特許第6804526号(P6804526)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6804526
(24)【登録日】2020年12月4日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】実装装置及び実装方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/02 20060101AFI20201214BHJP
【FI】
   H05K13/02 D
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-511814(P2018-511814)
(86)(22)【出願日】2016年4月13日
(86)【国際出願番号】JP2016061875
(87)【国際公開番号】WO2017179146
(87)【国際公開日】20171019
【審査請求日】2019年3月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】特許業務法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 大輔
(72)【発明者】
【氏名】土谷 祐介
(72)【発明者】
【氏名】仙石 重徳
【審査官】 小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−335889(JP,A)
【文献】 特開2010−245236(JP,A)
【文献】 特開2000−117592(JP,A)
【文献】 特開2014−203916(JP,A)
【文献】 特開2013−110445(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を採取して実装処理する実装装置であって、
基準マークを複数の位置に有し部品を収容して収容位置と採取位置との間で移動するトレイ部材と、
前記基準マークを撮像する撮像部と、
前記トレイ部材の少なくとも初回の前記採取位置への移動時に前記基準マークを撮像し撮像された画像の前記基準マークの位置に基づいて前記部品の採取位置を補正する補正値を求める第1モードと、前記トレイ部材の採取位置への移動時に前記基準マークを撮像し撮像された画像の前記基準マークの位置に基づいて前記部品の採取位置を補正する補正値を前記第1モードより高い頻度で求める第2モードと、のいずれかを実行する制御部と、を備え、前記制御部は、下記(1)〜(4)のうち1以上を実行する、実装装置。
(1)前記制御部は、前記トレイ部材に収容された部品の情報を取得し該部品が高精度位置を要する部品であるときには前記第2モードを実行する。
(2)前記制御部は、前記第2モードにおいて前記求めた前記補正値が所定の許容範囲内で継続されたときには、前記第2モードから前記第1モードへ移行する。
(3)前記制御部は、前記トレイ部材に収容された部品を採取する採取部が採取した該部品の位置ずれの情報を取得し、位置ずれ量が所定の許容範囲外にあるときには、前記第1モードから前記第2モードへ移行する。
(4)前記制御部は、前記第2モードでは前記トレイ部材が前記採取位置へ至るたびに前記補正値を求める。
【請求項2】
前記第1モードは、新規生産開始時及びトレイ交換時のうち少なくとも一方における前記トレイ部材の前記採取位置への初回移動時に前記補正値を求めるモードである、請求項1に記載の実装装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記トレイ部材の2カ所の前記基準マークを撮像し撮像された画像の前記基準マークの位置に基づいて前記トレイ部材の位置と傾きとを補正する補正値を求める第1補正処理と、前記トレイ部材の3カ所以上の前記基準マークを撮像し撮像された画像の前記基準マークの位置に基づいて前記トレイ部材の位置と傾きと歪みとを補正する補正値を求める第2補正処理と、のいずれかを実行する、請求項1又は2に記載の実装装置。
【請求項4】
