【実施例】
【0045】
[実施例1]
MWCNTとして絡み合った状態での酸化−3時間(oMWCNT−3)
64%超の硝酸100mlを85℃に加熱する。酸に対して、入手直後の多層カーボンナノチューブ(C9000、CNano Technology)3gを添加する。入手直後のチューブは、絡み合った毛玉状の形態を有する。溶液を85℃で3時間保持しながら、酸とカーボンナノチューブの混合物を混合し、「oMWCNT−3」というラベルを付ける。反応期間の最後に、MWCNT−3を濾過して酸を除去し、逆浸透(RO)水により3〜4のpHになるまで洗浄する。酸処理の後、カーボンナノチューブは依然として絡み合った玉になっている。チューブを60℃で恒量まで乾燥させる。
【0046】
[実施例2]
MWCNTとして絡み合った状態での酸化−6時間(oMWCNT−6)
64%超の硝酸100mlを85℃に加熱する。酸に対して、入手直後の多層カーボンナノチューブ(C9000、CNano Technology)3gを添加する。入手直後のチューブは、絡み合った毛玉状の形態を有する。溶液を85℃で6時間保持しながら、酸とカーボンナノチューブの混合物を混合し、「oMWCNT−6」というラベルを付ける。反応期間の最後に、oMWCNT−6を濾過して酸を除去し、逆浸透(RO)水により3〜4のpHになるまで洗浄する。酸処理の後、カーボンナノチューブは依然として絡み合った玉になっている。チューブを60℃で恒量まで乾燥させる。
【0047】
[実施例3]
離散カーボンナノチューブ−最外層の酸化(out−dMWCNT)
容器内で、64%の硝酸922kgを83℃に加熱する。酸に対して、入手直後の多層カーボンナノチューブ(C9000、CNano Technology)20kgを添加する。混合物を混合し、83℃で3時間保持する。3時間後、濾過により酸を除去し、カーボンナノチューブをRO水で3〜4のpHになるまで洗浄する。酸処理の後、カーボンナノチューブは依然として絡み合った玉であり、開口端はほとんどない。チューブの外側は酸化されて各種酸化種を形成するが、ナノチューブの内部は酸にほとんど曝露されず、したがって、ほとんど酸化されていない。次に、酸化カーボンナノチューブをRO水中に1.5重量%の濃度で懸濁させる。10
6〜10
8J/m
3のエネルギー密度を生じさせることが可能なプロセス装置による剪断力(乱流)および/またはキャビテーションによって生じた強い破壊力に、RO水および絡み合った酸化ナノチューブの溶液を供する。得られた試料に、外層の酸化および離散(discrete)の「d」を表す、「out−dMWCNT」というラベルを付ける。この剪断に適合する装置としては、限定されないが、超音波破砕機、キャビテーター、機械式ホモジナイザー、圧力式ホモジナイザー、マイクロフルイダイザーが挙げられる(表1参照)。剪断および/またはキャビテーション処理は、特に通常は6員炭素環であるCNT構造中の欠陥箇所にチューブの破壊と破壊による端部の開放とをもたらす機械的手段を通じて、酸化カーボンナノチューブをほぐして離散させると考えられている。欠陥はチューブ内の6員炭素環ではない箇所に生じる。この処理は水中で行われるので、離散カーボンナノチューブの内側表面に酸化は起こらない。
【0048】
[実施例4]
離散カーボンナノチューブ−外側層および内側層の酸化(out/in−dMWCNT)
離散カーボンナノチューブの内部を酸化するために、3gのout−dMWCNTを、85℃に加熱した64%の硝酸に添加する。溶液を混合し、温度を3時間保つ。この間に、硝酸がカーボンナノチューブの内部表面を酸化する。3時間の最後に、チューブを濾過して酸を除去し、次いでRO水で3〜4のpHになるまで洗浄する。この試料に、外側層および内側層の両方の酸化および離散(discrete)の「d」を表す、「out/in−dMWCNT」というラベルを付ける。
【0049】
