官能化は、加水分解性シラン基を有するモノマーを上記のエチレン及びコモノマーと共重合することか、反応器プロセスの後に加水分解性シラン基をエチレン系インターポリマーの骨格に移植することかのいずれかによって達成され得る。かかる技法は、当業者の能力の範囲内である。
【0045】
シラン官能化エチレン系インターポリマーの形成における使用に好適な加水分解性シランモノマーは、オレフィン(例えば、エチレン)と効果的に共重合されるか、またはオレフィン(例えば、エチレン)ポリマーに移植及び架橋される任意の加水分解性シランモノマーであることができる。以下の式によって説明されるものが例である:
【0047】
式中、R’は、水素原子またはメチル基であり;xは、0または1であり;nは、1〜12(包含的)、好ましくは1〜4の整数であり、各R”は、独立して、加水分解性有機基、例えば、1〜12個の炭素原子を有するアルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、ブトキシ)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ)、アラルオキシ基(例えば、ベンジルオキシ)、1〜12個の炭素原子を有する脂肪族アシルオキシ基(例えば、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、プロパノイルオキシ)、アミノもしくは置換アミノ基(アルキルアミノ、アリールアミノ)、または1〜6個(包含的)の炭素原子を有する低級アルキル基であるが、但し、3つのR”基のうちの1個以下がアルキルであることを条件とする。かかるシランは、高圧プロセスなど、反応器においてエチレンと共重合されてもよい。かかるシランはまた、好適な量の有機過酸化物を使用することで好適なエチレンポリマーに移植されてもよい。好適なシランには、ビニル、アリル、イソプロペニル、ブテニル、シクロヘキセニル、またはガンマ(メタ)アクリルオキシアリル基などのエチレン不飽和ヒドロカルビル基と、例えば、ヒドロカルビルオキシ、ヒドロカルボニルオキシ、またはヒドロカルビルアミノ基などの加水分解基とを含む、不飽和シランが挙げられる。加水分解性基の例には、メトキシ、エトキシ、ホルミルオキシ、アセトキシ、プロプリオニルオキシ、及びアルキルまたはアリールアミノ基が挙げられる。好ましいシランは、ポリマーに移植され得るか、または他のモノマー(エチレン及びアクリレートなど)と反応器内で共重合され得る、不飽和アルコキシシランである。これらのシラン及びそれらの調製方法は、Meverdenらの米国特許第5,266,627号に更に十分に記載されている。好適な加水分解性シランモノマーには、ビニルトリメトキシシラン(「VTMS」)、ビニルトリエトキシシラン(「VTES」)、ビニルトリアセトキシシラン、及びガンマ−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシランが挙げられるが、それらに限定されない。含まれる場合、シラン官能性コモノマーは、本エチレン系インターポリマーの0.2〜10重量%の範囲を構成し得る。
【0048】
1つ以上の実施形態では、本架橋性ポリマー組成物は、任意に充填剤を含んでもよい。本明細書における使用に好適な充填剤には、熱処理粘土、表面処理粘土、有機粘土、沈降シリカ及びケイ酸塩、ヒュームドシリカ、炭酸カルシウム、粉にした鉱物、アルミニウムトリヒドロキシド(aluminum trihydroxide)、水酸化マグネシウム、ならびにカーボンブラックが挙げられるが、それらに限定されない。
【0049】
ある特定の実施形態では、本架橋性ポリマー組成物は、本架橋性ポリマー組成物の全重量に基づき、0〜10重量%未満の充填剤を含む。加えて、本架橋性ポリマー組成物は、本架橋性ポリマー組成物の全重量に基づき、8重量%未満、5重量%未満、2重量%未満、または1重量%未満の充填剤を含み得る。様々な実施形態において、本架橋性ポリマー組成物は、充填剤を含まないか、または実質的に含まなくてもよい。充填剤含有量に関して本明細書で使用される場合、「実質的に含まない」という用語は、本架橋性ポリマー組成物の全重量に基づき、重量により10ppm未満の濃度を示す。
【0050】
代替的実施形態、特に本エチレン系インターポリマーが1.0g/10分超のメルトインデックス(I
2)を有する場合には、本架橋性ポリマー組成物は、充填剤を、本架橋性ポリマー組成物の全重量に基づき、少なくとも10重量%〜最大90重量%の量で含み得る。更に、かかる実施形態では、充填剤は、本架橋性ポリマー組成物の全重量に基づき、15〜60重量%、または15〜35重量%の範囲で存在し得る。
【0051】
1つ以上の実施形態では、本架橋性ポリマー組成物は、任意に、高圧プロセスまたは反応器によって調製されたポリエチレン、例えば、高圧低密度ポリエチレン(「HP LDPE」)を含んでもよい。本明細書における使用に好適な高圧ポリエチレンは、190℃での溶融強度が、4cN超、少なくとも6cN、または少なくとも8cNであり得る。加えて、使用に好適な高圧ポリエチレンは、190℃での溶融強度が、4〜30cN、6〜20cN、または8〜15cNの範囲であり得る。
【0052】
かかる高圧ポリエチレンは、一般に、密度が約0.91〜約0.94g/cm
3の範囲である。様々な実施形態において、本高圧ポリエチレンは、密度が少なくとも0.915g/cm
3であるが、0.94g/cm
3未満または0.93g/cm
3未満である、高圧LDPEである。本明細書における使用に好適なHP LDPEは、メルトインデックス(I
2)が、20g/10分未満、または0.1〜10g/10分、0.5〜5g/10分、1〜3g/10分の範囲であるか、あるいはI
2が2g/10分であり得る。加えて、かかるHP LDPEは、一般に、広範な分子量分布を有し、これが高い多分散性指数をもたらす。存在する場合、本高圧ポリエチレンは、本架橋性ポリマー組成物の総重量に基づき、0超であるが、90重量%未満、10〜70重量%未満、20〜50重量%、または30〜40重量%の量で存在し得る。
【0053】
一実施形態では、本高圧ポリエチレンは、エチレン、及び1つ以上のコモノマー、好ましくは1つのコモノマーを含む。コモノマーには、ジまたは高次官能性(メタ)アクリレート、モノマー鎖移動剤、酢酸塩、アルコキシシラン、αオレフィン、アクリレート、メタクリレート、及び無水物が挙げられるが、それらに限定されず、各々、典型的には20個未満の炭素原子を有する。組み合わされたモノマー及び鎖移動剤官能性を有するα−オレフィンコモノマーは、3〜10個の炭素原子を有してもよく、あるいは代替的に、α−オレフィンコモノマーは、3〜8個の炭素原子を有してもよい。例示的なα−オレフィンコモノマーには、プロピレン、1ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、及び4メチル−1−ペンテン、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。好ましくは、α−オレフィンコモノマーは、プロピレン、1ブテン、及びそれらの組み合わせから選択される。
【0054】
好適な市販の高圧ポリエチレンには、The Dow Chemical Companyから入手可能なDFDA−1216 NT、INEOS Olefins and Polymers Europeから入手可能なBPD2000E、及びSABIC Europeから入手可能なLDPE 2102TX00が挙げられるが、それらに限定されない。
【0055】
1つ以上の実施形態では、本架橋性ポリマー組成物は、任意にプロピレンポリマーを含んでもよい。本明細書における使用に好適なプロピレンポリマーは、少なくとも130℃、または130℃〜170℃の上限溶融点を有し得る(しかし有するとは限らない)。存在する場合、本プロピレンポリマーは、本架橋性ポリマー組成物の総重量に基づき、0超〜90重量%未満、1〜70重量%、2〜50重量%、または3〜30重量%、または5〜15重量%の量で存在し得る。
【0056】
本明細書において有用なプロピレンポリマーは、プロピレン、及び最大30、好ましくは最大20モルパーセントのエチレンから得られる単位のホモポリマーもしくは1つ以上のコポリマー、ならびに/または最大20、好ましくは最大12、より好ましくは最大8個の炭素原子を有する1つ以上の他のα−オレフィンであり得る。コポリマーの場合、これは、典型的には、ランダム、ブロック、またはグラフトである。本プロピレンポリマーは、チーグラー−ナッタ触媒によるポリマー、メタロセン触媒によるポリマー、または拘束幾何型触媒の触媒によるポリマーであってもよく、気相、溶液、またはスラリーによるポリマー製造プロセスを使用して作製されてもよい。本プロピレンポリマーは、ホモポリマーであってもよく、あるいはホモポリマーと1つ以上のコポリマーとのブレンドであってもよく、あるいは2つ以上のコポリマーであってもよい。「プロピレンホモポリマー」及び類似の用語は、プロピレンから得られる単位のみからなるか、または本質的に全てそれからなるポリマーを意味する。
【0057】