前記制御部は、新規生産開始時及びトレイ交換時のうち少なくとも一方における前記トレイ部材の採取位置への移動時に前記第2補正処理を実行し、その後、前記第1補正処理を実行する、請求項3に記載の実装装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記トレイ部材に収容された部品の情報を取得し該部品が高精度位置を要する部品であるときには前記第2補正処理を実行する、請求項3又は4に記載の実装装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記第2補正処理を継続中に前記求めた歪みの補正値が所定の許容範囲内で継続されたときには、前記第2補正処理から前記第1補正処理の継続へ移行する、請求項3〜5のいずれか1項に記載の実装装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記トレイ部材に収容された部品を採取する採取部が採取した該部品の位置ずれの情報を取得し、位置ずれ量が所定の許容範囲外にあるときには、前記第1補正処理から前記第2補正処理の継続へ移行する、請求項3〜6のいずれか1項に記載の実装装置。
【請求項8】
部品を採取して実装処理する実装装置であって、
基準マークを複数の位置に有し部品を収容して収容位置と採取位置との間で移動するトレイ部材と、
前記基準マークを撮像する撮像部と、
前記トレイ部材の2カ所の前記基準マークを撮像し撮像された画像の前記基準マークの位置に基づいて前記トレイ部材の位置と傾きとを補正する補正値を求める第1補正処理と、前記トレイ部材の3カ所以上の前記基準マークを撮像し撮像された画像の前記基準マークの位置に基づいて前記トレイ部材の位置と傾きと歪みとを補正する補正値を求める第2補正処理と、のいずれかを実行する制御部と、を備え、前記制御部は、下記(5)〜(8)のうち1以上を実行する、実装装置。
(5)前記制御部は、新規生産開始時及びトレイ交換時のうち少なくとも一方における前記トレイ部材の採取位置への移動時に前記第2補正処理を実行し、その後、前記第1補正処理を実行する。
(6)前記制御部は、前記トレイ部材に収容された部品の情報を取得し該部品が高精度位置を要する部品であるときには前記第2補正処理を実行する。
(7)前記制御部は、前記第2補正処理を継続中に前記求めた歪みの補正値が所定の許容範囲内で継続されたときには、前記第2補正処理から前記第1補正処理の継続へ移行する。
(8)前記制御部は、前記トレイ部材に収容された部品を採取する採取部が採取した該部品の位置ずれの情報を取得し、位置ずれ量が所定の許容範囲外にあるときには、前記第1補正処理から前記第2補正処理の継続へ移行する。
【請求項9】
基準マークを複数の位置に有し部品を収容して収容位置と採取位置との間で移動するトレイ部材を備え、部品を採取して実装処理する実装装置が実行する実装方法であって、
前記トレイ部材の少なくとも初回の前記採取位置への移動時に前記基準マークを撮像し撮像された画像の前記基準マークの位置に基づいて前記部品の採取位置を補正する補正値を求める第1モードと、前記トレイ部材の採取位置への移動時に前記基準マークを撮像し撮像された画像の前記基準マークの位置に基づいて前記部品の採取位置を補正する補正値を前記第1モードより高い頻度で求める第2モードと、のいずれかを実行するステップ、を含み、前記ステップでは、下記(9)〜(12)のうち1以上を実行する、実装方法。(9)前記ステップでは、前記トレイ部材に収容された部品の情報を取得し該部品が高精度位置を要する部品であるときには前記第2モードを実行する。
(10)前記ステップでは、前記第2モードにおいて前記求めた前記補正値が所定の許容範囲内で継続されたときには、前記第2モードから前記第1モードへ移行する。
(11)前記ステップでは、前記トレイ部材に収容された部品を採取する採取部が採取した該部品の位置ずれの情報を取得し、位置ずれ量が所定の許容範囲外にあるときには、前記第1モードから前記第2モードへ移行する。
(12)前記ステップでは、前記第2モードでは前記トレイ部材が前記採取位置へ至るたびに前記補正値を求める。
【請求項10】
基準マークを複数の位置に有し部品を収容して収容位置と採取位置との間で移動するトレイ部材を備え、部品を採取して実装処理する実装装置が実行する実装方法であって、
前記トレイ部材の2カ所の前記基準マークを撮像し撮像された画像の前記基準マークの位置に基づいて前記トレイ部材の位置と傾きとを補正する第1補正処理と、前記トレイ部材の3カ所以上の前記基準マークを撮像し撮像された画像の前記基準マークの位置に基づいて前記トレイ部材の位置と傾きと歪みとを補正する第2補正処理と、のいずれかを実行するステップ、を含み、前記ステップでは、下記(13)〜(16)のうち1以上を実行する、実装方法。
(13)前記ステップでは、新規生産開始時及びトレイ交換時のうち少なくとも一方における前記トレイ部材の採取位置への移動時に前記第2補正処理を実行し、その後、前記第1補正処理を実行する。
(14)前記ステップでは、前記トレイ部材に収容された部品の情報を取得し該部品が高精度位置を要する部品であるときには前記第2補正処理を実行する。
