特許第6804522号(P6804522)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6804522回折バックライトディスプレイおよびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6804522
(24)【登録日】2020年12月4日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】回折バックライトディスプレイおよびシステム
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/02 20060101AFI20201214BHJP
   G02B 5/18 20060101ALI20201214BHJP
【FI】
   G02B27/02 Z
   G02B5/18
【請求項の数】17
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2018-509895(P2018-509895)
(86)(22)【出願日】2016年7月2日
(65)【公表番号】特表2018-529120(P2018-529120A)
(43)【公表日】2018年10月4日
(86)【国際出願番号】US2016040904
(87)【国際公開番号】WO2017039825
(87)【国際公開日】20170309
【審査請求日】2019年5月8日
(31)【優先権主張番号】62/214,976
(32)【優先日】2015年9月5日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】PCT/US2016/040582
(32)【優先日】2016年6月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514274546
【氏名又は名称】レイア、インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】LEIA INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100093676
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126354
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ファッタル,デイビッド エー.
【審査官】 堀部 修平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−267041(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/016844(WO,A1)
【文献】 特開平07−063909(JP,A)
【文献】 特開2003−194697(JP,A)
【文献】 特開2006−292883(JP,A)
【文献】 特開2004−273203(JP,A)
【文献】 特開2004−273204(JP,A)
【文献】 MAIMONE, Andrew et al.,Computational Augmented Reality Eyeglasses,2013 IEEE International Symposium on Mixed and Augmented Reality,IEEE,2013年10月 1日,pp.29-38
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/01 − 27/02
G02B 5/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
その表面に回折格子を有する、導光プレートであって、前記回折格子は、導光プレートから外へ光を回折式に結合(couple)し、前記導光プレートから外へ結合された前記光をアイボックスの中へ集中させるように構成された、弯曲した回折構造を有する、平面状導光プレートと、
前記導光プレートと実質的に平行に配向された、第1の光バルブ配列であって、
前記導光プレートから外へ結合された光が前記第1の光バルブ配列を通過して、前記アイボックス内にイメージを形成するように位置づけられている、第1の平面状光バルブ配列と
を含み、
前記弯曲した回折構造の構造間隔は、前記導光プレートの縁部からの距離の増加に伴って減少し、光は前記縁部に沿って前記導光プレートの中へ結合される、ディスプレイ。
【請求項2】
前記弯曲した回折構造が、前記導光プレートの縁部からある距離にある共通中心を共有する、交互する同心の弯曲した隆起と溝を含む、請求項1に記載のディスプレイ。
【請求項3】
前記弯曲した回折構造が、双曲線形の曲線を有する、請求項1または2に記載のディスプレイ。
【請求項4】
前記弯曲した回折構造が、同心で双曲線形の弯曲した回折構造を含む、請求項3に記載
のディスプレイ。
【請求項5】
光を供給するように構成された光源をさらに含み、前記供給された光が縁部に沿って前記導光プレートの中へ結合される、請求項1から4のいずれか一項に記載のディスプレイ。
【請求項6】
前記回折格子が、前記導光プレート内部に捕捉された光を、回折させて、1次回折光を前記導光プレートの外へ結合させるとともに、前記1次回折光を前記アイボックス内に集中させる、請求項1から5のいずれか一項に記載のディスプレイ。
【請求項7】
前記導光プレートに実質的に平行に配向されて、前記第1の光バルブ配列から発生する光が第2の光バルブ配列を通過するように位置決めされている、第2の光バルブ配列をさらに備える、請求項1から6のいずれか一項に記載のディスプレイ。
【請求項8】
視聴者の眼に着用するように構成されたピクセル化されたコンタクトレンズをさらに備え、前記ピクセル化されたコンタクトレンズが、前記視聴者の眼が前記アイボックス内にあるときに、前記視聴者の眼に入射する光の量を制御する、複数の個別に動作させるピクセルを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載のディスプレイ。
