特許第6804606号(P6804606)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大成建設株式会社の特許一覧
<>
  • 特許6804606-トンネル支保工建て込み装置 図000002
  • 特許6804606-トンネル支保工建て込み装置 図000003
  • 特許6804606-トンネル支保工建て込み装置 図000004
  • 特許6804606-トンネル支保工建て込み装置 図000005
  • 特許6804606-トンネル支保工建て込み装置 図000006
  • 特許6804606-トンネル支保工建て込み装置 図000007
  • 特許6804606-トンネル支保工建て込み装置 図000008
  • 特許6804606-トンネル支保工建て込み装置 図000009
  • 特許6804606-トンネル支保工建て込み装置 図000010
  • 特許6804606-トンネル支保工建て込み装置 図000011
  • 特許6804606-トンネル支保工建て込み装置 図000012
  • 特許6804606-トンネル支保工建て込み装置 図000013
  • 特許6804606-トンネル支保工建て込み装置 図000014
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6804606
(24)【登録日】2020年12月4日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】トンネル支保工建て込み装置
(51)【国際特許分類】
   E21D 11/40 20060101AFI20201214BHJP
【FI】
   E21D11/40 A
【請求項の数】5
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2019-174715(P2019-174715)
(22)【出願日】2019年9月25日
【審査請求日】2019年10月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】594149398
【氏名又は名称】古河ロックドリル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】内田 正孝
(72)【発明者】
【氏名】丸山 修
(72)【発明者】
【氏名】若山 真則
(72)【発明者】
【氏名】能代 泰範
(72)【発明者】
【氏名】藤城 義信
【審査官】 亀谷 英樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−017999(JP,A)
【文献】 特開平10−102996(JP,A)
【文献】 特開2009−114761(JP,A)
【文献】 特開2016−164355(JP,A)
【文献】 特開2010−156114(JP,A)
【文献】 特開2009−299421(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第106401620(CN,A)
【文献】 特開昭58−098600(JP,A)
【文献】 実開昭55−028624(JP,U)
【文献】 特開昭61−017609(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21D 1/00−9/14
E21D 11/00−19/06
E21D 23/00−23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自走式のベースマシンと、
前記ベースマシンに対して回動自在に取り付けられ、かつ伸長自在で途中位置において屈曲自在な一本の主ブームと、
前記主ブームに対して取り付けられている伸長自在な四本の枝ブームであって、該枝ブームは二本で一組となり、各組の該枝ブームはそれぞれ、支保工を構成する二つの分割支保工の一方の該分割支保工の長手方向の両端部の近傍と、他方の該分割支保工の長手方向の両端部の近傍を把持し、各組の一方の該枝ブームは前記主ブームに対して該主ブームの軸周りに回動自在に取り付けられていることを特徴とする、トンネル支保工建て込み装置。
【請求項2】
各組の前記枝ブームのうち、一方の該枝ブームは前記支保工の建て込みの際に第一方向に延出する第一枝ブームであり、他方の該枝ブームは該第一方向に交差する第二方向に延出する第二枝ブームであり、
二組の前記枝ブームを構成するそれぞれの前記第二枝ブームが前記主ブームに対して回動自在に取り付けられており、
二組の前記枝ブームのうち、前記支保工の建て込みの際に切羽から離れた位置にある該枝ブームを構成する前記第一枝ブームと前記第二枝ブームはいずれも、切羽側に伸長する第三枝ブームをさらに備えていることを特徴とする、請求項1に記載のトンネル支保工建て込み装置。
【請求項3】
前記主ブームは、前記ベースマシンに取り付けられている外側ブームと、該外側ブームから伸長する内側ブームとを備え、
第一回動機構と第二回動機構により、前記ベースマシンに対して相互に交差する二方向に広がる面内において該外側ブームが回動自在となっており、
前記内側ブームは、スライドして前記外側ブームから出入りするスライドブームと、該スライドブームに対して回動自在に取り付けられている屈曲ブームと、を備え、
前記屈曲ブームに前記四本の枝ブームが取り付けられており、
