(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
モータ、このモータの出力軸に連結された遊星減速機構、この遊星減速機構の減速された回転出力により回転駆動されるピニオン歯車、前記モータに組付けられた電磁スイッチ、およびこの電磁スイッチの動作により枢動し前記ピニオン歯車をエンジンの側のリング歯車に噛合させ前記モータの回転トルクで前記リング歯車を介して前記エンジンを始動させるシフトレバーを備えたスタータであって、
前記遊星減速機構は、そのインターナルギヤと前記電磁スイッチとの間に位置し且つ前記インターナルギヤの外周面から前記インターナルギヤの径方向に延在する有底のレバー保持ボックスを一体的に有しており、
前記モータのフロント側および前記電磁スイッチのフロント側が取り付けられるフロントブラケットの中に、前記ピニオン歯車、および前記レバー保持ボックスが収容されており、
前記フロントブラケットは、前記レバー保持ボックスを収容する凹溝を有しており、
前記凹溝の底部と、前記凹溝に収容された前記レバー保持ボックスの底部とにより前記シフトレバーが可枢動に支承され、
前記シフトレバーの枢動する部分であるレバー被支承部が前記レバー保持ボックスおよび前記凹溝によって包囲されている
ことを特徴とするスタータ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のスタータにおいては、インターナルギヤとシフトレバーのレバー支点部とを一体とした構造は、インターナルギヤの外周の一部に設けられたレバー保持部の蓋形状部でレバー支点部のモータ軸方向側の一方向のみを押さえる構造であるので、レバー支点部のモータ回転方向及びモータ径方向の位置規制は、金属製のフロントブラケットで保持することにより行う必要があり、フロントブラケットの質量、ひいてはスタータの質量が大きくなる問題がある。
また、インターナルギヤのレバー保持部の蓋形状部でレバー支点部を一方向のみから覆う構造であるため、インターナルギヤのレバー保持部とフロントブラケットとの間の隙間からレバー支点部へ異物が侵入しやすいため、異物侵入防止としてシール部材を別途必要としており、シール部材の組付けに手間が掛かるため生産性が低下する。
【0005】
本願は、上記のような実情に鑑みてなされた技術を開示するものであり、フロントブラケットの質量、ひいてはスタータの質量が大きくなることなく、インターナルギヤのシフトレバー保持部とフロントブラケットとの間から侵入する異物がレバー支点部へ到達しにくくなる構造であることから、従来必要であったシール部材を廃止することが可能であり、つまりシール部材の組付けを不要とすることが可能となり生産性が向上する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願に開示されるスタータは、モータ、このモータの出力軸に連結された遊星減速機構、この遊星減速機構の減速された回転出力により回転駆動されるピニオン歯車、前記モータに組付けられた電磁スイッチ、およびこの電磁スイッチの動作により枢動し前記ピニオン歯車をエンジンの側のリング歯車に噛合させ前記モータの回転トルクで前記リング歯車を介して前記エンジンを始動させるシフトレバーを備えたスタータであって、
前記遊星減速機構は、そのインターナルギヤと前記電磁スイッチとの間に位置し且つ前記インターナルギヤの外周面から前記インターナルギヤの径方向に延在する有底のレバー保持ボックスを一体的に有しており、
前記モータのフロント側および前記電磁スイッチのフロント側が取り付けられるフロントブラケットの中に、前記ピニオン歯車、および前記レバー保持ボックスが収容されており、
前記フロントブラケットは、前記レバー保持ボックスを収容する凹溝を有しており、
前記凹溝の底部と、前記凹溝に収容された前記レバー保持ボックスの底部とにより前記シフトレバーが可枢動に支承され、
前記シフトレバーの枢動する部分であるレバー被支承部が前記レバー保持ボックスおよび前記凹溝によって包囲されているものである。
【発明の効果】
【0007】
本願に開示されるスタータでは、遊星減速機構は、そのインターナルギヤと電磁スイッチとの間に位置し且つ前記インターナルギヤの外周面から前記インターナルギヤの径方向に延在する有底のレバー保持ボックスを一体的に有しており、
