特許第6804570号(P6804570)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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6804570ジペプチジルペプチダーゼ1阻害剤としての(2S)−N−[(1S)−1−シアノ−2−フェニルエチル]−1,4−オキサゼパン−2−カルボキサミド
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6804570
(24)【登録日】2020年12月4日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】ジペプチジルペプチダーゼ1阻害剤としての(2S)−N−[(1S)−1−シアノ−2−フェニルエチル]−1,4−オキサゼパン−2−カルボキサミド
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/553 20060101AFI20201214BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20201214BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20201214BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20201214BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20201214BHJP
   C07D 267/10 20060101ALN20201214BHJP
   C07D 413/12 20060101ALN20201214BHJP
   C07D 417/12 20060101ALN20201214BHJP
   C07D 413/14 20060101ALN20201214BHJP
【FI】
   A61K31/553
   A61K45/00
   A61P43/00 121
   A61P11/00
   A61P11/06
   A61P43/00 111
   !C07D267/10CSP
   !C07D413/12
   !C07D417/12
   !C07D413/14
【請求項の数】16
【全頁数】97
(21)【出願番号】特願2019-5300(P2019-5300)
(22)【出願日】2019年1月16日
(62)【分割の表示】特願2016-548068(P2016-548068)の分割
【原出願日】2015年1月23日
(65)【公開番号】特開2019-70029(P2019-70029A)
(43)【公開日】2019年5月9日
【審査請求日】2019年2月14日
(31)【優先権主張番号】61/931,090
(32)【優先日】2014年1月24日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391008951
【氏名又は名称】アストラゼネカ・アクチエボラーグ
【氏名又は名称原語表記】ASTRAZENECA AKTIEBOLAG
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】ハンス・ローランド・レン
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン・コノリー
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン・スワロー
(72)【発明者】
【氏名】スタッファン・ポー・カールソン
(72)【発明者】
【氏名】カール−ヨハン・アウレル
(72)【発明者】
【氏名】ヨン・フリショフ・ポンテン
(72)【発明者】
【氏名】ケビン・ジェイムズ・ドイル
(72)【発明者】
【氏名】アマンダ・ジェーン・バン・デ・ポール
(72)【発明者】
【氏名】グレアム・ピーター・ジョーンズ
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド・ウィン・ワトソン
(72)【発明者】
【氏名】ジャクリーヌ・アン・マクリッチー
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス・ジョン・パーマー
【審査官】 前田 憲彦
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−526093(JP,A)
【文献】 特表2011−506421(JP,A)
【文献】 特表2006−527704(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/154677(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/119941(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00
A61P 11/00
A61P 43/00
C07D 267/00
C07D 413/00
C07D 417/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コロナウイルス感染症またはインフルエンザ感染症による気道の閉塞性疾患の治療または予防を必要とする患者におけるコロナウイルス感染症またはインフルエンザ感染症による気道の閉塞性疾患の治療または予防のための医薬であって、式(I):
【化1】
[式中、
1は、
【化2】
であり;
2は、水素、F、Cl、Br、OSO21-3アルキルまたはC1-3アルキルから選択され;
3は、水素、F、Cl、Br、CN、CF3、SO21-3アルキル、CONH2またはSO2NR45から選択される(ここで、R4およびR5はそれらが結合している窒素原子と一緒になってアゼチジン環、ピロリジン環またはピペリジン環を形成する)か;または
1は、
【化3】
から選択され;
Xは、O、SまたはCF2から選択され;
Yは、OまたはSから選択され;
Qは、CHであり
6は、C1-3アルキルから選択され(ここで、該C1-3アルキルは、1、2または3個のFによって置換されていてもよく、また、OH、OC1-3アルキル、N(C1-3アルキル)2、シクロプロピルまたはテトラヒドロピランから選択される1個の置換基によって置換されていてもよい);
7は、水素、F、ClまたはCH3から選択される]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩を含む、医薬。
【請求項2】
1
【化4】
から選択され、
Xが、O、SまたはCF2から選択され;
Yが、OまたはSから選択され;
Qが、CHであり
6が、C1-3アルキルから選択され(ここで、該C1-3アルキルは、1、2または3個のFによって置換されていてもよく、また、OH、OC1-3アルキル、N(C1-3アルキル)2、シクロプロピルまたはテトラヒドロピランから選択される1個の置換基によって置換されていてもよい);
7が、水素、F、ClまたはCH3から選択される、
請求項1記載の医薬。
【請求項3】
1
【化5】
であり、
Xが、O、SまたはCF2から選択され;
Yが、OまたはSから選択され;
6が、C1-3アルキルから選択され(ここで、該C1-3アルキルは、1、2または3個のFによって置換されていてもよく、また、OH、OC1-3アルキル、N(C1-3アルキル)2、シクロプロピルまたはテトラヒドロピランから選択される1個の置換基によって置換されていてもよい);
7が、水素、F、ClまたはCH3から選択される、
請求項1記載の医薬。
【請求項4】
1
【化6】
であり、
Xが、Oであり;
6が、C1-3アルキルであり(ここで、該C1-3アルキルは、1、2または3個のFによって置換されていてもよい);
7が、水素である、
請求項1記載の医薬。
【請求項5】
1
【化7】
である、
請求項1記載の医薬。
【請求項6】
1
【化8】
であり、
Xが、Oであり;
6が、C1-3アルキルであり;
7が、水素である、
請求項4記載の医薬。
【請求項7】
式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される塩が、
【化9】
で示される(2S)−N−{(1S)−1−シアノ−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサゾール−5−イル)フェニル]エチル}−1,4−オキサゼパン−2−カルボキサミドまたはその医薬上許容される塩である、請求項1記載の医薬。
【請求項8】
式(I)で示される化合物が、
【化10】
で示される(2S)−N−{(1S)−1−シアノ−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサゾール−5−イル)フェニル]エチル}−1,4−オキサゼパン−2−カルボキサミドである、請求項1記載の医薬。
【請求項9】
気道の閉塞性疾患が、コロナウイルス感染症によるものである、請求項1〜8いずれか1項記載の医薬。
【請求項10】
気道の閉塞性疾患が、インフルエンザ感染症によるものである、請求項1〜8いずれか1項記載の医薬。
【請求項11】
コロナウイルスが、SARSコロナウイルスである、請求項9記載の医薬。
【請求項12】
気道の閉塞性疾患が、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)である、請求項1〜11いずれか1項記載の医薬。
【請求項13】
化合物またはその医薬上許容される塩が、滅菌液、懸濁液または乳濁液中に存在する、請求項1〜12いずれか1項記載の医薬。
【請求項14】
非経口投与用である、請求項1〜13いずれか1項記載の医薬。
【請求項15】
非経口投与が、静脈内投与、皮下投与、筋肉内投与、血管内投与または輸液投与である、請求項14記載の医薬。
【請求項16】
非経口投与が、静脈内投与である、請求項15記載の医薬。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術分野は、ジペプチジルペプチダーゼ1(DPP1;EC3.4.14.1)活性を阻害するある種の(2S)−N−[(1S)−1−シアノ−2−フェニルエチル]−1,4−オキサゼパン−2−カルボキサミド化合物(その医薬上許容される塩を包含する)、喘息および慢性閉塞性肺疾患(COPD)のような呼吸器疾患を包含する臨床状態の処置および/または予防におけるそれらの有用性、治療におけるそれらの使用、それらを含有する医薬組成物、ならびに該化合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ジペプチジルペプチダーゼ1(DPP1;EC3.4.14.1)は、カテプシンCとしても知られており、分子量が200kDaのパパインファミリーに属するリソソームシステインプロテアーゼである。DPP1は、1948年にGutmanおよびFrutonによって初めて発見された(非特許文献1);しかしながら、ヒトの酵素のcDNAは1995年に初めて記載された(非特許文献2)。DPP1は、4つの同一サブユニットからなる四量体として機能するパパインファミリーの唯一のメンバーである。各サブユニットは、N末端フラグメント、重鎖および軽鎖からなる(非特許文献3)。
【0003】
DPP1は、多くの組織において恒常的に発現し、肺、腎臓、肝臓および脾臓において最も高いレベルである。DPP1は、広い特異性でポリペプチド基質のN末端からのジペプチドの除去を触媒する。最近のデータは、DPP1が、リソソームタンパク質分解において重要な酵素であることに加えて、細胞傷害性Tリンパ球およびナチュラルキラー細胞(グランザイムAおよびB)、肥満細胞(キマーゼおよびトリプターゼ)ならびに好中球(カテプシンG、好中球エラスターゼおよびプロテイナーゼ3)における顆粒セリンプロテアーゼの活性化のキー酵素としても機能することを示唆している。
【0004】
肥満細胞は、多くの組織で見られるが、大多数が皮膚、呼吸器および胃腸管のような身体の上皮内層に沿って存在する。ヒトにおいて、2種類の肥満細胞が同定されている。トリプターゼのみを発現するTタイプ、ならびにトリプターゼおよびキマーゼの両方を発現するMCタイプである。ヒトにおいて、Tタイプの肥満細胞は、主として肺胞組織および腸管粘膜内にあるが、一方、TCタイプ細胞は主に皮膚および結膜内にある。トリプターゼおよびキマーゼは、炎症、気管支収縮および粘液分泌の過程に関与するアレルギー性疾患の重要なメディエーターであると考えられる。
【0005】
好中球は、病原体の侵入に対する宿主防御において決定的な役割を果たす。好中球は骨髄で産生され、細胞防御の第一線としての役割を務めるために循環系中に放出されるときは完全に成熟している。炎症誘発性メディエーターおよび走化性誘引物質は、好中球を活性化し、該好中球を感染部位に引き寄せ、該感染部位で該好中球は食作用により細菌を貪食するように作用し、酸化的攻撃方法および非酸化的攻撃方法の両方を用いる抗細菌化合物の兵器で該細菌を攻撃する。強力なセリンプロテアーゼである好中球エラスターゼは、明らかに細菌の破壊に関与するこれら抗細菌化合物の1つである。好中球エラスターゼは、微生物を囲むファゴリソソーム(phagolysome)内に放出され、該微生物を破壊し始める。好中球エラスターゼは、グラム陰性細菌の外膜タンパク質OmpAを攻撃することができ、該病原体の膜を破壊することにより該病原体を直接死滅させるのに役立ち、同時に、他の抗細菌化合物が該病原体に侵入できるようにする。加えて、好中球エラスターゼは他の抗細菌化合物の処理を助け、カテリシジンについてのように、該抗細菌化合物を不活性なプロペプチドから活性状態に変換し得る。
【0006】
それにもかかわらず、好中球エラスターゼはまたその宿主に問題を引き起こし得る。それは、細胞外マトリックスタンパク質(コラーゲン、プロテオグリカン、フィブロネクチン、血小板受容体、補体受容体、トロンボモジュリン、肺サーファクタントおよびカドヘリンを包含する)および重要な血漿タンパク質(凝血および補体因子、免疫グロブリン、数種類のプロテアーゼおよびプロテアーゼ阻害物質を包含する)を分解する能力を有する、体内で最も破壊的な酵素の1つである。α1−アンチトリプシンのような内因性プロテアーゼ阻害剤は生理学的条件下においては好中球エラスターゼの活性を厳重に制御する。しかしながら、好中球エラスターゼは炎症部位では制御を回避することができ、一旦非制御になると、インターロイキン−6およびインターロイキン−8のような炎症誘発性サイトカイン類の放出を誘発することができ、急性肺傷害に至る。それは貪食細胞表面受容体およびオプソニンを分解することにより感染に対する宿主防御を障害することさえできる。その負の役割は、遺伝性肺気腫、慢性閉塞性肺疾患、嚢胞性線維症、成人呼吸窮迫症候群、虚血性再灌流傷害および関節リウマチを含む多くの疾患を特徴付ける組織破壊および炎症へのその関与により説明される。
【0007】
トリプターゼおよびキマーゼを多くの肥満細胞媒介性アレルギー性疾患、免疫学的疾患および炎症性疾患と関連付ける強い証拠がある。好中球エラスターゼ、カテプシンGおよびプロテイナーゼ3もまたこの種の疾患において重要な役割を果たすように見えるという事実は、DPPIがこれらのプロテアーゼの活性化におけるその中心的役割のために妥当な治療標的であることを示している(非特許文献4;非特許文献5)。
【0008】
特許文献1は、ある種のニトリル誘導体およびそれらのDPP1阻害剤としての使用に関する。
【0009】
特許文献2は、ペプチジルニトリルおよびそれらのDPP1阻害剤としての使用に関する。
【0010】
特許文献3は、α−アミノアミドニトリルおよびそれらのDPP1阻害剤としての使用に関する。
【0011】
特許文献4は、ペプチジルニトリル化合物およびそれらのDPP1阻害剤としての使用に関する。
【0012】
特許文献5は、N−[1−シアノ−2−(フェニル)エチル]−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−3−カルボキサミドおよびそれらのDPP1阻害剤としての使用に関する。
【0013】
特許文献6および特許文献7は、システインプロテアーゼに対する阻害活性を有するβ-アミノアミドニトリルに関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】国際公開第2004/110988号
【特許文献2】国際公開第2009/074829号
【特許文献3】国際公開第2010/128324号
【特許文献4】国際公開第2012/119941号
【特許文献5】国際公開第2013/041497号
【特許文献6】国際公開第2001/096285号
【特許文献7】国際公開第2003/048123号
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】J Biol Chem, 174, 851-858
【非特許文献2】Paris et al. 1995, FEBS Lett, 369, 326-330
【非特許文献3】Dolenc et al. 1995, J Biol Chem, 270, 21626-21631
【非特許文献4】Adkison et al. 2002, J Clin Invest, 109, 363-271
【非特許文献5】Pham et al. 2004, J Immunol, 173, 7277-7281
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
記載の(2S)−N−[(1S)−1−シアノ−2−フェニルエチル]−1,4−オキサゼパン−2−カルボキサミド化合物の形態のβ−アミノ酸を有するアミドニトリル化合物は全く開示されていない。この度、本発明者らは、このような化合物が強力なDPP1活性を有し、および/または望ましい薬理学的活性プロファイル(例えば、大動脈のようなエラスチンリッチな組織への結合のリスクの低下)を有することを見出した。
【0017】
概要
ジペプチジルペプチダーゼ1(DPP1)の阻害剤である化合物、医薬としての該化合物の使用、該化合物を含有する医薬組成物、および該化合物の製造のための合成経路が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0018】
第一の態様に従って、式(I):
【化1】
[式中、
1は、
【化2】
であり;
2は、水素、F、Cl、Br、OSO21-3アルキルまたはC1-3アルキルから選択され;
3は、水素、F、Cl、Br、CN、CF3、SO21-3アルキル、CONH2またはSO2NR45から選択される(ここで、R4およびR5はそれらが結合している窒素原子と一緒になってアゼチジン環、ピロリジン環またはピペリジン環を形成する)か;または
1は、
【化3】
から選択され;
Xは、O、SまたはCF2から選択され;
Yは、OまたはSから選択され;
Qは、CHまたはNから選択され;
6は、C1-3アルキルから選択され(ここで、該C1-3アルキルは、1、2または3個のFによって置換されていてもよく、また、OH、OC1-3アルキル、N(C1-3アルキル)2、シクロプロピルまたはテトラヒドロピランから選択される1個の置換基によって置換されていてもよい);
7は、水素、F、ClまたはCH3から選択される]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩が提供される。
【0019】
記載の化合物は、DPP1に阻害剤である。かくして、記載の化合物は、特にDPP1の阻害に反応する障害、疾患または状態、より具体的には呼吸器疾患(例えば、COPDおよび喘息)のための、医薬として使用され得る。
【0020】
別の態様において、式(I)で示される化合物または式(I)で示される化合物の医薬上許容される塩(ここで、立体化学は定義されておらず、例えばラセミ体またはジアステレオマーの混合物である)が提供される。
【0021】
別の態様において、式(I)で示される化合物または式(I)で示される化合物の医薬上許容される塩の治療有効量、および医薬上許容される希釈剤、賦形剤および/または不活性担体を含む医薬製剤が提供される。
【0022】
さらなる実施態様において、式(I)で示される化合物または式(I)で示される化合物の医薬上許容される塩を含む、ジペプチジルペプチダーゼ1(DPP1)の阻害が有益である状態の処置用医薬製剤が提供される。
【0023】
さらなる実施態様において、哺乳動物(特に、ヒト)における呼吸器疾患の治療用(特に、予防用または処置用)の式(I)で示される化合物または式(I)で示される化合物の医薬上許容される塩が提供される。
【0024】
さらなる実施態様において、哺乳動物(特に、ヒト)における喘息の治療用(特に、予防用または処置用)の式(I)で示される化合物または式(I)で示される化合物の医薬上許容される塩が提供される。
【0025】
さらなる実施態様において、哺乳動物(特に、ヒト)におけるCOPDの治療用(特に、予防用または処置用)の式(I)で示される化合物または式(I)で示される化合物の医薬上許容される塩が提供される。
【0026】
さらなる実施態様において、呼吸器疾患の処置用および予防用医薬の製造のための式(I)で示される化合物または式(I)で示される化合物の医薬上許容される塩の使用が提供される。
【0027】
さらなる実施態様において、喘息の処置用および予防用医薬の製造のための式(I)で示される化合物または式(I)で示される化合物の医薬上許容される塩の使用が提供される。
【0028】
さらなる実施態様において、COPDの処置用および予防用医薬の製造のための式(I)で示される化合物または式(I)で示される化合物の医薬上許容される塩の使用が提供される。
【0029】
さらにさらなる実施態様において、式(I)で示される化合物または式(I)で示される化合物の医薬上許容される塩の投与は哺乳動物(特に、ヒト)におけるDPP1のレベルの低下を引き起こす。
【0030】
さらにさらなる実施態様において、式(I)で示される化合物または式(I)で示される化合物の医薬上許容される塩の投与は哺乳動物(特に、ヒト)におけるDPP1、好中球エラスターゼ、カテプシンGおよびプロテイナーゼ3のレベルの低下を引き起こす。
【0031】
さらにさらなる実施態様において、式(I)で示される化合物または式(I)で示される化合物の医薬上許容される塩の投与は哺乳動物(特に、ヒト)におけるDPP1活性の低下を引き起こす。
【0032】
さらにさらなる実施態様において、式(I)で示される化合物または式(I)で示される化合物の医薬上許容される塩の投与は哺乳動物(特に、ヒト)におけるDPP1活性、好中球エラスターゼ活性、カテプシンG活性およびプロテイナーゼ3活性の低下を引き起こす。
【0033】
別の態様に従って、式(I)で示される化合物または式(I)で示される化合物の医薬上許容される塩の製造方法、および該製造方法に使用される中間体が提供される。
【0034】
別の態様に従って、式(XXIV):
【化4】
[式中、
8は、C1-4アルキルまたはアリールから選択され(ここで、該アリールは、R1によって置換されていてもよい);
9およびR10は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、酸素、窒素または硫黄である1個の別のヘテロ原子を含有していてもよい5員〜7員の飽和または不飽和環を表す(ここで、該環は、(C3〜C8)シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリール環と縮合していてもよい)か;または
9およびR10は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、(C3〜C8)シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリール環と縮合していてもよい6員〜10員架橋二環式環を表す]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩が提供される。
【0035】
さらにさらなる実施態様において、哺乳動物(特に、ヒト)における呼吸器疾患の治療用(特に、予防用または処置用)の式(XXIV)で示される化合物または式(XXIV)で示される化合物の医薬上許容される塩が提供される。
【0036】
本明細書に例示する式(I)で示される化合物は、酵素活性アッセイ(例えば下記の試験A1または試験A2)においてDPP1に対するIC50が100nmol/L未満である。式(I)で示される化合物はまたインビボでの望ましい効果と望ましくない効果を分けることによって有望な薬理学的プロファイルを示す。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1図1は、実施例2:(2S)−N−{(1S)−1−シアノ−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサゾール−5−イル)フェニル]エチル}−1,4−オキサゼパン−2−カルボキサミド、形態Aの粉末X線回折パターンを示す。
図2図2は、実施例2:(2S)−N−{(1S)−1−シアノ−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサゾール−5−イル)フェニル]エチル}−1,4−オキサゼパン−2−カルボキサミド、形態Bの粉末X線回折パターンを示す。
図3図3は、実施例2:(2S)−N−{(1S)−1−シアノ−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサゾール−5−イル)フェニル]エチル}−1,4−オキサゼパン−2−カルボキサミド、形態Cの粉末X線回折パターンを示す。
図4図4は、実施例2:(2S)−N−{(1S)−1−シアノ−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサゾール−5−イル)フェニル]エチル}−1,4−オキサゼパン−2−カルボキサミド・キシナホ酸塩、形態Aの粉末X線回折パターンを示す。
図5図5は、実施例2:(2S)−N−{(1S)−1−シアノ−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサゾール−5−イル)フェニル]エチル}−1,4−オキサゼパン−2−カルボキサミド・R−マンデル酸塩、形態Aの粉末X線回折パターンを示す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
詳細な説明
この詳細な説明は、当業者が本発明を容易に利用できるように本発明、その趣旨およびその実用化を当業者に知らせることを意図している。この説明およびその具体的な例は、本発明の実施態様を示しているが、例示のみを目的としている。したがって、本発明は、本明細書に記載の例示的な実施態様に限定されない。加えて、明瞭化のために別々の実施態様に関連して記載されている本発明の種々の特徴を合わせて1つの実施態様を形成することもできる。反対に、簡潔さのために1つの実施態様に記載されている本発明の種々の特徴を合わせてそのサブコンビネーションを形成することもできる。
【0039】
本発明を記載するために本明細書および特許請求の範囲で用いられる種々の用語の定義を以下に記載する。
【0040】
誤解を避けるために、本明細書において基が「上記で定義された」という記載によって条件付けられている場合、当然のことながらこの基は最初に記載された最も広い定義およびその基についての別の定義のそれぞれ全てを包含する。
【0041】
誤解を避けるために、当然のことながら本明細書において「C1-3」とは、炭素原子を1個、2個または3個有する炭素基を意味する。
【0042】
本明細書において、特記しない限り、用語「アルキル」は、直鎖アルキル基および分枝鎖アルキル基の両方を包含し、メチル、エチル、n−プロピルまたはi−プロピルであり得るが、これらに限定されるものではない。
【0043】
本明細書において、特記しない限り、用語「医薬上許容される」は、ある部分(moiety)(例えば、塩、投与剤形、または賦形剤)を、正しい医学的判断に従って使用するのに適当であると特徴付けるために用いられる。一般に、医薬上許容される部分は、該部分が持っているかもしれない有害作用を上回る1つ以上の利益を有する。有害作用として、例えば、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、ならびに他の問題および合併症を挙げることができる。
【0044】
1〜R7、X、YおよびQが式(I)において定義されたとおりである式(I)で示される化合物が開示されている。
【0045】
一の実施態様において、R1は、
【化5】
であり;
2は、水素、F、Cl、Br、OSO21-3アルキルまたはC1-3アルキルから選択され;
3は、水素、F、Cl、Br、CN、CF3、SO21-3アルキル、CONH2またはSO2NR45から選択され、ここで、R4およびR5は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、アゼチジン環、ピロリジン環またはピペリジン環を形成する。
【0046】
さらなる実施態様において、R1は、
【化6】
であり;
2は、水素、F、ClまたはC1-3アルキルから選択され;
3は、水素、F、Cl、CNまたはSO21-3アルキルから選択される。
【0047】
さらにさらなる実施態様において、R1は、
【化7】
であり;
2は、水素、FまたはC1-3アルキルから選択され;
3は、水素、FまたはCNから選択される。
【0048】
さらにさらなる実施態様において、R1は、
【化8】
から選択され;
Xは、O、SまたはCF2から選択され;
Yは、OまたはSから選択され;
Qは、CHまたはNから選択され;
6は、C1-3アルキルから選択され(ここで、該C1-3アルキルは、1、2または3個のFによって置換されていてもよく、また、OH、OC1-3アルキル、N(C1-3アルキル)2、シクロプロピルまたはテトラヒドロピランから選択される1個の置換基によって置換されていてもよい);
7は、水素、F、ClまたはCH3から選択される。
【0049】
さらにさらなる実施態様において、R1は、
【化9】
から選択され;
Xは、O、SまたはCF2から選択され;
Yは、OまたはSから選択され;
6は、C1-3アルキルから選択され(ここで、該C1-3アルキルは、1、2または3個のFによって置換されていてもよく、また、OH、OC1-3アルキル、N(C1-3アルキル)2、シクロプロピルまたはテトラヒドロピランから選択される1個の置換基によって置換されていてもよい);
7は、水素、F、ClまたはCH3から選択される。
【0050】
さらにさらなる実施態様において、R1は、
【化10】
から選択され;
Xは、O、SまたはCF2から選択され;
6は、C1-3アルキルから選択され(ここで、該C1-3アルキルは、1、2または3個のFによって置換されていてもよく);
7は、水素、F、ClまたはCH3から選択される。
【0051】
さらにさらなる実施態様において、R1は、
【化11】
から選択され;
Xは、Oであり;
6は、C1-3アルキルから選択され(ここで、該C1-3アルキルは、1、2または3個のFによって置換されていてもよく;
7は、水素である。
【0052】
一の実施態様において、R2は、水素、F、Cl、Br、OSO21-3アルキルまたはC1-3アルキルから選択される。
【0053】
さらなる実施態様において、R2は、水素、F、ClまたはC1-3アルキルから選択される。
【0054】
さらにさらなる実施態様において、R2は、水素、FまたはC1-3アルキルから選択される。
【0055】
一の実施態様において、R3は、水素、F、Cl、Br、CN、CF3、SO21-3アルキル、CONH2またはSO2NR45から選択され、ここで、R4およびR5はそれらが結合している窒素原子と一緒になってアゼチジン環、ピロリジン環またはピペリジン環を形成する。
【0056】
さらなる実施態様において、R3は、水素、F、Cl、CNまたはSO21-3アルキルから選択される。
【0057】
さらにさらなる実施態様において、R3は、水素、FまたはCNから選択される。
【0058】
一の実施態様において、R6は、C1-3アルキルから選択され、ここで、該C1-3アルキルは、1、2または3個のFによって置換されていてもよく、また、OH、OC1-3アルキル、N(C1-3アルキル)2、シクロプロピルまたはテトラヒドロピランから選択される1個の置換基によって置換されていてもよい。
【0059】
さらなる実施態様において、R6はC1-3アルキルから選択され、ここで、該C1-3アルキルは、1、2または3個のFによって置換されていてもよい。
【0060】
さらにさらなる実施態様において、R6は、メチルおよびエチルから選択される。
【0061】
さらにさらなる実施態様において、R6はメチルである。
【0062】
一の実施態様において、R7は、水素、F、ClまたはCH3から選択される。
【0063】
さらなる実施態様において、R7は、水素である。
【0064】
1つ以上の上記実施態様を合わせて、本発明のさらに特定の実施態様を提供する。
【0065】
一の実施態様において、式(I)で示される化合物は、下記のものから選択される:
(2S)−N−[(1S)−1−シアノ−2−(4'−シアノビフェニル−4−イル)エチル]−1,4−オキサゼパン−2−カルボキサミド、
(2S)−N−{(1S)−1−シアノ−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサゾール−5−イル)フェニル]エチル}−1,4−オキサゼパン−2−カルボキサミド、
(2S)−N−{(1S)−1−シアノ−2−[4−(3,7−ジメチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサゾール−5−イル)フェニル]エチル}−1,4−オキサゼパン−2−カルボキサミド、
4'−[(2S)−2−シアノ−2−{[(2S)−1,4−オキサゼパン−2−イルカルボニル]アミノ}エチル]ビフェニル−3−イルメタンスルホネート、
(2S)−N−{(1S)−1−シアノ−2−[4−(3−メチル−1,2−ベンゾオキサゾール−5−イル)フェニル]エチル}−1,4−オキサゼパン−2−カルボキサミド、
(2S)−N−{(1S)−1−シアノ−2−[4'−(トリフルオロメチル)ビフェニル−4−イル]エチル}−1,4−オキサゼパン−2−カルボキサミド、