【請求項9】
前記回折格子が、前記導光プレートから外へ結合された前記光を前記アイボックスの中へ集中させるように構成された、複数の2次元の回折格子セグメントを含む、請求項1から8のいずれか一項に記載のディスプレイ。
【請求項10】
イメージを表示する方法であって、
光源によって発生される光を、導光プレートの中へ結合する(coupling)ステップと、
前記導光プレートの表面において回折格子を介して前記導光プレートからの前記光の一部分を外へ回折式に結合させるステップであって、前記回折格子が、前記外へ回折式に結合された光部分をアイボックスの中へ集中させる、ステップと、
前記導光プレートに実質的に平行に配向された、第1の光バルブ配列を使用して、前記外へ回折式に結合された光部分を調整して、前記アイボックス内部で見ることが可能なイメージを形成する、ステップと
を含み、
前記回折格子は、前記導光プレートの縁部からの距離の増加に伴って減少する構造間隔を有する弯曲した回折構造を備え、前記光は前記縁部に沿って前記導光プレートの中へ結合される、方法。
【請求項11】
光プレートへ入射された光の一部分を回折式に外へ結合させ、前記導光プレートから外へ結合された光をアイボックス内に集中させるように構成された回折格子を有する、前記導光プレートと、
前記導光プレートと実質的に平行に配向された、第1の光バルブ配列であって、
前記導光プレートから外へ結合された光が通過するように位置決めされている、第1の光バルブ配列と、
前記第1の光バルブ配列に接続されたディスプレイコントロールであって、前記第1の光バルブ配列を動作させて、前記アイボックス内にイメージを形成する、ディスプレイコントロールと
を備え
前記回折格子は、前記導光プレートの縁部からの距離の増加に伴って減少する構造間隔を有する弯曲回折構造を備え、光は、光源から前記縁部に沿って前記導光プレートの中へ結合される、ヘッドマウントディスプレイ。
【請求項12】
前記回折格子が、前記導光プレートの表面において、弯曲した回折構造を含む、請求項11に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【請求項13】
前記弯曲した回折構造が、同心で双曲線形の弯曲した回折構造である、請求項12に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【請求項14】
前記弯曲した回折構造が交互する弯曲した隆起と溝を含み、前記隆起と溝は、導光プレートの縁部からある距離に位置する共通中心を共有し、前記縁部に沿って、前記光が前記導光プレートに入力される、請求項12に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【請求項15】
前記回折格子が、導光プレート内部に捕捉された光を、回折させて、1次回折光を導光プレートの外へ結合させるとともに、前記1次回折光を前記アイボックス内に集中させるように構成された、請求項11から14のいずれか一項に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【請求項16】
前記導光プレートに実質的に平行に配向された、第2の光バルブ配列をさらに備え、前記第2の光バルブ配列は、前記第1の光バルブ配列から出る光が通過するように位置決めされている、請求項11から15のいずれか一項に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【請求項17】
視聴者の眼の上に着用されるように構成されたピクセル化されたコンタクトレンズをさらに含み、前記ピクセル化されたコンタクトレンズは、視聴者の眼がアイボックス内にあるときに、視聴者の眼に入射する光の量を制御する、複数の個別に動作させるピクセルを含む、請求項11から16のいずれか一項に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関係出願の相互参照
本出願は、参照によりその全文を本明細書に組み入れてある、2015年9月5日出願の米国仮特許出願第62/214,976号、2015年9月5日出願の米国仮特許出願第62/214976号および2016年6月30日出願の国際公開第PCT/US2016/40582号への優先権を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ヘッドマウントディスプレイ(「HMD」)技術が、仮想現実および拡張現実(augmented reality)における応用とともに人気が上昇している。HMDは、典型的には眼鏡、ゴーグル、ヘルメット、またはバイザーの形態でユーザの頭部に着用されるディスプレイデバイスである。このディスプレイデバイスは、HMDがユーザに着用されるときに、ユーザの片眼の視野内に位置する単独の小型電子ディスプレイユニットであるか、またはディスプレイデバイスは、HMDがユーザによって着用されるときに、ユーザの両眼の視野内に位置する、2つの別個の小型電子ディスプレイユニットとしてもよい。例えば、小型電子ディスプレイユニットを、小型プラズマディスプレイパネルか、液晶ディスプレイのいずれかを使用して実現してもよい。HMD内で使用される小型ディスプレイユニットはまた、1つまたは複数のレンズ、平行化反射器(collimating reflector)、およびディスプレイパネルで生成されたイメージを集束させる、半透明ミラーで実現してもよい。HMDは、1つのディスプレイユニットだけを使用して拡張現実視聴体験を創出するか、またはHMDは、2つのディスプレイユニットを使用して、仮想現実視聴体験を創出してもよい。
【発明の概要】
【0003】
