(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔実施形態1〕
本発明の一実施の形態について
図1〜
図3に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0011】
(イオン発生装置の概要)
図1は、本実施形態に係るイオン発生装置1(放電装置)の概略構成を示す斜視図である。
図2の(a)〜(c)は、それぞれ、イオン発生装置1の概略構成を示す平面図、側面図および正面図である。イオン発生装置1は、空気中にて放電を行うことによりイオンを発生させるものである。しかしながら、本発明は、イオン発生装置に限定されるものではなく、例えば電子、オゾン、ラジカル、活性種など、エネルギー状態が高い粒子(放電生成物)を、放電により気体から生成する任意の放電装置に適用することができる。
【0012】
図1および
図2に示すように、本実施形態のイオン発生装置1は、筐体11、放電制御回路基板12、昇圧トランス13、高圧回路基板14、放電電極15・16(放電部)、および絶縁性封止材17を備えている。
【0013】
筐体11は、絶縁性の樹脂で箱状に形成されている。筐体11は、箱形を規定する3辺のうちの長辺および短辺を含む面(
図1および
図2の例では上面)に開口部21が設けられている。また、筐体11の外側における底部22の隅部には、外部電源と接続するためのコネクタ23が設けられている。底部22は、開口部21と対向する位置に設けられている。
【0014】
筐体11内には、底部22から開口部21に向かって順番に、昇圧トランス13、放電制御回路基板12、および高圧回路基板14が収納されている。また、筐体11の内部には、絶縁性封止材17が充填されている。絶縁性封止材17としては、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等の絶縁材料が用いられる。
【0015】
絶縁性封止材17により、放電制御回路基板12、昇圧トランス13、および高圧回路基板14間の電気絶縁性が維持される。また、開口部21は、絶縁性封止材17により封止される。これにより、開口部21に蓋体を設けなくても、放電制御回路基板12、昇圧トランス13、および高圧回路基板14に埃等が付着することを防止できる。
【0016】
放電制御回路基板12は細長かつ略矩形の回路基板である。放電制御回路基板12には放電制御回路(図示せず)が配置されている。この放電制御回路は、外部電源からの直流電圧を所定の交流電圧に変換し、変換した交流電圧を昇圧トランス13に印加することにより、昇圧トランス13を駆動する回路である。
【0017】
昇圧トランス13は、上記放電制御回路により印加される交流電圧を昇圧するトランスである。
【0018】
高圧回路基板14は細長かつ略矩形の回路基板である。高圧回路基板14にはイオン発生素子が配置されている。該イオン発生素子は、昇圧トランス13により昇圧された交流電圧が印加されることで正イオンおよび負イオンの少なくとも一方を生じさせるものである。
【0019】
上記イオン発生素子は、放電電極15・16および誘導電極31・32を備えている。放電電極15は、高圧回路基板14の一端部に取り付けられる。誘導電極31は、放電電極15の取付け位置における周囲の一部に形成される。放電電極16は、高圧回路基板14の他端部に取り付けられる。誘導電極32は、放電電極16の取付け位置における周囲の一部に形成される。また、高圧回路基板14には、誘導電極31・32どうしを電気的に接続するための接続電極33が設けられている。
【0020】
誘導電極31は、放電電極15との間に電界を形成するための電極である一方、誘導電極32は、放電電極16との間に電界を形成するための電極である。放電電極15は、誘導電極31との間で、負イオンを発生するための電極である。一方、放電電極16は、誘導電極32との間で、正イオンを発生するための電極である。なお、誘導電極31・32および接続電極33は、昇圧トランス13の放電電極側電位と対を成す電位となっている。
【0021】
放電電極15・16は、高圧回路基板14の表面から垂直に設けられ、絶縁性封止材17の表面から突出している。放電電極15は、複数の線状の導電体25を備え、ブラシ状に形成された先端部27と、上記複数の導電体25が取り付けられる基端部29とを備えたブラシ状放電電極である。また、放電電極16は、複数の線状の導電体26を備えた、ブラシ状に形成された先端部28と、上記複数の導電体26が取り付けられる基端部30とを備えたブラシ状放電電極である。
【0022】
なお、先端部27・28は、基端部29・30から先の部分、具体的には、ブラシ状に束ねられた導電体25・26の先端から、導電体25・26における、基端部29・30との接続端(接触端)までの部分を示す。また、線状には、糸状、繊維状、針金状が含まれる。
【0023】
