特許第6804553号(P6804553)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ モレキュラー レバー デザイン,エルエルシーの特許一覧

特許6804553標的酸化レベルを有する離散カーボンナノチューブおよびその配合物
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6804553
(24)【登録日】2020年12月4日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】標的酸化レベルを有する離散カーボンナノチューブおよびその配合物
(51)【国際特許分類】
   C01B 32/174 20170101AFI20201214BHJP
   C08K 3/04 20060101ALI20201214BHJP
   C08L 21/00 20060101ALI20201214BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20201214BHJP
   B01J 21/18 20060101ALI20201214BHJP
   B01J 37/04 20060101ALI20201214BHJP
   B01J 37/10 20060101ALI20201214BHJP
   B01J 31/06 20060101ALI20201214BHJP
   B01J 35/02 20060101ALI20201214BHJP
   C09C 1/44 20060101ALI20201214BHJP
   C09C 3/06 20060101ALI20201214BHJP
   C09C 3/08 20060101ALI20201214BHJP
   B82Y 30/00 20110101ALI20201214BHJP
   B82Y 40/00 20110101ALI20201214BHJP
【FI】
   C01B32/174ZNM
   C08K3/04
   C08L21/00
   C08L101/00
   B01J21/18 M
   B01J37/04 102
   B01J37/10
   B01J31/06 M
   B01J35/02 H
   C09C1/44
   C09C3/06
   C09C3/08
   B82Y30/00
   B82Y40/00
【請求項の数】12
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2018-552876(P2018-552876)
(86)(22)【出願日】2017年4月7日
(65)【公表番号】特表2019-513678(P2019-513678A)
(43)【公表日】2019年5月30日
(86)【国際出願番号】US2017026655
(87)【国際公開番号】WO2017177166
(87)【国際公開日】20171012
【審査請求日】2020年2月10日
(31)【優先権主張番号】62/319,599
(32)【優先日】2016年4月7日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513322888
【氏名又は名称】モレキュラー レバー デザイン,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100187964
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】スワガー,カート,ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】ボスニャク,クライブ,ピー.
(72)【発明者】
【氏名】ヘンダーソン,ナンシー
(72)【発明者】
【氏名】フィンレイソン,マルコム
(72)【発明者】
【氏名】スターテバント,ブライス,ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ホーニグ,スティーブ
【審査官】 神野 将志
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/127332(WO,A1)
【文献】 特表2013−534897(JP,A)
【文献】 特表2016−517795(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 32/168−32/178
C08K 3/04
C09C 1/44、3/06
B82Y 30/00、40/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の離散カーボンナノチューブを含む組成物であって、前記離散カーボンナノチューブが内部側壁表面および外部側壁表面を含み、前記内部側壁表面が内部表面酸化種含量を含み、前記外部側壁表面が外部表面酸化種含量を含み、前記内部表面酸化種含量は、カーボンナノチューブの重量に対して少なくとも0.01重量%であり、前記内部表面酸化種含量と前記外部表面酸化種含量との間に少なくとも20%の差があり、前記内部表面酸化種含量が前記外部表面酸化種含量より小さい、前記組成物。
【請求項2】
前記複数の離散カーボンナノチューブが、複数の開口チューブを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記内部表面酸化種含量が、カーボンナノチューブの重量に対して最大3重量%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記外部表面酸化種含量が、カーボンナノチューブの重量に対して1〜6重量%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記内部表面酸化種含量および前記外部表面酸化種含量の合計が、カーボンナノチューブの重量に対して1〜9重量%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記酸化種が、カルボン酸、フェノール、アルデヒド、ケトン、エーテル結合、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記内部表面および前記外部表面の合計の酸化種含量が、前記カーボンナノチューブの1〜15重量%を構成する、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
自由流動粒子の形態をとる請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
少なくとも1種のゴムとさらに混合される請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
少なくとも1種の熱可塑性ポリマー、少なくとも1種の熱可塑性エラストマー、またはこれらの組み合わせをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
エポキシ、ポリウレタン、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種の熱硬化性ポリマーをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
複数の離散カーボンナノチューブを含む組成物を製造する方法であって、
前記離散カーボンナノチューブが内部側壁表面および外部側壁表面を含み、前記内部側壁表面が内部表面酸化種含量を含み、前記外部側壁表面が外部表面酸化種含量を含み、前記内部表面酸化種含量は、カーボンナノチューブの重量に対して少なくとも0.01重量%であり、前記内部表面酸化種含量と前記外部表面酸化種含量との間に、少なくとも20%の差があり、
前記方法は、