第三回動機構により、前記スライドブームに対して前記屈曲ブームが屈曲自在となっていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のトンネル支保工建て込み装置。
【請求項4】
二つの前記分割支保工の二つの端部には、トンネルの天端において他方の該分割支保工と連結されるとともにボルト孔を有する継手プレートと、トンネルの路盤に載置されて該分割支保工を支持する支持プレートと、が設けられており、
前記第二枝ブームと前記第一枝ブームはそれぞれ、前記分割支保工の前記継手プレート側の端部近傍と前記支持プレート側の端部近傍をそれぞれ把持する第二把持機構と第一把持機構を備えており、
一方の前記第二把持機構に把持されている前記分割支保工の前記継手プレートの前記ボルト孔にはボルトが取り付けられており、他方の前記第二把持機構は、一方の前記分割支保工側に伸長自在もしくはスライド自在でナットが装着された自動レンチを備えており、
双方の前記継手プレートが当接されて前記ボルトが他方の前記継手プレートの前記ボルト孔に挿通され、前記自動レンチが該ボルトに近接して前記ナットを該ボルトに螺合することにより、二つの前記分割支保工が組み付けられるようになっていることを特徴とする、請求項2又は請求項2に従属する請求項3に記載のトンネル支保工建て込み装置。
【請求項5】
前記ベースマシンに対して、吹付けコンクリートを吐出するコンクリート吹付け用マニピュレータが取り付けられていることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のトンネル支保工建て込み装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネル支保工建て込み装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば山岳トンネルにおける鋼製支保工の建て込みにおいては、ベースマシンに左右二本のエレクタが装備された支保工建て込み装置を用いて、それぞれのエレクタにて左右に分割されて円弧状をなす一対の分割支保工を把持して支保工を形成し、孔壁に沿って建て込まれた支保工に対してコンクリートを吹付けて支保工を孔壁に固定する方法により行われている。ベースマシンには、分割支保工を把持する一対のエレクタの他、コンクリートの吹付けを行う吹付け機、作業員が搭乗できるバスケットブームなど、様々な機器が装備されている。
【0003】
ここで、支保工建込み作業の最終段階での左右の支保工の位置決め操作をより確実に行うことのできる、トンネル用支保工設置装置が提案されている。具体的には、左右一対のエレクタが、支保工の保持及びその解除が可能なクランプ機構と、クランプ機構とエレクタブームとの間に介装されてクランプ機構を切羽の前面側との対向方向にスライド移動可能に支持するスライド機構と、スライド機構の作動を制御するスライド機構制御手段を構成するスライド機構駆動部とを備える。スライド機構駆動部は、操作レバーの傾倒量に応じて比例動作する油圧パイロット式の操作弁と、操作弁から導入されたパイロット圧油量に応じてスライド機構を駆動するための油圧シリンダを比例制御する作動弁と、スライド機構のスライド作動を通常モードと同期モードとに対応する油路に切り換える第一のモード切換弁と、を有する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018−193717号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のトンネル用支保工設置装置をはじめとして、従来の支保工建て込み装置は、二本の伸縮ブーム式のエレクタにより円弧状の分割支保工を一点で把持し、双方のエレクタを相互に独立して制御しながら双方の分割支保工を連続させることにより支保工を形成することから、支保工の形成には手間を要していた。そして、それぞれのエレクタの撓みや動作による振動がばらばらであることもまた、双方の分割支保工を連続させる際の施工困難性の原因となっていた。さらに、各エレクタは分割支保工の途中位置を一点で把持することから、分割支保工を安定的に把持するのが難しく、この点もまた、双方の分割支保工を連続させる際の施工困難性の原因となっていた。
【0006】
本発明は、分割支保工を安定的に把持しながら、効率的に支保工を建て込むことのできるトンネル支保工建て込み装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成すべく、本発明によるトンネル支保工建て込み装置の一態様は、
自走式のベースマシンと、
前記ベースマシンに対して回動自在に取り付けられ、かつ伸長自在で途中位置において屈曲自在な一本の主ブームと、
前記主ブームに対して取り付けられている伸長自在な四本の枝ブームであって、該枝ブームは二本で一組となり、各組の該枝ブームは支保工を構成する二つの分割支保工の二つの端部近傍を把持し、各組の一方の該枝ブームは前記主ブームに対して回動自在に取り付けられていることを特徴とする。
【0008】
本態様によれば、ベースマシンに対して回動自在に取り付けられている一本の主ブームに対して、二本で一組の計四本の枝ブームが伸長自在に取り付けられ、各組の一方の枝ブームはさらに主ブームに対して回動自在に取り付けられていることにより、二本で一組の枝ブームにて分割支保工を安定的に把持することができる。さらに、一本の共通の主ブームから延びる二組の枝ブームを作動させることにより、二本の分割支保工を連続させて支保工を形成することができるため、支保工の形成に際して各ブームの制御困難性がなく、効率的に支保工を建て込むことが可能になる。
