(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
カテーテル・システムなどの医療デバイスは、診断処置、治療処置、および切除処置などの医療処置における使用において当技術分野ではよく知られている。典型的なカテーテル・システムは、概して、ハンドルから延びる細長い可撓性のあるカテーテル・シャフトを備える。医師は、患者の血管系を通して、カテーテル・シャフトを患者内の所期の部位まで操作する。
【0003】
カテーテル・システムは、複数の部品から構成されることがあり、体内にあるカテーテル・シャフトを所望の部位に配置するために、または、使用中にカテーテル・システムを動かすために、手動で操作され得る機械的な操向特徴または部品を備え得る。カテーテル・システムの個々の部品は、単一部材として一体的に形成され得るか、別々に形成されて互いに永久的に固定され得るか、または別々に形成されて互いに取り外し可能に固定され得る。他の構成も、当技術分野では既知かもしれない。
【0004】
カテーテルまたはカテーテル・システムは、カテーテルの近位端でトルクを同時に加えることによって、および/または、所望の方向にカテーテルの遠位端を選択的に偏向することによって、処置中に患者の血管系内に配置され得る。カテーテルの遠位端は、カテーテルの遠位端に取り付けまたは固定されていると共に、プルワイヤに対する張力の適用を制御する制御ハンドルにおけるアクチュエータへ近位に延びるプルワイヤまたは他の適切な引張部材によって、偏向することができる。しかしながら、カテーテル・システムの近位端におけるアクチュエータの動きおよびカテーテル・システムの回転は、特定の取り外し可能に互いに固定されている部品の意図しない回転および/または望ましくない回転を、潜在的に引き起こすことがある。
【発明を実施するための形態】
【0019】
対応する参照符号は、図面のうちのいくつかの図を通じて、対応する部品を指し示している。図は必ずしも一定の縮尺ではないと理解される。
【0020】
本開示は、既知の医療処置において、人の血管系で使用するのに適したカテーテル・システムを提供する。本開示の複数の実施形態によるカテーテル・システムは、互いに取り外し可能に固定される様々な部品間での意図しない回転動作および/または望ましくない回転動作への抵抗の増大を呈する。つまり、本開示は、2つの部品間の意図しない回転動作が最小限となる、または排除されるカテーテル・システムの実施形態を提供する。このような実施形態によって、より着実で向上した患者の予後をもたらすことができる。この記載の目的のために、本開示は、抵抗組立体を含むプランジャ式カテーテルの多数の実施形態と関連して記載される。しかしながら、本明細書において記載されるような本開示の特徴および方法は、本開示に基づいて当業者によって理解されるように、様々なカテーテル(例えば、操向可能なカテーテル、イントロデューサ・カテーテル、バルーン・カテーテル、ビュレット・カテーテルなど)、または他の医療デバイスに組み込まれ得ることが予期される。
【0021】
より具体的には、本開示のいくつかの実施形態は、互いに取り外し可能に固定される第1のねじ部品および第2のねじ部品と、それらねじ部品の間に配置される摩擦部材とを含むカテーテル・システムを提供する。多くの実施形態では、摩擦部材は、熱可塑性材料から構成され、第1のねじ部品または第2のねじ部品のねじ山部の外面に任意で固定されるブロック、栓、リング、または被覆などの形態である。
【0022】