a)10〜500の平均アスペクト比および1〜15重量%の酸化種含量総レベルを有する複数の離散カーボンナノチューブを選択するステップと、
b)水性媒体中に前記離散カーボンナノチューブを1重量%〜10重量%のナノチューブ濃度で懸濁させて、水性媒体/ナノチューブスラリーを形成するステップと、
c)前記カーボンナノチューブが前記水性媒体から可塑剤に移動するのに十分な時間にわたり、30℃〜100℃の温度で、前記カーボンナノチューブ/水性媒体スラリーを少なくとも1種の可塑剤と混合して、湿潤ナノチューブ/可塑剤混合物を形成するステップと、
d)前記湿潤カーボンナノチューブ/可塑剤混合物から前記水性媒体を分離して、乾燥ナノチューブ/可塑剤混合物を形成するステップと、
e)40℃〜120℃で乾燥させることにより、前記乾燥ナノチューブ/可塑剤混合物から残留水性媒体を除去して、無水ナノチューブ/可塑剤混合物を形成するステップとを含む、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2011年6月20日に提出された米国特許仮出願第13/164,456号明細書およびその子孫出願(progeny);および2011年8月9日に出願された米国特許仮出願第13/140,029号明細書およびその子孫出願に関連し、それらのそれぞれの開示は参照によって本明細書に組み入れられる。本出願は2016年4月7日に出願された米国仮特許出願第62/319,599号の利益を主張する。
【0002】
本発明は、標的(目標とする(targeted))酸化レベルおよび/または含量(content)を有する新規な離散カーボンナノチューブ組成物(discrete carbon nanotube composition)、およびその配合物、例えば可塑剤に関する。
【背景技術】
【0003】
カーボンナノチューブは、チューブ内の層の数により、単層、二層および多層に分類することができる。カーボンナノチューブは現在、基材に付着した凝集ナノチューブボール、バンドルまたはフォレストとして製造されている。エラストマー、熱可塑性または熱硬化性ポリマー複合材料における補強剤としてのカーボンナノチューブの使用は、カーボンナノチューブが重要な有用性を有すると予想される分野である。しかし、これらの用途におけるカーボンナノチューブの利用は、個別化されたカーボンナノチューブの確実な生産が一般に不可能であること、および個別化されたカーボンナノチューブをポリマーマトリックス中に分散させることもできず、妨げられてきた。Bosnyakらは、種々の特許出願(例えば、米国特許出願公開第2012/0183770号明細書および米国特許出願公開第2011/0294013号明細書)において、酸化および剪断力を慎重かつ実質的に同時に使用し、それによりナノチューブの内側表面と外側表面の両方を酸化して、通常は内側表面と外側表面でほぼ同じ酸化レベルを得て、別個または離散チューブをもたらすことで、離散カーボンナノチューブを製造した。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、Bosnyakらの先行の出願および開示のチューブと異なる。本発明は、チューブ層の外部および/または内部に、標的のまたは選択的な酸化レベルおよび/または含量を有する離散し個別化されたカーボンナノチューブ(discrete, individualizing carbon nanotubes)の組成物を記載する。このような新規なカーボンナノチューブは、チューブ内側表面の酸化がほとんどまたは全くなくてもよく、チューブの内側表面と外側表面との間で酸化の量および/または種類が異なっていてもよい。これらの新しい離散チューブは可塑剤を含む多くの用途において有用であり、機械的、電気的および熱的特性の改善のためにエラストマー、熱可塑性および熱硬化性複合材料の調合および配合を行う際の添加剤として使用することができる。
【0005】
本発明の一実施形態は、複数の離散カーボンナノチューブを含む組成物であって、離散カーボンナノチューブは内部表面および外部表面を含み、各表面は内部表面酸化種含量および外部表面酸化種含量を含み、内部表面酸化種含量(interior surface oxidized species content)と外部表面酸化種含量(exterior surface oxidized species content)との間に、少なくとも20%、さらには100%の差があり、好ましくは、内部表面酸化種含量は外部表面酸化種含量より小さい、組成物である。
【0006】
内部表面酸化種含量は、カーボンナノチューブの重量に対して最大3重量%であり得、好ましくはカーボンナノチューブの重量に対して約0.01〜約3重量%、より好ましくは約0.01〜約2重量%、最も好ましくは約0.01〜約1重量%であり得る。特に好ましい内部表面酸化種含量は、カーボンナノチューブの重量に対して0〜約0.01重量%である。
【0007】
外部表面酸化種含量は、カーボンナノチューブの重量に対して約1〜約6重量%、好ましくは約1〜約4、より好ましくは約1〜約2重量%であり得る。これは、所与の複数のナノチューブの外部酸化種含量をその複数のナノチューブの総重量と比較することによって決定される。
【0008】
内部および外部表面酸化種含量の合計は、カーボンナノチューブの重量に対して約1〜約9重量%であり得る。
【0009】
本発明の別の実施形態は、複数の離散カーボンナノチューブを含む組成物であって、離散カーボンナノチューブが内部表面および外部表面を含み、各表面が内部表面酸化種含量および外部表面酸化種含量を含み、内部表面酸化種含量がカーボンナノチューブの重量に対して約0.01〜約1%未満を構成し、外部表面酸化種含量がカーボンナノチューブの重量に対して約1〜約3%超を構成する、組成物である。
【0010】
上記のいずれかの組成物の実施形態の離散カーボンナノチューブは、好ましくは複数の開口チューブを含み、より好ましくは複数の離散カーボンナノチューブが複数の開口チューブを含む。上記の組成物の実施形態の離散カーボンナノチューブは、内部外部表面酸化と外部表面酸化の差が少なくとも約0.2重量%であることが特に好ましい。
【0011】
本明細書に記載の組成物は、イオン輸送として使用することができる。このイオン輸送効果を示す、イオン化合物、いくつかの非イオン化合物、疎水性化合物または親水性化合物を含む、各種化学種またはクラスの化合物/薬物/化学物質を使用することができる。
【0012】
本明細書に開示された新しいカーボンナノチューブは地下水浄化にも有用である。
【0013】
新規な標的に酸化された離散カーボンナノチューブを含む組成物はまた、センサー内の構成要素として、またはセンサーとして使用することもできる。
【0014】
本明細書に開示された組成物はまた、薬物送達または制御放出製剤中の成分として、または薬物送達または制御放出製剤として使用することもできる。
【0015】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示された組成物は、ペイロード分子送達(payload molecule delivery)もしくは薬物送達(drug delivery)もしくは制御放出製剤(controlled release formulations)中の成分として、またはペイロード分子送達もしくは薬物送達もしくは制御放出製剤として、使用することもできる。特に、小分子治療薬、ペプチド、核酸、またはこれらの組み合わせを含む各種薬物を、ナノチューブ上に装入し、特定の位置に送達することができる。離散カーボンナノチューブは、細胞膜不透過性であるか、あるいは細胞膜を横断することが困難である、小分子/ペプチド/核酸が、細胞膜を通過して細胞内部に入ることを助けるために使用してよい。小分子/ペプチド/核酸が細胞膜を通過すると、有効性が著しく高まることがある。本明細書において、小分子は約500ダルトン以下の分子量を有する分子として定義される。
