(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
基板の被処理面に対向し、前記被処理面に向けて開口した凹部を有するノズルヘッドと、前記ノズルヘッドに設けられた、前記被処理面に処理液を供給する処理液供給ノズル、前記被処理面に向けて気体を吐出する気体吐出ノズル、とを有し、前記被処理面に対して、前記処理液による処理と、前記気体を用いた乾燥処理を行なう基板処理装置において、
前記凹部に存在する液滴を除去する除去部と、
前記ノズルヘッドの前記凹部の底部に設けられ、除去対象となる前記液滴を前記凹部の外へと排出する排液部と、
を有し、
前記除去部は、前記ノズルヘッドの表面から突出させて形成される第1のノズルを有し、
前記第1のノズルは、前記凹部の周方向に向けて前記気体を吐出させることが可能な孔を有し、
前記孔から吐出される前記気体によって、前記凹部に存在する前記液滴を前記排液部に導くことを特徴とする基板処理装置。
基板の被処理面に対向し、前記被処理面に向けて開口した凹部を有するノズルヘッドと、前記ノズルヘッドに設けられた、前記被処理面に処理液を供給する処理液供給ノズル、前記被処理面に向けて気体を吐出する気体吐出ノズル、とを有し、前記被処理面に対して、前記処理液による処理と、前記気体を用いた乾燥処理を行なう基板処理装置において、
前記凹部に存在する液滴を除去する除去部と、
前記ノズルヘッドの前記凹部の底部に設けられ、除去対象となる前記液滴を前記凹部の外へと排出する排液部と、
前記ノズルヘッドと前記基板との間に配置され、前記処理液供給ノズルから吐出される処理液を通過させる開口を有するカバーと、を有し、
前記除去部は、前記ノズルヘッドに形成され、前記カバーに向けた気体の吐出口を有する第2のノズル、及び、前記カバーの前記開口に形成される返しを有し、
前記第2のノズルは、吐出された前記気体を前記凹部へと導くべく、前記返しに向けて前記気体を吐出することを特徴とする基板処理装置。
基板の被処理面に対向し、前記被処理面に向けて開口した凹部を有するノズルヘッドと、前記ノズルヘッドに設けられた、前記被処理面に処理液を供給する処理液供給ノズル、前記被処理面に向けて気体を吐出する気体吐出ノズル、とを有し、前記被処理面に対して、前記処理液による処理と、前記気体を用いた乾燥処理を行なう基板処理装置において、
前記凹部に存在する液滴を除去する除去部と、
前記ノズルヘッドの前記凹部の底部に設けられ、除去対象となる前記液滴を前記凹部の外へと排出する排液部と、
を有し、
前記除去部は、前記凹部の表面に環状に配置された、前記凹部に存在する液滴を除去するべく前記排液部に向けて除去材を吐出する吐出口を有することを特徴とする基板処理装置。
基板の被処理面に対向し、前記被処理面に向けて開口した凹部を有するノズルヘッドと、前記ノズルヘッドに設けられた、前記被処理面に処理液を供給する処理液供給ノズル、前記被処理面に向けて気体を吐出する気体吐出ノズル、とを有し、前記被処理面に対して、前記処理液による処理と、前記気体を用いた乾燥処理を行なう基板処理装置において、
前記凹部に存在する液滴を除去する除去部と、
前記ノズルヘッドの前記凹部の底部に設けられ、除去対象となる前記液滴を前記凹部の外へと排出する排液部と、
を有し、
前記除去部は、前記凹部の上部表面に配置された、前記凹部に存在する液滴を除去するべく前記排液部に向けて除去材を吐出する吐出口を有し、
前記吐出口は、その配置場所と前記排液部との間を最短で結ぶ線に対して直交し、かつ、前記凹部表面に沿って前記除去材を吐出させることが可能な向きに設けられていることを特徴とする基板処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明を適用してなる基板処理装置としてのスピン処理装置100の概略構成を示す断面図である。
【0016】
このスピン処理装置100は、同図に二点鎖線で示すカップ体1を有する。このカップ体1の底部の径方向中心部には通孔2が設けられ、周辺部には複数の排出管1aが周方向に所定間隔で接続されている。
【0017】
通孔2には円筒状の動力伝達体3が設けられている。この動力伝達体3は、駆動手段である制御モータ4によって回転駆動される。この制御モータ4は、筒状の固定子5と、この固定子5内に回転可能に挿入された同じく筒状の回転子6とを有する。
【0018】
動力伝達体3は、下端を回転子6の上端面に接触させ、その部分がねじ7によって固定されている。したがって、動力伝達体3は、回転子6と一体的に回転するようになっている。なお、制御モータ4は、制御部8(
図2参照)によって回転速度が制御される。
【0019】
動力伝達体3のカップ体1内に突出した上端部には、回転テーブル11が取付けられて
いる。この回転テーブル11は、円盤状をなした下板12と上板13とを重ね合わせてなり、これら下板12と上板13との中心部分には、動力伝達体3の内部空間に連通する通孔14が形成されている。
【0020】
回転テーブル11の上板13の周辺部には、周方向に所定間隔、たとえば90度間隔で4つの支持筒部15が一体形成されている。下板12の支持筒部15と対応する部分には、通孔16が形成されている。
【0021】
支持筒部15と通孔16には、各々ブッシュ17a,17bが嵌め合わせて装着され、このブッシュ17a,17bには、保持部材18が回転可能に支持されている。この保持部材18は、ブッシュ17a,17bに支持された軸部19と、この軸部19の上端部に一体形成された上記軸部19よりも大径な頭部20とを有する。
【0022】
頭部20の上端面には、軸部19の回転中心から偏心した位置にテーパ部材21が設けられている。このテーパ部材21のテーパ面21aの傾斜方向上端部には、係合ピン22が突出して設けられている。
【0023】
そして、各保持部材18に設けられたテーパ部材21には、半導体ウェーハなどの基板Wが周辺部の裏面W2をそのテーパ面21aに載置して設けられる。その状態で、各保持部材18を所定方向、たとえば時計方向に回転させると、テーパ部材21が偏心回転する。それによって、基板Wの周辺部がテーパ部材21のテーパ面21aに沿って上昇し、その外周面が係合ピン22に当接するから、基板Wは4つの保持部材18によって回転テーブル11に一体的に保持される。
【0024】
保持部材18を先程と逆方向である、反時計方向に回転させると、係合ピン22が基板Wの外周面から離れる方向に偏心回転する。それによって、基板Wの4つの保持部材18による保持状態が開放される。
【0025】
図1に示すように、保持部材18の軸部19は、下端が回転テーブル11の下面側に突出し、その突出端部には子歯車25が固定されている。各保持部材18の軸部19に固定された子歯車25は、親歯車26に噛み合っている。この親歯車26は、動力伝達体3に軸受27を介して回転可能に保持されている。
【0026】
