特許第6804617号(P6804617)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6804617改善された強度および成形性を有する高強度鋼シートを製造するための方法および得られたシート
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6804617
(24)【登録日】2020年12月4日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】改善された強度および成形性を有する高強度鋼シートを製造するための方法および得られたシート
(51)【国際特許分類】
   C21D 9/46 20060101AFI20201214BHJP
   C22C 38/00 20060101ALI20201214BHJP
   C22C 38/12 20060101ALI20201214BHJP
【FI】
   C21D9/46 G
   C21D9/46 T
   C22C38/00 301S
   C22C38/00 301W
   C22C38/12
【請求項の数】8
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2019-195914(P2019-195914)
(22)【出願日】2019年10月29日
(62)【分割の表示】特願2016-575863(P2016-575863)の分割
【原出願日】2015年7月3日
(65)【公開番号】特開2020-50956(P2020-50956A)
(43)【公開日】2020年4月2日
【審査請求日】2019年11月20日
(31)【優先権主張番号】PCT/IB2014/002296
(32)【優先日】2014年7月3日
(33)【優先権主張国】IB
(73)【特許権者】
【識別番号】515214729
【氏名又は名称】アルセロールミタル
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラッシュミ・ランジャン・モーハンティ
(72)【発明者】
【氏名】ヒョン・ジョー・ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ドンウエイ・ファン
(72)【発明者】
【氏名】パバン・ケイ・シー・ベンカタスーリヤ
【審査官】 伊藤 真明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−090475(JP,A)
【文献】 特開2012−229466(JP,A)
【文献】 特開2008−038247(JP,A)
【文献】 特開2013−040383(JP,A)
【文献】 特許第6515119(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C21D 9/46− 9/48
C22C 38/00−38/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
改善された強度および改善された成形性を有する高強度鋼シートを製造するための方法であって、前記鋼シートが、少なくとも850MPaの降伏強度YS、少なくとも1180MPaの引張強度TS、少なくとも13%の全伸びおよび少なくとも30%の穴広げ率HERを有し、前記方法が、重量%単位で以下の化学組成:
0.13%≦C≦0.22%
1.2%≦Si≦1.8%
1.8%≦Mn≦2.2%
0.10%≦Mo≦0.20%
0.02%≦Nb≦0.05%
Al≦0.05%
を含有し、残部はFeおよび不可避の不純物である鋼でできたシートを熱処理することによるものであり、ここで、前記シートの熱処理が、以下の工程:
− 865℃より高いが、1000℃未満である焼鈍温度TAにて30sを超える時間前記シートを焼鈍する工程、
− 急冷の直後に、オーステナイトおよび少なくとも50%のマルテンサイトからなる構造を有するために、310℃から375℃の間の急冷温度QTに、少なくとも30℃/sの冷却速度で冷却することによって前記シートを急冷する工程であって、前記オーステナイトの含有量は、最終構造、即ち処理および室温までの冷却後の構造が、3%から15%の間の残留オーステナイトと、85%から97%の間のマルテンサイトおよびベイナイトの合計とを含有し、フェライトは含まず、前記構造が、少なくとも65%のマルテンサイトを含むものである工程、
− 前記シートを、370℃から470℃の間の分配温度PTまで加熱し、且つ前記シートを前記分配温度において50sから150sの間の分配時間Pt、維持する工程、ならびに
− 前記シートを室温まで冷却する工程
を含む、方法。
【請求項2】
急冷温度QTが310℃から340℃の間に含まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
シートが前記急冷温度QTに急冷された後でシートを分配温度PTまで加熱する前に、急冷温度QTにて、2sから8sの間に含まれる保持時間、シートを保持する工程をさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記保持時間が、3sから7sの間に含まれる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