ここで記載する摩擦部材は、ねじ部品間に摩擦部材がないねじ部品と比較して、第1のねじ部品と第2のねじ部品を互いに対して回転するために追加の力が必要となるように、第1のねじ部品に対する第2のねじ部品の回転(逆もまた同様である)に対して増大した摩擦抵抗を提供する。この増大した摩擦抵抗は、カテーテル・システム使用中の第1のねじ部品と第2のねじ部品間の意図しない動きおよび/または望ましくない動きの可能性を低減できる。つまり、一部のカテーテル・システムは、例えば各々の部品に設けられる適合するねじ部分によって、互いに取り外し可能に固定されている個別の部品を含んでいるため、使用者は、潜在的に、意図せずにそれらのねじ部分を互いに対して回転させてしまう場合があり、それによって、ねじ部分間の連結をその元の位置または所望の位置から、締め付けてしまう、または緩めてしまう可能性がある。互いに対する回転動作は、カテーテル・システムにおける他の部品の性能、またはカテーテル・システム全体の性能に潜在的に影響を与える可能性があるため、互いに対して取り外し可能に固定される部品のこのような意図しない回転動作および/または望ましくない回転動作の可能性の制限を支援するための装置および方法を提供することが望ましい場合がある。
【0023】
ここで図面を参照し、具体的には
図1を参照すると、プランジャ式のカテーテル10が、偏向されていない位置、または、中立の位置で示されている。カテーテル10は、概して、近位端14および取り外し可能な遠位端16を有する細長い本体12と、細長い本体12の近位端14に取り付けられたハンドル18とを備える。ハンドル18はアクチュエータ20を備える。
図1に示しているように、アクチュエータ20は、中立位置からの遠位端16の偏向をもたらす矢印Aに沿う第1の方向に(例えば、遠位に)おいて、および、中立位置に向かう遠位端16の戻りをもたらす矢印Bに沿う第2の反対の方向に(例えば、近位に)において、ハンドル18の長手方向軸22に沿って、ハンドル18に対して可動なプランジャである。例えば、カテーテル10は、本明細書において完全に説明されているかのように、これによって参照により組み込まれている2013年9月30日に出願された米国仮特許出願第61/884,897号に開示されている種類のものとできる。
【0024】
図2は、カテーテル10の遠位端16を偏向するためのプルワイヤ24の使用を示している。プルワイヤ24は、細長い本体12を貫いて延びる。プルワイヤ24は、矢印Aに沿う第1の方向におけるアクチュエータ20の動きが、第1の偏向方向(例えば、矢印C)に沿う中立位置からの遠位端16の偏向をもたらすように、および、矢印Bに沿う第2の方向におけるアクチュエータ20の動きが、中立位置に向かう(例えば、矢印D)遠位端16の戻りをもたらすように、細長い本体12の遠位端16に結合されている。当業者がカテーテルにおけるプルワイヤの使用を理解する限りにおいて、この開示の態様の詳細な説明は、ここでは提供されない。
【0025】
ここで開示されているカテーテル・システムは、一方向カテーテルに主に関して記載されているが、開示されている原理は、限定されることなく双方向カテーテルを含む、他の文脈においても等しく適用可能であることは、理解されるべきである。つまり、例えば、矢印Aに沿う第1の方向におけるアクチュエータ20の動きは、第1の偏向方向(例えば、
図2における矢印C)における中立位置からの遠位端16の偏向をもたらすことができ、一方、第2の方向におけるアクチュエータ20の動きは、第2の偏向方向における中立位置からの遠位端16の偏向をもたらすことができ、第1の偏向方向と第2の偏向方向とは共に同じ平面にある。
【0026】
図1および
図2のカテーテル10は、どの種類の動きが遠位領域16にもたらされるとしても(例えば、中立からの偏向であっても、中立への戻りであっても)、矢印Bに沿う第2の方向におけるアクチュエータ20の動作よりも比較的容易に矢印Aに沿う第1の方向におけるアクチュエータ20の動作を行うように構成された抵抗組立体をさらに備え得る。つまり、抵抗組立体は、施術者がアクチュエータ20を矢印Aに沿って第1の位置に動くのを比較的より容易にすることができ、また、施術者がアクチュエータ20を矢印Bに沿って第2の位置に動くのを比較的より困難にすることができる。典型的には、抵抗組立体によって発揮される力は、アクチュエータ20と抵抗組立体との間で生じる摩擦力である。つまり、抵抗組立体は、通常の力と、アクチュエータ20が動いている方向に依存して異なる、ハンドル18に対するアクチュエータ20の動作に対する摩擦抵抗とを提供する。
【0027】