本明細書において記述される原理による実施例および実施形態の様々な特徴は、同じ参照番号は同じ構造要素を示している、添付の図面と合わせて、以下の詳細な説明を参照すれば、より容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】[図1A]回折格子で構成された導光プレート(plate light guide)の平面図である。[図1B]回折格子の拡大断面図である。[図1C]距離の関数としての回折格子の回折構造間隔(diffractive feature spacing)のプロットを示す図である。
図2】[図2A〜2C]異なる回折格子構成の断面図である。
図3】[図3A]回折バックライトシステムの平面図である。[図3B]光入射縁部近くの導光プレートの断面図である。
図4】回折バックライトシステムの等角図である。
図5】局在化された空間の領域に光を集中させる、導光プレートの側面図である。
図6】ディスプレイの等角図である。
図7】ディスプレイの側面図である。
図8】2つの異なるディスプレイの側面図である。
図9】2つの異なるディスプレイの側面図である。
図10A】異なる導光プレート構成の平面図である。
図10B】異なる導光プレート構成の平面図である。
図10C】異なる導光プレート構成の平面図である。
図11】回折バックライトシステムの側面図である。
図12】局在化された空間の領域にイメージを表示する方法のフロー図である。
図13】拡張現実イメージを示すのに使用されるヘッドマウントディスプレイを示す図である。
図14】仮想現実イメージを示すのに使用されるヘッドマウントディスプレイを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
特定の実施例および実施形態は、上記の図に示された特徴に加えて、およびそれの代わりに、その他の特徴を有することがある。これら、およびその他の特徴を、上記の図を参照して以下に説明する。
本開示は、以下の[1]から[20]を含む。
[1]その表面に回折格子を有する、導光プレートであって、上記回折格子は、導光プレートから外へ光を回折式に結合(couple)し、上記導光プレートから外へ結合された上記光をアイボックスの中へ集中させるように構成された、弯曲した回折構造を有する、平面状導光プレートと、
上記導光プレートと実質的に平行に配向された、第1の光バルブ配列であって、
上記導光プレートから外へ結合された光が上記第1の光バルブ配列を通過して、上記アイボックス内にイメージを形成するように位置づけられている、第1の平面状光バルブ配列と、を含む、ディスプレイ。
[2]上記弯曲した回折構造が、上記導光プレートの縁部からある距離にある共通中心を共有する、交互する同心の弯曲した隆起と溝を含む、上記[1]に記載のディスプレイ。
[3]上記弯曲した回折構造が、双曲線形の曲線を有する、上記[1]に記載のディスプレイ。
[4]上記弯曲した回折構造が、同心で双曲線形の弯曲した回折構造を含む、上記[3]に記載のディスプレイ。
[5]光を供給するように構成された光源をさらに含み、上記供給された光が縁部に沿って上記導光プレートの中へ結合される、上記[1]に記載のディスプレイ。
[6]上記弯曲した回折構造の構造間隔が、光がそれに沿って上記導光プレートの中へ結合される、上記導光プレートの縁部からの距離が増すとともに、減少する、上記[1]に記載のディスプレイ。
[7]上記回折格子が、上記導光プレート内部に捕捉された光を、回折させて、1次回折光を上記導光プレートの外へ結合させるとともに、上記1次回折光を上記アイボックス内に集中させる、上記[1]に記載のディスプレイ。
[8]上記導光プレートに実質的に平行に配向されて、上記第1の光バルブ配列から発生する光が第2の光バルブ配列を通過するように位置決めされている、第2の光バルブ配列をさらに備える、上記[1]に記載のディスプレイ。
[9]視聴者の眼に着用するように構成されたピクセル化されたコンタクトレンズをさらに備え、上記ピクセル化されたコンタクトレンズが、上記視聴者の眼が上記アイボックス内にあるときに、上記視聴者の眼に入射する光の量を制御する、複数の個別に動作させるピクセルを含む、上記[1]に記載のディスプレイ。
[10]上記回折格子が、上記導光プレートから外へ結合された上記光を上記アイボックスの中へ集中させるように構成された、複数の2次元の回折格子セグメントを含む、上記[1]に記載のディスプレイ。
[11]イメージを表示する方法であって、
光源によって発生される光を、導光プレートの中へ結合する(coupling)ステップと、
上記導光プレートの表面において回折格子を介して上記導光プレートからの上記光の一部分を外へ回折式に結合させるステップであって、上記回折格子が、上記外へ回折式に結合された光部分をアイボックスの中へ集中させる、ステップと、
上記導光プレートに実質的に平行に配向された、第1の光バルブ配列を使用して、上記外へ回折式に結合された光部分を調整して、上記アイボックス内部で見ることが可能なイメージを形成する、ステップと
を含む、方法。
[12]上記回折格子が、上記光がそれに沿って上記導光プレートの中へ結合される、上記導光プレートの縁部からの距離が増すとともに、減少する構造間隔を有する、弯曲した回折構造を含む、上記[11]に記載の方法。
[13]上記導光プレートへ入射された光の一部分を回折式に外へ結合させ、上記導光プレートから外へ結合された光をアイボックス内に集中させるように構成された回折格子を有する、導光プレートと、
上記導光プレートと実質的に平行に配向された、第1の光バルブ配列であって、
上記導光プレートから外へ結合された光が通過するように位置決めされている、第1の光バルブ配列と、
上記第1の光バルブ配列に接続されたディスプレイコントロールであって、上記第1の光バルブ配列を動作させて、上記アイボックス内にイメージを形成する、ディスプレイコントロールと
を備える、ヘッドマウントディスプレイ。
[14]上記回折格子が、上記導光プレートの表面において、弯曲した回折構造を含む、上記[13]に記載のヘッドマウントディスプレイ。
[15]上記弯曲した回折構造が、同心で双曲線形の弯曲した回折構造である、上記[14]に記載のヘッドマウントディスプレイ。