親歯車26は、動力伝達体3の外周面に設けられたばね28によって所定の回転方向、たとえば反時計方向に付勢されている。それによって、子歯車25が時計方向に回転し、その回転に保持部材18が連動してテーパ部材21が偏心回転することで、基板Wは各保持部材18の係合ピン22によって回転テーブル11に保持される。
【0027】
基板Wの保持状態を解除するには、親歯車26を図示しない解除機構によって、ばね28の付勢力に抗して時計方向に回転させる。具体的には、解除機構によって親歯車26が回転するのを阻止し、その状態で回転テーブル11を制御モータ4によって反時計方向に回転させる。それによって、保持部材18は反時計方向に回転するから、係合ピン22による基板Wの保持状態が解除されることになる。
【0028】
動力伝達体3の内部には、スピン処理装置100の本体に固定された保持筒31が挿通されている。この保持筒31の上端には、ノズルヘッド32が取着されている。このノズルヘッド32には、上面に開口した断面形状が逆円錐形状や、すり鉢形状(以下、逆円錐形状で代表させる。)の凹部30が形成されている。保持筒31は、動力伝達体3から切り離されているため、回転テーブル11等が回転しても、ノズルヘッド32は回転しない。
【0029】
ノズルヘッド32には、回転テーブル11に保持された基板Wの裏面W2の中心部に向かって、窒素ガスなどの気体を吐出する気体吐出ノズル33と、リンス液としての純水を吐出する純水吐出ノズル34と、エッチング液等の薬液を吐出する第1の薬液吐出ノズル40(
図3参照)と、例えばアンモニア水と過酸化水素水を含む薬液(SC‐1溶液)を吐出する第2の薬液吐出ノズル41(
図3参照)と、が先端を凹部30の表面に開口させて形成されている。
【0030】
純水吐出ノズル34、第1の薬液吐出ノズル40、第2の薬液吐出ノズル41は、処理液供給ノズルを構成する。さらに、ノズルヘッド32には、凹部30の内面の最下端に先端を開口させた排液孔30aが形成されている。
【0031】
気体吐出ノズル33の後端には給気管35が接続され、純水吐出ノズル34の後端には純水給液管36が接続されている。さらに、排液孔30aには排液管37が接続され、排液孔30aと排液管37は、排液部を形成する。なお、図示されてはいないが、第1の薬液吐出ノズル40、第2の薬液吐出ノズル41の後端には、第1の薬液給液管、第2の薬液給液管がそれぞれ接続されている。
【0032】
図2に示すように、給気管35は、気体吐出ノズル33に窒素ガス等の気体を供給する気体供給源35cに、流量調整弁35a、開閉弁35bを介して接続されている。従って、開閉弁35bが開とされると、気体吐出ノズル33からは気体が吐出し、開閉弁35bが閉とされると気体の吐出は停止する。吐出時の気体の流量は、流量調整弁35aによって設定される。
【0033】
純水給液管36は、純水吐出ノズル34にリンス液(純水等)を供給するリンス液供給源36cに、流量調整弁36a、開閉弁36bを介して接続されている。従って、開閉弁36bが開とされると、純水吐出ノズル34からは純水が吐出し、開閉弁36bが閉とされると純水の吐出は停止する。吐出時のリンス液の流量は、流量調整弁36aによって設定される。
【0034】
また、図示はしていないが、第1の薬液給液管は、第1の薬液吐出ノズル40にエッチング液等の薬液を供給する供給源に、第2の薬液給液管は、第2の薬液吐出ノズル41にSC‐1液等の薬液を供給する供給源に、それぞれ流量調整弁、開閉弁を介して接続されている。なお、詳細は後述するが、配管の途中に設けられる流量調整弁や開閉弁は、制御部8により制御されるようになっている。
【0035】
回転テーブル11の上面及び外周面は、この回転テーブル11と一体のカバー45によって覆われている。このカバー45は、回転テーブル11に保持される基板Wの裏面W2に対向する対向壁部46と、この対向壁部46の周縁部に垂直に設けられた周壁部47とを有する。
【0036】
対向壁部46には、気体吐出ノズル33から吐出される窒素ガスなどの気体、純水吐出ノズル34から吐出される純水、第1、第2の薬液吐出ノズル40,41から吐出される薬液を基板Wの裏面W2に到達させるための開口48が形成されている。
【0037】
回転テーブル11の上面に設けられた4本の保持部材18の上端部は、カバー45の対向壁部46を貫通するように設けられた通孔49からその上面側に突出している。
【0038】
また、回転テーブル11の上方には、基板Wの裏面W2側と同様に、基板Wにエッチング液等の薬液を吐出する第1の上部ノズル体50、SC‐1溶液等の薬液を吐出する第2
の上部ノズル体51、リンス液として純水を吐出する第3の上部ノズル体52、及び窒素ガスなどの気体を吐出する第4の上部ノズル体53が配置されている。
【0039】
ここで、上記構成のスピン処理装置100によって、基板Wを処理する際の動作について説明する。この実施の形態における基板Wの処理は、エッチング工程、薬液洗浄工程、リンス工程及び乾燥工程からなる。また、動作制御は、すべて制御部8が行なう。
【0040】
制御部8は、各部を集中的に制御するマイクロコンピュータと、基板処理に関する基板処理情報や各種プログラム等を記憶する記憶部とを備えている。この制御部8は、基板処理情報や各種プログラムに基づいて、次のように制御する。
【0041】
まず、基板Wを回転テーブル11に保持し、この回転テーブル11を数十〜数百r.p.mの低速度で回転させる。回転テーブル11を回転させながら、第1の薬液吐出ノズル40と第1の上部ノズル体50とから、基板Wの表面W1(上面)と裏面W2(下面)とに対してエッチング液を供給する。基板Wに供給されたエッチング液は、遠心力で基板Wの外周部に向い、基板全面に行き渡る。エッチング液の供給開始から所定時間経過してエッチング処理が終了すると、エッチング液の供給を停止する。次に第2の薬液吐出ノズル41と第2上部ノズル体51とから、基板Wの表面W1と裏面W2とに対してSC‐1溶液を供給する。これにより、基板Wに残留するエッチング液を除去する。
【0042】
基板WをSC‐1溶液によって処理したならば、SC‐1溶液の供給を停止する。次に純水吐出ノズル34と第3の上部ノズル体52とから、基板Wの表面W1と裏面W2とに対して純水を供給する。これにより、リンス処理を行い、基板W表裏面に付着残留するSC‐1溶液を除去する。
【0043】
最後に、回転テーブル11を数千r.p.mの高速度で回転させ、気体吐出ノズル33と第4の上部ノズル53とから、基板Wの表面W1と裏面W2とに対して窒素ガスなどの気体を吹き付ける。このことにより、基板Wに残留する処理液を基板Wの表裏面から飛ばして、乾燥処理を行なう。
【0044】
なお、基板Wの表面W1に供給された薬液やリンス液は、基板Wの回転による遠心力で外方に飛ばされ、カップ体1の内面に衝突後、排出管1aから回収される。一方、基板Wの裏面W2に供給された薬液やリンス液も、遠心力で外方に飛ばされるが、裏面W2に供給された薬液やリンス液の一部は凹部30に飛散し、凹部30を流れて、排液孔30aから排出される。
