(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0023】
以降本明細書において本発明をさらに詳細に説明し、例証する。
【0024】
本発明の態様において、本明細書において該化合物とも称される薬剤物質3−(2,6
−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−1−{6−[4−(4−エチル−ピペラ
ジン−1−イル)−フェニルアミノ]−ピリミジン−4−イル}−1−メチル−尿素は、
その遊離形態で、または任意の医薬として許容されるその塩、その錯体、その共結晶、そ
の水和物またはその溶媒和物の形態で存在する。
【0025】
一実施形態では、該化合物は、その遊離塩基の形態で存在する。別の実施形態では、該
化合物は、リン酸塩として存在し;なおも別の実施形態では、一リン酸塩として存在し;
なおも別の実施形態では、無水一リン酸塩として存在する。
【0026】
一実施形態では、該化合物は、約15°、または15.0°±0.2°における特性ピ
ーク(2シータ)を含むXRPD(X線粉末回折)パターン;約13.7°、約16.8
°、約21.3°および約22.4°におけるピークから選択される1つまたは複数の特
性ピーク(2シータ)をさらに含むXRPDパターン;約9.2°、約9.6°、約18
.7°、約20.0°、約22.9°および約27.2°におけるピークから選択される
1つまたは複数の特性ピーク(2シータ)をなおもさらに含むXRPDパターンによって
特徴付けられる多形体の無水一リン酸塩として存在し、これは、WO2011/0718
21A1において「形態A」として記載されている。この開示は、この形態(実施例3)
を調製する方法を提供し、さらにこの形態(実施例5B)の特性についてさらに詳述して
おり、参照により本明細書に組み入れられる。
【0027】
本発明の態様において、薬剤物質、すなわち該化合物は、医薬調合物(ブレンド)中に
、またはカプセルの内容物中に、その遊離塩基の形態の薬剤物質が、それぞれ調合物の総
重量またはカプセルの内容物の総重量に基づいて、少なくとも3重量%の量で、好ましく
は3〜80重量%、3〜70重量%、3〜60重量%、3〜50重量%または3〜40重
量%の量で、好ましくは3.0〜40重量%、3.5〜40重量%または3.8〜40%
の量で、好ましくは6〜70重量%、8〜70重量%、10〜70重量%、15〜70重
量%、20〜70重量%の量で、好ましくは6〜60重量%、8〜60重量%、10〜6
0重量%、15〜60重量%、20〜60重量%の量で、好ましくは3.9±1重量%、
9.7±2重量%または31.6±5重量%の量で存在する。上記の量値は、遊離塩基と
しての薬剤物質を指し、すなわち可能性のある任意の塩を形成する対イオンは含まれない
。
【0028】
本発明の態様において、結合剤には、糖(例えばグルコース、スクロース)、ゼラチン
、天然ゴム(例えばアカシア、トラガカント)、ソルビトール、マルトデキストリン、ア
ルギン酸ナトリウムまたはアルギン酸塩誘導体、ポリビニルピロリドン(PVP、例えば
ISP Corp.による商標名PVP K 30 PHで知られるもの、および種々の
形態のセルロース(例えば微結晶セルロース)および誘導体(例えばメチルセルロース、
エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロー
ス)が挙げられる。好ましくは、結合剤は、セルロース誘導体(例えばメチルセルロース
、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロ
ース)であり、より好ましくはヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)であり
、さらにより好ましくはCellulose HP−M603(例えばDOW Chem
ical Corp.による)である。
【0029】
用語「結合剤」は、本明細書では、薬剤学の分野におけるその確立した意味で使用され
、例えば、顆粒の形成を可能にし、必要とされる機械強度を有する顆粒が確実に形成でき
るようにする、粘着性の圧縮を促進するものという意味で使用される。
【0030】
本発明者らは、組成物が結合剤としてHPMCを含有する場合、結合剤を含有しない組
成物に比べて、インビトロの初期の薬剤放出量が増加することを観察した。このことは、
HPMC、特にCellulose HP−M603が、本発明のための好ましい結合剤
であることを示す。
【0031】
本発明の態様において、結合剤は、医薬調合物中に、またはカプセルの内容物中に、そ
れぞれ調合物の総重量、またはカプセルの内容物の総重量に基づいて、0.1〜70重量
%、0.5〜70重量%、0.5〜60重量%、0.5〜50重量%、0.5〜40重量
%、0.5〜30重量%または0.5〜20重量%の量で、好ましくは0.5〜20重量
%または0.5〜10重量%の量で、より好ましくは0.5〜5重量%の量で存在する。
上に挙げた範囲は、上に列挙したすべての結合剤に当てはまる。好ましくは、結合剤は、
HMPCであり、0.5〜10重量%または0.5〜5重量%の量で、好ましくは1±0
.5重量%、2±1重量%または3±1重量%の量で存在する。
【0032】
本発明の態様において、崩壊剤には、デンプンおよびその誘導体[例えば、置換度の低
いカルボキシメチルデンプン、例えばGenerichem Corp.によるPrim
ogel(登録商標)、Edward Mendell Co.によるExplotab
(登録商標)、またはBlanverによるTablo(登録商標)、予めゼラチン化さ
れたデンプン、ジャガイモデンプン、トウモロコシデンプンおよびコーンデンプン]、ク
レイ(例えばVeegum HVおよびベントナイト)、架橋セルロースおよびその誘導
体[例えば架橋された形態のカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)、例えば
FMC Corp.による商標名AcDiSol(登録商標)、Nymaによる商標名N
ymcel ZSX、Avebeによる商標名Primellose(登録商標)、Bl
anverによる商標名Solutab(登録商標)で知られるもの]、架橋ポリビニル
ピロリドン(PVP XL)、例えばBASF Corp.による商標名Crospov
idone(登録商標)、BASF Corp.による商標名Kollidon CL(
登録商標)、ISP Chemicals LLCによる商標名Polyplasdon
e XL(登録商標)で知られるものが挙げられる。好ましくは、崩壊剤は、架橋ポリビ