[16]上記弯曲した回折構造が交互する弯曲した隆起と溝を含み、上記隆起と溝は、導光プレートの縁部からある距離に位置する共通中心を共有し、上記縁部に沿って、上記光が上記導光プレートに入力される、上記[14]に記載のヘッドマウントディスプレイ。
[17]上記回折格子が、上記導光プレートの縁部からの距離が増加するほど、減少する構造間隔を有する、弯曲回折構造を含み、上記縁部に沿って光が光源から上記導光プレートの中へ結合される、上記[13]に記載のヘッドマウントディスプレイ。
[18]上記回折格子が、導光プレート内部に捕捉された光を、回折させて、1次回折光を導光プレートの外へ結合させるとともに、上記1次回折光を上記アイボックス内に集中させるように構成された、上記[13]に記載のヘッドマウントディスプレイ。
[19]上記導光プレートに実質的に平行に配向された、第2の光バルブ配列をさらに備え、上記第2の光バルブ配列は、上記第1の光バルブ配列から出る光が通過するように位置決めされている、上記[13]に記載のヘッドマウントディスプレイ。
[20]視聴者の眼の上に着用されるように構成されたピクセル化されたコンタクトレンズをさらに含み、上記ピクセル化されたコンタクトレンズは、視聴者の眼がアイボックス内にあるときに、視聴者の眼に入射する光の量を制御する、複数の個別に動作させるピクセルを含む、上記[13]に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【0006】
本明細書において記述された原理による実施形態は、回折バックライトシステムで実現された回折格子式バックライトディスプレイを提供する。回折バックライトシステムは、光源と導光プレートとを含む。導光プレートの表面は、回折格子で構成されている。実施形態によっては、回折格子は、弯曲した回折構造(例えば、弯曲した隆起と溝)を有する。光源によって発生される光は、導光プレート縁部に沿って導光プレートの中へ結合(couple)させてもよい。回折格子は、導光プレートからの光を結合して、回折格子からある距離にある局在化された空間の領域に光を集中させるように構成されている。例えば、回折格子は、導光プレートの中へ結合される光の一部分を外へ結合させてもよい。液晶ディスプレイのような、第1の光バルブ配列を、回折格子からの光出力の経路に配置して、局在化された空間の領域において視聴するためのイメージを集中させるディスプレイを形成してもよい。実施形態によっては、ディスプレイには、局在化された空間の領域での眼の遠近調節(eye accommodation)をもたらすために、第1の光バルブ配列を通過する光の経路内に配置される、第2の光バルブ配列を含めてもよい。一実施形態において、第2の光バルブ配列は、平面状光バルブ配列としてもよい。別の実施形態においては、第2の光バルブ配列は、視聴者によって着用されるピクセル化されたコンタクトレンズとしてもよい。着用者に対して焦点を合わされた拡張現実イメージまたは仮想現実イメージを生成するために、1つまたは複数の回折格子式バックライトディスプレイを使用してもよい。
【0007】
図1Aは、導光プレート100の表面上に形成された回折格子102の回折格子パターンの平面図を示す。直交するx、y、およびz軸を備えるデカルト座標系が、以下の導光プレート100の異なる方位を記述するのに使用される。図1Aに示されるように、黒色曲線104および白色曲線106のような、同心の白黒の曲線は、弯曲した回折構造を表わす。曲線104、106によって表される、弯曲した回折構造は、実施形態によっては、導光プレート100の表面上に、交互する弯曲した隆起と溝で構成してもよい。交互する弯曲した隆起と溝は、図示されたように、縁部180から離れた場所にある、曲率の共通中心110を有するか、または共有してもよい。したがって、交互する弯曲した隆起と溝は、交互する同心の弯曲した隆起と溝として、同心の弯曲した回折構造を表わしてもよい。交互する弯曲した隆起と溝、またはさらに一般的には、弯曲した回折構造は、様々な実施形態による、回折格子102の回折格子パターンを形成する。
【0008】
実施形態によっては、弯曲した回折構造は、双曲線に追従させるか、またはそれによって画定して(すなわち、双曲線によって画定されるか、またはそれに基づき)、「双曲線形状」としてもよい。特に、弯曲した回折構造は、実施形態によっては、同心で双曲線形の弯曲した回折構造(例えば、同心の双曲線形の交互する弯曲した隆起と溝)としてもよい。他の実施形態においては、回折格子102を形成する、弯曲した回折構造、または湾曲した隆起と溝は、半円形または同心の半円形(例えば、縁部108から離れた場所にある曲率の共通中心110を有する、半円形)の形状とすることができる。さらに別の実施形態においては、実質的に双曲線形でも半円形状でもない、別の弯曲した形状を、弯曲した回折構造の曲線を画定するのに使用してもよい。
【0009】
図1Bは、導光プレート100の拡大されたxz面の断面図を示す。この図において、回折格子102はz方向に突出して、溝、例えば溝116によって離隔されている、隆起、例えば隆起114を含む。溝の幅は、wで表記され、隆起の幅は、wで表記される。溝幅wと隆起幅wの和は、「構造間隔」と呼ばれて、Λで表記される。図1Aに示されるように、溝と隆起の幅は、溝と隆起の長さに沿って実質的に一定である。隣接する溝と隆起の各対は、「回折構造」と呼ばれ、回折構造の長さに沿った構造間隔Λは、実質的に一定である。
【0010】
図1Cは、共通中心110からの半径方向距離の関数としての、回折構造間隔のプロットを示す。水平軸118は、共通中心110から延びる、図1Aにおける半径120のような半径に沿った、共通中心110からの半径方向距離を表わす。垂直軸122は、構造間隔Λを表わす。曲線124〜126は、構造間隔が、共通中心110からの距離が増加するにつれて、変化する様子を表わしている。曲線124は、共通中心110からの距離が増大するにつれて、構造間隔が指数的に減少することを表わしている。曲線125は、共通中心110からの距離が増大するにつれて、fが直線的に減少することを表わしている。曲線126は、共通中心110からの距離が増大するにつれて、構造間隔が双曲線状に減少することを表わしている。
