(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6804530
(24)【登録日】2020年12月4日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】極低温流体で粉末を混合する装置及び方法
(51)【国際特許分類】
G21C 21/02 20060101AFI20201214BHJP
B01F 3/12 20060101ALI20201214BHJP
B01F 15/02 20060101ALI20201214BHJP
B01F 7/16 20060101ALI20201214BHJP
B01J 4/02 20060101ALI20201214BHJP
B01F 11/02 20060101ALI20201214BHJP
【FI】
G21C21/02 240
B01F3/12
B01F15/02 B
B01F7/16 F
B01F7/16 G
B01J4/02 C
B01F11/02
G21C21/02 230
G21C21/02 210
【請求項の数】18
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-522568(P2018-522568)
(86)(22)【出願日】2016年11月3日
(65)【公表番号】特表2018-538526(P2018-538526A)
(43)【公表日】2018年12月27日
(86)【国際出願番号】EP2016076506
(87)【国際公開番号】WO2017076944
(87)【国際公開日】20170511
【審査請求日】2019年10月18日
(31)【優先権主張番号】1560570
(32)【優先日】2015年11月4日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】502124444
【氏名又は名称】コミッサリア ア レネルジー アトミーク エ オ ゼネルジ ザルタナテイヴ
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブロティエ メリル
(72)【発明者】
【氏名】ヴォーデ ステファン
【審査官】
大門 清
(56)【参考文献】
【文献】
特表平04−503471(JP,A)
【文献】
特開2011−206677(JP,A)
【文献】
米国特許第04917834(US,A)
【文献】
特開2004−325437(JP,A)
【文献】
特開平01−228526(JP,A)
【文献】
特開平11−109089(JP,A)
【文献】
特開2000−210553(JP,A)
【文献】
特開平04−310227(JP,A)
【文献】
特開平04−235726(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC G21C 21/02
B01F 3/12、3/18
B01F 7/16
B01F 11/02
B01F 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
極低温流体で粉末(P)を混合する装置(1)であって、
直列に配列されており、各々が極低温流体(FC)を収容する前記粉末(P)を混合するための複数の混合チャンバ(E1、…、En)と、
前記複数の混合チャンバ(E1、…、En)のうち第一の混合チャンバ(E1)への前記粉末(P)の導入を可能にすべく粉末を供給する供給チャンバ(A1、A2)と、
各々が前記複数の混合チャンバ(E1〜En)のうち連続する二つの間に配置されて一方の混合チャンバから次の混合チャンバへの前記粉末(P)の分配を制限する、複数の通過制限システム(R1〜Rn−1)と、
前記複数の混合チャンバ(E1、…、En)の各々において、前記極低温流体(FC)内に浮遊する前記粉末(P)の混合を可能にする撹拌手段(2、2a、2b)と、
を備え、
前記混合される粉末(P)は、アクチニド粉末である、
装置。
【請求項2】
極低温流体で粉末(P)を混合する装置(1)であって、
直列に配列されており、各々が極低温流体(FC)を収容する前記粉末(P)を混合するための複数の混合チャンバ(E1、…、En)と、
前記複数の混合チャンバ(E1、…、En)のうち第一の混合チャンバ(E1)への前記粉末(P)の導入を可能にすべく粉末を供給する供給チャンバ(A1、A2)と、
各々が前記複数の混合チャンバ(E1〜En)のうち連続する二つの間に配置されて一方の混合チャンバから次の混合チャンバへの前記粉末(P)の分配を制限する、複数の通過制限システム(R1〜Rn−1)と、
前記複数の混合チャンバ(E1、…、En)の各々において、前記極低温流体(FC)内に浮遊する前記粉末(P)の混合を可能にする撹拌手段(2、2a、2b)と、
