特許第6804672号(P6804672)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社タカラトミーの特許一覧

<>
  • 特許6804672-玩具車両昇降装置 図000002
  • 特許6804672-玩具車両昇降装置 図000003
  • 特許6804672-玩具車両昇降装置 図000004
  • 特許6804672-玩具車両昇降装置 図000005
  • 特許6804672-玩具車両昇降装置 図000006
  • 特許6804672-玩具車両昇降装置 図000007
  • 特許6804672-玩具車両昇降装置 図000008
  • 特許6804672-玩具車両昇降装置 図000009
  • 特許6804672-玩具車両昇降装置 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6804672
(24)【登録日】2020年12月4日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】玩具車両昇降装置
(51)【国際特許分類】
   A63H 18/14 20060101AFI20201214BHJP
   A63H 17/44 20060101ALI20201214BHJP
【FI】
   A63H18/14 C
   A63H17/44
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2020-3815(P2020-3815)
(22)【出願日】2020年1月14日
【審査請求日】2020年2月14日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003584
【氏名又は名称】株式会社タカラトミー
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木口 敬純
(72)【発明者】
【氏名】流石 正
(72)【発明者】
【氏名】本河 明広
(72)【発明者】
【氏名】柿崎 克美
(72)【発明者】
【氏名】大川 弘史
【審査官】 西村 民男
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−252852(JP,A)
【文献】 特開2001−293260(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3199932(JP,U)
【文献】 実開昭55−137699(JP,U)
【文献】 実開昭55−137698(JP,U)
【文献】 実開昭52−21596(JP,U)
【文献】 実公昭41−11547(JP,Y1)
【文献】 実公昭41−9527(JP,Y1)
【文献】 [DXトミカタワー]を徹底レビュー。組み立ては難しい?2歳息子の使用感|小売オタク,[online], 2019年12月24日, [2020年7月30日検索],URL,https://massablog.net/toy-review-dxtower/
【文献】 [特別企画]思わず大人も欲しくなる魅惑の「トミカワールド」の世界! ヒット作をリニューアル「スーパーオートトミカビル」、「トミカ シティパーキング」,[online], 2012年12月28日, [2020年7月30日検索],URL,https://game.watch.impress.co.jp/docs/news/580587.html
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H1/00−37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内周壁が平面視で円形に形成された塔と、
前記内周壁の中心軸と螺旋軸とが合致するように前記塔の内部に配設され、前記中心軸を中心に回転可能で、且つ、玩具車両を載設可能に構成された螺旋体と、
前記螺旋体と前記中心軸との間に形成される空間に上下方向に延在するように立設され、前記螺旋体に載設された前記玩具車両を前記螺旋体を下り落ちる力に抗して前記内周壁との間で保持可能に構成された仕切り板と、
前記内周壁と前記仕切り板とで前記玩具車両が保持された状態で前記中心軸を中心に前記螺旋体を回転させて前記玩具車両を昇降させる螺旋体回転装置と、