図3は、カテーテル10における使用のための例示の抵抗組立体の断面図を示している。抵抗組立体26は、隣接するアクチュエータ20に配置されており、ハンドル・キャップ28と圧縮リング30とを備える。圧縮リング30は、ハンドル・キャップ28内でアクチュエータ20の周りに配置されており、第1の面32と第2の反対の面34とを備える。具体的な一実施形態では、第1の面32は面取り部36を含み、一方、第2の面34は概して平坦である(つまり、概してハンドル・キャップ28の輪郭に追従している)。面取り部36は、第1の面32とハンドル・キャップ28との間の距離が第2の面34とハンドル・キャップ28との間の距離より大きくなるように、第1の面32に空洞38を形成している。
【0028】
第1の面32は、例えば、中立からの遠位端16の偏向をもたらす第1の方向または遠位方向(
図1および
図2において示しているような矢印Aに沿う)といった、アクチュエータ20の動作に対してより小さい抵抗が望まれる方向に配向される。したがって、アクチュエータ20が矢印Aに沿って第1の方向で駆動されるとき、圧縮リング30は、面取り部36によって作り出される空間(つまり、空洞38)に変形し、それによって、圧縮リング30がアクチュエータ20に発揮する通常の力と、第1の方向におけるアクチュエータ20の動作に対する摩擦抵抗との両方を低減する。反対に、アクチュエータ20が(
図1および
図2に示すような)矢印Bに沿って第2の方向に駆動されるとき、圧縮リング30はハンドル・キャップ28に押し当てられ、圧縮リング30がアクチュエータ20に発揮する通常の力と、第2の位置においてアクチュエータ20の動作に対する摩擦抵抗との両方を増加する。結果として、施術者は、アクチュエータ20を、抵抗組立体26を通じて、矢印Bに沿う第2方向においてよりも矢印Aに沿う第1の方向において動くのが比較的より容易である。抵抗組立体26は、遠位領域16を中立に向かって動こうとする任意の内部で生じる復元力(例えば、プルワイヤ24が、矢印Aの方向でのアクチュエータ20の動きを介して、引っ張られて配置されるときに生じるバネ力)に対して、追加の摩擦抵抗も提供できる。この点において、抵抗組立体26は、カテーテル10のための自己固定組立体として考えられてもよい。
【0029】
圧縮リング30は、本開示で明記したその特性を提供するように構成されるように、任意の適切な材料から形成され得る。本開示の一部の実施形態では、圧縮リング30は、シリコン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリウレタン、ヘキサフルオロプロピレンとフッ化ビニリデンとの共重合体、またはそれらの組合せから形成される。本開示の具体的な一実施形態では、圧縮リング30は、重量で約85%のシリコンと、重量で約15%のポリテトラフルオロエチレンとから形成される。
【0030】
圧縮リング30は、本開示で明記したその特性を提供するように構成されるように、任意の大きさのものであり得る。本開示の一部の実施形態では、圧縮リングは、約0.500インチ(約1.27センチメートル)から約0.505インチ(約1.2827センチメートル)までと約0.502インチ(約1.275センチメートル)とを含む、約0.450インチ(約1.143センチメートル)から約0.550インチ(約1.397センチメートル)までの内径を有する。さらに、本開示の一部の実施形態では、圧縮リング30は、約0.688インチ(約1.7475センチメートル)を含む、約0.685インチ(約1.7399センチメートル)から約0.690インチ(約1.7526センチメートル)までを含む、約0.650インチ(約1.651センチメートル)から約0.700インチ(約1.778センチメートル)までの外径を有し得る。
【0031】
一実施形態では、ハンドル・キャップ28は、ハンドル18の外部面とハンドル・キャップ28の内部面との各々に配置される適合するねじ山を介して、ハンドル18に取り外し可能に固定される。ハンドル・キャップ28をハンドル18に取り外し可能に固定することで、これらの部品を一体に永久的に固定することに反して、抵抗組立体26は、圧縮リング30によってアクチュエータ20に作用する摩擦および/または通常の力の所望の大きさに基づいて調整可能であるように構成される。つまり、