(15)前記ステップでは、前記第2補正処理を継続中に前記求めた歪みの補正値が所定の許容範囲内で継続されたときには、前記第2補正処理から前記第1補正処理の継続へ移行する。
(16)前記ステップでは、前記トレイ部材に収容された部品を採取する採取部が採取した該部品の位置ずれの情報を取得し、位置ずれ量が所定の許容範囲外にあるときには、前記第1補正処理から前記第2補正処理の継続へ移行する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、実装装置及び実装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、実装装置としては、例えば、部品供給パレット上に形成した基準マークを読み取り、その固定位置誤差を算出するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この装置では、部品保持部と部品受取部との位置ずれを修正し、受取精度を向上することができる。また、実装装置としては、例えば、パレットに位置決め穴及びマークを設け、マークを認識することで吸着位置を補正しパレットからの部品の吸着を安定させるものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−216576号公報
【特許文献2】特開平10−335889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この特許文献1、2に記載された実装装置では基準マークを用いて部品の採取を安定させるものであるが、例えば、部品の採取をより高精度に行い、あるいは部品の採取をより高効率で行うことは考慮されていなかった。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、部品の採取をより高精度に行い、あるいは部品の採取をより高効率で行うことができる実装装置及び実装方法を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
即ち、本発明の実装装置は、部品を採取して実装処理する実装装置であって、
基準マークを複数の位置に有し部品を収容して収容位置と採取位置との間で移動するトレイ部材と、
前記基準マークを撮像する撮像部と、
前記トレイ部材の少なくとも初回の前記採取位置への移動時に前記基準マークを撮像し撮像された画像の前記基準マークの位置に基づいて前記部品の採取位置を補正する補正値を求める第1モードと、前記トレイ部材の採取位置への移動時に前記基準マークを撮像し撮像された画像の前記基準マークの位置に基づいて前記部品の採取位置を補正する補正値を前記第1モードより高い頻度で求める第2モードと、のいずれかを実行する制御部と、
を備えたものである。
【0008】
この装置では、トレイ部材が有する基準マークを用いて、トレイ部材の初回移動時には部品の採取位置を補正する補正値を求める第1モードを行う一方、トレイ部材の繰り返し移動時に部品の採取位置を補正する補正値をより高い頻度で求める第2モードを行う。この装置では、第2モードを実行することによって部品の採取をより高精度に行い、あるいは第1モードを実行することによって部品の採取をより高効率に行うことができる。ここで、「トレイ部材」は、トレイ本体のほか位置精度を確保した状態でトレイに接続される接続部材をも含み、基準マークは接続部材に配設されていてもよい。
【0009】
本発明の実装装置は、部品を採取して実装処理する実装装置であって、
基準マークを複数の位置に有し部品を収容して収容位置と採取位置との間で移動するトレイ部材と、
前記基準マークを撮像する撮像部と、
前記トレイ部材の2カ所の前記基準マークを撮像し撮像された画像の前記基準マークの位置に基づいて前記トレイ部材の位置と傾きとを補正する補正値を求める第1補正処理と、前記トレイ部材の3カ所以上の前記基準マークを撮像し撮像された画像の前記基準マークの位置に基づいて前記トレイ部材の位置と傾きと歪みとを補正する補正値を求める第2補正処理と、のいずれかを実行するものとする。
【0010】
この装置では、2カ所の基準マークを用いトレイ部材の位置と傾きとを補正する補正値を求める第1補正処理を行う一方、3カ所以上の基準マークを用いトレイ部材の位置と傾きと歪みとを補正する補正値を求める第2補正処理を行う。この装置では、第1補正処理を行うことによって部品の採取をより高効率に行う一方、第2補正処理を行うことによって部品の採取をより高精度に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実装装置11の構成の概略の一例を表す概略説明図。