モータのフロント側および前記電磁スイッチのフロント側が取り付けられるフロントブラケットの中に、ピニオン歯車および前記レバー保持ボックスが収容されており、
前記フロントブラケットは、前記レバー保持ボックスを収容する凹溝を有しており、
前記凹溝の底部と、前記凹溝に収容された前記レバー保持ボックスの底部とにより前記シフトレバーが可枢動に支承され、
前記シフトレバーの枢動する部分であるレバー被支承部が前記レバー保持ボックスおよび前記凹溝によって包囲されているので、フロントブラケットの質量、ひいてはスタータの質量が大きくなることなく、インターナルギヤのシフトレバー保持部とフロントブラケットとの間から侵入する異物がレバー支点部へ到達しにくくなる構造であることから、従来必要であったシール部材を廃止することが可能であり、つまりシール部材の組付けを不要とすることが可能となり生産性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本願の実施の形態1を示す図で、要部を断面で例示するスタータの側面図である。
【
図2A】本願の実施の形態1を示す図で、
図1に例示の遊星減速機構のインターナルギヤおよびレバー保持ボックスをリヤ側から見た斜視図である。
【
図2B】本願の実施の形態1を示す図で、
図1に例示の遊星減速機構のインターナルギヤおよびレバー保持ボックスをフロント側から見た斜視図である。
【
図2C】本願の実施の形態1を示す図で、
図1および
図2Bに例示のレバー保持ボックスおよびその周辺部をフロント側から見た拡大正面図である。
【
図3A】本願の実施の形態1を示す図で、インターナルギヤが組付けられたフロントブラケットをリヤ側から見た例を示す斜視図である。
【
図3B】本願の実施の形態1を示す図で、
図3Aにおける太丸線で囲んだ要部をリヤ側から見た拡大背面図で、インターナルギヤのレバー保持ボックスとレバー保持ボックスを収容するフロントブラケット内の凹溝との間の隙間の説明図である。
【
図4A】本願の実施の形態2を示す図で、遊星減速機構のインターナルギヤおよびレバー保持ボックスの他の例をリヤ側から見た背面図である。
【
図4B】本願の実施の形態2を示す図で、
図4Aの変形例を例示する背面図である。
【
図5A】本願の実施の形態3を示す図で、フロントブラケットの内側に形成された凹溝と凹溝に収容される前段階のレバー保持ボックスとの相対位置関係を例示する横断平面図である。
【
図5B】本願の実施の形態3を示す図で、フロントブラケットの内側に形成された凹溝と凹溝に収容されたレバー保持ボックスとの相対位置関係を例示する横断平面図である。
【
図6A】本願の実施の形態3を示す図で、電磁スイッチとレバー保持ボックスとの間の密封構造の事例を電磁スイッチ組付け前の状態で例示する図で、要部を断面で例示する側面図である。
【
図6B】本願の実施の形態3を示す図で、電磁スイッチとレバー保持ボックスとの間の密封構造の事例を電磁スイッチ組付け後の状態で例示する図で、要部を断面で例示する側面図である。
【
図7A】本願の実施の形態4を示す図で、フロントブラケットの内側に形成された凹溝と凹溝に収容されるレバー保持ボックスとの間の密封構造を例示する図で、レバー保持ボックスが凹溝に収容される前段階での相対関係を例示する横断平面図である。
【
図7B】本願の実施の形態4を示す図で、フロントブラケットの内側に形成された凹溝と凹溝に収容されるレバー保持ボックスとの間の密封構造を例示する図で、レバー保持ボックスが凹溝に収容された状態での相対関係を例示する横断平面図である。
【
図8A】本願の実施の形態5を示す図で、
図7Aおよび
図7Bに例示のレバー保持ボックスの密封構造の変形の例を例示する横断平面図である。
【
図8B】本願の実施の形態6を示す図で、
図8Aに例示のレバー保持ボックスの密封構造の更なる変形の例を例示する横断平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願の係る制御装置一体型回転電機の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、本願は以下の記述に限定されるものではなく、本願の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。以下に示す図面においては、理解の容易のため、各部材の縮尺が実際とは異なる場合があり、また、本願の特徴に関係しない構成の図示は省略する。
【0010】
実施の形態1.
