特許第6804671号(P6804671)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6804671資産位置特定、性能評価及び障害検出のための方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6804671
(24)【登録日】2020年12月4日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】資産位置特定、性能評価及び障害検出のための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/20 20200101AFI20201214BHJP
【FI】
   H05B47/20
【請求項の数】15
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2019-571499(P2019-571499)
(86)(22)【出願日】2018年6月18日
(65)【公表番号】特表2020-525978(P2020-525978A)
(43)【公表日】2020年8月27日
(86)【国際出願番号】EP2018066097
(87)【国際公開番号】WO2019002001
(87)【国際公開日】20190103
【審査請求日】2020年2月25日
(31)【優先権主張番号】62/525,234
(32)【優先日】2017年6月27日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】17179933.1
(32)【優先日】2017年7月6日
(33)【優先権主張国】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】シグニファイ ホールディング ビー ヴィ
【氏名又は名称原語表記】SIGNIFY HOLDING B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100163821
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 沙希子
(72)【発明者】
【氏名】ザン ユーティン
(72)【発明者】
【氏名】ハン ドン
(72)【発明者】
【氏名】ランガヴァジャラ シリシャ
(72)【発明者】
【氏名】ブランダオ デ オリヴェイラ タルマイ
【審査官】 田中 友章
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/173681(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 47/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
障害検出のために照明システムにおける1つ以上の照明ユニットの出力を分析するための方法であって、
測光データベースからのデータに基づいて、照明ユニットの出力をシミュレートするステップと、
履歴情報のデータベースから、前記照明ユニットの出力に関する履歴観察データを受けるステップであって、前記履歴観察データは照度データを含む、ステップと、
前記照明ユニットの出力に関する観察データを受けるステップと、
前記照明ユニットのシミュレートされた出力及び前記照明ユニットの出力に関する前記履歴観察データに少なくとも部分的に基づいて前記照明システムのモデルを生成するステップであって、前記モデルは、前記照明ユニットの位置特定情報を含む、ステップと、
前記照明ユニットの出力に関する受けた前記観察データと、生成された前記モデルとを比較するステップであって、前記受けた観察データが所定の量前記生成されたモデルから変化する場合、障害が検出される、ステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
障害が検出されたことをユーザに通知するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
障害が検出されない場合にのみ、履歴出力情報のデータベース内に前記照明ユニットの出力に関する前記受けた観察データを記憶するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記所定の量は、照明基準、照明器具仕様、及び/又はサービスレベル契約に基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記測光データベースに記憶されるデータは、前記1つ以上の照明ユニットのうちの1つ以上に関する測光情報を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記照明システムの前記モデルは、照明環境に関するトポグラフィック情報を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記照明システムの前記モデルは、前記1つ以上の照明ユニットのうちの1つ以上に関するジオロケーション情報を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記生成されたモデルを使用して、前記観察データを受けるステップを拡張するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記生成されたモデルは、前記1つ以上の照明ユニットの各々の重みを含み、前記受けた観察データは、前記1つ以上の照明ユニットの各々の重みを含み、前記受けた観察データと、前記生成されたモデルとを比較するステップは、前記モデルの重みと、受けた前記重みとを比較することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
障害検出のために照明システムにおける1つ以上の照明ユニットの出力を分析するように構成されるシステムあって、
前記1つ以上の照明ユニットの出力に関する履歴観察データを含む履歴データベースであって、前記履歴観察データは照度データを含む、履歴データベースと、
前記1つ以上の照明ユニットに関する測光情報を含む測光データベースと、
前記測光データベースからのデータに基づいて、前記1つ以上の照明ユニットの出力をシミュレートするように構成されるシミュレーションモジュールと、
前記1つ以上の照明ユニットのシミュレートされた出力及び前記1つ以上の照明ユニットの出力に関する前記履歴観察データに少なくとも部分的に基づいて前記照明システムのモデルを生成するように構成されるトレーニングモジュールであって、前記モデルは、前記1つ以上の照明ユニットの位置特定情報を含む、トレーニングモジュールと、