【0009】
また、ベースマシンに回動自在に取り付けられている主ブームは、伸長自在であるとともにその途中位置において屈曲自在に構成されている。そのため、例えば、二組の枝ブームにて分割支保工を把持した状態でベースマシンが切羽の近傍まで移動し、切羽の前面において各ブームを作動して支保工を形成するに当たり、このベースマシンの移動の際には主ブームをその途中位置で例えば90度屈曲させておくことにより、円弧状の分割支保工をベースマシンの走行方向に沿う方向に配設することができる。そのため、分割支保工を把持した状態のベースマシンがトンネル内を切羽側に走行する際に、分割支保工がトンネルの断面方向(長手方向に直交する方法)に広がり、トンネル内にある他の支保工や各種機器に干渉するといった恐れが解消される。
【0010】
また、本発明によるトンネル支保工建て込み装置の他の態様において、各組の前記枝ブームのうち、一方の該枝ブームは前記支保工の建て込みの際に第一方向に延出する第一枝ブームであり、他方の該枝ブームは該第一方向に交差する第二方向に延出する第二枝ブームであり、
二組の前記枝ブームを構成するそれぞれの前記第二枝ブームが前記主ブームに対して回動自在に取り付けられており、
二組の前記枝ブームのうち、前記支保工の建て込みの際に切羽から離れた位置にある該枝ブームを構成する前記第一枝ブームと前記第二枝ブームはいずれも、切羽側に伸長する第三枝ブームをさらに備えていることを特徴とする。
【0011】
本態様によれば、二本で一組の枝ブームがいずれも伸長自在であり、かつ一方の枝ブームがさらに主ブームに対して回動自在であることにより、一組の枝ブームが伸長や回動しながら所望する曲率を有する円弧状の分割支保工を形成することができる。さらに、双方の組の枝ブームを構成する第二枝ブームが主ブームに対して回動することにより、二本の分割支保工を連続させて支保工を形成することができる。この際、二組の枝ブームのうち、支保工の建て込みの際に切羽から離れた位置にある枝ブームを構成する第一枝ブームと第二枝ブームがいずれも、切羽側に伸長する第三枝ブームをさらに備えていることにより、この第三枝ブームを切羽側に伸長させることにより、切羽の前面において二本の分割支保工から連続した支保工を形成することができる。
ここで、「第一方向」としては、例えば水平方向や略水平方向が挙げられ、「第二方向」は、第二枝ブームが主ブームに対して回動することから様々な方向に変化し得る。
【0012】
また、本発明によるトンネル支保工建て込み装置の他の態様において、前記主ブームは、前記ベースマシンに取り付けられている外側ブームと、該外側ブームから伸長する内側ブームとを備え、
第一回動機構と第二回動機構により、前記ベースマシンに対して相互に交差する二方向に広がる面内において該外側ブームが回動自在となっており、
前記内側ブームは、スライドして前記外側ブームから出入りするスライドブームと、該スライドブームに対して回動自在に取り付けられている屈曲ブームと、を備え、
前記屈曲ブームに前記四本の枝ブームが取り付けられており、
第三回動機構により、前記スライドブームに対して前記屈曲ブームが屈曲自在となっていることを特徴とする。
【0013】
本態様によれば、主ブームを構成する外側ブームが、第一回動機構と第二回動機構にてベースマシンに対して二方向に広がる面内を回動することにより、支保工の建て込みの際の微調整を外側ブームの動作により高精度に行うことができる。ここで、「二方向に広がる面内」のうちの一つの方向に広がる面内としては、水平方向や水平方向から所定角度傾斜した略水平方向に広がる面内が挙げられ、他の一つの方向に広がる面内としては、鉛直方向に広がる面内が挙げられる。例えば、第一回動機構と第二回動機構により、外側ブームは、水平方向もしくは略水平方向に広がる面内におけるスイング動作と、鉛直方向に広がる面内におけるチルト動作を行うことができる。
【0014】
また、内側ブームが、外側ブームから出入りするスライドブームと、スライドブームに対して第三回動機構を介して屈曲自在に取り付けられるとともに四本の枝ブームが取り付けられている屈曲ブームとを備えていることにより、外側ブームから出入りするスライドブームに対して、例えばその長手方向と該長手方向に直交する方向の間で屈曲ブームと四本の枝ブームを精度よく回動させることができる。このことにより、既述するようにベースマシンの移動時の分割支保工の姿勢(移動方向に沿う姿勢)と、支保工建て込み時の分割支保工の姿勢(切羽に平行な姿勢)の二方向の姿勢制御を実行することができる。
ここで、第一回動機構と第二回動機構、及び第三回動機構は、例えばアクチュエータと該アクチュエータにて摺動するロッドにより構成でき、油圧シリンダ機構、モータとラックピニオンによる機構、モータとボールネジによる機構など、様々な形態の回動機構が適用できる。
【0015】
また、本発明によるトンネル支保工建て込み装置の他の態様において、二つの前記分割支保工の二つの端部には、トンネルの天端において他方の該分割支保工と連結されるとともにボルト孔を有する継手プレートと、トンネルの路盤に載置されて該分割支保工を支持する支持プレートと、が設けられており、
前記第二枝ブームと前記第一枝ブームはそれぞれ、前記分割支保工の前記継手プレート側の端部近傍と前記支持プレート側の端部近傍をそれぞれ把持する第二把持機構と第一把持機構を備えており、