(2S)−N−[(1S)−1−シアノ−2−(3',4'−ジフルオロビフェニル−4−イル)エチル]−1,4−オキサゼパン−2−カルボキサミド、
(2S)−N−{(1S)−1−シアノ−2−[4−(6−シアノピリジン−3−イル)フェニル]エチル}−1,4−オキサゼパン−2−カルボキサミド、
(2S)−N−{(1S)−1−シアノ−2−[4−(4−メチル−3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾチアジン−6−イル)フェニル]エチル}−1,4−オキサゼパン−2−カルボキサミド、
(2S)−N−{(1S)−1−シアノ−2−[4−(3−エチル−7−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサゾール−5−イル)フェニル]エチル}−1,4−オキサゼパン−2−カルボキサミド、
(2S)−N−[(1S)−1−シアノ−2−{4−[3−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサゾール−5−イル]フェニル}エチル]−1,4−オキサゼパン−2−カルボキサミド、
(2S)−N−[(1S)−1−シアノ−2−{4−[3−(2,2−ジフルオロエチル)−7−フルオロ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサゾール−5−イル]フェニル}エチル]−1,4−オキサゼパン−2−カルボキサミド、
(2S)−N−[(1S)−1−シアノ−2−(4−{3−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサゾール−5−イル}フェニル)エチル]−1,4−オキサゼパン−2−カルボキサミド、
(2S)−N−{(1S)−1−シアノ−2−[4−(3,3−ジフルオロ−1−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−6−イル)フェニル]エチル}−1,4−オキサゼパン−2−カルボキサミド、
(2S)−N−{(1S)−1−シアノ−2−[4−(7−フルオロ−3−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサゾール−5−イル)フェニル]エチル}−1,4−オキサゼパン−2−カルボキサミド、
(2S)−N−{(1S)−1−シアノ−2−[4−(3−エチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサゾール−5−イル)フェニル]エチル}−1,4−オキサゼパン−2−カルボキサミド、
(2S)−N−[(1S)−1−シアノ−2−{4−[3−(シクロプロピルメチル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサゾール−5−イル]フェニル}エチル]−1,4−オキサゼパン−2−カルボキサミド、
(2S)−N−[(1S)−1−シアノ−2−{4−[3−(2−メトキシエチル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−5−イル]フェニル}エチル]−1,4−オキサゼパン−2−カルボキサミド、
【0066】
(2S)−N−[(1S)−1−シアノ−2−{4−[2−オキソ−3−(プロパン−2−イル)−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサゾール−5−イル]フェニル}エチル]−1,4−オキサゼパン−2−カルボキサミド、
(2S)−N−{(1S)−1−シアノ−2−[4−(4−メチル−3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)フェニル]エチル}−1,4−オキサゼパン−2−カルボキサミド、
(2S)−N−[(1S)−1−シアノ−2−{4−[3−(2−メトキシエチル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサゾール−5−イル]フェニル}エチル]−1,4−オキサゼパン−2−カルボキサミド、
(2S)−N−{(1S)−1−シアノ−2−[4−(5−シアノチオフェン−2−イル)フェニル]エチル}−1,4−オキサゼパン−2−カルボキサミド、
(2S)−N−[(1S)−2−(4'−カルバモイル−3'−フルオロビフェニル−4−イル)−1−シアノエチル]−1,4−オキサゼパン−2−カルボキサミド、
(2S)−N−{(1S)−1−シアノ−2−[4−(1−メチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−7−イル)フェニル]エチル}−1,4−オキサゼパン−2−カルボキサミド、
(2S)−N−[(1S)−1−シアノ−2−{4−[2−オキソ−3−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルメチル)−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサゾール−5−イル]フェニル}エチル]−1,4−オキサゼパン−2−カルボキサミド、
(2S)−N−{(1S)−2−[4−(7−クロロ−3−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサゾール−5−イル)フェニル]−1−シアノエチル}−1,4−オキサゼパン−2−カルボキサミド、
(2S)−N−[(1S)−1−シアノ−2−{4−[3−(2,2−ジフルオロエチル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサゾール−5−イル]フェニル}エチル]−1,4−オキサゼパン−2−カルボキサミド、
(2S)−N−[(1S)−1−シアノ−2−{4−[2−オキソ−3−(2,2,2−トリフルオロエチル)−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサゾール−5−イル]フェニル}エチル]−1,4−オキサゼパン−2−カルボキサミド、
(2S)−N−{(1S)−1−シアノ−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−5−イル)フェニル]エチル}−1,4−オキサゼパン−2−カルボキサミド、
(2S)−N−{(1S)−1−シアノ−2−[4'−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル]エチル}−1,4−オキサゼパン−2−カルボキサミド、
(2S)−N−{(1S)−2−[4'−(アゼチジン−1−イルスルホニル)ビフェニル−4−イル]−1−シアノエチル}−1,4−オキサゼパン−2−カルボキサミド、
(2S)−N−[(1S)−1−シアノ−2−(4'−フルオロビフェニル−4−イル)エチル]−1,4−オキサゼパン−2−カルボキサミド、
(2S)−N−{(1S)−2−[4−(1,3−ベンゾチアゾール−5−イル)フェニル]−1−シアノエチル}−1,4−オキサゼパン−2−カルボキサミド、
(2S)−N−[(1S)−1−シアノ−2−(4'−シアノビフェニル−4−イル)エチル]−1,4−オキサゼパン−2−カルボキサミド、または
(2S)−N−{(1S)−1−シアノ−2−[4−(4−メチル−3−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロキノキサリン−6−イル)フェニル]エチル}−1,4−オキサゼパン−2−カルボキサミド、
およびその医薬上許容される塩。
【0067】
これらの具体的な化合物のいずれか1つは、本明細書に記載した本発明の実施態様からディスクレームされ得ることに注意すべきである。
【0068】
別の実施態様は、本明細書に記載の製造方法または実施例のいずれかによって得られる生成物である。
【0069】
薬理学的特性
式(I)で示される化合物およびそれらの医薬上許容される塩は、医薬製剤として、特にジペプチジルペプチダーゼ1活性の阻害剤として、活性を有し、かくして、以下のものを包含する気道の閉塞性疾患の処置に使用され得る:間欠型および持続型両方の全ての重篤度の、気管支喘息、アレルギー性喘息、内因性喘息、外因性喘息、運動誘発性喘息、薬剤誘発性(アスピリン誘発性およびNSAID誘発性)喘息および粉塵誘発性喘息、ならびに気道過敏反応性の他の原因を含む喘息;慢性閉塞性肺疾患(COPD);感染性気管支炎および好酸球性気管支炎を含む気管支炎;肺気腫;気管支拡張症;嚢胞性線維症;サルコイドーシス;α1−アンチトリプシン欠乏症;農夫肺および関連疾患;過敏性肺炎;特発性線維化性肺胞炎、特発性間質性肺炎、抗悪性腫瘍薬療法および慢性感染症(結核およびアスペルギルス症を含む)および他の真菌感染症に合併する線維症を含む肺線維症;肺移植の合併症;肺脈管構造の血管炎性障害および血栓性障害、および肺高血圧;気道の炎症性状態および分泌状態と関連する慢性咳、および医原性咳の処置を含む鎮咳活性;薬物性鼻炎および血管運動性鼻炎を含む急性および慢性鼻炎;神経性鼻炎(枯草熱)を含む通年性アレルギー性鼻炎および季節性アレルギー性鼻炎;鼻ポリープ症;感冒、およびRS(呼吸器多核体)ウイルス、インフルエンザ、コロナウイルス(SARSを含む)およびアデノウイルスによる感染症を含む急性ウイルス感染症、急性肺傷害、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、ならびに上記の各吸気疾患病態の増悪、特にあらゆるタイプの喘息またはCOPDの増悪。
【0070】
かくして、治療用の、上記で定義された式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される塩が提供される。
【0071】
さらなる態様において、治療用医薬の製造における、上記で定義された式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される塩の使用が提供される。
【0072】
本明細書の文脈において、用語「治療」は、相反する具体的な指示がない限り「予防」も包含する。用語「治療的」および「治療的に」もこれに従って解釈されるものとする。
【0073】
予防は、問題の疾患もしくは状態の過去のエピソードに苦しんだことがある人またはさもなければ問題の疾患もしくは状態のリスクが高いと考えられる人の処置と特に関係していると考えられる。特定の疾患または状態を発症するリスクがある人としては、一般に、該疾患もしくは状態の家族歴がある人または遺伝子検査もしくはスクリーニングによって該疾患もしくは状態に特にかかりやすいと同定された人が挙げられる。
【0074】
特に、本発明の化合物(医薬上許容される塩を包含する)は、喘息{例えば、気管支喘息、アレルギー性喘息、内因性喘息、外因性喘息または粉塵喘息、特に慢性喘息もしくは難治性喘息(例えば、遅発型喘息または気道過敏症)}、慢性閉塞性肺疾患(COPD)またはアレルギー性鼻炎の処置に使用できる。
【0075】
閉塞性気道疾患または状態(例えば、喘息またはCOPD)を処置する方法またはそのリスクを軽減する方法であって、該処置または軽減を必要とする患者に上記で定義された式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される塩の治療有効量を投与することを含む、方法も提供される。
【0076】
さらなる態様において、COPDの処置用医薬の製造における上記で定義された式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される塩の使用が提供される。
【0077】
さらなる態様において、喘息の処置用医薬の製造における上記で定義された式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される塩の使用が提供される。
【0078】
さらなる態様において、アレルギー性鼻炎の処置用医薬の製造における上記で定義された式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される塩の使用が提供される。
【0079】
さらなる態様において、アレルギー性鼻炎の処置用の、上記で定義された式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される塩が提供される。
【0080】
さらなる態様において、COPDの処置用の、上記で定義された式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される塩が提供される。
【0081】
さらなる態様において、喘息の処置用の、上記で定義された式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される塩が提供される。
【0082】
組合せ療法
式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される塩は、上記の状態の処置に用いられる別の化合物と合わせて投与されてもよい。
【0083】
本発明は、また、上記の状態の1つ以上の処置のために本発明の化合物またはその医薬上許容される塩と第2の活性成分を同時にまたは連続してまたは混合して投与する組合せ療法に関する。このような組合せは、1種類以上のさらなる活性成分と組み合わせて使用され得る。
【0084】
本発明は、さらにまた、本発明の化合物またはその医薬上許容される塩と、グルココルチコイド受容体アゴニスト(ステロイド系または非ステロイド系)、例えば、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、プレドニゾン、フロ酸モメタゾン、エタボン酸ロテブレドノール、プロピオン酸フルチカゾン、フロ酸フルチカゾン、フルオシノロンアセトニド、シペシル酸デキサメタゾン、デスイソブチリルシクレソニド、プロピオン酸クロベタゾール、シクレソニド、プロピオン酸ブチキソコルト、ブデソニド、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、ジプロピオン酸アルクロメタゾン、2,2,2−トリフルオロ−N−[(1S,2R)−2−[1−(4−フルオロフェニル)インダゾール−5−イル]オキシ−2−(3−メトキシフェニル)−1−メチル−エチル]アセトアミド、または3−[5−[(1R,2S)−2−(2,2−ジフルオロプロパノイルアミノ)−1−(2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−6−イル)プロポキシ]インダゾール−1−イル]−N−[(3R)−テトラヒドロフラン−3−イル]ベンズアミドとの組合せに関する。
【0085】
本発明は、さらにまた、本発明の化合物またはその医薬上許容される塩と、p38アンタゴニスト、例えば、PH797804(3−[3−ブロモ−4−(2,4−ジフルオロ−ベンジルオキシ)−6−メチル−2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル]−4,N−ジメチル−ベンズアミド)、ロスマピモド、PF03715455(1−[5−tert−ブチル−2−(3−クロロ−4−ヒドロキシ−フェニル)ピラゾール−3−イル]−3−[[2−[[3−[2−(2−ヒドロキシエチルスルファニル)フェニル]−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イル]スルファニル]フェニル]メチル]尿素)またはN−シクロプロピル−3−フルオロ−4−メチル−5−[3−[[1−[2−[2−(メチルアミノ)エトキシ]フェニル]シクロプロピル]アミノ]−2−オキソ−ピラジン−1−イル]ベンズアミドとの組合せに関する。
【0086】
本発明は、さらにまた、本発明の化合物またはその医薬上許容される塩と、ホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤、例えば、メチルキサンタニン(methylxanthanine)(テオフィリンおよびアミノフィリンを包含する)、または選択的PDEアイソザイム阻害剤(PDE4阻害剤、またはアイソフォームPDE4Dの阻害剤を包含する)、例えば、テトミラスト、ロフルミラスト、オグレミラスト、イブジラスト、GPD−1116(3−ベンジル−5−フェニル−1H−ピラゾロ[4,3−c][1,8]ナフチリジン−4−オン)、ロノミラスト、NVP ABE 171(4−[8−(2,1,3−ベンゾオキサジアゾール−5−イル)−1,7−ナフチリジン−6−イル]安息香酸)、RPL554(2−[(2E)−9,10−ジメトキシ−4−オキソ−2−(2,4,6−トリメチルフェニル)イミノ−6,7−ジヒドロピリミド[6,1−a]イソキノリン−3−イル]エチル尿素)、CHF5480([(Z)−2−(3,5−ジクロロ−4−ピリジル)−1−(3,4−ジメトキシフェニル)ビニル](2S)−2−(4−イソブチルフェニル)プロパノエート)、またはGSK256066(6−[3−(ジメチルカルバモイル)フェニル]スルホニル−4−(3−メトキシアニリノ)−8−メチル−キノリン−3−カルボキサミド)との組合せに関する。
【0087】
本発明は、さらにまた、本発明の化合物またはその医薬上許容される塩と、ケモカイン受容体機能の調節物質、例えば、CCR1、CCR2、CCR2A、CCR2B、CCR3、CCR4、CCR5、CCR6、CCR7、CCR8、CCR9、CCR10またはCCR11(C−Cファミリーについて)のアンタゴニスト、例えば、CCR1、CCR2BまたはCCR5受容体アンタゴニスト;CXCR1、CXCR2、CXCR3、CXCR4またはCXCR5(C−X−Cファミリーについて)、例えば、CXCR2またはCXCR3受容体アンタゴニスト;またはC−X3−CファミリーについてのCX3CR1との組合せに関する。例えば、本発明は、本発明の化合物と、PS−031291(ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−[(4−クロロ−ベンジル)−メチル−アミド]1−[(4−トリフルオロメチル−フェニル)−アミド])、CCX−354(1−[4−(4−クロロ−3−メトキシ−フェニル)ピペラジン−1−イル]−2−[3−(1H−イミダゾール−2−イル)ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−1−イル]エタノン)、ビクリビロク、マラビロク、セニクリビロク、ナバリキシン(2−ヒドロキシ−N,N−ジメチル−3−[[2−[[(1R)−1−(5−メチル−2−フリル)プロピル]アミノ]−3,4−ジオキソ−シクロブテン−1−イル]アミノ]ベンズアミド)、SB656933(1−(2−クロロ−3−フルオロ−フェニル)−3−(4−クロロ−2−ヒドロキシ−3−ピペラジン−1−イルスルホニル−フェニル)尿素)、N−[2−[(2,3−ジフルオロフェニル)メチルスルファニル]−6−[(1R,2S)−2,3−ジヒドロキシ−1−メチル−プロポキシ]ピリミジン−4−イル]アゼチジン−1−スルホンアミド、N−[6−[(1R,2S)−2,3−ジヒドロキシ−1−メチル−プロポキシ]−2−[(4−フルオロフェニル)メチルスルファニル]ピリミジン−4−イル]−3−メチル−アゼチジン−1−スルホンアミドまたはN−[2−[(2,3−ジフルオロフェニル)メチルスルファニル]−6−[[(1R,2R)−2,3−ジヒドロキシ−1−メチル−プロピル]アミノ]ピリミジン−4−イル]アゼチジン−1−スルホンアミドとの組合せに関する。
【0088】
本発明は、さらにまた、本発明の化合物またはその医薬上許容される塩と、ロイコトリエン生合成阻害剤、5−リポキシゲナーゼ(5−LO)阻害剤または5−リポキシゲナーゼ活性化タンパク質(FLAP)アンタゴニスト、例えば、TA270(4−ヒドロキシ−1−メチル−3−オクチルオキシ−7−シナピノイル(sinapinoyl)アミノ−2(1H)−キノリノン)、PF−4191834(2H−ピラン−4−カルボキサミド,テトラヒドロ−4−[3−[[4−(1−メチル−1H−ピラゾール−5−イル)フェニル]チオ]フェニル]−)、セチロートン(setileuton)、CMI977(1−[4−[(2S,5S)−5−[(4−フルオロフェノキシ)メチル]テトラヒドロフラン−2−イル]ブタ−3−イニル]−1−ヒドロキシ−尿素)、フィボフラポン(3−[3−tert−ブチルスルファニル−1−[[4−(6−エトキシ−3−ピリジル)フェニル]メチル]−5−[(5−メチル−2−ピリジル)メトキシ]インドール−2−イル]−2,2−ジメチル−プロパン酸)、GSK2190915(1H−インドール−2−プロパン酸、3−[(1,1−ジメチルエチル)チオ]−1−[[4−(6−メトキシ−3−ピリジニル)フェニル]メチル]−α,α−ジメチル−5−[(2−ピリジニル)メトキシ]−)、リコフェロン、キフラポン(3−[3−tert−ブチルスルファニル−1−[(4−クロロフェニル)メチル]−5−(2−キノリルメトキシ)インドール−2−イル]−2,2−ジメチル−プロパン酸)、ベリフラポン((2R)−2−シクロペンチル−2−[4−(2−キノリルメトキシ)フェニル]酢酸)、ABT080(4,4−ビス[4−(2−キノリルメトキシ)フェニル]ペンタン酸)、ジロートン、ザフィルルカストまたはモンテルカストとの組合せに関する。
【0089】
本発明は、さらにまた、本発明の化合物またはその医薬上許容される塩と、CRTh2アンタゴニストまたはDP2アンタゴニスト、例えば、ACT129968(2−[2−[(5−アセチル−2−メトキシ−フェニル)メチルスルファニル]−5−フルオロ−ベンゾイミダゾール−1−イル]酢酸)、AMG853(2−[4−[4−(tert−ブチルカルバモイル)−2−[(2−クロロ−4−シクロプロピル−フェニル)スルホニルアミノ]フェノキシ]−5−クロロ−2−フルオロ−フェニル]酢酸)、AM211(2−[3−[2−[[ベンジルカルバモイル(エチル)アミノ]メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−4−メトキシ−フェニル]酢酸)、2−[4−アセトアミド−3−(4−クロロフェニル)スルファニル−2−メチル−インドール−1−イル]酢酸、(2S)−2−[4−クロロ−2−(2−クロロ−4−エチルスルホニル−フェノキシ)フェノキシ]プロパン酸、2−[4−クロロ−2−[2−フルオロ−4−(4−フルオロフェニル)スルホニル−フェニル]フェノキシ]酢酸、または(2S)−2−[2−[3−クロロ−4−(2,2−ジメチルピロリジン−1−カルボニル)フェニル]−4−フルオロ−フェノキシ]プロパン酸との組合せに関する。
【0090】
本発明は、さらにまた、本発明の化合物またはその医薬上許容される塩と、ミエロペルオキシダーゼアンタゴニスト、例えば、レスベラトロール、ピセタノール、または1−(2−イソプロポキシエチル)−2−チオキソ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−4−オンとの組合せに関する。
【0091】
本発明のさらなる態様において、本発明の化合物またはその医薬上許容される塩と、上記で定義された、
a) Toll様受容体アゴニスト(例えば、TLR7アゴニストまたはTLR9アゴニスト);
b)アデノシンアンタゴニスト;
c)グルココルチコイド受容体アゴニスト(ステロイド系または非ステロイド系);
d)p38アンタゴニスト;
e)PDE4アンタゴニスト;
f)ケモカイン受容体機能調節物質(例えば、CCR1受容体アンタゴニスト、CCR2B受容体アンタゴニスト、CCR5受容体アンタゴニスト、CXCR2受容体アンタゴニストまたはCXCR3受容体アンタゴニスト);または
g)CRTh2アンタゴニスト
から選択される少なくとも1つの活性成分を含む、(例えば、COPD、喘息またはアレルギー性鼻炎のような、本明細書に記載の疾患または状態の1つの処置用医薬としての使用するための)医薬組成物が提供される。
【0092】
一の実施態様において、本発明の化合物またはその医薬上許容される塩は、上記で定義したものから選択される1種類以上のさらなる活性成分と同時にまたは連続して投与される。例えば、本発明の化合物またはその医薬上許容される塩は、呼吸器状態(例えば、COPD、喘息またはアレルギー性鼻炎)のような上記の疾患または状態の1つの処置用医薬として使用するためのさらなる医薬組成物と同時にまたは連続して投与され得る。このさらなる医薬組成物は、患者が既に処方されているかもしれない医薬(例えば、既存の標準的なケアメディケーション)であり得、それ自体上記で定義されたものから選択される1種類以上のさらなる活性成分を含む組成物であり得る。
【0093】
医薬組成物
上記の治療用途について、投与量は、使用する化合物、投与の様式、望ましい処置、および指摘された疾患によって異なる。例えば、本発明の化合物の日用量は、吸入される場合、体重1kgあたり0.05μg(μg/kg)〜体重1kgあたり100μg(μg/kg)の範囲であり得る。別法として、該化合物が経口投与される場合、本発明の化合物の日用量は、体重1kgあたり0.01μg(μg/kg)〜体重1kgあたり100mg(mg/kg)であり得る。
【0094】
式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される塩は、単独で使用され得るが、一般に、式(I)化合物/塩(活性成分)が医薬上許容されるアジュバント、希釈剤または担体を伴っている医薬組成物の形態で投与される。好適な医薬製剤の選択および調製のための慣用手順は、例えば、“Pharmaceuticals - The Science of Dosage Form Designs”, M. E. Aulton, Churchill Livingstone, 2nd Ed. 2002に記載されている。
【0095】
投与様式に応じて、医薬組成物は、好ましくは、活性成分を0.05〜99%w(重量%)、より好ましくは0.05〜80%w、さらに好ましくは0.10〜70%w、さらにまた好ましくは0.10〜50%w(全て、組成物全体に基づいた重量%)を含む。
【0096】
本発明は、医薬上許容されるアジュバント、希釈剤または担体を伴って上記で定義された式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される塩を含む医薬組成物も提供する。
【0097】
本発明は、さらに、上記で定義された式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される塩を医薬上許容されるアジュバント、希釈剤または担体と混合することを含む、本発明の医薬組成物の調製方法を提供する。
【0098】
該医薬組成物は、例えばクリーム剤、液剤、懸濁剤、ヘプタフルオロアルカン(HFA)エアゾール剤および乾燥散剤(例えば、Turbuhaler(登録商標)として知られている吸入器中の製剤)の剤形で、局所的に(例えば、皮膚、または肺および/または気道へ);または、例えば錠剤、カプセル剤、シロップ剤、散剤または顆粒剤の剤形で経口投与によって、全身的に;または(静脈内、皮下、筋肉内、血管内または輸液を包含する)注射用の滅菌液剤、懸濁剤または乳剤の剤形で非経口投与によって;または坐剤の剤形で直腸内投与によって、投与され得る。
【0099】
経口投与について、本発明の化合物は、アジュバント、希釈剤または担体、例えば、ラクトース、サッカロース、ソルビトール、マンニトール;デンプン、例えば、ジャガイモデンプン、コーンスターチまたはアミロペクチン;セルロース誘導体;結合剤、例えば、ゼラチンまたはポリビニルピロリドン;崩壊剤、例えば、セルロース誘導体、および/または滑沢剤例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ポリエチレングリコール、蝋、パラフィンなどと混合し、次に、錠剤に圧縮し得る。被覆錠剤が必要であるならば、上記のとおり製造したコアを、水または易揮発性有機溶媒に溶解または分散した適当なポリマーでコーティングしてよい。別法としては、錠剤を、例えば、アラビアゴム、ゼラチン、タルクおよび二酸化チタンを含み得る濃縮糖溶液でコートしてよい。
【0100】
ソフトゼラチンカプセルの製造については、本発明の化合物を、例えば植物油またはポリエチレングリコールと混合し得る。ハードゼラチンカプセルは、錠剤について上記した賦形剤のような医薬的賦形剤を使用して化合物の顆粒を含み得る。また本発明の化合物の液体製剤または半固体製剤もハードゼラチンカプセルに充填し得る。
【0101】
経口投与用液体製剤は、シロップ剤、液剤または懸濁剤の剤形であり得る。液剤は、例えば、本発明の化合物、平衡化糖(balance being sugar)、ならびにエタノール、水、グリセロールおよびプロピレングリコールの混合物を含み得る。場合により、かかる液体製剤は、着色剤、フレーバー剤、サッカリンおよび/またはカルボキシメチルセルロースを濃化剤として含み得る。さらにまた、経口用の製剤を調製する場合には当業者に既知の他の添加剤を使用し得る。
【0102】
化合物の製造
本発明は、さらに、上記で定義された式(I)で示される化合物の製造方法を提供する。
【0103】
一般的な製造方法
当業者は、本発明の化合物が、既知の方式で、種々の方法で製造できることを認識するだろう。以下の経路は単に式(I)で示される化合物の合成に用いることができる方法のいくつかを説明するものである。
【0104】
本発明は、さらに上記で定義された式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される塩の製造方法であって、式(II):
【化12】
[式中、R1は式(I)において定義されたとおりである]
で示される化合物を式(III):
【化13】
[式中、PGは保護基(例えば、tert−ブトキシカルボニル)を表す]
で示される化合物と反応させることを含み、所望により、その後、以下の手順:
● 式(I)で示される化合物を式(I)で示される別の化合物に変換すること、
● 保護基を除去すること、
● 医薬上許容される塩を形成すること
の1つ以上を行うことを含んでもよい、方法を提供する。
【0105】
該方法は、好都合には、DiPEAまたはTEAのような塩基、およびEDCI、2−ピリジノール−1−オキシドまたはT3Pのような活性化剤1種類以上の存在下にて行われる。該反応は、好都合には、例えば20℃〜100℃の範囲内の温度で、特に周囲温度(25℃)で、DMFまたはDCMのような有機溶媒の存在下にて行われる。
【0106】
式(II)で示される化合物は、式(IV):
【化14】
[式中、PGは保護基(例えば、tert−ブトキシカルボニル)を表す]
で示される化合物を好適な試薬と反応させて保護基PGを除去することによって製造され得る。好適な試薬の例はギ酸である。
【0107】
式(IV)で示される化合物は、Pd(dppf)Cl2・DCMまたは1,1−ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)フェロセンパラジウムジクロリドのような触媒および炭酸カリウムまたは炭酸ナトリウムのような塩基の存在下にて式(V):
【化15】
[式中、PGは保護基(例えば、tert−ブトキシカルボニル)を表し、Halはハロゲン(例えば、IまたはBr)を表す]
で示される化合物を式(VI):
【化16】
[式中、R1は式(I)において定義されたとおりである]
で示される化合物またはそのエステルと反応させることによって製造され得る。該反応は、好都合には、例えば20℃〜100℃の範囲内の温度で、特に75℃で、ジオキサン/水混合物またはACN/水混合物のような溶媒中にて行われる。
【0108】
式(V)で示される化合物は、式(VII):
【化17】
[式中、PGは保護基(例えば、tert−ブトキシカルボニル)を表し、Halはハロゲン(例えば、IまたはBr)を表す]
で示される化合物から、アミドの脱水についての文献記載の標準的な手順を用いて、例えば、−20℃〜100℃の範囲内の温度で、例えば0℃で、DCMまたはDMFのような溶媒中にて、DiPEAのような塩基を用いるかまたは用いずに、バージェス試薬またはT3Pのような試薬を用いて、製造され得る。
【0109】
式(VII)で示される化合物は、アミドの形成についての文献記載の標準的な手順を用いて、例えば、N−エチル−モルホリンまたはDiPEAのような塩基およびTBTUまたはT3Pのような活性化剤の存在下にて、式(VIII):
【化18】
[式中、PGは保護基(例えば、tert−ブトキシカルボニル)を表し、Halはハロゲン(例えば、IまたはBr)を表す]
で示される化合物をアンモニア水溶液と反応させることによって製造され得る。該反応は、好都合には、−20℃〜100℃の範囲内の温度で、例えば0℃で、DMFのような有機溶媒中にて行われる。
【0110】
式(VIII)で示される化合物は、市販品であるか、または文献公知のもの(例えば、Tetrahedron:Asymmetry, 1998, 9, 503)であるか、または公知技術を用いて製造され得る。
【0111】
さらに、上記で定義された式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される塩の製造方法であって、アミドの脱水についての文献記載の標準的な手順を用いて、例えば、−20℃〜100℃の範囲内の温度で、例えば25℃で、DCMまたはDMFのような溶媒中にて、DiPEAのような塩基を用いるかまたは用いずに、式(IX):
【化19】
[式中、R1は上記で定義されたとおりであり、PGは保護基(例えば、tert−ブトキシカルボニル)を表す]
で示される化合物をバージェス試薬またはT3Pのような試薬と反応させ、その後、保護基PGの除去に好適な試薬と反応させることを含む、方法が提供される。好適な試薬の例はギ酸である。
【0112】
式(IX)で示される化合物は、ビス[ビス(1,2−ジフェニルホスフィノ)エタン]パラジウム(0)またはPd(dppf)Cl2・DCMのような触媒および炭酸カリウムまたは炭酸ナトリウムのような塩基の存在下にて、式(X):
【化20】
[式中、PGは保護基(例えば、tert−ブトキシカルボニル)を表す]
で示される化合物を式(XI):
【化21】
[式中、R1は式(I)において定義されたとおりである]
で示されるハロゲン化物と反応させることによって製造され得る。この反応は、好都合には、例えば20℃〜100℃の範囲内の温度で、特に80℃で、ジオキサン/水混合物またはACN/水混合物のような溶媒中にて行われる。