受けた観察データと、生成された前記モデルとを比較するように構成される評価モジュールであって、前記1つ以上の照明ユニットのうちの1つ以上についての前記受けた観察データが所定の量当該照明ユニットについての前記生成されたモデルから変化する場合、障害が検出される、評価モジュールと、
を含む、システム。
【請求項11】
検出された障害に関する情報をユーザに提供するように構成されるユーザインターフェースを含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記生成されたモデルを使用して、前記観察データを受けることを拡張するように構成される拡張モジュールを含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記生成されたモデルは、前記1つ以上の照明ユニットの各々の重みを含み、前記受けた観察データは、前記1つ以上の照明ユニットの各々の重みを含み、前記評価モジュールは、前記モデルの重みと、観察された重みとを比較するように構成される、請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
前記所定の量は、照明基準、照明器具仕様、及び/又はサービスレベル契約に基づく、請求項10に記載のシステム。
【請求項15】
前記照明システムの前記モデルは、照明環境に関するトポグラフィック情報を含む、請求項10に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、照明ユニット資産(asset)を位置特定する(localize)、並びに、照明システム内の照明ユニットの性能を評価する及び障害(fault)を検出するように構成される方法及び照明システムに関する。
【背景技術】
【0002】
街路灯及びその他の自治体の照明ユニットは、道路照明、夜間の視認性、公共の安全を含む、重大な居住機能とサービスを提供する重要な資産である。歴史的に、これらの照明ユニットは、性能評価を取得する及び障害を検出するために目視的に観察されてきた。照明ネットワーク内の各照明ユニット、又はジオロケートされた照度データ(geo-located illuminance data)又は他の照明ユニットの画像等の記録されたデータの人間による検査は、主観的及び労働集約的である。
【0003】
したがって、動的測定デバイスが、照明データ取得を容易にするために作成されている。例えば、車両及び/又はドローンに取り付けられた検知デバイスは、タイムスタンプ、照度及びジオロケーションデータを含むジオロケーション及び照度測定値を収集することができ、情報は、照明ユニットの性能を測定する、又は、照明ユニットの障害を検出するためにレビューされることができる。
【0004】
これらの自動化された方法は、典型的には、非効率的で不正確である。例えば、既存の照明資産位置特定方法は、通常、二次元データを分析し、ジオロケートされた資産と、観察データから検出される最大照度値とを比較することにより照明ユニットを位置特定することを試みる。この方法は、極大値の不規則性、異なるセンサ間の非同期性、及び観察データからジオロケーションデータへの事後の関連付けに起因してノイジーである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、当技術分野では、効率的且つ正確に照明システム内の照明ユニット資産を位置特定する、並びに観察データ及び履歴データを使用してこれらの位置特定された照明ユニット資産の性能を評価するための自動化方法が引き続き必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、照明ネットワーク内の照明ユニットを位置特定及び分析するように構成される照明ネットワークのための発明方法及びデバイスに関する。本明細書の様々な実施形態及び実装形態は、街灯等の複数の分散照明ユニットを含む照明システムに関するデータを取得するように構成されるシステムに関する。システムは、照明ユニット及び/又は環境に関するデータが取り込まれる測光データベース(photometric database)を利用して、照明システムの出力をシミュレートするシミュレーションプラットフォームを利用する。システムはまた、取得された照明ユニット出力の事前測定値が取り込まれるデータベースを利用する。システムは、ガウス混合モデル(GMM: Gaussian mixture model)を使用して取得された照明ユニット出力の事前測定値をフィッティングし、グローバルバックグラウンドモデル(GBM: global background model)を構築することにより、照明ユニット資産を位置特定する。その後、システムは、グローバルバックグラウンドモデルを照明ユニット資産に関する観測データと比較して、性能を評価し、障害を検出する。例えば、グローバルバックグラウンドモデル及び観測データが所定の量又は機械学習された量変化する場合、障害が識別されてもよく、システムはユーザに通知することができる。一実施形態によれば、例えばデータ取得がまばらである(sparse)又はある閾値を下回る場合、シミュレートされたデータが、観測データを増強させる(augment)ために使用されてもよい。
【0007】
一般に、一態様において、照明システムにおける1つ以上の照明ユニットの出力を分析するための方法が提供される。当該方法は、(i)測光データベース(photometric database)からのデータに基づいて、照明ユニットの出力をシミュレートするステップと、(ii)履歴情報のデータベースから、照明ユニットの出力に関する履歴観察データ(historical observed data)を受けるステップと、(iii)照明ユニットの出力に関する観察データ(observed data)を受けるステップと、(iv)照明ユニットのシミュレートされた出力及び照明ユニットの出力に関する履歴観察データに少なくとも部分的に基づいて照明システムのモデルを生成するステップであって、モデルは、照明ユニットの位置特定情報(localization information)を含む、ステップと、(v)照明ユニットの出力に関する受けた観察データと、生成されたモデルとを比較するステップであって、受けた観察データが所定の量生成されたモデルから変化する場合、障害が検出される、ステップと、を含む。
【0008】
一実施形態によれば、当該方法は、障害が検出されたことをユーザに通知するステップをさらに含む。
【0009】
一実施形態によれば、当該方法は、障害が検出されない場合にのみ、履歴出力情報のデータベース内に照明ユニットの出力に関する受けた観察データを記憶するステップをさらに含む。
【0010】
一実施形態によれば、所定の量は、照明基準(lighting standard)、照明器具仕様、及び/又はサービスレベル契約に基づく。