図2】パレット23及びトレイ部材24の一例を表す説明図。
図3】トレイ部品供給処理ルーチンの一例を表すフローチャート。
図4】トレイ本体25の位置ずれを表す説明図。
図5】トレイ本体25の傾きを表す説明図。
図6】トレイ本体25の歪みを表す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の好適な実施形態を図面を参照しながら以下に説明する。図1は、実装システム10の実装装置11の構成の概略の一例を表す説明図である。図2は、パレット23及びトレイ部材24の一例を表す説明図である。実装システム10は、例えば、図1に示すように、部品Pを基板S上に配置する実装処理を実行するシステムである。この実装システム10は、実装装置11と、管理コンピュータ(PC)40とを備えている。実装システム10では、複数の実装装置11が上流から下流に配置されている。図1では、説明の便宜のため実装装置11を1台のみ示している。管理PC40は、実装装置11での処理条件を含む実装ジョブ情報などを管理する。なお、本実施形態において、左右方向(X軸)、前後方向(Y軸)及び上下方向(Z軸)は図1に示した通りとする。
【0013】
実装装置11は、基板搬送ユニット12と、実装ユニット13と、パーツカメラ19と、部品供給ユニット20と、制御部30とを備えている。基板搬送ユニット12は、基板Sの搬入、搬送、実装位置での固定、搬出を行うユニットである。基板搬送ユニット12は図1の前後に間隔を開けて設けられ左右方向に架け渡された1対のコンベアベルトを有している。基板Sはこのコンベアベルトにより搬送される。
【0014】
実装ユニット13は、部品を部品供給ユニット20から採取し、基板搬送ユニット12に固定された基板Sへ配置するものである。実装ユニット13は、ヘッド移動部15と、実装ヘッド16と、吸着ノズル17とを備えている。ヘッド移動部15は、ガイドレールに導かれてXY方向へ移動するスライダと、スライダを駆動するモータとを備えている。実装ヘッド16は、スライダに取り外し可能に装着されており、ヘッド移動部15によりXY方向へ移動する。実装ヘッド16の下面には、1以上の吸着ノズル17が取り外し可能に装着されている。吸着ノズル17は、圧力を利用して部品Pを採取する採取部材である。なお、この採取部材は、部品Pを把持するメカニカルチャックとしてもよい。また、実装ヘッド16には、基板Sなどを上方から撮影するマークカメラ18が配設されている。マークカメラ18は、下方が撮影領域であり、基板Sの基準位置やトレイ部材24に付された基準マーク27を読み取る。マークカメラ18は、実装ヘッド16の移動に伴ってX−Y方向へ移動する。
【0015】
パーツカメラ19は、基板搬送ユニット12と部品供給ユニット20との間に配設されている。このパーツカメラ19の撮像範囲はパーツカメラ19の上方である。パーツカメラ19は、部品Pを吸着した吸着ノズル17がパーツカメラ19の上方を通過する際、吸着ノズル17に吸着された部品Pを下方から撮像し、その画像を制御部30へ出力する。
【0016】
部品供給ユニット20は、リールを備えた複数のフィーダと、複数のトレイを収容したトレイユニットとを備えている。フィーダは、リールに巻き付けられ部品を保持したテープを送り出し、部品Pを実装ユニット13へ供給するものである。トレイユニットは、マガジン部21と、パレット23と、トレイ部材24とを備えている。マガジン部21は、トレイ部材24を固定したパレット23を複数収容している。パレット23は、マガジン部21内の初期位置(図1点線参照)と、部品Pを採取する採取位置(図1実線参照)との間を図示しない移動機構により移動する。トレイ部材24は、図2に示すように、トレイ本体25と固定部材26と基準マーク27とを有する。トレイ本体25は、多数の矩形のキャビティが形成された板状の部材であり、このキャビティに部品Pを収容している。固定部材26は、トレイ本体25をパレット23へ固定する部材であり、位置精度を確保した状態でトレイ本体25に接続されている。図2では、トレイ本体25の4箇所を固定部材26で固定する例を示した。基準マーク27は、トレイ本体25の位置を検出するのに用いられるものであり、固定部材26上に形成されている。なお、基準マーク27は、トレイ本体25の上面に形成されていてもよい。
【0017】
制御部30は、CPU31を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、処理プログラムを記憶する記憶部32などを備えている。この制御部30は、基板搬送ユニット12や実装ユニット13、パーツカメラ19、部品供給ユニット20へ制御信号を出力し、実装ユニット13やパーツカメラ19、部品供給ユニット20からの信号を入力する。