【0113】
式(X)で示される化合物は、60℃〜100℃の範囲内の温度で、例えば85℃で、DMSOのような溶媒中にて、酢酸カリウムのような好適な塩を用いて、1,1'−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンまたは1,1−ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)フェロセンパラジウムジクロリドを用いるかまたは用いずに、Pd(dppf)Cl2・DCMのような好適な触媒の存在下にて、式(XII):
【化22】
[式中、PGは保護基(例えば、tert−ブトキシカルボニル)を表す]
で示される化合物をB2Pin2と反応させることによって製造され得る。
【0114】
式(XII)で示される化合物は、DiPEAまたはTEAのような塩基およびEDCI、2−ピリジノール−1−オキシドまたはT3Pのような活性化剤の存在下にて、式(XIII):
【化23】
で示される化合物を式(III):
【化24】
[式中、PGは保護基(例えば、tert−ブトキシカルボニル)を表す]
で示される化合物と反応させることによって製造され得る。該反応は、好都合には、例えば20℃〜100℃の範囲内の温度で、特に周囲温度(25℃)で、DMFまたはDCMのような有機溶媒中にて行われる。
【0115】
式(XIII)で示される化合物は、アミドの形成についての文献記載の標準的な手順を用いて、例えば、N−エチル−モルホリンまたはDiPEAのような塩基および「ウロニウム」試薬(例えばTBTU)またはT3Pのような活性化剤の存在下にて、式(XIV):
【化25】
[式中、PGは式(VII)において定義されたとおりである]
で示される化合物をアンモニア水溶液と反応させることによって製造され得る。該反応は、好都合には、−20℃〜100℃の範囲内の温度で、例えば0℃で、DMFのような有機溶媒中にて行われる。
【0116】
式(IX)で示される化合物は、ビス[ビス(1,2−ジフェニルホスフィノ)エタン]パラジウム(0)またはPd(dppf)Cl2・DCMのような触媒および炭酸カリウムまたは炭酸ナトリウムのような塩基の存在下にて、式(XII)[式中、PGは保護基(例えば、tert−ブトキシカルボニル)を表す]で示される化合物を式(VI)で示される化合物またはそのボロン酸エステルと反応させることによって製造され得る。該反応は、好都合には、20℃〜100℃の範囲内の温度で、特に80℃で、ジオキサン/水またはACN/水混合物のような溶媒中にて行われる。
【0117】
さらに、上記で定義された式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される塩の製造方法であって、Pd(dppf)Cl2・DCMまたは1,1−ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)フェロセンパラジウムジクロリドのような触媒および炭酸カリウムまたは炭酸ナトリウムのような塩基の存在下にて、式(XV):
【化26】
[式中、PGは保護基(例えば、tert−ブトキシカルボニル)を表す]
で示される化合物を式(VI)[式中、R1は上記で定義されたとおりである]で示される化合物またはそのエステルと反応させることを含む、方法が提供される。該反応は、好都合には、20℃〜100℃の範囲内の温度で、特に75℃で、ジオキサン/水混合物またはACN/水混合物のような溶媒中にて行われ、その後、保護基PGを除去するのに好適な試薬と反応させる。好適な試薬の例はギ酸である。
【0118】
式(XV)で示される化合物は、式(XII)で示される化合物から、アミドの脱水についての文献記載の標準的な手順を用いて、例えば、−20℃〜100℃の範囲内の温度で、例えば25℃で、DCMまたはDMFのような溶媒中にて、DiPEAのような塩基を用いるかまたは用いずに、バージェス試薬またはTBTUまたはT3Pのような試薬を用いて、製造され得る。
【0119】
さらに、上記で定義された式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される塩の製造方法であって、好都合には、DiPEAまたはTEAのような塩基およびEDCI、2−ピリジノール−1−オキシドまたはT3Pのような活性化剤1種類以上の存在下で、次に、T3Pのような脱水試薬の存在下で行われる、式(XVI):
【化27】
[式中、R1は式(I)において定義されたとおりである]
で示される化合物と式(III)で示される化合物との反応を含む、方法が提供される。該反応は、好都合には、例えば20℃〜100℃の範囲内の温度で、特に周囲温度(25℃)で、DMFまたはDCMのような有機溶媒中にて行われる。
【0120】
式(XVI)で示される化合物は、Pd(dppf)Cl2・DCMまたは1,1−ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)フェロセンパラジウムジクロリドのような触媒および炭酸カリウムまたは炭酸ナトリウムのような塩基の存在下にて、式(VII)で示される化合物を式(VI)[式中、R1は式(I)において定義されたとおりである]で示される化合物またはそのエステルと反応させることにより製造され得る。該反応は、好都合には、ジオキサン/水混合物またはACN/水混合物のような溶媒中にて、例えば20℃〜100℃の範囲内の温度で、特に75℃で行われ、次に、PGの脱保護が行われる。
【0121】
式(III):
【化28】
[式中、PGは保護基(例えば、tert−ブトキシカルボニル)を表す]で示される化合物は、市販品であるか、または、式(XVII):
【化29】
で示される化合物から、穏やかな(mild)エステル加水分解についての文献記載の手順(例えば、Tetr. Lett., 2007, 48, 2497)を用いて、例えば、例えば25℃で、ACN/水混合物のような溶媒中にて、LiBrと、TEAのような塩基を用いて、製造され得る。
【0122】
式(XVII)[式中、PGは保護基(例えば、tert−ブトキシカルボニル)を表す]で示される化合物は、式(XVIII):
【化30】
で示される化合物から、0〜40℃の範囲内の温度で、例えば25℃で、THFのような溶媒中にて、還元剤、例えばBH3−DMSを使用して、製造され得る。
【0123】
式(XVIII)[式中、PGは保護基(例えば、tert−ブトキシカルボニル)を表す]で示される化合物は、式(XIX):
【化31】
で示される化合物から、化学選択的ラクタム形成のために生体触媒による変換を用いて、例えば、0〜80℃の範囲内の温度で、例えば55℃で、エーテル(例えば、ジオキサン)のような溶媒中にて、ノボザイム435のようなリパーゼを使用し、次に、保護基PGの導入のための条件を用いて、製造され得る。
【0124】
式(XIX)で示される化合物は、式(XX):
【化32】
[式中、PG1およびPG2は保護基(例えば、ベンジル)を表す]
で示される化合物から、水素添加のための条件を使用して、例えば、25〜80℃の範囲内の温度で、例えば40℃で、例えば10バールの圧力下、メタノールまたはジオキサンのような溶媒中にて、H2(g)、および二水酸化パラジウム−炭素のような試薬を使用して、製造され得る。
【0125】
式(XX)[式中、PG1およびPG2は保護基(例えば、ベンジル)を表す]で示される化合物は、式(XXI):
【化33】
[式中、PG1およびPG2は保護基(例えば、ベンジル)を表す]
で示される化合物から、オキサマイケル反応のための条件を用いて、0〜100℃の範囲内の温度で、例えば25℃で、トルエンのような溶媒中、4−メチルモルホリンのような塩基の存在下にて、プロピン酸メチルと反応させて、製造され得る。
【0126】
式(XXI)[式中、PG1およびPG2は保護基(例えば、ベンジル)を表す]で示される化合物は、0〜78℃の範囲内の温度で、例えば70℃で、エタノールのような溶媒中にて、二保護ベンジルアミン(例えば、ジベンジルアミン)を(S)−オキシラン−2−カルボン酸メチルと反応させることによって製造され得る。
【0127】
別法として、式(III):
【化34】
[式中、PGは保護基(例えば、tert−ブトキシカルボニル)を表す]
で示される化合物は、例えば、0〜100℃の範囲内の温度で、例えば25℃で、臭化ナトリウムのような塩が存在してもよいDCM/水のような溶媒中にて、NaHCO3のようなバッファーおよび重硫酸テトラブチルアンモニウムのような相間移動触媒の存在下にて、TEMPOおよび次亜塩素酸ナトリウムのような試薬を用いて、式(XXII):
【化35】
で示される化合物の酸化によって製造され得る。
【0128】
式(XXII)[式中、PGは保護基(例えば、tert−ブトキシカルボニル)を表す]で示される化合物は、式(XXIII):
【化36】
[式中、PG1およびPG2は保護基(例えば、ベンジル)を表す]
で示される化合物から、0〜60℃の範囲内の温度で、例えば25℃で、THFのような溶媒中にて、水素化ナトリウムのような塩基と反応させ、次に、式(XXII)および(XXIII)において定義された保護基PG、PG1およびPG2の相互変換により、製造され得る。
【0129】
式(XXIII)[式中、PG1およびPG2は保護基(例えば、ベンジル)を表す]で示される化合物は、0〜70℃の範囲内の温度で、例えば40℃で、エタノールまたはプロパノールのような溶媒中にて、保護3−アミノプロパノール(例えば、N−ベンジル−3−アミノプロパノール)を(S)−2−((ベンジルオキシ)メチル)オキシランと反応させ、次に、−10〜25℃の範囲内の温度で、例えば−5℃で、DCMのような溶媒中にて、DiPEAのような塩基の存在下にて、該粗生成物をメタンスルホニルクロリドと反応させることにより製造され得る。
【0130】
式(VI)で示される化合物またはそのエステル、ならびに式(VIII)、(XI)および(XIV)で示される化合物は、市販品であるか、文献公知のものであるか、または、公知技術を用いて製造され得る。
【0131】
本発明の製造方法において、試薬中のヒドロキシルまたはアミノ基のようなある種の官能基は保護基による保護を必要とし得ることは当業者に十分に理解されるであろう。かくして、式(I)で示される化合物の製造は、適当な段階で、1つ以上の保護基を除去することを含む。
【0132】
当業者は、式(I)で示される化合物の製造の何れかの段階で、式(II)〜(V)、(VII)〜(X)および(XXII)〜(XVI)の何れかに相当する化合物の異性体混合物(例えば、ラセミ体)が利用できることを理解するであろう。該製造の何れかの段階で、例えばキラルクロマトグラフィー分離を使用して異性体混合物(例えば、ラセミ体)から単離することによって1種類の立体異性体を得ることができる。
【0133】
官能基の保護および脱保護は、‘Protective Groups in Organic Synthesis’, 4th Ed, T.W. Greene and P.G.M. Wuts, Wiley (2006)および‘Protecting Groups’, 3rd Ed P.J. Kocienski, Georg Thieme Verlag (2005)に記載されている。
【0134】
さらなる実施態様は、式(I)で示される化合物の医薬上許容される塩を包含する。
【0135】
式(I)で示される化合物の塩は、その化学的特性または物理的特性の1つ以上、例えば、異なる温度および湿度における安定性、またはH2O、油もしくは他の溶媒への望ましい溶解性のために有利であり得る。場合によっては、該化合物の単離または精製を助けるために塩を使用することができる。いくつかの実施態様において(特に、塩が動物(例えば、ヒト)への投与を意図される場合、または塩が動物への投与を意図される化合物もしくは塩の製造に用いる試薬である場合)、該塩は医薬上許容されるものである。
【0136】
式(I)で示される化合物が十分に酸性である場合、医薬上許容される塩としては、アルカリ金属塩、例えばNaもしくはK、アルカリ土類金属塩、例えばCaもしくはMg、または有機アミン塩が挙げられるが、これらに限定されるものではない。式(I)で示される化合物が十分に塩基性である場合、医薬上許容される塩としては、無機酸付加塩または有機酸付加塩が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0137】
荷電した官能基の数および該カチオンまたはアニオンの原子価に応じて2つ以上のカチオンまたはアニオンであり得る。
【0138】
好適な塩についての検討のために、Berge et al., J. Pharm. Sci., 1977, 66, 1-19または“Handbook of Pharmaceutical Salts: Properties, selection and use”, P.H. Stahl, P.G. Vermuth, IUPAC, Wiley-VCH, 2002を参照。
【0139】
塩において、式(I)で示される化合物と該塩の対イオンとの間でプロトン移動が生じる。しかしながら、場合によっては、プロトン移動は完全ではないかもしれず、したがって、該固体は真の塩(true salt)ではない。このような場合、該固体における式(I)で示される化合物および「コフォーマー(co-former)」分子は、主に、水素結合のような非イオン力を介して相互作用する。プロトン移動は、実際、連続体であり、温度によって変わることがあり、したがって、塩が共結晶と記載されることがより望ましいポイントは多少主観的であることは、容認されている。
【0140】
酸または塩基コフォーマーが室温で固体であり、式(I)で示される化合物とこのような酸または塩基コフォーマーとの間でプロトン移動が全くないかまたは一部しかない場合、塩よりもむしろ、該コフォーマーと式(I)で示される化合物との共結晶が生じ得る。このような式(I)で示される化合物の共結晶体は全て本発明に包含される。
【0141】
式(I)で示される化合物はその塩と共結晶体の混合物を形成し得る。本発明は式(I)で示される化合物の塩/共結晶体混合物を包含すると解されるべきである。
【0142】
塩および共結晶は、周知技術、例えば、粉末X線回折、単結晶X線回折(例えば、プロトンの位置、結合長または結合角を評価するため)、固体NMR(例えば、C、NまたはPの化学シフトを評価するため)または分光技術(例えば、O−H、N−HまたはCOOHシグナル、および水素結合により得られるIRピークシフトを測定するため)を使用して、特徴付けることができる。
【0143】
ある種の式(I)で示される化合物は、溶媒和形態、例えば、水和物で存在し得、式(I)で示される化合物の医薬上許容される塩の溶媒和物を包含すると解されるべきである。
【0144】
さらなる実施態様において、ある種の式(I)で示される化合物は、ラセミ体およびラセミ混合物、単一エナンチオマー、ならびに個々のジアステレオマーおよびジアステレオマー混合物として存在し得る。本発明は、このような異性体の全てを包含すると解されるべきである。ある種の式(I)で示される化合物は、また、連結基(例えば、炭素−炭素結合、アミド結合のような炭素−窒素結合)を含有することもできるが、ここで、結合回転は、その特定の連結基について制限され、例えば、環結合または二重結合の存在に起因する制限がある。したがって、本発明は、このような異性体の全てを包含すると解されるべきである。ある種の式(I)で示される化合物は、また、複数の互変異性体を含有することができる。本発明は、このような互変異性体の全てを包含すると解されるべきである。立体異性体は慣用技術、例えば、クロマトグラフィーまたは分別結晶を用いて分離され得るか、または、該立体異性体は、立体選択的合成によって製造され得る。
【0145】
さらなる実施態様において、式(I)で示される化合物は、式(I)で示される化合物のいずれもの同位体標識(または「放射能標識」)誘導体を包含する。このような誘導体は、1個以上の原子が、自然界において典型的に見られる原子質量または質量数とは異なる原子質量または質量数を有する原子と置き換えられている、式(I)で示される化合物の誘導体である。組み込むことができる放射性核種の例としては、2H(重水素について「D」とも記載される)が挙げられる。
【0146】
さらなる実施態様において、式(I)で示される化合物は、ヒトまたは動物の体内で分解されて式(I)で示される化合物となるプロドラッグの形態で投与され得る。プロドラッグの例としては、式(I)で示される化合物のインビボ加水分解性エステルが挙げられる。
【0147】
カルボキシ基またはヒドロキシ基を含有する式(I)で示される化合物のインビボ加水分解性(切断性)エステルは、例えば、ヒトまたは動物の体内で加水分解して親酸または親アルコールを産生する医薬上許容されるエステルである。エステルプロドラッグ誘導体の例については、Curr. Drug. Metab. 2003, 4, 461を参照。
【0148】
その他の種々の形態のプロドラッグが当該技術分野において知られている。プロドラッグ誘導体の例については、Nature Reviews Drug Discovery 2008, 7, 255および該文献で引用されている文献を参照。
【実施例】
【0149】
ここで、下記の非限定的な実施例を参照することにより本発明をさらに説明する。
【0150】
(i)特記されない限り、1H NMRスペクトルは、Bruker Avance III分光計にて400、500または600MHzの電界強度で操作して記録した。クロロホルム−d(CDCl3;δH7.27ppm)、ジメチルスルホキシド−d6(d3−DMSO;δH2.50ppm)またはメタノール−d4(CD3OD;δH3.31ppm)のいずれかの中央ピークを参照として使用した。
【0151】
(ii)MSスペクトルは、Phenomenex Luna 5μ C18(2)、100×4.6mm(plusガードカートリッジ)カラムおよび0.1%ギ酸含有ACNの0.1%ギ酸水溶液中勾配液、またはWaters Xterra MS 5μ C18、100×4.6mm(plusガードカートリッジ)カラムおよびACNの10mM炭酸水素アンモニウム水溶液中勾配液を使用する分析用HPLCに続いて、Micromass ZQシングル四重極型LC−MSまたはQuattro Micro LC−MS−MSのいずれかにて記録された。イオン化は、規定通りに、ESCIであり、そのオプションが1回の操作でESIおよびAPCIの両方のデータを得るものであった。別法として、LC−MS実験は、ESIモードのWaters Xevo Q−ToF Mass Spectrometerと組み合わせたWaters Acquity UPLCシステムを使用して行われた。UPLCシステムは、46mM炭酸アンモニウム/NH3バッファー(pH10)と組み合わせたBEH C18カラム(1.7μm、2.1×50mm)、および10mMギ酸、1mMギ酸アンモニウムバッファー(pH3)と組み合わせたHSS C18カラム(1.8μm、2.1×50mm)の両方を装備した。m/zの値がある場合には、一般的に、親質量を示しているイオンだけを記載し、引用された質量イオンは、正または負の質量イオンである:[M]+、[M+H]+、[M−H]-または[M+2H−BOC]+
【0152】
(iii)実施例および製造例の標題および副題の化合物は、AcdlabsからのIUPAC命名プログラムACD/Name2012を使用して命名した。
【0153】
(iv)特記しない限り、出発物質は、市販品であり、全ての溶媒および市販試薬は実験用であり、入手したまま使用した。特記しない限り、操作は、周囲温度で、すなわち、17〜28℃の範囲で、必要に応じて、窒素のような不活性ガスの雰囲気下で行われた。
【0154】
(iv)X線回折分析は、例えば、Kitaigorodsky, A.I. (1973), Molecular Crystals and Molecules, Academic Press, New York;Bunn, C.W. (1948), Chemical Crystallography, Clarendon Press, London;またはKlug, H.P. & Alexander, L.E. (1974), X-ray Diffraction Procedures, John Wiley & Sons, New Yorkにおいて見ることができる標準的な方法に従って行われた。
【0155】
試料を単結晶シリコン(SSC)ウエハーマウントに設置し、PANalytical X’Pert PRO(反射位置、X線の波長1.5418Åニッケル−濾過Cu照射、電圧45kV、フィラメント放出40mA)を用いて粉末X線回折を記録した。自動可変ダイバージェンスおよびアンチスキャッタースリット(anti scatter slits)を使用し、測定の間、試料を回転させた。PIXCEL検出器(有効長3.35°2θ)を使用し、2〜50°2θでステップ幅0.013°およびカウント時間116または233秒を用いて、試料をスキャンした。
【0156】
測定条件(例えば、使用した装置、試料調製物または機械)に依存して1つ以上の測定誤差を有する粉末X線回折パターンが得られることは当該技術分野において知られている。特に、粉末X線回折パターンの強度が測定条件および試料調製物に依存して変動し得ることは一般的に知られている。例えば、粉末X線回折の分野の当業者は、ピークの相対強度が、試験下の試料の配向に従って、および使用される道具のタイプおよび設定によって変化し得ることを完全に理解している。当業者は、また、反射の位置が、回折計内で載っている正確な高さおよび回折計のゼロ較正によって影響され得ることを完全に理解している。試料の表面の平面性もまた小さな影響を与え得る。故に、当業者は、本明細書で示された回折図形データが、絶対的なものであると解釈されるべきではなく、本明細書に記載の粉末回折図形と実質的に同一の粉末回折図形を与える結晶体は本発明の範囲内となることを十分に理解するであろう(さらなる情報については、Jenkins, R & Snyder, R.L. ‘Introduction to X-Ray Powder Diffractometry’ John Wiley & Sons, 1996を参照)。
【0157】
一般に、粉末X線ディフラクトグラムにおける回折角の測定誤差は、約±0.1°2θであり得、このような測定誤差の程度は、粉末X線回折データを検討する場合には考慮されるべきである。さらにまた、強度は、実験条件および治療調製物(例えば、望ましい配向)に依存して変動すると解されるべきである。相対強度(%)について以下の定義が用いられた:81〜100%、vs(非常に強い);41〜80%、str(強い);21〜40%、med(中等度);10〜20%、w(弱い);1〜9%、vw(非常に弱い)。
【0158】
以下の略語が使用される:
【表1】
【0159】
ボロン酸エステル中間体の製造
【0160】
ボロン酸エステル1
5−(5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサボリナン−2−イル)−3,7−ジメチル−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オン
i)5−クロロ−7−メチル−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オン
2−アミノ−4−クロロ−6−メチルフェノール(2.5g、15.9mmol)のTHF(65mL)中溶液にCDI(3.09g、19.0mmol)を添加した。該反応を還流させながら2.5時間加熱した後、室温に冷却した。該反応混合物を分液ロートに移し、EtOAc(100mL)で希釈した。該混合物を2M塩酸、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液および塩化ナトリウム飽和溶液で連続洗浄した。有機抽出物を乾燥させ(硫酸ナトリウム)、濾過し、減圧濃縮して、副題の化合物を淡褐色(light brown)の固体として得た(2.89g、98%)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): 11.84 (s, 1H), 7.10 (d, 1H), 7.06 (d, 1H), 2.37 (s, 3H)。
【0161】
ii)5−クロロ−3,7−ジメチル−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オン
5−クロロ−7−メチル−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オン(1.50g、8.12mmol)のDMF(100mL)中溶液に炭酸セシウム(2.65g、8.12mmol)を添加した。20分後、ヨウ化メチル(0.61mL、9.84mmol)を滴下し、室温で2時間撹拌した後、氷水(100mL)中に注いだ。得られた茶色の沈殿物を濾過により回収し、真空オーブンにて乾燥させて、副題の化合物を茶色の固体として得た(1.6g、100%)。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): 7.27 (s, 1H), 7.07 (s, 1H), 2.31 (s, 3H) (弱いピーク下の1個のCH3)。
【0162】
iii)5−(5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサボリナン−2−イル)−3,7−ジメチル−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オン
5−クロロ−3,7−ジメチル−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オン(200mg、1.01mmol)の1,4−ジオキサン(5mL)中溶液にビス(ネオペンチルグリコラト)ジボロン(342mg、1.52mmol)および酢酸カリウム(198mg、2.02mmol)を添加した。該反応混合物を窒素下で15分間脱気した後、XPhos(19mg、0.040mmol)およびクロロ(2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピル−1,1’−ビフェニル)[2−(2’−アミノ−1,1’−ビフェニル)]パラジウム(II)(XPhos−Pd−G2、16mg、0.020mmol)を添加した。該反応混合物を80℃で3時間加熱した。その後、該反応混合物を減圧濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し、イソヘキサン中0〜20%EtOAcで溶離して、標記化合物を淡褐色の油として得た(184mg、66%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.44 (s, 1H), 7.23 (s, 1H), 3.80 (s, 4H), 3.40 (s, 3H), 2.39 (s, 3H), 1.04 (s, 6H)。
【0163】
ボロン酸エステル2
7−(5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサボリナン−2−イル)−1−メチルキノキサリン−2(1H)−オン
7−ブロモ−1−メチルキノキサリン−2(1H)−オン(1.0g、4.2mmol)の1,4−ジオキサン(15mL)中溶液にビス(ネオペンチルグリコラト)ジボロン(1.42mg、6.30mmol)および酢酸カリウム(823mg、8.40mmol)を添加した。該反応混合物を窒素下で30分間脱気した後、Pd(dppf)Cl2・DCM(171mg、0.21mmol)を添加した。該反応混合物を80℃で3時間加熱した。その後、該反応混合物を減圧濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し、イソヘキサン中30%EtOAcで溶離して、橙色の固体を得た。ジエチルエーテルでトリチュレートして、標記化合物をオフホワイト色の固体として得た(340mg、30%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 8.37-8.30 (m, 1H), 7.79 (m, 3H), 3.82 (s, 4H), 3.75 (s, 3H), 1.06 (s, 6H)。
【0164】
ボロン酸エステル3
5−(5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサボリナン−2−イル)−3−エチル−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オン
i)5−ブロモ−3−エチル−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オン
5−ブロモ−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オン(1.07g、5.0mmol)のDMF(10mL)中溶液に炭酸セシウム(1.79g、5.5mmol)を添加した。ヨウ化エチル(0.44mL、5.5mmol)を滴下し、該反応を室温で24時間撹拌した。溶媒を減圧除去し、得られた油をEtOAcに溶解した。有機抽出物を水および塩化ナトリウム飽和溶液で連続洗浄し、乾燥させ(硫酸マグネシウム)、濾過し、減圧濃縮した。得られた油をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、比率1:2のDCM:イソヘキサンで溶離して、副題の化合物を白色の固体として得た(1.06g、88%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.25 (dd, 1H), 7.13 (d, 1H), 7.08 (d, 1H), 3.87 (dd, 2H), 1.39 (t, 3H)。
【0165】
ii)5−(5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサボリナン−2−イル)−3−エチル−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オン
5−ブロモ−3−エチル−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オン(600mg、2.48mmol)の1,4−ジオキサン(10mL)中溶液にビス(ネオペンチルグリコラト)ジボロン(616mg、2.73mmol)および酢酸カリウム(487mg、4.96mmol)を添加した。該反応混合物を窒素下で30分間脱気した後、Pd(dppf)Cl2・DCM(101mg、0.12mmol)を添加した。該反応混合物を80℃で4時間加熱した。その後、該反応混合物を減圧濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、イソヘキサン中0〜20%EtOAcで溶離して、標記化合物をオフホワイト色の固体として得た(338mg、57%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.60 (d, 1H), 7.41 (s, 1H), 7.19 (d, 1H), 3.90 (dd, 2H), 3.79 (s, 4H), 1.43-1.35 (m, 3H), 1.04 (s, 6H)。
【0166】
ボロン酸エステル4
5−(5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサボリナン−2−イル)−3−エチル−7−メチル−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オン
i)5−クロロ−3−エチル−7−メチル−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オン
5−クロロ−7−メチル−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オン(ボロン酸エステル1の工程i)を使用して、ボロン酸エステル3の工程i)の手順に従って製造を行い、副題の化合物を茶色の固体として得た(258mg、82%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 6.93 (s, 1H), 6.82 (d, 1H), 3.85 (q, 2H), 2.35 (s, 3H), 1.37 (t, 3H)。
【0167】
ii)5−(5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサボリナン−2−イル)−3−エチル−7−メチル−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オン
5−クロロ−3−エチル−7−メチル−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オンを使用して、ボロン酸エステル1の工程iii)の手順に従って製造を行い、標記化合物を橙色の固体として得た(285mg、81%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.42 (s, 1H), 7.24 (s, 1H), 3.93-3.83 (m, 2H), 3.78 (s, 4H), 2.37 (s, 3H), 1.41-1.32 (m, 3H), 1.04 (s, 6H)。
【0168】
ボロン酸エステル5
5−(5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサボリナン−2−イル)−3−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オン
i)5−ブロモ−3−(2−オキソプロピル)−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オン
5−ブロモ−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オンおよびクロロアセトンを使用して、ボロン酸エステル3の工程i)の手順に従って製造を行い、副題の化合物を黄色の固体として得た(1.31g、94%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.28-7.24 (m, 1H), 7.11 (d, 1H), 6.93 (d, 1H), 4.59 (s, 2H), 2.31 (s, 3H)。