ニルピロリドンである。好ましくは、前記架橋PVPの粒径は、63μmで粒径ふるい残
分が40〜90%(m/m)、例えば68%、125μmで粒径ふるい残分が5〜80%
(m/m)、例えば42%、250μmで粒径ふるい残分が0〜30%(m/m)、例え
ば15%であることを特徴とする。
【0033】
用語「崩壊剤」は、本明細書では、薬剤学の分野におけるその確立した意味で使用され
、例えば、急速な薬剤溶解を促進するために、顆粒または錠剤が液体と接触したときによ
り小さい断片に崩壊しやすくするものの意味で使用される。
【0034】
本発明の好ましい一実施形態において、崩壊剤は、架橋PVP(PVP XL)である
。驚くべきことに、薬剤が実験において分析目的で抽出されたとき、その中で崩壊剤がP
VP(PVP XL)である製剤において化合物Aが最も完結して抽出されたことが観察
された。
【0035】
本発明の態様において、崩壊剤は、医薬調合物中に、またはカプセルの内容物中に、そ
れぞれ調合物の総重量、またはカプセルの内容物の総重量に基づいて、0.5〜50重量
%、1〜30重量%、1〜25重量%、1〜20重量%、1〜15重量%または1〜12
重量%の量で、好ましくは1〜12重量%の量で、より好ましくは1〜4重量%の量で存
在する。上に挙げた範囲は、上に列挙したすべての崩壊剤に当てはまる。好ましくは、崩
壊剤は、架橋PVP(PVP XL)であり、1〜30重量%、1〜25重量%、1〜2
0重量%、1〜15重量%、1〜12重量%、1〜10重量%、1〜5重量%、1〜4重
量%または1〜3.5重量%の量で、好ましくは1〜4重量%の量で、より好ましくは2
±1重量%、2.5±1重量%または3±1重量%の量で、さらにより好ましくは約2.
3重量%、約2.5重量%または約3.3重量%の量で存在する。
【0036】
これらのすべての百分率値は、重量百分率値による重量であり、調合物の総重量、また
はカプセルの内容物の総重量に基づく。
【0037】
第1の態様によれば、本発明は、
(a)薬剤物質3−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−1−{6
−[4−(4−エチル−ピペラジン−1−イル)−フェニルアミノ]−ピリミジン−4−
イル}−1−メチル−尿素または任意の医薬として許容されるその塩、
(b)1種または複数の結合剤、および
(c)1種または複数の崩壊剤
を含む、経口投与のためのカプセルを提供する。
【0038】
任意選択で、前記カプセルは、さらに
(d)カプセルの内容物の総重量に基づいて、好ましくは10〜95重量%の量の、微
結晶セルロース、ラクトースおよび/またはマンニトールの群から好ましくは選択される
、1種または複数の充填剤、
(e)カプセルの内容物の総重量に基づいて0.1〜3重量%、好ましくは0.2〜2
重量%の量の、好ましくはステアリン酸マグネシウムである、1種または複数の潤滑剤、
および/または
(f)カプセルの内容物の総重量に基づいて、好ましくは0.1〜2重量%、好ましく
は0.1〜0.5重量%の量の、好ましくはコロイド状の二酸化ケイ素(コロイダルシリ
カ)である、1種または複数の滑剤
を含んでもよい。
【0039】
カプセルは、ハードカプセルまたはソフトカプセルであってもよく、好ましくはゼラチ
ンから製造されて、着色剤、加工助剤(例えば硫酸ラウリルナトリウム)および/または
保存剤を、任意選択で含む。好ましくは、カプセルは、ハードゼラチンカプセルである。
【0040】
カプセルのサイズは、0(ボディの容積0.69mL)から1、2、3または4(ボデ
ィの容積0.20mL)の範囲であってもよい。好ましくは、本発明では、サイズ0のカ
プセルは、投薬強度125mgのために使用され、サイズ1のカプセルは、投薬強度10
0mgのために使用され、サイズ3またはサイズ4のカプセルは、投薬強度25mgのた
めに使用される。カプセルのサイズは、本明細書では、医薬品産業の実践におけるツーピ
ースのハードカプセルのための標準化されたサイズであることを指し、例えばカプセルサ
イズ「1」は、容積が約0.5mL、例えば約0.48〜0.50mLであり、ロックさ
れた長さが約19〜20mm、例えば19.4mmであり、外径が約7mm、例えば6.
6mmまたは6.9mmである。
【0041】
比較的小さいカプセルサイズの使用が可能であることが本発明の利点の1つであり、こ
れは、以下にさらに詳細に記載される、高密度化された医薬調合物をベースとしており、
これは、嚥下しやすい剤形を介して、必要とされる高用量(例えば1単位当たり125m
gまで)の薬剤物質を送達することを可能にする。
【0042】
第2の態様によれば、本発明は、
(a)薬剤物質3−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−1−{6
−[4−(4−エチル−ピペラジン−1−イル)−フェニルアミノ]−ピリミジン−4−
イル}−1−メチル−尿素または任意の医薬として許容されるその塩、
(b)1種または複数の結合剤、および
(c)1種または複数の崩壊剤
を含む医薬調合物であって、少なくとも0.4g/mL、好ましくは少なくとも0.5g
/mL、少なくとも0.6g/mLまたは0.7g/mLの嵩密度を有する、医薬調合物
を提供する。好ましくは、前記医薬調合物は、加圧と圧縮とを含まない方法、好ましくは
湿式造粒を含む方法によって製造される。
【0043】
任意選択で、前記医薬調合物は、さらに
(d)カプセルの内容物の総量に基づいて、好ましくは10〜95重量%の量の、微結
晶セルロース、ラクトースおよび/またはマンニトールの群から選択される、1種または
複数の充填剤、
(e)カプセルの内容物の総量に基づいて、好ましくは0.1〜3重量%、好ましくは
0.2〜2重量%の量の、好ましくはステアリン酸マグネシウムである、1種または複数
の潤滑剤、および/または
(f)カプセルの内容物の総量に基づいて、好ましくは0.1〜2重量%、好ましくは
0.1〜0.5重量%の量の、好ましくはコロイド状の二酸化合物ケイ素(コロイダルシ
リカ)である、1種または複数の滑剤
を含んでもよい。
【0044】
好適な結合剤および崩壊剤の使用に起因して、嵩のある薬剤物質は、本発明の医薬調合
物のうちの少なくとも250mgが、ボディの容積が0.5mLであるサイズ1のカプセ
ル中へ、またはより小さいサイズのカプセル中に充填されうるような程度まで高密度化さ
れうる。
【0045】
したがって、本発明の医薬調合物の嵩密度は、カプセル充填前の「流動嵩密度」であり
、少なくとも0.4g/mL、0.5g/mL、0.6g/mL、0.7g/mL、0.