放電電極15・16の先端部27・28は、例えば、金属、カーボン繊維、導電性繊維、導電性樹脂等の導電性の材料で形成されている。先端部27・28における複数の導電体25・26の1本当たりの外径は、5μm以上、30μm以下である。上記導電体25・26の外径を5μm以上にすることにより、上記導電体25・26の機械的強度を確保するとともに、上記導電体25・26の電気磨耗を抑制することができる。また、上記導電体25・26の外径を30μm以下にすることにより、髪の毛のように撓る導電体25・26が形成され、導電体25・26の広がりおよび揺れ動きが起こり易くなる。
【0024】
上記導電体25・26は、それぞれ外径7μmのカーボン繊維であってもよく、または、外径12μmもしくは25μmのSUS(ステンレス)製の導電性繊維であってもよい。
【0025】
放電電極15の基端部29は、放電電極15を高圧回路基板14に取り付けるための板金状の取付部29aと、先端部27における複数の導電体25を上記接続端にて結束するための結束部29bとを有している。放電電極16の基端部30は、放電電極16を高圧回路基板14に取り付けるための板金状の取付部30aと、先端部28における複数の導電体26を上記接続端にて結束するための結束部30bとを有している。取付部29a・30aは、下端部が高圧回路基板14に固定されており、上端部が筐体11の開口部21から突出する長さに形成されている。結束部29b・30bは、それぞれ取付部29a・30aの上端部に固定されている。
【0026】
図1および
図2に示すように、放電電極15・16は、一部が筐体11の開口部21から外部に露出している。このため、イオン発生装置1が製造されてから各種の電気機器に取り付けられるまでの間に、例えばイオン発生装置1が転倒したり、作業者の指がイオン発生装置1の放電電極15・16に接触したりする。このため、放電電極15・16が変形したり破損したりする虞がある。
【0027】
そこで、本実施形態では、放電電極15を保護するための保護板51・52が、間隔をおいて放電電極15を挟むように、筐体11の開口部21から突設されている。同様に、放電電極16を保護するための保護板53・54が、間隔をおいて放電電極16を挟むように、筐体11の開口部21から突設されている。
【0028】
保護板51・52の上端面51a・52aは、放電電極15の先端部27よりも上方にある。同様に、保護板53・54の上端面53a・54aは、放電電極16の先端部28よりも上方にある。これにより、イオン発生装置1が例えば転倒した場合でも、放電電極15・16がイオン発生装置1の外部の物体に直接接触することを防止できる。また、作業者の指がイオン発生装置1の放電電極15・16に接触することを防止できる。その結果、放電電極15・16の変形および破損を防止できる。
【0029】
なお、保護板51〜54は、筐体11と一体に成形されることが望ましい。この場合、製造工程を減らすことができ、製造コストを抑えることができる。
【0030】
保護板51・52の中央部には、それぞれ、開口部51b・52bが形成されている。これにより、放電電極15の放電により発生したイオンを、開口部51b・52bにおける空気の流れの方向に送ることができる。同様に、保護板53・54の中央部には、それぞれ、開口部53b・54bが形成されている。これにより、放電電極16の放電により発生したイオンを、開口部53b・54bにおける空気の流れの方向に送ることができる。これにより、上記イオンが放電電極15・16の付近で滞留することを防止できる。
【0031】
(高圧回路基板の構成)
図3は、イオン発生装置1における高圧回路基板14の構成を示す平面図である。
【0032】
図3に示すように、高圧回路基板14は、細長かつ略矩形の回路基板である。高圧回路基板14において放電が生じる一方の基板面(放電側基板面)には、誘導電極31・32および接続電極33と、第1トランス接続端子140(導電接続部)と、第1ダイオード接続端子141(導電接続部)と、第2ダイオード接続端子142(導電接続部)と、第3ダイオード接続端子143(導電接続部)と、第4ダイオード接続端子144(導電接続部)とが形成されている。また、高圧回路基板14の放電側基板面には、放電電極15における上述の取付部29aが固定されるとともに、放電電極16における上述の取付部30aが固定されている。
【0033】
第1ダイオード接続端子141は、放電側基板面における2つの長辺側の側縁のうち、接続電極33が設けられていない部位、すなわち誘導電極31・32の端部が対向する部位に、誘導電極31・32と間隔をおいて誘導電極31寄りに配置されている。第2ダイオード接続端子142は、放電側基板面における誘導電極31・32の端部が対向する部位に、誘導電極31・32と間隔をおいた誘導電極32寄りに、第1ダイオード接続端子141とも間隔をおいて配置されている。
【0034】