【0045】
ところで、上述したようなスピン処理装置100で代表される基板処理装置において、薬液や、薬液を含むリンス液が、凹部30に液滴となって滞留すると、基板の裏面に水染み(ウォーターマーク)が発生することは前述したとおりであるが、以下、それを防止する実施の形態について、順に説明していく。
【0046】
図3は、第1の実施の形態に係る基板処理装置100を構成するノズルヘッド32を基板W側から見た状態を示す拡大平面図である。当該平面図において、最も外側の線で示されているのは、ノズルヘッド32の外縁32aである。また、その内側に示されているのが、凹部30の斜面30bの上端となる、ノズルヘッド32の内縁32bである。内縁32bよりも内側で、
図3における中央には、凹部30の底部に設けられている排液孔30aが示されている。
【0047】
図3に示す平面図においては、斜面30bに設けられる4つのノズルが示されている。
図3の平面図において、排液孔30aの左側には、裏面W2に向けて気体を吐出する気体
吐出ノズル33が設けられており、排液孔30aを挟んで気体吐出ノズル33と対向する位置には、裏面W2に向けて純水を吐出する純水吐出ノズル34が設けられている。また、
図3において、排液孔30aの上側には、エッチング液等の薬液を吐出する第1の薬液吐出ノズル40が設けられており、排液孔30aの下側には、SC‐1溶液等の薬液を吐出する第2の薬液吐出ノズル41が設けられている。
【0048】
また、
図3には、排液孔30aの中心を通過するように、互いに直交する中心線が一点鎖線で示されている。上述した4つのノズルは、いずれもその中心が当該中心線上に位置するように設けられている。
【0049】
なお、各種ノズルの数、配置位置については、本発明の実施の形態においては
図3に示す平面図の通りであるが、その数や配置位置については、任意に設定することができる。
【0050】
また、説明に当たって、液滴を除去する機構、仕組みを、以下「除去部D」と表わす。
【0051】
図4は、第1の実施の形態に係る除去部D1の構成を示す概略断面図である。
図4で示す除去部D1を便宜上「第1のノズルD1」と表わす。第1のノズルD1は、気体吐出ノズル33の構成を利用する。従って、第1のノズルD1は、気体吐出ノズル33が持つ、裏面W2の乾燥処理における乾燥促進のために裏面W2に対して気体を吐出させる役割も果たす。
【0052】
そこで
図4に示すように、まず第1のノズルD1の吐出口を、その一端部が凹部30の斜面30bから突出するように構成する。第1のノズルD1の一端部をこのように少し突出させる構成を採用しても、気体を裏面W2に対して適切に吐出することが担保されていれば、乾燥処理に弊害を招来することはない。
【0053】
この斜面30bから突出した第1のノズルD1の一端部側に、孔D1aを新たに設ける。第1のノズルD1の一端部には、裏面W2に対して気体を吐出するための吐出口が設けられていることから、この吐出口から吐出される気体は、
図4の矢印に示される向きに吐出される。
【0054】
これに対し、孔D1aが設けられている位置は、より具体的には、吐出口からの気体の吐出方向(
図4の矢印の方向)に直交する方向であって凹部30に向けて気体を吐出させることが可能な位置である。
図4において、孔D1aは、その開口が、正面に見える位置に設けられている。
【0055】
また、孔D1aの開口径は、この孔D1aから気体が吐出されることによって、吐出口から裏面W2に向けて乾燥のために矢印方向に吐出される気体の威力が衰えないことを考慮して決定される。
【0056】
気体吐出ノズル33は、
図2を用いて説明したように、流量調整弁35a、開閉弁35bを介して気体供給源35cに接続されている。制御部8は、第1のノズルD1の一端部から吐出する気体と、第1のノズルD1の孔D1aから吐出する気体の吐出量を流量調整弁35aを調整することで調整し、気体の吐出タイミングを開閉弁35bの切り替えにより調整する。
【0057】
より具体的には、制御部8は、第1のノズルD1の一端部から吐出する気体の流量(流速)を、少なくとも2つの異なる第1の流量と第2の流量とに切り替える。ここで第1の流量とは、第1のノズルD1の一端部から吐出する気体が、基板Wの裏面W2までは届かないものの、第1のノズルD1の孔D1aから吐出される気体が、凹部30の斜面30b
に沿って凹部30の周方向に、渦巻状や、らせん(螺旋)状に移動し得る程度の流量である。これに対して第2の流量は、第1のノズルD1の一端部から吐出する気体の流量が、基板の裏面W2の乾燥処理を行うのに十分な流量である。従って、第1の流量は第2の流量よりはるかに少ない。
【0058】
そして、本実施の形態においては、先に述べたエッチング工程、薬液洗浄工程、リンス工程までは、開閉弁35bを閉としている。そして、リンス工程が終了し、かつ乾燥工程が開始されるまでの間にて、開閉弁35bを開に切り替える。開閉弁35bが開に切り替えられると、まずは第1のノズルD1の一端部から吐出する気体の流量が、第1の流量に設定される。凹部30は、逆円錐形状に形成されていることから、孔D1aを設けることによって孔D1aから吐出された気体は、凹部30の斜面30bを周方向に沿って移動することになる。そのため、凹部30に存在する液滴を排液孔30aへと移動させることができる。つまり、この実施の形態では、基板の乾燥に用いられる窒素ガスなどの気体が除去材として機能する。
【0059】
この状態が予め設定した時間が経過すると、第1のノズルD1の一端部から吐出する気体の流量が第2の流量に切り替わる。これにより、第1のノズルD1の一端部からは、高速回転する基板Wの裏面W2に対して第2の流量の気体が吐出され、乾燥工程が行なわれる。このとき、第1のノズルD1の孔D1aからも気体の吐出は継続する。そして乾燥工程が終了すると、開閉弁35bが閉となり、第1のノズルD1と孔D1aからの気体の吐出は停止する。
【0060】
このように本実施の形態では、薬液や、薬液を含むリンス液が、凹部30に液滴となって滞留していたとしても、その液滴を第1のノズルD1の孔D1aから吐出される気体によって斜面30bを移動させ、排液孔30aへと導くことができる。このため、乾燥工程中に薬液などが基板に付着するといった不都合(水染み等の発生)を防止することができる。
【0061】
また、裏面W2の乾燥促進のために用いられる気体(不活性ガスなど)を、凹部30に存在する液滴を除去する際にも利用することが可能なため、液滴の除去のために別の気体を用意しなくても済む。
【0062】