熱重量分析法を用いて、カーボンナノチューブの試料の酸化を測定する。この例では、TA Instruments Q50熱重量分析計(TGA)を使用する。振動ボールミルを使用して、乾燥カーボンナノチューブの試料を粉砕する。TGAのタール白金パンに、粉砕カーボンナノチューブ7〜15mgを添加する。測定プロトコルは以下の通りである。窒素環境下で、温度を室温から100℃まで毎分10℃の速度で上げ、この温度で45分間保持して、残留水が除去されるようにする。次に、温度を毎分5℃の速度で700℃まで上げる。このプロセスの間、重量百分率の変化を温度および時間の関数として記録する。100℃の等温線中の残留水分除去に関連する全ての変化について、全ての値を正規化する。200℃での重量変化百分率から600℃での重量変化百分率を差し引くことにより、カーボンナノチューブの酸素の重量百分率(%Ox)を決定する。
【0050】
比較表(下記の表2)は、外側のみでの酸化(バッチ1、バッチ2、およびバッチ3)、または外側と内側の両方での酸化(バッチ4)を受けたカーボンナノチューブの異なるバッチの酸化レベルを示している。バッチ1(上記の実施例1で製造したoMWCNT−3)は、バッチがまだ絡み合った形態にあるときに外側のみで酸化された絡み合ったカーボンナノチューブのバッチである(表2、1列目)。バッチ2(上記の実施例2で製造したoMWCNT−6)も、バッチがまだ絡み合った形態にあるときに外側のみで酸化された絡み合ったカーボンナノチューブのバッチである(表2、2列目)。バッチ1(2.04%Ox)とバッチ2(2.06%Ox)の平均酸化百分率は、本質的に同じである。バッチ1(酸への3時間の曝露)とバッチ2(酸への6時間の曝露)との違いは、バッチ2においてカーボンナノチューブは酸に2倍の時間曝露されたことであるため、このことは酸への追加的な曝露がカーボンナノチューブの表面の酸化量を増加させないことを示唆する。
【0051】
バッチ3(上記実施例3で製造したOut−dMWCNT)は、バッチがまだ絡み合った形態にあるときに外側のみで酸化された絡み合ったカーボンナノチューブのバッチである(表2、3列目)。バッチ3は、さらなる酸化なしで、カーボンナノチューブの離散バッチとなった。バッチ3は、絡み合ったカーボンナノチューブを離散ナノチューブにすることの酸化に対する効果に関する対照試料(control sample)となる。バッチ3は、バッチ1およびバッチ2と本質的に同じ平均酸化レベル(1.99%Ox)を示す。したがって、バッチ3は、カーボンナノチューブをほぐして水中に離散させると、内部を酸化することなく、チューブの端部が開くことを示している。
【0052】
最後に、バッチ4(本明細書の実施例4で製造したOut/In−dMWCNT)は、バッチがまだ絡み合った形態にあるときに外側で酸化され、次いで、バッチがカーボンナノチューブの離散バッチとなった後に、再度酸化された、絡み合ったカーボンナノチューブのバッチである(表2、4列目)。離散カーボンナノチューブは端部が開放されているので、バッチ4では、酸がチューブの内部に入り、内部表面を酸化する。バッチ4は、バッチ1、バッチ2およびバッチ3と比較して著しく高い平均酸化レベル(2.39%Ox)を示す。バッチ4における平均酸化レベルの著しい上昇は、内部表面でのカーボンナノチューブの追加的酸化を表している。したがって、バッチ4の平均酸化レベル(2.39%Ox)は、バッチ3の平均酸化レベル(1.99%Ox)よりも約20%高い。下記の表2において、酸化の平均値は、チューブの4つのバッチについて反復して示されている。酸化百分率は、バッチ1、バッチ2およびバッチ3の標準偏差内にある。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】