【0011】
図1Bの例において、および後続の図解においては、回折構造の断面図は、長方形の溝と隆起で表わされている。他の実施形態においては、回折格子102の隆起と溝は、鋸歯、台形、または半円の断面形状を有してもよい。例えば、回折格子102の回折構造は、台形断面の隆起を有してもよい。
【0012】
導光プレート100は、光学的に透明な誘電体材料の延長された、実質的に平面状のシートまたはスラブの形態の光学導波路プレートとしてもよい。導光プレート100は、複数の異なる光学的に透明な材料のいずれか1種で構成するか、または、それに限定はされないが、シリカガラス、アルカリアルミノシリケートガラス、ボロシリケートガラスなどの、様々なタイプのガラス、ならびにポリ(ポリメチルメタクリレート)またはアクリルガラス、およびポリカーボネートなどの実質的に光学的に透明なプラスチックまたはポリマーを含む、様々な誘電体材料のいずれかで構成してもよい。実施形態によっては、導光プレート100は、全内部反射を促進するために、導光プレート100(図示せず)の表面の少なくとも一部分の上にクラッド層を備えてもよい。
【0013】
回折格子102は、それに限定はされないが、ウェットエッチング、鉄ミリング(iron milling)、フォトリソグラフィ、異方性エッチング、およびプラズマエッチングを含む、多数の異なる微細加工技術(microfabrication techniques)のいずれかを使用して形成してもよい。例えば、図1Bに示されるように、導光プレート100の回折格子102は、鉄ミリングを使用して、誘電体材料のスラブとして形成してもよい。一実施形態においては、導光プレート100の回折格子102は、誘電体材料のスラブの表面上に誘電体または金属の層を堆積させ、続いて、堆積された層をエッチングして、回折格子102を形成することによって形成してもよい。
【0014】
図2Aは、スラブ202の材料と異なる材料(すなわち、誘電体材料または金属)から、スラブ202の上面上に形成された、回折格子の隆起204を備える、誘電体材料のスラブ202から形成された、導光プレート100の拡大されたxz面の断面図を示す。他の実施形態においては、回折格子102は、導光プレート100の底面内に形成してもよい。図2Bは、誘電体材料のスラブ206の底面内に形成された回折格子102を備える、導光プレート100の拡大されたxz面の断面図を示す。この実施形態においては、材料の底層208が回折格子102を覆い、隆起間の溝を実質的に埋める。底層208は、スラブ206よりも低い屈折率を有する、金属、反射性材料、または誘電体材料としてもよい。図2Cは、回折格子102が、誘電体材料のスラブ210の底面内に形成された回折格子102を備える、導光プレート100の拡大されたxz面の断面図を示す。この実施形態において、溝212のような、溝は、スラブ210よりも、低い屈折率を有する、金属または誘電体材料で充填される。反射層214は、導光プレート100の底表面を覆う。
【0015】
図3Aは、回折バックライトシステム300の平面図を示す。回折バックライトシステム300は、光源302と導光プレート100とを含む。光源302によって生成された光は、「光入射縁部」と呼ばれる、縁部108に沿って、導光プレート100の中へ結合される。光源302および導光プレート100は、回折バックライトシステムを形成する。光源302は、例えば、発光ダイオード(「LED」)、有機LED、ポリマーLED、プラズマベース光エミッタ、蛍光ランプ、または白熱ランプとしてもよい。光源302からの光出力は、白色光(すなわち、可視スペクトルのほぼ全波長を含む)または可視スペクトルの狭い波長帯の特定の色としてもよい。図3Aに示されるように、光入射縁部108に沿って導光プレート100の中へ結合された光は、導光プレート100内部を、光入射縁部108から離れる方向304に伝播する。言い換えると、光は、光入射縁部108に沿って導光プレート100の中へ結合され、その結果として、光は、導光プレート100内部を、回折構造の構造間隔が減少する全体方向に伝播する。
【0016】
図3Bは、光入射縁部108の近くの導光プレート100のxz面の断面図を示す。光は、光入射縁部108に沿って導光プレート100の中へ結合されて、導光プレート100内を、構造間隔が減少する全体方向に伝播する。σで表記されて、「内部反射角度発散」と呼ばれる角度の範囲内で、導光プレート100の中へ結合された光は、全間隔反射(total interval reflection)を受けて、導光プレート100内部に捕捉される。例えば、曲線306は、内部反射角度発散σを表わし、方向矢印308〜310は、内部反射角度発散σ内で、導光プレート100へ入力された光の光路を表わす。上面312および底面314などの、反対向きの上面および底面からの反射の各点において、光は、臨界角度未満の角度で反対側の表面に当たり、導光プレート100内部に捕捉される。しかしながら、導光プレート100内部に捕捉される光の少なくとも一部分は、光路316に沿って伝播する光のように、回折格子102と相互作用する。回折格子102と相互作用する光は、1次回折ビームとして、導光プレート100から外へ結合される。例えば、光のゼロ次および高次の回折ビームを、抑制することができる。例えば、光線318は、導光プレート100の直角方向320に対して回折角度θにおいて、導光プレート100から外へ結合された、1次回折光を表わす。
【0017】