また、リンス工程が終了し、乾燥工程が開始される前段階で、まず第1のノズルD1の一端部から吐出する気体の流量を第1の流量に設定し、第1のノズルD1の一端部からは、たとえ少量ながらも、気体を吐出させるようにした。このため、エッチング工程、薬液洗浄工程、リンス工程など、処理液を用いた処理工程において、第1のノズルD1の一端部、あるいは第1のノズルD1に設けた孔D1a内に処理液が浸入していたとしても、その処理液を乾燥工程が開始される前段階で両ノズル内から取り除くことができる。このことによっても、乾燥工程中に薬液などが基板に付着するといった不都合を防止することができる。
【0063】
なお、
図4で示されている孔D1aは正面を向いており、1つのみが設けられている。但し、孔D1aは複数設けられていても良い。例えば、斜面30bに向けて気体を吐出できるよう、第1のノズルD1には、斜面30bに向けて角度を変えて複数の孔を設けても良い。裏面W2に対して乾燥促進用の気体を吐出する際に、併せて斜面30bの広い範囲に対して当該気体を吐出することで、さらに効率よく液滴の除去を行うことができる。
【0064】
次に、
図5ないし
図7を用いて、第2の実施の形態である除去部D2について説明する。
【0065】
なお、以下の説明では、既に説明した構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し、同一の構成要素の説明は重複するので省略する。
【0066】
図5は、第2の実施の形態に係る除去部の構成を、基板側から見た状態を示す拡大平面図である。
【0067】
除去部D2は、第1の実施の形態と同じく裏面W2に吐出する気体を利用するが、気体吐出ノズル33とは別に第2のノズルD2を設け、この第2のノズルD2から気体を凹部30に吐出させるようにしたものである。
【0068】
図5に示す図においては、凹部30における、純水吐出ノズル34と第2の薬液吐出ノズル41との間に第2のノズルD2が形成されている。第2のノズルD2は、カバー45に向けて気体を吐出するノズルである。第2の実施の形態においては、カバー45に向けて吐出された気体の向きを変えて、凹部30へ気体を導く仕組みを採用する。
【0069】
図6は
図5におけるX‐X線で切断し、配管系統を示した概略断面図、
図7は
図6における部分拡大図である。
【0070】
図6においては、第2のノズルD2は、ノズルヘッド32の内部を貫通するように形成されており、気体の吐出口である第2のノズルD2の一端は、斜面30bに開口している。また第2のノズルD2の他端は気体供給源35cと接続されており、供給された気体が第2のノズルD2の一端からカバー45に向けて吐出される。なお、
図5においては、第2のノズルD2はノズルヘッド32に1か所のみ設けられているが、複数設けても良い。
【0071】
カバー45には、第2のノズルD2からカバー45に向けて吐出された気体の向きを変える返し45aが、開口48の縁の全周にわたって形成されている。返し45aは、
図6、
図7に示されているように、斜面30bの上部を覆うひさしのような形状を採用している。第2のノズルD2から吐出された気体は、この返し45aに当たり拡散する。
【0072】
次に第2のノズルD2から吐出された気体の流れと、この気体による斜面30bからの液滴の除去について説明する。
【0073】
第2のノズルD2から吐出された気体は、まずカバー45に当たる。吐出された気体が当たるのは、カバー45の返し45aを含む領域である。返し45aに当たった気体は、返し45aに沿ってその周囲に拡散する。返し45aで拡散した気体は、返し45aに沿って流れ、その一部は、ノズルヘッド32とカバー45の隙間からカバー45の外方に逃げるものの、残りの気体は、斜面30bの上部から排液孔30aに向けて流れる。
【0074】
一方で、このカバー45、及び基板Wが回転すると、気流はその回転方向に流れる。この気流の流れの働きもあって、第2のノズルD2から吐出された気体は、排液孔30aに向けて斜面30bに沿って流れるとともに、斜面30bの周方向に流れる。この気体の流れは、
図6の矢印に示す通りである。
【0075】
このように気体が流れることによって、斜面30b上に存在する液滴を排液孔30aへと移動させることができ、凹部30に滞留する液滴を除去することができる。
【0076】
第2のノズルD2の上方に形成される返し45aは、吐出された気体を拡散させるとともに、その向きを変える必要があることから、確実に気体の拡散、向きの変更がなされるように形成されている。また、
図5に示されるように、カバー45は略円盤状に形成されていることから、返し45aも略円盤状に形成されている。
【0077】
第2のノズルD2は、
図6に示すように、流量調整弁38a、三方弁38bを介して、気体供給源35cに接続される。この気体供給源35cは、気体吐出ノズル33に気体を供給する供給源である。またこの三方弁38bは、弁の開閉を行って気体供給源35cから供給される気体を、基板の裏面W2に向けて気体を吐出する気体吐出ノズル33と第2のノズルD2とに振り分ける。
【0078】
そして第1の実施の形態と同様に、制御部8は、リンス工程が終了し、かつ乾燥工程が開始されるまでの間で、三方弁38bを開に切り替える。これにより、第2のノズルD2から気体の吐出が行なわれる。この吐出は、乾燥工程においても継続され、乾燥工程が終了すると、三方弁38bが閉とされて停止する。
【0079】
図8は、第3の実施の形態に係る除去部を示しているが、返し45aを開口48の一部にのみに形成し、その他の部分には返し45aを形成しないことも可能である。
【0080】
図9は、第4の実施の形態に係る除去部を示しているが、開口48の周囲に沿って、返し45aが明確に形成されている領域と返し45aが形成されていない領域とを設け、2つの領域の間に位置する領域に関しては、返し45aの部分が、開口48の周方向に沿って徐々になくなるように形成されている。
【0081】
第3、第4の実施の形態にように、開口48の周縁部の一部にのみに返し45aを設ける場合、返し45aが設けられている領域においては、上述したように、第2のノズルD2から吐出された気体が拡散しその一部が斜面30bを周方向に沿って流れるように移動する。
【0082】
一方、返し45aが設けられていない領域においては、第2のノズルD2から吐出された気体は、基板Wの裏面W2に向けて進み、裏面W2で拡散し、その一部はカバー45の表面に到達することになる。カバー45の表面に到達した気体は、一体となって回転する、カバー45と基板Wとの間に生じる気流の流れに引かれて、カバー45の表面を外周方向に向けて移動することになる。このとき、例えば、基板の裏面W2の洗浄が行われた際にカバー45の表面に付着した処理液をカバー45の外側へと強制的に移動させて、除去することになるため、基板の裏面W2の洗浄度を保つことができる。
【0083】
また、三方弁38bの操作により、第2のノズルD2から吐出される気体が、その吐出方向に返し45aが位置する場合にのみ吐出(間欠吐出)されるよう制御しても良い。
【0084】
次に、第5の実施の形態について、
図10ないし
図12を用いて説明する。