プロピレンポリマーの分子量は、ASTM D1238に従うメルトフロー測定(230℃/2.16kgの条件)を使用して簡便に示される。本プロピレンポリマーのメルトフローレートは、約0.1〜100g/10分、約0.5〜40g/10分、0.5〜10g/10分、または1〜5g/10分であり得る。本明細書において有用なプロピレンポリマーの例は、Modern Plastics Encyclopedia/89,mid October 1988 Issue,Volume 65,Number 11,pp.86−92でより十分に説明されている。
【0058】
本プロピレンポリマーは、主にアイソタクチックであるか、または主にシンジオタクチックであり得る。ポリプロピレンホモポリマーに関して本明細書で使用される場合、「主に」という用語は、60パーセント超を意味する。例えば、主にシンジオタクチックであるポリプロピレンホモポリマーは、60パーセント超のラセモ二連子(racemo diad)を有し得る。ある実施形態では、本プロピレンホモポリマーは、主にアイソタクチックである。様々な実施形態において、本プロピレンホモポリマーは、
13C NMR分析によって決定して、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、または少なくとも95パーセントのアイソタクチックペンタッドを有し得る。
【0059】
一実施形態では、本プロピレンポリマーは、無核のホモポリマーまたはコポリマーである。
【0060】
プロピレンポリマーが、1つ以上のα−オレフィンコモノマーを含むコポリマーである場合、α−オレフィンは、エチレン、C
4−20(即ち、4〜20個の炭素原子を有するモノマー)の線状、分岐、もしくは環状α−オレフィン、またはそれらの2つ以上の混合物であり得る。好適なC
4−20α−オレフィンの非限定例には、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、及び1−オクタデセンが挙げられる。α−オレフィンはまた、シクロヘキサンまたはシクロペンタンなどの環状構造を含んでもよく、それにより、3シクロヘキシル−1−プロペン(アリルシクロヘキサン)及びビニルシクロヘキサンなどのα−オレフィンがもたらされる。例示的なプロピレン−α−オレフィンインターポリマーには、プロピレン/エチレン、プロピレン/ブテン、プロピレン/1−ヘキセン、及びプロピレン/1−オクテンが挙げられる。プロピレン−α−オレフィンインターポリマーは、ランダムなインターポリマーであり得る。一実施形態では、プロピレン−α−オレフィンインターポリマーのα−オレフィン成分はエチレンである。
【0061】
プロピレン−α−オレフィンインターポリマーの重合されたα−オレフィン成分は、総プロピレン−α−オレフィンインターポリマーの0超〜最大15モルパーセント(「モル%」)、または5〜15モル%を構成し得る。重合されたプロピレンは、プロピレン−α−オレフィンインターポリマーの残りの全てまたは実質的に全てを構成し得る。
【0062】
一実施形態では、本プロピレンポリマーは、多分散性指数(「PDI」)(即ち、重量平均分子量/数平均分子量;「Mw/Mn」;または分子量分布(「MWD」))が、ゲル透過クロマトグラフィーによって決定して、2〜12または3〜8であり得る。
【0063】
好適な市販のプロピレンポリマーには、共にBraskem S.A.(Sao Paulo,Brazil)から入手可能なBRASKEM(商標)FF018F及びBRASKEM(商標)PP H358−02;LyondellBasell(Rotterdam,Netherlands)から入手可能なMOPLEN(商標)HP1073;またはSABIC(Riyadh,Saudi Arabia)から入手可能なPP525 Pが挙げられるが、それらに限定されない。
【0064】
本架橋性ポリマー組成物はまた、他の添加剤を含有してもよく、これらの添加剤としては、抗酸化剤、架橋剤(例えば、硬化促進剤または助剤)、上記のもの以外の他のポリマー、トリー抑制剤(tree−retardant)(例えば、ポリエチレングリコール、極性ポリオレフィンコポリマーなど)、スコーチ抑制剤、加工助剤、充填剤、結合剤、紫外線吸収剤または安定剤、帯電防止剤、核形成剤、スリップ剤、可塑剤、潤滑剤、粘度制御剤、粘着付与剤、ブロッキング防止剤、界面活性剤、増量油、酸捕捉剤、難燃剤、及び金属非活性化剤が挙げられるが、それらに限定されない。既知の架橋助剤の例は、トリアリルイソシアヌレート、エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート、α−メチルスチレンダイマー(AMSD)、ならびにUSP5,346,961及び4,018,852に記載されている他の助剤である。充填剤以外の添加剤は、典型的に、組成物総重量に基づき、0.01重量%以下〜10重量%以上の範囲の量で使用される。
【0065】
上述したように、抗酸化剤は、本架橋性ポリマー組成物と共に用いることができる。例示的な抗酸化剤には、ヒンダードフェノール(例えば、テトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロ桂皮酸塩)]メタン);亜リン酸塩及びホスホナイト(例えば、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェート);チオ化合物(例えば、ジラウリルチオジプロピオネート);様々なシロキサン;及び様々なアミン(例えば、重合された2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン)が挙げられる。抗酸化剤は、本架橋性ポリマー組成物の総重量に基づき、0.1〜5重量%の量で使用され得る。以下で考察されるワイヤ及びケーブル組成物の形成において、抗酸化剤は、最終物品の加工前(即ち、押出及び架橋前)のシステムに加えられてもよい。
【0066】
本組成物の成分は、任意の様式で任意の機器を使用してブレンドされ得る。典型的には、本ポリマーは、従来の混合機器、例えば、BRABENDER(商標)バッチミキサまたは押出機中で互いに溶融ブレンドされて、連続、共連続、及び/または不連続相を含む比較的均一なブレンドを形成する。混合またはブレンドは、ポリマーの上限溶融温度(点)で行われても、それ未満で行われても、またはそれ超で行われてもよい。過酸化物及び他の添加剤は、浸漬及び混合を含む任意の様式で添加され得る。一実施形態では、過酸化物及び他の添加剤は、互いにブレンドされた後、ポリマーのうちの1つ以上またはポリマーブレンドに添加される。一実施形態では、過酸化物及び他の添加剤は、個別に添加される。一実施形態では、成分のうちの1つ以上は、ポリマーのうちの1つ以上と混合された後に、互いに溶融ブレンドされる。一実施形態では、過酸化物及び他の添加剤のうちの1つ以上は、溶融ブレンドの前にマスターバッチとして、ブレンドされたポリマーか、ポリマーのうちの1つ以上かのいずれかに添加される。典型的には、過酸化物は、ポリマーのうちの1つ以上またはポリマーブレンドに最後に添加される成分であるが、ここでもこれは、ポリマーの溶融ブレンド前にまず浸漬されてポリマーのうちの1つ以上と混合されてもよい。ある実施形態では、全ての成分(過酸化物を含む)が1つのステップで溶融ブレンドされる。別の実施形態では、全ての成分(過酸化物を含む)が、ケーブル押出中の使用前にまず化合物を調製する必要なく、ケーブル押出プロセスの一部として1つのステップで溶融ブレンドされる。
【0067】
例えば、組み込みは、(1)全ての成分を本エチレン系インターポリマーに組み込むこと、または(2)有機過酸化物及び他の液体添加剤以外の(これらは全ての他の成分を組み込んだ後でエチレン系インターポリマー組成物中に浸漬してもよい)全ての成分を組み込むことのいずれかによって行われ得る。組み込みは、本エチレン系インターポリマーの溶融温度を超える温度から、本エチレン系インターポリマーが分解し始める温度までの温度で行われ得る。様々な実施形態において、組み込みは、100〜200℃、または110〜150℃の範囲の温度で行われ得る。様々な実施形態において、有機過酸化物及び/または他の液体添加物を本エチレン系インターポリマーまたはエチレン系インターポリマー組成物に浸漬することは、30〜100℃、50〜90℃、または60〜80℃の範囲の温度で行われ得る。
【0068】
結果として得られる架橋性ポリマー組成物は、135℃でのゼロ剪断粘度が、少なくとも10,000Pa・s、少なくとも20,000Pa・s、または少なくとも30,000Pa・sであり得る。加えて、本架橋性ポリマー組成物は、135℃でのゼロ剪断粘度が最大400,000Pa・sであり得る。ゼロ剪断粘度は、以下の試験方法の節に記載される手順に従って決定される。
【0069】
本架橋性ポリマー組成物は、伸長粘度が、120℃及び1のHenckyひずみで測定した場合に、300,000ポアズ超、350,000ポアズ超、または400,000ポアズ超であり得る。同様に、本架橋性ポリマー組成物は、伸長粘度が、135℃及び1のHenckyひずみで測定した場合に、300,000ポアズ超、350,000ポアズ超、または400,000ポアズ超であり得る。120℃で測定したか135℃で測定したかに関わらず、本架橋性ポリマー組成物は、伸長粘度が、いずれのHenckyひずみでも最大6,000,000ポアズであり得る。伸長粘度は、以下の試験方法の節に記載される手順に従って決定される。