図4および
図5に示しているように、圧縮リング30に付与される圧縮の大きさは、ハンドル18の遠位端40に対して、ハンドル・キャップ28の位置に依存している。
【0032】
図4は、ハンドル18に対する第1の位置であって、具体的には、ハンドル18の遠位端40に対する第1の位置におけるハンドル・キャップ28を示している。ハンドル・キャップ28を時計回りに回転することで、ハンドル・キャップ28とハンドル18との間の連結を、
図4に示した第1の位置から、
図5に示した第2の位置まで再配置または締め付けし、そのため、圧縮リング30の第1の面32および第2の面34に作用する増加した圧縮力を引き起こす。この増加した圧縮力は、圧縮リング30を、
図5に示したような範囲X−Xに沿ってより狭くさせることになり、アクチュエータ20の動きに対する摩擦抵抗と、アクチュエータ20に発揮される通常の力とにおいても増加を引き起こす。別の言い方をすれば、ハンドル・キャップ28をハンドル18に対して回転し、それによってハンドル・キャップ28の位置をハンドル18に対して調整することで、自己固定組立体としての抵抗組立体26の機能性は、望まれるように変更または再配置され得る。
【0033】
本開示によれば、多くの実施形態では、
図3〜
図5に示したような抵抗組立体26は、さらに、ハンドル18に対するハンドル・キャップ28の意図しない回転動作および/または望ましくない回転動作を制御および/または制限するのを支援するために、ハンドル18のねじ山部とハンドル・キャップ28のねじ山部との間に配置された摩擦部材をさらに備え得る。一実施形態では、
図6に示しているように、ハンドル18の遠位端40は、ハンドル・キャップ28のねじ山部44とねじ止めするように構成されたねじ山部42を備える。ポケット46が、ハンドル18のねじ山部42内(つまり、ハンドル18の遠位端40の外面)に形成されており、ポケット46は、その中に摩擦部材48を受け入れることで、ハンドル・キャップ28がハンドル18の外面に対して回転されるとき、ハンドル18の外面の周りでの摩擦部材48の動きを制限するようにサイズ設定および構成されている。
【0034】
ポケット46は、
図6に示しているように、実質的に矩形に成形され得る、または、摩擦がハンドル・キャップ28とハンドル18との間で増加されるようにポケット46に配置されている摩擦部材の断面形状および大きさに実質的に対応する任意の他の形および大きさを有し得る。つまり、ポケット46は、楕円形、三角形、円形、四角形、不規則な形とされてもよい。一部の実施形態では、ポケット46は、(
図6に示しているように)すべてのねじ山がポケット46の一部分を含むように、ねじ山部42の全体の長手方向の長さに実質的に沿って延びる長さを有してもよい、または、少なくとも1つのねじ山がポケット46の任意の部分を含まないように、ねじ山部42の最外端内に少なくとも部分的に配置されてもよい。さらに、一部の実施形態では、ポケット46は、約0.091インチ(約0.2311センチメートル)を含む、約0.075インチ(約0.1905センチメートル)から約0.10インチ(約0.254センチメートル)までを含む、約0.050インチ(0.127センチメートル)から約0.150インチ(約0.381センチメートル)までの幅を有し得る。ポケット46は、一部の実施形態では、0.058インチ(約0.1473センチメートル)を含む、約0.056インチ(約0.11422センチメートル)から約0.060インチ(約0.1524センチメートル)までを含む、約0.050インチ(約0.127センチメートル)から約0.070インチ(約0.1778センチメートル)までの、ねじ山部42の最外部からポケット46の最内部まで延びる深さを有し得る。
【0035】
本開示の別の実施形態では、本開示は、
図7に示しているように、ハンドル18およびハンドル・キャップ28が、増加された摩擦を受けつつなおもねじ止めされ得るように、ポケット46は、ねじ山部42内のハンドル18の外部周囲を実質的に取り囲むことができる。