を備え、
前記極低温流体(FC)は、僅かに水素化された液体を含んでおり、
前記水素化された液体は、当該液体の分子一つあたり最大一つの水素原子を含み、かつ水よりも沸点が低い、
装置。
【請求項3】
極低温流体で粉末(P)を混合する装置(1)であって、
直列に配列されており、各々が極低温流体(FC)を収容する前記粉末(P)を混合するための複数の混合チャンバ(E1、…、En)と、
前記複数の混合チャンバ(E1、…、En)のうち第一の混合チャンバ(E1)への前記粉末(P)の導入を可能にすべく粉末を供給する供給チャンバ(A1、A2)と、
各々が前記複数の混合チャンバ(E1〜En)のうち連続する二つの間に配置されて一方の混合チャンバから次の混合チャンバへの前記粉末(P)の分配を制限する、複数の通過制限システム(R1〜Rn−1)と、
前記複数の混合チャンバ(E1、…、En)の各々において、前記極低温流体(FC)内に浮遊する前記粉末(P)の混合を可能にする撹拌手段(2、2a、2b)と、
を備え、
前記複数の通過制限システム(R1〜Rn−1)は、前記複数の混合チャンバ(E1、…、En)を通過する粉末の流れに沿って通過断面積が減少するように構成されており、
(n−1)番目の通過制限システム(Rn−1)の通過断面積は、次に粉末が流れるn番目の通過制限システム(Rn)の通過断面積よりも大きい、
装置。
【請求項4】
前記撹拌手段は、ブレード、タービン、およびドゥーヴェイ効果を生じる可動設備の少なくとも一つを含む可動混合設備(2a)を備えている、
請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記撹拌手段(2a)は、可動グラインド設備を備えている、
請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記撹拌手段は、振動を発生する手段として超音波を発生するソノトロード(2b)を備えている、
請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記複数の通過制限システム(R1〜Rn−1)は、スクリーンを備えている、
請求項1から6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記複数の通過制限システム(R1〜Rn−1)は、ダイアフラムを備えている、
請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記複数の通過制限システム(R1〜Rn−1)の通過断面積は、自然な粉末の流れの断面積よりも小さい、
請求項1から8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記複数の混合チャンバ(E1、…、En)と前記複数の通過制限システム(R1〜Rn−1)は、同じ鉛直方向に配列されることにより、重力の影響による前記粉末(P)の流れを可能にしている、
請求項1から9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記複数の混合チャンバ(E1〜En)に導入される前記粉末(P)を帯電させるシステム(C+、C−)を備えている、
請求項1から10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記粉末(P)の一部は、前記帯電させるシステムの一部(C+)に接触して正の電位に帯電され、前記粉末(P)の別の一部は、前記帯電させるシステムの別の一部(C−)に接触して負の電位に帯電されることにより、異極化局所凝集を可能にする、
請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記極低温流体(FC)は、液体窒素である、
請求項1から12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記供給チャンバ(A1、A2)を少なくとも二つ備えており、
前記供給チャンバ(A1、A2)の数は、前記混合される粉末(P)の種別の数と同じである、
請求項1から13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記供給チャンバ(A1、A2)は、供給量を調節可能なホッパと、振動板またはトンネルを含む計量システムの少なくとも一方を備えている、
請求項1から14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか一項に記載の装置(1)によって実施される、極低温流体で粉末(P)を混合する方法であって、
a)混合される粉末(P)を、前記供給チャンバ(A1、A2)を通じて前記複数の混合チャンバ(E1、…、En)に導入する工程と、