【0169】
ii)5−ブロモ−3−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オン
0℃で撹拌しながら、5−ブロモ−3−(2−オキソプロピル)−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オン(1.31g、4.87mmol)のTHF(20mL)中溶液に塩化メチルマグネシウム(1.62mL、4.87mmol、THF中3M溶液)を添加した。1時間後、さらなる塩化メチルマグネシウム(0.81mL、2.43mmol)を添加した。該反応を室温に加温し、1時間撹拌した後、塩化アンモニウム(飽和水溶液)でクエンチした。該反応混合物をEtOAcで希釈し、層を分離した。該有機抽出物を水および塩化ナトリウム飽和溶液で連続洗浄し、乾燥させ(硫酸マグネシウム)、濾過し、減圧濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、EtOAcおよびイソヘキサンで溶離して、副題の化合物を茶色の固体として得た(428mg、31%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 8.26 (s, 1H), 7.28-7.23 (m, 1H), 7.16-7.03 (m, 1H), 7.00-6.89 (m, 1H), 3.86 (s, 2H), 1.61 (s, 6H)。
【0170】
iii)5−(5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサボリナン−2−イル)−3−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オン
5−ブロモ−3−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オンを使用して、ボロン酸エステル3の工程ii)の手順に従って製造を行い、標記化合物を橙色の固体として得た(269mg、56%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 8.53 (s, 1H), 7.62 (dd, 1H), 7.42 (d, 1H), 7.06 (d, 1H), 3.96 (s, 2H), 3.76 (s, 4H), 1.62 (s, 6H), 1.11-0.96 (m, 6H)。
【0171】
ボロン酸エステル6
5−(5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサボリナン−2−イル)−7−フルオロ−3−メチル−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オン
i)5−ブロモ−7−フルオロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オン
2−アミノ−4−ブロモ−6−フルオロフェノール(2.5g、12.25mmol)のTHF(65mL)中溶液にCDI(2.38g、14.70mmol)を添加した。該反応を還流させながら2.5時間加熱した後、室温に冷却した。該反応混合物を分液ロートに移し、EtOAc(100mL)で希釈した。該混合物を2M塩酸、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液および塩化ナトリウム飽和溶液で連続洗浄した。有機抽出物を乾燥させ(硫酸ナトリウム)、濾過し、減圧濃縮した。得られた暗褐色(dark brown)の固体をジエチルエーテルおよびイソヘキサンでトリチュレートして、副題の化合物を淡褐色の固体として得た(2.01g、71%)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 12.14 (s, 1H), 7.38 (dd, 1H), 7.16-7.15 (m, 1H)。
【0172】
ii)5−ブロモ−7−フルオロ−3−メチル−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オン
0℃で撹拌しながら、5−ブロモ−7−フルオロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オン(2.01g、8.74mmol)のDMF(30mL)中溶液を水素化ナトリウム(419mg、10.49mmol、鉱油中60%分散物)のDMF(50mL)中懸濁液に滴下した。該反応を室温まで30分間加温し、次に、0℃に再冷却した。ヨウ化メチル(653μL)を滴下し、該反応を室温まで加温した。18時間後、該反応を水で注意してクエンチし、分液ロートに移した。該混合物をジエチルエーテル(×3)で抽出した。該有機抽出物を塩化ナトリウム飽和溶液で連続洗浄し、乾燥させ(硫酸マグネシウム)、濾過し、減圧濃縮した。得られた物質をジエチルエーテルおよびイソヘキサンでトリチュレートして、副題の化合物を淡褐色の固体として得た(1.38g、64%)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 7.49 (d, 1H), 7.44 (dd, 1H), 3.35 (s, 3H)。
【0173】
iii)5−(5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサボリナン−2−イル)−7−フルオロ−3−メチル−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オン
5−ブロモ−7−フルオロ−3−メチル−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オン(1.38g、5.60mmol)の1,4−ジオキサン(20mL)中溶液にビス(ネオペンチルグリコラト)ジボロン(1.39g、6.17mmol)および酢酸カリウム(1.10g、11.20mmol)を添加した。該反応混合物を窒素で15分間脱気した後、Pd(dppf)Cl2・DCM(229mg、0.28mmol)を添加した。該反応混合物を80℃で3時間加熱した。その後、該反応混合物を減圧濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、イソヘキサン中20%EtOAcで溶離して、標記化合物を淡褐色の固体として得た(1.16g、75%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.36 (d, 1H), 7.19 (m, 1H), 3.78 (s, 4H), 3.42 (s, 3H), 1.03 (s, 6H)。
【0174】
ボロン酸エステル7
5−(5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサボリナン−2−イル)−3−(2,2−ジフルオロエチル)−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オン
i)5−ブロモ−3−(2,2−ジフルオロエチル)−7−フルオロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オン
5−ブロモ−7−フルオロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オン(ボロン酸エステル6の工程i)および2,2−ジフルオロエチルトリフルオロメタンスルホネートを使用して、ボロン酸エステル3の工程i)の手順に従って製造を行い、副題の化合物を茶色の固体として得た(2.49g、89%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.16 (dd, 1H), 7.05 (s, 1H), 6.08 (tt, 1H), 4.16 (td, 2H)。
【0175】
ii)5−(5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサボリナン−2−イル)−3−(2,2−ジフルオロエチル−2−メチルプロピル)−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オン
5−ブロモ−3−(2,2−ジフルオロエチル)−7−フルオロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オンを使用して、ボロン酸エステル3の工程ii)の手順に従って製造を行い、標記化合物をオフホワイト色の固体として得た(1.15g、41%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.40 (d, 1H), 7.30-7.24 (m, 1H), 6.10 (tt, 1H), 4.23-4.12 (m, 2H), 3.78 (s, 4H), 1.03 (s, 6H)。
【0176】
ボロン酸エステル8
5−(5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサボリナン−2−イル)−3−(2−(ジメチルアミノ)エチル)−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オン
i)5−ブロモ−3−(2−(ジメチルアミノ)エチル)−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オン
DMF(10mL)中の5−ブロモ−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オン(1.80g、8.41mmol)および炭酸カリウム(3.87g、28.0mmol)に2−ジメチルアミノエチルクロリド・塩酸塩(1.21g、8.41mmol)を添加した。該反応を125℃で3.5時間加熱した後、室温まで冷却し、氷水に注いだ。水層をEtOAc(100mL×4)で抽出した。合わせた有機抽出物を乾燥させ(硫酸マグネシウム)、濾過し、減圧濃縮した。得られた油をジエチルエーテルに溶解し、水で洗浄し、乾燥させ(硫酸マグネシウム)、濾過し、減圧濃縮して、副題の化合物を淡褐色の油として得た(1.63g、68%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.23 (dd, 1H), 7.15 (d, 1H), 7.10-7.02 (m, 1H), 3.93-3.85 (m, 2H), 2.69-2.61 (m, 2H), 2.30 (s, 6H)。
【0177】
ii)5−(5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサボリナン−2−イル)−3−(2−(ジメチルアミノ)エチル)−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オン
5−ブロモ−3−(2−(ジメチルアミノ)エチル)−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オンを使用して、ボロン酸エステル3の工程ii)の手順に従って製造を行い、標記化合物をオフホワイト色の固体として得た(1.15g、41%)。さらなる精製を行わずに次工程で使用した。
【0178】
ボロン酸エステル9
6−(5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサボリナン−2−イル)−3,3−ジフルオロ−1−メチル−1,3−ジヒドロ−2H−インドール−2−オン
i)6−ブロモ−3,3−ジフルオロ−1,3−ジヒドロ−2H−インドール−2−オン
室温で撹拌しながら、6−ブロモイサチン(2.0g、8.75mmol)のDCM(90mL)中懸濁液にビス(2−メトキシエチル)アミノサルファートリフルオリド(deoxo-fluor、44.25mL、22.12mmol、THF中50%溶液)を30分間にわたって滴下した。24時間後、該反応を0℃にて炭酸水素ナトリウム飽和溶液(40mL)で注意してクエンチした。水層を分取し、有機抽出物を乾燥させ(疎水性フリット/相分離器)、減圧濃縮した。該粗物質をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、イソヘキサン中20%EtOAcで溶離して、副題の化合物を橙色の固体として得た(1.63g、74%)。1H NMR (400 MHz, CH3OH-d4): δ 7.50-7.46 (m, 1H), 7.36 (dd, 1H), 7.18 (d, 1H), (1つの交換性ものが見られなかった)。
【0179】
ii)6−ブロモ−3,3−ジフルオロ−1−メチル−1,3−ジヒドロ−2H−インドール−2−オン
6−ブロモ−3,3−ジフルオロ−1,3−ジヒドロ−2H−インドール−2−オンおよびヨウ化メチルを使用して、ボロン酸エステル3の工程i)の手順に従って製造を行い、副題の化合物を橙色の固体として得た(1.39g、82%)。さらなる精製を行わずに次工程に使用した。
【0180】
iii)6−(5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサボリナン−2−イル)−3,3−ジフルオロ−1−メチル−1,3−ジヒドロ−2H−インドール−2−オン
6−ブロモ−3,3−ジフルオロ−1−メチル−1,3−ジヒドロ−2H−インドール−2−オンを使用してボロン酸エステル3の工程ii)の手順に従って製造を行い、標記化合物をオフホワイト色の固体として得た(120mg、8%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.62 (t, 1H), 7.55-7.47 (m, 1H), 7.31-7.28 (m, 1H), 3.80 (s, 4H), 3.22 (s, 3H), 1.04 (s, 6H)。
【0181】
ボロン酸エステル10
3−(シクロプロピルメチル)−5−(5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサボリナン−2−イル)−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オン
i)5−ブロモ−3−(シクロプロピルメチル)−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オン
5−ブロモ−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オン(1.07g、5.0mmol)のDMF(10mL)中溶液に炭酸セシウム(1.79g、5.5mmol)を添加した。(ブロモメチル)シクロプロパン(743mg、5.5mmol)を滴下し、該反応を室温で24時間撹拌した。溶媒を減圧除去し、得られた油をEtOAcに溶解した。有機抽出物を水および塩化ナトリウム飽和溶液で洗浄し、乾燥させ(硫酸マグネシウム)、濾過し、減圧濃縮した。得られた油をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、比率1:2のDCM:イソヘキサンで溶離して、副題の化合物を白色の固体として得た(918mg、68%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.24 (dd, 1H), 7.17 (d, 1H), 7.13-7.04 (m, 1H), 3.68 (d, 2H), 1.29-1.17 (m, 1H), 0.69-0.54 (m, 2H), 0.51-0.41 (m, 2H)。
【0182】
ii)3−(シクロプロピルメチル)−5−(5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサボリナン−2−イル)−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オン
5−ブロモ−3−(シクロプロピルメチル)−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オンを使用して、ボロン酸エステル3の工程ii)の手順に従って製造を行い、標記化合物を茶色の固体として得た(520mg、62%)。さらなる精製を行わずに次工程に使用した。
【0183】
ボロン酸エステル11
5−(5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサボリナン−2−イル)−3−(2−メトキシエチル)−1,3−ベンゾチアゾール−2(3H)−オン
i)5−クロロ−3−(2−メトキシエチル)−1,3−ベンゾチアゾール−2(3H)−オン
5−クロロ−1,3−ベンゾチアゾール−2(3H)−オンおよび1−ブロモ−2−メトキシエタンを使用して、ボロン酸エステル1の工程ii)の手順に従って製造を行い、副題の化合物を黄色の固体として得た(3.5g、89%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.32 (d, 1H), 7.22 (d, 1H), 7.13 (dd, 1H), 4.12-4.06 (m, 2H), 3.71-3.65 (m, 2H), 3.34 (s, 3H)。
【0184】
ii)5−(5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサボリナン−2−イル)−3−(2−メトキシエチル)−1,3−ベンゾチアゾール−2(3H)−オン
5−クロロ−3−(2−メトキシエチル)−1,3−ベンゾチアゾール−2(3H)−オンを使用して、ボロン酸エステル1の工程iii)の手順に従って製造を行い、標記化合物を薄茶色(pale brown)の固体として得た(1.02g、64%)。さらなる精製を行わずに次工程に使用した。
【0185】
ボロン酸エステル12
5−(5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサボリナン−2−イル)−3−イソプロピル−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オン
i)5−ブロモ−3−イソプロピル−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オン
5−ブロモ−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オンおよび2−ヨードプロパンを使用して、ボロン酸エステル3の工程i)の手順に従って製造を行い、副題の化合物を白色の固体として得た(510mg、66%)。さらなる精製を行わずに次工程に使用した。
【0186】
ii)5−(5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサボリナン−2−イル)−3−イソプロピル−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オン
5−ブロモ−3−イソプロピル−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オンを使用して、ボロン酸エステル3の工程ii)の手順に従って製造を行い、副題の化合物を得た。茶色の固体として(132mg、19%)。さらなる精製を行わずに次工程に使用した。
【0187】
ボロン酸エステル13
6−(5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサボリナン−2−イル)−4−メチル−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3(4H)−オン
市販の6−ブロモ−4−メチル−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3(4H)−オンを使用して、ボロン酸エステル3の工程ii)の手順に従って製造を行い、標記化合物を茶色の固体として得た(520mg、62%)。さらなる精製を行わずに直接使用した。
【0188】
ボロン酸エステル14
7−(5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサボリナン−2−イル)−1−メチルキノリン−2(1H)−オン
i)7−ブロモキノリン−2(1H)−オン
7−ブロモ−2−クロロキノリン(5.0g、20.6mmol)の5M塩酸水溶液(133mL)および1,4−ジオキサン(14mL)中撹拌混合溶液を還流させながら2時間加熱した。該反応を冷却し、得られた沈殿物を濾過により回収し、水で洗浄して、副題の化合物を無色の固体として得た(4.3g、93%)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 11.80 (s, 1H), 7.91 (d, 1H), 7.63 (d, 1H), 7.48 (d, 1H), 7.34 (dd, 1H), 6.53 (d, 1H)。
【0189】
ii)7−ブロモ−1−メチルキノリン−2(1H)−オン
窒素雰囲気下にて室温で撹拌しながら7−ブロモキノリン−2(1H)−オン(1.5g、6.64mmol)の無水THF中溶液に水素化ナトリウム(320mg、7.98mmol、鉱油中60%分散物)を添加した。1時間後、反応混合物を0℃に冷却し、ヨウ化メチル(1.88g、0.81ml、13.28mmol)を添加、該反応をゆっくりと室温に加温した。18時間後、該反応を水(1mL)で注意してクエンチし、減圧濃縮した。得られた残留物をEtOAcと水とに分配した。各層を分取し、水層をEtOAcで抽出した。合わせた有機抽出物を乾燥させ(硫酸マグネシウム)、濾過し、減圧濃縮した。残留物にイソヘキサンを添加し、DCMから再結晶して、副題の化合物を無色の固体として得た(650mg、40%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.62 (d, 1H), 7.53 (d, 1H), 7.40 (s, 1H), 7.35 (dd, 1H), 6.75-6.66 (m, 1H), 3.69 (s, 3H)。
【0190】
ii)7−(5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサボリナン−2−イル)−1−メチルキノリン−2(1H)−オン
7−ブロモ−1−メチルキノリン−2(1H)−オンから出発して、ボロン酸エステル2の手順に従って製造を行い、標記化合物を薄いピンク色(pale pink)の固体として得た(650mg、88%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.83 (s, 1H), 7.69-7.60 (m, 2H), 7.53 (d, 1H), 6.73 (d, 1H), 3.82 (s, 4H), 3.78 (s, 3H), 1.05 (s, 6H)。
【0191】
ボロン酸エステル15
5−(5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサボリナン−2−イル)−3−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルメチル)−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オン
i)5−ブロモ−3−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルメチル)−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オン
DMF(10mL)中の5−ブロモ−2−ベンゾオキサゾリノン(795mg、3.7mmol)および炭酸セシウム(500mg、7.4mmol)に4−(クロロメチル)テトラヒドロ−2H−ピラン(500mg、3.7mmol)を添加した。該反応を110℃で48時間加熱した後、室温に冷却し、氷水に注いだ。得られた沈殿物を濾過により回収し、真空乾燥させて、副題の化合物を淡褐色の油として得た(840mg、73%)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 7.70 (s, 1H), 7.34-7.27 (m, 2H), 3.88-3.78 (m, 2H), 3.71 (d, 2H), 3.25 (td, 2H), 2.11-1.99 (m, 1H), 1.53 (d, 2H), 1.35-1.22 (m, 2H)。
【0192】
ii)5−(5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサボリナン−2−イル)−3−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルメチル)−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オン
5−ブロモ−3−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルメチル)−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オンから出発して、ボロン酸エステル2の手順に従って製造を行い、標記化合物を橙色の固体として得た(440mg、47%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.61 (dd, 1H), 7.37 (s, 1H), 3.98 (dd, 2H), 3.79 (s, 3H), 3.75-3.69 (m, 2H), 3.40-3.32 (m, 2H), 2.25-2.11 (m, 1H), 1.66-1.53 (m, 3H), 1.53-1.39 (m, 2H), 1.04 (s, 6H) (CHCl3ピーク下の1個のH)。
【0193】
ボロン酸エステル16
7−クロロ−5−(5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサボリナン−2−イル)−3−メチル−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オン
i)4−ブロモ−2−クロロ−6−ニトロフェノール
室温にて4−ブロモ−2−クロロフェノール(20.0g、96.4mmol)の酢酸(100mL)中溶液に70%硝酸水溶液(11.5mL、190mol)をゆっくりと添加した。得られた沈殿物を濾過により回収し、副題の化合物を黄色の固体として得た(24.0g)。さらなる精製を行わずに次工程に使用した。
【0194】
ii)2−アミノ−4−ブロモ−6−クロロフェノール
4−ブロモ−2−クロロ−6−ニトロフェノール(10.0g)のエタノール(400mL)および水(100mL)中溶液に塩化カルシウム(443mg、4mmol)および鉄(11.16g、0.2mol)を添加した。該懸濁液を80℃で2時間加熱した。該反応を冷却し、濾過し、濾液を減圧濃縮した。得られた残留物を塩化ナトリウム飽和溶液(500mL)で希釈し、EtOAc(500mL×2)で抽出した。合わせた有機抽出物を乾燥させ(硫酸マグネシウム)、濾過し、減圧濃縮して、副題の化合物を黒色固体として得た(4g、45%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 6.85 (d, 1H), 6.75 (d, 1H), 5.38 (s, 1H), 3.92 (bs, 2H)。
【0195】
iii)5−ブロモ−7−クロロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オン
2−アミノ−4−ブロモ−6−クロロフェノール(2.0g、9.0mmol)の無水THF(50mL)中撹拌溶液にCDI(4.0g、24.6mmol)を添加した。該混合物を窒素雰囲気下で還流させながら2.5時間加熱した。該反応を冷却させ、溶媒を減圧除去した。得られた残留物を2N塩酸水溶液で洗浄し、次に、メタノールでトリチュレートして、副題の化合物を茶色の固体として得た(0.8g、36%)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 12.18 (s, 1H), 7.46 (d, 1H), 7.27 (d, 1H)。
【0196】
iv)5−ブロモ−7−クロロ−3−メチル−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オン
5−ブロモ−7−クロロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オンから出発し、炭酸セシウムに代えて炭酸カリウムを使用して、ボロン酸エステル1の工程ii)の手順に従って製造を行い、副題の化合物を茶色の固体として得た(700mg、83%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.26 (s, 1H), 7.02 (d, 1H), 3.40 (s, 3H)。
【0197】
v)7−クロロ−5−(5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサボリナン−2−イル)−3−メチル−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オン
5−ブロモ−7−クロロ−3−メチル−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オンから出発して、ボロン酸エステル2の手順に従って製造を行い、標記化合物をオフホワイト色の固体として得た(170mg、22%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.59 (s, 1H), 7.28 (s, 1H), 3.78 (s, 4H), 3.41 (s, 3H), 1.03 (s, 6H)。
【0198】
ボロン酸エステル17
3−(2,2−ジフルオロエチル)−5−(5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサボリナン−2−イル)−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オン
i)5−クロロ−3−(2,2−ジフルオロエチル)−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オン
5−クロロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オン(1g、5.89mmol)のDMF(20mL)中溶液に炭酸セシウム(3.83g、11.8mmol)を添加し、次に、2,2−ジフルオロエチルトリフルオロメタンスルホネート(1.38g、6.5mmol)を滴下し、得られた混合物を室温で30分間撹拌した。その後、水(60mL)を添加し、得られた沈殿物を濾過により回収し、水で洗浄し、真空乾燥させて、副題の化合物を白色の固体として得た(1.25g、91%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.24-7.18 (m, 1H), 7.08 (m, 1H), 7.01 (s, 1H), 6.17-5.85 (m, 1H), 4.14-4.04 (m, 2H)。
【0199】
ii)3−(2,2−ジフルオロエチル)−5−(5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサボリナン−2−イル)−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オン
5−クロロ−3−(2,2−ジフルオロエチル)−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オンを使用して、ボロン酸エステル1の工程iii)の手順に従って製造を行い、標記化合物をオフホワイト色の固体として得た(670mg、40%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.67-7.61 (m, 1H), 7.48 (s, 1H), 7.21 (d, 1H), 6.26-5.93 (m, 1H), 4.22-4.10 (m, 2H), 3.78 (s, 4H), 1.03 (s, 6H)。
【0200】
ボロン酸エステル18
3−(2,2,2−トリフルオロエチル)−5−(5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサボリナン−2−イル)−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オン
i)5−クロロ−3−(2,2,2−トリフルオロエチル)−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オン
5−クロロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オン(1g、5.89mmol)のDMF(20mL)中溶液に炭酸セシウム(3.83g、11.8mmol)を添加し、次に、2,2,2−トリフルオロエチルトリフルオロメタンスルホネート(1.5g、6.5mmol)を添加した。得られた混合物を室温で30分間撹拌した。水(60mL)を添加し、得られた沈殿物を濾過により回収し、水で洗浄し、真空乾燥させて、副題の化合物を白色の固体として得た(1.31g、89%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.19-7.15 (m, 2H), 7.08 (s, 1H), 4.40 (q, 2H)。
【0201】
ii)3−(2,2,2−トリフルオロエチル)−5−(5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサボリナン−2−イル)−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オン