一方の前記第二把持機構に把持されている前記分割支保工の前記継手プレートの前記ボルト孔にはボルトが取り付けられており、他方の前記第二把持機構は、一方の前記分割支保工側に伸長自在もしくはスライド自在でナットが装着された自動レンチを備えており、
双方の前記継手プレートが当接されて前記ボルトが他方の前記継手プレートの前記ボルト孔に挿通され、前記自動レンチが該ボルトに近接して前記ナットを該ボルトに螺合することにより、二つの前記分割支保工が組み付けられるようになっていることを特徴とする。
【0016】
本態様によれば、それぞれの組の第二枝ブームの有する第二把持機構のうち、一方の第二把持機構が把持する一方の分割支保工の継手プレートから延びるボルトが、他方の第二把持機構が把持する他方の分割支保工の継手プレートのボルト孔に挿通され、該他方の第二把持機構に装着されているスライド自在でナットが装着された自動レンチが作動してナットをボルトに螺合することにより、作業員が切羽にアクセスして分割支保工同士をボルトナットにて固定する作業を解消して、自動制御によるボルトナット接続を行うことができる。そのため、切羽の近傍に作業員が立ち入る際の施工危険性が解消され、安全な支保工建て込み施工が実現されるとともに、効率的な支保工の建て込みによる作業時間の短縮化を図ることができる。
【0017】
また、本発明によるトンネル支保工建て込み装置の他の態様は、前記ベースマシンに対して、吹付けコンクリートを吐出するコンクリート吹付け用マニピュレータが取り付けられていることを特徴とする。
【0018】
本態様によれば、切羽の前面に支保工を建て込んだ後、コンクリート吹付け用マニピュレータを作動して例えば支保工の下部(脚部)に吹付けコンクリートを施工することにより、孔壁に対して支保工を固定することができる。尚、コンクリート吹付け用マニピュレータとして、ベースマシンの前面の左右に二基のブーム式のマニピュレータを設けることにより、形成された支保工の二つの脚に吹付けコンクリートを速やかに施工することが可能になる。
【発明の効果】
【0019】
本発明のトンネル支保工建て込み装置によれば、分割支保工を安定的に把持しながら、効率的に支保工を建て込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施形態に係るトンネル支保工建て込み装置の一例を示す斜視図であって、二つの分割支保工を把持しながら支保工を形成している状態を示す図である。
図2】トンネル支保工建て込み装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図3】支保工建て込み方法の一例を示す工程図である。
図4図3に続いて支保工建て込み方法の一例を示す工程図である。
図5図4に続いて支保工建て込み方法の一例を示す工程図である。
図6図5に続いて支保工建て込み方法の一例を示す工程図である。
図7図6に続いて支保工建て込み方法の一例を示す工程図である。
図8図7に続いて支保工建て込み方法の一例を示す工程図である。
図9図8に続いて支保工建て込み方法の一例を示す工程図である。
図10】一方の第一枝ブームの第一把持機構が分割支保工を把持する前の状態を示す図である。
図11】一方の第一枝ブームの第一把持機構が分割支保工を把持している状態を示す図である。
図12A】双方の分割支保工の継手プレートが当接される前の状態を示す図である。
図12B】双方の分割支保工の継手プレートが当接され、ボルトに対してナットが螺合されている状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、実施形態に係るトンネル支保工建て込み装置の一例について、添付の図面を参照しながら説明する。尚、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く場合がある。
【0022】
[実施形態に係るトンネル支保工建て込み装置]
はじめに、図1及び図2を参照して、実施形態に係るトンネル支保工建て込み装置の一例について説明する。ここで、図1は、実施形態に係るトンネル支保工建て込み装置の一例を示す斜視図であって、二つの分割支保工を把持しながら支保工を形成している状態を示す図であり、図2は、トンネル支保工建て込み装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0023】
支保工建て込み装置100は、自走式のベースマシン10と、ベースマシン10の前面(進行方向前面)に回動自在に取り付けられている一本の主ブーム30と、主ブーム30に伸長自在に取り付けられている四本の枝ブーム41A,41B,42A,42Bとを有する。
【0024】
ベースマシン10は、二対の車輪2、左右に張り出すアウトリガ3を有し、トンネル内を走行し、支保工の建て込みの際にはアウトリガ3を張出してベースマシン10を路盤に安定的に支持するようになっている。ベースマシン10の後部には、油圧装置、エンジン、電動モータやコンプレッサ(いずれも図示せず)等の各種駆動手段が搭載されている。尚、ベースマシンは、車輪により走行する形態以外にも、クローラ機構により走行する形態であってもよい。
【0025】
図1において、ベースマシン10の前面には一本の主ブーム30が回動自在に取り付けられており、その他のブームはベースマシン10に取付けられていないが、例えばベースマシンの前面の左右位置には二基のコンクリート吹付け用マニピュレータ(吹付けブーム)が取り付けられるのが望ましい。また、その他、作業員を載せて伸長自在なバケットブーム等がベースマシンに取り付けられていてもよい。