【0011】
一実施形態によれば、測光データベースに記憶されるデータは、1つ以上の照明ユニットのうちの1つ以上に関する測光情報を含む。
【0012】
一実施形態によれば、照明システムのモデルは、照明環境に関するトポグラフィック情報(topographical information)を含む。
【0013】
一実施形態によれば、照明システムのモデルは、1つ以上の照明ユニットのうちの1つ以上に関するジオロケーション情報(geolocation information)を含む。
【0014】
一実施形態によれば、当該方法は、生成されたモデルを使用して、観察データを受けるステップを拡張する(enhance)ステップをさらに含む。
【0015】
一実施形態によれば、生成されたモデルは、1つ以上の照明ユニットの各々の重みを含み、受けた観察データは、1つ以上の照明ユニットの各々の重みを含み、受けた観察データと、生成されたモデルとを比較するステップは、モデルの重みと、受けた重みとを比較することを含む。
【0016】
一態様では、照明システムにおける1つ以上の照明ユニットの出力を分析するように構成されるシステムが提供される。当該システムは、(i)1つ以上の照明ユニットの出力に関する履歴観察データを含む履歴データベースと、(ii)1つ以上の照明ユニットに関する測光情報(photometric information)を含む測光データベースと、(iii)測光データベースからのデータに基づいて、1つ以上の照明ユニットの出力をシミュレートするように構成されるシミュレーションモジュールと、(iv)1つ以上の照明ユニットのシミュレートされた出力及び1つ以上の照明ユニットの出力に関する履歴観察データに少なくとも部分的に基づいて照明システムのモデルを生成するように構成されるトレーニングモジュールであって、モデルは、1つ以上の照明ユニットの位置特定情報を含む、トレーニングモジュールと、(v)受けた観察データと、生成されたモデルとを比較するように構成される評価モジュールであって、1つ以上の照明ユニットのうちの1つ以上についての受けた観察データが所定の量当該照明ユニットについての生成されたモデルから変化する場合、障害が検出される、評価モジュールと、を含む。
【0017】
一実施形態によれば、当該システムは、検出された障害に関する情報をユーザに提供するように構成されるユーザインターフェースをさらに含む。
【0018】
一実施形態によれば、当該システムは、生成されたモデルを使用して、観察データを受けること(receiving)を拡張する(enhance)ように構成される拡張モジュール(enhancement module)をさらに含む。
【0019】
一実施形態によれば、生成されたモデルは、1つ以上の照明ユニットの各々の重みを含み、観察データは、1つ以上の照明ユニットの各々の重みを含み、評価モジュールは、モデルの重みと、観察された重み(observed weight)とを比較するように構成される。
【0020】
用語「光源」は、限定するものではないが、(上記で定義されたような1つ以上のLEDを含む)LEDベース光源、白熱光源(例えば、フィラメントランプ、ハロゲンランプ)、蛍光源、リン光源、高輝度放電源(例えば、ナトリウム蒸気ランプ、水銀蒸気ランプ、及び金属ハロゲン化物ランプ)、レーザ、他のタイプの電界発光源、熱ルミネセンス源(例えば、火炎)、キャンドルルミネセンス源(例えば、ガスマントル、炭素アーク放射源)、フォトルミネセンス源(例えば、ガス状放電源)、電子飽和を使用するカソードルミネセンス源、ガルバノルミネセンス源、結晶ルミネセンス源、キネルミネセンス源、サーモルミネセンス源、トリボルミネセンス源、ソノルミネセンス源、放射ルミネセンス源、及びルミネセンスポリマーを含めた、様々な放射源のうちの任意の1つ以上を指すことを理解されたい。
【0021】
用語「照明器具」は、本明細書では、特定のフォームファクタ、アセンブリ、又はパッケージでの、1つ以上の照明ユニットの実装又は構成を指すために、使用される。用語「照明ユニット」は、本明細書では、同じタイプ又は異なるタイプの1つ以上の光源を含むデバイスを指すために使用される。所与の照明ユニットは、光源に関する様々な取り付け構成、エンクロージャ/ハウジングの様々な構成及び形状、並びに/又は電気的接続及び機械的接続の様々な構成のうちの、任意の1つを有してもよい。更には、所与の照明ユニットは、オプションとして、光源の動作に関連する様々な他の構成要素(例えば、制御回路)に関連付けられてもよい(例えば、含んでもよく、結合されてもよく、及び/又は一体にパッケージ化されてもよい)。「LEDベースの照明ユニット」とは、上述のような1つ以上のLEDベースの光源を、単独で、又は他の非LEDベースの光源と組み合わせて含む、照明ユニットを指す。
【0022】
様々な実装形態では、プロセッサ又はコントローラは、1つ以上の記憶媒体(本明細書では「メモリ」と総称される、例えば、RAM、PROM、EPROM、及びEEPROM等の、揮発性及び不揮発性のコンピュータメモリ、フロッピーディスク、コンパクトディスク、光ディスク、磁気テープなど)に関連付けられてもよい。一部の実装形態では、これらの記憶媒体は、1つ以上のプロセッサ及び/又はコントローラ上で実行されると、本明細書で論じられる機能の少なくとも一部を実行する、1つ以上のプログラムでエンコードされてもよい。様々な記憶媒体は、プロセッサ又はコントローラ内に固定されてもよく、あるいは、それらの記憶媒体上に記憶されている1つ以上のプログラムが、本明細書で論じられる本発明の様々な態様を実施するために、プロセッサ又はコントローラ内にロードされることができるように、可搬性であってもよい。用語「プログラム」又は用語「コンピュータプログラム」は、本明細書では、1つ以上のプロセッサ又はコントローラをプログラムするために採用されることが可能な、任意のタイプのコンピュータコード(例えば、ソフトウェア又はマイクロコード)を指すように、一般的な意味で使用される。
【0023】
1つのネットワーク実装では、ネットワークに結合された1つ以上のデバイスは、そのネットワークに結合された1つ以上の他のデバイスに対するコントローラとして(例えば、マスタ/スレーブの関係で)機能してもよい。別の実装形態では、ネットワーク化された環境は、そのネットワークに結合されたデバイスのうちの1つ以上を制御するよう構成される、1つ以上の専用コントローラを含み得る。一般に、ネットワークに結合された複数のデバイスは、それぞれが、通信媒体上に存在しているデータへのアクセスを有し得るが、しかしながら、所与のデバイスは、例えば、そのデバイスに割り当てられている1つ以上の特定の識別子(例えば、「アドレス」)に基づいて、ネットワークと選択的にデータを交換する(すなわち、ネットワークからデータを受信する、及び/又はネットワークにデータを送信する)よう構成されるという点で、「アドレス可能」であってもよい。