第1トランス接続端子140は、誘導電極31と接続電極33との境界部の付近に配置されている。第4ダイオード接続端子144は、誘導電極32と接続電極33との境界部の付近に配置されている。第3ダイオード接続端子143は、第1トランス接続端子140と第4ダイオード接続端子144との間に配置されている。
【0035】
第1ダイオード接続端子141と取付部29aとは、第1接続配線41(導電接続部)によって接続されている。第4ダイオード接続端子144と取付部30aとは、第2接続配線42(導電接続部)によって接続されている。第1トランス接続端子140と第3ダイオード接続端子143とは、第3接続配線43(導電接続部)によって接続されている。また、第2ダイオード接続端子142と第3ダイオード接続端子143とは、第4接続配線44(導電接続部)によって接続されている。
【0036】
図2の(c)に示すように、昇圧トランス13は、2つの第1出力端子13aおよび第2出力端子13bを有している。第1出力端子13aおよび第2出力端子13bは、高圧回路基板14側に伸びるように形成されており、高圧回路基板14に設けられた図示しない貫通穴を介して放電側基板面に突出している。第1トランス接続端子140には、第1出力端子13aが接続されている。一方、誘導電極31に設けられた第2トランス接続端子31a(導電接続部)には、第2出力端子13bが接続されている。
【0037】
また、高圧回路基板14の裏側基板面には、第1ダイオード45と、第2ダイオード46とが実装されている。第1ダイオード45のアノードは、第1ダイオード接続端子141に接続され、第1ダイオード45のカソードは、第2ダイオード接続端子142に接続されている。第2ダイオード46のアノードは、第3ダイオード接続端子143に接続され、第2ダイオード46のカソードは、第4ダイオード接続端子144に接続されている。これにより、第1ダイオード45のカソードおよび第2ダイオード46のアノードは、昇圧トランス13の第1出力端子13aに接続される。また、第1ダイオード45のアノードは、取付部29aから放電電極15に接続される。また、第2ダイオード46のカソードは、取付部30aから放電電極16に接続される。
【0038】
上記の第1ダイオード45の接続構造により、昇圧トランス13から出力される負電圧が第1ダイオード45を介して放電電極15に印加される。また、第2ダイオード46の接続構造により、昇圧トランス13から出力される正電圧が第2ダイオード46を介して放電電極16に印加される。このように、第1接続配線41、第2接続配線42、第3接続配線43、第4接続配線44、第1ダイオード45および第2ダイオード46により、放電電極15・16に電圧を印加する電圧印加回路が形成されている。
【0039】
高圧回路基板14は、片面基板であり、放電側基板面に導電パターンが形成されているが、裏側基板面および貫通穴には導電パターンが形成されていない。また、第1トランス接続端子140、第2トランス接続端子31a、第1ダイオード接続端子141、第2ダイオード接続端子142、第3ダイオード接続端子143、および第4ダイオード接続端子144は、放電側基板面に形成されたランドである。取付部29a・30a、第1接続配線41、第2接続配線42、第3接続配線43、第4接続配線44、第1ダイオード45および第2ダイオード46は、各ランドにハンダ47によって接続される。
【0040】
上記のように構成される高圧回路基板14は、筐体11の内部において絶縁性封止材17によって封止されている。これにより、誘導電極31・32は完全に絶縁性封止材17によって覆われている。
【0041】
(イオン発生装置による効果)
上記のように構成されるイオン発生装置1において、単一の高圧回路基板14に、誘導電極31・32が形成されるとともに、放電電極15・16が固定されている。これにより、誘導電極と放電電極とが個別の2つの基板に形成されていた従来のイオン発生装置と比べて、基板を1つ削減することができる。それゆえ、従来のイオン発生装置のように、2つの基板をケースに結合するための複雑な構造が不要となり、イオン発生装置1の組み立ての作業性を向上させることができる。したがって、イオン発生装置1を安価に提供することができる。
【0042】
また、基板数が減少することにより、基板の配置空間を高さ方向に小さくすることができる。それゆえ、イオン発生装置1の高さを低くすることができる。
【0043】
また、高圧回路基板14は片面基板である。これにより、高圧回路基板14の設計および構造を簡素化することができる。したがって、高圧回路基板14を安価に作製することができる。
【0044】
これに対し、高圧回路基板14が両面基板である場合、裏側基板面および貫通穴にも導電パターンが形成される。このような高圧回路基板14は、設計および構造が複雑化するので、高価格化しやすい。
【0045】
また、誘導電極31・32が絶縁性封止材17によって封止されている。これにより、誘導電極31・32および放電電極15・16が高圧回路基板14にともに設けられても、誘導電極31・32および放電電極15・16の間の基板面上での絶縁性を確保することができる。