【0018】
次に、こうして構成された本実施形態の実装システム10の動作、特に、トレイユニットから部品Pを採取する際に部品Pの位置を補正する処理について説明する。図3は、制御部30のCPU31が実行するトレイ部品供給処理ルーチンの一例を表すフローチャートである。このルーチンは、記憶部32に記憶され、実装装置11の実装処理が開始されたあと実行される。
【0019】
このルーチンが開始されると、制御部30のCPU31は、トレイ部材24から採取する部品Pの位置を補正するモードを設定する(ステップS100)。このモードとしては、新規生産開始時及びトレイ交換時のうち少なくとも一方における初回の採取位置へのトレイ部材24の移動時に基準マーク27を撮像して補正値を求める第1モードと、第1モードより高い頻度で補正値を求める第2モードとがある。ここでは、第1モードでは、CPU31は、初回のみ部品Pの採取位置の補正値を求め、その後はその補正値を繰り返し用いて部品Pを採取するものとする。また、第2モードでは、CPU31は、トレイ部材24がマガジン部21から引き出されるたびに毎回補正値を求め、その補正値で部品Pを採取するものとする。ステップS100では、作業者が予め選択したモードを実行用のモードに設定してもよいし、初期設定のモード(例えば第2モード)を実行用のモードに設定してもよい。
【0020】
次に、CPU31は、トレイユニットの部品Pを採取するか否かに基づいてトレイ部材24の引き出しがあるか否かを判定し(ステップS110)、トレイ部材24の引き出しがあるときには、該当するトレイ部材24を採取位置へ移動させる(ステップS120)。次に、CPU31は、該当するトレイ部材24は初回に引き出されるものであるか否かを判定する(ステップS130)。該当するトレイ部材24が初回の引き出しであるときには、CPU31は、トレイ部材24に配設された3カ所の基準マーク27をマークカメラ18で撮像する処理を行い(ステップS140)、撮像された画像の基準マーク27の位置に基づいてトレイ部材24の位置と傾きと歪みとを補正する補正値を求める(ステップS150)。ここで、CPU31は、トレイ部材24の2カ所の基準マーク27を撮像し、トレイ部材24の位置、傾きを補正する第1補正処理と、トレイ部材24の3カ所以上の基準マーク27を撮像し、トレイ部材24の位置、傾き及び歪みを補正する第2補正処理とを実行する。ここでは、初回のトレイ部材24の引き出し時に第2補正処理を行い、同一のトレイ部材24の2回目以降の引き出しでは第1補正処理を実行するよう設定されているものとする。
【0021】
図4は、トレイ本体25の位置ずれを表す説明図である。図5は、トレイ本体25の傾きを表す説明図である。図6は、トレイ本体25の歪み(伸び)を表す説明図である。図4に示すように、トレイ本体25の位置ずれは、基準マーク27の基準となる座標(図中点線)と撮像した画像の座標との差により求めることができる。トレイ本体25の位置ずれと同じように部品Pもずれることから、位置ずれの補正値は、トレイ本体25の位置ずれと同じように吸着ノズル17の位置をずらす値とすればよい。また、図5に示すように、トレイ本体25の傾きは、少なくとも2つの基準マーク27を結ぶ直線の傾きにより求めることができる。傾きの補正値は、このトレイ本体25の傾きに合わせた位置ずれ量として求めることができる。更に、図6に示すように、トレイ本体25の歪みは、少なくとも2つの基準マーク27を基準としたときに、3つ目の基準マーク27がどのようにずれているかにより求めることができる。例えば、図6のように2点の距離が同じで、3点目の長さのみ異なる場合は、トレイ本体25が所定の割合で伸縮していることが検出できる。この場合は、その所定の割合を加味して吸着ノズル17の位置をずらす値を求めればよい。また、3つ目の基準マーク27が左右方向にずれている場合は、トレイ本体25が左右方向に歪んでいる割合を求め、その割合を加味して吸着ノズル17の位置をずらす値を求めればよい。
【0022】