【0070】
本架橋性ポリマー組成物は、140℃でのトルクにおける1lb−inの増加のための時間(「ts1」)が、少なくとも10分、少なくとも15分、または少なくとも20分であり得る。加えて、本架橋性ポリマー組成物は、ts1が最大300分であり得る。ts1の決定は、以下の試験方法の節に記載される手順に従って行われる。
【0071】
架橋されたポリマー組成物
上記の架橋性ポリマー組成物は、架橋されたポリマー組成物を形成するために硬化され得るか、または硬化を許容され得る。過酸化物が用いられる場合、かかる硬化は、本架橋性ポリマー組成物を、175〜260℃の範囲の温度に維持され得る加熱した硬化ゾーンにおいて昇温に供することによって行われ得る。加熱した硬化ゾーンは、加圧蒸気によって加熱され得るか、または加圧窒素ガスによって誘導的に加熱され得る。その後、架橋されたポリマー組成物は冷却(例えば、周囲温度に)され得る。
【0072】
架橋の後、架橋されたポリマー組成物は、揮発性分解副産物の少なくとも一部を除去するために脱気を受け得る。脱気は、脱気されたポリマー組成物を産出するための脱気温度、脱気圧力、及び脱気期間で、行われ得る。様々な実施形態において、脱気温度は、50〜150℃、60〜80℃の範囲であり得る。ある実施形態では、脱気温度は、65〜75℃である。脱気は、標準的な大気圧(即ち、101,325Pa)下で実施され得る。
【0073】
架橋されたポリマー組成物における架橋の程度は、ASTM D5289に従う182℃の移動ダイレオメータ(「MDR」)上の分析によって決定され得る。分析時には、最大トルク(「MH」)と最小トルク(「ML」)との間の差(「MH−ML」)によって示されるトルクの増加により、より大きい架橋の程度が示される。様々な実施形態において、結果として得られる架橋されたポリマー組成物は、MH−MLが、少なくとも0.2lb−in、少なくとも0.6lb−in、少なくとも1.0lb−in、少なくとも1.4lb−in、少なくとも1.8lb−in、または少なくとも2.0lb−inであり得る。加えて、架橋されたポリマー組成物は、MH−MLが最大30lb−inであり得る。
【0074】
様々な実施形態において、架橋されたポリマー組成物は、ショアD硬度が、40以下、35以下、または30以下であり得る。加えて、架橋されたポリマー組成物は、ショアD硬度が少なくとも10であり得る。1つ以上の実施形態において、架橋されたポリマー組成物は、ショアA硬度が、93以下、90以下、または85以下であり得る。加えて、架橋されたポリマー組成物は、ショアA硬度が少なくとも60であり得る。ショアA及びD硬度は、ASTM D2240に従って決定される。
【0075】
1つ以上の実施形態では、本架橋性ポリマー組成物は、ゲル含有量が、少なくとも30重量%、少なくとも40重量%、または少なくとも50重量%であり得る。加えて、本架橋性ポリマー組成物は、ゲル含有量が最大99重量%であり得る。ゲル含有量は、ASTM D2765に従って決定される。
【0076】
様々な実施形態において、架橋されたポリマー組成物のホットクリープは、架橋がホットクリープの測定に不十分であるために測定可能でない場合であっても、任意の値であり得る。他の実施形態では、架橋されたポリマー組成物は、ホットクリープ値が、200%以下、150%以下、75%以下、50%以下、または25%以下であり得る。ホットクリープは、標準法ICEA−T−28−562:2003に従って決定される。
【0077】
1つ以上の実施形態では、架橋されたポリマー組成物は、散逸率が、60Hz、2kV、及び130℃で測定した場合、10%未満、4%未満、1%未満、または0.5%未満であり得る。散逸率はASTM D150に従って決定される。
【0078】
コーティングした導体
導体及び絶縁層を備えるケーブルは、上記の架橋性ポリマー組成物を用いて調製することができる。上記の架橋性ポリマー組成物を使用して、コーティングされた導体の1つ以上の層を作製してもよい(絶縁体、半導電性遮蔽体、及びジャケットを含む)。「ケーブル」及び「電源ケーブル」は、覆い、例えば、絶縁カバーまたは保護用外側ジャケットの中にある少なくとも1つのワイヤまたは光ファイバーを意味する。典型的には、ケーブルは、典型的には共通の絶縁カバー及び/または保護用ジャケット中の共にまとめられた2つ以上のワイヤまたは光ファイバーである。覆いの中にある個々のワイヤまたはファイバーは、裸であっても、被覆されていても、または絶縁されていてもよい。結合ケーブルは、電気ワイヤと光ファイバーとの両方を含んでもよい。典型的なケーブル設計は、USP5,246,783、6,496,629、及び6,714,707に例示されている。「導体」は、熱、光、及び/または電気を伝導するための1つ以上のワイヤ(複数可)またはファイバー(複数可)を示す。導体は、単ワイヤ/ファイバーであっても、複ワイヤ/ファイバーであってもよく、より線形態であっても、管状形態であってもよい。好適な導体の非限定例には、銀、金、銅、炭素、及びアルミニウムなどの材料が挙げられる。導体はまた、ガラスまたはプラスチックのいずれかから作製された光ファイバーであってもよい。
【0079】
かかるケーブルは、様々な種類の押出機(例えば、1軸型または2軸型)を用いて、本架橋性ポリマー組成物を導体上へと直接または仲介層に押し出すことによって調製することができる。従来の押出機の説明は、USP4,857,600に見出すことができる。共押出及びそのための押出機の例は、USP5,575,965に見出すことができる。
【0080】
押出後、押し出されたケーブルは、押出ダイの下流にある加熱された硬化ゾーンに通され、架橋性ポリマー組成物の架橋を助けることにより、架橋されたポリマー組成物を産出し得る。加熱された硬化ゾーンは、175〜260℃の範囲の温度に維持され得る。ある実施形態では、加熱された硬化ゾーンは、連続加硫(「CV」)管である。様々な実施形態において、架橋されたポリマー組成物は、続いて、上で考察したように、冷却され、脱気され得る。
【0081】
本開示に従って調製される交流ケーブルは、低電圧、中電圧、高電圧、または超高電圧ケーブルであり得る。更に、本開示に従って調製される直流ケーブルは、高圧または超高圧ケーブルを含む。
【0082】
試験方法
密度
密度は、ASTM D792に従って決定される。
【0083】
メルトインデックス
メルトインデックスまたはI
2は、ASTM D1238に従って、条件190℃/2.16kgで測定され、10分あたり溶出されたグラムで報告する。I
10は、ASTM D1238に従って、条件190℃/10kgで測定され、10分あたり溶出されたグラムで報告する。
【0084】
分子量分布
試料調製及び試料注入のためにRobotic Assistant Deliver(「RAD」)システムを備え付けた高温ゲル透過クロマトグラフィー(「GPC」)システムを用いる。濃度検出器は、Polymer Char Inc.(Valencia,Spain)製の赤外線検出器(IR4)である。データ収集は、Polymer Char DM 100 Data取得ボックスを使用して行う。担体溶媒は、1,2,4−トリクロロベンゼン(「TCB」)である。このシステムには、Agilent製のライン上脱気デバイスを備え付ける。カラム部分は150℃で動作させる。カラムは、4つのMixed A LS 30cm、20ミクロンカラムである。溶媒は、約200ppmの2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(「BHT」)を含有する窒素パージしたTCBである。流量は1.0mL/分であり、注入体積は200μlである。2mg/mLの試料濃度を、2.5時間160℃で穏やかにかき混ぜながら、窒素パージし予熱したTCB(200ppmのBHTを含有する)中に溶解させて調製する。
【0085】
GPCカラムセットを、20個の狭い分子量分布が狭いポリスチレン(「PS」)標準によって較正する。標準の分子量(「MW」)は580〜8,400,000g/molの範囲であり、これらの標準を6つの「カクテル」混合物に含める。各標準混合物は、個々の分子量間の分離が少なくとも10である。各PS標準の等価ポリプロピレン(「PP」)分子量を、ポリプロピレン(Th.G.Scholte,N.L.J.Meijerink,H.M.Schoffeleers,and A.M.G.Brands,J.Appl.Polym.Sci.,29,3763−3782(1984))及びポリスチレン(E.P.Otocka,R.J.Roe,N.Y.Hellman,P.M.Muglia,Macromolecules,4,507(1971))についての報告されているMark−Houwink係数を用いて以下の方程式:
【0087】
を使用して計算し、
式中、M
ppはPP等価MWであり、M
PSはPS等価MWであり、PP及びPSについてのMark−Houwink係数の対数K及びα値は以下に列挙する。