【0046】
また、放電電極15・16がそれぞれブラシ状の先端部27・28を有することにより、先端部27・28を構成する多数の導電体25・26(繊維)のそれぞれが放電箇所となる。これにより、ある導電体25・26がダメージを受けても、他の繊維で放電することが可能となる。したがって、イオン発生装置1の耐久性を向上させることができる。
【0047】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、
図4に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、説明の便宜上、実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
【0048】
(スリットの構成)
図4は、イオン発生装置1において高圧回路基板14に代えて適用される実施形態2に係る高圧回路基板14Aの構成を示す平面図である。
【0049】
図4に示すように、本実施形態の高圧回路基板14Aは、上述の実施形態1における高圧回路基板14に、第1スリット145と、第2スリット146と、第3スリット147と、第4スリット148とがさらに形成されたものである。第1スリット145、第2スリット146、第3スリット147、および第4スリット148は、それぞれ高圧回路基板14Aの放電側基板面と裏側基板面との間を貫通するように形成されている。
【0050】
第1スリット145は、誘導電極31と第1接続配線41との間に形成されている。第1スリット145の一端は、誘導電極31と取付部29aとの間にあり、第1スリット145の他端は、高圧回路基板14の一方の端縁における第1ダイオード接続端子141の付近に達している。
【0051】
第2スリット146は、誘導電極32と第2接続配線42との間に形成されている。第2スリット146の一端は、誘導電極32と取付部30aとの間にあり、第2スリット146の他端は、誘導電極32の端部付近にある。
【0052】
第3スリット147は、第1接続配線41および取付部29aと第1トランス接続端子140および第3接続配線43との間、第1トランス接続端子140、第3ダイオード接続端子143および第3接続配線43と接続電極33との間、ならびに第4ダイオード接続端子144、第2接続配線42および取付部30aと誘導電極32および接続電極33との間に形成されている。第3スリット147の一端は、誘導電極32と取付部30aとの間にあり、第3スリット147の他端は、第1接続配線41と第3接続配線43との間における、第1接続配線41が第3接続配線43から遠ざかる位置の付近にある。
【0053】
第4スリット148は、第4接続配線44および第2ダイオード接続端子142と第2接続配線42および第4ダイオード接続端子144との間に矩形状に形成されている。
【0054】
(高圧回路基板による効果)
高圧回路基板14Aは、前述の高圧回路基板14と同様、絶縁性封止材17によって封止されているので、誘導電極31・32と各配線間および各ダイオード接続端子との間、ならびに近接する配線およびダイオード接続端子の間の絶縁性は確保されている。しかしながら、これらの間が狭すぎると、高圧回路基板14Aの放電側基板面上での沿面放電の可能性が高まる。
【0055】
そこで、高圧回路基板14には、第1スリット145、第2スリット146、第3スリット147および第4スリット148が設けられている。これにより、近接する誘導電極31・32と各配線および各ダイオード接続端子との間の沿面距離、ならびに近接する配線およびダイオード接続端子の間の沿面距離を長くすることができる。したがって、近接する各部間の絶縁性を確保して、沿面放電を抑制することができる。よって、誘導電極31・32と各配線間および各ダイオード接続端子とをより近づけたり、近接する配線およびダイオード接続端子どうしをより近づけたりすることができる。
【0056】
〔実施形態3〕
本発明のさらに他の実施形態について、
図5に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、説明の便宜上、実施形態1および2にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
【0057】
図5は、実施形態3に係る空気清浄機2の概略構成を示す平面図である。
【0058】
図5に示すように、空気清浄機2は、イオン発生装置1と、送風装置3とを備えている。イオン発生装置1は、実施形態1における高圧回路基板14、または実施形態2における高圧回路基板14Aを備えている。
【0059】
送風装置3は、イオン発生装置1によって生成されたイオンを送出するために、
図5に矢印で示す方向に空気の流れを発生する。
【0060】