ステップS150のあと、CPU31は、その補正値を記憶すると共に、その補正値を用いて部品を実装ユニット13に採取させる(ステップS240)。トレイ本体25の位置、傾き及び歪みを補正しているため、部品Pを的確な位置で採取することができる。次に、CPU31は、次に採取する部品Pがあるか否かを判定し(ステップS250)、次に採取する部品Pがあるときには、その部品Pが他のトレイ部材24にあるか否かを判定する(ステップS260)。他のトレイ部材24にはないとき、即ち、現在採取位置にあるトレイ部材24から部品Pを採取する場合であるときには、CPU31は、現在の補正値を用い、ステップS240以降の処理を実行する。一方、ステップS260で次に採取する部品Pが他のトレイ部材24にあるときには、CPU31は、現在採取位置にあるトレイ部材24を初期位置へ移動させ(ステップS270)、ステップS120以降の処理を実行する。即ち、CPU31は、ステップS120で、該当するトレイ部材24を採取位置へ移動させ、ステップS130で初回引き出しであるか否かを判定する。
【0023】
該当するトレイ部材24が初回引き出しでないとき、即ち、同一のトレイ部材24での2回目以降の引き出しであるときには、CPU31は、現在の設定モードが何であるかを判定する(ステップS160)。現在の設定が第2モードであるときには、トレイ部材24の引き出しのたびに、第1補正処理で補正値を求めるものとして、CPU31は、基準マーク27の2カ所を撮像し(ステップS170)、トレイ本体25の位置、傾きの補正値を算出する(ステップS180)。なお、歪みの補正値は、初回に求めた値を繰り返し用いるものとしてもよい。
【0024】
次に、CPU31は、求めた補正値が所定の許容範囲内で継続しているか否かを判定する(ステップS190)。この判定は、毎回補正値を求める必要があるかを判定するものである。例えば、複数回求めた補正値の変動がほとんどない場合、トレイ本体25は、位置ずれや傾きなどがある場合であっても、その状態から更にずれることなく固定されているといえる。この場合は、一度求めた補正値を繰り返し用いても、実装ユニット13は、部品Pの吸着位置精度を確保できる。ここで、「所定の許容範囲」は、例えば、補正値が変動していないと見なせる範囲として経験的に求めた範囲としてもよく、例えば、±10%の変動範囲などとすることができる。また、「継続」とは、例えば、連続3回や、連続5回などに経験的に定めるものとしてもよい。そして、求めた補正値が所定の許容範囲内で継続していないときには、そのままステップS240以降の処理を実行する。一方、求めた補正値が所定の許容範囲内で継続しているときには、CPU31は、補正値を求める頻度の低い第1モードへ移行して(ステップS200)、ステップS240以降の処理を実行する。
【0025】
一方、ステップS160で設定モードが第1モードであるときには、部品Pの採取位置ずれ情報を取得する(ステップS210)。採取位置ずれ情報は、部品Pを吸着ノズル17で採取したときの部品Pと吸着ノズル17との位置ずれ量を含む。この採取位置ずれは、ステップS240で部品Pを吸着ノズル17で採取したのち、パーツカメラ19でその状態を撮像することにより求めることができる。この位置ずれ情報は、例えば、この判定が先に行われてからの上記のように求めた採取位置ずれ量を複数含むものとしてもよい。続いて、CPU31は、部品Pの採取位置ずれ量が許容範囲外であるか否かを判定する(ステップS220)。この「許容範囲」は、例えば、採取位置ずれがあっても部品Pの実装に影響が少ないとみなせる範囲として経験的に定めたものとしてもよい。部品Pの採取位置ずれ量が許容範囲内であるときには、CPU31は、そのままステップS240以降の処理を実行する。一方、部品Pの採取位置ずれ量が許容範囲外であるときには、CPU31は、トレイ本体25の位置補正の精度を高めるべく、第2モードへ移行して(ステップS230)、ステップS240以降の処理を実行する。そして、ステップS250で、次の部品がないとき、即ち全ての部品を供給し終えたときには、CPU31は、このルーチンを終了する。
【0026】
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態のトレイ部材24がトレイ部材に相当し、基準マーク27が基準マークに相当し、マークカメラ18が撮像部に相当し、制御部30が制御部に相当し、実装ユニット13が採取部に相当する。
【0027】
以上説明した本実施形態の制御部30は、トレイ部材24の少なくとも初回の採取位置への移動時に基準マーク27を撮像し撮像された画像の基準マーク27の位置に基づいて部品Pの採取位置を補正する補正値を求める第1モードを実行する。また、制御部30は、トレイ部材24の採取位置への移動時に基準マーク27を撮像し撮像された画像の基準マーク27の位置に基づいて部品Pの採取位置を補正する補正値を第1モードより高い頻度で求める第2モードを実行する。この装置では、第2モードを実行することによって部品Pの採取をより高精度に行い、あるいは第1モードを実行することによって部品Pの採取をより高効率に行うことができる。また、第1モードは、新規生産開始時及びトレイ交換時のうち少なくとも一方におけるトレイ部材24の採取位置への初回移動時に補正値を求めるモードである。実装装置11では、新規生産開始時やトレイ交換後の再開時に求めた補正値を用いて、その後の部品採取を行うことができるため、部品Pの採取をより高効率に行うことができる。