【0016】
アポトーシス促進性ペプチドKLAKLAKは、細胞膜不透過性であることが知られている。ペプチドを離散カーボンナノチューブ上に装入することにより、KLAKLAKは、LNCaPヒト前立腺癌細胞の細胞膜を横断し、アポトーシスを引き起こすことができるようになる。KLAKLAK−離散カーボンナノチューブ構成体は、標的化LNCaPヒト前立腺癌細胞の最大100%のアポトーシスをもたらし得る。離散カーボンナノチューブは、多種多様な他の細胞型の細胞膜を横断して他の小分子/ペプチド/核酸を送達するうえでも有用であり得る。離散カーボンナノチューブは、高い装入効率を有するように配置することができ、そのことによって、より多量の薬物またはペプチドの送達が可能となる。いくつかの例において、細胞膜を横断する輸送は、輸送を助けるまたは可能にする標的化または透過部分を必要とせずに、達成され得る。他の例では、薬物または小分子/ペプチド/核酸を特定の標的へ向けることを支援するために、離散カーボンナノチューブを標的化部分(例えば、ペプチド、化学リガンド、抗体)とコンジュゲートしてもよい。離散カーボンナノチューブ単独は耐性が高く、独立にアポトーシスを引き起こさない。
【0017】
ペプチド、小分子、および核酸ならびに他の薬物は、ファンデルワールス結合、イオン結合または共有結合を介して、離散カーボンナノチューブの外部に付着させることができる。考察したように、所与の薬物または小分子/ペプチド/核酸に対する特異的相互作用を促進するために、酸化レベルを制御することができる。いくつかの例では、十分に小さい薬物またはペプチドは、離散カーボンナノチューブの内部に局在することができる。離散カーボンナノチューブの内部に充填するプロセスは、室温以下の温度を含む多くの温度で行ってよい。いくつかの例では、離散カーボンナノチューブに、小分子および大分子薬物の両方を、最大限度までわずか60分で充填することができる。
【0018】
ペイロード分子は、薬物分子、放射性トレーサー分子、放射線療法分子、画像診断分子、蛍光トレーサー分子、タンパク質分子、およびこれらの組み合わせからなる群から選択することができる。
【0019】
本明細書に開示した機能化した(functionalized)離散カーボンナノチューブと共有結合あるいは非共有結合によって会合し得るペイロード分子の例示的種類としては、限定されないが、プロトンポンプ阻害剤、H2受容体拮抗薬、細胞保護剤、プロスタグランジン類似体、ベータ遮断剤、カルシウムチャネル遮断剤、利尿剤、強心配糖体、抗不整脈薬、抗狭心症薬、血管収縮剤、血管拡張剤、ACE阻害剤、アンジオテンシン受容体拮抗薬、アルファ遮断薬、抗凝血薬、抗血小板薬、線維素溶解薬、高脂血症治療薬、スタチン、催眠薬、抗精神病薬、抗鬱剤、モノアミン酸化酵素阻害剤、選択的セロトニン再取り込み阻害剤、制吐薬、抗痙攣剤、抗不安薬、バルビツール酸系薬、興奮剤、アンフェタミン、ベンゾジアゼピン、ドーパミン拮抗薬、抗ヒスタミン剤、コリン作動薬、抗コリン薬(anticoagulants)、催吐剤(emetics)、カンナビノイド、5−HT拮抗薬、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、オピオイド、気管支拡張薬、抗アレルギー薬、ムコリチック、コルチコステロイド、ベータ受容体拮抗薬、抗コリン薬、ステロイド、アンドロゲン、抗アンドロゲン薬、成長ホルモン、甲状腺ホルモン、抗甲状腺薬、バソプレッシン類似体、抗生物質、抗真菌薬、抗結核薬、抗マラリア薬、抗ウイルス薬、抗原虫薬、放射線防護体、化学療法剤、細胞静止薬、およびパクリタクセルなどの細胞毒性薬物を挙げることができる。
【0020】
本明細書に開示された組成物を含む電池も有用である。そのような電池としては、リチウム、ニッケルカドミウム、または鉛酸型が挙げられる。
【0021】
本明細書に開示された組成物を含む配合物は、エポキシ、ポリウレタン、またはエラストマーをさらに含むことができる。そのような配合物は、分散液の形態であり得る。配合物はまた、ナノプレート構造を含むことができる。
【0022】
組成物は、少なくとも1つの内部表面と接触する少なくとも1種の疎水性材料をさらに含むことができる。
【0023】
本出願はまた、複数の離散カーボンナノチューブおよび可塑剤を含む組成物であって、離散カーボンナノチューブは10〜約500のアスペクト比を有し、カーボンナノチューブはそれらの最外層表面の酸素種により機能化される、組成物に関する。離散カーボンナノチューブは内部表面および外部表面を含み、各表面は内部表面酸化種含量および外部表面酸化種含量を含み、内部表面酸化種含量はカーボンナノチューブの重量に対して約0.01〜約1%未満を構成し、外部表面酸化種含量はカーボンナノチューブの重量に対して約1〜約3%超を構成する。酸素種は、カルボン酸、フェノール、またはこれらの組み合わせを含み得る。
【0024】
組成物は、ジカルボン酸/トリカルボン酸エステル、トリメリテート(trimellitate)、アジペート、セバケート、マレエート、グリコールおよびポリエーテル、ポリマー可塑剤、生物由来可塑剤、ならびにこれらの混合物からなる群から選択される可塑剤をさらに含み得る。組成物は、ナフテン系油、パラフィン油、パラベン油、芳香油、植物油、種子油、およびこれらの混合物からなる群から選択されるプロセス油を含んだ可塑剤を含み得る。
【0025】
組成物は、限定されないが、ザイエン、ペンタン、メチルエチルケトン、ヘキサン、ヘプタン、酢酸エチル(ethyl acetate)、エーテル、ジクロロメタン(dichloromethane)、ジクロロエタン、シクロヘキサン、クロロホルム、四塩化炭素、酢酸ブチル、ブタノール、ベンゼンまたはこれらの混合物からなる不混和性溶媒からなる群から選択される可塑剤をさらに含み得る。
【0026】
さらに別の実施形態では、組成物は、シリカ、ナノクレイ、カーボンブラック、グラフェン、ガラス繊維、およびこれらの混合物からなる群から選択される無機充填剤をさらに含む。
【0027】
別の実施形態において、組成物は自由流動粒子(free flowing particle)の形態をとる。
【0028】
別の実施形態において、組成物は、複数の離散カーボンナノチューブおよび可塑剤を含み、ここで、離散カーボンナノチューブは、約10重量%〜約90重量%、好ましくは10重量%〜40重量%、最も好ましくは10〜20重量%を構成する。
【0029】
別の実施形態は、可塑剤中に離散カーボンナノチューブを含んだ組成物を形成する方法であって、a)約10〜約500の平均アスペクト比および約1〜約15重量%の酸化種含量総レベルを有する複数の離散カーボンナノチューブを選択するステップと、b)水性媒体(水)中に離散カーボンナノチューブを約1重量%〜約10重量%のナノチューブ濃度で懸濁させて水性媒体/ナノチューブスラリーを形成するステップと、c)カーボンナノチューブが水から可塑剤に移動して湿潤ナノチューブ/可塑剤混合物を形成するのに十分な時間にわたり、約30℃〜約100℃の温度で、カーボンナノチューブ/水性媒体(例えば、水)スラリーを少なくとも1種の可塑剤と混合するステップと、d)湿潤カーボンナノチューブ/可塑剤混合物から水を分離して乾燥ナノチューブ/可塑剤混合物を形成するステップと、e)約40℃〜約120℃に乾燥させることにより、乾燥ナノチューブ/可塑剤混合物から残留水を除去して、無水ナノチューブ/可塑剤混合物を形成するステップと、を含む方法である。
【0030】