【0026】
ベースマシン10の操作室内には、主ブーム30や枝ブーム40A,40Bの他、各種回動機構の作動制御を実行するコントローラ20が搭載されている。
【0027】
主ブーム30は、ベースマシン10に回動自在に取り付けられている外側ブーム31と、外側ブーム31から伸長する内側ブーム32とを備える。ベースマシン10の前面にあって相互に直交する二つの回動軸35,36に対し、外側ブーム31が二方向に回動自在に取り付けられている。
【0028】
また、ベースマシン10の前面と外側ブーム31には、第一回動機構60と第二回動機構70が取り付けられている。第一回動機構60は、第一油圧シリンダ61(第一アクチュエータの一例)と、第一油圧シリンダ61により摺動する第一ロッド62とを有する。一方、第二回動機構70は、第二油圧シリンダ71(第二アクチュエータの一例)と、第二油圧シリンダ71により摺動する第二ロッド72とを有する。
【0029】
ベースマシン10の前面のうち、外側ブーム31の下方位置に第一油圧シリンダ61の脚部が回動自在に取り付けられており、外側ブーム31の下面に第一ロッド62の先端が回動自在に取付けられている。一方、ベースマシン10の前面の左右いずれか一方の側方位置に第二油圧シリンダ71の脚部が回動自在に取り付けられており、外側ブーム31の左右いずれか一方の側面に第二ロッド72の先端が回動自在に取り付けられている。
【0030】
第一回動機構60を作動して、第一油圧シリンダ61から第一ロッド62を伸長することにより、外側ブーム31は回動軸35を介して、鉛直方向に広がる面内においてY1方向にチルト動作を実行する。一方、第二回動機構70を作動して、第二油圧シリンダ71から第二ロッド72を伸長することにより、外側ブーム31は回動軸36を介して水平方向や略水平方向に広がる面内においてY2方向にスイング動作を実行する。
【0031】
外側ブーム31の内部には、油圧シリンダ機構(図示せず)が装備されており、この油圧シリンダ機構により、外側ブーム31から内側ブーム32がZ1方向に伸縮(出入り)するように構成されている。
【0032】
内側ブーム32は、スライドして外側ブーム31から出入りするスライドブーム33と、スライドブーム33に対して回動軸37を介してY3方向に屈曲(回動)自在に取り付けられている屈曲ブーム34とを有する。
【0033】
また、スライドブーム33と屈曲ブーム34には、第三回動機構80が取り付けられている。第三回動機構80は、第三油圧シリンダ81(第三アクチュエータの一例)と、第三油圧シリンダ81により摺動する第三ロッド82とを有する。スライドブーム33には第三油圧シリンダ81が回動自在に取り付けられており、屈曲ブーム34には第三ロッド82が回動自在に取り付けられている。
【0034】
屈曲ブーム34は、平面寸法が広い広幅部34aを有し、広幅部34aの一つの広幅面において、二つの第二枝ブーム42A、42Bが長さtの離間を有した状態で、それぞれ回動軸43、44を介してY4方向及びY5方向に回動自在に取り付けられている。
【0035】
一方、広幅部34aの左右の側面(上記広幅面に直交する左右の側面)には、第一枝ブーム41A,41Bが水平方向(第一方向の例)に延設するようにして取り付けられている。第一枝ブーム41A,41Bの延設する第一方向に対して、回動自在な第二枝ブーム42A、42Bは第一方向に交差する第二方向に延設している。
【0036】
第一枝ブーム41Aは油圧シリンダ機構(図示せず)を内部に装備しており、Z2方向に伸縮自在である。また、第二枝ブーム42Aは油圧シリンダ機構(図示せず)を内部に装備しており、Z3方向に伸縮自在である。第一枝ブーム41Aと第二枝ブーム42Aが一組の枝ブーム40Aを構成し、支保工Sを構成する湾曲状の分割支保工DS1の両端近傍を把持する。また、分割支保工DS1のうち、他の分割支保工DS2と接続される側の一方の端部には継手プレートJP1が取り付けられ、他方の端部にはトンネルの路盤に載置されて分割支保工DS1を支持する支持プレートSP1が取り付けられている。
【0037】
一方、第一枝ブーム41Bは油圧シリンダ機構(図示せず)を内部に装備しており、Z4方向に伸縮自在である。また、第二枝ブーム42Bは油圧シリンダ機構(図示せず)を内部に装備しており、Z5方向に伸縮自在である。第一枝ブーム41Bと第二枝ブーム42Bが他の一組の枝ブーム40Bを構成し、支保工Sを構成する湾曲状の分割支保工DS2の両端近傍を把持する。尚、分割支保工DS2のうち、他の分割支保工DS1と接続される側の一方の端部には継手プレートJP2が取り付けられ、他方の端部にはトンネルの路盤に載置されて分割支保工DS2を支持する支持プレートSP2が取り付けられている。尚、分割支保工DS1、DS2はいずれも、同寸法及び同仕様のH形鋼により形成される鋼製支保工である。
【0038】
枝ブーム40A、40Bのうち、支保工Sに対して後方側(ベースマシン10側)に位置する枝ブーム40Aを構成する第一枝ブーム41Aと第二枝ブーム42Aのそれぞれの先端には、第一枝ブーム41Aと第二枝ブーム42Aの長手方向に直交して主ブーム30の長手方向に平行に延設する第三枝ブーム50A,50Bが取り付けられている。第三枝ブーム50A、50Bはいずれも油圧シリンダ機構(図示せず)を内部に装備しており、それぞれZ6方向とZ7方向に伸縮自在である。