【0024】
用語「ネットワーク」とは、本明細書で使用されるとき、任意の2つ以上のデバイス間での、及び/又はネットワークに結合された複数のデバイスの間での、(例えば、デバイス制御、データ記憶、データ交換などに関する)情報の転送を容易にする、(コントローラ又はプロセッサを含む)2つ以上のデバイスの任意の相互接続を指す。容易に理解されるように、複数のデバイスを相互接続するために好適なネットワークの様々な実装は、様々なネットワークトポロジのうちのいずれかを含み、様々な通信プロトコルのうちのいずれかを採用してもよい。更には、本開示による様々なネットワークでは、2つのデバイス間の任意の1つの接続は、それら2つのシステム間の専用接続、又は代替的に、非専用接続を表してもよい。2つのデバイスを対象とする情報の搬送に加えて、そのような非専用接続は、それら2つのデバイスのいずれかを必ずしも対象としない情報を搬送してもよい(例えば、オープンネットワーク接続)。更には、本明細書で論じられるデバイスの様々なネットワークは、そのネットワーク全体にわたる情報転送を容易にするために、1つ以上の無線リンク、有線/ケーブルリンク、及び/又は光ファイバリンクを採用してもよい点が、容易に理解されよう。
【0025】
上述の概念と、以下でより詳細に論じられる追加的概念との全ての組み合わせは(そのような概念が互いに矛盾しないという条件下で)、本明細書で開示される発明の主題の一部であると想到される点を理解されたい。特に、本開示の最後に記載されている特許請求される主題の全ての組み合わせは、本明細書で開示される発明の主題の一部であると想到される。また、参照により組み込まれるいずれかの開示にもまた現れ得る、本明細書で明示的に採用されている用語は、本明細書で開示される特定の概念と最も一致する意味が与えられるべきである点も理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図面中、同様の参照文字は、一般に、異なる図の全体にわたって同じ部分を指す。また、これらの図面は、必ずしも正しい縮尺ではなく、その代わりに、全般的に、本発明の原理を例示することに重点が置かれている。
図1】一実施形態による、複数の照明ユニットを含む照明システムの概略図である。
図2】一実施形態による、照明ユニットの概略図である。
図3】一実施形態による、照明システムのための評価システムの概略図である。
図4】一実施形態による、照明ネットワーク内の照明ユニットの出力を分析するための方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本開示は、照明システム内の照明ユニットを位置特定する、及びこれらの照明ユニットの性能を評価するように構成されるシステムの様々な実施形態を述べる。より一般的には、出願人は、自動照明ネットワーク監視システムを提供することが有益であることを認識及び理解している。本開示の特定の実施形態の特定の利用目的は、照明システム内の照明ユニットが、修正されるべきである障害を被っている、又はその可能性があることをユーザに通知することである。
【0028】
上記を考慮して、様々な実施形態及び実装形態は、シミュレートされたデータ、履歴データ及び観測データを、照明ユニットを位置特定し、これらの照明ユニットの性能を評価するモデルに組み合わせるように構成される自動化された方法及びシステムに関する。システムは、照明システムに関するグローバルバックグラウンドモデルを構築する、及び該モデルと、照明ユニット資産に関する観測データとを比較することにより、照明ユニット資産を分析する。グローバルバックグラウンドモデル及び観測データが所定の量変化する(所定の閾値を超える)場合、障害が識別され、ユーザに通知される。その後、ユーザは照明ユニットを分析し、必要に応じて障害を修復することができる。
【0029】
図1を参照すると、一実施形態における、複数の照明ユニット10を含む照明システム100が示されている。照明システムは、任意の照明システム又はネットワークであり得る。例えば、照明システムは、都市、町、村、又は他の自治体の照明システムであり得る。照明システムは、駐車場等の集中型システムでもよく、都市全体の照明システム等の分散型システムでもよい。別の実施形態によれば、照明システムは、オフィスビル、モール、スタジアム、又は他の構造物若しくは屋内空間等の屋内照明システムである。
【0030】
一実施形態によれば、照明システム内の照明ユニット10は、互いに、又は遠隔若しくは中央サーバ、ハブ又はロケーションにネットワーク化されてもよい。照明ユニットは、ネットワーク101を介して遠隔若しくは中央サーバ、ハブ又はロケーションと通信するように構成される有線及び/又は無線通信モジュールを備えてもよい。ネットワークとの無線通信は、多くの中でも、例えば、セルラ、Wi-Fi、Bluetooth、IR、無線(radio)、又は近距離無線通信であり得る。
【0031】
図2を参照すると、一実施形態における、光を放出するように構成される照明ユニット10が示されている。照明ユニットは、1つ以上の光源12を含み、光源の1つ以上はLEDベースの光源であってもよい。さらに、LEDベースの光源は、1つ以上のLEDを有してもよい。光源は、1つ以上の光源ドライバ14によって、所定の特性(すなわち、色強度、色温度)の光を放出するように駆動されることができる。様々な異なる色の放射を生成するように適合された多くの異なる数及び様々なタイプの光源(全てLEDベースの光源、LEDベースの光源及びLEDベースではない光源、単独又は組み合わせ等)が、照明ユニット10において使用されてもよい。一実施形態によれば、照明ユニット10は、街灯、又は他の任意の屋内若しくは屋外照明器具を含むが、これらに限定されない任意のタイプの照明器具であり得る。一実施形態によれば、照明ユニット10は、照明環境内のターゲット表面の全部又は一部を照らすように構成される。照明環境は、部屋、建物、キャンパス、街路、都市、都市の一部、又は任意の他の照明環境であり得る。例えば、一実施形態によれば、照明環境は、複数の照明ユニット10を含む都市である。
【0032】
一実施形態によれば、照明ユニット10は、1つ以上の光源12a〜12dを駆動し、光源からの光の様々な強度、方向、及び/又は色を生成するために1つ以上の信号を出力するように構成又はプログラムされるコントローラ16を含む。照明ユニット10はまた、電源18、最も典型的にはAC電源を含むが、とりわけ、DC電源、太陽光ベースの電源、又は機械ベースの電源を含む他の電源も可能である。照明ユニット10はまた、他の照明ユニット、遠隔若しくは中央サーバ若しくはハブ、又は他のデバイスと有線及び/又は無線通信するために構成される通信モジュール20を含むことができる。