図10は、第5の実施の形態に係る除去部D3を基板Wから見た状態を示す拡大平面図である。
【0085】
ここでは凹部30に存在する薬液などの液滴を、例えば、純水といった液体を除去材として用いて除去する。純水を吐出する吐出口である除去部D3は、凹部30の周縁部に沿って環状に設けられている。
図10の拡大平面図に示すように、除去部D3は、ノズルヘッド32の内縁32bに近い凹部30の上部に、内縁32bに沿って環状に配置されている。つまり、凹部30の斜面30bのできるだけ高い位置から純水を排液孔30aに向けて流すことで、斜面30bに存在する液滴を確実に除去するようにしている。
【0086】
除去部D3は、凹部30の斜面30bに存在する液滴を除去するために設けられるものであり、純水を斜面30bに沿って排液孔30aに向けて流すために、
図11に示すように、除去部D3の吐出口は、斜面30bの傾きと同じ傾きを持つように形成されている。このような除去部D3から純水等の除去材を吐出させることによって、凹部30に存在す
る液滴を除去することができる。
【0087】
このように除去部D3は、斜面30bに純水を流すことで液滴を除去するが、
図12には除去部D3に対して除去材を供給する除去材供給通路D3aが示されている。除去材供給通路D3aは、ノズルヘッド32内を貫通して形成されているとともに、
図12に示すように、凹部30の上部に、内縁32bに沿って環状に配置されている除去部D3に除去材を十分に供給するべく、ノズルヘッド32内に環状に形成されている。なお、
図12においては、純水吐出ノズル34は図示を省略している。
【0088】
図12にも示されているように除去部D3は、ノズルヘッド32の内縁32bに近い凹部30の上部に、内縁32bに沿って環状に配置されている。すなわち、内縁32bと斜面30bとの間に、除去材が斜面30bに向けて流れ出すための隙間である吐出口が設けられており、ここから除去材が吐出される。すなわち当該隙間が除去部D3に該当する。また、この除去部D3の全てに万遍なく除去材を供給するべく、除去材供給通路D3aも環状に形成されている。
【0089】
このような構成において、除去部D3により凹部30の周方向全域から流れ出た純水は、
図12の矢印に示すように、斜面30bを伝わり、排液孔30aに向けて直線的に流れ落ちる。このため、斜面30bを流れ落ちる純水を用いて、凹部30、すなわち斜面30bに存在する液滴を除去することができる。
【0090】
図13は、第6の実施の形態に係る除去部D3を示す
図12に相当する概略斜視図である。
図12に示す除去部D3との違いは、ノズルヘッド32の内縁32bの部分にひさしD3bが設けられている点である。
図13に示す除去部D3も、ノズルヘッド32の内縁32bと斜面30bとの間に設けられた隙間である吐出口から除去材(純水など)が斜面30bに向けて吐出されるものであるが、内縁32bにひさしD3bが設けられていることによって、除去材供給通路D3aから純水がたとえ強い勢いをもって吐出されたとしても、除去部D3から吐出された純水はひさしD3bに当たって、内縁32b近傍に落ちることになる。従って除去部D3から吐出された純水は、必ず斜面30bの高い位置から排液孔30aに向けて流れることになる。そのため、斜面30bに存在する液滴を確実に除去することができる。
【0091】
さらに、ひさしD3bが設けられることによって、斜面30bに存在する液滴を除去するために用いられる除去材として、液体のみならず、気体も利用することが可能となる。すなわち除去部D3から吐出された気体は、ひさしD3bに当たって斜面30bに向かって吹き付けられることとなる。
【0092】
このようにひさしD3bを設けることで、吐出口から吐出された除去材の向きを強制的に変更させることができるため、除去材が気体であっても、吐出口から吐出された気体は、拡散することなく斜面30bへと導くことができる。
【0093】
図14は、第7の実施の形態に係る除去部D3cの構成を基板W側から見た状態を示す拡大平面図である。この実施の形態では、上述した除去部D3のように凹部30の斜面30bに環状に設けた吐出口から除去材を吐出するのではなく、斜面30bの周囲に沿って複数の吐出口を設け、各吐出口から除去材を吐出させるようにしたものである。
【0094】
図14に示す拡大平面図では、4つの吐出口を備える除去部D3cが設けられている。4つの除去部D3cは、それぞれ、処理液の吐出ノズルよりも上部に設けられている。また、これら除去部D3cは、排液孔30aの中心と、例えば、第1の薬液吐出ノズル40や第2の薬液吐出ノズル41の中心とをそれぞれ結ぶ線上に設けられている。
【0095】
このような位置に除去部D3cを設けることで、例えば、第1の薬液吐出ノズル40や第2の薬液吐出ノズル41から吐出された薬液であって、これらの吐出ノズル近傍に滞留する液滴を確実に洗浄、除去することができる。
【0096】
なお、斜面30bに存在する液滴をもれなく除去することができるのであれば、吐出口(除去部D3c)をいくつ設けるかについては任意に設定することができる。また、各吐出口(除去部D3c)から吐出させる除去材の吐出角度も任意に設定することができ、例えば、除去材を広角に吐出できるよう角度を設定しても良い。さらには、除去部D3cからは、純水等の液体ではなく気体を吐出させることも可能である。
【0097】
このように、複数設けられる除去部D3cの吐出口から除去材が吐出されることから、斜面30bに沿って除去材を排液孔30aに向けて流し、凹部30に存在する液滴を排液し除去することができる。
【0098】
なお、エッチング工程の段階から除去部D3、或いは、除去部D3cから継続的に除去材を吐出させることによって、斜面30bに液滴が滞留する機会を奪うことができる。このような制御を行えば、斜面30bへの液滴の存在自体をなくすことができ、液滴の除去自体を簡便に行うことが可能となる。
【0099】
また、除去部D3、D3cから継続的に除去材を吐出させるためには、ノズルヘッド32の凹部30に設けられる各ノズル33、34、40、41の先端部を、凹部30の斜面30bから突出させるようにすると好ましい。このように構成すれば、除去部D3、D3cから吐出されて斜面30bを流れる処理液が、各ノズル33、34、40、41内に浸入するのを防止できるからである。
【0100】
図15は、第8の実施の形態に係る除去部D4の構成を基板W側から見た状態を示す拡大平面図、
図16は
図15におけるC‐C線で切断して示す、概略部分拡大断面図である。除去部D4は、断面が円形状のノズルD4aから構成され、ノズルヘッド32の内縁32bに近い凹部30の上部に、その吐出口が斜面30bと略平行となるような向きに形成されている。すなわち、吐出口は斜面30bの周方向を向くように配置される。
【0101】
そのため、ノズルD4aから除去材が吐出されると、