b)前記複数の混合チャンバ(E1、…、En)の少なくとも一つにおいて、前記撹拌手段を用いて前記極低温流体(FC)内に浮遊する前記粉末(P)を混合する工程と、
c)前記粉末(P)の混合物を得る工程と、
を含んでいる、
方法。
【請求項17】
前記工程a)の間、前記粉末(P)は異極性、特に逆極性に帯電されることにより、異極化局所凝集を良好にする、
請求項16に記載の方法。
【請求項18】
粉末の流れに沿って通過断面積が減少するように構成された前記複数の通過制限システム(R1〜Rn−1)により、前記複数の混合チャンバ(E1、…、En)の前記粉末(P)の通過の制限を徐々に増していく工程を含んでいる、
請求項16または17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒状媒質の調製に関連し、より具体的には粉末(特にアクチニド粉末)の混合、および均一性の高い混合物を得るために極低温流体(極低温媒体とも称される)を用いた当該粉末の解凝集または再凝集に関連する。
【0002】
本発明は、高い密度と凝集性の少なくとも一方を有するアクチニド粉末のような粉末に用いられることが好ましい。
【0003】
本発明は、極低温流体で粉末を混合する装置、および対応する粉末を混合する方法を提案する。
【背景技術】
【0004】
その後の加圧成形により核燃料ペレットを形成するためには、特にアクチニド粉末から粒状媒質を調製する複数の工程の実施が、最終製品の微細構造のみならず、巨視的側面における燃料ペレット内の欠陥を制御するために必須である。具体的には、核燃料の製造を可能にするアクチニド粉末の混合が、得られる燃料ペレットの品質(微細構造と不純物に係る厳しい要件の充足を求められる)を制御する上で重要な工程となる。
【0005】
産業的な核燃料の作製には、従来から粉末冶金法が用いられている。当該方法は、混合工程、グラインド工程や造粒工程に基づいており、すべて乾燥環境下で行なわれる。核産業においては、水を用いると取扱いが困難な廃液を生じるからである。また、核燃料の作製のための粒状媒質の調製にあたっては、乾燥方式である上記工程以外の手法は、これまでのところ用いられていない。
【0006】
粉末の混合を遂行するために、従来から様々な装置が知られている。それらは、後述する系統に基づいて分類されうる。
【0007】
まず、内部媒質を伴わない乾式ミキサによる手法が知られている。例えば、WAB社のターブラ(登録商標)型ミキサが挙げられる。混合される粉末を収容したタンクの幾らか複雑な動きを通じて、粒状媒質をほぼ均一化することが可能とされる。一般に、この種のミキサの効果は限られる。混合される粉末の種別に応じて不均一領域が存在しうるので、混合の遂行が不可能あるいは少なくとも要求通りとならない場合がある。この種のミキサの動態は、凝集や産業的に不利な混合時間を伴わずに十分な混合物(均一性を満足する混合物)を得るのに十分な複雑さを有していない。さらに、この種のミキサにおいて粒状媒質に伝達されるエネルギーは、塊(特に焼結中に生じたもの)が大きすぎる場合に十分な均一性を得るための解凝集の遂行を可能にはしない。
【0008】
媒質混合法も知られている。この手法においては、混合操作を良好にするために、混合される粉末を収容するタンク内で少なくとも一つの可動体が使用されうる。この可動体は、刃、タービン、コルタ、リボン、エンドレススクリューなどでありうる。混合性を向上するために、タンク自身も可動でありうる。この種のミキサは、前述した種別のものよりも有効ではあるが、依然として不十分かつ制約がある。混合は、制御が困難な凝集または解凝集を通じて粒状媒質中に変質をもたらし、粉末のオーバーランや粒状媒質の流動性劣化をもたらす。さらに、混合に可動体(媒体)を用いると、核燃料の作製に使用が必要とされるような研磨剤を混合する場合において異物混入(汚染)の問題を生じる。加えて、核燃料の作製時に非常に高い量の放射線を生じるリテンションをもたらす。
【0009】
グラインダ型のミキサによる手法も存在する。特定のグラインダの使用形態や技術種別によれば、同時グラインドを通じて粉末の混合物を作製できる。この種の操作は、均一性の観点からは満足のいく混合物を得ることを可能にするが、比較的長いグラインド時間(普通は数時間)を要するだけでなく、粉末粒子サイズが小さくなるグラインド現象をもたらす。これにより、微細な粒子が生成され、特定の表面に変形が生じ、混合後の粉末の使用可能性に影響を及ぼしもする。影響としては、流動性、反応性(酸化可能性)、粉末焼結性などの変化が挙げられる。核燃料の製造においては、微粒子を発生する同時グラインド操作は、リテンションおよび分散しようとする当該微粒子の性質を通じて、無視できない放射線的影響を引き起こす。さらに、栓塞現象が引き起こされうる。