【0033】
照明ユニットのうちの1つ以上は、システム内の他の照明ユニットと比較して一意であってもよい。一実施形態によれば、照明ユニットの各々が一意であってもよい。照明ユニットは、多くのカスタマイズのタイプの中でも、異なるサイズ又は形状であってもよく、異なる照明角度、異なる出力、異なる強度、異なる色、及び/又は異なる高さを有してもよい。この複雑さは、環境のトポロジが、各々が環境内で一意の位置(unique position)を有する多くの照明ユニットを必要とする、都市又は自治体内の照明システムでよく見られる。
【0034】
図3を参照すると、一実施形態における、シミュレートされたデータ、履歴データ及び観測データを、照明ユニットを位置特定し、これらの照明ユニットの性能を評価するモデルに組み合わせるように構成される評価システム300の概略図である。評価システム300、又は該システムのコンポーネントの1つ以上は、自身が分析する照明ネットワーク100と同じ場所に位置付け(co-locate)られてもよく、又は照明ネットワークからリモートであってもよい。評価システムは、1つの照明ネットワーク又は複数の異なる照明ネットワークを点検(service)又は分析してもよい。
【0035】
一実施形態によれば、評価システム300は、測光データベース310を含む。測光データベース310は、照明システム100内の照明ユニット10の性能及び他のパラメータに関するデータを含む。例えば、測光データベースは、異なる温度、異なる気象条件、照明ユニットからの光出力の空間分布、及びその他の情報等の、1つ以上の状況における照明ユニットの性能に関する情報を含む。性能には、出力、色、及び照明ユニットに関するその他のデータに関するパラメータが含まれてもよい。測光データは、照明ユニットの製造業者及び/又は供給業者によって提供されてもよい。一実施形態によれば、評価システム300は、照明ユニットが購入される又は照明システム内でコミッショニングされる場合等に、自動的に測光データを取得し、測光データベース310内に測光データを記憶するように構成されてもよい。
【0036】
評価システム300のシミュレーションモジュール320は、測光データベース310内のデータにアクセスして、照明環境内の照明ネットワークの空間照明分布をシミュレートする。例えば、シミュレーションモジュールは、街路に沿って位置する複数の街灯、又はモール内の複数の天井灯の空間照明分布をシミュレートしてもよい。一実施形態によれば、シミュレーションモジュールは、照明シミュレーションソフトウェアのファミリを考慮し、すべてのソフトウェアにわたって包括的なシミュレーション方法論を適用して、空間照明分布をシミュレートすることができる。したがって、シミュレーションモジュールは、複数の照明ユニット、異なる道路形態、混合された照明ユニットのタイプ、及び他の多くの測光特性をシミュレートしてもよい。
【0037】
シミュレーションモジュール320は、任意選択的に、照明環境に関する多くの情報及びパラメータのタイプの中でも、環境内の照明ユニットのポジショニング等の、照明環境に関する情報を含んでもよい。例えば、シミュレーションモジュールは、照明環境及び/又は照明環境内の照明ユニットに関する3次元マップ又はトポロジ情報、照明ユニットの位置特定情報、照明ユニットの向き及び角度付け(angling)、照明ユニットについてのタイミングスケジュール、周囲光、並びにその他多くの情報及びパラメータのタイプを含んでもよい。例えば、シミュレーションモジュール320は、道路のどちらの側に照明ユニットがあるか、該道路上の照明ユニットの高さ、道路のトポロジ及び形状、並びにその他の要因に関する情報を含んでもよい。この情報を使用して、シミュレーションモジュール320は、照明環境内の照明ネットワークのシミュレートされた空間照明分布を生成する。
【0038】
一実施形態によれば、評価システム300は、履歴データベース330を含む。履歴データベースは、照明システム内の1つ以上の照明ユニットに関する照度データ等の、照明環境内で収集された観測データを含む。一実施形態によれば、データはジオロケートされ、斯くして、1つ以上の照明ユニットに関する照度データは、照明システム内の照明ユニットの位置に関する情報を含む。観測データは、照明システム内を移動する自動又は手動光検出及び/又は撮像デバイス等の、動的光測定システム又はデバイスによって収集されてもよい。例えば、動的光測定システム又はデバイスは、車両、ドローン、又は照明環境を自動又は手動で操作されるように構成される他のデバイスに取り付けられるセンサ又はセンサアレイであってもよい。
【0039】
一実施形態によれば、評価システム300は、履歴データベース330からデータを受信又は要求する、及びシミュレーションモジュール320からシミュレーションデータを受信又は要求するように構成されるトレーニングモジュール340を含む。トレーニングモジュール340は、履歴データベース及びシミュレーションモジュールからのデータを利用して、1つ以上のメソッド又はアルゴリズムを使用することによりデータモデルを作成する。一実施形態によれば、トレーニングモジュール340は、ガウス混合モデル(GMM)学習原理を使用して、及びシミュレーションモジュールからのシミュレートされたデータを参照して、履歴データベースからグローバルバックグラウンドモデル(GBM)を推定する。
【0040】
一実施形態によれば、ガウス混合モデルは、
(式1)
のようなスカラー形式、又は
(式2)
のようなベクトル形式のガウス成分密度の加重和として表されるパラメトリック確率密度関数である。
【0041】
GMMは、平均ベクトルμ、共分散行列Σ、及び混合重みωによって統計的にパラメータ化される。一実施形態によれば、これらのパラメータは、期待値最大化(expectation maximization)、最尤(maximum likelihood)、及び最大事後確率(maximum a posteriori)アルゴリズムによって推定されることができる。
【0042】
一実施形態によれば、ガウス密度は、データ分布の異なる性質をフィッティングするするようにスカラー及びベクトルにあり得る。推定された平均ベクトルμは、ライトジオロケーション座標(light geolocation coordinate)を表すことができ、共分散行列Σは、街路灯照度出力(street light illuminance output)を特徴付けることができる。ジオロケートされた照度データは、本質的に1次統計及び高次統計の両方を表す、独立したガウス分布によって特徴付けられることができる。これらのパラメータは、高い忠実度でベンチマークライトオーディティング(benchmark light auditing)及び街路照明メトリクス等のアスペクトを計算することができる。一実施形態によれば、トレーニングモジュール340の出力は、資産位置特定(asset localization)である。