図15の矢印に示されているように、除去材は斜面30bをらせん状(渦巻状)に流れて排液孔30aに到達する。斜面30bを除去材がらせん状に流れることによって、除去材は斜面30bを網羅的に流れることになるため、凹部30に存在する液滴をくまなく除去することができる。
【0102】
図17は、第9の実施の形態に係る除去部D4を示す
図16に相当する概略部分拡大断面図である。
図17に示す概略断面図の例では、除去部D4は、除去材を吐出する開口D4bとして構成されており、斜面30bに直接形成されている。そして、除去部D4を構成する開口D4bは、除去材の吐出時に、除去材を斜面30bの周方向に並行して流れるよう、斜面30bの周方向を向くように設けられている。
図17の概略断面図では、開口D4bの吐出口正面が示されており、吐出口の形状は、略三角形である。
【0103】
このように構成しても、第8の実施の形態と同様な効果を得ることができる。
【0104】
ところで、第8、第9の実施の形態では、ノズルから吐出された除去材を、その吐出力を利用して、斜面30b上をらせん状に流すものであったが、ノズルや開口から吐出された除去材を、より確実に斜面30bにおいてらせん状に流すためのガイド溝D4cを設けたのが次の実施の形態である。
【0105】
図18は、第10の実施の形態に係る除去部D4の構成を基板W側から見た状態を示す拡大平面図、
図19は、
図18におけるD‐D線で切断した概略斜視図である。なお、
図19においては、純水吐出ノズル34や第1の薬液吐出ノズル40を省略している。
【0106】
この実施の形態が、
図15を用いて説明した第8の実施の形態と相違する点は、除去部D4における、除去材が吐出される開口から斜面30bに沿って、曲線状にガイド溝D4cが設けられている点である。ガイド溝D4cは、除去材が吐出される開口から、ある距離にわたって形成されている。
図18においては、除去部D4が、純水吐出ノズル34の上部に設けられていることから、ガイド溝D4cの始点は純水吐出ノズル34の上部となる。ガイド溝D4cは、この始点から、斜面30bの周方向に沿って曲線状に形成され、略第1の薬液吐出ノズル40の上部手前まで形成されている。
【0107】
従って、除去部D4から吐出された純水などの除去材は、吐出直後からガイド溝D4cに導かれて斜面30b上を流れ、第1の薬液吐出ノズル40の上部手前における当該ガイド溝D4cの終点を通過した後は、斜面30bをらせん状に下り、斜面30bに存在する液滴を巻き込みつつ排液孔30aへ向けて流れることになる。この除去材の流れによって、凹部30に存在する液滴を排液し、除去することができる。
【0108】
なお、
図19に示す実施の形態では、ガイド溝D4cは、その始点から終点まで一定の溝幅をもって形成されている。
【0109】
図20は、第11の実施の形態に係る除去部D4の構成を示し、
図19に相当する図である。
図20では、ガイド溝D4cにおける始点での幅に比べて、終点における幅の方が広く形成されている。すなわち、ガイド溝D4cの幅が始点から終点に向けて徐々に広くなるように形成されることで、ガイド溝D4cを流れる純水などの除去材は、徐々に排液孔30aに向けて斜面30bを流れることになるため、吐出された除去材をより自然にらせん状に流すことが可能となる。
【0110】
なお、ガイド溝D4cにおける始端と終端との間の長さをどのくらいにするのか、すなわち、斜面30bのどの位置に終点を設定するのかは任意に決定することができる。従って、
図18ないし
図20に示すガイド溝D4cの距離は一例に過ぎない。
【0111】
例えば、斜面30bの周囲を1周させるようにガイド溝D4cを形成し、その終端を例えば、除去部D4の後ろ、或いは、下部まで設けても良い。また、ガイド溝D4cの形成角度、すなわち、始点から終点に向けての角度も任意に設定することができる。
【0112】
図21は、第12の実施の形態に係る除去部D4の構成を基板W側から見た状態を示す拡大平面図である。例えば、
図16、
図17で示した除去部D4は、斜面30bの表面に出っ張ることのない位置に設けられていた。これに対し
図22に示すように、除去部D4を構成する吐出口D4dが斜面30b上に突出するように形成されている。但し、あまり斜面30b上に大きく飛び出すように吐出口D4dが形成されると、吐出口D4dに液滴が滞留する原因ともなりかねないので、
図22に示されるように、あくまでも斜面30b上になだらかな盛り上がりができる程度に形成されている。このような形状であれば、たとえ斜面30b上に形成されたとしても、例えば、斜面30b上において液跳ねが生じたとしても吐出口D4dに液滴が付着することを回避し得る。
【0113】
図23は、第13の実施の形態に係る除去部D4の構成を示す概略斜視図である。具体的には、
図21におけるF‐F線で切断した図に相当する概略斜視図である。斜面30bに吐出口D4dを形成し、しかも吐出口D4dは、その開口が斜面30bと平行ではなく
、少し斜面30bの下方を向くように形成されている。
【0114】
このため、吐出口D4dから吐出された除去材は、
図23の矢印に示すように、斜めに、つまり吐出直後から少し斜面30bの下方に向けて吐出される。このように角度を付けて吐出口D4dを形成することによって、よりらせん状に除去材を流すことが可能となる。また
図23では示していないが、吐出口D4dに、上述したガイド溝D4cを形成することも可能である。
【0115】
このように第12、第13の実施の形態においても、前述した第8、第9の実施の形態と同様な効果を得ることができる。
【0116】
以上説明した通り、斜面30bに沿って気体や液体等の除去材をらせん状(渦巻状)に流すことが可能な構成を採用することによって、凹部30に存在する液滴をくまなく除去することができる。
【0117】
なお、
図15ないし
図23を用いて説明を加えた内容に、それぞれの箇所において説明した内容を追加しても良い。除去部D4は、例えば、互いに90度の間隔をもって斜面30b上に4カ所形成するというように、斜面30b上にいくつ形成しても良い。また、適宜、ガイド溝D4cを組み合わせてもよく、ガイド溝D4cの長さ、幅も自由に設定することが可能である。また、いずれの斜視図においても破線で示しているが、除去部D3、D4に除去材を供給するための除去材供給通路D3aが設けられている。
【0118】
図24は、第14の実施の形態に係る基板処理装置の概略構成を示す断面図である基板処理装置100Aは、振動部60を備えている。振動部60は、ノズルヘッド32に接続されており、制御部8からの制御に基づいて、ノズルヘッド32に対して振動を付加する。
【0119】
振動部60としては、例えば、超音波振動装置を採用することができる。
【0120】
このように、ノズルヘッド32に対して直接振動を加えることによって、凹部30に存在する液滴は斜面30bに沿って流れて排液孔30aに集まり、除去される。
【0121】