【0036】
本開示の別の実施形態では、
図8に示しているように、ポケット46は、摩擦部材48の固定部材54を受け入れるために、ハンドル18の外面からハンドル18の内面に延びる孔50を備えてもよい(後でより詳細に論ずる)。当業者は、孔50がハンドル18の壁を完全に貫通して延びてもよい、または、摩擦部材48の固定部材54と協働するように構成されるように、ハンドル18を部分的にだけ貫通して延びてもよいことが認識されよう。
図9に示した他の実施形態では、孔50は、摩擦部材48の固定部材54と係合するように構成されたねじ山52を備える。
【0037】
先に言及したように、摩擦部材48は、
図6に示したように、ポケット46に大きさおよび形において実質的に対応する矩形を有し得る、または、ポケット46内に受け入れられるために構成されるように、任意の他の大きさおよび形を有し得る。例えば、一実施形態では、
図7に示したように、摩擦部材48は、ハンドル18の周りで実質的に周囲方向に延びるポケット46内に受け入れられるようにサイズ設定および構成された実質的に平坦なリングであり得る。別の実施形態では、
図8および
図9に示したように、摩擦部材48は、摩擦部材48の底面56から延びた、孔50内に受け入れられるようにサイズ設定および構成されている固定部材54を備え得る。固定部材54は、
図8に示しているような実質的に平坦な表面を有してもよい、または、
図9に示しているような孔50のねじ山52と係合するように構成されたねじ山を備えてもよい。固定部材54は、摩擦部材48と一体的に形成されてもよいし、摩擦部材48とは別に形成され、適切な接着剤、他の接触剤、ねじ、または任意の他の適切な手段を介して摩擦部材48に固定されてもよい。なおも別の実施形態では、摩擦部材48は、
図10に示しているように、ハンドル18においてねじ山部42の一部分に重なるように配置されるようにサイズ設定および構成されてもよい。
【0038】
摩擦部材48は、ハンドル・キャップ28の回転においてハンドル18に対して所定位置に比較的しっかりと留まることで、ハンドル・キャップ28とハンドル18との間の回転に対する増加された摩擦抵抗を作り出すように、任意の適切な手段でハンドル18に固定され得る。一実施形態では、摩擦部材48はポケット46内に受け入れられ、これは、ハンドル18に対するハンドル・キャップ28の回転において、摩擦部材48の潜在的な動きを制限できる(
図6および
図7参照)。他の実施形態では、摩擦部材48は、ポケット46に、または、直接的にハンドル18のねじ山部42に、それらの間に適切な接合を提供できる技術的に知られている任意の適切な接着剤または接触剤で、接着され得る。なおも別の実施形態では、摩擦部材48は、孔50を通じて配置された、または、孔50を内に配置された固定部材54を介して、ハンドル18に固定され得る(
図8および
図9参照)。当業者には理解されるように、摩擦部材48をハンドル18に取り付けまたは固定するための手段は決定的に重要な意味を持ってはおらず、本明細書に開示されている方法のうちの任意の1つによって、または、本明細書に開示されている2つまたはそれ以上の方法の組合せによって、または、他の方法によって、本開示の範囲から逸脱することなく、達成できる。
【0039】
摩擦部材48は、適切にサイズ設定および構成され、ハンドル18のねじ山部42とハンドル・キャップ28のねじ山部44との間で変形でき、ここで記載しているようにそれらの間の回転に対する摩擦抵抗における増加を引き起こすことができる任意の適切な柔軟な材料から形成できる。例えば、一実施形態では、摩擦部材48は、熱可塑性材料、または、熱可塑性材料の組合せからから形成できる。望ましい材料には、限定されることはないが、シリコン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、およびそれらの組合せがあり得る。特定の一実施形態では、摩擦部材48は、デュロメータで90ショアAのシリコンなどの、シリコンから構築される。さらに、一部の実施形態では、摩擦部材48の1つまたは複数の面の全部または一部は、ハンドル18に対してハンドル・キャップ28の回転に対する追加の摩擦抵抗を生み出す、スケールまたは凹凸などの処理または仕上げを含んでもよい。