前記塔に形成され、前記内周壁による前記玩具車両の保持を解き前記螺旋体に載設された前記玩具車両を前記仕切り板が向く方向で前記塔の外部に排出させる玩具車両排出口と、
を備えた玩具車両昇降装置において、
前記塔には玩具車両排出口が複数形成され、前記仕切り板は向きを変更可能に構成されるとともに、前記仕切り板の向きを変える仕切り板向き変更装置が設けられ
前記仕切り板の形状と複数の玩具車両排出口の形成位置とは、任意の1つの前記玩具車両排出口での前記玩具車両の排出方向と、当該1つの前記玩具車両排出口と同一高さ位置にある仕切り板の向きとが合致するときに、他の前記玩具車両排出口での前記玩具車両の排出方向と、当該他の前記玩具車両排出口と同一高さ位置にある仕切り板の向きとが合致しないような関係にあることを特徴とする玩具車両昇降装置。
【請求項2】
平面視で互いに異なる位置に、複数の前記玩具車両排出口が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の玩具車両昇降装置。
【請求項3】
高さが互いに異なる位置に、複数の前記玩具車両排出口が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の玩具車両昇降装置。
【請求項4】
前記塔には、人為的操作によって前記中心軸を中心に回転可能に構成され、回転によって複数の前記玩具車両排出口のそれぞれに選択的に連結可能な玩具車両用軌道が付設され、前記仕切り板向き変更装置は、前記玩具車両用軌道の回転に連動して前記仕切り板の向きを切り換える連動機構を備えることを特徴とする請求項2に記載の玩具車両昇降装置。
【請求項5】
前記塔には、人為的操作によって前記中心軸を中心に回転可能で且つ上下方向に動作可能に構成され、回転及び上下方向動作によって複数の前記玩具車両排出口のそれぞれに選択的に連結可能な玩具車両用軌道が付設され、前記仕切り板向き変更装置は、前記玩具車両用軌道の回転に連動して前記仕切り板の向きを切り換える連動機構を備えることを特徴とする請求項3に記載の玩具車両昇降装置。
【請求項6】
前記仕切り板は、前記中心軸と合致する位置に配置された軸に付設され、前記軸を中心に上下方向でねじれていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の玩具車両昇降装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は玩具車両昇降装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、玩具車両昇降装置として、特許文献1に開示されたものがある。この玩具車両昇降装置では、塔(昇降筒)と、塔の内部に配設され鉛直軸を中心に回転可能で、且つ、玩具車両を載設可能に構成された螺旋体と、螺旋体に載設された玩具車両が螺旋体を下り落ちる力に抗して内周壁との間で玩具車両を保持可能な仕切り板と、内周壁と仕切り板とで玩具車両が保持された状態で螺旋体を回転させて玩具車両を昇降させる昇降装置と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公昭41−9527号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1記載の技術では、昇降室を構成する仕切り板が固定され、仕切り板と内周壁での保持場所が平面視で1つに定まっているため、1つの玩具車両排出口からしか玩具車両を排出できない。すなわち、塔に複数の玩具車両排出口を設けたとしても1つの玩具車両排出口だけからしか玩具車両を排出できない。
本発明は、かかる問題点に鑑みなされたもので、複数の玩具車両排出口から玩具車両を排出することができる玩具車両昇降装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の手段は、
内周壁が平面視で円形に形成された塔と、
前記内周壁の中心軸と螺旋軸とが合致するように前記塔の内部に配設され、前記中心軸を中心に回転可能で、且つ、玩具車両を載設可能に構成された螺旋体と、
前記螺旋体と前記中心軸との間に形成される空間に上下方向に延在するように立設され、前記螺旋体に載設された前記玩具車両を前記螺旋体を下り落ちる力に抗して前記内周壁との間で保持可能に構成された仕切り板と、
前記内周壁と前記仕切り板とで前記玩具車両が保持された状態で前記中心軸を中心に前記螺旋体を回転させて前記玩具車両を昇降させる螺旋体回転装置と、