鋼の化学組成が、重量%単位で:
0.13%≦C≦0.22%
1.2%≦Si≦1.8%
1.8%≦Mn≦2.2%
0.10%≦Mo≦0.20%
0.02%≦Nb≦0.05%
Al≦0.05%
を含有し、残部がFeおよび不可避の不純物である鋼シートであって、前記鋼シートが、少なくとも850MPaの降伏強度、少なくとも1180MPaの引張強度、少なくとも13%の全伸びおよび少なくとも30%の穴広げ率HERを有し、前記鋼シート構造が、3%から15%の間の残留オーステナイトと、85%から97%の間のマルテンサイトおよびベイナイトの合計とを含み、フェライトは含まず、前記構造が、少なくとも65%のマルテンサイトを含み、且つ前記残留オーステナイトが、平均オーステナイト結晶粒度5μm以下である、鋼シート。
【請求項6】
全伸びが、少なくとも14%である、請求項5に記載の鋼シート。
【請求項7】
穴広げ率が少なくとも50%である、請求項5または6に記載の鋼シート。
【請求項8】
マルテンサイトおよびベイナイトの粒子またはブロックの平均サイズが10μm以下である、請求項5から7のいずれか一項に記載の鋼シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改善された強度、延性および成形性を有する高強度鋼シートを製造するための方法ならびにこの方法で得られたシートに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車車両のための種々の装備、例えば本体構造部材の部品および本体パネルを製造するために、通常、DP(二相)鋼またはTRIP(変態誘起塑性)鋼で製造されたシートを使用する。
【0003】
例えば、マルテンサイト構造および/または一部の保持されたオーステナイトを含み、約0.2%のC、約2%のMn、約1.7%のSiを含有するこうした鋼は、約750MPaの降伏強度、約980MPaの引張強度、8%を超える全伸びを有する。これらのシートは、Ac変態点より高い焼鈍温度から、Ms変態点よりも低い急冷温度に急冷し、続いてMs変態点を超える過時効温度に加熱し、この温度にて所与の時間シートを維持することによって連続焼鈍ラインにおいて製造される。次いでシートを室温まで冷却する。
【0004】
世界的な環境保全の観点から燃料効率を改善するために、自動車の重量を低減するという要望により、改善された降伏強度および引張強度を有するシートが所望される。しかしこうしたシートはまた、良好な延性および良好な成形性、より詳細には良好な伸びフランジ性を有していなければならない。
【0005】
この点において、シートが、少なくとも850MPaの降伏強度YS、約1180MPaの引張強度TS、少なくとも13%または好ましくは、少なくとも14%の全伸びおよび30%を超えるまたはさらに50%を超えるISO標準16630:2009に従う穴広げ率HERを有することが望ましい。穴広げ率に関して、測定方法の相違により、ISO標準に従う穴広げ率HERの値は、JFS T 1001(日本鉄鋼連盟規格)に従う穴広げ率λの値とは全く異なり、比較できないことは強調されなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
故に、本発明の目的は、こうしたシートおよびこれを製造する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的のために、本発明は、改善された強度および改善された成形性を有する高強度鋼シートを製造するための方法に関するものであって、前記シートが、少なくとも850MPaの降伏強度YS、少なくとも1180MPaの引張強度TS、少なくとも13%の全伸びおよび少なくとも30%の穴広げ率HERを有し、この方法は、前記鋼の化学組成が重量%単位で:
0.13%≦C≦0.22%
1.2%≦Si≦1.8%
1.8%≦Mn≦2.2%
0.10%≦Mo≦0.20%
Nb≦0.05%
Ti≦0.05%
Al≦0.5%
を含有し、残部がFeおよび不可避の不純物である鋼シートを熱処理することによる。前記シートは、865℃より高いが、1000℃未満である焼鈍温度TAにて30sを超える時間焼鈍される。次いで、前記シートは、急冷の直後に、オーステナイトおよび少なくとも50%のマルテンサイトからなる構造を有するために、275℃から375℃の間の急冷温度QTに、少なくとも30℃/sの冷却速度で冷却することによって急冷され、前記オーステナイトの含有量は、最終構造、即ち処理および室温までの冷却後の構造が、3から15%の間の残留オーステナイトと、85%から97%の間のマルテンサイトおよびベイナイトの合計とを含有でき、フェライトは含まないことができるような量である。次いで、前記シートは、370℃から470℃の間の分配温度PTまで加熱され、且つ前記シートをこの温度において50sから150sの間の分配時間Pt、維持される。次いで前記シートを室温まで冷却する。
【0008】
好ましくは、前記鋼の化学組成は、Al≦0.05%になるようなものである。
【0009】
好ましくは、急冷温度QTは、310℃から375℃の間、特に310から340℃の間に含まれる。