別の実施形態は、少なくとも1種のゴムとさらに混合された可塑剤中の離散カーボンナノチューブの組成物である。ゴムは、天然または合成ゴムであってよく、好ましくは、天然ゴム、ポリイソブチレン、ポリブタジエンおよびスチレンブタジエンゴム、ブチルゴム、ポリイソプレン、スチレン−イソプレンゴム、スチレン−イソプレンゴム、エチレン、プロピレンジエンゴム、シリコーン、ポリウレタン、ポリエステル−ポリエーテル、水素添加および非水素添加ニトリルゴム、ハロゲン修飾エラストマー、フルオロエラストマー、ならびにこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0031】
別の実施形態は、少なくとも1種の熱可塑性ポリマーまたは少なくとも1種の熱可塑性エラストマーとさらに混合された、可塑剤中の離散カーボンナノチューブの組成物である。熱可塑性樹脂は、限定されないが、アクリル、ポリアミド、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、メタクリル、フェノール、ポリプロピレン、ポリオレフィンプラストマーおよびエラストマーなどのポリオレフィン、EPDM、ならびにエチレン、プロピレンおよび官能性モノマーのコポリマーから選択することができる。
【0032】
さらに別の実施形態は、少なくとも1種の熱硬化性ポリマー、好ましくはエポキシ、またはポリウレタンとさらに混合された、可塑剤中の離散カーボンナノチューブの組成物である。熱硬化性ポリマーは、限定されないが、エポキシ、ポリウレタン、または不飽和ポリエステル樹脂から選択することができる。
【0033】
本開示およびその利点のより完全な理解のために、本開示の特定の実施形態を説明する以下の記載を参照する。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下の記載において、本明細書に開示される本実施形態の十分な理解を提供するように、特定の量、サイズ等のある特定の詳細が明示される。しかし、本開示はそのような具体的な詳細を伴わずに実践し得ることが、当業者には明白であろう。多くの場合、そのような詳細が本開示の完全な理解を得るには必要でない限りにおいて、また関連分野の当業者の能力の範囲内にある限りにおいて、そのような検討等に関する詳細は省略されている。
【0035】
本明細書で使用される用語の大部分が、当業者にとって認識可能であろうが、用語は、明確に定義されていない場合、当業者によって現在認められている意味を採用するものとして解釈されるべきであることを理解されたい。用語の解釈が、その用語を無意味または本質的に無意味なものにする場合においては、定義は、Webster's Dictionary, 3rd Edition, 2009に依拠するものとする。定義および/または解釈は、関連する内容か否かにかかわらず、他の特許出願、特許、または刊行物から組み入れられてはならない。
【0036】
本開示の機能化カーボンナノチューブは、一般に、上記のカーボンナノチューブタイプのいずれかを化学修飾したものを指す。そのような修飾は、ナノチューブ端部、側壁、またはその両方を含むことができる。化学修飾としては、限定されるものではないが、共有結合、イオン結合、化学吸着、インターカレーション、界面活性剤の相互作用、ポリマーラッピング、切断、溶媒和、およびそれらの組み合わせが挙げられ得る。いくつかの実施形態において、カーボンナノチューブは、剥離の前、間および後に機能化することができる。
【0037】
各種実施形態において、約10〜約500、好ましくは約40〜約200のアスペクト比、および約1重量%〜約15重量%、好ましくは約1重量%〜約10重量%、より好ましくは約1重量%〜5重量%、より好ましくは約1重量%〜3重量%の全体的(合計)酸化レベルを有する、単層、二層または多層カーボンナノチューブ繊維を含む複数のカーボンナノチューブが開示される。酸化レベルは、カーボンナノチューブに共有結合した酸素添加化学種の重量での量と定義される。カーボンナノチューブ上の酸素添加化学種の重量百分率を決定するための熱重量分析法は、約7〜15mgの乾燥させた酸化カーボンナノチューブを得て、乾燥窒素雰囲気中で5℃/分にて100℃から700℃に加熱することを含む。200から600℃までの重量喪失百分率は、酸素添加化学種の重量喪失百分率として得られる。酸素添加化学種はまた、特に1730〜1680cm−1の波長範囲において、フーリエ変換赤外分光法(FTIR)を使用して定量化される。
【0038】
カーボンナノチューブは、カルボン酸または誘導性カルボニル含有化学種を含む酸化種を有することができ、塊として絡まっていない本質的に離散し個別化されたナノチューブである。典型的に、酸化および剪断のプロセスを完了した後の離散カーボンナノチューブの量は、圧倒的過半数(すなわち、複数)を占め、離散カーボンナノチューブの70、80、90、または99%にもなる場合があり、チューブの残部は依然としていくつかの形態で部分的に絡み合った状態になる。ナノチューブの離散し個別化されたチューブへの完全な変換(すなわち、100%)が最も好ましい。誘導性カルボニル化学種としては、フェノール、ケトン、第四級アミン、アミド、エステル、アシルハロゲン、一価金属塩等が挙げられ、これらはチューブの内側表面と外側表面との間で異なっていてもよい。
【0039】
例えば、1つのタイプの酸を用いてチューブの外側表面を酸化し、続いて水洗浄して剪断を誘発し、それによりチューブを破壊し分離することができる。所望であれば、内部チューブ層酸化が実質的に行われない(または0である)形成した離散チューブを、異なる酸化剤により、あるいはチューブ外部層表面に使用されるのと同じで濃度が異なる酸化剤により、さらに酸化し、異なる量(および/または異なるタイプ)の内部および表面酸化を実現することができる。
【0040】
鉄、アルミニウムまたはコバルトなどの金属触媒を使用した製造直後のカーボンナノチューブは、カーボンナノチューブと会合しているかカーボンナノチューブ内に捕捉された相当量の触媒を5重量%以上も保持している場合がある。これらの残留金属は、腐食の増大のために電子デバイスなどの用途において有害であるか、またはエラストマー複合材料の硬化時の加硫プロセスを妨げるおそれがある。さらに、これらの二価または多価金属イオンは、カーボンナノチューブ上のカルボン酸基と会合し、後続の分散プロセスにおけるカーボンナノチューブの離散化を妨げるおそれがある。他の実施形態において、酸化カーボンナノチューブは、約10000ppm未満、好ましくは約5000ppm未満の残留金属濃度を含む。金属は、エネルギー分散型X線分光法または熱重量分析法を用いて好都合に決定することができる。
【0041】
可塑剤中の離散カーボンナノチューブの組成物は、機械的特性、熱伝導率および電気伝導率を改善するため、各種化合物および複合体への添加剤として使用することができる。一例は、改善された耐摩耗性、引裂強さおよび熱伝導率を有するシール、噴出防止装置およびドリルモータなどの、油田用途でのゴム構成要素を製作するために使用される、ゴム化合物中の添加剤である。別の例は、タイヤ、シール、および制振材を製作するために使用されるゴム化合物中の添加剤である。適切な可塑剤を選択することにより、添加剤は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂および複合材料の調合および配合において有用性を有する。
【0042】
カーボンナノチューブは製造時に束または絡み合った凝集体の形態であり、離散カーボンナノチューブを製造するために、CNano Technology、Nanocyl、ArkemaおよびKumho Petrochemicalなどの様々な供給元から入手することができる。酸溶液、好ましくは約60重量%を超える濃度、より好ましくは65%を超える濃度の硝酸溶液を使用して、カーボンナノチューブを調製することができる。参照によってそれらの開示が本明細書に組み入れられる、米国特許出願公開第2012/0183770号明細書および米国特許出願公開第2011/0294013号明細書に開示された混合酸系(例えば、硝酸および硫酸)を使用して、製造直後の(as-made)束状または絡み合ったカーボンナノチューブから、酸化した離散カーボンナノチューブを生産することができる。