【0089】
対数分子量較正を、4次多項式適合を溶出体積の関数として使用して生成する。数平均分子量及び重量平均分子量は、以下の方程式:
【0091】
に従って計算し、
式中、Wf
i及びM
iは、それぞれ、溶出成分iの重量分率及び分子量である。
【0092】
押出評価
ポリマー(エチレン系インターポリマーのみ、またはHP LDPEのみを含む)の押出評価を、Maddock軸及び20/40/60/20メッシュスクリーン(頭からダイまで5つ全てのゾーンにわたって設定温度115.6℃)を使用する2.5インチの24:1 L/D押出機上で実施する。軸速度範囲は25rpm〜100rpmである。溶融物吐出温度は、手持ち型熱電対(高温計)のプローブを、溶融ポリマーに、それがダイを出るときに浸すことによって測定する。このパラメータは、剪断加熱普及(shear−heating prevalent)の程度の測定値である。
【0093】
剪断粘度
本エチレン系インターポリマーのみまたはHP LDPEのみのメルトフロー特性を決定するため、動的振動剪断測定を、TA Instruments製のひずみ制御レオメータARES/ARES−G2上で直径25mmのステンレス鋼製平行板を用いて135℃または190℃の温度及び10%ひずみで0.1ラドs
−1〜100ラドs
−1の範囲にわたって実施する。V0.1及びV100は、それぞれ、0.1及び100ラドs
−1での粘度であり、V0.1/V100が剪断粘度減少特性の測定値である。
【0094】
全架橋性ポリマー組成物(過酸化物を含有する組成物を含む)のメルトフロー特性を決定するために、動的振動剪断測定を、120℃または135℃の温度及び0.25%ひずみでTA Instruments Advanced Rheometric Expansion Systemを使用して0.1ラドs
−1〜100ラドs
−1の範囲にわたって実施する。V0.1及びV100は、それぞれ、0.1及び100ラドs
−1での粘度であり、V0.1/V100が剪断粘度減少特性の測定値である。
【0095】
伸長粘度
伸長粘度を、全架橋性ポリマー組成物(過酸化物を含有する組成物を含む)に対して、Extensional Viscosity Fixture Geometry及びTA Orchestratorソフトウェアを有するARES FCU Rheometerを使用して測定する。試験は、押出条件を模倣するために120℃または135℃で1/秒の速度で実施する。到達した粘度の最大(ピーク)値、ならびに1のHenckyひずみ及び最大のHenckyひずみでの粘度を報告する。
【0096】
ゼロ剪断粘度
ゼロ剪断粘度は、エチレン系インターポリマーのみもしくはHP LDPEのみ、または全架橋性ポリマー組成物(過酸化物を含有する組成物を含む)に対するクリープリカバリー(SR−200、25.0Pa/3分クリープ/15分リカバリー/135℃)から測定する。
【0097】
移動ダイレオメータ
移動ダイレオメータ(「MDR」)分析は、Alpha Technologies Rheometer MDRモデル2000ユニットを使用して化合物に対して行う。試験は、ASTM手順D5289に基づく。MDR分析は、6グラムの材料を使用して行う。試料を、182℃または140℃で、両温度条件に対して0.5度のアーク振動で試験する。試料は、Brabenderミキシングボウルから直接、材料に対して試験した。押出条件での早発架橋(「スコーチ」)への抵抗性を、140℃でのts1(弾性トルクにおける1lb−inの増加にかかる時間)によって評価する。最大架橋度は、182℃でのMH(最大弾性トルク)−ML(最小弾性トルク)に反映される。
【0098】
ゲル含有量
ゲル含有量(不溶性部分)は、ASTM D2765に従ってデカヒドロナフタレン(デカリン)を用いて抽出すうことによって決定する。試験は、182℃でのMDR実験から得られる標本に対して実施する。WILEYミルを使用して(20メッシュスクリーン)、粉末試料を各試料につき少なくとも1グラム調製する。試料パウチの製造は、粉末試料がパウチから漏出しないように慎重に行う。いずれの技法を使用するにしても、折り目の周りまたはステープル穴を通した漏出による粉末の損失は回避すること。最終パウチの幅は3/4インチ未満であり、長さは2インチ未満である。パウチには120メッシュスクリーンを使用する。試料パウチを化学天秤で秤量する。0.3グラム(±0.02g)の粉末試料をパウチの中に入れる。試料をパウチの中に詰める必要があるため、パウチ中の折り目を無理に開けないように注意する。パウチを密封した後、試料を秤量する。次に、試料を、加熱したマントル中のフラスコを使用して、10グラムの2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−ターシャリーブチルフェノール)を含む1リットルの沸騰しているデカヒドロナフタレン(デカリン)中に6時間置く。(デカリン)を6時間沸騰させた後、電圧レギュレーターの電源を切り、(デカリン)がその引火点を下回って冷却されるまで冷却水を流したままにする(これは少なくとも30分かかる)。(デカリン)が冷却されたら、冷却水を止め、パウチをフラスコから取り出す。パウチをフードの下で冷却させ、できるだけ多くの溶媒を除去する。次に、パウチを、150℃に設定した真空オーブンの中に4時間置き、水銀25インチの真空を維持する。その後、パウチをオーブンから取り出し、室温に冷却させる。重量を化学天秤上で記録する。ゲル抽出についての計算を以下に示し、ここでは、W1=空のパウチの重量、W2=試料及びパウチの重量、W3=試料、パウチ、及びステープルの重量、W4=抽出後の重量である。
【0099】
[数3]
抽出%=((W3−W4)/(W2−W1))×100
【0100】
[数4]
ゲル含有量=100−抽出%
【0101】
ホットクリープ
ホットクリープをICEA−T−28−562:2003に従って決定する。ホットクリープ試験は、50ミル(1.3mm)の厚さの試料に対して、標本の底部に0.2MPaの応力を適用しながら150℃または200℃のガラスドア付きオーブン中で実施する。ASTM D412 Dタイプ引っ張り試験片を使用して、各試料につき3つの試験標本を切り取る。試料を15分間伸長させ、長さの増大パーセントを測定し、3つの標本の平均値を報告する。
【0102】
散逸率
60Hz及び2kVの印加電圧での散逸率(「DF」)試験を、架橋された50ミル(1.3mm)のプラークに対して実施する。プラークを、5日間60℃で真空オーブンの中で脱気する。DF試験は、TETTEX標本ホルダ及びTETTEX AG Instruments Temperature Control Unitを伴うGUILDLINE High Voltage Capacitance Bridgeユニット、Model 9920Aにおいて60HzでASTM D150に従って実行する。試料を、25℃、40℃、90℃、及び130℃の温度、60Hz及び2kVの印加電圧で試験する。
【0103】
AC破壊強度
AC絶縁耐力としても知られるAC破壊強度(「ACBD」)を、EXXON Univolt N61変圧器油を使用するBRINKMAN AC Dielectric Strength Tester上で、名目上35ミル(0.9mm)の厚さの硬化したプラークを用いて試験する。時効試料は、0.01Mの塩化ナトリウム溶液を充填したガラス製U字管の中で、6kVで21日間時効させる。
【0104】
ショア硬度
ショアA及びショアD硬度を、厚さ250ミル(6.4mm)、直径51mmの標本についてASTM D2240に従って決定し、5つの測定値の平均を記録する。
【0105】
曲げ弾性率
曲げ弾性率(2%の割線率)を、名目上125ミル(3.2mm)の厚さを有する、架橋され成形された標本に対して、INSTRON(商標)モデル4201引っ張り試験機を用い、ASTM D790に従って試験する。3点曲げ曲げ弾性率を、2つの支持体上にあり、0.1インチ/分(2.5mm/分)で支持体間の中間に充填ノーズの手段によって充填される長方形断面の試験片に対して実施する。
【0106】
溶融強度
ポリマー(エチレン系インターポリマーのみまたはHP LDPEのみを含む)の溶融強度を、135℃または190℃でRheotensによって測定する。溶融強度は、本明細書で使用される場合、フィラメントが、1cm/秒の初期速度から0.24センチメートル毎秒毎秒(cm/秒
2)の速度でフィラメントを加速させている一対のニップローラによって延伸されている間に、33毎秒(秒
−1)の一定剪断速度でキャピラリーレオメータダイから押し出されたポリマー溶融物の溶融フィラメントに対して測定した最大引っ張り力である。溶融フィラメントは、好ましくは、Instronキャピラリーレオメータのバレル中に詰めた10グラム(g)のポリマーを加熱し、ポリマーを135℃で5分間平衡化した後、ポリマーを、2.54cm/分(cm/分)のピストン速度で、直径0.21cm、長さ4.19cmのキャピラリーダイを通して押し出すことによって生成するのが好ましい。引っ張り力は、ニップローラが、フィラメントがキャピラリーダイを出る地点の直下10cmのところにあるように位置付けたGoettfert Rheotensによって測定するのが好ましい。