8g/mL、0.9g/mL、1.0g/mL、1.1g/mLまたは1.2g/mLで
あり、あるいは、本発明の医薬調合物の嵩密度は、カプセル充填後の「流動嵩密度」であ
り、少なくとも0.4g/mL、0.5g/mL、0.6g/mL、0.7g/mL、0
.8g/mL、0.9g/mL、1.0g/mL、1.1g/mLまたは1.2g/mL
であり、好ましくは少なくとも0.4g/mLである。あるいは、本発明の医薬調合物の
嵩密度は、「タップ嵩密度」であり、少なくとも0.5g/mL、0.6g/mL、0.
7g/mL、0.8g/mL、0.9g/mL、1.0g/mL、1.1g/mLまたは
1.2g/mLであり、好ましくは少なくとも0.5g/mL、少なくとも0.6g/m
Lまたは少なくとも0.7g/mLである。
【0046】
好ましくは、本発明の医薬調合物の嵩密度は、「タップ嵩密度」であり、少なくとも0
.5g/mL、0.6g/mL、0.7g/mL、0.8g/mL、0.9g/mL、1
.0g/mL、1.1g/mLまたは1.2g/mLであり、好ましくは少なくとも0.
5g/mL、少なくとも0.6g/mLまたは少なくとも0.7g/mLであり、より好
ましくは少なくとも0.6g/mLである。
【0047】
「流動嵩密度」はまた、しばしば「自由沈降密度(freely settled d
ensity)」または「初期嵩密度」または「フラッフ嵩密度(fluff bulk
density)」とも称され、すなわち、受け入れ容器中に粉末を単に注入した結果
として粉末が有する密度である。「タップ嵩密度」はまた、「固め嵩密度(consol
idated bulk density)」と称されることも多く、薬局方、例えば欧
州薬局方で規定されている標準的な方法に従って、220±44gの質量を有する標準化
された機器[例えば250mlのメスシリンダー(2mlまで読み取り可能)]を用いて
、3±0.2mmの高さから公称250±15回/分のタップ、または14±2mmの高
さから公称300±15回/分のタップのいずれかを与えることができる沈降化装置を用
いて測定される。メスシリンダー用支持台は、そのホルダーと共に450±10gの質量
を有する。前記標準的な方法によれば、同一の粉末試料(100g)への500回のタッ
プおよび1250回のタップが実施され、それに対応する体積V500およびV1250
が求められる。V500とV1250との差が2mL以下の場合、V1250がタップ体
積である。V500とV1250との差が2mlを超える場合、連続した測定間の差が2
ml以下になるまで、1250回のタップ等の増分で繰り返さなければならない。タップ
嵩密度は、次いで、100gの試料の重量を(最終的な)V1250の体積で割ったもの
である。
【0048】
本発明者らが、驚くべきことに、機械的負荷の適用(例えばローラー圧縮ステップ中)
が、薬剤物質の加水分解反応から知られる分解生成物の産生を引き起こすことを見出した
ため、本発明にとって、任意の加圧工程および/または圧縮工程のステップによる実質的
な機械的負荷を回避する製造方法を設計することが重要である。本発明による、実質的に
加圧と圧縮とを含まない方法は、その方法によって、調合物製造中の調合物の成分、およ
び最終調合物自体が、キロニュートン(kN)範囲内にない機械力、好ましくは10kN
を超えない、好ましくは4kNを超えない、より好ましくは1kNを超えない機械力に供
される方法である。一実施形態では、実質的に加圧と圧縮とを含まないこうした方法は、
湿式造粒のステップを含む。湿式造粒で典型的に用いられる高せん断混合機、スクリーニ
ングミルによって、または混捏によって生じる可能性のある低レベルの機械的負荷は、本
発明によれば無視できる程度と考えられる。同様に、カプセル充填の工程中に、調合物粉
末をゆるやかに圧縮させて粉末のいわゆる「プラグ」を形成するために施される低い圧縮
力(典型的には10〜100N)も無視できる程度と考えられる。実質的な機械的負荷が
存在する場合の例は、ローラー圧縮のステップ(典型的な具体的な圧縮力は、ローラーの
長さの約4〜80kN/cm、より典型的には10〜64kN/cmである)中や、錠剤
加圧のステップ(典型的な加圧力は、約5kNから100kNまで、またはそれ以上であ
る)中である。
【0049】
したがって、本発明の第3の態様では、本発明の第1の態様によって規定されるカプセ
ルを製造するための、湿式造粒工程のステップ、好ましくは、水性造粒流体、好ましくは
水を使用することによって実施される湿式造粒を含む、加圧と圧縮とを含まない方法が提
供される。
【0050】
より詳細には、第3の態様による加圧と圧縮とを含まない方法は、
(1)薬剤物質3−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−1−{6
−[4−(4−エチル−ピペラジン−1−イル)−フェニルアミノ]−ピリミジン−4−
イル}−1−メチル−尿素または任意の医薬として許容されるその塩を、1種または複数
の結合剤、および1種または複数の崩壊剤、および水性造粒流体、好ましくは水、および
任意選択で1種または複数の追加の医薬賦形剤と共に湿式造粒して顆粒を得る工程のステ
ップと、
(2)ステップ1の顆粒を、追加の医薬賦形剤、例えば滑剤(好ましくはコロイダルシ
リカまたは二酸化ケイ質)、および潤滑剤(好ましくはステアリン酸マグネシウム)、お
よび任意選択でさらなる充填剤(好ましくはマンニトールもしくはラクトース)または崩
壊剤(好ましくはPVP XL)と混合して医薬調合物を得る工程のステップと、
(3)ステップ2の医薬調合物を、カプセル中へ、好ましくはハードゼラチンカプセル
中へ機械カプセル化する工程のステップと
を特徴とする。
【0051】
第4の態様では、前記方法から得られるカプセルが提供される。
【0052】
用語「機械カプセル化」は、本明細書において、手作業かまたは機器の簡単な部品(例
えば予めドリルで孔を開けたプラスチック板)と単純なローディングデバイスの助けを借
りてカプセルを充填する任意の方法と、本発明の方法を対比させるために使用される。こ
うしたベンチスケールの充填では、きわめて少量のカプセルしか製造され得ず、典型的に
は1時間当たり50から5,000カプセルまでである。その代わりに、「機械カプセル
化」は、本明細書において、リングシステムを用いたオーガー式充填機、または薬品注入