図1は、本願の実施の形態1を示す図で、要部を断面で例示するスタータの側面図である。
スタータは、
図1に示すように、回転力を発生するモータ1と、このモータ1で発生した回転力を減速する遊星減速機構2と、遊星減速機構2により減速された回転力を後述するオーバーランニングクラッチ3へ伝達する出力軸2aと、この出力軸2aに軸方向に摺動自在に支持され、回転力の一方向のみを伝達するオーバーランニングクラッチ3と、内燃機関を始動するためのリング歯車4に噛合し回転力を伝えるピニオン歯車3aと、モータ1への通電を開閉し、磁気吸引力により移動するプランジャ8を有する電磁スイッチ6とを備えている。
【0011】
シフトレバー5はレバー被支承部5aを支点に枢動しシーソのような回動運動をする。オーバーランニングクラッチ3はシフトレバー5の一端側5b1と回動自在に連結されており、シフトレバー5の他端側5b2は電磁スイッチ6のプランジャ8側のフック7に連結されている。
電磁スイッチ6が駆動され、プランジャ8が吸引されると、シフトレバー5がレバー被支承部5aを支点として枢動しシーソのような回動運動をし、オーバーランニングクラッチ3がリング歯車4の方向へ摺動されて、ピニオン歯車3aとリング歯車4とが噛合する。
【0012】
更に、スタータは遊星減速機構2、出力軸2a、オーバーランニングクラッチ3、シフトレバー5などを内包するフロントブラケット9を備えている。
【0013】
遊星減速機構2は、モータ1の回転軸の先端に形成されたサンギヤ10と、サンギヤ10に噛み合って回転駆動される複数のプラネタリギヤ11と、プラネタリギヤ11と噛み合うインターナルギヤ12と、樹脂製のインターナルギヤ12の軸受部を介して回転可能に支持されたフランジ13と、フランジ13からモータ軸方向に突出して取付けられたプラネタリギヤを回転可能としている軸14とにより構成されている。
【0014】
図2Aは本願の実施の形態1を示す図で、
図1に例示の遊星減速機構のインターナルギヤおよびレバー保持ボックスをリヤ側から見た斜視図である。
図2Bは本願の実施の形態1を示す図で、
図1に例示の遊星減速機構のインターナルギヤおよびレバー保持ボックスをフロント側から見た斜視図である。
図2Cは本願の実施の形態1を示す図で、
図1および
図2Bに例示のレバー保持ボックスおよびその周辺部をフロント側から見た拡大正面図である。
樹脂製のインターナルギヤ12にはインターナルギヤ12の外径部の周方向の一部から径方向外径側に一体をなして突出した樹脂製のレバー保持ボックス12aが設けられている。このレバー保持ボックス12aには、シフトレバー5のレバー被支承部5aをモータ軸方向に支持する形状の軸方向規制用のレバー保持部12a1と、シフトレバー5のレバー被支承部5aをモータ径方向に内包する壁からなる径方向規制用のレバー保持部12a2と、シフトレバー5のレバー被支承部5aをモータ回転方向に内包する壁からなる回転方向規制用のレバー保持部12a3とが構成されている。
レバー保持部12a1は、図示のように、レバー保持ボックス12aの底部12aBに、フロントブラケット9の凹溝9dの底部9dBに向けて、突設されている。
径方向規制用のレバー保持部12a2は、図示のように、レバー保持ボックス12aの両側のレバー保持部(回転方向規制用)12a3の各々の、インターナルギヤ12の径方向の両側に設けられている。
レバー保持ボックス12aの開口部12aOは、フロントブラケット9の凹溝9dの底部9dBに対向しており、その開口面積はシフトレバー5のレバー被支承部5aのレバー保持ボックス12a内への嵌入を許容する大きさである。
【0015】
フロントブラケット9は、リング歯車4の反対側にモータ1と電磁スイッチ6をそれぞれ取り付けるためのモータ取付用開口部9aおよび電磁スイッチ取付用開口部9bをリヤ側端に有している。