【0040】
使用するとき、カテーテル10(
図1および
図2に示したように)は、遠位端16の所望の場所または位置が患者内で得られるまで、患者の血管系内に挿入される。アクチュエータ20は、細長い本体12の遠位端16を所望の位置に偏向させるために、2つの位置の間で、つまり、
図2に示しているような矢印AおよびBに沿って、動かされ得る。しかしながら、使用者によるアクチュエータ20の動きは、ハンドル18に対するハンドル・キャップ28の意図しない回転動作および/または望ましくない回転動作を引き起こす可能性がある。この回転動作は、ハンドル・キャップ28とハンドル18との間の圧縮リング30に加えられる圧縮を変更でき、したがって、抵抗組立体26の自己固定の特性を低減する。摩擦部材48をハンドル・キャップ28とハンドル18との間に含めることによって、カテーテル10の通常の使用の間のハンドル18とハンドル・キャップ28との間の意図しない回転動作および/または望ましくない回転動作の可能性が、少なくとも部分的に低減される。つまり、摩擦部材48をハンドル18のねじ山部42とハンドル・キャップ28のねじ山部44との間に配置することで、増加された力が、ハンドル・キャップ28をハンドル18に対して回転するために必要とされ、したがって、ハンドル・キャップ28がカテーテル10の使用の間に意図せずに回転し得る可能性を低減する。さらに、ハンドル・キャップ28およびハンドル18が互いに取り外し可能に固定されるため、抵抗組立体26は、アクチュエータ20への摩擦抵抗および/または通常の力における増加または低下が望まれる場合に調整可能な状態である。
【0041】
本開示の特定の実施形態が、特定の度合いの特殊性で先に記載されてきたが、当業者は、本開示の精神または範囲から逸脱することなく、数多くの変更を開示された実施形態に対して行うことができる。すべての方向についての言及(例えば、上方、下方、上向き、下向き、左、右、左向き、右向き、上、下、上方、下方、鉛直、水平、時計回り、および反時計回り)は、本開示の読者の理解を支援する識別の目的のために用いられているだけであり、本開示の位置、配向、または使用に関して具体的に、制限を作り出すことはない。結合についての言及(例えば、取り付けられる、結合される、連結されるなど)は、幅広く解釈されるものであり、要素同士の連結の間に中間部材を含んでもよく、要素間に相対移動を含んでもよい。したがって、結合についての言及は、2つの要素が互いに固定された関係で直接的に連結されることを必ずしも暗示していない。前述の記載に含まれる、または、添付の図面に示されるすべての事項が、単に例示として解釈されるものであり、限定するものではないことが、意図されている。詳細または構造における変更は、添付の特許請求の範囲に定義されているような本開示の精神から逸脱することなく行われ得る。
【0042】
本開示の要素または本開示の好ましい実施形態を導入するとき、冠詞「a」、「an」、「the」、および「said」は、1つまたは複数の要素があることを意味することが意図されている。「備える」、「含む」、および「有する」という用語は、包括的であることが意図されており、列記された要素以外の追加の要素があり得ることを意味している。
【0043】
様々な変更が、本開示の範囲から逸脱することなく上記の構造に行われ得るため、前述の記載に含まれる、または、添付の図面に示されるすべての事項が、例示として解釈され、限定する意味ではないことが、意図されている。
以下の項目は、出願当初の特許請求の範囲に記載の要素である。
(項目1)
医療デバイスであって、
第1のねじ部品と、
前記第1のねじ部品に結合される第2のねじ部品と、
前記第1のねじ部品と前記第2のねじ部品との間に配置される摩擦部材であって、前記第1のねじ部品と前記第2のねじ部品とが互いに対して回転されるとき、前記第1のねじ部品と前記第2のねじ部品との間に摩擦抵抗を提供するようにサイズ設定および構成されている摩擦部材と、