可塑剤中に離散カーボンナノチューブを含む組成物を形成するための例示的方法では、まず、平均アスペクト比が約10〜約500であり、酸化種含量合計レベルが約1〜約15重量%である、複数の離散カーボンナノチューブを選択する。次いで、約1重量%〜約10重量%のナノチューブ濃度で水中での剪断を用いて、離散カーボンナノチューブを懸濁させ、ナノチューブ水スラリーを形成する。次いで、約30℃〜約100℃の温度で、カーボンナノチューブが水から可塑剤に移動して水ナノチューブ/可塑剤混合物を形成するのに十分な時間にわたり、スラリーを少なくとも1種の可塑剤と混合する。混合物は70%〜約99.9%の水を含むことができる。濾過、デカントまたは他の機械的分離手段によって、水の大部分を混合物から分離する。濾過された物質は、約50%〜約10%の水を含有することができる。次いで、濾過された材料を約40℃〜約120℃の温度で乾燥させて、3重量%未満の水、最も好ましくは0.5重量%未満の水、および用途によっては0重量%の水で、無水ナノチューブ/可塑剤混合物を形成する。
【0056】
[実施例5]
実施例3のように外部層のみが酸化された水中の離散カーボンナノチューブの濃縮物を脱イオン水中で2重量%に希釈する。スラリーをオーバーヘッド撹拌機により400rpmで撹拌しながら40℃に加熱する。離散カーボンナノチューブ1gにつき、Sigma Aldrich製のTOTM(トリメリット酸トリオクチル)4gを撹拌混合物に添加する。4時間にわたり、混合物を750rpmで撹拌し、40℃に保持する。この間、油および離散カーボンナノチューブは上部に浮上し、底部に浄水が残る。このとき、濾過によって、TOTM/カーボンナノチューブ混合物から水を分離する。強制空気対流式オーブン内で70℃にてTOTMおよび離散カーボンナノチューブを乾燥させ、残留水を除去する。その結果、流動性粉末が得られる。熱重量測定手段によって離散カーボンナノチューブの濃度を決定し、20%の離散カーボンナノチューブおよび80%のTOTMとなっていることを見出した。
【0057】
[実施例6]
20%の離散カーボンナノチューブおよび80%のTOTM(トリメリット酸トリオクチル)を含む、実施例5の離散カーボンナノチューブおよび可塑剤組成物を、樹脂100部当たり2部(phr)および樹脂100部当たり3部(phr)の濃度で、ニトリルゴム配合物に添加する(表3)。化合物の油濃度を調節し、本発明の組成物から追加の油を補う。次いで、化合物を硬化させて試験用プラークにする。Instron製張力計を使用して、拘束引裂き(constrained tear)試験を実施する。ダイを使用して拘束引裂き試料を打ち抜き、試験片の中心に長さ1/2インチの刻み目を付け、最長寸法に対して垂直にスライスした、1.5インチ×1インチの長方形を製造する。試験片を刻み目から等距離に把持し、Instronで引っ張る。剪断ひずみおよび応力を記録し、ひずみゼロから最終破壊までの応力−ひずみ曲線の下の面積を計測する。この面積が総引裂きエネルギーとなる。表4の結果は、引裂き強さの増大が、離散カーボンナノチューブによって与えられることを示している。
【0058】
【表3】
【0059】
【表4】
【0060】
[実施例7]
20%の離散カーボンナノチューブおよび80%のTOTM(トリメリット酸トリオクチル)を含む、実施例5の離散カーボンナノチューブおよび可塑剤組成物を、樹脂100部当たり3部(phr)の濃度で、ニトリルゴム配合物に添加する(表5)。本発明の組成物からの追加の油を補うように化合物の油濃度を調節し、全ての配合物が等量の油濃度を有するようにする。入手直後のカーボンナノチューブ(Flotube C9000、CNano)により、比較化合物を調製する(表5)。3つの試料について測定硬度が同じになるように、カーボンブラック含量を調節する。ショアA硬度は、対照例では67、本発明の3phrのCNTでは67、3phrの「そのまま」のカーボンナノチューブ(C9000)では68である。実施例6に記載したように、拘束引裂きを測定した。本発明の離散カーボンナノチューブおよび油組成物(dCNT)は、絡み合ったカーボンナノチューブ(C9000)および対照例よりも高い総引裂きエネルギーを有する。絡み合ったカーボンナノチューブ(C9000)の引裂きエネルギーは、対照例よりも小さい(表6)。