5−クロロ−3−(2,2,2−トリフルオロエチル)−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オンを使用して、ボロン酸エステル1の工程iii)の手順に従って製造を行い、標記化合物をオフホワイト色の固体として得た(670mg、40%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.67 (dd, 1H), 7.47 (s, 1H), 7.22 (d, 1H), 4.41 (dd, 2H), 3.78 (s, 4H), 1.03 (s, 6H)。
【0202】
ボロン酸エステル19
5−(5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサボリナン−2−イル)−3−メチル−1,3−ベンゾチアゾール−2(3H)−オン
i)5−クロロ−3−メチル−1,3−ベンゾチアゾール−2(3H)−オン
5−クロロ−1,3−ベンゾチアゾール−2(3H)−オン(5.0g、26.9mmol)のDMF(70mL)中溶液に炭酸セシウム(17.5g、53.8mmol)を添加した。20分後、ヨウ化メチル(2.51mL、40.4mmol)を滴下した。添加終了後、反応混合物を室温で2時間撹拌した後、氷水(300mL)に注いだ。得られた茶色の沈殿物を濾過により回収し、真空オーブンにて乾燥させて、副題の化合物を無色の固体として得た(4.42g、82%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.35 (d, 1H), 7.17 (dd, 1H), 7.06 (d, 1H), 3.45 (s, 3H)。
【0203】
ii)5−(5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサボリナン−2−イル)−3−メチル−1,3−ベンゾチアゾール−2(3H)−オン
5−クロロ−3−メチル−1,3−ベンゾチアゾール−2(3H)−オンを使用して、ボロン酸エステル1の工程iii)の手順に従って製造を行い、標記化合物をオフホワイト色の固体として得た(620mg、15%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.61 (dd, 1H), 7.50-7.36 (m, 2H), 3.80 (s, 4H), 3.48 (s, 3H), 1.04 (s, 6H)。
【0204】
ボロン酸エステル20
6−(5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサボリナン−2−イル)−4−メチル−2H−1,4−ベンゾチアジン−3(4H)−オン
i)2−((4−ブロモ−2−ニトロフェニル)チオ)酢酸
室温で撹拌しながら4−ブロモ−1−フルオロ−2−ニトロベンゼン(3.02g、15mmol)のDMF(20mL)中溶液に炭酸カリウム(4.55g、33mmol)およびチオ酢酸(1.15mL、16.5mmol)を連続添加した。18時間後、該反応をEtOAcおよび水で希釈した。各層を分取した。水層を酸性化し、EtOAcで抽出した。有機抽出物を乾燥させ(硫酸マグネシウム)、濾過し、減圧濃縮して、副題の化合物を黄色の固体として得た(2.60g、59%)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 13.04 (s, 1H), 8.37 (d, 1H), 7.96-7.91 (m, 1H), 7.54 (d, 1H), 4.05 (s, 2H)。
【0205】
ii)6−ブロモ−2H−1,4−ベンゾチアジン−3(4H)−オン
室温にて水酸化アンモニウム(26mL)および2−((4−ブロモ−2−ニトロフェニル)チオ)酢酸(2.6g、8.93mmol)の溶液に水(25mL)中の硫酸鉄(II)・七水和物(18.12g、65.17mmol)をゆっくりと添加した。3時間後、反応混合物をセライトで濾過し、水酸化アンモニウムおよび水で洗浄した。濾液を濃塩酸で酸性化し、得られた沈殿物を濾過により回収した。該固体をEtOAcに溶解し、乾燥させ(硫酸マグネシウム)、濾過し、減圧濃縮して、副題の化合物を黄色の固体として得た(1.9g、93%)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 10.64 (br, 1H), 7.36-7.26 (m, 1H), 7.15 (dd, 2H), 3.49 (s, 2H)。
【0206】
iii)6−ブロモ−4−メチル−2H−1,4−ベンゾチアジン−3(4H)−オン
6−ブロモ−2H−1,4−ベンゾチアジン−3(4H)−オンで出発して、ボロン酸エステル1の工程ii)の手順に従って製造を行い、副題の化合物を黄色の固体として得た(1.16g、86%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.25 (d, 1H), 7.21 (d, 1H), 7.15 (dd, 1H), 3.42 (s, 3H), 3.40 (s, 2H)。
【0207】
iv)6−(5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサボリナン−2−イル)−4−メチル−2H−1,4−ベンゾチアジン−3(4H)−オン
6−ブロモ−4−メチル−2H−1,4−ベンゾチアジン−3(4H)−オンを使用して、ボロン酸エステル3の工程ii)の手順に従って製造を行い、標記化合物を白色の固体として得た(655mg、45%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.58-7.44 (m, 1H), 7.45 (dd, 1H), 7.38-7.30 (m, 1H), 3.77 (s, 4H), 3.48 (s, 3H), 3.47-3.35 (m, 2H), 1.03 (s, 6H)。
【0208】
ボロン酸エステル21
5−(5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサボリナン−2−イル)−3−(2−メトキシエチル)−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オン
i)5−ブロモ−3−(2−メトキシエチル)−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オン
5−ブロモ−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オンを使用して、ボロン酸エステル3の工程i)の手順に従って製造を行い、副題の化合物を黄色の固体として得た(1.15g、85%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.27-7.20 (m, 2H), 7.06 (d, 1H), 3.97 (t, 2H), 3.72-3.66 (m, 2H), 3.35 (s, 3H)。
【0209】
ii)5−(5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサボリナン−2−イル)−3−(2−メトキシエチル)−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オン
5−ブロモ−3−(2−メトキシエチル)−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オンを使用して、ボロン酸エステル3の工程ii)の手順に従って製造を行い、標記化合物を黄色の油として得た(1.15g、85%)。さらなる精製を行わずに次工程に使用した。
【0210】
ボロン酸エステル22
5−(5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサボリナン−2−イル)−3−メチル−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オン
【化37】
【0211】
i)5−クロロ−3−メチル−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オン
【化38】
5−クロロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オン(10g、58.96mmol)のDMF(100mL)中溶液に炭酸セシウム(19.21g、58.96mmol)を添加した。30分後、ヨウ化メチル(4.40mL、70.75mmol)を滴下した。添加終了後、反応混合物を室温で18時間撹拌した後、氷水に注いだ(500mL)。得られた白色の沈殿物を濾過により回収し、真空オーブンにてP25で乾燥させて、副題の化合物を白色の固体として得た(9.92g、92%)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 7.46 (d, 1 H), 7.36 (d, 1 H), 7.17 (dd, 1 H), 3.34 (s, 3 H)。
【0212】
ii)5−(5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサボリナン−2−イル)−3−メチル−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オン
5−クロロ−3−メチル−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オン(3.0g、16.3mmol)の1,4−ジオキサン(80mL)中溶液にビス(ネオペンチルグリコラト)ジボロン(5.54g、24.5mmol)および酢酸カリウム(3.21g、32.7mmol)を添加した。反応混合物を窒素下にて40分間脱気した後、XPhos(311mg、0.65mmol)およびクロロ(2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピル−1,1’−ビフェニル)[2−(2’−アミノ−1,1’−ビフェニル)]パラジウム(II)(XPhos−Pd−G2、257mg、0.33mmol)を添加した。反応混合物を80℃で2時間加熱した。その後、反応混合物を減圧濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、イソヘキサン中0〜10%EtOAcで溶離して、標記化合物を黄色の固体として得た(4.8mg、>100%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.61 (dd, 1H), 7.40 (s, 1H), 7.21-7.13 (m, 1H), 3.79 (s, 4H), 3.41 (s, 3H), 1.04 (s, 6H)。
【0213】
中間体構成要素の製造
【0214】
中間体1
4’−[(2S)−2−アミノ−2−シアノエチル]ビフェニル−4−カルボニトリル
i)[(1S)−1−シアノ−2−(4'−シアノビフェニル−4−イル)エチル]カルバミン酸tert−ブチル
N−[(1S)−1−シアノ−2−(4−ヨードフェニル)エチル]カルバミン酸tert−ブチル(国際公開第2009/74829号の第47頁の手順に従って製造した)(5.99g、16mmol)および(4−シアノフェニル)ボロン酸(2.64g、18mmol)の1,4−ジオキサン(60mL)および水(8mL)中懸濁液に炭酸カリウム(4.5g、36mmol)を添加した。該懸濁液を窒素流下にて15分間撹拌した後、Pd(dppf)Cl2・DCM(1.3g)を添加した。該反応を75℃で45分間加熱した後、減圧濃縮した。得られた油をEtOAc(200mL)で希釈し、水(100mL)および塩化ナトリウム飽和溶液(50mL)で洗浄した。有機抽出物を乾燥させ(硫酸マグネシウム)、濾過し、減圧下にて蒸発さて、茶色の油を得た。該油をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、イソヘキサン中20〜30%EtOAcで溶離して、副題の化合物を無色の固体として得た(5.9g、90%)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 10.63 (s, 1H), 7.96-7.81 (m, 4H), 7.73 (d, 2H), 7.45 (d, 2H), 4.71 (q, 1H), 3.18-3.05 (m, 2H), 1.36 (s, 9H)。
【0215】
ii)4'−[(2S)−2−アミノ−2−シアノエチル]ビフェニル−4−カルボニトリル
[(1S)−1−シアノ−2−(4'−シアノビフェニル−4−イル)エチル]カルバミン酸tert−ブチル(5.4g、15.5mmol)をギ酸(50mL)に溶解し、予め加熱しておいたホットプレートスターラー上で50℃まで15分間加熱した。該溶液を減圧下にて蒸発させ、EtOAc(150mL)で希釈した。重炭酸ナトリウム飽和水溶液を添加して、該混合物を塩基性化した(pH8)。EtOAcを分取し、飽和塩化ナトリウムで洗浄し、乾燥させ(硫酸マグネシウム)、濾過し、減圧下にて蒸発させて、黄色の油を得た。該油をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、EtOAcで溶離して、標記化合物を無色の固体として得た(2.88g、74%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.62 (m, 4H), 7.52 (m, 2H), 7.35 (d, 2H), 3.92 (t, 1H), 3.10-2.96 (m, 2H) (2個の交換性プロトンが見られなかった)。
【0216】
中間体2
(2S)−2−アミノ−3−[4−(3−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサゾール−5−イル)フェニル]プロパンニトリル
i){(1S)−1−シアノ−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサゾール−5−イル)フェニル]エチル}カルバミン酸tert−ブチル
【化39】
5−(5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサボリナン−2−イル)−3−メチル−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オン(ボロン酸エステル22、3.34g、12.81mmol)および(S)−(1−シアノ−2−(4−ヨードフェニル)エチル)カルバミン酸tert−ブチル(国際公開第2009/074829号の第47頁の手順に従って製造した)(12.81mmol)を1,4−ジオキサン(340mL)および水(12mL)に溶解した。該反応混合物を窒素下で30分間脱気した後、炭酸カリウム(2.66g、19.21mmol)およびPd(dppf)Cl2・DCM(1.05g、1.28mmol)を添加した。該反応混合物を80℃で1.5時間加熱した。その後、該反応を減圧濃縮した。残留物をEtOAc(200mL)および水(50mL)で希釈した。該混合物をセライトで濾過し、各層を分取した。有機抽出物を塩化ナトリウム飽和溶液で洗浄し、乾燥させ(硫酸マグネシウム)、濾過し、蒸発させた。得られた油をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、イソヘキサン中0〜40%EtOAc勾配液で溶離して、副題の化合物を白色の固体として得た(3.87mg、77%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.51-7.46 (m, 2H), 7.31 (d, 2H), 7.21-7.17 (m, 3H), 7.12-7.06 (m, 1H), 4.78 (s, 1H), 3.39 (s, 3H), 3.14-2.98 (m, 2H), 1.39 (s, 9H)。
【0217】
ii)(2S)−2−アミノ−3−[4−(3−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサゾール−5−イル)フェニル]プロパンニトリル
【化40】
{(1S)−1−シアノ−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサゾール−5−イル)フェニル]エチル}カルバミン酸tert−ブチル(3.87g、9.84mmol)にギ酸(32mL)を添加した。該混合物を予め加熱しておいたホットプレートスターラー上で50℃にて15分間加熱した。その後、溶媒を減圧除去した。残留物をDCMに溶解し、炭酸水素塩飽和溶液で洗浄し、乾燥させ(相分離器カートリッジ)、減圧濃縮した。該粗物質をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、イソヘキサン中80〜100%EtOAcで溶離して、標記化合物を白色の固体として得た(1.76g、59%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.60-7.50 (m, 2H), 7.39 (d, 2H), 7.34-7.30 (m, 1H), 7.25 (t, 1H), 7.14 (d, 1H), 4.02-3.96 (m, 1H), 3.45 (s, 3H), 3.18-3.01 (m, 2H), 1.67 (s, 2H)。
【0218】
中間体3
(2S)−4−(tert−ブトキシカルボニル)−1,4−オキサゼパン−2−カルボン酸
【化41】
【0219】
i)3−{ベンジル[(2S)−3−(ベンジルオキシ)−2−ヒドロキシプロピル]アミノ}プロパン−1−オール
【化42】
N−ベンジルプロパノールアミン(3.3g)およびベンジル(S)−(+)−グリシジルエーテル(3.6g)のエタノール(40mL)中溶液を40℃で18時間加熱した。溶媒を減圧下にて蒸発させて、副題の化合物を無色の油として得(6.8g、100%)、これをさらなる精製を行わずに使用した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 7.29 (m, 10H), 4.54 (m, 1H), 4.45 (s, 2H), 4.36 (t, 2H), 3.76 (m, 1H), 3.44 (m, 5H), 2.47 (m, 4H), 1.57 (m, 2H)。
【0220】
ii)(2S)−4−ベンジル−2−[(ベンジルオキシ)メチル]−1,4−オキサゼパン
【化43】
0℃にて3−{ベンジル[(2S)−3−(ベンジルオキシ)−2−ヒドロキシプロピル]アミノ}プロパン−1−オール(50.0g、0.153mol)のTHF(2.5L)中撹拌溶液に水素化ナトリウム(15.2g、0.38mol、油中60%分散物)を滴下した。該反応を0℃で30分間撹拌した後、p−トルエンスルホニルイミダゾール(37.8g、0.17mol)を滴下した。該反応を室温まで加温し、4時間撹拌した後、0℃まで冷却した。炭酸水素ナトリウム飽和溶液(70mL)を注意して添加して、該反応をクエンチした。溶媒を減圧除去し、粗残留物を水(400mL)とEtOAc(400mL)とに分配した。各層を分取し、水性部分をEtOAc(400mL×2)で抽出した。合わせた有機抽出物を乾燥させ(硫酸マグネシウム)、濾過し、減圧下にて蒸発させて、油を得た。該油をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、イソヘキサン中0〜50%EtOAc勾配液で溶離して、副題の化合物を無色の油として得た(12.2g、26%)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 7.36-7.20 (m, 10H), 4.45-4.35 (m, 2H), 3.81-3.65 (m, 2H), 3.60-3.39 (m, 2H), 3.42-3.31 (m, 2H), 3.25 (dd, 1H), 2.86 (d, 1H), 2.78-2.70 (m, 1H), 2.54-2.46 (m, 1H) 2.37 (dd, 1H), 1.89-1.77 (m, 1H), 1.78-1.66 (m, 1H)。
【0221】
iii)(2S)−2−(ヒドロキシメチル)−1,4−オキサゼパン−4−カルボン酸tert−ブチル
【化44】
窒素下にて(2S)−4−ベンジル−2−[(ベンジルオキシ)メチル]−1,4−オキサゼパン(12.2g、39.2mmol)のエタノール(250mL)中溶液にジ炭酸ジ−tert−ブチル(10.22g、47.1mmol)および20%パラジウム−炭素(16.5g)を添加した。反応混合物を水素雰囲気下にて50psiで18時間振盪した。その後、反応混合物をセライトで濾過し、メタノールで洗浄した。溶媒を減圧下にて蒸発させて、副題の化合物を無色の油として得た(11.16g)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 4.72-4.66 (m, 1H), 4.00-3.89 (m, 1H), 3.80-3.61 (m, 1H), 3.60-3.47 (m, 2H), 3.49-3.21 (m, 4H), 3.07-2.88 (m, 1H), 1.79-1.69 (m, 2H), 1.40 (s, 9H)。
【0222】
iv)(2S)−4−(tert−ブトキシカルボニル)−1,4−オキサゼパン−2−カルボン酸
0℃にて(2S)−2−(ヒドロキシメチル)−1,4−オキサゼパン−4−カルボン酸tert−ブチル(13.2g、46.6mmol)のアセトン(730mL)および飽和炭酸水素ナトリウム(218mL)中溶液に臭化ナトリウム(1.46g)およびTEMPO(218mg)を添加した。1,3,5−トリクロロ−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン(23.9g、102.5mmol)を滴下し、反応混合物を室温まで18時間にわたって加温した。イソプロパノール(30mL)を添加して、該反応をクエンチし、30分間撹拌した。反応混合物をセライトで濾過し、EtOAcで洗浄した。濾液を減圧下にて蒸発させ、1M炭酸ナトリウム溶液(100mL)に溶解し、EtOAc(200mL×2)で抽出した。水性溶液を2M HCl(150mL)で酸性化し、EtOAc(400mL×3)で抽出した。合わせた有機抽出物を乾燥させ(硫酸マグネシウム)、濾過し、減圧下にて蒸発させて、標記化合物を無色の固体として得た(7.86g、68%)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 12.71 (s, 1H), 4.22-4.15 (m, 1H), 3.98-3.80 (m, 2H), 3.70-3.50 (m, 2H), 3.45-3.11 (m, 1H), 3.21-3.06 (m, 1H), 1.71 (s, 2H), 1.40 (d, 9H)。
【0223】
中間体3(第1代替合成法)
(2S)−4−(tert−ブトキシカルボニル)−1,4−オキサゼパン−2−カルボン酸
i)(2S)−3−(ジベンジルアミノ)−2−ヒドロキシプロパン酸メチル
【化45】
窒素雰囲気下にて(S)−オキシラン−2−カルボン酸メチル(117g、1134mmol)およびジベンジルアミン(226g、1123mmol)を70℃で一夜加熱した。
さらに(S)−オキシラン−2−カルボン酸メチル(1.15g、11.2mmol)を添加した。さらに、80℃で5時間撹拌した。次に、該混合物を減圧(0〜10mbar)下にて50℃で一夜放置した。これにより、所望の生成物を薄茶色の粘稠性油として得た(342.7g、1145mmol)。1H NMRによるアッセイ=89%w/w、有効収率91%。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 2.77 - 2.92 (m, 2H), 3.13 - 3.4 (s, broad, 1H), 3.49 (d, J=13.5, 2H), 3.63 (s, 3H), 3.74 (d, J=13.5, 2H), 4.21 (dd, J=4.3, 6.7, 1H), 7.18 - 7.34 (m, 10H)。
【0224】
ii)3−{[(2S)−3−(ジベンジルアミノ)−1−メトキシ−1−オキソプロパン−2−イル]オキシ}プロパ−2−エン酸メチル
【化46】
トルエン(200mL)に(2S)−3−(ジベンジルアミノ)−2−ヒドロキシプロパン酸メチル(342.7g、1018.8mmol)を溶解した。4−メチルモルホリン(22.4mL、203.8mmol)を添加し、次に、プロピオール酸メチル(108.8g、1273.6mmol)を60分の間にゆっくりと添加した。この添加の間じゅう、水/氷浴中にて冷却することによって反応温度を20〜25℃の間に維持した。3時間撹拌した後、該混合物を濃縮して、所望の生成物を茶色の粘稠性油として得た(447.6g、1167mmol、Z/E異性体混合物)。1H NMRのアッセイ=87%w/w(Z異性体およびE異性体の両方を含む)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 2.9 - 3.02 (m, 2H), 3.53 (d, 2H), 3.64 (s, 3H), 3.66 (s, 2H), 3.70 (d, 2H), 4.41 (td, 1H), 4.86 (d, 0.08H), 5.20 (d, 0.92H), 6.33 (d, 0.08H), 7.16 - 7.34 (m, 11H), 7.43 (d, 0.92H)。
13C NMR (101 MHz, CDCl3): δ 51.13 (s), 52.30 (s), 54.64 (s), 58.92 (d, J = 5.6 Hz), 79.19 (s), 82.16 (s), 97.20 (s), 98.20 (s), 127.14 (s), 128.18 (d, J = 8.0 Hz), 128.88 (s), 138.54 (s), 138.88 (s), 156.76 (s), 161.01 (s), 167.59 (s), 169.04 (s)。
【0225】
iii)(2S)−3−アミノ−2−(3−メトキシ−3−オキソプロポキシ)プロパン酸メチル
【化47】
Pd(OH)2(20%木炭、50%水)(11.17g、79.50mmol)を窒素流下にて一夜乾燥させた。次に、これを1,4−ジオキサン(200mL)に懸濁し、次に、1,4−ジオキサン(3800mL)に溶解した3−{[(2S)−3−(ジベンジルアミノ)−1−メトキシ−1−オキソプロパン−2−イル]オキシ}プロパ−2−エン酸メチル(438g、994mmol)の溶液に添加した。該混合物を10barの水素圧下にて30℃で一夜水素添加した。該温度を40℃まで上昇させ、該混合物をさらに2日間撹拌した。該混合物を濾過し、ジオキサン(200mL)ですすいだ。次に、該ジオキサン溶液(4527g)をそのまま次工程に使用した。アッセイ=4.6%w/w、有効収率103%。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 1.4 (s, 2H), 2.55 - 2.73 (m, 2H), 2.90 - 2.97 (dd, J=6.7, 13.5, 1H), 3.00 - 3.08 (dd, J=3.8, 13.5, 1H), 3.69 (s, 3H), 3.72 - 3.74 (m, 1H), 3.75 (s, 3H), 3.87 - 3.98 (ddd, 3.7, 6.3, 13.5, 2H)。
【0226】
iv)(2S)−5−オキソ−1,4−オキサゼパン−2−カルボン酸メチル
【化48】
(2S)−3−アミノ−2−(3−メトキシ−3−オキソプロポキシ)プロパン酸メチル(204g、994mmol)のジオキサン(4.2L)中粗溶液にNovozyme 435(固定化、75g)を添加した。該混合物を45℃で2日間撹拌した。さらにNovozyme 435(固定化、25g)を添加し、該混合物をさらに2時間撹拌した。温度を55℃まで上昇させ、該混合物を24時間撹拌した。該混合物をセライトフィルターで濾過し、MeOHですすぎ、次に、濃縮して石鹸様固体(254g)を得た。これをさらに分取用HPLCで精製して、所望の生成物85.2g(492mmol)を無色の固体として得た(>90%w/w、1H NMRによる)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 6.98, (1H, s), 4.19 (2H, m), 3.77 (3H,s), 3.69 (1H,m), 3.59 (2H,m), 2.83 (1H, ddd) and 2.63 (1H, dd)。
【0227】
v)(2S)−5−オキソ−1,4−オキサゼパン−2,4−ジカルボン酸4−tert−ブチル,2−メチル
【化49】
(2S)−5−オキソ−1,4−オキサゼパン−2−カルボン酸メチル(152.5g、863.0mmol)、N,N−ジメチルピリジン−4−アミン(2.11g、17.3mmol)およびTHF(1200mL)の混合物にジ炭酸ジ−tert−ブチル(192g、863.0mmol)を添加した。次に、得られた黄色の懸濁液を30℃で20時間撹拌した。さらにジ炭酸ジ−tert−ブチル(11.30g、51.8mmol)を添加し、該混合物を30℃でさらに20時間撹拌した。該混合物を37℃の水浴上でほとんど濃縮乾固した。MTBE(400mL)を添加し、次に、ほとんど濃縮乾固した。この手順をさらに1回繰り返して、反応において形成されたt−BuOHを除去した。最後に、THF(300mL)を添加し、次に、濃縮して黄色の油を得、これをそのまま次工程に使用した。終了は定量的であると考えられる。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 1.48 (s, 9H); 2.77 (ddd, 1H, J = 16.1, 7.0, 1.9 Hz); 2.94 (ddd, 1H, J = 16.1, 9.3, 2.5 Hz); 3.75 (s, 3H); 3.80 (ddd, 1H, J = 12.9, 9.1, 2.0 Hz); 3.91 (dd, 1H, J = 16.0, 7.2 Hz); 4.12-4.30 (m, 2H); 4.38 (dd, 1H, J = 16.0, 1.4 Hz)。13C NMR (126 MHz, CDCl3): δ 27.9, 42.3, 48.8, 52.6, 63.4, 77.5, 83.8, 152.1, 169.0, 172.6。
【0228】
vi)(2S)−1,4−オキサゼパン−2,4−ジカルボン酸4−tert−ブチル,2−メチル
【化50】
前工程からの(2S)−5−オキソ−1,4−オキサゼパン−2,4−ジカルボン酸4−tert−ブチル,2−メチル(212.4g、777.2mmol)のTHF(2L)中粗混合物にBH3−DMS溶液(118g、1554mmol)を30分の間に添加した。この添加の間じゅう、反応温度を20〜23℃の間に維持した。次に、該混合物を23℃で17時間撹拌した。
該混合物をMeOH溶液(1.5L)にゆっくりと移した。次に、該混合物を、小規模実験((2S)−5−オキソ−1,4−オキサゼパン−2,4−ジカルボン酸4−tert−ブチル,2−メチル23.6gから出発、上記の手順を使用)で得られた粗物質と合わせた。次に、該透明な均一溶液を20℃で1時間撹拌し、次に、ほとんど濃縮乾固した。MeOH(500mL)を添加し、次に、ほとんど濃縮乾固し、さらに1回繰り返した。次に、ACN(500mL)を添加し、次に、ほとんど濃縮乾固し、さらに1回繰り返した。次に、該粗生成物(24%w/w、1H NMRにより決定、内部標準:安息香酸ベンジル)をACN(500mL)中溶液として貯蔵した。有効収率=71%。
1H NMR (400 MHz, MeOD, 約50:50回転異性体混合物): δ 1.51 (s, 9H); 1.84-1.93 (m, 2H); 3.20-3.34 (m, 1H); 3.42-3.56 (m, 1H); 3.70-3.81 (m, 5H); 4.02-4.12 (m, 2H); 4.36-4.41 (m, 1H)。13C NMR (100.6 MHz, MeOD, 約50:50回転異性体混合物) δ 28.6, 31.0, 31.5, 47.8, 48.2, 51.0, 51.2, 52.6, 68.6, 68.7, 77.6, 77.8, 81.4, 81.6, 156.7, 156.9, 172.8, 172.9。
【0229】
vii)(2S)−4−(tert−ブトキシカルボニル)−1,4−オキサゼパン−2−カルボン酸
ACN(700mL)、水(30mL)、TEA(187g、1851mmol)および水(30mL)の混合物にLiBr(375g、4319mmol)を添加した。次に、30℃の反応温度で、ACN(200mL)に溶解した(2S)−1,4−オキサゼパン−2,4−ジカルボン酸4−tert−ブチル,2−メチル(160g、617mmol)を添加した。該混合物を20℃で一夜強く撹拌した。
濃縮によりACNのほとんどを除去した。該残留物にMTBE(500mL)を添加した。該黄色水層をMTBE(200mL)で洗浄した。次に、該水層にMTBE(400mL)を添加し、次に、2M KHSO4を使用して約pH2に酸性化した。該水層をMTBE(300mL×2)で抽出し、プールした有機層を水(100mL)で洗浄し、次に、濃縮して無色の固体を得た(170g、80%w/w)。
該固体をヘプタン中30%MTBE(600mL)に懸濁し、次に、混合物を一夜撹拌した。
該混合物を濾過し、固体をヘプタン中25%MTBE(100mL)で洗浄し、次に、減圧下にて40℃で乾燥させた。これにより、所望の生成物140.1g(571mmol)を得た(1H NMRにより93%w/w、HPLCにより99.7%ee)。
1H NMR (400 MHz, MeOD, 2つの回転異性体の混合物): δ 1.46 (s, 9H); 1.77-1.90 (m, 2H); 3.15-3.77 (m, 4H); 3.91-4.17 (m, 2H); 4.22-4.32 (m, 1H)。13C NMR (100.6 MHz, MeOD, 2つの回転異性体の混合物) δ 28.5, 28.6, 31.0, 31.3, 47.8, 47.9, 51.4, 68.6, 69.0, 77.7, 78.0, 81.4, 81.7, 156.8, 157.0, 174.0, 174.2.