【0043】
一実施形態によれば、評価システム300は、性能評価及び障害検出のために、リアルタイム測定データ360と、生成されたGBMとを比較するように構成される評価モジュール350を含む。
【0044】
リアルタイム測定(観測)データ360は、リアルタイムで分析されてもよく、又は収集後に分析されてもよい。例えば、観測データは、該データが収集されると分析されてもよく、以後又は後日に分析するために記憶されてもよい。したがって、観測データの複数のセットが一度に分析されてもよい。リアルタイム測定(観測)データは、照明システム内の1つ以上の照明ユニットに関する照度又は他の観測データを取得するための任意のシステムを使用して取得されてもよい。例えば、リアルタイム測定(観測)データは、照明システム内を移動する自動又は手動光検出及び/又は撮像デバイス等の、動的光測定システム又はデバイスを使用して取得されてもよい。例えば、動的光測定システム又はデバイスは、車両、ドローン、又は照明環境を自動又は手動で操作されるように構成される他のデバイスに取り付けられるセンサ又はセンサアレイであってもよい。
【0045】
一実施形態によれば、リアルタイム測定(観測)データ360は、履歴データによって増強(augment)(拡張(extend))されてもよい。例えば、リアルタイム測定(観測)データが評価システム300にアップロード又は提供される場合、データ拡張モジュール又はアルゴリズム370°は、量及び/又は分布のパラメータ等の、観察データの忠実度(fidelity)を分析し、拡張が必要であることを判断する。例えば、拡張モジュール370は、取得された観測データの忠実度が不十分であると判断するための所定の閾値又は他のメカニズムを備えてもよい。その後、拡張モジュールは、シミュレーションモジュール320及び/又は履歴データベース330からデータを受信又は要求することができ、補間及び/又はフィッティング方法を用いて、取得された観測データを増強(拡張)することができる。例えば、拡張は、シミュレーションモジュールによって生成される参照モデルに基づいてもよい。
【0046】
一実施形態によれば、評価モジュール350は、トレーニングモジュール340からのGBMガウス密度に、(拡張モジュール370によって拡張されてもよく、されなくてもよい)リアルタイム測定(観測)データをフィッティングし、観察された重み(observed weight)ω'を推定する。その後、モジュールは、性能評価及び障害検出のために、観察された重みω'と、GBMの重みωとを比較する。一実施形態によれば、評価モジュール350は、以下の比較シナリオ及び判定のうちの1つ以上を利用してもよい:
εは、照明基準、照明器具仕様又はサービスレベル契約によって定義される性能不確実性/許容範囲(performance uncertainty/tolerance)であって、
の場合、
測定データは正常、
履歴データベースへのアップデート、
さもなければ、

の場合、
リアルタイムデータから統計を再推定するために性能評価、
さもなければ、
又は
の場合、
照明ユニットの障害検出。
【0047】
評価モジュール350は、性能を定量化及び/又は障害を検出するための1つ以上の所定の閾値を利用してもよい。1つ以上の所定の閾値は、1つ以上のユーザ設定閾値、サービスレベル契約で定められる閾値、機械学習閾値、又は他の閾値に基づいてもよい。例えば、所定の閾値のうちの1つ以上は、照明コンプライアンス、道路の安全性、都市の持続可能性に関する要件、及び他のパラメータ、設定、又は要件に基づいてもよい。一実施形態によれば、所定の閾値のうちの1つ以上は、測光データベースからの情報に基づいてもよい。例えば、照明ユニットの性能は、測光データベースに定められるように知られた方法で時間とともに低下する場合がある。
【0048】
測定データが正常である場合、観測データ360は、任意選択的に、履歴データベース330に供給されて、トレーニングモジュールを充実させることができる。観察された重みが異常を示唆する場合、性能評価が、異常をチェックするために1つ以上の照明メトリックを再推定することができる。障害検出は、ライト資産を担当しているエンティティ又は当局に障害情報を転送する等の、さらなるアクションに繋がることができる。
【0049】
一実施形態によれば、評価システム300は、ユーザから情報を受ける及び/又はユーザに情報を提供するように構成されるユーザインターフェース380を含む。例えば、評価システム300は、1つ以上の照明ユニットに関する情報、障害の欠如に関する情報、特定された障害に関する情報、シミュレートされた及び/若しくは観測データの2次元若しくは3次元マップ、又はその他の情報等の、分析の1つ以上の結果に関する情報をユーザに提供してもよい。ユーザインターフェースは、評価システムの他の1つ以上のコンポーネントと同じ場所に位置付けられてもよく、評価システムの他のコンポーネントからリモートに位置付けられてもよい。例えば、ユーザインターフェース380は、評価システムの1つ以上の他のコンポーネントと有線及び/又は無線通信するコンピュータ、モニタ、スマートフォン、ウェアラブル、又は他のデバイスであってもよい。
【0050】
図4を参照すると、一実施形態における、照明ネットワーク内の照明ユニットの出力を分析するための方法400を示すフローチャートが示されている。本方法は、シミュレートされたデータ、履歴データ及び観測データを、照明ユニットを位置特定し、これらの照明ユニットの性能を評価するモデルに組み合わせるように構成される。本方法は、測光データベース310、シミュレーションモジュール320、履歴データベース330、トレーニングモジュール340、評価モジュール350、観測データ360、拡張モジュール370、及び/又はユーザインターフェース380のうちの1つ以上を含む評価システム300を利用してもよい。
【0051】
一実施形態によれば、本方法は、複数の照明ユニット10を含む照明システム100で動作するように構成される。照明システムは、本明細書に記載される又は想定される任意の実施形態であり得、複数の照明ユニットは、図2に関連して述べられる照明ユニットの任意のコンポーネントを含むことができる。一実施形態によれば、各照明ユニット10は、照明環境内のターゲット表面の全部又は一部を照らすように構成される。一実施形態によれば、照明ユニットは、街灯、駐車場照明、又は外部ターゲット表面を照らすように構成される他のランプポスト若しくは外部照明器具等の屋外照明器具である。別の実施形態によれば、照明ユニットは、天井ライト又は内部ターゲット表面を照らするように構成される他の内部照明器具等の屋内照明器具である。