【0061】
【表5】
【0062】
【表6】
【0063】
当業者にとって、充填剤をゴム化合物に添加すると化合物の粘度が増大することは公知である。意外にも、実施例7の離散カーボンナノチューブおよび油混合物の添加は粘度を増大させず、むしろ粘度を低下させたが、実施例7の絡み合ったカーボンナノチューブ(C9000)は粘度を増大させた。粘度は125℃でムーニーレオメーターを使用して測定する。測定された初期粘度は、化合物の加工性を表す。本発明および実施例7に記載の離散カーボンナノチューブを含有する化合物は対照例と同等であることが判明しているが、絡み合ったカーボンナノチューブ(C9000)を含む化合物は対照例より高いことが判明している(表7)。
【0064】
【表7】
【0065】
開示された実施形態はまた、ペルクロロエテン(PCE)、トリクロロエテン(TCE)、1,2−ジクロロエテン(DCE)、塩化ビニル、および/またはエタンなどの、任意のドライクリーニング化合物および関連化合物の少なくとも一部の処理、除去、改質、金属イオン封鎖、標的化標識、および/または分解を行うことによって、汚染土壌、地下水および/または廃水を処理および/または浄化するのに有用な組成物にも関する。実施形態はまた、任意の油、有害であるか望ましくない化学物質、および他の汚染物質の少なくとも一部の処理、除去、改質、金属イオン封鎖、標的化標識、および/または分解を行うのに有用な化合物にも関する場合がある。開示された実施形態は、複数の離散カーボンナノチューブであって、内部表面および外部表面を含む離散カーボンナノチューブを含んでよい。各表面は、内部表面酸化種含量および/または外部表面酸化種含量を含んでよい。実施形態はまた、複数の離散カーボンナノチューブの内部表面または外部表面のいずれかに付着した、少なくとも1種の分解性分子あるいは他の化学的活性分子を含んでよい。このような実施形態は、汚染土壌、地下水および/または廃水の位置に、既知の分解性(degrative)分子および/または化学的活性分子を送達するために使用することができる。
【0066】
ペイロード分子の添加
薬物物質の水溶性は、薬物製品のプレフォーミュレーション研究において重要なパラメータである。いくつかの薬物は、水に難溶性であり、配合および投与にとって問題となる。分散体を形成するために、有機溶媒または油、および追加的な界面活性剤を使用できる。ペイロード分子が水性媒体中において容易に溶解または分散されるのであれば、濾過ケーキは乾燥させる必要はない。ペイロード分子が水性媒体中に容易に溶解または分散されないのであれば、まず真空中で80℃にて濾過ケーキを恒量まで乾燥させる。所望の濃度の液体媒体中のペイロード分子が、離散カーボンナノチューブに添加され、チューブの孔内で数時間平衡化される。次いで、混合物を濾過して約1mm未満の厚さのケーキを形成し、その後チューブ内に存在しないペイロード溶液の大部分が、高流速濾過で除去される。濾過の速度は、ペイロード分子がチューブ孔から拡散するのにほとんど時間がかからないように選択される。次いで、大きな分子、例えば、バイオポリマー、アミノ酸、タンパク質またはペプチドの水溶液を付着させることが所望される場合、濾過ケーキとペイロード薬物は追加の処置に供される。
【0067】
[実施例8]