【0028】
更に、制御部30は、第2モードにおいて求めた補正値が所定の許容範囲内で継続されたときには、第2モードから第1モードへ移行するため、この装置では、補正値が継続的に許容範囲内にある、即ちトレイ部材24の位置ずれ変動が小さい場合には、実行頻度の低い第1モードを行うことにより、高精度な部品Pの採取を維持しつつ、部品Pの採取をより高効率に行うことができる。更にまた、制御部30は、トレイ部材24に収容された部品Pを採取する実装ユニット13が採取した部品Pの位置ずれの情報(採取位置ずれ情報)を取得し、位置ずれ量が所定の許容範囲外にあるときには、第1モードから第2モードへ移行する。この装置では、第1モードにおいて、採取した部品Pの位置ずれが許容範囲外にあるとき、即ち部品の位置ずれが大きいときに第2モードへ変更するため、部品の採取をより高精度に行うことができる。そして、制御部30は、第2モードではトレイ部材24が採取位置へ至るたびに毎回補正値を求めるため、部品Pの採取を更に高精度に行うことができる。
【0029】
また、制御部30は、トレイ部材24の2カ所の基準マーク27を撮像し撮像された画像の基準マーク27の位置に基づいてトレイ部材24の位置と傾きとを補正する補正値を求める第1補正処理を実行する。また、制御部30は、トレイ部材24の3カ所以上の基準マーク27を撮像し撮像された画像の基準マーク27の位置に基づいてトレイ部材24の位置と傾きと歪みとを補正する補正値を求める第2補正処理を実行する。この装置では、2カ所の基準マーク27を用いる第1補正処理を行うことによって部品の採取をより高効率に行う一方、3カ所以上の基準マーク27を用いてトレイ部材24の歪みまで補正する第2補正処理を行うことによって部品の採取をより高精度に行うことができる。更に、制御部30は、新規生産開始時及びトレイ交換時のうち少なくとも一方におけるトレイ部材24の採取位置への初回移動時に第2補正処理を実行し、その後、第1補正処理を実行する。この装置では、まずトレイ部材24の歪みまで補正するため、部品Pの採取をより高精度に行うことができ、それ以降は歪みの補正値の測定を省略するため部品Pの採取をより高効率に行うことができる。
【0030】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0031】
例えば上述した実施形態では、第1モードと第2モードとを補正値の変動と採取位置ずれ量などに基づいて切り替えるものとしたが、特にこれに限定されず、他のパラメータに応じてモードを切り替えるものとしてもよい。また、作業者の設定に基づいて第1モード及び第2モードのいずれかを実行するものとしてもよい。また、第1モードは、初回のトレイ本体25の移動時にのみ補正値を求めるモードとしたが、第2モードよりも頻度が低ければ、2回以降も定期的に補正値を求めるものとしてもよい。同様に、第2モードは、トレイ部材24がマガジン部21から引き出されるたびに毎回補正値を求めるものとしたが、第1モードよりも頻度が高ければ、定期的に補正値を求めない場合があってもよい。また、制御部30は、第1モードにおいて、求めた補正値が所定の許容範囲外で継続されたときには、第1モードから第2モードへ移行するものとしてもよい。この装置では、補正値が継続的に許容範囲内にない、即ちトレイ部材24の位置ずれ変動が大きい場合には実行頻度の高い第2モードを行うため、部品Pの採取をより高精度に行うことができる。
【0032】
上述した実施形態では、特に説明しなかったが、例えば、制御部30は、トレイ本体25に収容された部品Pの情報を取得しその部品Pが所定の高精度位置を要する部品であるときには第2モードを実行するものとしてもよい。この装置では、高精度位置を要する部品に対しては、部品Pの採取をより高精度に行うことができる。ここで「高精度位置を要する部品」とは、例えば、先に配置された部品上へ配置される部品や、狭隣接した部品などが挙げられる。
【0033】
上述した実施形態では、特に説明しなかったが、例えば、制御部30は、トレイ部材24に収容された部品Pの情報を取得しこの部品Pが所定の高精度位置を要する部品であるときには第2補正処理を実行するものとしてもよい。この装置では、高精度位置を要する部品に対しては、部品Pの採取をより高精度に行うことができる。