【0043】
標的酸化を有する離散カーボンナノチューブの一般的製造方法
CNanoグレードのFlotube9000カーボンナノチューブおよび65%硝酸を用いて、0.5重量%〜5重量%、好ましくは3重量%のカーボンナノチューブの混合物を調製する。撹拌しながら、酸およびカーボンナノチューブの混合物を70〜90℃で2〜4時間加熱する。次いで、形成された酸化カーボンナノチューブを、酸混合物から単離する。限定されないが、遠心分離、濾過、圧搾、デカントおよび他の固液分離技術を含む、複数の方法を使用して、酸化カーボンナノチューブを単離することができる。次いで、酸化カーボンナノチューブを、水、好ましくは脱イオン水などの水性媒体で、3〜4のpHになるまで洗浄することにより、残留酸を除去する。次いで、カーボンナノチューブを、0.5重量%〜4重量%、好ましくは1.5重量%の濃度で、水中に懸濁させる。10〜10J/mのエネルギー密度を生じさせることが可能なプロセス装置による剪断力(乱流)および/またはキャビテーションによって生じる強い破壊力に、溶液を供する。この仕様に適合する装置としては、限定されないが、超音波破砕機、キャビテーター、機械式ホモジナイザー、圧力式ホモジナイザー、マイクロフルイダイザーが挙げられる(表1)。そのような1つのホモジナイザーは、米国特許第756,953号明細書に示されており、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。剪断処理の後、酸化カーボンナノチューブは離散し個別化されたカーボンナノチューブとなる。典型的には、入手直後および製造直後の絡み合ったカーボンナノチューブの所定の開始量に基づいて、少数のチューブ、通常はチューブの大部分が、絡み合ったまま残っているか、完全に個別化されていない状態で、好ましくは少なくとも約60%、より好ましくは少なくとも約75%、最も好ましくは少なくとも約95%、さらには100%の割合で、複数の酸化した離散カーボンナノチューブがこの方法からもたらされる。
【0044】
離散カーボンナノチューブを生産するための別の例示的方法は以下の通りである。CNano Flotube9000グレードのカーボンナノチューブ、ならびに3重量部の硫酸(97%の硫酸および3%の水)および1重量部の硝酸(65〜70%硝酸)からなる酸混合物を用いて、0.5重量%〜5重量%、好ましくは3重量%のカーボンナノチューブの混合物を調製する。混合物を室温で3〜4時間撹拌しながら保持する。次いで、形成された酸化カーボンナノチューブを、酸混合物から単離する。限定されないが、遠心分離、濾過、圧搾、デカントおよび他の固液分離技術を含む、複数の方法を使用して、酸化カーボンナノチューブを単離することができる。次いで、酸化カーボンナノチューブを、水、好ましくは脱イオン水などの水性媒体で、3〜4のpHになるまで洗浄することにより、酸を除去する。次いで、酸化カーボンナノチューブを、0.5重量%〜4重量%、好ましくは1.5重量%の濃度で、水中に懸濁させる。10〜10J/mのエネルギー密度を生じさせることが可能なプロセス装置による剪断力(乱流)および/またはキャビテーションによって生じた強い破壊力に、溶液を供する。この仕様に適合する装置としては、限定されないが、超音波破砕機、キャビテーター、機械式ホモジナイザー、圧力式ホモジナイザー、マイクロフルイダイザーが挙げられる(表1)。剪断および/またはキャビテーション処理の後、酸化カーボンナノチューブは酸化された離散カーボンナノチューブとなる。典型的には、入手直後および製造直後の絡み合ったカーボンナノチューブの所定の開始量に基づいて、少数のチューブ、通常はチューブの大部分が、絡み合ったまま残っているか、完全に個別化されていない状態で、好ましくは少なくとも約60%、より好ましくは少なくとも約75%、最も好ましくは少なくとも約95%、さらには100%の割合で、複数の酸化した離散カーボンナノチューブがこの方法からもたらされる。
【実施例】
【0045】
[実施例1]
MWCNTとして絡み合った状態での酸化−3時間(oMWCNT−3)
64%超の硝酸100mlを85℃に加熱する。酸に対して、入手直後の多層カーボンナノチューブ(C9000、CNano Technology)3gを添加する。入手直後のチューブは、絡み合った毛玉状の形態を有する。溶液を85℃で3時間保持しながら、酸とカーボンナノチューブの混合物を混合し、「oMWCNT−3」というラベルを付ける。反応期間の最後に、MWCNT−3を濾過して酸を除去し、逆浸透(RO)水により3〜4のpHになるまで洗浄する。酸処理の後、カーボンナノチューブは依然として絡み合った玉になっている。チューブを60℃で恒量まで乾燥させる。
【0046】
[実施例2]
MWCNTとして絡み合った状態での酸化−6時間(oMWCNT−6)
64%超の硝酸100mlを85℃に加熱する。酸に対して、入手直後の多層カーボンナノチューブ(C9000、CNano Technology)3gを添加する。入手直後のチューブは、絡み合った毛玉状の形態を有する。溶液を85℃で6時間保持しながら、酸とカーボンナノチューブの混合物を混合し、「oMWCNT−6」というラベルを付ける。反応期間の最後に、oMWCNT−6を濾過して酸を除去し、逆浸透(RO)水により3〜4のpHになるまで洗浄する。酸処理の後、カーボンナノチューブは依然として絡み合った玉になっている。チューブを60℃で恒量まで乾燥させる。
【0047】
[実施例3]
離散カーボンナノチューブ−最外層の酸化(out−dMWCNT)
容器内で、64%の硝酸922kgを83℃に加熱する。酸に対して、入手直後の多層カーボンナノチューブ(C9000、CNano Technology)20kgを添加する。混合物を混合し、83℃で3時間保持する。3時間後、濾過により酸を除去し、カーボンナノチューブをRO水で3〜4のpHになるまで洗浄する。酸処理の後、カーボンナノチューブは依然として絡み合った玉であり、開口端はほとんどない。チューブの外側は酸化されて各種酸化種を形成するが、ナノチューブの内部は酸にほとんど曝露されず、したがって、ほとんど酸化されていない。次に、酸化カーボンナノチューブをRO水中に1.5重量%の濃度で懸濁させる。10〜10J/mのエネルギー密度を生じさせることが可能なプロセス装置による剪断力(乱流)および/またはキャビテーションによって生じた強い破壊力に、RO水および絡み合った酸化ナノチューブの溶液を供する。得られた試料に、外層の酸化および離散(discrete)の「d」を表す、「out−dMWCNT」というラベルを付ける。この剪断に適合する装置としては、限定されないが、超音波破砕機、キャビテーター、機械式ホモジナイザー、圧力式ホモジナイザー、マイクロフルイダイザーが挙げられる(表1参照)。剪断および/またはキャビテーション処理は、特に通常は6員炭素環であるCNT構造中の欠陥箇所にチューブの破壊と破壊による端部の開放とをもたらす機械的手段を通じて、酸化カーボンナノチューブをほぐして離散させると考えられている。欠陥はチューブ内の6員炭素環ではない箇所に生じる。この処理は水中で行われるので、離散カーボンナノチューブの内側表面に酸化は起こらない。
【0048】
[実施例4]
離散カーボンナノチューブ−外側層および内側層の酸化(out/in−dMWCNT)
離散カーボンナノチューブの内部を酸化するために、3gのout−dMWCNTを、85℃に加熱した64%の硝酸に添加する。溶液を混合し、温度を3時間保つ。この間に、硝酸がカーボンナノチューブの内部表面を酸化する。3時間の最後に、チューブを濾過して酸を除去し、次いでRO水で3〜4のpHになるまで洗浄する。この試料に、外側層および内側層の両方の酸化および離散(discrete)の「d」を表す、「out/in−dMWCNT」というラベルを付ける。