【0010】
上記のような各種ミキサを使用した後には、凝集または造粒が行なわれることが多い。また、これらの装置は非連続的であり、産業利用上の問題を生じうる。
【0011】
一般に、上述のミキサは、アクチニドのような特定の粉末の混合には不向きであり、流動性を有する粒状媒質を得るためには、後続して造粒工程を行なう必要がある。
【0012】
多相(すなわち液固相)媒質を用いるミキサも知られている。これらは、主に後述する二つの型式に分類されうる。
【0013】
一つ目は、液相/固相型のミキサである。当該ミキサは、液相に可溶である粉末がミキサ内で使用されると、あるいは当該粉末が液相との接触により変質すると、動作しなくなる。さらに、ミキサ中に導入される液体よりも密度の高い粉末の場合、ほとんどの場合は混合がうまくいかないか、かなりの撹拌速度を必要とする。攪拌機の底から粒子を引き離す速度は、粉末を構成する粒子の密度と当該粒子の浮遊を許容する液体の密度の差に直接関わっているからである。この場合、粘性のある液体が使用されうるが、エネルギー需要の増大を招き、これに比例して、混合を良好にする乱流状態を得る前に粘性が増大する。また、液相/固相型ミキサの場合、混合後の液相と固相の分離の問題も存在する。アクチニド粉末を混合する場合、再処理法が非常に複雑かつ禁制的な汚染廃液を生じる場合がある。さらに、粒度の低い粉末が混合される場合、完全に均一な懸濁状態を得ることは事実上不可能である。より具体的には、最適な均一性を得るために、いわゆるアルキメデス無次元数が10を上回ることを要する(すなわち、粘性力が重力および慣性力を下回る)。混合される粉末を構成する粒子が比較的小径(一般に10μm未満)であることが判っている場合、別の混合手段を付加的に使用しない限り、この種の装置では完全に均一な懸濁液を得ることができないとされている。これを踏まえ、カナダ特許出願公開第2882302号明細書に記載されているような技術が提案されているが、アクチニド粉末の混合については依然として良好に動作しない。使用される振動手段によっては、目標とする十分な均一性を得るには至らない。加えて、臨界制御上の理由からミキサの容量が限られる。許容臨界質量の超過を招きうるダブルローディングのリスクを避けるためである。よって、従来の液相/固相型ミキサにおいては、撹拌力を過剰にするか混合速度を非常に低くしない限り、タンク内の粒子の密度は高くなり得ない。
【0014】
カナダ特許出願公開第2882302号明細書、国際公開第2006/0111266号明細書、および国際公開1999/010092号明細書に記載されている液相内の粉末用のミキサは、アクチニド型のような粉末の混合には適していない。撹拌タンクの底から粉末を引き離し、かつ核産業で求められるレベルの均一性を得るのに望まれる撹拌速度は非常に速いからである。加えて、前述のように汚染された廃液をもたらす。当該廃液は、産業的に管理が難しいだけでなく、臨界のリスクや使用される液相の放射線分解のリスクが存在する。放射線分解は、使用される粉末が使用される液体と化学的に相互作用しうるという事実に加え、当該粉末の性質に起因する。
【0015】
気相/液相型のミキサも存在する。この種のミキサは、臨界のリスクを伴わずに動作可能である。しかしながら、この種のミキサは、十分な流動性を有しない粉末にはほとんど利用できない。そのような粉末としては、1973年刊行のPowder Technology, Vol. 7に記載されたD. Geldartの分類に基づくC型粉末が挙げられる。しかしながら、この低い流動性という特徴は、核燃料の製造に使用される凝集性アクチニド粉末に見られる。さらに、流動性に係る困難性に加え、混合のために流動化される粉末の密度に対して気体の空塔速度が大きな値をとる必要がある(流動化の最低速度以上)。また、この種のミキサは、高密度の凝集性粉末にはほとんど適用できないことが明らかである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
粒状媒質の調製のために粉末(特にアクチニド粉末)を混合する新たな形式の装置の提案が必要とされている。
【0017】
具体的には、以下に列挙する事項が同時に可能とされる必要がある。
・混合される粉末の表面を変化させる必要なしに凝集を解いて微粒子を生成する
・(特に均一性に係る)仕様に合致する粉末混合物が得られるのに十分な均一性のレベル(約数μm
3〜10μm
3の粒状媒質内代表要素体積:REVが得られる程度)まで当該粉末を混合する
・混合される粉末に汚染、表面化学の変化を伴わず、取扱いの難しい廃液を生じない
・特定の臨界に係るリスクを生じない
・特定の放射線分解に係るリスクを生じない
・混合される粉末に熱を生じない