回折格子102のパターンおよび構造間隔は、第1次回折光を、導光プレート100から外へ回折式に結合させて、「アイボックス(eyebox)」と呼ばれる、実質的に局在化された空間の領域において収束させる。図4は、光源302によって発生される光が導光プレート100の中へ結合される、回折バックライトシステム300の等角図である。回折格子102は、内部反射角度発散σ内で導光プレート100に入力された光の少なくとも一部分を、ピラミッド形または円錐形の光透過領域404内部で、導光プレート100から外へ回折式に結合させて、アイボックス406の中へ収束させる。方向矢印401〜403は、光透過領域404内部の回折格子102の異なる点において、導光プレート100から外へ出て、アイボックス406の中へ結合された、1次回折光を表わす。アイボックス406を超えて、導光プレート100から離れる距離において、光は発散する。
【0018】
図5は、導光プレート100から出射されて、アイボックス406内部に位置する視聴者の眼502に入る光の、xz面の側面図を示す。アイボックス406の近似的幅は、導光プレート100からのアイボックス406の距離fと、内部反射角度発散σの積によって与えられる。
アイボックス幅=f×σ
図5において、光入射縁部108から離れると回折格子の減少する構造間隔と、内部反射角度発散σは、回折格子102から外へ結合された光を、導光プレート100から距離fの位置にある、アイボックス406の中へ集中させる。結果として、導光プレート100から外へ結合された光照射野の少なくとも一部分を、視聴者の眼がアイボックス406内にあるとき、視聴者の眼502の網膜上に集中させることができる。
【0019】
また、回折格子102から外へ結合された光は、光透過領域404とアイボックス406に、有効に閉じ込められることも注記される。結果として、視聴者の眼502がアイボックス406の外に、または光透過領域404の外側にあるときには、回折格子102から出力される光は、視聴者の眼502に入射せず、回折格子102は黒く見える。
【0020】
回折バックライトシステム300は、光バルブ配列と組み合わせて、視聴者の眼がアイボックス406内に位置するときに、視聴者の眼の網膜上にイメージを投影する、ディスプレイを形成してもよい。図6は、導光プレート100、光バルブ配列602、および光源302を含む、ディスプレイ600の等角図を示す。光バルブ配列602は、導光プレート100に実質的に平行に位置づけされており(すなわち、xy面内にあり)、光透過領域404と交差し、その結果として、回折格子102から外へ結合された光は、光バルブ配列602を通過して、アイボックス406内に集中させられる。
【0021】
図7は、アイボックス406から距離dに位置づけられた光バルブ配列602を備える、ディスプレイ600のxz面の側面図を示す。図7に示されるように、光バルブ配列602は、光透過領域404と交差させるために、実質的に導光プレート100に平行に配向されている。光バルブ配列602は、光バルブ702のような、個別に動作させる光バルブの配列を含む。光バルブ配列602は、その各々が、光バルブを通過する光の量を調整する、ピクセルとして個別に動作させることのできる、液晶光バルブの配列から構成してもよい。光バルブ702は、光バルブ702を通過する光の量を制御するために、不透明と透明の間で切り替えてもよい。光バルブは、フルカラーイメージを創出するのに使用される、赤、緑、および青のライトバルブなどの有色光バルブとしてもよい。光バルブ配列602の各光バルブを通過する光は、アイボックス406内で視聴するためのフルカラーまたは白黒のイメージを創出するように、選択的に調整してもよい。
【0022】
図8は、眼の遠近調節を提供する、ニア−アイ(near-eye)回折格子式バックライトディスプレイ800を示す。ニア−アイ回折格子式バックライトディスプレイ800は、ニアーアイ回折格子式バックライトディスプレイ800が、導光プレート100に実質的に平行に配向されて、第1の光バルブ配列602とアイボックス406の間に位置づけられる、第2の光バルブ配列802を含むことを除いて、ニア−アイ回折格子式バックライトディスプレイ700に類似している。図8において、第2の光バルブ配列802は、アイボックス406から距離dの位置にあり、第1の光バルブ配列602は、アイボックス406から距離dであって、第2の光バルブ配列802と導光プレート100の間の位置にある。光は、第1の光バルブ配列602内の光バルブと、第2の光バルブ配列802内の光バルブとを通過する。第1および第2の光バルブ配列602および802は、眼の遠近調節を行うように動作させることができる。例えば、第1および第2の光バルブ配列602、802は、眼の遠近調節を促進するイメージを得るために、(例えば、因子分解された光照射野合成(factored light field synthesis)を実現するために)乗算方式(multiplicative manner)で動作させてもよい。視聴者の眼は、例えば、2つの光バルブ配列602、802の透過特性の乗算によって生成される、仮想被写界深度に応じた、第1の光バルブ配列602と第2の光バルブ配列802の組合せ動作によって創出されるイメージに焦点を合わせる。
【0023】
図9は、眼の遠近調節を提供する、ニア−アイ回折格子式バックライトディスプレイ900を示す。ニア−アイ回折格子式バックライトディスプレイ900は、視聴者の眼502の上に配置された、ピクセル化されたコンタクトレンズ902の形態の、第2の光バルブ配列によって動作させる。ピクセル化されたコンタクトレンズ902は、視聴者の眼がアイボックス内に位置するときに、視聴者の眼に入射する光の量を制御するように構成された、複数の個別に動作させるピクセルを含む。例えば、ピクセル化されたコンタクトレンズ902は、瞳孔野(pupil area)あたり2〜9の光バルブ(すなわち、ピクセル)を含み、残りの光バルブが「オフ」(すなわち不透明)にされる間に、一時に1つの光バルブだけを個別に「オン」(すなわち、透明)にすることによって動作させることができる。例えば、ピクセル化されたコンタクトレンズ902は、独立に制御された光バルブを備える、バイオニックレンズ(bionic lens)としてもよい。ピクセル化されたコンタクトレンズ902は、ピクセル化されたコンタクトレンズ902を通過して視聴者の眼502の中に入る光の量を調整する、液晶光バルブを備えてもよい。第1の光バルブ配列602における光バルブおよびピクセル化されたコンタクトレンズ902は、眼の遠近調節を促進するために、視聴者の眼502に光が入射する方向を制御するように、独立に調整してもよい。例えば、一時に1つの光バルブだけを「オン」に切り替えることによって、視聴者の眼に入射する光の方向が変更されて、これによって、第1の光バルブ配列602によって表示される異なるイメージを、異なる方向から視聴者の眼502に入射させることが可能になり、これによって、視聴者の眼502の合焦応答がトリガリングされて、異なるイメージで、かつ視聴者から異なる距離において、対象物が表示される効果を創出することができる。視聴者の眼の遠近調節応答時間は、約0.3秒であり、このことは、例えば、調節応答を指示するのに必要とされる、第1の光バルブ配列602の有効リフレッシュレートを低下させることができる。