【0049】
熱重量分析法を用いて、カーボンナノチューブの試料の酸化を測定する。この例では、TA Instruments Q50熱重量分析計(TGA)を使用する。振動ボールミルを使用して、乾燥カーボンナノチューブの試料を粉砕する。TGAのタール白金パンに、粉砕カーボンナノチューブ7〜15mgを添加する。測定プロトコルは以下の通りである。窒素環境下で、温度を室温から100℃まで毎分10℃の速度で上げ、この温度で45分間保持して、残留水が除去されるようにする。次に、温度を毎分5℃の速度で700℃まで上げる。このプロセスの間、重量百分率の変化を温度および時間の関数として記録する。100℃の等温線中の残留水分除去に関連する全ての変化について、全ての値を正規化する。200℃での重量変化百分率から600℃での重量変化百分率を差し引くことにより、カーボンナノチューブの酸素の重量百分率(%Ox)を決定する。
【0050】
比較表(下記の表2)は、外側のみでの酸化(バッチ1、バッチ2、およびバッチ3)、または外側と内側の両方での酸化(バッチ4)を受けたカーボンナノチューブの異なるバッチの酸化レベルを示している。バッチ1(上記の実施例1で製造したoMWCNT−3)は、バッチがまだ絡み合った形態にあるときに外側のみで酸化された絡み合ったカーボンナノチューブのバッチである(表2、1列目)。バッチ2(上記の実施例2で製造したoMWCNT−6)も、バッチがまだ絡み合った形態にあるときに外側のみで酸化された絡み合ったカーボンナノチューブのバッチである(表2、2列目)。バッチ1(2.04%Ox)とバッチ2(2.06%Ox)の平均酸化百分率は、本質的に同じである。バッチ1(酸への3時間の曝露)とバッチ2(酸への6時間の曝露)との違いは、バッチ2においてカーボンナノチューブは酸に2倍の時間曝露されたことであるため、このことは酸への追加的な曝露がカーボンナノチューブの表面の酸化量を増加させないことを示唆する。
【0051】
バッチ3(上記実施例3で製造したOut−dMWCNT)は、バッチがまだ絡み合った形態にあるときに外側のみで酸化された絡み合ったカーボンナノチューブのバッチである(表2、3列目)。バッチ3は、さらなる酸化なしで、カーボンナノチューブの離散バッチとなった。バッチ3は、絡み合ったカーボンナノチューブを離散ナノチューブにすることの酸化に対する効果に関する対照試料(control sample)となる。バッチ3は、バッチ1およびバッチ2と本質的に同じ平均酸化レベル(1.99%Ox)を示す。したがって、バッチ3は、カーボンナノチューブをほぐして水中に離散させると、内部を酸化することなく、チューブの端部が開くことを示している。
【0052】
最後に、バッチ4(本明細書の実施例4で製造したOut/In−dMWCNT)は、バッチがまだ絡み合った形態にあるときに外側で酸化され、次いで、バッチがカーボンナノチューブの離散バッチとなった後に、再度酸化された、絡み合ったカーボンナノチューブのバッチである(表2、4列目)。離散カーボンナノチューブは端部が開放されているので、バッチ4では、酸がチューブの内部に入り、内部表面を酸化する。バッチ4は、バッチ1、バッチ2およびバッチ3と比較して著しく高い平均酸化レベル(2.39%Ox)を示す。バッチ4における平均酸化レベルの著しい上昇は、内部表面でのカーボンナノチューブの追加的酸化を表している。したがって、バッチ4の平均酸化レベル(2.39%Ox)は、バッチ3の平均酸化レベル(1.99%Ox)よりも約20%高い。下記の表2において、酸化の平均値は、チューブの4つのバッチについて反復して示されている。酸化百分率は、バッチ1、バッチ2およびバッチ3の標準偏差内にある。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】
可塑剤中に離散カーボンナノチューブを含む組成物を形成するための例示的方法では、まず、平均アスペクト比が約10〜約500であり、酸化種含量合計レベルが約1〜約15重量%である、複数の離散カーボンナノチューブを選択する。次いで、約1重量%〜約10重量%のナノチューブ濃度で水中での剪断を用いて、離散カーボンナノチューブを懸濁させ、ナノチューブ水スラリーを形成する。次いで、約30℃〜約100℃の温度で、カーボンナノチューブが水から可塑剤に移動して水ナノチューブ/可塑剤混合物を形成するのに十分な時間にわたり、スラリーを少なくとも1種の可塑剤と混合する。混合物は70%〜約99.9%の水を含むことができる。濾過、デカントまたは他の機械的分離手段によって、水の大部分を混合物から分離する。濾過された物質は、約50%〜約10%の水を含有することができる。次いで、濾過された材料を約40℃〜約120℃の温度で乾燥させて、3重量%未満の水、最も好ましくは0.5重量%未満の水、および用途によっては0重量%の水で、無水ナノチューブ/可塑剤混合物を形成する。
【0056】
[実施例5]
実施例3のように外部層のみが酸化された水中の離散カーボンナノチューブの濃縮物を脱イオン水中で2重量%に希釈する。スラリーをオーバーヘッド撹拌機により400rpmで撹拌しながら40℃に加熱する。離散カーボンナノチューブ1gにつき、Sigma Aldrich製のTOTM(トリメリット酸トリオクチル)4gを撹拌混合物に添加する。4時間にわたり、混合物を750rpmで撹拌し、40℃に保持する。この間、油および離散カーボンナノチューブは上部に浮上し、底部に浄水が残る。このとき、濾過によって、TOTM/カーボンナノチューブ混合物から水を分離する。強制空気対流式オーブン内で70℃にてTOTMおよび離散カーボンナノチューブを乾燥させ、残留水を除去する。その結果、流動性粉末が得られる。熱重量測定手段によって離散カーボンナノチューブの濃度を決定し、20%の離散カーボンナノチューブおよび80%のTOTMとなっていることを見出した。
【0057】
[実施例6]
20%の離散カーボンナノチューブおよび80%のTOTM(トリメリット酸トリオクチル)を含む、実施例5の離散カーボンナノチューブおよび可塑剤組成物を、樹脂100部当たり2部(phr)および樹脂100部当たり3部(phr)の濃度で、ニトリルゴム配合物に添加する(表3)。化合物の油濃度を調節し、本発明の組成物から追加の油を補う。次いで、化合物を硬化させて試験用プラークにする。Instron製張力計を使用して、拘束引裂き(constrained tear)試験を実施する。ダイを使用して拘束引裂き試料を打ち抜き、試験片の中心に長さ1/2インチの刻み目を付け、最長寸法に対して垂直にスライスした、1.5インチ×1インチの長方形を製造する。試験片を刻み目から等距離に把持し、Instronで引っ張る。剪断ひずみおよび応力を記録し、ひずみゼロから最終破壊までの応力−ひずみ曲線の下の面積を計測する。この面積が総引裂きエネルギーとなる。表4の結果は、引裂き強さの増大が、離散カーボンナノチューブによって与えられることを示している。
【0058】
【表3】
【0059】
【表4】
【0060】
[実施例7]
20%の離散カーボンナノチューブおよび80%のTOTM(トリメリット酸トリオクチル)を含む、実施例5の離散カーボンナノチューブおよび可塑剤組成物を、樹脂100部当たり3部(phr)の濃度で、ニトリルゴム配合物に添加する(表5)。本発明の組成物からの追加の油を補うように化合物の油濃度を調節し、全ての配合物が等量の油濃度を有するようにする。入手直後のカーボンナノチューブ(Flotube C9000、CNano)により、比較化合物を調製する(表5)。3つの試料について測定硬度が同じになるように、カーボンブラック含量を調節する。ショアA硬度は、対照例では67、本発明の3phrのCNTでは67、3phrの「そのまま」のカーボンナノチューブ(C9000)では68である。実施例6に記載したように、拘束引裂きを測定した。本発明の離散カーボンナノチューブおよび油組成物(dCNT)は、絡み合ったカーボンナノチューブ(C9000)および対照例よりも高い総引裂きエネルギーを有する。絡み合ったカーボンナノチューブ(C9000)の引裂きエネルギーは、対照例よりも小さい(表6)。