【0230】
中間体3
(2S)−4−(tert−ブトキシカルボニル)−1,4−オキサゼパン−2−カルボン酸
(第2代替合成法)
i)3−{ベンジル[(2S)−3−(ベンジルオキシ)−2−ヒドロキシプロピル]アミノ}プロパン−1−オール
【化51】
反応体である3−(ベンジルアミノ)プロパン−1−オール1219g(7.16mol)および(S)−2−((ベンジルオキシ)メチル)オキシラン1200g(7.16mol)を別々に2−プロパノール3Lずつに溶解し、別々に不活性反応器(inerted reactor)に充填し、50℃で24時間加熱した。
該反応混合物を60℃にて110mbarで蒸発させて油2.48kgを得た。該油をトルエン1Lに溶解し、蒸発乾固させた。収量:2.45kg、アッセイ:約95%、有効収率:約98%。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 1.59 - 1.78 (m, 2H), 2.47 (dd, J=13.3, 1H), 2.53 - 2.65 (m, 2H), 2.71-2.78 (ddd, 5.6, 7.7, 13.2, 1H), 3.31 - 3.45 (m, 3H), 3.50 (d, 1H), 3.67 - 3.74 (m, J=13.3, 3H), 3.93-3.99 (ddt, J=4.1,4.1,6.2, 8.3, 1H), 4.48 (s, 2H), 7.18 - 7.36 (m, 10H)。
【0231】
ii)3−{ベンジル[(2S)−3−(ベンジルオキシ)−2−ヒドロキシプロピル]アミノ}プロピルメタンスルホネート
【化52】
前実験からのジオール生成物147g(446mmol)をDCM 400mLに溶解し、−1℃に冷却した。該反応器にDIPEA 72.3mL(446mmol)を−1℃で添加した。該溶液を−6℃に冷却した。次に、約−6℃〜−2℃で1時間の間、該ジオール溶液にDCM 200mL中のメタンスルホニルクロリド51.1g(446mmol)を滴下した。添加後、該混合物を30分間撹拌した後、氷400mLに注いだ。相を分取し、冷水で2回洗浄し、次に、ブラインで2回洗浄した後、蒸発させて油を得た。該油をDCMで希釈し、硫酸ナトリウム水溶液で抽出し、濾過し、蒸発させて油176g(97%)(アッセイ85%)を得た。
1H NMR (600 MHz, CDCl3): δ 1.82-1.87 (m, 2H), 2.47 - 2.56 (m, 3H), 2.59 - 2.67 (m, 1H), 2.86 (s, 3H), 3.02 (s, 1H), 3.38 - 3.45 (m, 2H), 3.49 (d,1H), 3.69 (d, 1H), 3.83 - 3.87 (m, 1H), 4.14-4.20 (m, 2H), 4.49 (s, 2H), 7.20 - 7.32 (m, 10H)。
【0232】
iii)(2S)−4−ベンジル−2−[(ベンジルオキシ)メチル]−1,4−オキサゼパン
【化53】
乾燥THF 300mLに前実験からの粗生成物169g(アッセイ約85%、143.65g、0.35mol)を溶解し、乾燥反応器中にて窒素下で25℃にて乾燥THF 200mL中のNaH(1.4当量、18.46g、0.423mol)(該水素化ナトリウムペーストをヘプタンで洗浄した後に添加を開始)にゆっくりと(5時間)添加した。該反応混合物を25℃で一夜撹拌した。翌日、室温で該反応混合物に重炭酸塩飽和水溶液400mLを添加した。最初に、ガスが放出された。相を分取し、水相を廃棄した。有機相を蒸発させて油を得た。該油を酢酸イソプロピル400mLに溶解した。該酢酸イソプロピル溶液を2M NaOH(aq)100mlで洗浄し、次に、水(100ml)で2回洗浄し、ブラインで洗浄した。蒸発させて、生成物136g(アッセイ65%w/w)を得た。推定収量:88g(81%)0.28mol。
クロマトグラフィー:EtOAc/ヘプタン 254nm。
単離収量:81.6g(0.26mol、74%)
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 1.66 - 1.76 (m, 1H), 1.77 - 1.87 (m, 1H), 2.37 (dd, 1H), 2.46 - 2.5 (m, 1H), 2.68 - 2.77 (m, 1H), 2.81 - 2.89 (m, 1H), 3.24 (dd, 1H), 3.37 (dd, 1H), 3.64 (d, 2H), 3.64 - 3.74 (m, 1H), 3.76 (ddd, 2H), 4.35 - 4.43 (m, 2H), 7.18 - 7.37 (m, 10H)。
【0233】
iv)(2S)−1,4−オキサゼパン−2−イルメタノール
【化54】
メタノール1Lに前実験からの生成物81.6g(0.26mol)を溶解し、窒素下の水素添加容器に充填した。触媒PdOH2(20%)(50%湿度)−木炭10g=3mol%をエタノールでスラリー化し、窒素下の反応容器に充填した。該混合物を周囲温度にて4.5barで72時間水素添加した。
約50%が変換され、新しい触媒10gを添加し、圧力を8barまで上昇させ、温度を周囲温度から45℃まで上昇させた。一夜水素添加した。約96%が変換された。該反応混合物に触媒3gを添加し、水素添加を6時間続けた。完全に変換され、該反応混合物を濾過し、その試料を蒸発させて油を得た。
1H NMR (500 MHz, MeOD): δ 1.60-1.79 (m, 2H), 2.42 - 2.53 (dd,J=8.8, 14, 1H), 2.62-2.81 (dddd, J=4.2,7.3,13.5,49,2H), 2.81-2.89 (dd, 1H), 2.94 (dd, 1H), 3.17 (s, 1H), 3.24 - 3.37 (qd, J=5.6, 11.4, 11.4, 11.4, 2H), 3.41-3.48 (m, 1H), 3.53 (td, J=3.9, 7.9, 7.8, 1H), 3.74-3.84 (dt, J=5.5, 5.5, 12.2, 1H)。
【0234】
v)(2S)−2−(ヒドロキシメチル)−1,4−オキサゼパン−4−カルボン酸tert−ブチル
【化55】
前実験からの生成物(約0.26mol)のメタノール中溶液(約1.2L)を、触媒濾去後、CO2(g)下、室温にてBoc無水物54.3g(0.25mol)で処理し、直接形成を開始した。該反応を撹拌しながら窒素下に一夜放置した。
反応混合物を蒸発乾固させて、淡黄色(light yellow)の液体59g(98%)を得た。
1H NMR (500 MHz, MeOD): δ 1.47 (s, 9H), 1.81-1.93 (qt, J=3.51, 3.51, 6.3, 6.3, 6.3, 2H), 3.03-3.16 (ddd, J=9.5, 14.4, 21.8, 1H), 3.29-3.32 (dt, J=1.6, 1.6, 3.3, 1H), 3.32 - 3.41 (m, 1H), 3.43 - 3.56 (m, 3H), 3.56 - 3.71 (m, 2H), 3.78 (dd, 1H), 4.07 (tq, 1H)。
【0235】
vi)(2S)−4−(tert−ブトキシカルボニル)−1,4−オキサゼパン−2−カルボン酸
DCM 300mLに(2S)−2−(ヒドロキシメチル)−1,4−オキサゼパン−4−カルボン酸tert−ブチル52.5g(アッセイ85%、40.7g)を溶解した。DCM 100mLにTEMPO 0.5gを溶解した。DCM 100mLにテトラブチルアンモニウム硫酸水素塩3.88gを溶解した。
これら3つのDCM溶液を反応容器に充填し、水100mLを添加した。
10〜15%次亜塩素酸ナトリウム溶液350mLを炭酸水素ナトリウム(液体+固体)(約100ml)でpH約8〜9にpH調整した。上記緩衝化溶液に臭化ナトリウムの0.5M溶液58mLを添加した。得られた水溶液をDCM混合溶液および水からなる二相系に0℃で撹拌しながら滴下した。該反応は発熱した。該添加に続いて、色が変化した(黄色から浅黄色(pale yellow)へ)。この色の変化は、オキシダントが消費された時を示している。10分後、該ジャケットを−5℃に設定して、内部温度を約10℃に保持した。45分で添加が終了し、該反応混合物を一夜放置した。後処理:室温で、オフホワイト色の反応混合物を硫酸水素カリウム約40gでpH約2〜3へpH調整し、相を分取し、水相をDCM(100ml×3)で洗浄した。
得られたDCM(800ml)溶液を蒸発させて油約100gを得た。該油を重炭酸塩溶液400mlに溶解し、DCM(75ml×2)で抽出した。残留した水相を硫酸水素カリウム約35〜40gでpH2〜3に酸性化し、DCM(75ml×5)で抽出した。DCMを蒸発させて、白色の結晶40.7gを得た;収量:40.7g、出発物質のアッセイに基づく収率85%。生成物は水を10%含有した。
精製:生成物をトルエン200mLでスラリー化し、60℃に加熱し、溶液の状態となった。トルエン約100mLを蒸発させて除去し、該酸性生成物が60℃で結晶化し始めた。該混合物を室温まで冷却した。生成物を濾過し、トルエンで洗浄した。生成物を減圧下にて乾燥させた。
1H NMR (600 MHz, CDCl3): δ 1.46 (s, 9H), 1.93 (s, 2H), 3.23 (ddt, 1H), 3.33 - 3.78 (m, 3H), 3.95 - 4.38 (m, 3H), 9.91(s,1H)。
【0236】
中間体4
(2S)−2−{[(2S)−1−アミノ−3−(4−ヨードフェニル)−1−オキソプロパン−2−イル]カルバモイル}−1,4−オキサゼパン−4−カルボン酸tert−ブチル
DMF(200mL)中のT3P(25g、39.3mmol、DMF中50%溶液)に(2S)−4−(tert−ブトキシカルボニル)−1,4−オキサゼパン−2−カルボン酸(中間体3、7.9g、32.2mmol)および(S)−2−アミノ−3−(4−ヨードフェニル)プロパンアミド(9.0g、32.2mmol、国際公開第2009/074829号の第45頁の手順に従って製造した)を添加した。TEA(25mL、180.3mmol)を添加し、該反応を室温で4時間撹拌した。その後、該反応混合物を減圧濃縮した。得られた油をEtOAcに溶解し、2M塩酸水溶液、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液および塩化ナトリウム溶液で連続洗浄した。有機抽出物を乾燥させ(硫酸マグネシウム)、濾過し、減圧濃縮して、標記化合物を黄色の気泡性油として得(13.1g、79%)、これをさらなる精製を行わずに次工程において使用した。
【0237】
中間体5
(2S)−2−{[(1S)−1−シアノ−2−(4−ヨードフェニル)エチル]カルバモイル}−1,4−オキサゼパン−4−カルボン酸tert−ブチル
(2S)−2−{[(2S)−1−アミノ−3−(4−ヨードフェニル)−1−オキソプロパン−2−イル]カルバモイル}−1,4−オキサゼパン−4−カルボン酸tert−ブチル(中間体4、8.86g、17.13mmol)のDCM(740mL)中溶液にバージェス試薬(8.16g、34.27mmol)を添加した。該反応混合物を室温で24時間撹拌した後、該反応物を分液ロートに移し、水で洗浄した。有機抽出物を乾燥させ(相分離器カートリッジ)および減圧濃縮した。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、イソヘキサン中25%EtOAcで溶離して、黄色の油を得た。ジエチルエーテルでトリチュレートして、標記化合物をオフホワイト色の固体として得た(6.05g、71%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.66 (d, 2H), 6.98 (m, 3H), 5.06 (s, 1H), 4.22-3.92 (m, 3H), 3.70 (m, 0.5H), 3.54-3.20 (m, 2.5H), 3.09-2.89 (m, 3H), 1.88 (s, 2H), 1.42 (s, 9H)。
【0238】
中間体6
(2S)−2−[[(1S)−2−アミノ−2−オキソ−1−[[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]メチル]エチル]カルバモイル]−1,4−オキサゼパン−4−カルボン酸tert−ブチル
窒素下にて(2S)−2−{[(2S)−1−アミノ−3−(4−ヨードフェニル)−1−オキソプロパン−2−イル]カルバモイル}−1,4−オキサゼパン−4−カルボン酸tert−ブチル(中間体4、0.5g、0.97mmol)の乾燥DMSO(2.5mL)中撹拌溶液にPin22(0.32g、1.26mmol)、酢酸カリウム(0.28g、2.9mmol)およびPd(dppf)Cl2・DCM(0.039g、5mol%)を添加した。該反応を85℃で5時間加熱し、室温で一夜放置した。水(15mL)を添加し、該混合物をEtOAc(50mL×2)で抽出した。合わせた抽出物を飽和塩化ナトリウム(20mL)で洗浄し、乾燥させ(硫酸マグネシウム)、減圧下にて蒸発させた。得られた油をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、EtOAcで溶離して、標記化合物を無色の油として得た(0.3g、60%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.75 (d, 2H), 7.28-7.21 (m, 2H), 5.30 (s, 1H), 4.60 (m, 1H), 4.18-3.98 (m, 2H), 3.51-3.42 (m, 1H), 3.12 (t, 2H), 2.80 (s, 1H), 2.05 (s, 2H), 1.88 (s, 1H), 1.60 (s, 4H), 1.54-1.33 (m, 6H), 1.40-1.16 (m, 12H) (3個の交換性プロトンが見られなかった)。
【0239】
実施例
【0240】
実施例1
(2S)−N−[(1S)−1−シアノ−2−(4'−シアノビフェニル−4−イル)エチル]−1,4−オキサゼパン−2−カルボキサミド
【化56】
i)(2S)−2−{[(1S)−1−シアノ−2−(4'−シアノビフェニル−4−イル)エチル]カルバモイル}−1,4−オキサゼパン−4−カルボン酸tert−ブチル
(2S)−4−(tert−ブトキシカルボニル)−1,4−オキサゼパン−2−カルボン酸(中間体3、0.294g、1.2mmol)のDCM(15mL)中溶液に2−ピリジノール−1−オキシド(0.155g、1.4mmol)、TEA(0.36g、3.6mmol)および1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド・塩酸塩(0.268g、1.4mmol)を添加した。20分後、4'−[(2S)−2−アミノ−2−シアノエチル]ビフェニル−4−カルボニトリル(中間体1、0.296g、1.2mmol)を添加し、該混合物を3時間撹拌し、室温で18時間放置した。該混合物を40℃で4時間加熱した後、水(15mL)を添加した。10分後、DCMを乾燥させ(相分離器カートリッジ)、減圧下にて蒸発させた。得られた黄色の油をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、副題の化合物を得た(0.29g、52%)。さらなる精製を行わずに次工程に使用した。
【0241】
ii)(2S)−N−[(1S)−1−シアノ−2−(4'−シアノビフェニル−4−イル)エチル]−1,4−オキサゼパン−2−カルボキサミド
(2S)−2−{[(1S)−1−シアノ−2−(4'−シアノビフェニル−4−イル)エチル]カルバモイル}−1,4−オキサゼパン−4−カルボン酸tert−ブチルを使用して、方法Aの工程ii)の手順に従って製造を行い、標記化合物を白色の固体として得た(60mg、28%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.77-7.65 (m, 4H), 7.62-7.57 (m, 2H), 7.40 (d, 2H), 7.11 (d, 1H), 5.18-5.11 (m, 1H), 4.19-4.14 (m, 1H), 4.06-3.96 (m, 2H), 3.75-3.69 (m, 1H), 3.56-3.48 (m, 2H), 3.18-3.05 (m, 3H), 2.95-2.90 (m, 1H), 2.70 (ddd, 1H) (1個の交換性プロトンが見られなかった)。
LCMS (10cm_ESCI_Formic_MeCN) tR 2.57 (mim) m/z 375 (MH+)。
【0242】
実施例2
(2S)−N−{(1S)−1−シアノ−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサゾール−5−イル)フェニル]エチル}−1,4−オキサゼパン−2−カルボキサミド
【化57】
【0243】
i)(2S)−2−({(1S)−1−シアノ−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサゾール−5−イル)フェニル]エチル}カルバモイル)−1,4−オキサゼパン−4−カルボン酸tert−ブチル
【化58】
(2S)−4−(tert−ブトキシカルボニル)−1,4−オキサゼパン−2−カルボン酸(中間体3、490mg、2.0mmol)のDCM(15mL)中溶液にN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド・塩酸塩(468mg、2.44mmol)および2−ピリジノール1−オキシド(271mg、2.44mmol)を添加した。該反応を室温で30分間撹拌した後、(2S)−2−アミノ−3−[4−(3−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサゾール−5−イル)フェニル]プロパンニトリル(中間体2、586mg、2.0mmol)およびDiPEA(1.79mL、10mmol)を添加した。該反応を室温で18時間撹拌した後、分液ロートに移した。該混合物を2M塩酸、炭酸水素ナトリウム飽和溶液およびブラインで洗浄した。有機抽出物を疎水性フリット/相分離器に通し、減圧濃縮した。粗物質をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、イソヘキサン中0〜60%EtOAcで溶離して、副題の化合物を油として得た(457mg、44%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.63-7.52 (m, 2H), 7.38 (d, 2H), 7.36-7.24 (m, 2H), 7.35-6.98 (m, 2H), 5.18 (t, 1H), 4.22-3.97 (m, 2H), 3.76-3.67 (m, 0.5H), 4.10-2.94 (m, 4.5H), 3.35-3.26 (m, 1H), 3.24-3.04 (m, 3H), 2.06-1.82 (m, 2H), 1.47 (s, 10H)。
【0244】
ii)(2S)−N−{(1S)−1−シアノ−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサゾール−5−イル)フェニル]エチル}−1,4−オキサゼパン−2−カルボキサミド
ギ酸(3mL)に(2S)−2−({(1S)−1−シアノ−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサゾール−5−イル)フェニル]エチル}カルバモイル)−1,4−オキサゼパン−4−カルボン酸tert−ブチル(457mg、0.85mmol)を溶解し、予め加熱しておいたホットプレートスターラー上にて50℃で10分間加熱した。その後、該反応を減圧濃縮し、DCMに溶解し、炭酸水素ナトリウム飽和溶液で洗浄した。有機抽出物を疎水性フリット/相分離器に通し、減圧濃縮した。得られた泡沫体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、DCM中0〜5%メタノール性アンモニア(7N)で溶離して、標記化合物を固体物質として得た(230mg、64%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.59-7.51 (m, 2H), 7.39 (dd, 2H), 7.33-7.23 (m, 3H), 7.14 (d, 1H), 5.23-5.12 (m, 1H), 4.12-4.06 (m, 1H), 4.05-3.95 (m, 1H), 3.81-3.71 (m, 1H), 3.46 (s, 3H), 3.34-3.26 (m, 1H), 3.19-3.00 (m, 3H), 2.99-2.82 (m, 2H), 1.92-1.77 (m, 2H) (1個の交換性プロトンが見られなかった)。
LCMS (10cm_ESCI_Formic_MeCN) tR 2.48 (min) m/z 375 (MH+)。
【0245】
実施例2(代替合成法)
(2S)−N−{(1S)−1−シアノ−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサゾール−5−イル)フェニル]エチル}−1,4−オキサゼパン−2−カルボキサミド
i)5−クロロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オン
【化59】
2(発熱11.0℃〜22.0℃)下で2−アミノ−4−クロロフェノール(400g、2.79mol)の2−MeTHF(6L)中溶液にCDI(497g、3.07mol)を添加した。該反応混合物を還流させながら1時間加熱した。該混合物を室温まで冷却し、2M HCl(aq)(6L)、8%NaHCO3(aq)(6L)およびブライン(3L)で洗浄した。有機層をMgSO4で乾燥させ、濾過し、蒸発させた。これにより、生成物を薄茶色の固体として得た(456.1g、収率97%、LC純度>99%)。
1H NMR (270 MHz, DMSO-d6): δ 12.0-11.5 (br s, 1H), 7.31 (d, 1H), 7.12 (m, 2H)。
LCMS (5cm_ESCI, aq. formic acid_metanol) tR 3.87 (mim) m/z 169.8 (MH+)。
【0246】
ii)5−クロロ−3−メチル−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オン
【化60】
温度を0〜5℃に維持しながら5−クロロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オン(工程i))(1111.8g、6.56mol)のDMF(4.12L)中溶液にCs2CO3(2136.4g、6.56mol)を添加した。次に、温度を0〜5℃に維持しながらMeI(450ml、7.21mol)をゆっくりと添加した。該反応混合物を室温まで加温し、一夜撹拌した。該混合物を0〜5℃に冷却し、H2O(4.12L)をゆっくりと添加した。次に、該反応混合物を室温まで加温し、15分間撹拌した。固体を濾過し、水(980ml×4)で洗浄した。濾過ケーキを55℃で一夜真空乾燥させた(1149.9g、収率96%、LC純度>99%、H2O:(カール・フィッシャー)0.1%)。
1H NMR (270 MHz, DMSO-d6): δ 7.45 (d, 1H), 7.35 (d, 1H), 7.15 (dd, 1H), 3.35 (s, 3H)。
LCMS (5cm_ ESCI_aq. formic acid_methanol) tR 4.13 (mim) m/z 183.8 (M+)。
【0247】
iii)3−メチル−5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オン
【化61】
5−クロロ−3−メチル−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オン(工程ii))(350g、1.91mol)、B2pin2(581.0g、2.29mol)およびKOAc(561.3g、5.72mol)の溶液を真空脱気し、N2(×3)でパージした。Pd(OAc)2(12.9g、57.2mmol)およびXPhos(54.6g、114mmol)を添加し、該混合物を真空脱気し、N2(×3)でパージした。該混合物を75℃まで加熱した。約70℃で大きな発熱が見られ、これにより混合物が還流(100℃)まで加温された。該反応混合物を加熱せずに1時間撹拌した。HPLC分析により、出発物質が2.5%残っていることが示されたので、該混合物を85℃で1時間加熱した。この段階で、さらなる変化は見られなかった。さらに、B2pin2(14.6g、57.2mmol)、KOAc(5.7g、57.2mmol)、Pd(OAc)2(12.9g、57.2mmol)およびXPhos(27.3g、57.2mmol)を添加し、該混合物を75℃で1時間撹拌した。HPLC分析により、出発物質が残存しないことが示された。該混合物を室温まで冷却し、セライト(501g)のパッドで濾過し、該ケーキをEtOAc(2240ml)で洗浄した。該濾液を、同じ方法で調製した別の2つのバッチ(350g×2)と合わせ、蒸発させた。これにより、生成物1865.1gを灰色の固体として得た(収率97%、LCによる純度90.0%、1H NMR(DMSO−d6)アッセイ対TCNBによる純度82±2%)。
1H NMR (270MHz, DMSO-d6): δ 7.40-7.50 (m, 2H), 7.30 (d, 1H), 3.40 (s, 3H), 1.30 (s, 12H)。
LCMS (5cm_ ESCI_aq. formic acid_methanol_) tR 4.91 (mim) m/z 276.1 (MH+)。
【0248】
iv)Nα−(tert−ブトキシカルボニル)−4−(3−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサゾール−5−イル)−L−フェニルアラニンアミド
【化62】
5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オン(工程iii))(859g、700g活性、2.544mol)および(S)−1−カルバモイル−2−(4−ヨードフェニル)エチルカルバミン酸tert−ブチル(国際公開第2009/074829号の第47頁の手順に従って製造した)(903g、2.313mol)のジオキサン(4.1L)中懸濁液に2M K2CO3(2.3L)を添加した。該懸濁液を真空脱気し、N2(×3)でパージした。Pd(dppf)Cl2・DCM(28.33g、0.0347mol)を添加し、該反応混合物を75℃で3時間加熱した。該混合物を室温まで冷却し、水(6.4L)で希釈した。該懸濁液を室温で一夜撹拌した;該固体を濾過し、水(1L×3)で洗浄した。該生成物を45℃で3日間乾燥させた(1269.1g、1H NMRによる収率133% − ピナコール関連不純物およびジオキサンを含有、LC純度94.3%、H2O:(カール・フィッシャー)3.35%)。