また、フロントブラケット9は、モータ取付用開口部9aと電磁スイッチ取付用開口部9bとの間にはインターナルギヤのレバー保持ボックス12aを嵌合させ且つ収容するための凹溝9dを有し、また、シフトレバー5のレバー被支承部5aを支持するレバー支点部9cを凹溝9dの底部に有しており、レバー支点部9cとインターナルギヤ12のレバー保持ボックス12aの軸方向規制用のレバー保持部12a1とによって、シフトレバー5のレバー被支承部5aを、モータ軸方向(モータ軸の回転中心となる中心線の延在方向)に挟持している。
レバー支点部9cは、図示のようにフロントブラケット9の凹溝9dの底部9dBに、レバー保持ボックス12aの底部12aBに突設されている。
遊星減速機構2が組付けられたモータ1のフロントブラケット9への組付けに伴って、フロントブラケット9の凹溝9dの開口部9dOからレバー保持ボックス12aが凹溝9d内に嵌め込まれる。
【0016】
また、
図3Aは本願の実施の形態1を示す図で、インターナルギヤが組付けられたフロントブラケットをリヤ側から見た例を示す斜視図であり、
図3Bは本願の実施の形態1を示す図で、
図3Aにおける太丸線で囲んだ要部をリヤ側から見た拡大背面図で、インターナルギヤのレバー保持ボックスとレバー保持ボックスを収容するフロントブラケット内の凹溝との間の隙間の説明図である。
図3Aおよび
図3Bに例示のように、インターナルギヤ12のレバー保持ボックス12aの側壁面とフロントブラケット9の凹溝9dの側壁面との間の隙間は、インターナルギヤ12のレバー保持ボックス12aの根本の部分における側壁面とフロントブラケット9の凹溝9dの側面との間の隙間Aと、レバー保持ボックス12aの先端の部分おける側壁面とフロントブラケット9の凹溝9dの側面との間の隙間Bとの関係がA<Bとなるように設定し、モータ1の回転時にインターナルギヤ12にその周方向への回転方向へ力が発生した際に、インターナルギヤ12のレバー保持ボックス12aのレバー保持部(回転方向規制用)である壁12a3の根本とフロントブラケット9の凹溝9dとを当接させることで、レバー保持ボックス12aの根本に加わるモーメント荷重を軽減することができる。
また、樹脂製のインターナルギヤのレバー保持ボックスでレバー支点部の軸方向、径方向及び回転方向を規制するため、従来フロントブラケットでレバー支点部の位置規制をするために使用していた金属材料の使用量を削減可能となり、質量を減らすことができる。
また、インターナルギヤのレバー保持ボックスでレバー支点部を覆うため、インターナルギヤのレバー保持ボックスとフロントブラケットとの間から侵入する異物がレバー支点部へ到達しにくくなるため、従来必要であったシール部材を廃止することでシール部材の組付けが不要となり生産性が向上する。
【0017】
実施の形態2.
図4Aは本願の実施の形態2を示す図で、遊星減速機構のインターナルギヤおよびレバー保持ボックスの他の例をリヤ側から見た背面図であり、
図4Bは本願の実施の形態2を示す図で、
図4Aの変形例を例示する背面図である。
図4Aおよび
図4Bに例示のように、インターナルギヤ12のレバー保持ボックス12aの先端部にインターナルギヤ12の軸方向の貫通孔12b1又はインターナルギヤ12の軸方向の貫通切欠き12b2を形成してある。これら貫通孔12b1又は貫通切欠き12b2は、スタータ組立後における電磁スイッチ6のフロントブラケット9への取付面6aの最外径6aMDの範囲以下に収まる位置としてある。このように貫通孔12b1及び貫通切欠き12b2を形成することにより、スタータ組み立て工程に於いて、インターナルギヤ12をフロントブラケット9に組付けた後に、電磁スイッチ6をフロントブラケット9に組み付けてない状態における電磁スイッチ取付用開口部9bが開口している状態において、貫通孔12b1又は貫通切欠き12b2からレバー支点部のインターナルギヤ12側へグリースを給油することが可能であり、グリースを給油した後に電磁スイッチ6をフロントブラケット9の電磁スイッチ取付用開口部9bに組付けることにより電磁スイッチ取付面6aで貫通孔12b1又は貫通切欠き12b2を塞ぐことによりグリースの流出及び外部からレバー支点部への異物侵入を防ぐことができる。
【0018】
実施の形態3.