・限られた直径のミキサを使用して、ミキサへの投入エラーが生じた場合でも臨界のリスクを制御する
・消費エネルギーを最大限に抑制しつつ、同じ量の材料を他のミキサよりも短時間で(ボールミルのような他の混合システムが数時間を要するのに対して数分で)混合操作を遂行する
・連続的、あるいは実質的に連続的な混合法である
【0018】
本発明は、上記の必要性の少なくとも一部を満足し、先行技術に係る実施形態の短所の少なくとも一部を克服することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記の目的を達成するための本発明の一態様は、極低温流体で粉末を混合する装置であって、
極低温流体を収容する前記粉末を混合するための混合チャンバと、
前記混合チャンバへの前記粉末の導入を可能にすべく粉末を供給する供給チャンバと、
前記混合チャンバにおいて、前記極低温流体内に浮遊する前記粉末の混合を可能にする撹拌手段と、
を少なくとも備えている。
【0020】
なお、極低温流体とは、低音下で液体状態を保つ液化ガスを意味する。この液化ガスは、本発明が実施される条件下では、混合および脱凝集される粉末に対して化学的に不活性である。
【0021】
本発明に係る粉末を混合する装置は、以下に列挙される特徴のいずれかを独立して備えてもよいし、技術的に可能な複数の特徴を組み合わせて備えてもよい。
【0022】
前記極低温流体は、僅かに水素化された液体を含みうる。当該液体は、当該液体の分子一つあたり最大一つの水素原子を含み、かつ水よりも沸点が低い。
【0023】
本発明の第一実施形態においては、前記混合チャンバにジャイロ型の運動による混合手段を備えうる。
【0024】
具体的には、ジャイロ型の運動による混合手段は、三次元計測に係る三つの軸を中心とする混合チャンバの回転を可能にする。このようなジャイロ型の運動による撹拌は、特に混合チャンバ内の極低温流体の液相よりも高い密度を有する粉末の混合を良好にする。
【0025】
本発明の第二実施形態においては、上記の装置は、
直列に配列された前記粉末を混合するための複数の混合チャンバと、
各々が記複数の混合チャンバのうち連続する二つの間に配置されて一方の混合チャンバから次の混合チャンバへの前記粉末の分配を制限する、複数の通過制限システムと、
をさらに備えうる。
前記供給チャンバは、前記複数の混合チャンバのうち少なくとも第一の混合チャンバへの前記粉末の導入を可能にすべく粉末を供給する。
【0026】
この場合、前記複数の混合チャンバの各々が前記極低温流体を収容する(具体的には、前記極低温流体で満たされる)。前記撹拌手段は、前記複数の混合チャンバの各々において、前記極低温流体内に浮遊する前記粉末の混合を可能にする。
【0027】
さらに、前記撹拌手段は、ブレード、タービン、およびドゥーヴェイ効果を生じる可動設備の少なくとも一つを含む可動混合設備を備えうる。
【0028】
前記撹拌手段は、例えばボール型、ローラ型などの可動グラインド設備を備えうる。
【0029】
加えて、前記撹拌手段は、振動を発生する手段として超音波を発生するソノトロードを備えうる。
【0030】
さらに、前記複数の通過制限システムは、スクリーンを備えうる。前記複数の通過制限システムは、ダイアフラムも備えうる。
【0031】
前記複数の通過制限システムは、前記複数の混合チャンバを通過する粉末の流れに応じて通過断面積が減少するように調節されうる。(n−1)番目の通過制限システムの通過断面積は、次に粉末が流れるn番目の通過制限システムの通過断面積よりも大きい。
【0032】
加えて、前記複数の通過制限システムの通過断面積は、自然な粉末の流れの断面積よりも小さくされうる。これにより、粉末は、ある混合チャンバから別の混合チャンバへ移る際に凝集を余儀なくされる。そのため、混合される粒子の滞留時間は、凝集を可能にするのに十分な時間とされる。
【0033】
さらに、前記複数の混合チャンバと前記複数の通過制限システムは、同じ鉛直方向に配列されることが好ましい。これにより、重力の影響による前記粉末の流れを可能にする。
【0034】
加えて、上記の装置は、前記複数の混合チャンバに導入される前記粉末を帯電させるシステムを備えうる。
【0035】
前記粉末の一部は、前記帯電させるシステムの一部に接触して正の電位に帯電されうる。前記粉末の別の一部は、前記帯電させるシステムの別の一部に接触して負の電位に帯電されうる。これにより、異極化局所凝集が可能になる。二種よりも多くの粉末が混合される場合、特定の粉末は、正電位と負電位のいずれかに帯電されるか、非帯電とされる。
【0036】