【0107】
材料
次の材料を以下の実施例において用いる。
【0108】
VISTALON(商標)722は、メルトインデックスが1.0g/10分、エチレン含有量が72.0重量%、及び125℃でのムーニー粘度が17MUのエチレン/プロピレンコポリマーゴムであり、ExxonMobil Chemical Company,Houston,TX,USAから市販されている。
【0109】
VISTALON(商標)1703Pは、エチレン含有量が77.0重量%、ビニルノルボルネン含有量が0.9重量%、125℃でのムーニー粘度が25MUのエチレン/プロピレン/ジエンターポリマーゴムであり、ExxonMobil Chemical Company,Houston,TX,USAから市販されている。
【0110】
NORDEL(商標)IP 3722P ELは、密度が0.87g/cm
3、125℃でのムーニー粘度が18MU、エチレン含有量が70.5重量%、エチリデンノルボルネン含有量が0.5重量%の炭化水素ゴム(EPDM)であり、The Dow Chemical Company,Midland,MI,USAから市販されている。
【0111】
POE−1は、メルトインデックス(I
2)が3.0g/10分、密度が0.875g/cm
3であるエチレン/1−オクテンポリオレフィンエラストマーであり、The Dow Chemical Company,Midland,MI,USAによって調製されている。
【0112】
POE−2は、メルトインデックス(I
2)が4.8g/10分、密度が0.872g/cm
3であるエチレン/1−オクテンポリオレフィンエラストマーであり、The Dow Chemical Company,Midland,MI,USAによって調製されている。
【0113】
LDPE−1は、密度が0.922g/cm
3、メルトインデックス(I
2)が1.8g/10分の高圧低密度ポリエチレン(HP LDPE)であり、The Dow Chemical Company,Midland,MI,USAから市販されている。
【0114】
LDPE−2は、密度が0.920g/cm
3、メルトインデックス(I
2)が2.3g/10分の第2のHP LDPEであり、The Dow Chemical Company,Midland,MI,USAから市販されている。
【0115】
用いるポリプロピレンは、名目メルトフローレート(230℃/2.16kg)が1.8g/10分のBRASKEM(商標)FF018Fであり、Braskem America,Inc.,Philadelphia,PA,USAから市販されている。
【0116】
ジクミルペルオキシドは、PERKADOX(商標)BC−FFの商品名でAkzoNobel Polymer Chemicals LLC,Chicago,IL,USAから市販されている。
【0117】
ポリエチレングリコールは、PEG 20000(Clariant Polyglykol 20000 SRU)であり、これは、平均分子量が20000のポリエチレングリコールであり、Clariant Corporation,Charlotte,NC,USAから市販されている。
【0118】
2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンまたはα−メチルスチレンダイマー(「AMSD」)としても知られるNofmer MSDは、NOF Corporation,Tokyo,Japanから市販されている。
【0119】
LOWINOX(商標)TBM−6は、化学名4,4’−チオビス(2−t−ブチル−5−メチルフェノール)の抗酸化剤であり、Addivant Corporation,Danbury,CT,USAから市販されている。
【0120】
CYANOX(商標)2212は、混合されたラウリル−ステアリルチオジプロピオネート抗酸化剤であり、Cytec Industries Inc.,Woodland Park,NJ,USAから利用可能である。
【0121】
SABO(商標)STAB UV 119は、主成分として1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン、N2,N2”−1,2−エタンジイルビス[N2−[3−[[4,6−ビス[ブチル(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)アミノ]−1,3,5−トリアジン−2−イル]アミノ]プロピル]−N’,N”−ジブチル−N’,N”−ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)−を有する高分子量ヒンダードアミン系光安定剤であり、Sabo S.p.A.,Bergamo,Italyから市販されている。
【0122】
BURGESS(商標)KE粘土は、シリカ(SiO
2)含有量が51〜52.4重量%、アルミナ(Al
2O
3)含有量が42.1〜44.3重量%、二酸化チタン含有量が1.56〜2.50重量%、微量の酸化鉄(Fe
2O
3)、GE輝度が90.0%、平均粒径セディグラフ(sedigraph)が1.5μm、比重が2.63のシラン修飾された無水ケイ酸アルミニウムであり、Burgess Pigment Company,Sandersville,GA,USAから市販されている。
【0123】
Translink(商標)37は、BASF North America,Florham Park,New Jerseyから市販されている、焼成され表面処理されたアルミノケイ酸塩(焼成粘土)である。
【0124】
用いる酸化亜鉛は、KADOX(商標)920であり、Horsehead Corporation,Monaca,PA,USAから市販されている。
【0125】
Polydispersion ERD 90は、RheinChemie Rheinau GmbH,Mannheim,Germanyから利用可能なPb
3O
4(鉛丹)、CAS#1314−41−6である。
【0126】
ANTILUX(商標)654は、RheinChemie Rheinau GmbH,Mannheim,Germanyから利用可能なパラフィンワックスである。
【0127】
FLOWSPERSE(商標)PAC−473は、Flow Polymers,LLC,Cleveland,OH,USAから市販されている、ワックス担体中のシランである。
【0128】
AGERITE(商標)MAは、重合1,2−ジヒドロ−2,2,4−トリメチルキノリンであり、Vanderbilt Chemicals,LLC,Norwalk,CT,USAから市販されている。
【0129】
触媒1、ビス((2−オキソイル−3−(9H−カルバゾール−9−イル)−5−(メチル)フェニル)−2−フェノキシメチル)−メチレン−1,2−シクロヘキサンジイルジルコニウム(IV)ジメチルは、Boulder Scientific Company,Longmont,CO,USAから購入し、更に精製することなく使用する。
【0130】
触媒2、ビス((2−オキソイル−3−(2,7−ジ−tert−ブチル−9H−カルバゾール−9−イル)−5−(2,4,4−トリメチルペンタン−2−イル)フェニル)−2−フェノキシメチル)−メチレン−1,2−シクロヘキサンジイルジルコニウム(IV)ジメチルは、以下の手順に従って調製する。
【0131】
3,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)−9H−カルバゾールの調製
【0133】
オーバーヘッドスターラー、窒素ガスバブラー、及び追加の漏斗を備え付けた500mLの三つ口丸底フラスコに、20.02g(120.8mmol)のカルバゾール、49.82g(365.5mmol)のZnCl
2、及び300mLのニトロメタンを室温で充填する。結果として得られる暗褐色のスラリーに49.82g(365.5mmol)の2−クロロ−2−メチルプロパン(ターシャリーブチルクロリドとしても知られる)を追加の漏斗から2.5時間かけて滴加する。添加完了後、結果として得られるスラリーを更に18時間撹拌し、反応混合物を800mLの氷冷水に注ぎ入れ、塩化メチレン(3×500mL)によって抽出した。組み合わせた抽出物を、無水硫酸マグネシウムによって乾燥させ、濾過し、最初に回転蒸発、次に高真空下で蒸発させて、ニトロメタンを除去する。結果として得られる残渣を、熱い塩化メチレン(70mL)、続いて熱いヘキサン(50mL)中に溶解させて、結果として得られる溶液を室温に冷却した後、一晩冷蔵庫に置く。形成された結果として得られる固体を単利し、冷たいヘキサンで洗浄した後、高真空下で乾燥させて、10.80g(32.0%)の所望の産出物をオフホワイト色の結晶として得る。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ8.11(d,J=1.6Hz,2H),7.75(s,1H),7.48(dd,J=8.5,1.9Hz,2H),7.31(d,J=8.5Hz,2H),1.48(s,18H).