1H NMR (270 MHz, DMSO-d6): δ 7.62-7.34 (m, 7H), 7.04 (brs, 2H), 6.86 (d, 1H) 4.12 (m, 1H), 3.40 (s, 3H), 3.00 (dd, 1H), 2.78 (dd, 1H), 1.30 (s, 9H)。
LCMS (5cm_ESI_Water_MeCN) tR 4.51 (mim) m/z 312 (MH+)。
【0249】
v)4−(3−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサゾール−5−イル)−L−フェニルアラニンアミド
【化63】
2下にてNα−(tert−ブトキシカルボニル)−4−(3−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサゾール−5−イル)−L−フェニルアラニンアミド(工程iv))(1269g、段階iv)で100%変換が推定された活性952g、2.3138mol)のDCM(2.1L)中の非常に濃厚な懸濁液にジオキサン中4.1M HCl(2.7L、11.06mol)を、温度を約15℃に維持しながら1時間にわたって滴下した(懸濁液は、ジオキサン中4.1M HCl約0.5Lの添加後、流動性が高くなった)。2時間後、該混合物を水(5.6L)で希釈し、室温で30分間撹拌した。次に、該混合物をセライト(500g)のパッドで濾過して、溶解していない物質を除去した − 非常にゆっくりとした濾過;該セライトをLCによって生成物についてチェックした。該パッドを水(400ml)で洗浄した。層DCM/ジオキサン−水に分離した。該水層を約5℃に冷却し、35%NH3(aq)(700ml)をゆっくりと添加して、pH=9〜10に達した。該懸濁液を一夜撹拌し、次に、該生成物を濾過し、水(400ml×3)で洗浄した。該生成物を真空下にて45℃で乾燥させた(オフホワイト色の固体、489.4g、2つの工程にわたる収率68%、LCによる純度99.4%、>99%EP、1H NMRアッセイ対DMSO中TCNBによる純度98±2%、H2O:(カール・フィッシャー)0.92%)。
1H NMR (270 MHz, DMSO-d6): δ 7.59-7.30 (m, 7H), 6.98 (brs, 1H), 3.36 (m, 4H), 2.95 (dd, 1H), 2.67 (dd, 1H) 1.86 (brs, 2H)。
LCMS (5cm_ESI_Water_MeCN ) tR 2.76 (mim) m/z 312 (MH+)。
【0250】
vi)(2S)−2−({(1S)−1−シアノ−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサゾール−5−イル)フェニル]エチル}カルバモイル)−1,4−オキサゼパン−4−カルボン酸tert−ブチル
【化64】
2下にて4−(3−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサゾール−5−イル)−L−フェニルアラニンアミド(工程v))(756g、活性733g、2.354mol)および(2S)−4−(tert−ブトキシカルボニル)−1,4−オキサゼパン−2−カルボン酸(577g、2.354)(中間体3)のDMF(3L)中溶液にDiPEA(1230ml、7.062mol)を添加した。温度を<25℃に維持しながらDMF中T3P(50%w/w、1924ml、3.296mol)を1.5時間にわたって滴下した。30分後、LC完了チェックはカップリング反応の完了を示した。次に、DiPEA(1230ml、7.062mol)を添加し、該反応混合物を50℃まで加熱した。DMF中T3P(50%w/w、3986ml、6.827mol)を1時間にわたって滴下した(発熱は見られなかった)。該反応混合物を50℃で4時間撹拌し、次に、室温で一夜撹拌した。該混合物を10℃に冷却し、2−MeTHF(4L)および水(5.6L、発熱)で希釈した。各層を分取し、水層を2−MeTHF(4L×2)で抽出した。合わせた有機抽出物をMgSO4で乾燥させ、濾過し、減圧濃縮した。これにより、生成物を薄茶色の固体として収率98%で得た(1242g(活性1205g)、補正収率98%、LC純度98.4%、1H NMRアッセイ対TCNB 97±2%、1H NMRによる主な不純物:2−MeTHF 1.9%、DMF 0.6%)。
【0251】
vii)(2S)−N−{(1S)−1−シアノ−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサゾール−5−イル)フェニル]エチル}−1,4−オキサゼパン−2−カルボキサミド
(2S)−2−({(1S)−1−シアノ−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサゾール−5−イル)フェニル]エチル}カルバモイル)−1,4−オキサゼパン−4−カルボン酸tert−ブチル(工程vi))(1776g、活性1671g、3.210mol)のギ酸/水(4.2L/440ml)中溶液をブッチ(buchi)上にて減圧(300〜500mbar)下にて35〜37℃で撹拌した。3時間後、LCMS完了チェックは、生成物93.95%および出発物質0.5%を示した。該混合物を濃縮して(4時間)、油状残留物を得た。該残留物を水(4.4L)に溶解し、TBME(2.2L)で洗浄した。水層を強く撹拌し、<25℃にてNH3(aq)(1.8L)で処理して、pH=9〜10に達した。該混合物を室温で3時間撹拌した。固体を濾過し、水(1L×3)で洗浄した。濾過ケーキを45℃で一夜乾燥させた。これにより、生成物を薄茶色の固体として得た(1498g、活性1333g、LC 91.5%、1H NMRアッセイ対TCNB 89±2%、H2O:(カール・フィッシャー)4.63%)。
【0252】
粗生成物を2つのバッチ(747g×2)においてEtOH/H2Oから再結晶した。
バッチA:N2下にて還流させながらEtOH(8L)に粗生成物(747g)を溶解した。水(1.6L)をゆっくりと添加した。該混合物を熱濾過して(65℃)、黒色の粒子を除去し(濾液温度50℃)、次に、40℃で一夜撹拌した。該懸濁液を4時間にわたって10℃まで冷却し、この温度を3時間保持した。該生成物を濾過し、EtOH/H2O(8:2、500ml×3)で洗浄し、次に、水(500ml×3)で洗浄した。濾過ケーキを45℃で一夜乾燥させた(473g、LCによる純度97.7%、Pdレベル71.4ppm)。
バッチBからは、生成物436gを得た(LCによる純度95.8%、Pdレベル65.8ppm)。
両方のバッチから得た液体を合わせ、濃縮して約8Lにした。該液体を室温で一夜放置した。固体を濾過し、EtOH/H2O(8:2、400ml×3)で洗浄し、次に、水(400ml×3)で洗浄した。生成物を45℃で一夜乾燥させた。これにより、さらに生成物88gを得た(LC純度95.0%)。
【0253】
これら生成物(ブレンドのLC純度95.69%)を2つのバッチ(バッチC:520g、バッチD:520g)においてEtOH/H2Oから再結晶した。
バッチC:N2下において還流させながら粗生成物(520g)をEtOH(6.24L)に溶解した。水(1248ml)をゆっくりと添加した。該混合物を40℃まで冷却させ(3時間)、標記化合物0.5gを播種し、40℃で10時間撹拌した。次に、該混合物を7時間にわたって26℃まで冷却した。得られた懸濁液を10℃まで冷却し、その温度で6時間撹拌した。該生成物を濾過し、EtOH/水(8:2、500ml×3)および水(500ml×3)で洗浄した。濾過ケーキを45℃で2日間乾燥させた。該生成物を灰色の固体として得た(418g、収率約56%、LCMS純度97.5%、キラルLC100%、1H NMR(DMSO−d6)アッセイ対TCNB 100±2%)。
バッチD:418g、収率約56%、LCMS純度97.5%、キラルLC 100%、1H NMR(DMSO−d6)アッセイ対TCNB 100±2%
【0254】
これら生成物を、同じ方法で行った中間スケールの反応から得た物質とブレンドし、再分析した(968g、LC純度98.04%、キラルLC 100%、1H NMRアッセイ対TCNB 99±2%、1H NMRによる0.35%EtOH、H2O:(カール・フィッシャー)4.58%、Pd 57.6ppm、XRPD(粉末X線回折)形態A。
【0255】
【表2】
【表3】
【0256】
実施例2、結晶形態Bの調製
上記の方法によって調製した(2S)−N−{(1S)−1−シアノ−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサゾール−5−イル)フェニル]エチル}−1,4−オキサゼパン−2−カルボキサミド、形態A(5g)を反応容器に充填した。アセトン(35ml)を添加し、該混合物を加熱ブロック中にて60〜65℃で加熱した。加熱ブロックの電源を切って、得られた溶液を放置して室温まで冷却させた。得られた懸濁液を濾過し、濾液を真空オーブンにて40℃および≦600mbarで一夜乾燥させた。XRPD(粉末X線回折)、形態B。
【0257】
【表4】
【表5】
【0258】
実施例2、結晶形態Cの調製
上記の方法によって調製した(2S)−N−{(1S)−1−シアノ−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサゾール−5−イル)フェニル]エチル}−1,4−オキサゼパン−2−カルボキサミド、形態A(50mg)を1.5mLシンチレーションバイアル中に充填した。プロパン−2−オール(1ml)を添加し、該混合物を、加熱ブロックを装備したオービタル振盪器中に40℃で1日間置いた。得られた懸濁液を濾過し、濾液を乾燥させた。XRPD(粉末X線回折)、形態C。
【0259】
【表6】
【表7】
【0260】
実施例2、キシナホ酸塩、結晶形態Aの調製
上記の方法によって調製した(2S)−N−{(1S)−1−シアノ−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサゾール−5−イル)フェニル]エチル}−1,4−オキサゼパン−2−カルボキサミド、形態A(100mg)を1.5mLシンチレーションバイアル中に充填した。1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸約48mgを添加した。続いて、ACN 1.5mLおよび水0.03mLを添加し、該混合物を、磁気撹拌棒を使用して室温で約6時間撹拌した。この撹拌の間、該バイアルは閉じられていた。得られた懸濁液を7500rpmで5分間遠心分離にかけ、パスツールピペットで上清を除去した。湿った固体残留物を真空オーブン中にて30℃および30mbarで約60時間乾燥させた。XRPD(粉末X線回折)、形態Aのキシナホ酸塩。
【0261】
【表8】
【表9】
【0262】
実施例2、R−マンデル酸塩、結晶形態Aの調製
上記の方法によって調製した(2S)−N−{(1S)−1−シアノ−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサゾール−5−イル)フェニル]エチル}−1,4−オキサゼパン−2−カルボキサミド、形態A(120mg)を1.5mLシンチレーションバイアル中に充填した。R−(−)−マンデル酸約45mgを添加した。続いて、ACN 1.5mLおよび水0.04mLを添加し、該混合物を、磁気撹拌棒を使用して室温で約6時間撹拌した。この撹拌の間、該バイアルは閉じられていた。得られた懸濁液を7500rpmで5分間遠心分離にかけ、パスツールピペットで上清を除去した。湿った固体残留物を真空オーブン中にて30℃および30mbarで約60時間乾燥させた。XRPD(粉末X線回折)、形態AのR−マンデル酸塩。
【0263】
【表10】
【表11】
【0264】
実施例3(方法A)
(2S)−N−{(1S)−1−シアノ−2−[4−(3,7−ジメチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサゾール−5−イル)フェニル]エチル}−1,4−オキサゼパン−2−カルボキサミド
【化65】
i)(2S)−2−({(1S)−1−シアノ−2−[4−(3,7−ジメチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサゾール−5−イル)フェニル]エチル}カルバモイル)−1,4−オキサゼパン−4−カルボン酸tert−ブチル
ACN(13mL)および水(0.5mL)に5−(5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサボリナン−2−イル)−3,7−ジメチル−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オン(ボロン酸エステル1、154mg、0.56mmol)および(2S)−2−{[(1S)−1−シアノ−2−(4−ヨードフェニル)エチル]カルバモイル}−1,4−オキサゼパン−4−カルボン酸tert−ブチル(中間体5、266mg、0.53mmol)を溶解した。炭酸カリウム(110mg、0.80mmol)を添加し、該反応混合物を20分間脱気した後、Pd(dppf)Cl2・DCM(43mg、0.053mmol)を添加した。該反応混合物を80℃で90分間加熱した。その後、該反応を減圧濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、イソヘキサン中0〜80%EtOAc勾配液で溶離して、副題の化合物を淡褐色の固体として得た(242mg、85%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.55 (d, 2H), 7.36 (d, 2H), 7.16-7.02 (m, 3H), 6.96 (s, 1H), 5.16 (s, 1H), 4.17-4.00 (m, 3H), 3.56-3.48 (m, 1H), 3.53-3.36 (m, 3H), 3.21-3.12 (m, 2H), 2.44 (s, 3H), 1.95 (d, 2H), 1.47 (s, 9H), 0.94-0.87 (m, 2H)。
【0265】
ii)(2S)−N−{(1S)−1−シアノ−2−[4−(3,7−ジメチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサゾール−5−イル)フェニル]エチル}−1,4−オキサゼパン−2−カルボキサミド
ギ酸(3mL)に(2S)−2−({(1S)−1−シアノ−2−[4−(3,7−ジメチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサゾール−5−イル)フェニル]エチル}カルバモイル)−1,4−オキサゼパン−4−カルボン酸tert−ブチル(240mg、0.45mmol)を溶解し、予め加熱しておいたホットプレートスターラー上にて50℃で10分間加熱した。その後、該反応を減圧濃縮し、DCMに溶解し、炭酸水素ナトリウム飽和溶液で洗浄した。有機抽出物を乾燥させ(相分離器カートリッジ)、減圧濃縮した。固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、DCM中0〜2%メタノール性アンモニア(7N)で溶離して、標記化合物を白色の固体として得た(54mg、27%)。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 8.62 (d, 1H), 7.65 (d, 2H), 7.38 (d, 3H), 7.28 (s, 1H), 5.03 (q, 1H), 4.00 (dd, 1H), 3.90-3.82 (m, 1H), 3.73 (ddd, 1H), 3.39 (s, 3H), 3.32 (s, 3H), 3.24-3.13 (m, 2H), 3.04 (dd, 1H), 2.82-2.74 (m, 1H), 2.38 (s, 2H), 1.80-1.68 (m, 2H) (1個の交換性プロトンが見られなかった)。
LCMS (10cm_ESCI_Formic_MeCN) tR 2.58 (mim) m/z 435 (MH+)。
【0266】
実施例4(方法B)
4'−[(2S)−2−シアノ−2−{[(2S)−1,4−オキサゼパン−2−イルカルボニル]アミノ}エチル]ビフェニル−3−イルメタンスルホネート
【化66】
i)(2S)−2−{[(2S)−1−アミノ−3−{3'−[(メチルスルホニル)オキシ]ビフェニル−4−イル}−1−オキソプロパン−2−イル]カルバモイル}−1,4−オキサゼパン−4−カルボン酸tert−ブチル
(2S)−2−[[(1S)−2−アミノ−2−オキソ−1−[[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]メチル]エチル]カルバモイル]−1,4−オキサゼパン−4−カルボン酸tert−ブチル、2−({(2S)−1−アミノ−1−オキソ−3−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]プロパン−2−イル}カルバモイル)−1,4−オキサゼパン−4−カルボン酸tert−ブチル(中間体6、0.21g、0.4mmol)、(3−ヨードフェニル)メタンスルホネート(0.13g、0.44mmol)および炭酸カリウム(0.16g、1.2mmol)のACN(30mL)および水(1.2mL)中懸濁液を窒素下にて10分間脱気した。Pd(dppf)Cl2・DCM複合体(0.032g、10mol%)を添加し、該反応混合物を80℃で120分間加熱した。溶媒を減圧除去し、残留物を水(20mL)およびDCM(25mL)で処理した。DCMを乾燥させ(相分離カートリッジ)、減圧下にて蒸発させて、副題の化合物を暗褐色ガラスとして得た(0.24g、>100%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.54-7.43 (m, 5H), 7.35-7.19 (m, 3H), 5.58 (m, 1H), 4.71 (s, 1H), 4.21-3.94 (m, 3H), 3.81-3.76 (m, 1H), 3.52-3.44 (m, 3H), 3.23-3.14 (m, 4H), 2.80 (s, 1H), 2.20-1.54 (m, 1H), 1.45 (s, 9H) (3個の交換性プロトンが見られなかった)。
【0267】
ii)(2S)−2−{[(1S)−1−シアノ−2−{3'−[(メチルスルホニル)オキシ]ビフェニル−4−イル}エチル]カルバモイル}−1,4−オキサゼパン−4−カルボン酸tert−ブチル
(2S)−2−{[(2S)−1−アミノ−3−{3'−[(メチルスルホニル)オキシ]ビフェニル−4−イル}−1−オキソプロパン−2−イル]カルバモイル}−1,4−オキサゼパン−4−カルボン酸tert−ブチル(0.24g)のDCM(20mL)中撹拌溶液にバージェス試薬(0.11g、0.046mmol)を添加した。3日後、さらなる試薬(0.11g、0.046mmol)を添加し、撹拌を6時間続けた。該反応を一夜放置した後、水(20mL)で洗浄した。有機抽出物を乾燥させ(相分離カートリッジ)、減圧下にて蒸発させた。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、イソヘキサン中0〜100%EtOAcで溶離して、副題の化合物を無色のガラスとして得た(0.18g、2つの工程にわたって83%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.61-7.45 (m, 5H), 7.38 (m, 3H), 7.06 (s, 1H), 5.17 (s, 1H), 4.20-3.99 (m, 2H), 3.75-3.63 (m, 1H), 3.57-3.37 (m, 3H), 3.49-2.85 (m, 3H), 1.94 (s, 2H), 1.57 (s, 1H), 1.51-1.35 (m, 9H), 1.33 (s, 1H) (1個の交換性プロトンが見られなかった)。
【0268】
iii)4'−[(2S)−2−シアノ−2−{[(2S)−1,4−オキサゼパン−2−イルカルボニル]アミノ}エチル]ビフェニル−3−イルメタンスルホネート
(2S)−2−{[(1S)−1−シアノ−2−{3'−[(メチルスルホニル)オキシ]ビフェニル−4−イル}エチル]カルバモイル}−1,4−オキサゼパン−4−カルボン酸tert−ブチル(0.18g、0.33mmol)のギ酸(3mL)中溶液を50℃で15分間加熱した。該混合物を減圧下にて蒸発させた。残留物をDCM(20mL)に溶解し、飽和重炭酸ナトリウム(30mL)と一緒に撹拌した。各層を分取し、有機抽出物を乾燥させ(相分離カートリッジ)、減圧下にて蒸発させた。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、DCM中2%7Nメタノール性アンモニアで溶離した。得られた固体を1:1のジイソプロピルエーテル:EtOAcから再結晶して、標記化合物を無色の固体として得た(50mg、34%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.61-7.46 (m, 5H), 7.40 (dd, 2H), 7.38-7.18 (m, 1H), 7.18 (d, 1H), 5.23-5.12 (m, 1H), 4.12-4.06 (m, 1H), 4.05-3.95 (m, 1H), 3.81-3.71 (m, 1H), 3.35-3.26 (m, 1H), 3.22-3.09 (m, 4H), 3.07-2.81 (m, 3H), 1.91-1.77 (m, 2H) (2個の交換性プロトンが見られなかった)。
LCMS (10cm_ESCI_Bicarb_MeCN) tR 2.75 (分) m/z 444 (MH+)。
【0269】
実施例5〜33
上記の方法および中間体を使用して、以下の化合物を調製した:
【化67】
【表12-1】
【表12-2】
【表12-3】
【表12-4】
【表12-5】
【表12-6】
【表12-7】
【表12-8】
【表12-9】
【表12-10】
【表12-11】
【表12-12】
【表12-13】
【表12-14】
【表12-15】
【0270】
実施例34
(2S)−N−[(1S)−1−シアノ−2−(4'−シアノビフェニル−4−イル)エチル]−1,4−オキサゼパン−2−カルボキサミドおよび(2R)−N−[(1S)−1−シアノ−2−(4'−シアノビフェニル−4−イル)エチル]−1,4−オキサゼパン−2−カルボキサミドのジアステレオマー混合物
【化68】
i)2−{[(1S)−1−シアノ−2−(4'−シアノビフェニル−4−イル)エチル]カルバモイル}−1,4−オキサゼパン−4−カルボン酸tert−ブチル
DMF(2mL)中T3P(700mg、DMF中50%溶液)にrac−4−(tert−ブトキシカルボニル)−1,4−オキサゼパン−2−カルボン酸(248mg、1.01mmol)および4'−[(2S)−2−アミノ−2−シアノエチル]ビフェニル−4−カルボニトリル(中間体1、1200mg、0.81mmol)を添加した。TEA(640μL、4.54mmol)を添加し、該反応を室温で18時間撹拌した。その後、該反応混合物を減圧濃縮した。得られた油をEtOAcに溶解し、2M塩酸水溶液、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液および塩化ナトリウム溶液で連続洗浄した。有機抽出物を乾燥させ(硫酸マグネシウム)、濾過し、減圧濃縮して、副題の化合物を黄色の油として得、さらなる精製を行わずに次工程に使用した。
【0271】
ii)(2S)−N−[(1S)−1−シアノ−2−(4'−シアノビフェニル−4−イル)エチル]−1,4−オキサゼパン−2−カルボキサミドおよび(2R)−N−[(1S)−1−シアノ−2−(4'−シアノビフェニル−4−イル)エチル]−1,4−オキサゼパン−2−カルボキサミドのジアステレオマー混合物
2−{[(1S)−1−シアノ−2−(4'−シアノビフェニル−4−イル)エチル]カルバモイル}−1,4−オキサゼパン−4−カルボン酸tert−ブチルを使用して方法Aの工程ii)の手順に従って製造を行い、標記化合物を白色の固体として得た(150mg、2つの工程にわたって50%)。単離した化合物は2つのジアステレオマーの混合物であったが、分離しなかった。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.75-7.64 (m, 4H), 7.59 (dd, 2H), 7.43 (dd, 2H), 7.30-7.22 (m, 1H), 5.25-5.11 (m, 1H), 4.12-4.06 (m, 1H), 4.05-3.95 (m, 1H), 3.81-3.70 (m, 1H), 3.33 (ddd, 1H), 3.25-3.09 (m, 2H), 3.08-3.00 (m, 1H), 2.98-2.81 (m, 2H), 1.92-1.75 (m, 2H) (1個の交換性プロトンが見られなかった)。
LCMS (10cm_ESCI_Formic_MeCN) tR 2.58 (min) m/z 375 (MH+)。
【0272】
実施例35
(2S)−N−{(1S)−1−シアノ−2−[4−(4−メチル−3−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロキノキサリン−6−イル)フェニル]エチル}−1,4−オキサゼパン−2−カルボキサミド
【化69】
i)(2S)−2−({(2S)−1−アミノ−3−[4−(4−メチル−3−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロキノキサリン−6−イル)フェニル]−1−オキソプロパン−2−イル}カルバモイル)−1,4−オキサゼパン−4−カルボン酸tert−ブチル
ACN(9mL)および水(0.4mL)に7−(5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサボリナン−2−イル)−1−メチルキノキサリン−2(1H)−オン(ボロン酸エステル2、100mg、0.37mmol)および(2S)−2−{[(2S)−1−アミノ−3−(4−ヨードフェニル)−1−オキソプロパン−2−イル]カルバモイル}−1,4−オキサゼパン−4−カルボン酸tert−ブチル(中間体4、182mg、0.35mmol)を溶解した。該反応混合物を窒素下で30分間脱気した後、炭酸カリウム(73mg、0.53mmol)およびPd(dppf)Cl2・DCM(29mg、0.035mmol)を添加した。該反応混合物を80℃で1時間加熱した。その後、該反応を減圧濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、EtOAc中8%メタノールで溶離して、副題の化合物を茶色の油として得た(192mg、100%)。さらなる精製を行わずに次工程に使用した。