【0061】
【表5】
【0062】
【表6】
【0063】
当業者にとって、充填剤をゴム化合物に添加すると化合物の粘度が増大することは公知である。意外にも、実施例7の離散カーボンナノチューブおよび油混合物の添加は粘度を増大させず、むしろ粘度を低下させたが、実施例7の絡み合ったカーボンナノチューブ(C9000)は粘度を増大させた。粘度は125℃でムーニーレオメーターを使用して測定する。測定された初期粘度は、化合物の加工性を表す。本発明および実施例7に記載の離散カーボンナノチューブを含有する化合物は対照例と同等であることが判明しているが、絡み合ったカーボンナノチューブ(C9000)を含む化合物は対照例より高いことが判明している(表7)。
【0064】
【表7】
【0065】
開示された実施形態はまた、ペルクロロエテン(PCE)、トリクロロエテン(TCE)、1,2−ジクロロエテン(DCE)、塩化ビニル、および/またはエタンなどの、任意のドライクリーニング化合物および関連化合物の少なくとも一部の処理、除去、改質、金属イオン封鎖、標的化標識、および/または分解を行うことによって、汚染土壌、地下水および/または廃水を処理および/または浄化するのに有用な組成物にも関する。実施形態はまた、任意の油、有害であるか望ましくない化学物質、および他の汚染物質の少なくとも一部の処理、除去、改質、金属イオン封鎖、標的化標識、および/または分解を行うのに有用な化合物にも関する場合がある。開示された実施形態は、複数の離散カーボンナノチューブであって、内部表面および外部表面を含む離散カーボンナノチューブを含んでよい。各表面は、内部表面酸化種含量および/または外部表面酸化種含量を含んでよい。実施形態はまた、複数の離散カーボンナノチューブの内部表面または外部表面のいずれかに付着した、少なくとも1種の分解性分子あるいは他の化学的活性分子を含んでよい。このような実施形態は、汚染土壌、地下水および/または廃水の位置に、既知の分解性(degrative)分子および/または化学的活性分子を送達するために使用することができる。
【0066】
ペイロード分子の添加
薬物物質の水溶性は、薬物製品のプレフォーミュレーション研究において重要なパラメータである。いくつかの薬物は、水に難溶性であり、配合および投与にとって問題となる。分散体を形成するために、有機溶媒または油、および追加的な界面活性剤を使用できる。ペイロード分子が水性媒体中において容易に溶解または分散されるのであれば、濾過ケーキは乾燥させる必要はない。ペイロード分子が水性媒体中に容易に溶解または分散されないのであれば、まず真空中で80℃にて濾過ケーキを恒量まで乾燥させる。所望の濃度の液体媒体中のペイロード分子が、離散カーボンナノチューブに添加され、チューブの孔内で数時間平衡化される。次いで、混合物を濾過して約1mm未満の厚さのケーキを形成し、その後チューブ内に存在しないペイロード溶液の大部分が、高流速濾過で除去される。濾過の速度は、ペイロード分子がチューブ孔から拡散するのにほとんど時間がかからないように選択される。次いで、大きな分子、例えば、バイオポリマー、アミノ酸、タンパク質またはペプチドの水溶液を付着させることが所望される場合、濾過ケーキとペイロード薬物は追加の処置に供される。
【0067】
[実施例8]
水中のナイアシンの濃度の関数としての、ナイアシンの紫外線吸収の較正曲線を決定した。0.0578gの本発明の機能化した離散カーボンナノチューブを、25mlの水中の0.0134gのナイアシンと混合することにより(カーボンナノチューブ1g当たり0.231gのナイアシン)、溶液を調製した。チューブを沈降させ、チューブの上の液体のアリコートを1時間ごとに除去した。このアリコートの紫外可視吸収を測定し、結果として得られた、溶液中のナイアシンの量を記録した。溶液中のナイアシンの量は6時間後に安定した。混合の20時間後に最終試料を得た。溶液中に残存するナイアシンの量と、元々の量との差異が、機能化した離散カーボンナノチューブと会合したナイアシンの量として決定された。0.0746gのナイアシンが1gのカーボンナノチューブと会合することが判明した。カーボンナノチューブによって吸収されたナイアシンの総量は0.0043gであった。カーボンナノチューブの平均の長さ1000nm、外径12nm、および内径5nmである場合、チューブ内の利用可能な容積は、カーボンナノチューブ1g当たり0.093cmである。ナイアシンの密度は1.473g/cmであるので、チューブに収まるナイアシンの最大量は0.137gである。したがって、ナイアシン0.0746g/CNT1gという測定された吸収量を、チューブ内部に閉じ込めることが可能であった。
【0068】
[実施例9]
ポリ(ビニルアルコール)(PVOH)は十分に大きく(30kDa〜70kDa)、カーボンナノチューブ内部に吸収されることはない。PVOHは、カーボンナノチューブの外部を会合させて包み込むため、カーボンナノチューブの界面活性剤として使用される。この実験では、25mlの水中のカーボンナノチューブ0.0535gとナイアシン0.0139g(カーボンナノチューブ1gに対してナイアシン0.26g)の混合物に、PVOHを添加した。これを夜通し静置した。実施例1の紫外可視吸収技術を使用して、カーボンナノチューブと会合したナイアシンの量がカーボンナノチューブ1g当たりナイアシン0.0561gであり、実施例1において0.0746g未満であると決定した。吸収されるナイアシンの総量は0.003gであった。
【0069】
カーボンナノチューブの長さを1000nm、外径を12nm、内径を5nmとして、計算を行った。PVOHの密度が1.1g/cmであり、PVOH対カーボンナノチューブの比が0.23対1である場合、カーボンナノチューブ上のPVOHの平均層厚は0.6nmである。したがって、カーボンナノチューブをカプセル化し、チューブ表面上のあらゆるナイアシンを置換するのに十分なPVOHが存在し、測定された、カーボンナノチューブ1g当たり0.0561gの量のナイアシンがカーボンナノチューブの内部に存在する。
【0070】
別の例では、機能化した離散カーボンナノチューブを、ポリマーマトリックス、例えばポリエチレンオキシド、溶融物または溶液中に分散させ、ペイロード分子を添加することができる。
【0071】
【表8】
【0072】
チューブ長を判定するために、チューブの試料をイソプロピルアルコールで希釈し、30分間超音波処理する。次いで、これをシリカウエハ上に堆積させ、SEMで15kVおよび20,000倍の倍率で画像を得る。異なる場所で3枚の画像を得る。JEOLソフトウェア(SEMと共に含まれる)を活用して、最小2本の線を、各画像を横切るように引き、この線を横切るチューブの長さを測定する。
【0073】
歪度は、確率分布の非対称性の測定値である。正の値は、分布ヒストグラムの右側の裾が左側よりも長いことを意味し、逆もまた同様である。正の歪度が好ましく、これは長い長さのチューブがより多いことを示し、意味する。ゼロの値は、平均値の両側における相対的に均一な分布を意味する。尖度は、分布曲線の形状の測定値であり、概して、正規分布と関連する。歪度および尖度はともに単位を持たない。
【0074】
以下の表は、離散カーボンナノチューブの直径の代表値を示す。
【0075】
【表9】
【0076】