13C{
1H}NMR(101MHz,CDCl
3)δ142.17(s),137.96(s),123.45(s),123.28(s),116.11(s),109.97(s),34.73(s),32.09(s)。
【0134】
2−ヨード−4−(2,4,4−トリメチルペンタン−2−イル)フェノールの調製
【0136】
0℃の125mLのメタノール中10.30g(50.00mmol)の4−(2,4,4−トリメチルペンタン−2−イル)フェノールの撹拌溶液に、7.48g(50.00mmol)のNaI及び2.00g(50.0mmol)のNaOHを添加する。結果として得られる混合物に、86mLの5%NaOCl水溶液(市販漂白剤)を1時間かけて添加する。結果として得られるスラリーを更に1時間0℃で撹拌した後、30mLの10%Na
2S
2O
3水溶液を添加し、結果として得られる反応混合物を、希釈した塩酸の添加によって酸性化する。結果として得られる混合物を塩化メチレンで抽出し、結果として得られる有機層をブラインで洗浄した後、無水硫酸マグネシウム上で乾燥させる。揮発性物質を真空下で除去し、結果として得られる残渣を、ヘキサン中5体積パーセント(体積%)の酢酸エチルによって溶出させるシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、11.00g(66%)の所望の産出物を粘性油として得る。
1H NMR(CDCl
3)δ7.60(d,J=2.5Hz,1H),7.25(dd,J=8.5、及び2.2Hz,1H),6.90(d,J=8.5Hz,1H),5.13(s,1H),1.69(s,2H),1.32(s,6H)及び0.74(s,9H).
13C{
1H}NMR(CDCl
3)δ152.21,144.52,135.56,128.03,114.17,85.36,56.92,38.01,32.43,31.90及び31.64.GC/MS(m/e):332(M
+)。
【0137】
2−(2−ヨード−4−(2,4,4−トリメチルペンタン−2−イル)フェノキシ)テトラヒドロ−2H−ピランの調製
【0139】
0℃の5mLの塩化メチレン中4.91g(14.8mmol)の4−(2,4,4−トリメチルペンタン−2−イル)フェノール及び1.50g(17.8mmol)の3,4−ジヒドロピランの撹拌溶液に、0.039g(0.205mmol)のパラトルエンスルホン酸一水和物を添加する。結果として得られる溶液を室温に温まらせ、約10分間その場で撹拌する。トリエチルアミン(0.018g、0.178mmol)を添加し、結果として得られる混合物を50mLの塩化メチレンで希釈し、続いて各50mLの1MのNaOH、水、及びブラインで連続して洗浄する。有機相を無水硫酸マグネシウムによって乾燥させ、濾過し、濃縮して、粗材料を得、これを、ヘキサン中5体積%の酢酸エチルを使用するシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、5.18g(93.12%)の所望の産出物を金色の油として得る。
1H NMR(CDCl
3)δ7.74(d,J=2.3Hz,1H),7.27(dd,J=2.3及び8.6Hz,1H),6.99(d,J=8.6Hz,1H),5.49(m,1H),3.91(m,1H),3.61(m,1H),2.20−1.60(m,6H),1.69(s,2H),1.34(s,6H)及び0.75(s,9H).
13C{
1H}NMR(CDCl
3)δ153.27,145.49,136.98,127.08,114.44,96.72,87.09,61.69,56.91,37.95,32.33,31.81,31.52,31.44,30.26,25.27,18.36。
【0140】
3,6−ジ−tert−ブチル−9−(2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)−5−(2,4,4−トリメチル−ペンタン−2−イル)フェニル)−9H−カルバゾールの調製
【0142】
撹拌棒及びコンデンサを備え付けた50mLの三つ口丸底フラスコに、N
2雰囲気下で以下を添加する:20mLの乾燥トルエン;5.00g(12.01mmol)の2−(2−ヨード−4−(2,4,4−トリメチルペンタン−2−イル)フェノキシ)テトラヒドロ−2H−ピラン;3.56g(12.01mmol)の3,6−ジ−tert−ブチルカルバゾール;0.488g(2.56mmol)のCuI;7.71g(36.2mmol)のK
3PO
4;及び0.338g(3.84mmol)のN,N`−ジメチルエチレンジアミン。結果として得られる反応混合物を、48時間還流下で加熱し、冷却し、シリカゲル床を通して濾過する。シリカゲルをテトラヒドロフラン(「THF」)ですすぎ、結果として得られる溶液を濃縮して粗残渣を得る。精製をアセトニトリルからの再結晶化によって達成し、4.57g(67.0%)の所望の産出物を白色固体として得る。
1H NMR(CDCl
3)δ8.13(t,J=1.71Hz,1H),7.48(d,J=2.4Hz,1H),7.40(m,3H),7.31(d,J=8.68Hz,1H),7.14(d,J=8.68Hz,1H),7.08(d,J=8.56Hz,1H),5.22(t,J=2.81Hz,1H),3.72(td,J=11.12及び2.8Hz,1H),3.47(dt,J=11.12及び3.47Hz,1H),1.75(s,2H),1.474(s,9H),1.472(s,9H),1.394(s,3H),1.391(s,3H),1.37−1.12(m,6H),0.82(s,9H).
13C{
1H}NMR(CDCl
3)δ150.96,144.22,142.07,140.02,127.49,126.60,126.56,123.14,123.12,122.96,116.37,115.88,115.72,110.18,109.52,97.02,61.56,57.03,38.23,34.69,32.41,32.07,31.86,31.72,31.50,29.98,25.06,17.61。
【0143】
3,6−ジ−tert−ブチル−9−(2−((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−5−(2,4,4−トリメチルペンタン−2−イル)フェニル)−9H−カルバゾールの調製
【0145】
0℃の40mLのTHF中2.5g(4.4mmol)のカルバゾール誘導体の撹拌溶液に、窒素雰囲気下で2.8mL(7.0mmol)のn−ブチルリチウム(ヘキサン中2.5M溶液)を5分かけて添加する。溶液を0℃で3時間撹拌する。これに2−イソプロポキシ−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン(1.44mL、7.0mmol)を添加し、0℃で更に1時間撹拌し続ける。反応混合物をゆっくりと室温に温め、18時間撹拌する。反応混合物を回転蒸発によって濃縮乾固し、100mLの氷冷水を添加する。混合物を塩化メチレンで抽出する。有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥させる。溶媒の除去、続くアセトニトリルからの再結晶化により、2.4g(78.6%)の標題産出物を白色固体として得る。
1H NMR(CDCl
3)δ8.30−7.96(m,2H),7.81(d,J=2.5Hz,1H),7.58−7.32(m,3H),7.14(d,J=8.6Hz,2H),4.85(d,J=2.8Hz,1H),2.76(td,J=11.0,2.7Hz,1H),2.59(dd,J=7.9,3.5Hz,1H),1.73(s,2H),1.67−0.87(m,6H),1.46(s,9H),1.45(s,9H),1.38(s,9H),1.37(s,9H),0.78(s,9H);
13C{
1H}NMR(CDCl
3)δ156.25,145.86,142.05,142.01,139.79,139.78,133.82,130.61,129.72,123.39,123.37,123.05,115.59,115.55,110.20,110.11,101.41,83.64,61.20,56.95,38.37,34.68,32.42,32.08,31.90,31.45,29.97,25.06,25.04,24.79,18.16.MS m/e 716.38(M+Na)。
【0146】