【0024】
他の実施形態においては、導光プレートは、回折格子102の異なる領域に対応し、パターン化されていないスペースによって離隔されている、複数の回折格子セグメントを含んでもよい。複数の回折格子セグメントは、例えば、2次元の回折格子セグメントであってもよい。回折格子セグメントは、回折格子102の異なる領域に対応し、パターン化されていないスペースによって離隔されているが、回折格子セグメントは、集合的に、光を外へ結合させて、回折格子102と同様にして光を集中させる。
【0025】
図10A〜10Cは、回折格子102の異なる領域に対応する、回折格子セグメントを含む、導光プレートを示す。図10Aは、上述の導光プレート100に類似する導光プレート1002を示すが、導光プレート1002は、1次元においてパターン化されていないスペース1010〜1013によって離隔されている、回折格子102の異なる領域に対応する、5個の回折格子セグメント1004〜1008を含む。図10Bは、上述の導光プレート100に類似する導光プレート1020を示すが、回折格子セグメント1022のような回折格子セグメントが、2次元においてパターン化されていないスペースによって離隔されている(すなわち、回折格子セグメントが2次元的である)。回折格子セグメントの回折格子パターンはまた、回折格子102の異なる領域に対応する。他の実施形態においては、回折格子セグメントは、直線構造を含んでもよい。図10Cは、導光プレート1020に類似する導光プレート1024を示すが、導光プレート1020は、直線構造から形成された、回折格子セグメント1026などの、25個の回折格子セグメントを含む。回折格子セグメント間のスペースによって占められる表面積が理由で、導光プレート1002、1020、および1024は、導光プレート100よりも少ない光を外へ結合させる。
【0026】
回折格子102の異なる領域に対応する回折格子セグメントから形成された導光プレートは、図10A〜10Cに示されているような、長方形の回折格子セグメントに限定されないことを注記すべきである。他の実施形態においては、導光プレートは、回折格子102の異なる領域に対応するとともに、パターン化されていないスペースによって離隔された、円形、楕円形、三角形、または不規則形状の回折格子セグメントで構成してもよい。
【0027】
回折格子102の異なる領域に対応する回折格子セグメントで構成された導光プレートは、図5および6を参照して上述した導光プレート100と同様にして、局在化された空間の領域に光を集中させる。図11は、導光プレート1102から距離fの位置にあるアイボックス1110の中へ光を集中させるように構成された、回折格子セグメント1104〜1108を備える、導光プレート1102のxz面の側面図を示す。光は、内部反射角度回折σの範囲内で光入射縁部1112に沿って導光プレート1102に入射する。光の一部分は、回折格子セグメント1104〜1108から外へ結合されて、アイボックス1110に集中させられる。パターン化されていないスペース1116〜1119を介して光が外へ結合されないので、導光プレート100によって生成されたアイボックス406に集中させられるよりも少ない光が、アイボックス1110に集中させられる。光透過領域1114(破線を用いて外形表示)は、例えば、回折格子セグメント1104〜1108による光集中と、パターン化されていないスペース1116〜1119を介する光の外への結合の欠落との組合せにより生じることがある。実施形態によっては、導光プレート1102を、上述の回折バックライトシステム300における導光プレート100に置き換えて、部分的ニア−アイ回折バックライトシステムを形成してもよい。
【0028】
図12は、局在化された空間の領域内にイメージを表示する方法のフロー図を示す。ブロック1201において、光は、図3Aおよび3Bを参照して、上述したような導光プレートの中へ結合される。導光プレートは、図1A〜1Cおよび10A〜10Cを参照して上述したような、2次元的な回折格子で構成されている。ブロック1202において、導光プレート内を伝播する光の一部分が、回折格子を介して導光プレートから外へ回折式に結合されて、図4および5を参照して説明したような、「アイボックス」と呼ばれる局在化された空間の領域に集中させられる。ブロック1203において、外へ結合された光の部分は、1つまたは複数の光バルブ配列を使用して調整されて、図6〜9を参照して上述したように、アイボックス内に視聴可能なイメージを形成する。視聴者の眼がアイボックス内に位置するときには、イメージは、視聴者の網膜上に集中させられて、視聴者がイメージを見ることが可能になる。
【0029】