【0010】
好ましくは、この方法はさらに、前記シートが急冷温度QTに急冷された後で、前記シートを分配温度PTまで加熱する前に、急冷温度にて、2sから8sの間、好ましくは、3sから7sの間に含まれる保持時間、前記シートを保持する工程を含む。
【0011】
本発明はまた、この鋼シートの化学組成が、重量%単位で:
0.13%≦C≦0.22%
1.2%≦Si≦1.8%
1.8%≦Mn≦2.2%
0.10%≦Mo≦0.20%
Nb≦0.05%
Ti<0.05%
Al≦0.5%
を含有し、残部がFeおよび不可避の不純物である鋼シートであって、前記シートが、少なくとも850MPaの降伏強度、少なくとも1180MPaの引張強度、少なくとも13%の全伸びおよび少なくとも30%の穴広げ率HERを有するものに関する。
【0012】
鋼構造は、3から15%の間の残留オーステナイトと、85%から97%の間のマルテンサイトおよびベイナイトの合計とを含み、フェライトを含まない。
【0013】
好ましくは、シートの化学組成は、Al≦0.05%になるようなものである。
【0014】
好ましくは、保持されたオーステナイトの平均結晶粒度は5μm以下である。
【0015】
マルテンサイトおよびベイナイトの粒子またはブロックの平均サイズは、好ましくは、10μm以下である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の例1のSEM顕微鏡写真を表す。
図2】本発明の例2のSEM顕微鏡写真を表す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
ここで本発明を詳細に説明するが、限定するのではなく、本発明の2つの例のSEM顕微鏡写真を表す図1および図2によって示す。
【0018】
本発明によれば、シートは、化学組成が重量%で以下を含有する鋼で製造された半製品の熱間圧延および場合により冷間圧延によって得られる:
− 満足する強度を確実にし、十分な伸びを得るために必須である保持されたオーステナイトの安定性を改善するために、0.13%から0.22%、好ましくは、0.16%を超える、好ましくは、0.20%未満の炭素。炭素の含有量が高過ぎると、熱間圧延されたシートは、冷間圧延を行うのには硬過ぎ、溶接性が不十分である。
【0019】
− オーステナイトを安定化するため、固溶体強化を提供するためおよび過時効中の炭化物の形成を遅延するために、1.2%から1.8%、好ましくは、1.3%を超え、1.6%未満のケイ素。
【0020】
− 少なくとも65%のマルテンサイトを含有する構造を得るため、1150MPaを超える引張強度を得るためおよび延性に有害な偏析問題を回避するために、十分な焼入性を有するように1.8%から2.2%、好ましくは、1.9%を超え、好ましくは、2.1%未満のマンガン。
【0021】
− 焼入性を増大させるためにおよび本発明に従う過時効の間にオーステナイトの分解が生じないようにオーステナイトの分解を遅延させるために保持されたオーステナイトを安定化するように0.10%から0.20%のモリブデン。
【0022】
− 脱酸のために液体鋼に通常添加される0.5%までのアルミニウム。Al含有量が0.5%を超える場合、オーステナイト化温度は高過ぎて到達できず、鋼は加工処理を行うのが産業上困難になる。好ましくは、Alの含有量は0.05%に限定される。
【0023】
− Nbの含有量は0.05%に限定されるが、これはこうした値を超えると大きな沈殿物が形成し、成形性が低下して、13%の全伸びに到達するのがより困難になるからである。
【0024】
− Tiの含有量は0.05%に限定されるが、これはこうした値を超えると大きな沈殿物が形成し、成形性が低下して、13%の全伸びに到達するのがより困難になるからである。
【0025】
残部は鉄および鋼製造から得られる残留元素である。この点において、Ni、Cr、Cu、V、B、S、PおよびNは少なくとも、不可避の不純物である残留元素と考えられる。故に、これらの含有量は、Niについて0.05%未満、Crについて0.10%未満、Cuについて0.03%未満、Vについて0.007%未満、Bについて0.0010%未満、Sについて0.005%未満、Pについて0.02%未満およびNについて0.010%未満である。
【0026】
シートは、当業者によって既知の方法に従って熱間圧延および場合により冷間圧延によって調製される。
【0027】
圧延後、シートは酸洗いまたは洗浄され、次いで熱処理される。
【0028】
好ましくは、連続焼鈍ラインで行われる熱処理は以下の工程を含む:
− 構造が完全にオーステナイトであることを確実にするために鋼のAc変態点よりも高い、好ましくは、Ac+15℃より高い、即ち本発明に従う鋼について865℃を超えるが、オーステナイト粒子が粗大化し過ぎないために1000℃未満の焼鈍温度TAでのシートの焼鈍工程。シートは、焼鈍温度に維持され、即ちTA−5℃からTA+10℃に、化学組成が均質化するのに十分な時間維持される。維持時間は、好ましくは、30秒を超えるが、300秒を超える必要はない。
【0029】