水中のナイアシンの濃度の関数としての、ナイアシンの紫外線吸収の較正曲線を決定した。0.0578gの本発明の機能化した離散カーボンナノチューブを、25mlの水中の0.0134gのナイアシンと混合することにより(カーボンナノチューブ1g当たり0.231gのナイアシン)、溶液を調製した。チューブを沈降させ、チューブの上の液体のアリコートを1時間ごとに除去した。このアリコートの紫外可視吸収を測定し、結果として得られた、溶液中のナイアシンの量を記録した。溶液中のナイアシンの量は6時間後に安定した。混合の20時間後に最終試料を得た。溶液中に残存するナイアシンの量と、元々の量との差異が、機能化した離散カーボンナノチューブと会合したナイアシンの量として決定された。0.0746gのナイアシンが1gのカーボンナノチューブと会合することが判明した。カーボンナノチューブによって吸収されたナイアシンの総量は0.0043gであった。カーボンナノチューブの平均の長さ1000nm、外径12nm、および内径5nmである場合、チューブ内の利用可能な容積は、カーボンナノチューブ1g当たり0.093cm
3である。ナイアシンの密度は1.473g/cm
3であるので、チューブに収まるナイアシンの最大量は0.137gである。したがって、ナイアシン0.0746g/CNT1gという測定された吸収量を、チューブ内部に閉じ込めることが可能であった。
【0068】
[実施例9]
ポリ(ビニルアルコール)(PVOH)は十分に大きく(30kDa〜70kDa)、カーボンナノチューブ内部に吸収されることはない。PVOHは、カーボンナノチューブの外部を会合させて包み込むため、カーボンナノチューブの界面活性剤として使用される。この実験では、25mlの水中のカーボンナノチューブ0.0535gとナイアシン0.0139g(カーボンナノチューブ1gに対してナイアシン0.26g)の混合物に、PVOHを添加した。これを夜通し静置した。実施例1の紫外可視吸収技術を使用して、カーボンナノチューブと会合したナイアシンの量がカーボンナノチューブ1g当たりナイアシン0.0561gであり、実施例1において0.0746g未満であると決定した。吸収されるナイアシンの総量は0.003gであった。
【0069】
カーボンナノチューブの長さを1000nm、外径を12nm、内径を5nmとして、計算を行った。PVOHの密度が1.1g/cm
3であり、PVOH対カーボンナノチューブの比が0.23対1である場合、カーボンナノチューブ上のPVOHの平均層厚は0.6nmである。したがって、カーボンナノチューブをカプセル化し、チューブ表面上のあらゆるナイアシンを置換するのに十分なPVOHが存在し、測定された、カーボンナノチューブ1g当たり0.0561gの量のナイアシンがカーボンナノチューブの内部に存在する。
【0070】
別の例では、機能化した離散カーボンナノチューブを、ポリマーマトリックス、例えばポリエチレンオキシド、溶融物または溶液中に分散させ、ペイロード分子を添加することができる。
【0071】
【表8】
【0072】
チューブ長を判定するために、チューブの試料をイソプロピルアルコールで希釈し、30分間超音波処理する。次いで、これをシリカウエハ上に堆積させ、SEMで15kVおよび20,000倍の倍率で画像を得る。異なる場所で3枚の画像を得る。JEOLソフトウェア(SEMと共に含まれる)を活用して、最小2本の線を、各画像を横切るように引き、この線を横切るチューブの長さを測定する。
【0073】
歪度は、確率分布の非対称性の測定値である。正の値は、分布ヒストグラムの右側の裾が左側よりも長いことを意味し、逆もまた同様である。正の歪度が好ましく、これは長い長さのチューブがより多いことを示し、意味する。ゼロの値は、平均値の両側における相対的に均一な分布を意味する。尖度は、分布曲線の形状の測定値であり、概して、正規分布と関連する。歪度および尖度はともに単位を持たない。
【0074】
以下の表は、離散カーボンナノチューブの直径の代表値を示す。
【0075】
【表9】
【0076】
濾過ケーキの小試料を真空中で100℃にて4時間乾燥させ、熱重量分析を100℃〜600℃の窒素中で10℃/分の加熱速度で実施する。200〜600℃の間での重量損失として、繊維上の酸化種の量を調べる。個別化された(離散)チューブの分散も、紫外分光によって決定する。湿潤ケーキに水を添加して、0.5重量%のカーボンナノチューブ懸濁液を得て、次いで、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを酸化カーボンナノチューブの質量の1.5倍の濃度で添加する。超音波処理槽を使用して溶液を30分間超音波処理し、次いで、カーボンナノチューブ2.5×10