【0039】
第三枝ブーム50A、50Bの先端にはそれぞれ、第一把持機構91Aと第二把持機構92Aが装着されており、第一把持機構91Aと第二把持機構92Aが一方の分割支保工DS1の両端近傍を把持する。
【0040】
一方、第一枝ブーム41Bと第二枝ブーム42Bの先端にはそれぞれ、第一把持機構91Bと第二把持機構92Bが装着されており、第一把持機構91Bと第二把持機構92Bが他の分割支保工DS2の両端近傍を把持する。
【0041】
図2に示すように、コントローラ20は、CPU(Central Processing Unit)21、RAM(Random Access Memory)22、ROM(Read Only Memory)23、HDD(Hard Disc Drive)24、及びNVRAM(Non-Volatile RAM)25等を有し、それらがシステムバスにてデータ通信可能に接続されている。
【0042】
ROM23には、各種のプログラムやプログラムによって利用されるデータ等が記憶されている。RAM22は、ROM23に記憶されているプログラムをロードするための記憶領域や、ロードされたプログラムのワーク領域として用いられる。CPU21は、RAM22にロードされたプログラムを処理することにより、各種の機能を実現する。例えば、記憶されているトンネルの曲率に応じて、二つの分割支保工DS1,DS2を変形させる際の第一枝ブーム41A,41Bと第二枝ブーム42A、42Bの伸長量が制御される。HDD24には、プログラムやプログラムが利用する各種のデータ等が記憶される。NVRAM25には、各種の設定情報等が記憶される。
【0043】
操作室にある不図示の操作レバー等を操作すると、コントローラ20により、ベースマシン10に装備されている各種機器(ハードウェア)の動作が制御される。すなわち、主ブーム30を構成するスライドブーム33をスライドさせる油圧シリンダ機構、第一枝ブーム41A,41Bや第二枝ブーム42A,42B、第三枝ブーム50A,50Bをスライドさせる油圧シリンダ機構の動作を制御する。また、第一回動機構60、第二回動機構70、第三回動機構80、及び以下で記載する第四回動機構95の動作を制御する。
【0044】
尚、支保工建て込み装置100を構成する第一回動機構60等の回動機構や、主ブーム30を構成するスライドブーム33等をスライドさせる油圧シリンダ機構は、いずれも油圧シリンダと油圧シリンダにより摺動するロッドにより構成される機構であるが、これ以外にも、モータとラックピニオンによる機構、モータとボールネジによる機構など、様々な形態の機構が適用できる。
【0045】
[トンネル支保工建て込み方法の一例]
次に、図3乃至図12を参照して、支保工建て込み装置100を適用して、山岳トンネルにおいて切羽の近傍に鋼製支保工を建て込む方法の一例について説明するとともに、把持機構の構成の一例を合わせて説明する。ここで、図3乃至図9は順に、支保工建て込み方法の一例を示す工程図である。
【0046】
図3に示すように、切羽から離れた坑口側において、枝ブーム40Aを構成する第一枝ブーム41Aの第一把持機構91Aと、第二枝ブーム42Aの第二把持機構92Aが一方の分割支保工DS1の両端近傍を把持し、枝ブーム40Bを構成する第二枝ブーム41Bの第一把持機構91Bと、第二枝ブーム42Bの第二把持機構92Bが他方の分割支保工DS2の両端近傍を把持する。
【0047】
そして、第三回動機構80を構成する第三油圧シリンダ81に第三ロッド82をZ8方向に引き込むことにより、スライドブーム33に対して回動軸37を介して屈曲ブーム34をY6方向に90度屈曲させる。この屈曲ブーム34の屈曲により、枝ブーム40A、40Bによりそれぞれ二箇所で把持されている湾曲状の分割支保工DS1、DS2を、トンネルT内における支保工建て込み装置100の進行方向であるX1方向に沿う方向に揃える。
【0048】
このように、分割支保工DS1、DS2を、支保工建て込み装置100の進行方向に沿う方向に揃えた状態でベースマシン10を切羽側に走行させることにより、分割支保工DS1、DS2がベースマシン10の左右の側方に広がった状態で移動する際に、分割支保工DS1、DS2が既に設置されている支保工やトンネルT内にある各種機器、あるいは作業員と干渉する恐れが解消される。
【0049】
次に、図4に示すように、ベースマシン10をトンネルTの断面の中央位置の切羽Kの近傍であって、スライドブーム33を伸長させた際に各分割支保工DS1,DS2が切羽Kに当接可能な位置まで近接させる。そして、第三油圧シリンダ81から第三ロッド82をZ9方向に伸長させることにより、スライドブーム33に対して回動軸37を介して屈曲ブーム34をY7方向に90度屈曲させ、主ブーム30を構成する外側ブーム31と内側ブーム32を直線状に揃える。この制御により、枝ブーム40A、40Bにてそれぞれ二点で把持されている分割支保工DS1、DS2を切羽Kの正面に正対させる。
【0050】
図4からも明らかなように、屈曲ブーム34において、一方の分割支保工DS1を二点で把持する枝ブーム40Aは、他方の分割支保工DS2を二点で把持する枝ブーム40Bよりも切羽Kから離れたベースマシン10側に長さtだけセットバックしている。このように、双方の枝ブーム40A、40Bが長さtだけ離間した状態で屈曲ブーム34に取り付けられていることにより、図3に示すベースマシン10の移動時や図4に示す支保工形成時において、双方の枝ブーム40A、40Bの干渉を回避することができる。