【0034】
上述した実施形態では、初回のトレイ部材24の引き出し時に第2補正処理を行い、同一のトレイ部材24における2回目以降の引き出し時には第1補正処理を行うものとしたが、特にこれに限定されない。例えば、制御部30は、第2補正処理を継続中に、求めた歪みの補正値が所定の許容範囲内で継続されたときには、第2補正処理から第1補正処理の継続へ移行するものとしてもよい。この装置では、トレイ部材24の歪みの変動が許容範囲内ではその補正を省略するため、部品Pの採取をより高効率に行うことができる。ここで、「第2補正処理を継続中」とは、第2補正処理をトレイ部材が移動するたびに行う連続的な継続を含むほか、所定回数おきや所定時間経過後に行う断続的な継続をも含む。また、「所定の許容範囲」は、例えば、補正値が変動していないと見なせる範囲として経験的に求めた範囲としてもよく、例えば、±10%の変動範囲などとすることができる。また、制御部30は、トレイ部材24に収容された部品Pを採取する実装ユニット13が採取した部品Pの採取位置ずれ情報を取得し、位置ずれ量が所定の許容範囲外にあるときには、第1補正処理から第2補正処理の継続へ移行するものとしてもよい。この装置では、採取した部品Pの位置ずれが許容範囲外にあるとき、即ち部品Pの位置ずれが大きいときにトレイ部材24の歪みまで補正する第2補正処理を継続するため、部品Pの採取をより高精度に行うことができる。
【0035】
上述した実施形態では、第2モードのとき第2補正処理を行い、第1モードのとき第1補正処理を行う組み合わせをメインとしたが、特にこれに限定されない。例えば、第1モードで第2補正処理を行う、第2モードで第1補正処理を行うなど、様々に組み合わせてもよい。
【0036】
上述した実施形態では、第1モード及び第2モードの切り替え、第1補正処理及び第2補正処理の切り替えの両方を行うものとしたが特にこれに限定されず、いずれか一方の切り替えを省略してもよい。こうしても、部品Pの採取をより高精度に行い、あるいは部品Pの採取をより高効率に行うことができる。あるいは、上述した実施形態では、第1モード及び第2モードを有するものとしたが、いずれか一方を有さないものとしてもよい。また、上述した実施形態では、第1補正処理及び第2補正処理を有するものとしたが、いずれか一方を有さないものとしてもよい。具体的には、例えば、制御部30は、トレイ部材24の少なくとも初回の採取位置への移動時に基準マーク27を撮像し撮像された画像の基準マーク27の位置に基づいて部品Pの採取位置を補正する補正値を求めるモード(第1モード)を、トレイ部材24の3カ所以上の基準マーク27を撮像し撮像された画像の基準マーク27の位置に基づいてトレイ部材24の位置と傾きと歪みとを補正する補正値を求める補正処理(第2補正処理)により実行するものとしてもよい。この装置では、第1モードによって高効率に、第2補正処理によって高精度に部品Pの採取を行うことができる。
【0037】
上述した実施形態では、第2補正処理では3カ所の基準マーク27を用いるものとしたが、3カ所以上であれば、特に限定されない。なお、実装装置11では撮像箇所が増えると撮像時間や解析時間が長くなるため、高精度ではあるが時間を要する実装処理になる。
【0038】
上述した実施形態では、補正値を求める処理の頻度を変更するものとしたが、例えば、補正値の変動が所定の補正不要な範囲内であるときには、補正自体を省略してもよい。この装置では、補正を省略して部品Pの採取をより高効率に行うことができる。
【0039】
上述した実施形態では、実装装置11として説明したが、特にこれに限定されず、実装方法としてもよいし、それを実行するプログラムとしてもよい。なお、この実装方法において、上述した実装装置の種々の態様を採用してもよいし、また、上述した実装装置の各機能を実現するようなステップを追加してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、電子部品の実装分野に利用可能である。
【符号の説明】
【0041】
10 実装システム、11 実装装置、12 基板搬送ユニット、13 実装ユニット、15 ヘッド移動部、16 実装ヘッド、17 吸着ノズル、18 マークカメラ、19 パーツカメラ、20 部品供給ユニット、21 マガジン部、23 パレット、24 トレイ部材、25 トレイ本体、26 固定部材、27 基準マーク、30 制御部、31 CPU、32 記憶部、40 管理PC、P 部品、S 基板。
図1
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図3
図4
図5
図6