極低温流体の種別は問わないが、液化された窒素またはアルゴンでありうる。なお、窒素の使用が適切である理由としては、窒素が低価格であるからだけでなく、グローブボックスおよびプルトニウムベースの核燃料の作製のために実施される方法においては窒素による不活性化が行なわれ、液体窒素自体が燃料に対する特定の操作(BET測定など)に用いられるからである。したがって、この種の極低温流体は、作製方法において何ら付加的なリスクを生じることはない。
【0037】
さらに具体的には、上記の装置は、前記供給チャンバを少なくとも二つ備えうる。前記供給チャンバの数は、前記混合される粉末の種別の数と同じとされうる。
【0038】
前記供給チャンバは、供給量を調節可能なホッパと、振動板またはトンネルを含む計量システムの少なくとも一方を備えうる。
【0039】
上記の目的を有する本発明の別態様は、上記の装置によって実施される、極低温流体で粉末(特にアクチニド粉末)を混合する方法であって、
a)混合される粉末を、少なくとも一つの供給チャンバを通じて少なくとも一つの混合チャンバに導入する工程と、
b)前記少なくとも一つの混合チャンバにおいて、撹拌手段を用いて前記極低温流体内に浮遊する前記粉末を混合する工程と、
c)前記粉末の混合物を得る工程と、
を含んでいる。
【0040】
前記工程a)の間、前記粉末は異なる帯電をされる(少なくとも二種の粉末の存在下において逆極性に帯電をされる)ことが好ましい。これにより、異極化局所凝集が良好にされる。
【0041】
上記方法の第一実施形態においては、上記装置は、単一の混合チャンバを備えうる。当該混合チャンバは、粉末の混合を可能にするジャイロ型の変位が可能とされうる。
【0042】
上記方法の第二実施形態においては、上記装置は、直列に配列された複数の混合チャンバを備えうる。前記少なくとも一つの供給チャンバは、当該複数の混合チャンバのうち少なくとも第一の混合チャンバへの粉末の導入を可能にすべく粉末を供給する。上記装置は、複数の通過システムを備えうる。各通過システムは、前記複数の混合チャンバのうち連続する二つの間に配置されて一方の混合チャンバから次の混合チャンバへの前記粉末の分配を制限する。各混合チャンバには、極低温流体が収容され、撹拌手段が設けられる。撹拌手段は、極低温流体内に浮遊する粉末の混合を可能にする。本形態に係る方法は、粉末の流れに沿って通過断面積を小さくすることによって、複数の混合チャンバと複数の通過システムにおける粉末の通過の制限を徐々に増していく工程を備えうる。
【0043】
本発明に係る粉末を混合する装置および方法は、本明細書に記載される特徴のいずれかを独立して備えてもよいし、技術的に可能な複数の特徴を組み合わせて備えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
本発明に係る別の態様、特徴、および利点について以下の図面を参照しつつ説明する。当該図面は、本発明の具体的な実施形態を例示することのみを目的として添付されたものである。
【0045】
【
図1】本発明の第一実施形態に係る極低温流体で粉末を混合する装置の基本的原理を例示する図である。
【
図2】逆極性を有するように帯電された粉末の粒子が
図1の原理に基づく粉末混合装置の混合チャンバへ導入される前に凝集する様を模式的に示している。
【
図3】本発明の第一実施形態に係る装置のための
図1の原理に基づく粉末混合装置の一例を示している。
【
図4】本発明の第一実施形態に係る装置のための
図1の原理に基づく粉末混合装置の別例を示している。
【
図5A】
図3と
図4の混合装置における可動混合設備の一実施形態を模式的に示している。
【
図5B】
図3と
図4の混合装置における可動混合設備の別実施形態を模式的に示している。
【
図5C】
図3と
図4の混合装置における可動混合設備の別実施形態を模式的に示している。
【
図6】本発明に係る装置による粉末の混合度の変化を時間の関数としてグラフ表示している。
【
図7】本発明に係る装置による粉末の混合度の変化を時間の関数としてグラフ表示している。
【
図8】本発明の第二実施形態に係る極低温流体で粉末を混合する装置を例示する図である。
【
図11】本発明に係る装置と方法による混合後に得られた第一種の粉末と第二種の粉末の混合物の写真である。
【0046】
これらの図において、同一の符号は同一または同様の要素を指示する。
【0047】
加えて、図示される様々な部分は、見やすさを優先して必ずしも同一の縮尺で示されることを要しない。
【発明を実施するための形態】
【0048】
後述する実施形態において、粉末Pは、核燃料ペレットの製造を可能にするアクチニド粉末である。加えて、ここに記載される極低温流体は、液体窒素である。しかしながら、本発明は、これらの選択肢に限定されるものではない。
【0049】
図1には、本発明の第一実施形態に係る極低温流体で粉末Pを混合する装置1の例の基本的原理が例示されている。