管であるZanasi、またはドーサター型機械、または薬品注入ディスクであるHof
liger&Karg、およびタンピングフィンガー機のような機械による工業規模の充
填を指す。こうした半自動式から完全自動式までの機械で、カプセルは、1時間当たり典
型的に5,000から150,000カプセル(カプセル/時間)の生産高で製造されう
る。
【0053】
第5の態様によれば、第2の態様で規定された医薬調合物を製造するための、および前
記医薬調合物の機械カプセル化によってカプセルを製造するための湿式造粒工程のステッ
プを含む、加圧と圧縮とを含まない方法が提供され、前記湿式造粒のステップは、好まし
くは、水性造粒流体、好ましくは水を使用することによって実施される。
【0054】
より詳細には、第5の態様による加圧と圧縮とを含まない方法は、
(1)薬剤物質3−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−1−{6
−[4−(4−エチル−ピペラジン−1−イル)−フェニルアミノ]−ピリミジン−4−
イル}−1−メチル−尿素または任意の医薬として許容されるその塩を、1種または複数
の結合剤、および1種または複数の崩壊剤、および水性造粒流体、好ましくは水、および
任意選択で1種または複数の追加の医薬賦形剤と共に湿式造粒して顆粒を得る工程のステ
ップと、
(2)ステップ1の顆粒を、追加の医薬賦形剤と混合して医薬調合物を得る工程のステ
ップと
を特徴とする。
【0055】
加えて、ステップ1および2を含む、上に記載した第5の態様によるカプセルを製造す
るための加圧と圧縮とを含まない方法であって、
(3)ステップ2の医薬調合物を、カプセル中へ、好ましくはハードゼラチンカプセル
中へ機械カプセル化するステップ
をさらに含む、方法が提供される。
【0056】
第6の態様として、第5の態様による加圧と圧縮とを含まない方法によって得られうる
医薬調合物が提供される。
【0057】
第6の態様の変形として、機械カプセル化のステップ3を含む、第5の態様による加圧
と圧縮とを含まない方法によって得られうるカプセルが提供される。
【0058】
さらなる態様として、第1の態様のカプセル、またはカプセルの形態の第2の態様によ
る医薬調合物を含む投薬単位が提供される。より具体的には、このさらなる態様による投
薬単位は、薬剤物質、すなわちその遊離塩基の形態の該化合物を、1〜150mg、好ま
しくは10〜125mg、より好ましくは10mg、25mg、100mgまたは125
mgの量で含む。
【0059】
さらなる態様として、カプセルのサイズが0であり、100mgまで、または125m
gまで、または150mgまで、好ましくは125mgまで、より好ましくは100mg
から150mgまでの薬剤を含み、さらにより好ましくは、100mgまたは125mg
、さらにより好ましくは125mgの該化合物または任意のその医薬として許容される塩
を含み、薬剤用量は、該化合物のその遊離塩基の形態において算出される、第1の態様に
よるカプセルが提供される。
【0060】
さらなる態様として、カプセルのサイズが1であり、100mgまで、または125m
gまで、または150mgまで、好ましくは100mgまで、より好ましくは50mgか
ら100mg、さらにより好ましくは100mgの該化合物または任意のその医薬として
許容される塩を含み、薬剤用量は、該化合物のその遊離塩基の形態において算出される、
第1の態様によるカプセルが提供される。
【0061】
さらなる態様として、カプセルのサイズが2であり、50mgまで、または75mgま
で、または100mgまで、好ましくは50mgまで、より好ましくは25mgから50
mg、さらにより好ましくは50mgの該化合物または任意のその医薬として許容される
塩を含み、薬剤用量は、該化合物のその遊離塩基の形態において算出される、第1の態様
によるカプセルが提供される。
【0062】
さらなる態様として、カプセルのサイズが3または4であり、10mgまで、または2
5mgまで、または50mgまで、好ましくは25mgまで、好ましくは25mgの該化
合物または任意のその医薬として許容される塩を含み、薬剤用量は、該化合物のその遊離
塩基の形態において算出される、第1の態様によるカプセルが提供される。
【0063】
以下は、本発明の好ましい実施形態である:
【0064】
経口投与のためのカプセルであって、カプセルの内容物の総重量に基づいて、
(a)3〜40重量%の、一リン酸塩として存在する、遊離塩基の形態の薬剤物質3−
(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−1−{6−[4−(4−エチル
−ピペラジン−1−イル)−フェニルアミノ]−ピリミジン−4−イル}−1−メチル−
尿素、
(b)0.5〜5重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、および
(c)1〜4重量%の架橋ポリビニルピロリドン
を含む、カプセル。
【0065】
経口投与のためのカプセルであって、カプセルの内容物の総重量に基づいて、
(a)3〜40重量%の、一リン酸塩として存在する、遊離塩基の形態の薬剤物質3−
(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−1−{6−[4−(4−エチル
−ピペラジン−1−イル)−フェニルアミノ]−ピリミジン−4−イル}−1−メチル−
尿素、
(b)0.5〜5重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、
(c)1〜4重量%の架橋ポリビニルピロリドン
を含み、任意選択で、
(d)10〜95重量%の、セルロース、ラクトースおよび/またはマンニトール
をさらに含む、カプセル。
【0066】
好ましい一実施形態では、薬剤物質の範囲は、26.6〜36.6%である。好ましい
一実施形態では、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの範囲は、2〜4%である。好ま
しい一実施形態では、架橋ポリビニルピロリドンの範囲は、2〜4%である。
【0067】
きわめて好ましい一実施形態では、本発明は、以下を提供する。
【0068】
経口投与のためのカプセルであって、カプセルの内容物の総重量に基づいて、