2’,2’’’−(((−シクロヘキサン−1,2−ジイル)ビス(メチレン))ビス(オキシ))ビス(3−(3,6−ジ−tert−ブチル−9H−カルバゾール−9−イル)−5−(2,4,4−トリメチルペンタン−2−イル)−[1,1’−ビフェニル]−2−オール)の調製
【0148】
ボリル化断片(25.0g、36.0mmol)及び(trans)−1,2−ビス((2−ブロモフェノキシ)メチル)シクロヘキサン(7.365g、16.21mmol)を、200mLのトルエンに溶解させる。NaOH(4.32g、108.10mmol)を22mLの水に溶解させ、この溶液をトルエン溶液に添加する。結果として得られる混合物に15分間窒素をパージする。Pd(PPh
3)
4(833mg、0.72mmol)を乾燥箱から取り出し、正の窒素流の下で乾燥状態でトルエン溶液に添加する。次に、反応混合物を48時間還流下で加熱する。有機層を分離させ、100mLの水及び50mLの飽和NaCl溶液で洗浄した後、MgSO
4上で乾燥させる。次に、結果として得られる有機溶液をシリカゲルパッドに通した後、真空下で乾燥させる。THF(25mL)、メタノール(25mL)、及び濃縮HCl(1mL)を添加し、溶液を1時間還流下で加熱する。次に、反応物を室温に冷却し、水(100mL)及びジエチルエーテル(100mL)を添加する。有機層を分離させ、MgSO
4上で乾燥させる。揮発性物質を真空下で除去する。この粗残渣を、ジエチルエーテル及びメタノールからの再結晶化によって精製し、所望の産出物を白色固体として得る(18.2g、収率89%)。
1H NMR(400MHz,C
6D
6)δ8.41−8.35(m,2H),7.59−7.30(m,7H),7.03−6.94(m,1H),6.89(td,J=7.5,1.1Hz,1H),6.40(d,J=8.3Hz,1H),5.97(s,1H),3.59(dd,J=9.9,2.8Hz,1H),3.40(d,J=9.5Hz,1H),1.57(s,2H),1.54−1.49(m,1H),1.42(d,J=5.3Hz,20H),1.25(s,6H),1.002H),0.85(s,9H).2H),0.85(s,9H)。
【0151】
乾燥箱の中で瓶にZrCl
4(0.988g、4.24mmol)及びトルエン(100mL)を充填し、冷凍庫に置いて−35℃に冷却する。冷却したら、それを除去し、MeMgBr(Et
2O19.5mmol中6.40mLの3M溶液)を添加した。結果として得られる懸濁液を3分間撹拌した時点でビス−ビフェニルフェノールリガンド(5.34g、4.24mmol)を添加した。混合物を室温に温まらせ、18時間撹拌した後で濾過し、濾液を収集して真空下で乾燥させた。結果として得られる残渣を冷たいヘキサン(50mL)で洗浄し、濾過した。不溶性物質を収集し、メチルシクロヘキサン(200mL)中に懸濁させ、濾過した。濾液を乾燥させて、触媒2を異性体の混合物(〜2:1比)として得た(4.41g、75%)。
1H NMR(400MHz,C
6D
6)δ8.66(d,J=1.8Hz),8.40(d,J=1.9Hz),7.75−7.55(m),7.48−7.20(m),6.95−6.70(m),5.31−5.07(m),5.04−4.79(m),4.61−4.28(m),3.96(d,J=10.8Hz),3.46(d,J=12.3Hz),1.55(s),1.53(s),1.35−1.31(m),1.28(s),1.27(s),0.91(s),0.85(s),−0.80(s),−0.88(s)。
【0152】
共触媒は、ヘプタン中の修飾されたメチルアルミノキサン、MMAO−3A溶液であり、Akzo Nobel N.V.,Amsterdam,Netherlandsから市販されている。
【実施例】
【0153】
実施例1
3つの試料(S1〜S3)を以下の手順に従って調製する。S1及びS2はエチレン/プロピレンコポリマーであり、一方、S3はエチレン/オクテンコポリマーである。連続溶液重合を、直列に接続し、一重または二重反応器設定で設定した2つのコンピューター制御による連続撹拌槽型反応器(CSTR)を使用して実行する。各5リットル反応器は、油圧的に満杯で、定常状態条件で動作するように設定する。第1の反応器(R−1)からの流出物は第2の反応器(R−2)に供給される。そうでない場合は、2つの反応器を操作する。精製したIsopar(登録商標)E、エチレン、プロピレン、及び水素(使用する場合)を、流量及び反応器圧を制御する変速隔膜ポンプを使用し、質量流量制御器を通して反応器に供給する。所望の温度を維持し、内部熱電対を使用してモニタリングする。ポンプの吐出時に、触媒、共触媒、ならびに注入ライン及び反応器アジテータにフラッシング流を提供するように、支流を取る。わずかに過剰な共触媒を使用する。これらの流れをMicro−Motion質量流量計によって測定し、制御弁によって、またはニードル弁の手動調整によって制御する。残りの溶媒を、プロピレン、エチレン、ならびに/または任意にジエン及び水素(使用する場合)と組み合わせ、反応器に供給する。質量流量を使用し、必要に応じて水素を反応器に送達する。溶媒/モノマー溶液の温度を、反応器に入る前に、熱交換器の使用によって制御する。触媒を共触媒とは別に反応器に供給する。成分溶液を、ポンプ及び質量流量計を使用して計量し、触媒洗い流し溶媒と組み合わせ、反応器の底に導入する。反応器を、勢いよく撹拌しながら410psig(2.82MPa)で液体満杯で実行する。産出物を、反応器の上部にある出口ラインを通して除去する。少量の水を任意の安定剤または他の添加剤と共に出口ラインの中に添加して重合を停止させる。次に溶媒を除去し、脱揮押出機及び水冷却型ペレタイザーを使用して、産出物を回収する。
【0154】
エチレンインターポリマーを、直列に接続した2つの連続撹拌槽型反応器を使用して調製する。試料S3を、表1に概説する処理条件に従って、モノマー、溶媒、触媒1、及び共触媒を、第1の反応器に流すことによって調製する。S3については後続の反応器は用いない。試料S1及びS2を調製するために、表1に記載の第1の反応器の内容物を連続して第2の反応器に流す。追加の触媒1及び共触媒を、捕捉剤としての少量のMMAOと併せて第2の反応器に添加する。
【0155】
【表1-1】
【0156】
【表1-2】
【0157】
S1〜S3を上記の試験方法に従って分析する。2つの更なる試料(S4及びS5)も、4つの比較試料(CS1〜CS4)と併せて分析する。S4はVISTALON(商標)722 EPであり、S5はVISTALON(商標)1703P EPDMであり、各々、上で説明されている。CS1はNORDEL(商標)IP 3722P EL EPDMであり、CS2はPOE−1であり、CS3はPOE−2であり、CS4はLDPE−1であり、全て上の材料の節で説明されている。結果を以下の表2に提供する。
【0158】
【表2】
【0159】
試料S2、S3、CS1、CS2、及びCS4の押出特性を、上の試験方法の節に概説した手順に従って分析する。結果を以下の表3に提供する。
【0160】
【表3】
【0161】
表2及び3に示すデータを見ると、S1〜S5は、考案した電源ケーブル絶縁体に望ましい以下の特性を呈する:100s
−1(V100)での低い粘度、高い剪断粘度減少(V0.1/V100)、高いゼロ剪断粘度、及び低い密度(より可撓性の組成物のため)。S2及びS3の良好な溶融レオロジー特性により、最大100rpmの軸速度での押出中、十分に低い溶融物吐出温度が得られる。対照的に、CS1及びCS2は、押出中、はるかに高い溶融物吐出温度を示す。加えて、CS4は押出中の処理が良好であったが、その密度は許容できないほど高い。より低い溶融物吐出温度は、過酸化物を含有する絶縁化合物の押出中に早発の架橋を回避できるため、望ましいと考えられる。結果として、145℃での溶融物吐出温度に対応する押出速度(ジクミルペルオキシドを含有する組成物による産業的に慣例とされる最大に近い)は、本発明の例で比較的大きかった(CS1及びCS2に対して)。
【0162】
実施例2
8つの発明絶縁組成物S6〜S13及び5つの比較絶縁組成物CS5〜CS9を、次の方法に従ってS1〜S5及びCS1〜CS4のポリマーを使用し、以下の表4に提供する配合を使用して調製する。ジクミルペルオキシドを60℃に加熱することによって溶融させた後、Nofmer MSDと5:1の割合(過酸化物対Nofmer MSD)で混合する。容器の中で全て(過酸化物及びNofmer MSD以外)を手で混合して「固体」混合物を調製する。次に、固体混合物を、カムロータを有する250cm