【0273】
ii)(2S)−2−({(1S)−1−シアノ−2−[4−(4−メチル−3−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロキノキサリン−6−イル)フェニル]エチル}カルバモイル)−1,4−オキサゼパン−4−カルボン酸tert−ブチル
(2S)−2−({(2S)−1−アミノ−3−[4−(4−メチル−3−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロキノキサリン−6−イル)フェニル]−1−オキソプロパン−2−イル}カルバモイル)−1,4−オキサゼパン−4−カルボン酸tert−ブチル(192mg、0.35mmol)のDCM(15mL)中溶液にバージェス試薬(167mg、0.70mmol)を添加した。該反応混合物を室温で24時間撹拌した。その後、該反応を分液ロートに移し、水で洗浄した。有機抽出物を乾燥させ(相分離器カートリッジ)、減圧濃縮した。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、イソヘキサン中65%EtOAcで溶離して、黄色の油を得た。ジエチルエーテルでトリチュレートして、副題の化合物を油として得た(101mg、54%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 8.32 (s, 1H), 7.95 (d, 1H), 7.67 (d, 2H), 7.58 (dd, 1H), 7.49 (d, 1H), 7.43 (d, 2H), 7.10-7.03 (m, 1H), 5.25-5.12 (m, 1H), 4.23-4.10 (m, 3H), 3.77 (s, 3H), 3.54-3.49 (m, 3H), 3.28-3.19 (m, 3H), 2.05-1.89 (m, 2H), 1.47 (s, 9H)。
【0274】
iii)(2S)−N−{(1S)−1−シアノ−2−[4−(4−メチル−3−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロキノキサリン−6−イル)フェニル]エチル}−1,4−オキサゼパン−2−カルボキサミド
ギ酸(2mL)に(2S)−2−({(1S)−1−シアノ−2−[4−(4−メチル−3−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロキノキサリン−6−イル)フェニル]エチル}カルバモイル)−1,4−オキサゼパン−4−カルボン酸tert−ブチル(101mg、0.19mmol)を溶解し、予め加熱しておいたホットプレートスターラー上にて50℃で10分間加熱した。その後、該反応を減圧濃縮し、DCMに溶解し、炭酸水素ナトリウム飽和溶液で洗浄した。有機抽出物を疎水性フリット/相分離器に通し、減圧濃縮した。固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、DCM中0〜2%メタノール性アンモニア(7N)で溶離して、標記化合物を黄色の固体として得た(65mg、80%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 8.32 (s, 1H), 7.95 (d, 1H), 7.65 (d, 2H), 7.57 (dd, 1H), 7.47 (m, 3H), 7.21 (d, 1H), 5.22 (dt, 1H), 4.11 (dd, 1H), 4.00 (dt, 1H), 3.75 (m, 5H), 3.32 (dd, 1H), 3.17 (m, 2H), 3.06 (dd, 1H), 2.99-2.87 (m, 2H), 1.89-1.81 (m, 2H) (2個の交換性プロトンが見られなかった)。 LCMS (10cm_ESCI_Formic_MeCN) tR 2.38 (min) m/z 432 (MH+)。
【0275】
実施例36
(2S)−2−[(3S,4E)−6−(2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−6−オキソヘキサ−4−エン−3−イル]−1,4−オキサゼパン−2−カルボキサミド・トリフルオロ酢酸
【化70】
i)(2S)−2−{[(3S,4E)−6−(2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−6−オキソヘキサ−4−エン−3−イル]カルバモイル}−1,4−オキサゼパン−4−カルボン酸tert−ブチル
【化71】
室温にてDCM(25ml)中の(2S)−4−(tert−ブトキシカルボニル)−1,4−オキサゼパン−2−カルボン酸(中間体3、1.25g、5.10mmol)、[(1S,2E)−4−(2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−1−エチル−4−オキソ−ブテン−1−イル]アミン・トリフルオロ酢酸塩(国際公開第2012/109415号の中間体6、1.76g、5.10mmol)およびDiPEA(4.45ml、25.5mmol)にHATU(2.33g、6.12mmol)を添加した。得られた混合物を室温で4時間撹拌した。反応混合物をDCM(100mL)で希釈し、0.1M HCl水溶液(100mL)、NaHCO3飽和水溶液(100mL)および飽和ブライン(100mL)で連続洗浄した。有機層をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、蒸発させて、副題生成物を得た(1.50g、64%)。LC-MS m/z 358 (M-Boc+H+)。粗生成物の試料(190mg、0.42mmol)をCHIRALPAK IC−3カラムによる分取キラルHPLCによって精製し、溶離液としてヘキサン中50%EtOHで均一濃度溶離した。所望の化合物を含有する画分を蒸発乾固させて、副題生成物を無色の油として得た(180mg、95%)。LC-MS m/z 358 (M-Boc+H+)。
室温にてDCM(10mL)中の(2S)−2−{[(3S,4E)−6−(2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−6−オキソヘキサ−4−エン−3−イル]カルバモイル}−1,4−オキサゼパン−4−カルボン酸tert−ブチル(180mg、0.39mmol)にTFA(2mL、26.0mmol)を添加した。得られた溶液を室温で4時間撹拌した。溶媒を減圧除去した。粗生成物を、溶離液として水(0.1%TFA含有)とMeCNの漸減極性混合物を使用して分取フラッシュ(C18カラム)によって精製した所望の生成物を含有する画分を凍結乾燥によって乾燥させて、標記生成物白色の固体として得た(100mg、54%)。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ 8.80-9.10 (m, 2H), 8.30 (d,1H), 8.15 (d, 1H), 7.10-7.30 (m, 2H), 6.95-7.10 (m, 1H), 6.70-6.85 (m, 1H), 6.45 (d, 1H), 4.10-4.70 (m, 4H), 3.90-4.10 (m, 1H), 3.75-3.85 (m, 1H), 3.55-3.70 (m, 1H), 3.05-3.40 (m, 5H), 1.90-2.10 (m, 2H), 1.50-1.75 (m, 2H), 0.85 (t, 3H)。LCMS m/z 358 (MH+)。
【0276】
実施例37
(2S)−2−[(2E,4S)−1−(2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−6−メチル−1−オキソヘプタ−2−エン−4−イル]−1,4−オキサゼパン−2−カルボキサミド・トリフルオロ酢酸塩
【化72】
i)(2S)−2−{[(2E,4S)−1−(2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−6−メチル−1−オキソヘプタ−2−エン−4−イル]カルバモイル}−1,4−オキサゼパン−4−カルボン酸tert−ブチル
【化73】
0℃でDMF(5.0mL)中の(2S)−4−(tert−ブトキシカルボニル)−1,4−オキサゼパン−2−カルボン酸(中間体3、150mg、0.61mmol)、[(1S,2E)−4−(2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−1−(2−メチルプロピル)−4−オキソ−2−ブテン−1−イル]アミン・トリフルオロ酢酸塩(国際公開第2012/109415号の中間体13、174mg、0.47mmol)およびDiPEA(0.427mL、2.45mmol)にHATU(465mg、1.22mmol)を添加した。得られた溶液を室温で2.5時間撹拌した。該反応混合物を蒸発乾固させ、EtOAc(25mL)に再溶解し、NH4Cl飽和水溶液(20mL×4)、飽和ブライン(20mL×3)および水(20mL×3)で連続洗浄した。該有機層をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、蒸発させて、粗副題生成物を黄色の油として得た(200mg、67%)。LC-MS m/z 486 (MH+)。該粗生成物をさらなる精製を行わずに次工程に使用した。
0℃にてDCM(5.0mL)中の(2S)−2−{[(2E,4S)−1−(2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−6−メチル−1−オキソヘプタ−2−エン−4−イル]カルバモイル}−1,4−オキサゼパン−4−カルボン酸tert−ブチル(200mg、0.41mmol)にTFA(0.635mL、8.24mmol)を添加した。得られた溶液を室温で2時間撹拌した。溶媒を減圧除去した。粗生成物を、溶離液として水(0.5%TFA含有)およびMeCNの漸減極性混合物を使用して分取用HPLC(Waters XBridge Prep C18 OBDカラム、5μシリカ、19mm径、150mm長)によって精製した。所望の生成物を含有する画分を蒸発乾固させて、標記生成物を黄色のガムとして得た(130mg、63%)。
LC-MS m/z 386 (MH+)。1H-NMR (300 MHz, CD3OD): δ 8.15 (1H, d), 7.10-7.30 (2H, m), 7.05 (1H, t), 6.75-6.90 (1H, m), 6.50 (1H, d), 4.60-4.80 (1H, m), 4.40-4.55 (1H, m), 4.10-4.30 (3H, m), 3.70-3.95 (2H, m), 3.15-3.50 (5H, m), 2.05-2.25 (2H, m), 1.40-1.70 (3H, m), 0.95 (6H, t), 1.35 (1H, d) (2個の交換性プロトンが見られなかった)。
【0277】
薬理活性
試験A1: 組換えヒト(RH)DPP1の蛍光アッセイ
λex=350nmおよびλem=450nmでの蛍光強度の増加をもたらす、ペプチド基質(H−Gly−Arg−AMC)からのアミノメチルクマリン(AMC)の酵素的遊離を測定することによりDPP1の活性を決定した。該アッセイを黒色384ウェルプレートで、50μlの最終容積で、22℃で行った。アッセイ条件は以下のものを含んだ:25mM ピペラジン緩衝液pH5.0;50mM NaCl、5mM DTT;0.01%(v/v) Triton X−100;100μM H−Gly−Arg−AMCおよびrhDPP1(約50pM)。潜在的阻害剤をDMSO中で調製し、最終濃度が1%(v/v)DMSOを超えないようにアッセイにおいて希釈した。阻害剤の連続10点ハーフログ(half-log)希釈物(典型的に最高濃度10μM)を試験し、4パラメータロジスティック方程式を非線形曲線適合法で使用してpIC50を計算した。標準DPP1阻害剤、4−アミノ−N−[(1S)−1−シアノ−2−(4'−シアノビフェニル−4−イル)エチル]テトラヒドロ−2H−ピラン−4−カルボキサミド(国際公開第2010/128324号の実施例3)を該アッセイにおけるポジティブ対照として使用した。規定通りに、阻害剤をrhDPP1と30〜60分間プレインキュベートした後、ペプチド基質を添加して、22℃でさらに60分間反応を開始させる。その後、直ちに、上記発光波長および励起波長を使用して蛍光プレートリーダーにてプレートを読んだ[Kam, CM, Gotz, MG, Koot, G, McGuire, MJ, Thiele, DL, Hudig, D & Powers, JC (2004). Arch Biochem Biophys, 427, 123-134 & McGuire, MJ, Lipsky, PE & Thiele, DL (1992). Arch Biochem Biophys, 295, 280-288から改変]。得られた結果を以下の表11に示す(実施例1〜35)。
【0278】
試験A2: 組換えヒト(RH)DPP1の蛍光アッセイ
λex=350nmおよびλem=450nmでの蛍光強度の増加をもたらす、ペプチド基質(H−Gly−Arg−AMC)からのアミノメチルクマリン(AMC)の酵素的遊離を測定することによりDPP1の活性を決定した。該アッセイを黒色384ウェルプレートで、10μlの最終容積で、室温で行った。アッセイ条件は以下のものを含んだ:25mM ピペラジン緩衝液pH5.0;50mM NaCl、5mM DTT;0.005%(v/v) Triton X−100;50μM H−Gly−Arg−AMCおよび96.4pM rhDPP1。潜在的阻害剤をDMSOで希釈し、最終アッセイ濃度の100倍を得た。化合物を、ハーフログ(half-log)希釈工程(典型的に最高濃度1μM)を用いて、1%(v/v)の最終DMSO濃度をもって、10種類の濃度で試験した。規定通りに、阻害剤をrhDPP1と30分間プレインキュベートした後、ペプチド基質を添加して、さらに30分間反応を開始させる。インキュベーション後、上記発光波長および励起波長を使用して蛍光プレートリーダーにてプレートを読んだ。4パラメータロジスティック方程式を非線形曲線適合法で使用してpIC50を決定した(Smartfit、Genedata Screener(登録商標))。標準DPP1阻害剤、4−アミノ−N−[(1S)−1−シアノ−2−(4'−シアノビフェニル−4−イル)エチル]テトラヒドロ−2H−ピラン−4−カルボキサミド(国際公開第2010/128324号の実施例3)をポジティブ対照として使用した。[Kam, CM, Gotz, MG, Koot, G, McGuire, MJ, Thiele, DL, Hudig, D & Powers, JC (2004). Arch Biochem Biophys, 427, 123-134 & McGuire, MJ, Lipsky, PE & Thiele, DL (1992). Arch Biochem Biophys, 295, 280-288から改変]。得られた結果を以下の表11に示す(実施例36〜37)。
【0279】
【表13-1】
【表13-2】
【0280】
大動脈結合
多数の化合物は、電子顕微鏡によって調べると随伴性の超微細構造変化を引き起こす定量的全身オートラジオグラフィー(QWBA)研究において大動脈内に選択的に維持されることが文献に記載されている(例えば、ムゾリミン(Schmidt et al. 1984, Biochem. Pharmacol., 33, 1915-1921)を参照)。また、DPP1阻害剤として記載されているα−アミノアミドニトリル4−アミノ−N−[(1S)−1−シアノ−2−(4'−シアノビフェニル−4−イル)エチル]テトラヒドロ−2H−ピラン−4−カルボキサミド(国際公開第2010/128324の実施例3)は、ラットQWBA研究において大動脈保持レベルが高いことが示された。エラスチンリッチな組織(例えば、大動脈)への結合のリスクを減少させるDPP1阻害剤の設計を助けるために、下記のインビトロ競合大動脈結合アッセイ(試験B)が開発されて、選択プロセスが容易になった。参照化合物および本明細書に記載されている選択化合物を方法Bで試験し、得られた結果を表12に示す。
【0281】
試験B: インビトロ競合大動脈結合アッセイ
Han Wistarラットの胸部大動脈から大動脈ホモジネートを調製した。新しく単離した胸部大動脈を冷凍し、後に解凍し、非弾性物質をはぎ取った。次に、はぎ取った大動脈を計量し、小片に切断し、まず、回転子−固定子式ホモジナイザーでホモジネートし;次に、Puck's saline(137mM NaCl、5.37mM KCl、4.17mM NaHCO3、および5.55mM D−グルコース)中にて、ダウンス型ホモジナイザーを用いてルーズフィットの次にタイトフィットでホモジネートした。Puck's salineでホモジネート濃度を30mg/mLに調整し、使用するまでアリコートを−80℃で貯蔵した。ポジティブ対照化合物およびネガティブ対照化合物ならびに試験化合物をDMSOで100mMに調製し、最終濃度100μMとなるようにPuck's saline中大動脈ホモジネートの1mLアリコートに加えた。ホモジネート試料を試験化合物と一緒に37℃で一夜回転させながらプレインキュベートした。次に、全ての試料に[14C]4−アミノ−N−[(1S)−1−シアノ−2−(4'−シアノビフェニル−4−イル)エチル]テトラヒドロ−2H−ピラン−4−カルボキサミドを最終濃度100μMとなるように加え、試料を37℃でさらに2時間回転させながらインキュベートした。アセトン10mLを添加して、各試料からタンパク質を沈殿させ、−20℃に予め冷却した。試料を−20℃で一夜放置して、沈殿を完了させた。4℃にて20分間4,500×gで遠心分離して沈殿物をペレット化し、分析のために上清のアリコートを取りだし、残りの上清を廃棄した。沈殿物を、蒸留水中80%メタノール10mLに再懸濁することによって洗浄し、4℃にて20分間4,500×gで遠心分離して再ペレット化した。80%メタノールで4回、100%メタノールでさらに2回、洗浄を繰り返し、毎回分析のために上清のアリコートを取り出した。最後の洗浄の後、沈殿物を風乾させ、NCSII Tissue Solubiliser 1mLに一夜溶解した。上清のアリコート1mLをUltima Goldシンチレーション液(Perkin Elmer, MA, U.S.A.)5mLに添加し、該可溶化ペレット1mLをHionic-Fluorシンチレーション液(Perkin Elmer, MA, U.S.A.)5mLに添加した。試料の放射能をBeckman LS6500多目的シンチレーションカウンター(Beckman Coulter, IN, U.S.A.)で測定した。毎回、4−アミノ−N−[(1S)−1−シアノ−2−(4'−シアノビフェニル−4−イル)エチル]テトラヒドロ−2H−ピラン−4−カルボキサミドをポジティブ対照として用い、N−(1−{(3R)−3−(3,5−ジフルオロフェニル)−3−[1−(メチルスルホニル)ピペリジン−4−イル]プロピル}ピペリジン−4−イル)−N−エチル−2−[4−(メチルスルホニル)フェニル]アセトアミド(化合物1、国際公開第2006/001751号)およびDMSOビヒクルをネガティブ対照として用いた。実験ごとに各化合物について2つの試料を試験し、試験化合物ごとに少なくとも2つの実験を行った。DMSOビヒクル対照と一緒にプレインキュベートした各試料の平均放射能を結合100%とし、別の化合物と一緒にプレインキュベートした試料の結果をビヒクル対照からの差異%として表した。一方向ANOVAおよびBonferroni多重比較検定を行ってビヒクル対照からの差異の有意さを算出した。
【0282】
得られた結果を下記の表12に示す。結果を定量化して4種類のカテゴリーに分けた:強い結合剤、中等度の結合剤、結合剤、および結合剤ではない。
【0283】
【表14-1】
【表14-2】
【0284】
[14C]4−アミノ−N−[(1S)−1−シアノ−2−(4'−シアノビフェニル−4−イル)エチル]テトラヒドロ−2H−ピラン−4−カルボキサミド
【化74】
i)4−ブロモベンゾ−[14C]−ニトリル
1−メチルピロリジン−2−オン(4mL)に1−ブロモ−4−ヨードベンゼン(473mg、1.67mmol)および[14C]シアン化銅(I)(1850MBq、77mg、0.84mmol)を溶解し、超音波により150℃で3時間加熱した。該反応をEtOAc(150ml)で希釈し、2%塩化第二鉄水溶液(100ml)、2%w/vチオ硫酸ナトリウム水溶液(100ml)および飽和ブライン(25mL×3)で洗浄した。有機物質を相分離器に通し、溶媒を除去して、粗生成物を得た。該粗物質をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、イソヘプタン中2%EtOAcで溶離して、標記化合物を白色の固体として得た(442MBq、37mg、24%)。
【0285】
ii)(S)−4−(1−アミノ−3−(4'−[14C]−シアノビフェニル−4−イル)−1−オキソプロパン−2−イルカルバモイル)テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルカルバミン酸tert−ブチル
(S)−4−(1−アミノ−1−オキソ−3−(4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)プロパン−2−イルカルバモイル)テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルカルバミン酸tert−ブチル(243mg、0.47mmol)、Pd−118(30.6mg、0.05mmol)および炭酸カリウム(195mg、1.41mmol)を窒素雰囲気下にてフラスコに添加した。該反応フラスコに脱気ACN(6mL)中の4−ブロモベンゾ−[14C]−ニトリル(973MBq、86mg、0.47mmol)を添加し、次に、水(3mL)を添加した。該混合物を窒素下にて73℃で4時間加熱し、室温で一夜放置した。該反応を水(50ml)て希釈し、生成物をDCM(25mL×4)に抽出した。合わせた有機物質を飽和ブライン(50ml)で洗浄し、該有機物質部分を、硫酸マグネシウムを含有する相分離器に通した。該有機物質を真空濃縮し、暗褐色の油を得た。該粗物質をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、ヘプタン中0〜100%EtOAcで溶離して、ガムを得、これをエーテル/ヘプタンでトリチュレートして、標記化合物をオフホワイト色の固体として得た(802 MBq、189mg、82%)。m/z (ES+) 395 [M+2H-BOC]+
【0286】
iii)(S)−4−(1−シアノ−2−(4'−[14C]−シアノビフェニル−4−イル)エチルカルバモイル)テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルカルバミン酸tert−ブチル
DCM(4mL)に(S)−4−(1−アミノ−3−(4'−[14C]−シアノビフェニル−4−イル)−1−オキソプロパン−2−イルカルバモイル)テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルカルバミン酸tert−ブチル(802MBq、189mg、0.38mmol)を溶解し、窒素下にて室温で撹拌した。バージェス試薬(137mg、0.57mmol)を添加し、該反応を6.5時間撹拌した。該粗混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、ヘプタン中25〜100%EtOAcで溶離して、標記化合物を白色の固体として得た(714MBq、164mg、90%)。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ 1.38 (s, 9H), 1.55 - 1.77 (m, 2H), 1.84 - 2.02 (m, 1H), 3.07 - 3.25 (m, 3H), 3.43 - 3.53 (m, 1H), 3.54 - 3.62 (m, 1H), 5.04 - 5.13 (m, 1H), 7.04 (s, 1H), 7.43 (d, 2H), 7.71 (d, 2H), 7.87 (d, 2H), 7.93 (d, 2H), 8.46 (s, 1H)。
m/z (ES-) 475 [M-H]-
【0287】
iv)(S)−4−アミノ−N−(1−シアノ−2−(4'−[14C]−シアノビフェニル−4−イル)エチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−4−カルボキサミド
予め加熱したギ酸溶液(500μl、13.04mmol、50℃)に(S)−4−(1−シアノ−2−(4'−[14C]−シアノビフェニル−4−イル)エチルカルバモイル)テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルカルバミン酸tert−ブチル(133MBq、29mg、0.06mmol)を添加し、該反応を撹拌しながら50℃で15分間加熱した。該反応を急冷し、飽和炭酸水素ナトリウム(5ml)およびDCM(5ml)の冷却混合物に添加した。水性部分をDCM(5ml)のアリコート2つでさらに洗浄し、合わせた有機物質を水(10ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。有機物質を取り出して、無色の油を得、これをエーテルでトリチュレートして、白色固体を得た。該粗混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、DCM中0〜2%メタノールで溶離して、標記化合物を(93 MBq、68%)得、これをMeCN溶液として貯蔵した。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ 1.12 (d, 1H), 1.20 (d, 1H), 1.73 (ddd, 1H), 1.89 (ddd, 1H), 3.18 - 3.25 (m, 2H), 3.45 (dt, 1H), 3.53 - 3.66 (m, 3H), 5.02 (t, 1H), 7.43 (d, 2H), 7.71 (d, 2H), 7.89 (dd, 4H)。
m/z (ES+) 377 [M+H]+
図1
図2
図3
図4
図5