【0052】
本方法のステップ410において、評価システムは、照明システム内の照明ユニットのうちの1つ以上に関する測光情報を受信又は取得し、それを測光データベース310に記憶する。測光データは、照明ユニットの製造業者及び/又は供給業者によって供給されてもよい。一実施形態によれば、評価システム300は、照明ユニットが購入される又は照明システム内でコミッショニングされる場合等に、自動的に測光データを取得し、測光データベース310内に測光データを記憶するように構成されてもよい。測光情報は、異なる温度、異なる気象条件、照明ユニットからの光出力の空間分布、及びその他の情報等の、1つ以上の状況における照明ユニットの性能に関する情報を含んでもよい。
【0053】
本方法のステップ420において、評価システムは、照明環境内で収集された観測データを受信又は取得し、該観測データを履歴データベース330に記憶する。照明システム内の複数の照明ユニットのうちの1つ以上に関する収集された観測データは、多くのデータの中でも、照度データを含んでもよい。一実施形態によれば、データはジオロケートされ、斯くして、1つ以上の照明ユニットに関する照度データは、照明システム内の照明ユニットの位置に関する情報を含む。観測データは、照明システム内を移動する自動又は手動光検出及び/又は撮像デバイス等の、動的光測定システム又はデバイスによって収集されてもよい。
【0054】
本方法のステップ430において、評価システムのシミュレーションモジュール320は、測光データベース310内のデータにアクセスする、及び照明環境の照明ネットワーク内の照明ユニットのうちの1つ以上の空間照明分布をシミュレートする。例えば、シミュレーションモジュールは、街路に沿って位置する複数の街灯、又はモール内の複数の天井灯の空間照明分布をシミュレートしてもよい。一実施形態によれば、シミュレーションモジュールは、照明シミュレーションソフトウェアのファミリを考慮し、すべてのソフトウェアにわたって包括的なシミュレーション方法論を適用して、空間照明分布をシミュレートすることができる。したがって、シミュレーションモジュールは、複数の照明ユニット、異なる道路形態、混合された照明ユニットのタイプ、及び他の多くの測光特性をシミュレートしてもよい。
【0055】
本方法のステップ440において、評価システムのトレーニングモジュール340は、照明ユニットのシミュレートされた出力及び照明ユニットの出力に関する履歴観察データに少なくとも部分的に基づいて照明システムのモデルを生成する。一実施形態によれば、モデルは、システム内の照明ユニットのうちの1つ以上の位置特定情報を含む。
【0056】
一実施形態によれば、トレーニングモジュール340は、ガウス混合モデル(GMM)学習原理を使用して、及びシミュレーションモジュールからのシミュレートされたデータを参照して、履歴データベースからグローバルバックグラウンドモデル(GBM)を推定する。一実施形態によれば、ガウス密度は、データ分布の異なる性質をフィッティングするするようにスカラー及びベクトルにあり得る。推定された平均ベクトルμは、ライトジオロケーション座標を表すことができ、共分散行列Σは、街路灯照度出力を特徴付けることができる。ジオロケートされた照度データは、本質的に1次統計及び高次統計の両方を表す、独立したガウス分布によって特徴付けられることができる。これらのパラメータは、高い忠実度でベンチマークライトオーディティング及び街路照明メトリクス等のアスペクトを計算することができる。一実施形態によれば、トレーニングモジュール340の出力は、資産位置特定である。
【0057】
本方法のステップ450において、照明システム内の1つ以上の照明ユニットに関する観測データが、評価システムによって受けられる。一実施形態によれば、リアルタイム測定(観測)データは、照明ユニットに関する照度又は他の観測データを取得するための任意のシステムを使用して取得されてもよい。リアルタイム測定(観測)データは、照明システム内を移動する自動又は手動光検出及び/又は撮像デバイス等の、動的光測定システム又はデバイスを使用して取得されてもよい。観測データは、該データが収集されると分析されてもよく、以後又は後日に分析するために記憶されてもよい。観察データは、評価システムに記憶されてもよく、又はリモートに記憶され、本方法の実行中の必要に応じてシステムに提供される若しくはシステムによってアクセスされてもよい。
【0058】
本方法の任意選択的なステップ460において、データ拡張モジュール370は、トレーニングモジュールによって生成されたモデルを使用して、受けた観測データを拡張する。観測データが評価システムに提供される場合、データ拡張モジュールは、量及び/又は分布のパラメータ等の、観察データの忠実度を分析し、拡張が必要であることを判断する。その後、拡張モジュールは、シミュレーションモジュール320及び/又は履歴データベース330からデータを受信又は要求することができ、補間及び/又はフィッティング方法を用いて、取得された観測データを増強(拡張)することができる。
【0059】
本方法のステップ470において、評価システムの評価モジュール350は、性能評価を築く及び障害検出のために観測データと生成されたモデルとを比較する。一実施形態によれば、評価モジュール350は、トレーニングモジュール340からのGBMガウス密度に、(拡張モジュール370によって拡張されてもよく、されなくてもよい)リアルタイム測定(観測)データをフィッティングし、観察された重みω'を推定する。その後、モジュールは、性能評価及び障害検出のために、観察された重みω'と、GBMの重みωとを比較する。
【0060】
一実施形態によれば、評価モジュール350は、性能を定量化及び/又は障害を検出するための1つ以上の所定の閾値を利用してもよい。1つ以上の所定の閾値は、ユーザ設定閾値、サービスレベル契約で定められる閾値、機械学習閾値、又は他の閾値のうちの1つ以上に基づいてもよい。
【0061】
本方法のステップ480において、障害が検出された場合、システムは、ユーザインターフェース380を使用して障害をユーザに通知する。通知は、照明ユニットの位置、障害の性質、観測及び/又は履歴データ、生成されたモデルとの比較、及び/又は他の情報等の、障害に関する情報を含んでもよい。通知は、視覚的な警告、光、音、テキスト、又は任意のその他の通知であってもよい。例えば、ユーザインターフェースは、照明環境の地図を含んでもよく、障害を含む照明ユニットの位置を表示してもよい。ユーザに障害を通知する他の多くの方法が可能である。
【0062】