【0051】
図4に示す状態では、枝ブーム40A、40Bは正規の建て込み位置よりも切羽Kから離れた位置にあり、さらに、分割支保工DS1,DS2はトンネル断面に応じた正規の曲率を有した状態となっていない。そこで、次に、図5に示すように、外側ブーム31から内側ブーム32を切羽K側へZ10方向に伸長させ、正規の建て込み位置となる切羽Kの前方に分割支保工DS1,DS2を載置する。
【0052】
次に、図6に示すように、図5においては寝ていた状態の第二枝ブーム42Bを回動軸44を中心にY8方向に回動させ、屈曲ブーム34の広幅部34aの上面において鉛直方向に起立させる。さらに、第一枝ブーム41Bと第二枝ブーム42BをそれぞれZ12方向とZ11方向に伸長させることにより、分割支保工DS2をトンネルTの断面に応じた曲率となるように変形させる。
【0053】
次に、図7に示すように、図6においては寝ていた状態の第二枝ブーム42Aを回動軸43を中心にY9方向に回動させ、屈曲ブーム34の広幅部34aの上面において鉛直方向から僅かに傾斜した方向に起立させる。すなわち、ここでは、分割支保工DS2の端部の継手プレートJP2と、分割支保工DS1の端部の継手プレートJP1との間に、例えば10cm程度の僅かな隙間sが生じるようにして第二枝ブーム42Aを起立させる。さらに、第一枝ブーム41Aと第二枝ブーム42AをそれぞれZ14方向とZ13方向に伸長させることにより、分割支保工DS1をトンネルTの断面に応じた曲率となるように変形させる。
【0054】
次に、図8に示すように、分割支保工DS2から長さt後方にセットバックした位置にある分割支保工DS1を二点で把持する第三枝ブーム50A,50Bを、それぞれ切羽K側へZ16方向とZ15方向に長さt伸長させることにより、分割支保工DS1,DS2を切羽Kの前面において同一断面内に位置決めすることができる。
【0055】
ここで、第三枝ブーム50A,50Bをいずれも長さt伸長させるに当たり、長さtを各ブームの有するシリンダ機構のシリンダーエンドに設定しておいてもよいし、シリンダ内においてロッドが長さt伸長した位置にストッパが装備されていてもよい。
【0056】
分割支保工DS2の端部の継手プレートJP2と、分割支保工DS1の端部の継手プレートJP1との間に、例えば10cm程度の僅かな隙間sが生じるようにして第二枝ブーム42Aが起立していることにより、第三枝ブーム50A,50Bが長さt伸長して図8に示す状態となる際に、継手プレートJP2、JP1が相互に干渉することが解消される。
【0057】
次に、図9に示すように、第二枝ブーム42Aを回動軸43を中心にY10方向に僅かに回動させ、屈曲ブーム34の広幅部34aの上面において鉛直方向に起立させることにより、継手プレートJP2、JP1が相互に当接される。
【0058】
次に、図10乃至図12を参照して、継手プレートJP2、JP1を相互に当接した後、双方の継手プレートJP2、JP1をボルトナットにて自動接続することにより支保工Sを形成する方法について、把持機構の構成を含めて説明する。ここで、図10は、一方の第一枝ブームの第一把持機構が分割支保工を把持する前の状態を示す図であり、図11は、一方の第一枝ブームの第一把持機構が分割支保工を把持している状態を示す図である。さらに、図12Aは、双方の分割支保工の継手プレートが当接される前の状態を示す図であり、図12Bは、双方の分割支保工の継手プレートが当接され、ボルトに対してナットが螺合されている状態を示す図である。
【0059】
図10に示すように、継手プレートJP1を端部に備えた分割支保工DS1の端部近傍を把持する第二把持機構92Aは、二つの回動軸94を中心に回動して分割支保工DS1を把持する把持姿勢と把持解除姿勢を形成する二つのチャック93と、第四回動機構95とを有し、第四回動機構95は、第四油圧シリンダ95Aと、第四油圧シリンダ95Aにて摺動される第四ロッド95とを有する。尚、図示を省略するが、他方の分割支保工DS2の端部近傍を把持する第二把持機構92Bも同様の構成を有する。また、第一把持機構91A,91Bの詳細な説明は省略するが、第一把持機構91A,91Bはいずれも、分割支保工DS1,DS2の端部近傍をスライド自在なローラ機構と、所望位置において当該端部近傍を固定するチャックとを備えている。
【0060】
第二把持機構92Aは、継手プレートJP1と面一となる当接プレート97Aを備えており、当接プレート97Aの前面には二つの係合突起97Bが設けられている。
【0061】
これに対して、第二把持機構92Bは、図12A及び図12Bに示すように、継手プレートJP2と面一となる当接プレート98Aを備えており、当接プレート98Aの前面のうち、二つの係合突起97Bに対応する位置に二つの係合凹部98Bが設けられている。
【0062】
図10に戻り、二つのチャック93の先端にはいずれも、自動レンチ96が取り付けられており、それぞれの自動レンチ96の先端にはナットNが固定されている。例えば、自動レンチ96の回転部に対して、ナットNを磁石等により固定することができる。
【0063】
図11に示すように、二つのチャック93を回動軸94を中心にY11方向に回動させることにより、双方のチャック93に取り付けられている自動レンチ96によって分割支保工DS1のウエブが挟持される。そして、継手プレートJP1には二つのボルト孔BHが開設されており、二つの自動レンチ96が分割支保工DS1のウエブを挟持した状態において、各自動レンチ96に固定されている二つのナットNが二つのボルト孔BHに位置合わせされるようになっている。