3のBrabenderバッチミキサ中で、190℃、40rpmで5分間組み合わせる。結果として得られるブレンドをミキサから除去し、薄いシートに冷間圧縮し、ストリップに切り、ペレタイザーを通して供給して、ペレットを作製する。ポリマーペレットを60℃で2時間ガラス瓶中で加熱した後、シリンジを使用して規定量の過酸化物/Nofmer MSD混合物を噴霧する。瓶を室温で10分間タンブルブレンドし、50℃で16時間加熱した。次に、瓶の中身を、カムロータを有する250cm
3のBrabenderミキシングボウルの中で、120℃、30rpmで10分間混合する(充填後)。
【0163】
続いて組成物を、架橋特性の評価のために140℃または182℃の移動ダイレオメータ中で試験する。溶融物のレオロジー的測定のため、組成物を以下の条件で圧縮成形し、著しい架橋を防止する:3分間120℃で500psi(3.5MPa)、次に3分間同温度で2500psi(17MPa)、同圧力で30℃に冷却、プレスを開放して成形されたプラークを除去。電気的及び機械的測定のため、組成物を以下の条件で圧縮成形し、異なる寸法の完全に架橋された標本を作製する:3分間125℃で500psi(3.5MPa)、次に20分間180℃で2500psi(17MPa)、同圧力で30℃に冷却、プレスを開放して成形されたプラークを除去。S6〜S13及びCS5〜CS9の各々を上記の試験方法の節に提供される手順に従って分析する。結果を以下の表4に提供する。
【0164】
【表4-1】
【0165】
【表4-2】
【0166】
【表4-3】
【0167】
【表4-4】
【0168】
【表4-5】
【0169】
表4に提供するデータにより、S6〜S13が、十分な溶融物レオロジー特性(押出条件を代表する120℃または135℃の温度で)、架橋特性、電気的特性、及び機械的特性を呈することが示される。比較的軟性の比較試料(CS5及びCS6)と比べると、S6〜S13について示される「120°CでのV100」の値は、望ましく低い。CS7〜CS9と比較すると、S6〜S13の組成物は、はるかに軟性である。
【0170】
実施例3
3つの比較試料(CS10〜CS12)を、次の手順及び以下で表5に提供する配合に従って調製する。まず組成物を、カムロータを有する250cm
3のBrabenderバッチミキサ中で、140℃、35rpmで5分間、過酸化物なしで組み合わせる。溶融しブレンドした試料をミキシングボウルから除去して圧延機に移し、そこで過酸化物を115℃で添加し、5分間混合する。組成物を圧延機から除去し、500psi(3.5MPa)の圧力及び125℃で3分間、続いて2500psi(17MPa)の圧力及び180℃で15分間、様々な厚さに圧縮成形して、架橋を完了する。その後、プレスを2500psiの圧力で30℃に冷却する。30℃になったら、プレスを開放し、プラークを除去する。
【0171】
【表5】
【0172】
CS10〜CS12の各々を上記の試験方法の節に提供される手順に従って分析する。結果を以下の表6に提供する。
【0173】
【表6】
【0174】
上記の表6に提供するデータを見て、CS10〜CS12が、190℃でのV100が1514Pa・s(即ち、>1200Pa・s)である、CS1のEPDMポリマーで作製した粘土充填組成物であることに留意されたい。CS10〜CS12はCS5(これはいずれの充填剤も含有しなかった)と同じポリマーを用いるため、押出の観点からは望ましくない、CS10〜CS12の120℃でのV100がCS5のものより大きいと考えることは理にかなっている。更に、CS10及びCS11の140℃でのts1値は10分未満であり(全てが10分を優に超える140℃でのts1の値を呈した試料S6〜S13とは異なる)、これは、押出中の「スコーチ」(早発の架橋)についての比較的高い傾向を示す。
【0175】
実施例4
6つの更なる試料(S14〜S19)及び4つの更なる比較試料(CS13〜CS16)を、上記の実施例2で説明した調製方法(「ストリップ」を冷凍庫で冷却して硬化させた後でペレタイザーを通して供給し、ペレットを作製したことを除く)、及び以下の表7に提供する配合を使用して調製する。S14〜S19及びCS13〜CS16を、上記の試験方法の節に概説する手順に従って評価する。結果を以下の表7に提供する。
【0176】
【表7-1】
【0177】
【表7-2】
【0178】
【表7-3】
【0179】
S14〜S19の組成物は、十分な溶融物レオロジー特性(押出条件を代表する135℃の温度で)、架橋特性、電気的特性、及び機械的特性を呈する。
【0180】
実施例5
1つの更なる試料(S20)及び2つの更なる比較試料(CS17〜CS18)を、上記の実施例2で説明した調製方法(「ストリップ」を冷凍庫で冷却して硬化させた後でペレタイザーを通して供給し、ペレットを作製したことを除く)、及び以下の表8に提供する配合を使用して調製する。S20及びCS17〜CS18を、上記の試験方法の節に概説する手順に従って評価する。結果を以下の表8に提供する。
【0181】
【表8】
【0182】
S20の組成物は、135℃の温度で(押出条件を代表する)十分な溶融物レオロジー特性(比較的低いV100を含む)、架橋特性、電気的特性、及び機械的特性を呈する。
なお、本発明には、以下の実施形態が包含される。
[1]架橋性ポリマー組成物であって、
(a)該架橋性ポリマー組成物の総重量に基づき、10〜99重量パーセントのエチレン系インターポリマーであって、以下の特性:
(i)0.93g/cm3以下の密度、
(ii)1,200Pa・s以下の190℃及び10%ひずみでの高剪断粘度(V100)、ならびに
(iii)少なくとも8の190℃及び10%ひずみでの剪断粘度減少比(V0.1/V100)、を有する、エチレン系インターポリマーと、
(b)前記架橋性ポリマー組成物の総重量に基づき、0〜10重量パーセント未満の充填剤と、を含み、
前記エチレン系インターポリマーが、高圧反応器又はプロセスにおいて調製されない、架橋性ポリマー組成物。
[2]前記架橋性ポリマー組成物が、(c)前記架橋性ポリマー組成物の総重量に基づき少なくとも0.5重量パーセントの量の有機過酸化物を更に含むことによって架橋性となる、前記[1]に記載の架橋性ポリマー組成物。
[3]前記エチレン系インターポリマーが、エチレン/プロピレンコポリマー、エチレン/1−オクテンコポリマー、及びエチレン/プロピレン/ジエンコモノマーターポリマーから選択される、インターポリマーである、前記[1]または[2]のいずれかに記載の架橋性ポリマー組成物。
[4]前記架橋性ポリマー組成物の全重量に基づき、最大90重量パーセントの量の高圧ポリエチレンを更に含む、前記[1]〜[3]のいずれか1項に記載の架橋性ポリマー組成物。
[5]前記架橋性ポリマー組成物の全重量に基づき、最大90重量パーセントの量のプロピレンポリマーを更に含む、前記[1]〜[4]のいずれか1項に記載の架橋性ポリマー組成物。
[6]前記充填剤が、0重量パーセント超〜10重量パーセント未満の量で存在し、前記充填剤が、熱処理された粘土、表面処理された粘土、及び有機粘土からなる群から選択される、前記[1]〜[5]のいずれか1項に記載の架橋性ポリマー組成物。
[7]前記架橋性ポリマー組成物が、以下の特性:
(a)少なくとも10,000Pa・sの135℃でのゼロ剪断粘度、
(b)120℃または135℃、1s−1、及び1のHenckyひずみで測定した場合の300,000ポアズ超の伸長粘度、ならびに
(c)少なくとも10分の140℃でのts1、のうちの1つ以上を有する、前記[1]〜[6]のいずれか1項に記載の架橋性ポリマー組成物。
[8]前記[1]〜[7]のいずれか1項に記載の架橋性ポリマー組成物から調製される架橋性ポリマー組成物。
[9]前記架橋性ポリマー組成物が、以下の特性:
(a)少なくとも0.2lb−inの182℃でのMH−ML、
(b)40以下のショアD硬度、
(c)93以下のショアA硬度、
(d)少なくとも30%のゲル含有量、
(e)200%以下のホットクリープ値、ならびに
(f)60Hz、2kV、及び130℃で測定した場合の10%未満の散逸率、のうちの1つ以上を有する、前記[8]に記載の架橋性ポリマー組成物。
[10]被覆導体であって、
(a)導体と、
(b)前記導体を少なくとも部分的に囲繞する絶縁層と、を備え、前記絶縁層の少なくとも一部が、前記[9]に記載の架橋性ポリマー組成物の少なくとも一部から形成される、被覆導体。