なお一例として、ノズルヘッド32に対する超音波振動の付与は、リンス工程が終了し、乾燥工程が開始される前段階で開始され、乾燥工程の段階も継続される。そして、乾燥工程の終了とともに、超音波振動の付与は停止される。なお、ノズルヘッド32に対する超音波振動の付与が、エッチング工程の当初から開始され、乾燥工程の終了時まで継続されるようにしても良い。要は、リンス工程が終了し、かつ乾燥工程が開始されるまでの期間に、振動付与期間が存在していればよい。
【0122】
次に、
図25は、第15の実施の形態に係る基板処理装置100Bの概略構成を示す断面図である。基板処理装置100Bは、加熱部70を備えている。加熱部70は、ノズルヘッド32全体を加熱する。ノズルヘッド32を加熱することで、凹部30に存在する液滴を蒸発させて除去する。
【0123】
なお、ノズルヘッド32を加熱部70を用いて加熱し、凹部30に存在する液滴を蒸発させる処理は、基板Wが保持部材18に載置されている間は行われないことが好ましい。凹部30に存在している液滴が蒸発して基板Wの裏面W2等に付着すると、再付着による水染みを生成することになりかねないからである。
【0124】
加熱部としては、例えば、凹部30の上部から、例えばハロゲンランプ等の光を照射さ
せることによってノズルヘッド32(凹部30)を加熱する方法も考えられる。具体的には、基板処理装置100Bにおける基板Wの処理が終了して、基板Wが搬出された後、基板Wによって塞がれることのない上部(凹部30に対向する)位置から凹部30を加熱することで、液滴を蒸発させる。
【0125】
なお、加熱部としては、凹部30の上部から光を照射させることによってノズルヘッド32を加熱する他、電熱ヒータを用いる等、ノズルヘッド32を加熱し液滴を蒸発させることができれば手段を問わず、また、加熱部70の設置位置についても、限定されない。
【0126】
次に、
図26は、第16の実施の形態に係る基板処理装置100cの概略構成を示す断面図である。
図26に示す基板処理装置100Cは、吸引部80を備えている。吸引部80は、凹部30の底部に設けられる排液孔30aに接続され、排液孔30aに排液される液滴を吸引する。
【0127】
吸引部80は、液滴を凹部30外へ強制的に排液する装置であり、排液管37を介して排液孔30aに接続されている。吸引部80は、制御部8にも接続され、制御部8からの制御信号に基づいて駆動される。吸引部80の駆動には、例えば、空気や窒素といった気体を用い、流量計及びエアオペレーションバルブを備えて流量管理を行うようにしても良い。
【0128】
この実施の形態によれば、排液孔30aに吸引力を付与することで、凹部30に滞留した液滴や、凹部に付着しようとする液滴を凹部外に強制的に排液できるから、凹部30の表面に滞留した液滴による乾燥不良を防止できる。
【0129】
図27は、第17の実施の形態に係る除去部D5の構成を基板W側から見た状態を示す拡大平面図である。なお、基板処理装置100の基本的な構成はこれまで説明したものと同様である。
【0130】
図27において特徴的なのは、斜面30bの上端である内縁32bと排液孔30aとを最短距離で結ぶように、斜面30bに沿って除去部である溝D5aが形成されていることである。斜面30bに沿って溝D5aが設けられていることによって、斜面30bに留まろうとする液滴は、溝D5aを伝って自然と排液孔30aへと導かれることになる。
【0131】
溝D5aは、
図27では内縁32bの周囲において等間隔となるように16本設けられている。但し、溝D5aの数は、少なすぎると斜面30bに留まろうとする液滴を適切に排液孔30aへと導くことは困難である一方、溝D5の数が多すぎ溝の幅が小さくなりすぎても適切に液滴を流すことができないと考えられる。従って、溝の大きさ、深さ等を考慮して、斜面30bにいくつの溝D5aを設けるかについては適宜設定される。
【0132】
なお、斜面30bの上端である内縁32bと排液孔30aとを最短距離で結んで溝D5aが形成される場合、溝D5aの途中に気体吐出ノズル33、純水吐出ノズル34、第1の薬液吐出ノズル40、第2の薬液吐出ノズル41が存在する場合がある。このような溝D5aについては、
図27に示すように、内縁32bと気体吐出ノズル33等の各ノズルとを結ぶ領域においては、溝D5aが形成されないようにすると好ましい。これは、溝D5aを伝わって流れる液滴が、気体吐出ノズル33等の各ノズルに浸入するのを防ぐためである。
【0133】
溝D5aは、斜面30bの表面との境界が、角を構成せず、なだらかな曲面を描き連続するように構成されていることが好ましい。すなわち、この部分が角を伴って形成されると、液滴の表面張力によって斜面30bに付着する力が強くなり、溝D5aに浸入しづら
く、溝D5aを伝って排液孔30aへと液滴を導くことは困難となる可能性がある。さらに、溝D5a自体も同様に曲面で構成されていると好ましい。
【0134】
図28は、第18の実施の形態に係る除去部D6の構成を基板W側から見た状態を示す拡大平面図である。
【0135】
除去部D6を構成する溝D6aは、凹部30の上部である内縁32bから排液孔30aに向けて、斜面30bにらせん状(
図28における平面視で渦巻状)に形成されている。また、溝D6aは、斜面30bに設けられている各ノズルを避けるようにして形成されている。但し、溝D6aの大きさ、深さについては、任意に設定可能である。
【0136】
さらに、溝D6aの形状についても、溝D5aと同様、斜面30bと溝D6aとの境界、及び、溝D6a自体はいずれも曲面をもって形成されていることが好ましい。このような溝D6aを斜面30bの表面にらせん状(
図28における平面視で渦巻状)に設けることによって、斜面30bに留まろうとする液滴は、直近の溝D6aに落ちて流れることによって、排液孔30aへと導かれる。
【0137】
溝D6aのらせんの向きは、
図28に示すように、内縁32bから排液孔30aに向けて、反時計回りに形成される。これは、ノズルヘッド32の上方に載置される基板Wに対して各種処理がなされる際における、当該基板Wの回転方向と同じ方向である。基板Wの回転方向と同じ向きに溝D6aのらせんの向きを形成することによって、基板Wの反時計回りの回転に伴って発生する気流を利用して凹部30に存在する液滴を移動させることができるからである。
【0138】
次に、第19の実施の形態として、ノズルヘッド32の斜面30bの表面を粗く形成する構成も採用することができる。すなわち、斜面30bの形成に当たって、表面粗さRaを所定の値に設定し、所望の表面粗さをもった斜面30bとして形成することができる。
【0139】
例えば、液滴が表面張力によって、まとまって斜面30bに存在すると、例えば、気体吐出ノズル33から気体を吐出した際に、特にノズルヘッド32が疎水性の材質で形成されている場合には、その気体によって液滴が凹部30内において跳ねたり飛ぶといった現象が生じ、跳ねた液滴が例えば基板Wの裏面W2に付着する等して再付着による水染みの発生につながってしまう。