(a)26.6〜36.6重量%の、一リン酸塩として存在する、遊離塩基の形態の薬
剤物質3−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−1−{6−[4−(
4−エチル−ピペラジン−1−イル)−フェニルアミノ]−ピリミジン−4−イル}−1
−メチル−尿素、
(b)2〜4重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、
(c)2〜4重量%の架橋ポリビニルピロリドン
を含み、任意選択で、
(d)10〜95重量%の、セルロース、ラクトースおよび/またはマンニトール
をさらに含む、カプセル。
【0069】
経口投与のためのカプセルであって、カプセルの内容物の総重量に基づいて、
(a)3〜40重量%の、一リン酸塩として存在する、遊離塩基の形態の薬剤物質3−
(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−1−{6−[4−(4−エチル
−ピペラジン−1−イル)−フェニルアミノ]−ピリミジン−4−イル}−1−メチル−
尿素、
(b)0.5〜5重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、
(c)1〜4重量%の架橋ポリビニルピロリドン
を含み、任意選択で、
(d)10〜95重量%の、セルロース、ラクトースおよび/またはマンニトール、
(e)0.2〜2重量%のステアリン酸マグネシウム、ならびに
(f)0.1〜0.5重量%のコロイダルシリカ
をさらに含む、カプセル。
【0070】
経口投与のためのカプセルであって、カプセルの内容物の総重量に基づいて、
(a)3〜15重量%の、一リン酸塩として存在する、遊離塩基の形態の薬剤物質3−
(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−1−{6−[4−(4−エチル
−ピペラジン−1−イル)−フェニルアミノ]−ピリミジン−4−イル}−1−メチル−
尿素、
(b)0.5〜5重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、
(c)1〜4重量%の架橋ポリビニルピロリドン、
(d)75〜95重量%の、セルロース、ラクトースおよび/またはマンニトール、
(e)0.2〜2重量%のステアリン酸マグネシウム、ならびに
(f)0.1〜0.5重量%のコロイダルシリカ
を含む、これらから本質的になる、またはこれらからなる、カプセル。
【0071】
経口投与のためのカプセルであって、カプセルの内容物の総重量に基づいて、
(a)30〜45重量%の、一リン酸塩として存在する、遊離塩基の形態の薬剤物質3
−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−1−{6−[4−(4−エチ
ル−ピペラジン−1−イル)−フェニルアミノ]−ピリミジン−4−イル}−1−メチル
−尿素、
(b)0.5〜5重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、
(c)1〜4重量%の架橋ポリビニルピロリドン、
(d)35〜65重量%の、セルロース、ラクトースおよび/またはマンニトール、
(e)0.2〜2重量%のステアリン酸マグネシウム、ならびに
(f)0.1〜0.5重量%のコロイダルシリカ
を含む、これらから本質的になる、またはこれらからなる、カプセル。
【0072】
経口投与のためのカプセルであって、カプセルの内容物の総重量に基づいて、
(a)30〜45重量%の、一リン酸塩として存在する、遊離塩基の形態の薬剤物質3
−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−1−{6−[4−(4−エチ
ル−ピペラジン−1−イル)−フェニルアミノ]−ピリミジン−4−イル}−1−メチル
−尿素、
(b)0.5〜5重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、
(c)1〜4重量%の架橋ポリビニルピロリドン、
(d)45〜65重量%の、セルロース、ラクトースおよび/またはマンニトール、
(e)0.2〜2重量%のステアリン酸マグネシウム、ならびに
(f)0.1〜0.5重量%のコロイダルシリカ
を含む、これらから本質的になる、またはこれらからなる、カプセル。
【実施例】
【0073】
本明細書において以降、実施例を参照して、より詳細かつ具体的に本発明を説明するが
、それにより本発明を限定することは意図されない。
【0074】
実施例1:投薬強度10mg、25mgおよび100mgのための製造工程
以下に、例証されるすべての投薬強度について、製造工程を概説する。対応する成分量
は、以下の実施例1.1、1.2および1.3の下での処方において提供する。
【0075】
調合物の製造
一リン酸塩として存在する化合物、Cellulose MK−GR、粉砕済みラクト
ース、PVP XLおよびCellulose HPM603を、湿式高せん断垂直造粒
機中で予混合して乾性調合物を得る。精製水を、内相の約35〜37%まで加える量への
造粒液体として、添加速度600g/分までで漸増的に加える。
【0076】
得られた顆粒混合物を、約3〜4分間、混捏する。
【0077】
これらの工程のステップのために使用される好適な機器は、例えばAeromatic
Fielder GP150/Fielder 65L(インペラ設定は、60〜27
0rpm、好ましくは150rpm、チョッパ設定は、600〜3000rpm、好まし
くは1500rpm)、またはColette Gral 75L(インペラ設定は、2
03〜306rpm、好ましくは300rpm、チョッパ設定は、1500〜3000r
pm)、または同等のものである。
【0078】
混捏済み顆粒の塊を、振動機または回転スクリーニングミル中、例えばAlexand
er RAN 70、Frewittまたは等価のものの中で、3.0mmを通して90
〜600rpmで篩い分ける。この工程のステップは任意選択であって省略してもよいが
、好ましくはこの工程のステップは実施する。
【0079】
顆粒を、流動化床乾燥機中で、例えばAeromatic Fielder MP1、
TR02またはGlatt FBDまたは等価のものの中で、入口空気温度55〜65℃
、好ましくは60℃で、生成物温度30〜40℃で、入口空気体積300〜1200m