前記塔に形成され、前記内周壁による前記玩具車両の保持を解き、前記螺旋体に載設された前記玩具車両を前記仕切り板が向く方向で前記塔の外部に排出させる玩具車両排出口と、
を備えた玩具車両昇降装置において、
前記塔には玩具車両排出口が複数形成され、前記仕切り板は向きを変更可能に構成されるとともに、前記仕切り板の向きを変える仕切り板向き変更装置が設けられ
前記仕切り板の形状と複数の玩具車両排出口の形成位置とは、任意の1つの前記玩具車両排出口での前記玩具車両の排出方向と、当該1つの前記玩具車両排出口と同一高さ位置にある仕切り板の向きとが合致するときに、他の前記玩具車両排出口での前記玩具車両の排出方向と、当該他の前記玩具車両排出口と同一高さ位置にある仕切り板の向きとが合致しないような関係にあることを特徴とする。
【0006】
第2の手段は、第1の手段において、平面視で互いに異なる位置に、複数の前記玩具車両排出口が形成されていることを特徴とする。
【0007】
第3の手段は、第2の手段において、高さが互いに異なる位置に、複数の前記玩具車両排出口が形成されていることを特徴とする。
【0008】
第4の手段は、第2の手段において、前記塔には、人為的操作によって前記中心軸を中心に回転可能に構成され、回転によって複数の前記玩具車両排出口のそれぞれに選択的に連結可能な玩具車両用軌道が付設され、前記仕切り板向き変更装置は、前記玩具車両用軌道の回転に連動して前記仕切り板の向きを切り換える連動機構を備えることを特徴とする。
【0009】
第5の手段は、第3の手段において、前記塔には、人為的操作によって前記中心軸を中心に回転可能で且つ上下方向に動作可能に構成され、回転及び上下方向動作によって複数の前記玩具車両排出口のそれぞれに選択的に連結可能な玩具車両用軌道が付設され、前記仕切り板向き変更装置は、前記玩具車両用軌道の回転に連動して前記仕切り板の向きを切り換える連動機構を備えることを特徴とする。
【0010】
第6の手段は、第1の手段〜第5の手段のいずれかにおいて、前記仕切り板は、前記中心軸と合致する位置に配置された軸に付設され、前記軸を中心に上下方向でねじれていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
第1の手段によれば、仕切り板の向きを変えることで、任意の一の前記玩具車両排出口から前記玩具車両を排出することができる。
【0013】
第2の手段によれば、仕切り板の向きを変えることで、平面視で互いに異なる位置にある複数の前記玩具車両排出口のうちの任意の一の前記玩具車両排出口から前記玩具車両を排出することができる。
【0014】
第3の手段によれば、仕切り板の向きを変えることで、高さが互いに異なる位置にある複数の前記玩具車両排出口のうちの任意の一の前記玩具車両排出口から前記玩具車両を排出することができる。
【0015】
第4の手段及び第5の手段によれば、人為的操作による回転によって任意の玩具車両排出口に玩具車両用軌道を連結すれば、自動的に、当該玩具車両排出口から玩具車両を排出することができる。
【0016】
第6の手段によれば、仕切り板がねじれているので、高さだけが互いに異なる位置にある複数の玩具車両排出口にも対応できる。また、仕切り板がねじれているので、玩具車両の昇降に伴い玩具車両が向きを変えることから、塔を透明とすれば、外部から玩具車両をいろいろな角度から見ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本実施形態の玩具車両昇降装置の第1状態の外観を示した正面側斜視図である。
図2図2は、図1の玩具車両昇降装置の外観を示した背面側斜視図である。
図3図3は、玩具車両昇降装置の第2状態の外観を示した正面側斜視図である。
図4図4は玩具車両送り装置Aを示した図である。
図5図5は、塔10の周壁の半部を取り去った状態を示した斜視図である。
図6図6は電動式の螺旋体回転装置を示した斜視図である。
図7図7は手動式の螺旋体回転装置等を示した斜視図である。
図8図8は玩具車両の昇降の様子を示した塔の断面図である。
図9図9は仕切り板向き変更装置のレバーを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(全体構成)
図1は、本実施形態の玩具車両昇降装置100の第1状態の外観を示した正面側斜視図、図2は、その玩具車両昇降装置100の外観を示した背面側斜視図である。