【0064】
図12Aに示すように、第二枝ブーム42Bの第二把持機構92Bに把持されて既に位置決めされている分割支保工DS2の継手プレートJP2にも、二つのボルト孔BHが開設されており、各ボルト孔BHにはボルトBが挿通され、溶接等により固定されている。
【0065】
図12Aに示すように、第二枝ブーム42AをY10方向に回動させることにより、二つの係合凹部98Bに対してそれぞれ対応する係合突起97Bが案内され、図12Bに示すように双方が係合することにより、継手プレートJP1,JP2が相互に当接される。そして、このように継手プレートJP1,JP2が相互に当接される過程で、継手プレートJP2に固定されている二つのボルトBは継手プレートJP1に開設されている対応するボルト孔BHに挿通される。
【0066】
二つの自動レンチ96はいずれも、ナットNを回転させる回転部を他方の継手プレート側に伸長できる伸長機構を備えている(図示せず)。各ボルト孔BHにボルトBが挿通された後、二つの自動レンチ96の伸長機構によりナットNが固定された回転部がボルトB側に移動される。回転部の移動によりボルトBに対してナットNがセットされた後、自動レンチ96が自動制御回転されることによってナットNが締め付けられる。このナットNの自動締付けにより、相互に当接した継手プレートJP1,JP2がボルトナットにより接合されて、支保工Sが形成される。
【0067】
支保工Sが形成された後、第一把持機構91A,91Bによる分割支保工DS1,DS2の脚部の把持を解除し、コンクリート吹付け用マニピュレータにて支保工Sの左右の脚部に吹付けコンクリートを施工して孔壁に固定する。支保工Sの脚部が孔壁に固定された後、トンネルの天端における第二把持機構92A,92Bの把持を解除し、各ブームを縮めることにより、支保工Sの建て込みが完了する。
【0068】
図示する支保工建て込み装置100を用いた支保工建て込み方法によれば、ベースマシン10に対して回動自在に取り付けられている一本の主ブーム30に対して、二本で一組の計四本の枝ブーム41A,41B、42A、42Bが伸長自在に取り付けられ、各組の枝ブーム42A,42Bはさらに主ブーム30に対して回動自在に取り付けられていることにより、二本で一組の枝ブーム40A,40Bにて分割支保工DS1,DS2を安定的に把持することができる。さらに、一本の共通の主ブーム30から延びる二組の枝ブーム40A,40Bを動作させることにより、二本の分割支保工DS1,DS2を連続させて支保工Sを形成することができるため、支保工Sの形成に際して各ブーム40A,40Bの制御困難性がなく、効率的に支保工Sを建て込むことができる。さらに、分割支保工DS1,DS2の建て込みから最後のボルト締結に至る全工程において、切羽Kの近傍に作業員が立ち入る必要がなく、このように作業員が立ち入る際の施工危険性が解消され、安全な支保工建て込み施工が実現されるとともに、効率的な支保工Sの建て込みによる作業時間の短縮化を図ることができる。
【0069】
尚、上記実施形態に挙げた構成等に対し、その他の構成要素が組み合わされるなどした他の実施形態であってもよく、また、本発明はここで示した構成に何等限定されるものではない。この点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0070】
10:ベースマシン
20:コントローラ
30:主ブーム
31:外側ブーム
32:内側ブーム
33:スライドブーム
34:屈曲ブーム
35,36,37:回動軸
40A,40B:枝ブーム
41A,41B:第一枝ブーム(枝ブーム)
42A、42B:第二枝ブーム(枝ブーム)
43,44:回動軸
50A,50B:第三枝ブーム
60:第一回動機構
61:第一アクチュエータ(第一油圧シリンダ)
62:第一ロッド
70:第二回動機構
71:第二アクチュエータ(第二油圧シリンダ)
72:第二ロッド
80:第三回動機構
81:第三アクチュエータ(第三油圧シリンダ)
82:第三ロッド
91A,91B:第一把持機構
92A,92B:第二把持機構
93:チャック
94:回動軸
95:第四回動機構
95A:第四アクチュエータ(第四油圧シリンダ)
95B:第四ロッド
96:自動レンチ
97A、98A:当接プレート
97B:係合突起
98B:係合凹部
100:トンネル支保工建て込み装置(支保工建て込み装置)
T:トンネル
K:切羽
S:支保工
DS1、DS2:分割支保工
JP1,JP2:継手プレート
SP1,SP2:支持プレート
BH:ボルト孔
N:ナット
B:ボルト
【要約】
【課題】分割支保工を安定的に把持しながら、効率的に支保工を建て込むことのできるトンネル支保工建て込み装置を提供する。
【解決手段】自走式のベースマシン10と、ベースマシン10に対して回動自在に取り付けられ、かつ伸長自在で途中位置において屈曲自在な一本の主ブーム30と、主ブーム30に対して取り付けられている伸長自在な四本の枝ブーム41A,41B、42A、42Bであって、枝ブームは二本で一組となり、各組の枝ブーム40A,40Bは支保工Sを構成する二つの分割支保工DS1,DS2の二つの端部近傍を把持し、各組の一方の枝ブーム42A、42Bは主ブーム30に対して回動自在に取り付けられているトンネル支保工建て込み装置100である。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B