3
/時間で乾燥させる。乾燥減量(LOD)の読み取りによって示される乾燥エンドポイン
ト≦2.2%は、約30〜45分後に達成される。
【0080】
代替法として、顆粒を、Fielder TK65容器中で、ジャケット温度45〜6
5℃、カバー温度48〜68℃、インペラ速度約60rpmで、30〜50mbarの真
空で乾燥させて7時間以内に乾燥エンドポイント≦2.2%に到達させる。
【0081】
乾燥させた顆粒を、振動バーまたは回転インペラを備えたスクリーニングミル(例えば
Alexander RAN 70、Frewittまたは等価のもの)中で、1.0m
mあるいは1016μmを通して約47〜177rpmで約3分以内に篩い分ける。得ら
れた乾燥され篩い分けられた顆粒はまた、本明細書において、内相とも称する。
【0082】
外相賦形剤PVP XL、マンニトール(投薬強度10mgおよび25mgについての
み)、およびAerosil 200を、振動バーまたは回転インペラを備えたスクリー
ニングミル(例えばAlexander RAN 70、Frewittまたは等価のも
の)中で、1.0mmあるいは1016μmを通して約47〜177rpmで篩い分け、
次いで好適な容器中で内相と合わせる。
【0083】
前記固体を、追加の外相賦形剤としてステアリン酸マグネシウムを加えて拡散混合機(
タンブル)またはビン混合機(例えばBohle PM400、Turbulaもしくは
等価のもの)中で約5分間、4〜25rpmで、好ましくは15rpmで調合物すること
により潤滑化して、カプセル充填の準備ができている最終調合物を得る。
【0084】
カプセルの製造
次いで、最終調合物を、サイズ1のカプセル中へ、薬品注入プレートプリンシプルを備
えた、または薬品注入管を備えたカプセル化機械(例えばHofliger&Karg
GKF 330、Bosch GKF 1500、Zanasi 12E、Zanasi
40E)によって、カプセル化速度10,000から100,000カプセル/時間ま
でで充填する。カプセルの重量を制御し、カプセルを除塵する。
【0085】
実施例1.1:投薬強度10mgのための処方
【0086】
【表1】
【0087】
実施例1.2:投薬強度25mgのための処方
【0088】
【表2】
【0089】
実施例1.3:投薬強度100mgのための処方
【0090】
【表3】
【0091】
実施例2:投薬強度25mg、100mgおよび125mgのための製造工程
以下において、例証するすべての投薬強度について製造工程を概説する。対応する成分
量は、以下の実施例2.1、実施例2.2および実施例2.3での処方で示される。
【0092】
調合物の製造
Cellulose MK−GR、ラクトース(粉砕済み)、該化合物、Cellul
ose HPM603、および架橋ポリビニルピロリドン(PVP−XL)を、順次、湿
式垂直高せん断造粒機(例えばTK Fielder、ボトム駆動、65L)中へ、造粒
機の充填容積約45〜50%で加え、次いで5種の成分を、(インペラ設定)60〜27
0rpm、好ましくは150rpmで、(チョッパ設定)600〜3000rpm、好ま
しくは1500rpmで、約5分間混合して乾性調合物を得る。
【0093】
精製水を、造粒液体として、約385g/分の速度で7分間加え(約2.7kgまでの
水を加える)、そこで噴射設定圧力は1.5barとする(インペラ設定は、60〜27
0rpm、好ましくは150rpmとし、チョッパ設定は、600〜3000rpm、好
ましくは1500rpmとする)。
【0094】
得られた顆粒混合物を、約3分間、混捏する(インペラ設定は、60〜270rpm、
好ましくは150rpmとし、チョッパ設定は、600〜3000rpm、好ましくは1
500rpmとする)。
【0095】
混捏済み顆粒の塊を、Comilを用いて3.0mmのふるいを通して90〜600r
pmで篩い分ける。この工程のステップは、任意選択であって省略してもよいが、好まし
くはこの工程のステップは実施する。
【0096】
顆粒を、流体化床乾燥機中で、例えばGlatt GPCG 15/30または等価の
ものの中で、入口空気温度55〜65℃、好ましくは60℃、生成物温度約30〜40℃
、入口空気体積300〜1200m
3/時間で乾燥させて乾燥エンドポイント≦2.2%
に到達させる。
【0097】
乾燥させた顆粒を、Comil中、800〜1000μmを通して篩い分ける。得られ
た乾燥され篩い分けられた顆粒はまた、本明細書において、内相とも称する。
【0098】
外相賦形剤PVP XLおよびAerosil 200を、Comil中、900〜1
000μmを通して約50〜150rpmで篩い分けし、次いで好適な容器(例えばビン
混合機、Turbulaまたは等価のもの)中で、4〜25rpm、好ましくは17rp
mで約5分間混合することによって内相と合わせる(33〜66%の粉末充填)。
【0099】
前記固体を、追加の外相賦形剤として、500rpmで篩い分けしたステアリン酸マグ
ネシウムを加えて拡散混合機(タンブル)中、またはビン混合機(例えばBohle P
M400、Turbulaまたは等価のもの)中で約3分間、約17rpmでブレンドす
ることによって潤滑化して、カプセル充填の準備ができている最終調合物を得る。
【0100】
カプセルの製造
次いで、最終調合物を、薬品注入プレートプリンシプルを備えた、または薬品注入管を
備えたカプセル化機械(例えばHofliger&Karg GKF 330、Bosc
h GKF 1500、Zanasi 12E、Zanasi 40E)によって、カプ
セル化速度10,000から100,000カプセル/時間までで、予め加圧することな
く、サイズ0、1または3のハードゼラチンカプセル(HGC)中に充填する。カプセル
の重量を制御し、カプセルを除塵する。
【0101】
実施例2.1:投薬強度25mgのための処方
【0102】
【表4】
【0103】
実施例2.2:投薬強度100mgのための処方
【0104】
【表5】
【0105】
実施例2.3:投薬強度125mgのための処方
【0106】
【表6】
【0107】
実施例3:調合物の密度および流動性
カプセルを、実施例1に記載した方法に従って調製したが、小規模(0.5kg未満)
とし、1.7LのMi−Proボトム駆動造粒機、Aeromaticの流体床乾燥機(