を備える医療デバイス。
(項目2)
前記第1のねじ部品は、その外面にねじ山を備え、
前記第2のねじ部品は、その内面にねじ山を備える、項目1に記載の医療デバイス。
(項目3)
前記摩擦部材は、前記第1のねじ部品に固定される、項目1に記載の医療デバイス。
(項目4)
前記第1のねじ部品は、その外面内に形成されるポケットを備え、
前記ポケットは、前記摩擦部材をその中に受け入れるように構成されている、項目3に記載の医療デバイス。
(項目5)
前記ポケットおよび前記摩擦部材の各々は、矩形の断面を有する、項目4に記載の医療デバイス。
(項目6)
前記ポケットは、前記第1のねじ部品を実質的に取り囲み、
前記摩擦部材は、前記第1のねじ部品の外周で前記ポケット内に配置されるように構成されているリングである、項目4に記載の医療デバイス。
(項目7)
前記第1のねじ部品は、その外面に第1の長手方向位置から第2の長手方向位置に延びるねじ山を備え、
前記ポケットは、実質的に前記第1の長手方向位置から前記第2の長手方向位置に延びる、項目4に記載の医療デバイス。
(項目8)
前記第1のねじ部品は、その外面からその内面に延び、前記摩擦部材の固定部材を受け入れるように構成される孔を備える、項目3に記載の医療デバイス。
(項目9)
前記第1のねじ部品の前記孔は、前記摩擦部材の前記固定部材に形成されているねじ山と係合するように構成されるねじ山を備える、項目8に記載の医療デバイス。
(項目10)
前記摩擦部材は、前記第1のねじ部品の外面に接着される、項目3に記載の医療デバイス。
(項目11)
前記摩擦部材は、熱可塑性材料から構成されている、項目1に記載の医療デバイス。
(項目12)
前記摩擦部材は、シリコン、ポリウレタン、またはポリテトラフルオロエチレンからなる群から選択される材料から構成されている、項目10に記載の医療デバイス。
(項目13)
前記摩擦部材の少なくとも一部は、表面処理仕上げを含む、項目1に記載の医療デバイス。
(項目14)
医療デバイスであって、
近位端と偏向可能な遠位領域とを有するカテーテル・シャフトと、
前記カテーテル・シャフトの前記近位端に結合されるハンドルであって、長手方向軸に沿って前記ハンドルに対して可動なアクチュエータを含む前記ハンドルと、
前記アクチュエータに隣接して配置される抵抗組立体と、
を備え、
前記抵抗組立体は、
前記ハンドルの遠位端に位置するねじ山部にねじ結合されるハンドル・キャップと、
前記アクチュエータの周囲で、かつ前記ハンドル・キャップ内に配置される圧縮リングと、
前記ハンドル・キャップと前記ハンドルの前記ねじ山部との間に配置される摩擦部材であって、前記ハンドル・キャップと前記ハンドルとが互いに対して回転されるとき、前記ハンドル・キャップと前記ハンドルの前記ねじ山部との間に摩擦抵抗を提供するようにサイズ設定および構成される、前記摩擦部材と、
を備える、医療デバイス。
(項目15)
前記ハンドルは、その外面にねじ山を備え、
前記ハンドル・キャップは、その内面にねじ山を備える、項目14に記載の医療デバイス。
(項目16)
前記摩擦部材は、前記ハンドルに固定される、項目14に記載の医療デバイス。
(項目17)
前記ハンドルは、その外面内に形成されるポケットを備え、
前記ポケットは、前記摩擦部材をその中に受け入れるように構成される、項目16に記載の医療デバイス。
(項目18)
前記摩擦部材は、前記ハンドルの前記外面に接着される、項目14に記載の医療デバイス。
(項目19)
医療デバイスを調整する方法であって、
第1のねじ部品、前記第1のねじ部品に結合される第2のねじ部品、および前記第1のねじ部品と前記第2のねじ部品との間に配置される摩擦部材を備える医療デバイスを提供するステップと、
前記第1のねじ部品を前記第2のねじ部品に対して、前記摩擦部材によって付与される摩擦抵抗に打ち勝つのに十分な力で回転するステップと
を含む方法。
(項目20)
前記第1のねじ部品は、その外面内に形成されるポケットを備え、
前記ポケットは、前記摩擦部材をその中に受け入れるように構成される、項目19に記載の方法。