この玩具車両昇降装置100は、塔10と、塔10に付設された玩具車両軌道50とを備えている。
塔10には、玩具車両入口11、第1玩具車両排出口12及び第2玩具車両排出口13が形成されている。第1玩具車両排出口12と第2玩具車両排出口13とは、塔10の中心軸を中心とする円周方向及び高さ方向で互いに異なる位置に形成されている。この塔10内で玩具車両80が昇降される。
また、玩具車両軌道50の脇には適宜に玩具車両80の駐車スペース70が形成されている。玩具車両軌道50は固定軌道51と可動軌道52とから構成され、可動軌道52は塔10の中心軸を中心に回転可能に構成されている。すなわち、可動軌道52は、回転によって、下方の固定軌道51と上下方向で重なる第1位置と、第1位置と平面視で凡そ120度の角度をなす第2位置との範囲で回転可能となっている(図3参照)。
可動軌道52は、第1位置にあるときには第1玩具車両排出口12に連結され、第2位置にあるときには第2玩具車両排出口13に連結される。
この玩具車両昇降装置100では、最下段の固定軌道51に複数の玩具車両80を載設し、始動スイッチSWを操作すると、玩具車両80が1台ずつ塔10の玩具車両入口11から塔10内に入る。そして、玩具車両80は塔10内で上昇させられ、可動軌道52が連結された第1玩具車両排出口12又は第2玩具車両排出口13から選択的に排出される。
【0020】
(細部構成)
1.玩具車両送り装置A
図4は、玩具車両送り装置Aを示した図である。
最下段の固定軌道51は、玩具車両入口11に連結され、当該玩具車両入口11に向けて緩やかな下り坂となっている。玩具車両送り装置Aは、この最下段の固定軌道51の玩具車両入口11近くに設けられ、玩具車両80を1台ずつ玩具車両入口11から塔10内に送り込む。
【0021】
この玩具車両送り装置Aは第1ストッパ53及び第2ストッパ54を備えている。
第1ストッパ53は板状に構成されている。第1ストッパ53は、水平な軸55aを中心に回動するシーソ部材55の一方のアーム550の先端部に軸53aを介して支持されている。シーソ部材55は固定軌道51の下方に設けられている。そして、第1ストッパ53は、シーソ部材55のシーソ動作に伴って、固定軌道51に形成されたスリット(図示せず)を介して固定軌道51の上面から出没し、突出時に先頭の玩具車両80を停止させる。
第2ストッパ54は箱形に構成されている。第2ストッパ54は、玩具車両入口11側部分が水平な軸54aを介して回動可能に支持されている。また、第2ストッパ54は、自由端側部分の長孔54bがシーソ部材55の他方のアーム551の先端部の第1ピン55bに係合している。第2ストッパ54の上面は、固定軌道51に形成された矩形状開口(図示せず)から露出している。そして、第2ストッパ54は、シーソ部材55のシーソ動作に伴って、第1ストッパ53と交互に固定軌道51の上面から出没し、突出時に後続の玩具車両80を停止させる。
【0022】
シーソ部材55はアーム550がばね56によって上方に付勢されている。また、シーソ部材55のアーム551の中間部には第2ピン55cが付設されている。
そして、第2ピン55cは、他のシーソ部材57の一方のアーム570に当接している。また、シーソ部材57は、水平な軸57aに支持され、他方のアーム571が後述の螺旋体20の下板22に形成されたカム58(図6参照)に当接している。
【0023】
このように構成された玩具車両送り装置Aによれば、常態では、ばね56の付勢力によって、第1ストッパ53が固定軌道51の上面から突出し、第2ストッパ54の上面は固定軌道51の上面と面一となっている。この状態では、第1ストッパ53によって先頭の玩具車両80が止められ、当該玩具車両80のシャーシ下に第2ストッパ54が潜り込む。
そして、送りのタイミングに至ると、シーソ部材57がカム58によって動作して、シーソ部材55の第3ピン55cを押し上げる。これによって、第1ストッパ53が固定軌道51の上面から没し、第2ストッパ54が固定軌道51の上面から突出し、第2ストッパ54の上面によって先頭の玩具車両80を玩具車両入口11から塔10内へ送り出す。また、このとき、第2ストッパ54が固定軌道51の上面から突出するので、この第2ストッパ54によって後続の玩具車両80が一時的に止められる。
【0024】
2.昇降ユニットB
図5は、塔10の周壁の半部を取り去った状態を示した斜視図である。