図5Aは本願の実施の形態3を示す図で、フロントブラケットの内側に形成された凹溝と凹溝に収容される前段階のレバー保持ボックスとの相対位置関係を例示する横断平面図であり、
図5Bは本願の実施の形態3を示す図で、フロントブラケットの内側に形成された凹溝と凹溝に収容されたレバー保持ボックスとの相対位置関係を例示する横断平面図である。また、
図6Aは、本願の実施の形態3を示す図で、電磁スイッチとレバー保持ボックスとの間の密封構造の事例を電磁スイッチ組付け前の状態で例示する図で、要部を断面で例示する側面図であり、
図6Bは本願の実施の形態3を示す図で、電磁スイッチとレバー保持ボックスとの間の密封構造の事例を電磁スイッチ組付け後の状態で例示する図で、要部を断面で例示する側面図である。
図5Aおよび
図5Bに例示のように、インターナルギヤ12のレバー保持ボックス12aのレバー保持部(モータ回転方向規制用)である壁12a3に、凸形状の第一の隙間閉塞突出部12c1を構成してある。第一の隙間閉塞突出部12c1は弾性変形可能であり、インターナルギヤ12のレバー保持ボックス12aの第一の隙間閉塞突出部12c1が、フロントブラケット9の凹溝9dの開口部9dOの段部9dOSに、弾性変形しながらモータ1の軸方向に弾性的に当接し、インターナルギヤ12のレバー保持ボックス12aおよびフロントブラケット9の二つの部品間の寸法公差により発生する隙間を、凹溝9dの開口部9dOで閉塞する。
第一の隙間閉塞突出部12c1は、インターナルギヤ12の樹脂による射出成型時に同時にインターナルギヤ12と一体に成形される。
【0019】
図6Aおよび
図6Bに例示のように、インターナルギヤ12のレバー保持ボックス12aとフロントブラケット9の電磁スイッチ取付面6aとの間にも、同様に凸形状の第二の隙間閉塞突出部12c2を構成することにより、第二の隙間閉塞突出部12c2の弾性変形によってインターナルギヤ12のレバー保持ボックス12aと電磁スイッチ6との間の隙間も閉塞することができる。
【0020】
実施の形態4.
図7Aは本願の実施の形態4を示す図で、フロントブラケットの内側に形成された凹溝と凹溝に収容されるレバー保持ボックスとの間の密封構造を例示する図で、レバー保持ボックスが凹溝に収容される前段階での相対関係を例示する横断平面図であり、
図7Bは本願の実施の形態4を示す図で、フロントブラケットの内側に形成された凹溝と凹溝に収容されるレバー保持ボックスとの間の密封構造を例示する図で、レバー保持ボックスが凹溝に収容された状態での相対関係を例示する横断平面図である。
図7Aおよび
図7Bに例示のように、モータ1の軸方向への前記当接だけでなく、インターナルギヤ12のレバー保持ボックス12aの側壁であるレバー保持部12a3の側面に弾性変形可能な凸形状の第一の隙間閉塞突出部12c3を一体に配設し、インターナルギヤ12のレバー保持ボックス12aの側壁とフロントブラケット9の凹溝9dの側壁面との間の隙間を閉塞することも可能である。
図7Bに例示のように、凹溝9d内にレバー保持ボックス12aが嵌め込まれた状態では、凹溝9dの両側の側壁部9dSWの壁面に各第一の隙間閉塞突出部12c3が弾性変形して弾性的に当接している。
【0021】
実施の形態5.
図7Aおよび
図7Bに例示のレバー保持ボックスの密封構造の変形の例(実施の形態5)を例示する
図8Aに例示のように、インターナルギヤ12のレバー保持ボックス12aの前述の第一の隙間閉塞突出部12c1に相当する凸形状部として、断面が三角形状の第一の隙間閉塞突出部12c4としてもよい。
【0022】
実施の形態6.