イオン発生装置1において、保護板51の開口部51bと保護板52の開口部52bとは、誘導電極31および放電電極15が設けられた領域に空気の流れを導く位置に、対向するように形成されている。また、イオン発生装置1において、保護板53の開口部53bと保護板54の開口部54bとは、誘導電極32および放電電極16が設けられた領域に空気の流れを導く位置に、対向するように形成されている。開口部51b・52bを空気が流れる方向Aと、開口部53b・54bを空気が流れる方向Bとは一致している。
【0061】
また、イオン発生装置1は、上記の方向A・Bと、送風装置3の送風方向とが一致するように配置されている。
【0062】
このように構成される空気清浄機2において、誘導電極31・32が少なくとも空気の流れる範囲に設けられるので、誘導電極31および放電電極15の間の放電によって生じたイオンが、保護板51・52のそれぞれの開口部51b・52bを通過する空気の流れに乗って、効率的にイオンを送出することができる。また、誘導電極32および放電電極16の間の放電によって生じたイオンが、保護板53・54のそれぞれの開口部53b・54bを通過する空気の流れに乗って、効率的にイオンを発生することができる。
【0063】
なお、本実施形態では、イオン発生装置1が空気清浄機2に搭載される例について説明した。これに限らず、空気清浄機2以外にも、空気調和機、ドライヤー等の送風機能を有する他の電気機器にイオン発生装置1が搭載されてもよい。
【0064】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る放電装置は、誘導電極31・32と、前記誘導電極31・32との間で放電を生じる放電部(放電電極15・16)と、前記誘導電極31・32および前記放電部が設けられた単一の基板(高圧回路基板14)と、前記基板を収納する筐体11とを備え、前記基板は、前記筐体11の内部で前記誘導電極31・32とともに絶縁性封止材17によって封止されている。
【0065】
上記の構成によれば、従来の2つの基板に個別に設けられていた誘導電極と放電部とが単一の基板に設けられるので、基板を1つ削減することができる。それゆえ、従来のように、2つの基板を筐体に結合するための複雑な構造が不要となり、放電装置の組み立ての作業性を向上させることができる。したがって、放電発生装置を安価に提供することができる。また、誘導電極31・32は、絶縁性封止材17によって封止されているので、基板に設けられた放電部との基板面上での絶縁性を確保することができる。
【0066】
本発明の態様2に係る放電装置は、上記態様1において、前記基板には、前記放電部に電圧を印加するための複数の導電接続部と、前記誘導電極31・32と前記導電接続部との間および複数の前記導電接続部の間に形成されたスリット(第1スリット145,第2スリット146,第3スリット147,第4スリット148)とが設けられていてもよい。
【0067】
上記の構成によれば、近接する誘導電極と導電接続部との間の沿面距離、および近接する導電接続部の間の沿面距離を長くすることができる。したがって、近接する各部間の絶縁性を確保して、沿面放電を抑制することができる。よって、近接する誘導電極と導電接続部とをより近づけたり、近接する導電接続部どうしをより近づけたりすることができる。
【0068】
本発明の態様3に係る放電装置は、上記態様1または2において、前記基板は片面基板であってもよい。
【0069】
上記の構成によれば、基板の設計および構造を簡素化することができる。したがって、基板を安価に作製することができる。
【0070】
本発明の態様4に係る放電装置は、上記態様1から3のいずれかにおいて、前記誘導電極31・32は、少なくとも空気の流れる範囲に設けられていてもよい。
【0071】
上記の構成によれば、通過する空気の流れに乗って、効率的に放電生成物を送出することができる。
【0072】
本発明の態様5に係る放電装置は、上記態様1から4のいずれかにおいて、前記放電部は、ブラシ状の先端部27・28を有していてもよい。
【0073】
上記の構成によれば、放電部がブラシ状の先端部27・28を有することにより、先端部を構成する多数の繊維のそれぞれが放電箇所となる。したがって、放電装置の耐久性を向上させることができる。
【0074】
本発明の態様6に係る放電装置は、上記態様1から5のいずれかにおいて、前記誘導電極31・32と前記放電部との間の放電により放電生成物としてイオンを発生してもよい。
【0075】
上記の構成によれば、イオン生成装置を安価に提供することができる。
【0076】
本発明の態様7に係る電気機器は、上記態様1から6のいずれかの放電装置と、前記放電装置の放電によって生成された放電生成物を送出する空気の流れを発生する送風装置とを備えている。
【0077】
上記の構成によれば、放電装置を搭載する電気機器を安価に提供することができる。
【0078】
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。