【0050】
この原理によれば、混合装置1は、同じ鉛直方向へ直列に連続して配列されたn個の粉末混合チャンバE1、…、Enを備えている。これにより、粉末Pは、重力の影響で混合チャンバE1、…、Enを順に通過する。
【0051】
さらに、装置1は、(n−1)個の粉末通過制限システムR1、…、Rn−1を備えている。通過制限システムR1、…、Rn−1の各々は、二つの連続する混合チャンバE1、…、Enの間に配置されており、ある混合チャンバE1、…、Enから次の混合チャンバへの粉末Pの分配を制限する。通過制限システムR1、…、Rn−1の例は、
図3と
図4を参照しつつ具体的に後述する。
【0052】
さらに、装置1は、粉末Pを供給するための二つのチャンバA1、A2も備えている。二つのチャンバA1、A2は、異なる種別の粉末を供給するために設けられている。
【0053】
粉末Pを供給するための二つのチャンバA1、A2は、複数種の粉末Pを第一混合チャンバE1へ導入し、第一混合チャンバE1内で極低温流体FCと接触させることを可能にする。その後、複数種の粉末Pは、通過制限システムR1、…、Rn−1と混合チャンバE2、…、Enを連続して通過する。各混合チャンバ内には極低温流体FCが含まれている。
【0054】
加えて、各混合チャンバE1、…、Enは、撹拌手段2を備えている。撹拌手段2は、極低温流体FC内に浮遊する複数種の粉末Pの混合を可能にする。撹拌手段2の例は、
図3と
図4を参照しつつ具体的に後述する。
【0055】
二つの供給チャンバA1、A2は、例えばエンドレススクリューなどを用いて供給量を調節可能なホッパと、振動板またはトンネルを含む計量システムとの少なくとも一方を備えている。
【0056】
さらに、装置1は、混合チャンバE1、…、Enに導入された粉末Pを帯電させるシステムC+、C−をさらに備えることが好ましい。
【0057】
具体的には、供給チャンバA1により第一混合チャンバE1に収容された粉末Pは、帯電システムの正極部分C+に接触して正電位を有するように帯電される。他方、供給チャンバA2により第一混合チャンバE1に収容された粉末Pは、帯電システムの負極部分C−に接触して負電位を有するように帯電される。
【0058】
これにより、異極化局所凝集が可能とされる。すなわち、自己凝集が防止される。
図2は、逆極性を有するように帯電された粉末Pの粒子が混合チャンバE1、…、Enへ導入される前に凝集する様を模式的に示している。逆極性を有するように帯電された二種の粉末Pの粒子は、自然に再凝集しやすい。これにより、複数種の粉末Pの良好な混合が粒子スケールで可能となる。
【0059】
上記のような本発明は、所望レベルの均一化の達成を特に可能にする様々な技術的効果を利用する。それらを以下に列挙する。
・粉末Pが極低温流体FC中に浮遊するように投入された際の、当該粉末Pの少なくとも一部の凝集性が向上する。
・極低温流体FCを組成に含む液化ガスを用いることにより、粉末Pの濡れ性が向上する。極低温流体FCは、水よりも表面張力が低い液体であり、除去が難しい添加剤とともに使用されないことが好ましい。
・撹拌手段の動きによって完全に撹拌された反応炉に近い撹拌状態が実現される。後述する懸濁液の振動印加を使用と不使用は問わない。不均一な領域を制限するために、振動は不安定であることが好ましい。
【0060】
図3と
図4には、本発明の第一実施形態に係る装置1の二つの例が模式的に示されている。その原理については
図1を参照して説明した通りである。
【0061】
これら二つの例の各々において、装置1は、
図1を参照して上述した要素に加えて撹拌モータ5を備えている。撹拌モータ5は、第一撹拌手段を回転駆動可能である。第一撹拌手段は、混合チャンバE1、…、En内において可動の形態をとる混合設備2aを備えている。
【0062】
可動混合設備2aは、可動グラインド設備を備えうる。可動混合設備2aは、ブレードを備えてもよいし、ドゥーヴェイ効果を生じるタービンとブレードの少なくとも一方を備えてもよい。これらの可動設備は、それぞれ
図5A、
図5B、および
図5Cに示されている。
図3と
図4の実施形態においては、可動混合設備2aは、タービンを備えている。
【0063】
また、これら二つの例の各々において、装置1は、第二撹拌手段をさらに備えている。第二撹拌手段は、超音波振動を発生する手段の形態をとり、ソノトロード2bを備えている。
【0064】
加えて、
図3と
図4に示された二つの実施形態は、用いられる通過制限システムR1、…、Rn−1の性質によって区別される。
【0065】
例えば、
図3の実施形態においては、通過制限システムR1、…、Rn−1は、ダイアフラムを備えている。
【0066】
図4の実施形態においては、通過制限システムR1、…、Rn−1は、スクリーン(より詳しくはメッシュスクリーン)を備えている。