−5g/mlの濃度に希釈する。カーボンナノチューブは、500nmで少なくとも1.2吸収単位の紫外線吸収をもたらす。
【0077】
例えば、流れに対する流体の抵抗を測定し、その粘性挙動を決定するために明確な幾何形状を有する同心円筒を利用するレオメーターを使用して、組成物の流動加工性の改善を決定することができる。外側の円筒の相対回転は組成物の流れを引き起こすが、その変形に対する抵抗は、カップの内壁に剪断応力を課し、これはPaの単位で測定される。
【0078】
実施形態
本出願に開示された実施形態は以下のものを含む。
1.複数の離散カーボンナノチューブを含む組成物であって、前記離散カーボンナノチューブは内部表面および外部表面を含み、各表面は内部表面酸化種含量および外部表面酸化種含量を含み、前記内部表面酸化種含量と前記外部表面酸化種含量との間に、少なくとも20%、さらには100%の差がある、組成物。
2.内部表面酸化種含量が、外部表面酸化種含量より小さい、実施形態1の組成物。
3.前記内部表面酸化種含量が、カーボンナノチューブの重量に対して最大3重量%、好ましくはカーボンナノチューブの重量に対して約0.01〜約3重量%、より好ましくは約0.01〜約2重量%、最も好ましくは約0.01〜約1重量%である、実施形態1の組成物。
4.前記外部表面酸化種含量が、カーボンナノチューブの重量に対して約1〜約6重量%、好ましくは約1〜約4重量%、より好ましくは約1〜約2重量%である、実施形態1の組成物。
5.内部および外部表面酸化種含量の合計が、カーボンナノチューブの重量に対して約1〜約9重量%である、実施形態1の組成物。
6.複数の離散カーボンナノチューブを含む組成物であって、前記離散カーボンナノチューブが内部表面および外部表面を含み、各表面は内部表面酸化種含量および外部表面酸化種含量を含み、ここで、前記内部表面酸化種含量はカーボンナノチューブの重量に対して約0.01〜約1%未満を構成し、前記外部表面酸化種含量はカーボンナノチューブの重量に対して約1〜約3%超を構成する、組成物。
7.離散カーボンナノチューブが、複数の開口チューブを含む、実施形態6の組成物。
8.複数の離散カーボンナノチューブが、複数の開口チューブを含む、実施形態6の組成物。
9.離散カーボンナノチューブが、複数の開口チューブを含む、実施形態1の組成物。
10.イオン輸送としての実施形態1の組成物の使用。
11.地下水浄化における標的化、金属イオン封鎖および標識化剤としての、実施形態1の組成物の使用。
12.実施形態1または実施形態6の組成物を含むセンサー。
13.実施形態1または実施形態6の組成物を含む、薬物送達または制御放出製剤。
14.実施形態1または実施形態6の組成物を含む電池。
15.エポキシ、ポリウレタン、またはエラストマーをさらに含む、実施形態1または実施形態6の組成物を含む配合物。
16.少なくとも1つの内部表面と接触している少なくとも1種の疎水性材料をさらに含む、実施形態1または実施形態6の組成物。
17.内側表面と外側表面の酸化の差が、少なくとも約0.2重量%である、実施形態1または実施形態6の組成物。
18.前記離散カーボンナノチューブが、約10〜約500のアスペクト比を有し、カーボンナノチューブの約1〜3重量%の酸化レベルを有する、実施形態1または実施形態6の組成物および少なくとも1種の可塑剤。
19.約10〜約90重量%、好ましくは約10〜約40重量%の離散カーボンナノチューブを含む、実施形態18の組成物。
20.酸化種が、カルボン酸、フェノール、アルデヒド、ケトン、エーテル結合、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態18の組成物。