昇降ユニットBは全体として円筒状に構成され、ベース100aに対して着脱可能に構成されている。昇降ユニットBは、玩具車両80を昇降させるギミックを構成している。この昇降ユニットBは、塔10の外郭となる円筒状外郭10aと、円筒状外郭10a内に配設された螺旋体20及び仕切り板25とを含んで構成されている。
【0025】
円筒状外郭10aは、天板10cを有し、内周壁10bが外周壁と同様に平面視で円形となっている。そして、この円筒状外郭10aには、玩具車両入口11、第1玩具車両排出口12及び第2玩具車両排出口13が形成されている(図1図3)。そして、円筒状外郭10a内には、塔10の中心軸と螺旋軸とが合致するように螺旋体20が配設されている。
【0026】
螺旋体20は、円筒状外郭10aの上下方向全域に亘って延在している。螺旋体20の上端には円筒状外郭10aの天板10cの直下に配置される上板21(図7参照)、螺旋体20の下端には下板22(図6参照)がそれぞれ付設されている。螺旋体20の幅は、玩具車両80を載設可能な幅となっている。また、円筒状外郭10a内に配設された螺旋体20と塔10の中心軸との間には所定の空間が形成されている。そして、当該空間には仕切り板25が配設されている。
【0027】
仕切り板25は、円筒状外郭10aの上下方向全域に亘って延在している。この仕切り板25は帯状に形成されており、その幅方向中間の軸を中心に上下方向でねじれた形となっている。
この仕切り板25は、図8に示すように、螺旋体20に玩具車両80が載設されているときには、玩具車両80が螺旋体20を下り落ちる力に抗して当接により内周壁10bとの間で当該玩具車両80を保持する。この場合、仕切り板25の向きにより玩具車両80の向きが規制される。本実施形態では、玩具車両80が仕切り板25のねじれに倣って向きを変えながら昇降することになる。
そして、仕切り板25の向きと玩具車両排出口とが合致する位置で内周壁10bによる保持が解かれると玩具車両80が当該玩具車両排出口から排出される。
なお、仕切り板25の下端部は、固定軌道51からの塔10への玩具車両80の導入の妨げとならないように直径方向の半部が切り欠かれている。
【0028】
3.螺旋体回転装置C
螺旋体回転装置Cは、ベース100a内で円筒状外郭10aの下方に設けられている。この螺旋体回転装置Cは、電動式の螺旋体回転装置で、モータMと、モータMの動力を螺旋体20に伝達する動力伝達機構31とを備える。動力伝達機構31の最終段の歯車31aは、螺旋体20の下板22に固定された歯車32に噛合している。この動力伝達機構31の中には適宜にクラッチが設けられる。
【0029】
4.螺旋体回転装置D
螺旋体回転装置Dは円筒状外郭10aの上に設けられている。この螺旋体回転装置Dは、手動式の螺旋体回転装置で、円筒状外郭10aの上に取り付けられた円板状のハンドル36(図6参照)と、ハンドル36の操作動力を螺旋体20に伝達する動力伝達機構37とを備える。この螺旋体回転装置Dは、手動で螺旋体20を回転させて玩具車両80を昇降させたり、塔10内で玩具車両80が詰まったりしたときに使用される。
ここで、動力伝達機構37は歯車37a〜37dを備える。歯車37aは、ハンドル10aの6角軸(図示せず)に嵌合する6角ソケット38に形成されている。また、歯車37aは、円筒状外郭10aに立設された軸に付設された歯車37bに噛合している。歯車37bと同軸には、クラッチを介して当該歯車37bに連結された歯車37cが設けられている。そして、歯車37cは、螺旋体20の上板21に固定された歯車37dに噛合している。
【0030】
5.仕切り板向き変更装置E
仕切り板向き変更装置Eは、玩具車両排出口を変更するために使用される。この仕切り板向き変更装置Eは、外部から仕切り板25の向きを変更でき、さらに、その変更状態を保持できるものであればよい。仕切り板25の向きの変更は電動又は人手のどちらで行うものであってもよく、また、仕切り板25の向きの変更を人手で行うものでは、変更状態の保持も人手で行うものであってもよい。
【0031】
本実施形態の仕切り板向き変更装置Eについて言えば、仕切り板向き変更装置Eは、可動軌道52、レバー41及び扇形歯車42を備える。
【0032】