濾過ケーキの小試料を真空中で100℃にて4時間乾燥させ、熱重量分析を100℃〜600℃の窒素中で10℃/分の加熱速度で実施する。200〜600℃の間での重量損失として、繊維上の酸化種の量を調べる。個別化された(離散)チューブの分散も、紫外分光によって決定する。湿潤ケーキに水を添加して、0.5重量%のカーボンナノチューブ懸濁液を得て、次いで、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを酸化カーボンナノチューブの質量の1.5倍の濃度で添加する。超音波処理槽を使用して溶液を30分間超音波処理し、次いで、カーボンナノチューブ2.5×10−5g/mlの濃度に希釈する。カーボンナノチューブは、500nmで少なくとも1.2吸収単位の紫外線吸収をもたらす。
【0077】
例えば、流れに対する流体の抵抗を測定し、その粘性挙動を決定するために明確な幾何形状を有する同心円筒を利用するレオメーターを使用して、組成物の流動加工性の改善を決定することができる。外側の円筒の相対回転は組成物の流れを引き起こすが、その変形に対する抵抗は、カップの内壁に剪断応力を課し、これはPaの単位で測定される。
【0078】
実施形態
本出願に開示された実施形態は以下のものを含む。
1.複数の離散カーボンナノチューブを含む組成物であって、前記離散カーボンナノチューブは内部表面および外部表面を含み、各表面は内部表面酸化種含量および外部表面酸化種含量を含み、前記内部表面酸化種含量と前記外部表面酸化種含量との間に、少なくとも20%、さらには100%の差がある、組成物。
2.内部表面酸化種含量が、外部表面酸化種含量より小さい、実施形態1の組成物。
3.前記内部表面酸化種含量が、カーボンナノチューブの重量に対して最大3重量%、好ましくはカーボンナノチューブの重量に対して約0.01〜約3重量%、より好ましくは約0.01〜約2重量%、最も好ましくは約0.01〜約1重量%である、実施形態1の組成物。
4.前記外部表面酸化種含量が、カーボンナノチューブの重量に対して約1〜約6重量%、好ましくは約1〜約4重量%、より好ましくは約1〜約2重量%である、実施形態1の組成物。
5.内部および外部表面酸化種含量の合計が、カーボンナノチューブの重量に対して約1〜約9重量%である、実施形態1の組成物。
6.複数の離散カーボンナノチューブを含む組成物であって、前記離散カーボンナノチューブが内部表面および外部表面を含み、各表面は内部表面酸化種含量および外部表面酸化種含量を含み、ここで、前記内部表面酸化種含量はカーボンナノチューブの重量に対して約0.01〜約1%未満を構成し、前記外部表面酸化種含量はカーボンナノチューブの重量に対して約1〜約3%超を構成する、組成物。
7.離散カーボンナノチューブが、複数の開口チューブを含む、実施形態6の組成物。
8.複数の離散カーボンナノチューブが、複数の開口チューブを含む、実施形態6の組成物。
9.離散カーボンナノチューブが、複数の開口チューブを含む、実施形態1の組成物。
10.イオン輸送としての実施形態1の組成物の使用。
11.地下水浄化における標的化、金属イオン封鎖および標識化剤としての、実施形態1の組成物の使用。
12.実施形態1または実施形態6の組成物を含むセンサー。
13.実施形態1または実施形態6の組成物を含む、薬物送達または制御放出製剤。
14.実施形態1または実施形態6の組成物を含む電池。
15.エポキシ、ポリウレタン、またはエラストマーをさらに含む、実施形態1または実施形態6の組成物を含む配合物。
16.少なくとも1つの内部表面と接触している少なくとも1種の疎水性材料をさらに含む、実施形態1または実施形態6の組成物。
17.内側表面と外側表面の酸化の差が、少なくとも約0.2重量%である、実施形態1または実施形態6の組成物。
18.前記離散カーボンナノチューブが、約10〜約500のアスペクト比を有し、カーボンナノチューブの約1〜3重量%の酸化レベルを有する、実施形態1または実施形態6の組成物および少なくとも1種の可塑剤。
19.約10〜約90重量%、好ましくは約10〜約40重量%の離散カーボンナノチューブを含む、実施形態18の組成物。
20.酸化種が、カルボン酸、フェノール、アルデヒド、ケトン、エーテル結合、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態18の組成物。
21.内部表面および外部表面の合計酸化種含量が、カーボンナノチューブの約1重量%〜15重量%を構成する、実施形態18の組成物。
22.前記可塑剤が、ジカルボン酸/トリカルボン酸エステル、トリメリテート(trimellitate)、アジペート、セバケート、マレエート、グリコールおよびポリエーテル、ポリマー可塑剤、生物由来可塑剤、ならびにこれらの混合物からなる群から選択される、実施形態18の組成物。
23.前記可塑剤が、ナフテン系油、パラフィン油、パラベン油、芳香油、植物油、種子油、およびこれらの混合物からなる群から選択されるプロセス油である、実施形態18の組成物。
24.カーボンナノチューブが離散しておらず製造直後のまま絡み合っていることを除いて、同じ元素を同じ比で含む同一の組成物とほぼ同じであるか、それよりも低い粘度を有する、実施形態23の組成物。
25.前記可塑剤が、キシレン、ペンタン、メチルエチルケトン、ヘキサン、ヘプタン、酢酸エチル(ethyl acetate)、エーテル、ジクロロメタン(dichloromethane)、ジクロロエタン、シクロヘキサン、クロロホルム、四塩化炭素、酢酸ブチル、ブタノール、ベンゼンまたはこれらの混合物からなる群から選択される水不混和性溶媒である、実施形態18の組成物。
26.シリカ、ナノクレイ、カーボンブラック、グラフェン、ガラス繊維、およびこれらの混合物からなる群から選択される無機充填剤をさらに含む、実施形態18の組成物。
27.自由流動粒子(free flowing particle)の形態をとる、実施形態18の組成物。
28.実施形態18の組成物を製造する方法であって、a)約10〜約500の平均アスペクト比および約1〜約15重量%の酸化種含量総レベルを有する複数の離散カーボンナノチューブを選択するステップと、b)水性媒体中に前記離散カーボンナノチューブを約1〜約10重量%のナノチューブ濃度で懸濁させて、水性媒体/ナノチューブスラリーを形成するステップと、c)前記カーボンナノチューブが前記水性媒体から可塑剤に移動するのに十分な時間にわたり、約30℃〜約100℃の温度で、前記カーボンナノチューブ/水性媒体スラリーを少なくとも1種の可塑剤と混合して、湿潤ナノチューブ/可塑剤混合物を形成するステップと、e)前記湿潤カーボンナノチューブ/可塑剤混合物から前記水性媒体を分離して、乾燥ナノチューブ/可塑剤混合物を形成するステップと、f)約40℃〜約120℃で乾燥させることにより、前記乾燥ナノチューブ/可塑剤混合物から残留水性媒体を除去して、無水ナノチューブ/可塑剤混合物を形成するステップとを含む、方法。
29.少なくとも1種のゴムとさらに混合される、実施形態18の組成物。
30.前記ゴムが、天然ゴム、ポリイソブチレン、ポリブタジエンおよびスチレンブタジエンゴム、ブチルゴム、ポリイソプレン、スチレン−イソプレンゴム、スチレン−イソプレンゴム、エチレン、プロピレンジエンゴム、シリコーン、ポリウレタン、ポリエステル−ポリエーテル、水素添加および非水素添加ニトリルゴム、ハロゲン修飾エラストマー、フルオロエラストマー、ならびにこれらの組み合わせからなる群から選択される天然または合成ゴムである、実施形態29の組成物。
31.少なくとも1種の熱可塑性ポリマー、少なくとも1種の熱可塑性エラストマー、またはこれらの組み合わせをさらに含む、実施形態18の組成物。
32.少なくとも1種の熱硬化性ポリマー、好ましくはエポキシ、またはポリウレタンをさらに含む、実施形態18の組成物。
33.複数の離散カーボンナノチューブを含む、ドライクリーニング化合物で汚染された地下水を処理するのに有用な組成物であって、前記離散カーボンナノチューブは内部表面および外部表面を含み、各表面は内部表面酸化種含量および外部表面酸化種含量、ならびに複数の離散カーボンナノチューブの内部表面または外部表面に付着した少なくとも1種の分解性分子をさらに含む前記組成物。