上述のディスプレイのいずれか1つを、ヘッドマウントディスプレイ(「HMD」)内に含めて、仮想現実イメージまたは拡張現実イメージを示してもよい。図13は、拡張現実イメージを表示するための、HMD1300の例を示す。HMD1300は、フレーム1302、ディスプレイ1304、およびディスプレイコントロール1306を含む。ディスプレイ1304は、導光プレート1308および光バルブ配列1310を含む。導光プレート1308は、図1Bを参照して上述したような導光プレート100のように、透明としてもよい。導光プレート1308および光バルブ配列1310は、ディスプレイコントロール1306に接続されており、このディスプレイコントロールは、光を、図3A〜3Bを参照して上述したように、光入射縁部1312に沿って導光プレート1308の中へ結合する、光源(図示せず)を含み、ディスプレイ1304の回折バックライトシステムを形成する。光バルブ配列1310は、ディスプレイコントロール1306に接続される。ディスプレイコントロール1306は、光バルブ配列1310の光バルブを調整する、信号を送る。図13に示されるように、ディスプレイ1304およびディスプレイコントロール1306は、ディスプレイ1304が、HMD1300を着用する人の右眼の視野内に位置するように、フレーム1302から吊り下げられる。ディスプレイコントロール1306には、ワイヤレス通信ユニットに信号を送信することのできる、携帯電話などの、放送デバイスに、ディスプレイコントロール1306をワイヤレスに接続する、ワイヤレス通信ユニットを含めてもよい。ディスプレイコントロール1306は、光バルブ配列1310上に表示されるイメージを、HMD1300を着用する人の右眼内に集中させることによって、拡張現実視聴体験を創出する。例えば、ディスプレイ1304は、HMD1300を着用する人の携帯電話をコールする人の電話番号を表示することによって、拡張現実視聴体験を創出するのに使用してもよい。導光プレート1308は透明であるので、HMD1300を着用する人は、ディスプレイ1304上に表示されたイメージに焦点を合わせていないときには、自分の周辺を見ることができる。
【0030】
図14は、仮想現実イメージを表示するのに使用されるゴーグルの形態のHMD1400の例を示す。HMD1400は、アイカバー(eye cover)1402とストラップ1404とを含む。アイカバー1402は、HMD1400を着用する人の両眼を包囲し、ストラップ1404は、アイカバー1402を人の頭部に固定する。アイカバー1402は、左眼ディスプレイ1406、右眼ディスプレイ1408、およびアイカバー1402内部に位置してもよい、ディスプレイコントロール(図示せず)を含む。ディスプレイ1406および1408のそれぞれは、導光プレート1410のような導光プレート、および光バルブ配列1412を含む。導光プレートは、図1Bおよび2A〜2Cを参照して上述したように構成してもよい。導光プレートおよび光バルブ配列は、図3A〜3Bを参照して上述したように、光を導光プレートの光入射縁部の中へ結合する、少なくとも1つの光源(図示せず)を含む、ディスプレイコントロールに接続されて、ディスプレイ1408および1406のそれぞれに対して回折バックライトシステムを形成する。ディスプレイの光バルブ配列はまた、ディスプレイコントロールに接続されて、光バルブ配列の光バルブを調整する、制御信号を受け取る。図14に示されるように、ディスプレイ1406および1408は、全体がアイカバー1402内部で、かつHMD1400を着用する人の両眼の視野内に位置する。ディスプレイコントロールは、ディスプレイ1406および1408の光バルブ配列においてイメージを生成することによって、2次元および3次元の仮想現実体験を創出してもよく、ディスプレイ1406および1408の導光プレートが、HMD1400を着用する人の両眼上に、そのイメージを集中させる。他の実施形態においては、左眼ディスプレイ1406および右眼ディスプレイ1408には、眼の遠近調節を伴う視聴体験を創出するために、それぞれ、図8を参照して上述したような、第2の光バルブ配列を含めてもよい。他の実施形態においては、眼の遠近調節を伴う視聴体験を創出するために、HMD1400を着用する人は、図9を参照して上述したような、バイオニックコンタクトレンズを着用してもよい。
【0031】
開示された実施形態についての先の記述は、当業者に、本開示を作成するか、または使用することを可能にするために、提供されたものと理解されたい。当業者には、これらの実施形態に対する様々な修正形態が、容易に明白となり、本明細書において定義された一般的な原理は、本開示の趣旨と範囲から逸脱することなく、他の実施形態に適用してもよい。すなわち、本開示は、本明細書に示される実施形態に限定されることを意図するものではなく、本明細書において開示される原理と新規の特徴に整合する最も広い範囲を認容するものである。
【符号の説明】
【0032】
100 導光プレート
102 回折格子
104、106 曲線
110 共通中心
114 隆起
116 溝
180 縁部
溝幅
隆起幅
Λ 構造間隔
σ 内部反射角度発散
θ 回折角度
、d 距離
f 距離
120 半径
122 垂直軸
124、126 曲線
202 スラブ
204 隆起
208 底層
206 スラブ
210 スラブ
212 溝
214 反射層
302 光源
312 上面
314 底面
406 アイボックス
502 眼
600 ディスプレイ
602 光バルブ配列、第1の光バルブ配列
702 光バルブ
800 回折格子式バックライトディスプレイ
802 光バルブ配列、第2の光バルブ配列
900 ニア−アイ回折格子式バックライトディスプレイ
902 コンタクトレンズ
1001 導光プレート
1004〜1008 回折格子セグメント
1010〜1013 スペース
1020 導光プレート
1022 回折格子セグメント
1102 導光プレート
1104〜1108 回折格子セグメント
1110 アイボックス
1300 ヘッドマウントディスプレイ
1302 フレーム
1304 ディスプレイ
1306 ディスプレイコントロール
1310 光バルブ配列
1400 ヘッドマウントディスプレイ
1402 アイカバー
1404 ストラップ
1406 左眼ディスプレイ
1408 右眼ディスプレイ
1410 導光プレート
1412 光バルブ配列
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図11
図12
図13
図14