【0067】
これら二つの例において、通過制限システムR1、…、Rn−1は、調節可能な通過断面積を有しており、粉末Pの下降方向に沿って通過断面積が最大から最小に変化するように配列されている。また、通過制限システムR1、…、Rn−1の通過断面積は、粉末Pが自然に流れる断面積よりも小さくされることが好ましい。システムを通過し終わる前に凝集が強制されるようにするためである。
【0068】
本発明の第一実施形態に係る装置1の仕様設定例について説明する。
【0069】
混合チャンバE1、…、Enの寸法を設定するためには、特に以下に列挙する事項を評価する必要がある。
・粉末Pの粒子を各混合チャンバE1、…、Enの底から引き離すことを可能にする可動混合設備2aの速度
・粉末の混合時間
・粉末Pの流量、すなわち単位時間あたりに混合されうる粉末Pの量
【0070】
そのために、Zwietering相関性により与えられる次式が使用されうる。
【数1】
Nminは、粉末Pの粒子を引き離すのに必要な撹拌の最小周波数を表している。
DTは、可動混合設備2aの直径を表している。
DAは、混合チャンバE1、…、Enの直径を表している。
ρ
Pは、粉末Pの密度を表している。
ρ
Lは、極低温流体FCの密度を表している。
μ
Lは、極低温流体FCの粘度を表している。
d
Pは、粉末Pの粒径を表している。
W
Sは、固相と液相の質量パーセント比を表している。
【0071】
さらに、次式も使用されうる。
Q
P=0.73ND
3
Q
C=2Q
P
tm=3tc
tc=V/Q
C
P=N
PρN
3d
5
Q
Pは、ポンプ流量を表している。
Q
Cは、循環流量を表している。
Nは、撹拌速度を表している。
dは、撹拌混合設備の直径を表している。
Pは、撹拌力を表している。
【0072】
以下の表1は、毎時1kgのシュレッドを得るための本発明に係る装置1の仕様を示している。
【0074】
このように構成された装置1の混合レスポンスは、
図6のグラフによって示される。当該グラフは、混合度の変化Xを時間tの関数で示している。当該関数は次式で表される。
【数2】
kは、所与の係数を表している。
Aは、混合負荷を表している。
tmは、混合時間を表している。
【0075】
n個の混合チャンバE1、…、Enが単位体積Vnを有し、混合チャンバE1、…、Enの全体積VがV=n×Vnとなることが好ましい。
【0076】
この場合、全混合時間t’mは、体積Vの場合の混合時間tmを下回る。この混合時間の差は、nが大きくなるほど大きくなる。この事実は、
図7のグラフによって示される。当該グラフは、
図6と同様にして混合度の変化Xを時間tの関数で示している。第一チャンバの混合時間t1と第二チャンバの混合時間t2が、混合時間t’mおよびtmとともに示されている。
【0077】
図8は、本発明の第二実施形態に係る極低温流体で粉末Pを混合する装置1が示されている。
【0078】
本例において、装置1は、単一の混合チャンバE1、およびジャイロ型の運動に基づく混合手段MGを備えている。
【0079】
より具体的には、ジャイロ型またはこれに近い運動に基づく混合手段MGは、三次元計測に係る三つの軸X1、X2、X3を中心とする混合チャンバE1の回転を可能にする。このようなジャイロ運動による撹拌は、混合チャンバE1内の極低温流体FCの液相よりも高い密度を有する粉末Pの混合を良好にする。
【0080】
加えて、混合チャンバE1は、例えばタービン形態の撹拌手段2aを備えている。
【0081】
本発明を通じて得られる混合の有効性は、混合後に得られる粒状媒質の均一性によって特徴づけられうる。例えば
図9、
図10、および
図11は、混合前における第一種の粉末の写真、混合前における第二種の粉末の写真、および本発明に係る装置1と方法による混合を通じて得られた第一種の粉末と第二種の粉末の混合体の写真をそれぞれ示している。
【0082】
より具体的には、
図9は二酸化セシウムCeO
2粉末の凝集体を示しており、
図10はアルミナAl
2O
3粉末の凝集体を示している。そして
図11は、極低温流体として液体窒素を収容した単一の混合チャンバを用いて約30秒の混合時間の後に得られたこれらの粉末の混合体を示している。
【0083】
短い混合時間(30秒)で粉末が等量的に(二つの粉末の質量比が等しく)混合されたにも関わらず、混合後の粒状媒質には良好な均一性が見られる。数十ミクロンスケールで示される
図11においては、二種の粉末の凝集体がほぼ均等な分布で存在しており、凝集体の大きさは、混合前の粉末の大きさに近く、ここでは約5μmである。
【0084】
これまで説明した実施形態に本発明が限定されないことは勿論である。様々な改変が当業者によってなされうる。