1.0L Strea)および手動のカプセル充填機器Bonapaceを使用した。
【0108】
表3は、使用した成分の量、ならびに嵩密度およびタップ密度の測定(欧州薬局方に従
う)の結果、およびカプセル充填前の最終調合物の流動性分析[Carr指数、Haus
ner比]の結果を付与している。表3はまた、収率および不合格率の観点でのカプセル
充填の結果も付与している。
【0109】
【表7-1】
【0110】
【表7-2】
【0111】
すべての調合物が、0.4g/mLより高い嵩密度(流動密度)、および0.5g/m
Lより高いタップ密度を示した。
【0112】
100mgの最終調合物は、Carr指数およびHausner比が示しているように
、粘着のリスクが低い、良好な流動性を示した。しかしながら、10mg調合物および2
5mg調合物は、流動性の問題のリスクが潜在的により高いことを示す「一応合格」と分
類された。
【0113】
すべての投薬強度について、95%超の許容されるカプセル選別収率が見出された。し
かしながら、100mg調合物では、収率がより高く、不合格の数がより少ないことを観
察した。
【0114】
これらの知見は、100mg調合物が、10mg調合物および25mg調合物よりも優
越であることを明示している。
【0115】
したがって、この実施例3で記載している100mg調合物、および実施例1の100
mg調合物、および実施例2のすべての調合物が、本発明の好ましい実施形態であるとみ
なされる。
本発明は、以下の態様を含む。
[1]
経口投与のためのカプセルであって、
(a)薬剤物質3−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−1−{6
−[4−(4−エチル−ピペラジン−1−イル)−フェニルアミノ]−ピリミジン−4−
イル}−1−メチル−尿素または任意の医薬として許容されるその塩、
(b)1種または複数の結合剤、および
(c)1種または複数の崩壊剤
を含む、カプセル。
[2]
前記薬剤物質が、リン酸塩として、好ましくは一リン酸塩として、より好ましくは無水
一リン酸塩として、さらにより好ましくは15.0°±0.2°におけるXRPDピーク
(2シータ)によって特徴付けられる多形体の無水一リン酸塩として存在する、[1]に
記載のカプセル。
[3]
1種の前記結合剤が、セルロース誘導体、好ましくはヒドロキシプロピルメチルセルロ
ース(HPMC)、より好ましくはCellulose HP−M603である、[1]
または[2]に記載のカプセル。
[4]
1種の前記崩壊剤が、架橋ポリビニルピロリドン(PVP XL)である、[1]から
[3]のいずれかに記載のカプセル。
[5]
前記カプセルの内容物の総重量に基づいて、少なくとも1重量%、好ましくは少なくと
も2重量%、より好ましくは3〜40重量%の遊離塩基の形態の前記薬剤物質を含む、[
1]から[4]のいずれかに記載のカプセル。
[6]
前記カプセルの内容物の総重量に基づいて、0.1〜50重量%、好ましくは0.5〜
20重量%、より好ましくは0.5〜5重量%の前記結合剤を含む、[1]から[5]の
いずれかに記載のカプセル。
[7]
前記カプセルの内容物の総重量に基づいて、0.1〜30重量%、好ましくは1〜12
重量%、より好ましくは1〜4重量%の前記崩壊剤を含む、[1]から[6]のいずれか
に記載のカプセル。
[8]
(a)薬剤物質3−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−1−{6
−[4−(4−エチル−ピペラジン−1−イル)−フェニルアミノ]−ピリミジン−4−
イル}−1−メチル−尿素または任意の医薬として許容されるその塩、
(b)1種または複数の結合剤、および
(c)1種または複数の崩壊剤
を含む医薬調合物であって、少なくとも0.4g/mLの嵩密度を有する、医薬調合物。
[9]
加圧と圧縮とを含まない方法によって製造される、[8]に記載の医薬調合物。
[10]
前記薬剤物質が、リン酸塩として、好ましくは一リン酸塩として、より好ましくは無水
一リン酸塩として、さらにより好ましくは15.0°±0.2°におけるXRPDピーク
(2シータ)によって特徴付けられる多形体の無水一リン酸塩として存在する、[8]ま
たは[9]に記載の医薬調合物。
[11]
1種の前記結合剤が、セルロース誘導体、好ましくはヒドロキシプロピルメチルセルロ
ース(HPMC)、より好ましくはCellulose HP−M603である、[8]
から[10]のいずれかに記載の医薬調合物。
[12]
1種の前記崩壊剤が、架橋ポリビニルピロリドン(PVP XL)である、[8]から
[11]のいずれかに記載の医薬調合物。
[13]
前記調合物の総重量に基づいて、少なくとも1重量%、好ましくは少なくとも2重量%
、より好ましくは3〜40重量%の遊離塩基の形態の前記薬剤物質を含む、[8]から[
12]のいずれかに記載の医薬調合物。
[14]
前記調合物の総重量に基づいて、0.1〜50重量%、好ましくは0.5〜20重量%
、より好ましくは0.5〜5重量%の前記結合剤を含む、[8]から[13]のいずれか
に記載の医薬調合物。
[15]
前記調合物の総重量に基づいて、0.1〜30重量%、好ましくは1〜12重量%、よ
り好ましくは1〜4重量%の前記崩壊剤を含む、[8]から[14]のいずれかに記載の
医薬調合物。
[16]
湿式造粒工程のステップを含む、[1]から[7]のいずれかに記載のカプセルを製造
するための加圧と圧縮とを含まない方法。
[17]
前記湿式造粒のステップが、水性造粒流体、好ましくは水を使用することによって実施
される、[16]に記載の加圧と圧縮とを含まない方法。
[18]
(1)薬剤物質3−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−1−{6
−[4−(4−エチル−ピペラジン−1−イル)−フェニルアミノ]−ピリミジン−4−
イル}−1−メチル−尿素または任意の医薬として許容されるその塩を、1種または複数
の結合剤、および1種または複数の崩壊剤、および任意選択で1種または複数の追加の医
薬賦形剤と共に造粒して顆粒を得る工程のステップと、
(2)ステップ1の前記顆粒を、追加の医薬賦形剤と混合して医薬調合物を得る工程の
ステップと、
(3)ステップ2の前記医薬調合物を、カプセル中へ、好ましくはハードゼラチンカプ