可動軌道52は人手による入力部品を構成している。すなわち、可動軌道52はリング部材40(図1参照)を介して塔10に基端部が取り付けられている。リング部材40は円筒容器10aの外側に嵌合している。そして、可動軌道52は、回転によって、固定軌道51と上下方向で重なる第1位置(図1参照)と、第1位置と平面視で凡そ120度の角度をなす第2位置(図2参照)との範囲で回転可能となっている。この可動軌道52には第1位置でレバー41の下端を押圧する突起52aが設けられている。
【0033】
図9に示すように、レバー41は軸41aを介して円筒状外郭10aに上下方向の中間部が支持されている。レバー41の下端には、可動軌道52の突起52aにより押圧される被押圧部41bが形成されている。また、レバー41の上端には係合凹部41cが形成されている。このレバー41は回動範囲が規制され、ばね41dにより回動範囲の一方端に向けて付勢されている。そして、可動軌道52が第1位置でレバー41の被押圧部41bを押圧すると、レバー41は回動範囲の他方端に向けて回動する。符号41e、41fで指示するのはストッパである。
【0034】
扇形歯車42は、鉛直な軸42aを介して円筒状外郭10aに基端部が支持されている。基端部のピン42bはレバー41の係合凹部41cに係合している。一方、扇形歯車42の先端の歯部は、仕切り板25の上端に軸(図示せず)を介して固定された歯車43に噛合している。その結果、レバー41が回動されると仕切り板25の向きが変更される。
【0035】
6.軌道連結機構F
軌道連結機構Fは可動軌道52を第1玩具車両排出口12又は第2玩具車両排出口13に選択的に連結させるものである。複数の玩具車両排出口が同じ高さ位置で塔10の円周方向の異なる位置にある場合には、可動軌道52を塔10に対して回転させだけで、可動軌道52を各玩具車両排出口に連結させることができる。
しかし、本実施形態の第1玩具車両排出口12及び第2玩具車両排出口13は異なる高さ位置及び塔10の円周方向に離れた位置に形成されている。この場合には、可動軌道52を塔10に対して回転させだけでは、可動軌道52を各玩具車両排出口に連結させることができない。
そこで、本実施形態では、リング部材40を塔10に対して上下動可能に構成するとともに、可動軌道52の自由端の下に脚44を設けている。
そして、脚44を、可動軌道52が第1位置にあるときにはベース100aに付設された座部45の上に着座させ、可動軌道52が第2位置にあるときには玩具車両昇降装置100の設置面である床上に着座させるようにしている。
これによって、可動軌道52の回転位置と高さ位置が調整され、可動軌道52を第1玩具車両排出口12又は第2玩具車両排出口13に選択的に連結させることができる。
【0036】
(変形例)
上記実施形態では、玩具車両排出口を塔10の円周方向及び高さ方向の互いに異なる位置に設けたが、玩具車両排出口を塔10の円周方向の同じ位置で高さ方向の互いに異なる位置に設けてもよい。また、玩具車両排出口を同じ高さ位置で塔10の円周方向の異なる位置に設けてもよい。この場合には、仕切り板25はねじれていなくてもよい。要は、仕切り板の形状と玩具車両排出口の形成位置とが次の関係を持つようにすればよい。すなわち、任意の一の玩具車両排出口での排出方向と同一高さ位置にある仕切り板部分の向きとが合致するときに、他の玩具車両排出口での排出方向と同一高さ位置にある仕切り板部分の向きとが合致しないような関係であることである。
【0037】

また、上記実施形態では、玩具車両を昇降させるようにしたが、螺旋体を下り落ちる力に抗して当接により仕切り板と内周壁との間で保持可能な物体であれば、例え球状体であっても適用することができる。
【符号の説明】
【0038】
100 玩具車両昇降装置
10 塔
20 螺旋体
25 仕切り板
A 玩具車両送り装置
B 昇降ユニット
C,D 螺旋体回転装置
E 仕切り板向き変更装置
F 軌道連結機構
【要約】
【課題】複数の玩具車両排出口から玩具車両を排出することができる玩具車両昇降装置を提供すること。
【解決手段】内周壁が平面視で円形に形成された塔と、塔の内部に配設された螺旋体と、螺旋体を下り落ちる力に抗して内周壁との間で玩具車両を保持可能に構成された仕切り板と、螺旋体を回転させて玩具車両を昇降させる螺旋体回転装置と、玩具車両を仕切り板の向く方向で排出させる玩具車両排出口と、を備えた玩具車両昇降装置において、塔には玩具車両排出口が複数形成され、仕切り板は向きを変更させる仕切り板向き変更装置が設けられていることを特徴とする。
【選択図】図7
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9