21.内部表面および外部表面の合計酸化種含量が、カーボンナノチューブの約1重量%〜15重量%を構成する、実施形態18の組成物。
22.前記可塑剤が、ジカルボン酸/トリカルボン酸エステル、トリメリテート(trimellitate)、アジペート、セバケート、マレエート、グリコールおよびポリエーテル、ポリマー可塑剤、生物由来可塑剤、ならびにこれらの混合物からなる群から選択される、実施形態18の組成物。
23.前記可塑剤が、ナフテン系油、パラフィン油、パラベン油、芳香油、植物油、種子油、およびこれらの混合物からなる群から選択されるプロセス油である、実施形態18の組成物。
24.カーボンナノチューブが離散しておらず製造直後のまま絡み合っていることを除いて、同じ元素を同じ比で含む同一の組成物とほぼ同じであるか、それよりも低い粘度を有する、実施形態23の組成物。
25.前記可塑剤が、キシレン、ペンタン、メチルエチルケトン、ヘキサン、ヘプタン、酢酸エチル(ethyl acetate)、エーテル、ジクロロメタン(dichloromethane)、ジクロロエタン、シクロヘキサン、クロロホルム、四塩化炭素、酢酸ブチル、ブタノール、ベンゼンまたはこれらの混合物からなる群から選択される水不混和性溶媒である、実施形態18の組成物。
26.シリカ、ナノクレイ、カーボンブラック、グラフェン、ガラス繊維、およびこれらの混合物からなる群から選択される無機充填剤をさらに含む、実施形態18の組成物。
27.自由流動粒子(free flowing particle)の形態をとる、実施形態18の組成物。
28.実施形態18の組成物を製造する方法であって、a)約10〜約500の平均アスペクト比および約1〜約15重量%の酸化種含量総レベルを有する複数の離散カーボンナノチューブを選択するステップと、b)水性媒体中に前記離散カーボンナノチューブを約1〜約10重量%のナノチューブ濃度で懸濁させて、水性媒体/ナノチューブスラリーを形成するステップと、c)前記カーボンナノチューブが前記水性媒体から可塑剤に移動するのに十分な時間にわたり、約30℃〜約100℃の温度で、前記カーボンナノチューブ/水性媒体スラリーを少なくとも1種の可塑剤と混合して、湿潤ナノチューブ/可塑剤混合物を形成するステップと、e)前記湿潤カーボンナノチューブ/可塑剤混合物から前記水性媒体を分離して、乾燥ナノチューブ/可塑剤混合物を形成するステップと、f)約40℃〜約120℃で乾燥させることにより、前記乾燥ナノチューブ/可塑剤混合物から残留水性媒体を除去して、無水ナノチューブ/可塑剤混合物を形成するステップとを含む、方法。
29.少なくとも1種のゴムとさらに混合される、実施形態18の組成物。
30.前記ゴムが、天然ゴム、ポリイソブチレン、ポリブタジエンおよびスチレンブタジエンゴム、ブチルゴム、ポリイソプレン、スチレン−イソプレンゴム、スチレン−イソプレンゴム、エチレン、プロピレンジエンゴム、シリコーン、ポリウレタン、ポリエステル−ポリエーテル、水素添加および非水素添加ニトリルゴム、ハロゲン修飾エラストマー、フルオロエラストマー、ならびにこれらの組み合わせからなる群から選択される天然または合成ゴムである、実施形態29の組成物。
31.少なくとも1種の熱可塑性ポリマー、少なくとも1種の熱可塑性エラストマー、またはこれらの組み合わせをさらに含む、実施形態18の組成物。
32.少なくとも1種の熱硬化性ポリマー、好ましくはエポキシ、またはポリウレタンをさらに含む、実施形態18の組成物。
33.複数の離散カーボンナノチューブを含む、ドライクリーニング化合物で汚染された地下水を処理するのに有用な組成物であって、前記離散カーボンナノチューブは内部表面および外部表面を含み、各表面は内部表面酸化種含量および外部表面酸化種含量、ならびに複数の離散カーボンナノチューブの内部表面または外部表面に付着した少なくとも1種の分解性分子をさらに含む前記組成物。