セル中へ機械カプセル化する工程のステップと
をさらに特徴とする、[16]または[17]に記載の加圧と圧縮とを含まない方法。
[19]
[16]から[18]のいずれかに記載の加圧と圧縮とを含まない方法によって得られ
うるカプセル。
[20]
湿式造粒工程のステップを含む、[8]から[15]のいずれかに記載の医薬調合物を
製造するための加圧と圧縮とを含まない方法。
[21]
前記湿式造粒のステップが、水性造粒流体、好ましくは水を使用することによって実施
される、[20]に記載の加圧と圧縮とを含まない方法。
[22]
(1)薬剤物質3−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−1−{6
−[4−(4−エチル−ピペラジン−1−イル)−フェニルアミノ]−ピリミジン−4−
イル}−1−メチル−尿素または任意の医薬として許容されるその塩を、1種または複数
の結合剤、および1種または複数の崩壊剤、および任意選択で1種または複数の追加の医
薬賦形剤と共に造粒して顆粒を得る工程のステップと、
(2)ステップ1の前記顆粒を、追加の医薬賦形剤と混合して前記医薬調合物を得る工
程のステップと
をさらに特徴とする、[20]または[21]に記載の加圧と圧縮とを含まない方法。
[23]
ステップ1および2を含む、[22]に記載のカプセルを製造するための加圧と圧縮と
を含まない方法であって、
(3)[22]に記載のステップ2の前記医薬調合物を、カプセル中へ、好ましくはハ
ードゼラチンカプセル中へ機械カプセル化するステップ
をさらに含む、方法。
[24]
[20]から[22]のいずれかに記載の加圧と圧縮とを含まない方法によって得られ
うる医薬調合物。
[25]
[23]に記載の加圧と圧縮とを含まない方法によって得られうるカプセル。
[26]
経口投与のための[1]から[7]、[19]または[25]のいずれかに記載のカプ
セルであって、前記カプセルの内容物の総重量に基づいて、
(a)3〜40重量%の、一リン酸塩として存在する、遊離塩基の形態の前記薬剤物質
3−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−1−{6−[4−(4−エ
チル−ピペラジン−1−イル)−フェニルアミノ]−ピリミジン−4−イル}−1−メチ
ル−尿素、
(b)0.5〜5重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、および
(c)1〜4重量%の架橋ポリビニルピロリドン
を含む、カプセル。
[27]
経口投与のための[1]から[7]、[19]または[25]のいずれかに記載のカプ
セルであって、前記カプセルの内容物の総重量に基づいて、
(a)3〜40重量%の、一リン酸塩として存在する、遊離塩基の形態の前記薬剤物質
3−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−1−{6−[4−(4−エ
チル−ピペラジン−1−イル)−フェニルアミノ]−ピリミジン−4−イル}−1−メチ
ル−尿素、
(b)0.5〜5重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、
(c)1〜4重量%の架橋ポリビニルピロリドン
を含み、任意選択で、
(d)10〜95重量%の、セルロース、ラクトースおよび/またはマンニトール
をさらに含む、カプセル。
[28]
経口投与のための[1]から[7]、[19]または[25]のいずれかに記載のカプ
セルであって、前記カプセルの内容物の総重量に基づいて、
(a)3〜40重量%の、一リン酸塩として存在する、遊離塩基の形態の前記薬剤物質
3−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−1−{6−[4−(4−エ
チル−ピペラジン−1−イル)−フェニルアミノ]−ピリミジン−4−イル}−1−メチ
ル−尿素、
(b)0.5〜5重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、
(c)1〜4重量%の架橋ポリビニルピロリドン
を含み、任意選択で、
(d)10〜95重量%の、セルロース、ラクトースおよび/またはマンニトール、
(e)0.2〜2重量%のステアリン酸マグネシウム、ならびに
(f)0.1〜0.5重量%のコロイダルシリカ
をさらに含む、カプセル。
[29]
経口投与のための[1]から[7]、[19]または[25]のいずれかに記載のカプ
セルであって、前記カプセルの内容物の総重量に基づいて、
(a)3〜15重量%の、一リン酸塩として存在する、遊離塩基の形態の前記薬剤物質
3−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−1−{6−[4−(4−エ
チル−ピペラジン−1−イル)−フェニルアミノ]−ピリミジン−4−イル}−1−メチ
ル−尿素、
(b)0.5〜5重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、
(c)1〜4重量%の架橋ポリビニルピロリドン、
(d)75〜95重量%の、セルロース、ラクトースおよび/またはマンニトール、
(e)0.2〜2重量%のステアリン酸マグネシウム、ならびに
(f)0.1〜0.5重量%のコロイダルシリカ
を含む、これらから本質的になる、またはこれらからなる、カプセル。
[30]
経口投与のための[1]から[7]、[19]または[25]のいずれかに記載のカプ
セルであって、前記カプセルの内容物の総重量に基づいて、
(a)30〜45重量%の、一リン酸塩として存在する、遊離塩基の形態の前記薬剤物
質3−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−1−{6−[4−(4−
エチル−ピペラジン−1−イル)−フェニルアミノ]−ピリミジン−4−イル}−1−メ
チル−尿素、
(b)0.5〜5重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、
(c)1〜4重量%の架橋ポリビニルピロリドン、
(d)35〜65重量%の、セルロース、ラクトースおよび/またはマンニトール、
(e)0.2〜2重量%のステアリン酸マグネシウム、ならびに
(f)0.1〜0.5重量%のコロイダルシリカ
を含む、これらから本質的になる、またはこれらからなる、カプセル。