− フェライトおよびベイナイトの形成を回避するのに十分な冷却速度で、Ms変態点よりも低い急冷温度QTにシートを冷却することによってシートを急冷する工程。急冷温度は、急冷の直後に、オーステナイトおよび少なくとも50%のマルテンサイトからなる構造を有するために、275℃から375℃の間、好ましくは、290℃から360℃の間であり、このオーステナイトの含有量は、最終構造、即ち処理および室温までの冷却後の構造が、3から15%の間の残留オーステナイトと、85%から97%の間のマルテンサイトおよびベイナイトの合計とを含有でき、フェライトを含まないことができるような量である。好ましくは、急冷温度は300℃を超え、特に310℃から375℃の間、例えば310から340℃の間に含まれる。30℃/sを超える冷却速度は、焼鈍温度TAからの冷却の間にフェライト形成を回避するために必要である。
【0030】
− 370℃から470℃の間、好ましくは、390℃から460℃の間の分配温度PTまでシートを再加熱する工程。470℃を超えると、標的とする鋼の機械的特性、特に少なくとも1180MPaの引張強度および少なくとも13%の全伸びが得られない。再加熱速度は、再加熱が誘導ヒータにより行われる場合に高くでもよいが、5から20℃/sの範囲の再加熱速度は、シートの最終特性に明らかな影響を与えなかった。故に加熱速度は、好ましくは、5℃/sから20℃/sの間に含まれる。例えば再加熱速度は少なくとも10℃/sである。好ましくは、急冷工程とシートの分配温度PTへの再加熱工程との間で、シートは急冷温度に、2sから8sの間、好ましくは、3sから7sの間に含まれる保持時間、保持される。
【0031】
− シートを分配温度PTに50sから150sの間の時間、維持する工程。分配温度でシートを維持することは、分配の間、シートの温度が、PT−10℃からPT+10℃の間に保持されることを意味する。
【0032】
− シートを室温に冷却する工程。
【0033】
こうした処理を用いて、少なくとも850MPaの降伏強度YS、少なくとも1180MPaの引張強度、少なくとも13%の全伸びおよび少なくとも30%またはさらに50%のISO標準16630:2009に従う穴広げ率HERを有するシートを得ることができる。
【0034】
この処理により、最終的な構造、即ち分配および室温への冷却後に、3から15%の間の残留オーステナイトと、85から97%の間のマルテンサイトおよびベイナイトの合計とを含有し、フェライトを含まない構造を得ることができる。
【0035】
さらに、平均オーステナイト結晶粒度は、好ましくは、5μm以下であり、ベイナイトまたはマルテンサイトのブロックの平均サイズは、好ましくは、10μm以下である。
【実施例】
【0036】
例として以下の組成を有する厚さ1.2mmのシート:C=0.18%、Si=1.55%、Mn=2.02%、Nb=0.02%、Mo=0.15%、Al=0.05%、N=0.06%、残部がFeおよび不純物であるシートは、熱間圧延および冷間圧延によって製造された。このシートの理論Ms変態点は386℃であり、Ac変態点は849℃である。
【0037】
シートのサンプルは、焼鈍、急冷および分配によって熱処理され、機械的特性を測定した。シートは、急冷温度にて約3s維持された。
【0038】
処理条件および得られた特性を表1に報告する。
【0039】
【表1】
【0040】
この表において、TAは焼鈍温度であり、QTは急冷温度であり、PTは分配温度であり、Ptは分配時間であり、YSは降伏強度であり、TSは引張強度であり、TEは全伸びであり、HERはISO標準に従う穴広げ率であり、RAは最終構造中に保持されたオーステナイトの割合であり、RA結晶粒度は平均オーステナイト結晶粒度であり、M+Bは最終構造中のベイナイトおよびマルテンサイトの割合であり、M+B結晶粒度はマルテンサイトおよびベイナイトの粒子またはブロックの平均サイズである。
【0041】
例1(この構造は図1に示され、保持されたオーステナイトが10.4%と、マルテンサイトおよびベイナイトが89.6%含まれる。)および例2(この構造は図2に示され、保持されたオーステナイトが6.8%と、マルテンサイトおよびベイナイトが93.2%含まれる。)は、300℃または350℃の急冷温度および99sの分配時間で450℃の温度での分配により、シートが、850MPaを超える降伏強度、1100MPaを超える引張強度、13%より高い約14%の全伸びおよび30%を超えるISO標準16630:2009に従って測定された穴広げ率を有することを示す。急冷温度が300℃(+/−10℃)である場合、全伸びは13%より高くなることができ、穴広げ率は実施例2に示されるように非常に良好である:57%。
【0042】
Msより高い急冷温度を用いる先行技術に関連する例3および例4、即ちマルテンサイトでない構造は、目標とする降伏強度、全伸びおよび穴広げ率を同時に得ることはできないことを示す。
【0043】
例5は、さらに、340℃の急冷温度、50sの分配時間での470℃での分配を用いて、シートが850MPaを超える降伏強度、1100MPaを超える引張強度、13%より高い約14%の全伸びおよび30%を超えるISO標準16630:2009に従って測定された穴広げ率を有することを示す。
【0044】
例6は、分配温度が高過ぎる場合に、即ち470℃を超える場合に、少なくとも1180MPaの引張強度および少なくとも13%の全伸びは得られないことを示す。
図1
図2