更に、
図7Aおよび
図7Bに例示のレバー保持ボックスの密封構造の他の変形の例(実施の形態6)を例示する
図8Bに例示のように、インターナルギヤ12のレバー保持ボックス12aの前述の第一の隙間閉塞突出部12c1に相当する凸形状部として、断面が楕円形状の第一の隙間閉塞突出部12c5としてもよい。
【0023】
なお、本願の前述の実施形態の技術的特徴は、
図1から
図8Bに例示のように、モータ1、このモータ1の出力軸2aに連結された遊星減速機構2、この遊星減速機構2の減速された回転出力により回転駆動されるピニオン歯車3a、モータ1に組付けられた電磁スイッチ6、およびこの電磁スイッチ6の動作により枢動しピニオン歯車3aをエンジンの側のリング歯車4に噛合させモータ1の回転トルクでリング歯車4を介してエンジンを始動させるシフトレバー5を備えたスタータであって、
遊星減速機構2は、そのインターナルギヤ12と電磁スイッチ6との間に位置し且つインターナルギヤ12の外周面からインターナルギヤ12の径方向に延在する有底のレバー保持ボックス12aを一体的に有しており、
モータ1のフロント側および電磁スイッチ6のフロント側が取り付けられるフロントブラケット9の中に、ピニオン歯車3a、およびレバー保持ボックス12aが収容されており、
フロントブラケット9は、レバー保持ボックス12aを収容する凹溝9dを有しており、
凹溝9dの底部9dBと、凹溝9dに収容されたレバー保持ボックス12aの底部12aBとにより、シフトレバー5が可枢動に支承され、
シフトレバー5の枢動する部分であるレバー被支承部5aが、レバー保持ボックス12aおよび凹溝9dによって包囲されている
ことを特徴とするスタータである。
また、インターナルギヤ12のレバー保持ボックス12aの側壁であるレバー保持部12a3の側面と、フロントブラケット9の凹溝9dの側壁部9dSWの側面との間に隙間が設けられており、レバー保持ボックス12aの根本における前記隙間を隙間Aとし、レバー保持ボックス12aの先端における隙間を隙間Bとした場合、隙間Aと隙間Bとの大小関係がA<Bであることを特徴とするスタータでもある。
また、レバー保持ボックス12aの先端部に、インターナルギヤ12の軸方向の貫通孔12b1又は貫通切欠き12b2が設けられていることを特徴とするスタータでもある。
また、レバー保持ボックス12aとフロントブラケット9との間の隙間およびレバー保持ボックス12aと電磁スイッチ6との間の隙間の少なくとも一方が隙間閉塞突出部で埋められていることを特徴とするスタータでもある。
また、隙間閉塞突出部はレバー保持ボックス12aに一体的に設けられており弾性変形が可能であることを特徴とするスタータでもある。
また、フロントブラケット9の凹溝9dに収容されたレバー保持ボックス12aは、遊星減速機構2のインターナルギヤ12の周方向への回り止めとなっていることを特徴とするスタータでもある。
【0024】
また、本願の前述の実施形態の技術的特徴は観点を変えれば、
図1から
図8Bに例示のように、電機子に回転トルクを発生させるモータ1と、
内燃機関に設けられたリング歯車4に噛み合い得るピニオン歯車3aと、
電機子に形成されたサンギヤ10及び内歯歯車を備えるインターナルギヤ12に噛合うプラネタリギヤ11により電機子の回転を減速する遊星減速機構2と、
出力軸2aに軸方向に移動可能に形成されたピニオン歯車3aと、
モータ1への通電電流をオン/オフする電磁スイッチ6と、
電磁スイッチ6からの入力を受け、ピニオン歯車3aを、ピニオン歯車3aがリング歯車4と噛み合う位置に、移動させるシフトレバー5と
ピニオン歯車3a及び電磁スイッチ6、シフトレバー5、遊星減速機構2を保持するフロントブラケット9と、
を備えたスタータであって、
インターナルギヤ12の外径部から電磁スイッチ6の方向に延長されたレバー保持部であるレバー保持ボックス12aを備えており、レバー保持ボックス12aが、フロントブラケット9に形成された凹溝9dに配置されインターナルギヤ12のまわり止めを成しており、かつレバー保持ボックス12aがシフトレバー5のレバー被支承部5aの位置規制構造を有することを特徴とするスタータであるとも云える。
【0025】
なお、各図中、同一符合は同一または相当部分を示す。
なお、本願は、様々な例示的な実施の形態及び実施例が記載されているが、1つ、または複数の実施の形態に記載された様々な特徴、態様、及び機能は特定の実施の形態の適用に限られるのではなく、単独で、または様々な組み合わせで実施の形態に適用可能である。
従って、例示されていない無数の変形例が、本願に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
【解決手段】遊星減速機構2は、そのインターナルギヤ12と電磁スイッチ6との間に位置し且つインターナルギヤ12の外周面からインターナルギヤ12の径方向に延在する有底のレバー保持ボックス12aを一体的に有しており、モータ1のフロント側および電磁スイッチ6のフロント側が取り付けられるフロントブラケット9の中に、ピニオン歯車3aおよびレバー保持ボックス12aが収容されており、フロントブラケット9は、レバー保持ボックス12aを収容する凹溝9dを有しており、凹溝9dの底部9dと、凹溝9dに収容されたレバー保持ボックス12aの底部12aBとによりシフトレバー5が可枢動に支承され、シフトレバー5の枢動する部分であるレバー被支承部5aがレバー保持ボックス12aおよび凹溝9dによって包囲されている。