【0140】
そこで、斜面30bに存在する液滴をなるべく表面張力によってまとまることがないように斜面30bの表面が粗く形成されることによって、斜面30bに存在する液滴が表面張力によってまとまらず、随時、排液孔30aへと流すことが可能となる。
【0141】
なお、表面粗さRaの設定については、ノズルヘッド32の材質に合わせて任意に設定することができる。例えば、ノズルヘッド32が親水性の材質で形成されている場合を想定する。この場合、親水性の表面を粗くすると、液滴の接触角が小さくなるため、液滴のノズルヘッド32に対する親水性が増すことになる。親水性が増すと、液滴が斜面30bに付着すると液滴は斜面30bにへばりつきやすくなる。従って、液滴の飛散を防止することが可能となる。
【0142】
一方、ノズルヘッド32が疎水性の材質で形成されている場合には、斜面30bの表面を粗く形成すると、液滴の斜面30bに対する接触角が大きくなるため、より液滴が斜面30bを流れやすくなる。但し、上述したように液滴が飛散する可能性も高くなるため、この点を考慮した表面粗さRaの設定を行う必要がある。なお、例えば、基板Wの裏面W2の薬液処理と同時に、液跳ねが生じない程度に斜面30bに向けて気体を噴射すること
で、液滴の飛散を抑えつつスムーズに排液孔30aに向けて液滴を流すことが可能となる。
【0143】
このように表面張力によって液滴がまとまることによって、斜面30b上の液滴が飛散して基板の裏面W2に付着することを回避するべく、上述したように、斜面30bの表面を荒らす方法を採用することができる。そして、同時に第15の実施の形態において説明した加熱部70を利用することもできる。
【0144】
すなわち、加熱部70を利用してノズルヘッド32全体を加熱し、斜面30bの表面温度を上げておくことで、表面張力によって液滴がまとまることを、防止することも考えられる。加熱部70によってノズルヘッド32を加熱しておくことで、或いは、継続して加熱することによって、斜面30bの表面を高い温度に維持し、液滴自体を蒸発させることで、基板Wの裏面W2に液滴が飛散することを防止しつつ、液滴がまとまることを防止して排液孔30aに流れるようにする。このような構成を採用しても凹部30に存在する液滴を除去することができる。
【0145】
第20の実施の形態として、ノズルヘッド32を多孔質の材質で形成し、斜面30bに存在する液滴を斜面30bの内部、すなわち、ノズルヘッド32内に取り込む方法も採用することができる。こうすることで、凹部30に存在する液滴を排液孔30aへと流すだけでは対応できない場合であっても、斜面30bの表面から液滴を吸収してしまうので、結果として凹部30から液滴を除去することが可能となる。
【0146】
また、ノズルヘッド32全体を多孔質の材質で形成するのではなく、例えば、多孔質の性質を持つ材料を斜面30bに塗布し、塗布された材料の中に斜面30bに存在する液滴を取り込むといった実施の形態も考えられる。
【0147】
以上説明したように、ノズルヘッドの凹部に存在する液滴を確実に除去、あるいは凹部に液滴が留まらないようにすることによって、基板処理工程における再付着による水染みの発生を抑制することのできる基板処理装置を提供することができる。
【0148】
なお、本発明の実施においては、上記した実施の形態を適宜選択し、組み合わせて利用することも可能である。
【0149】
例えば、凹部に存在する液滴を、気体を利用した除去と、液体を流すことによる除去とを組み合わせることで除去するようにしても良い。具体例としては、最初に純水等の液体の除去材を用いて凹部30に存在する液滴を洗い流し、その後、気体の除去材を凹部30に吹き付けることによって、残留した液滴や除去材を排液孔30aまで導くという態様である。さらには、吸引部80を組み合わせることで液滴を凹部30から吸い出すとともに、斜面30bに溝D5aや溝D6aを設けることによって斜面に液滴が残らないような構成を組み合わせることでより確実に液滴を除去するようにしても良い。
【0150】
また、上述した各実施の形態において、リンス工程(処理)が終了し、かつ乾燥工程(処理)が開始されるまでの期間に、除去部Dから除去材が吐出されている期間や、第16の実施形態においては、排液孔30aに吸引力が付与される期間が存在していることが好ましい。例えば、除去材の吐出開始タイミングや吸引力の付与開始タイミングを、リンス工程が終了し、かつ乾燥工程が開始されるまでの間としてもよいし、リンス工程が終了する前段階、例えば、リンス工程中や、エッチング工程の当初の段階に設定してもよい。また、吐出や吸引の終了タイミングに関しても、乾燥工程が開始される前でもよいし、乾燥工程中も吐出、或いは吸引し続け、乾燥工程の途中あるいは、乾燥工程の終了とともに、或いは、乾燥工程が終了した後に停止させるようにしても良い。
【0151】
また、第1の実施の形態においては、リンス工程が終了し、かつ乾燥工程が開始されるまでの間にて、第1のノズルD1の一端部や孔D1aから、つまり、気体吐出ノズル33から、第1の流量(気体吐出ノズル33から吐出する気体が基板Wの裏面W2までは届かない程度の流量(流速))で気体の吐出を開始することで、乾燥工程が開始される前段階で両ノズル内に浸入した薬液などの処理液を取り除くようにし、乾燥工程中に薬液などが基板に付着するといった不都合を防止するようにした。
【0152】
しかしながら、この吐出は、リンス工程が終了する前段階から開始するようにしても良い。例えば、気体の吐出をリンス工程中から開始しても良いし、エッチング工程の当初の段階から開始してもよい。要は、リンス工程(処理)が終了し、かつ乾燥工程(処理)が開始されるまでの期間に、気体吐出ノズル33から気体を第1の流量で吐出する期間が存在していることが好ましい。気体の吐出をエッチング工程の当初の段階から開始すれば、薬液等が気体吐出ノズル内に浸入すること自体を防ぐことができるから、リンス工程が終了後、待ち時間なく乾燥工程に移行することが可能となり、しかも乾燥工程中に薬液などが基板に付着するといった不都合を防止することもできる。
【0153】
また、除去部Dから吐出される除去材が液体の場合、気体吐出ノズル内に除去材が浸入したり、気体吐出ノズル内に浸入した除去材をそのノズル内から取り除くために、除去部Dから除去材が吐出されている最中、あるいは吐出が終了した以降に、気体吐出ノズル33から気体を第1の流量で吐出させるようにすることが好ましい。
【0154】
なお、これらの実施の態様を他の実施の形態においても併用することは有用である。
【0155】
また基板の処理内容として、エッチング工程、薬液洗浄工程、リンス工程、乾燥工程の一連の処理を行なう例で説明したが、本発明は、処理液を用いた処理が含まれるものであれば適用は可能である。
【0156】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。