本方法のステップ490において、障害が検出されない場合、受けた観測データは、履歴データベース330に記憶され、データは、評価方法の将来の反復過程において利用されてもよい。
【0063】
いくつかの発明実施形態が、本明細書で説明及び図示されてきたが、当業者は、本明細書で説明される機能を実行するための、並びに/あるいは、その結果及び/又は利点のうちの1つ以上を得るための、様々な他の手段及び/又は構造体を、容易に構想することとなり、そのような変形態様及び/又は修正態様は、本明細書で説明される発明実施形態の範囲内にあるものと見なされる。より一般的には、本明細書で説明される全てのパラメータ、寸法、材料、及び構成は、例示であることが意図されており、実際のパラメータ、寸法、材料、及び/又は構成は、本発明の教示が使用される特定の用途に応じて変化することを、当業者は容易に理解するであろう。当業者は、通常の実験のみを使用して、本明細書で説明される特定の発明実施形態に対する、多くの等価物を認識し、又は確認することが可能であろう。それゆえ、上述の実施形態は、例としてのみ提示されており、添付の請求項及びその等価物の範囲内で、具体的に説明及び特許請求されるもの以外の発明実施形態が実践されてもよい点を理解されたい。本開示の発明実施形態は、本明細書で説明される、それぞれの個別の特徴、システム、物品、材料、キット、及び/又は方法を対象とする。更には、2つ以上のそのような特徴、システム、物品、材料、キット、及び/又は方法の任意の組み合わせは、そのような特徴、システム、物品、材料、キット、及び/又は方法が相互に矛盾しない場合であれば、本開示の発明の範囲内に含まれる。
【0064】
本明細書で定義及び使用されるような、全ての定義は、辞書定義、参照により組み込まれる文書中での定義、及び/又は定義される用語の通常の意味を支配するように理解されるべきである。
【0065】
不定冠詞「a」及び「an」は、本明細書及び請求項において使用されるとき、そうではないことが明確に示されない限り、「少なくとも1つ」を意味するように理解されるべきである。
【0066】
語句「及び/又は」は、本明細書及び請求項において使用されるとき、そのように結合されている要素の「いずれか又は双方」、すなわち、一部の場合には接続的に存在し、他の場合には離接的に存在する要素を意味するように理解されるべきである。「及び/又は」で列挙されている複数の要素は、同じ方式で、すなわち、そのように結合されている要素のうちの「1つ以上」として解釈されるべきである。「及び/又は」の節によって具体的に特定されている要素以外の他の要素は、具体的に特定されているそれらの要素に関連するか又は関連しないかにかかわらず、オプションとして存在してもよい。それゆえ、非限定例として、「A及び/又はB」への言及は、「含む(comprising)」などのオープンエンドの言語とともに使用される場合、一実施形態では、Aのみ(オプションとして、B以外の要素を含む)、別の実施形態では、Bのみ(オプションとして、A以外の要素を含む)、更に別の実施形態では、A及びBの双方(オプションとして、他の要素を含む)などに言及することができる。
【0067】
本明細書及び請求項において使用されるとき、「又は」は、上記で定義されたような「及び/又は」と同じ意味を有するように理解されるべきである。例えば、リスト内の項目を分離する際、「又は」又は「及び/又は」は、包括的であるとして、すなわち、少なくとも1つを含むが、また、いくつかの要素又は要素のリストのうちの2つ以上を、オプションとして、列挙されていない追加項目も含むとして解釈されるものとする。その反対が明確に示される、「〜のうちの1つのみ」若しくは「〜のうちの厳密に1つ」、又は請求項で使用される場合の「〜から成る」などの用語のみが、いくつかの要素又は要素のリストのうちの厳密に1つを含むことに言及する。一般に、用語「又は」は、本明細書で使用されるとき、「〜のいずれか」、「〜のうちの1つ」、「〜のうちの1つのみ」、又は「〜のうちの厳密に1つ」などの、排他性の用語に先行する場合にのみ、排他的選択肢(すなわち、「一方又は他方であるが、双方ではない」)を示すとして解釈されるものとする。「〜から本質的に成る」は、請求項で使用される場合、特許法の分野で使用される際の、その通常の意味を有するものとする。
【0068】
本明細書及び請求項において使用されるとき、1つ以上の要素のリストを参照する語句「少なくとも1つ」は、その要素のリスト内の要素の任意の1つ以上から選択された、少なくとも1つを意味するが、必ずしも、その要素のリスト内で具体的に列挙されているそれぞれの要素のうちの、少なくとも1つを含むものではなく、その要素のリスト内の要素の、任意の組み合わせを排除するものではないことが理解されるべきである。この定義はまた、語句「少なくとも1つ」が言及する、その要素のリスト内で具体的に特定されている要素以外の要素が、具体的に特定されているそれらの要素に関連するか又は関連しないかにかかわらず、オプションとして存在してもよいことも可能にする。それゆえ、非限定例として、「A及びBのうちの少なくとも1つ」(又は、等価的に「A又はBのうちの少なくとも1つ」、又は、等価的に「A及び/又はBのうちの少なくとも1つ」)は、一実施形態では、オプションとして2つ以上を含めた、少なくとも1つのAであり、Bは存在しないこと(及び、オプションとしてB以外の要素を含む)、別の実施形態では、オプションとして2つ以上を含めた、少なくとも1つのBであり、Aは存在しないこと(及び、オプションとしてA以外の要素を含む)、更に別の実施形態では、オプションとして2つ以上を含めた、少なくとも1つのA、及び、オプションとして2つ以上を含めた、少なくとも1つのB(及び、オプションとして他の要素も含む)などに言及することができる。
【0069】
また、そうではないことが明確に示されない限り、2つ以上のステップ又は行為を含む、本明細書で特許請求されるいずれの方法においても、その方法のステップ又は行為の順序は、必ずしも、その方法のステップ又は行為が列挙されている順序に限定されるものではないことも理解されるべきである。
【0070】
請求項並びに上記の明細書では、「備える(comprising)」、「含む(including)」、「運ぶ(carrying)」、「有する(having)」、「包含する(containing)」、「伴う(involving)」、「保持する(holding)」、「〜で構成される(composed of)」などの全ての移行句は、オープンエンドであり、すなわち、含むが限定されないことを意味する点を理解されたい。米国特許庁の特許審査基準に記載されているように、移行句「〜から成る」及び「〜から本質的に成る」のみが、それぞれ、クローズド又は半クローズドの移行句であるものとする。
図1
図2
図3
図4