(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
燃料電池装置が部分負荷発電状態であるか或いは定格発電状態であるかに関わらず、燃料利用率をできるだけ高くするとしても、全ての燃料電池装置で同じ燃料利用率を設定するのではなく、各燃料電池装置に適した燃料利用率を設定することが好ましい。
【0007】
例えば、燃料電池の燃焼部での燃料ガスの燃焼性が燃料電池毎に異なる場合、複数の燃料電池の燃焼部に同じ量の燃料ガスが供給されても、燃焼部の温度が異なる可能性がある。そのため、例えば燃焼部での燃料ガスの燃焼性が相対的に悪い燃料電池では、より多くの燃料ガスが燃焼部に供給されること、即ち、より低い燃料利用率を設定することが好ましい。それに対して、例えば燃焼部での燃料ガスの燃焼性が相対的に良い燃料電池では、より少ない燃料ガスが燃焼部に供給されること、即ち、より高い燃料利用率を設定することが好ましい。
【0008】
他には、アノードに供給されるべき燃料ガス(発電反応で消費される分の燃料ガスと燃焼部で燃焼される分の燃料ガス)がどこかで燃料電池の外部にリークしている可能性もある。その場合、発電反応で消費される燃料ガスの量が一定であるとすると、リークしている分だけ、燃焼部に供給されて燃焼される燃料ガスの量が減少する。そして、燃焼部の温度が適正な温度範囲よりも低くなる。そのため、例えば燃料ガスのリークが発生している可能性がある燃料電池では、適正な量の燃料ガスが燃焼部へと供給されるように、より多くの燃料ガスがアノードに供給されること、即ち、より低い燃料利用率を設定することが好ましい。尚、リークすることで、燃料電池の発電反応でも消費されず、且つ、燃焼部でも燃焼されない燃料ガスが存在していたとしても、別に設けられる燃焼触媒部で触媒燃焼することで除去できる。
また、燃料ガスが燃料電池の外部へリークする以外にも、アノード側からカソード側へリークする可能性もある。その場合、アノードでの発電反応に用いることができる燃料ガス量が減少して、燃料電池の出力電圧が低下する可能性がある。
【0009】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、燃料電池を適正に運転できるような適正な燃料利用率が設定される燃料電池装置及びそれを備える燃料電池管理システムを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための本発明に係る燃料電池装置の特徴構成は、原燃料ガスを水蒸気改質して水素を含む燃料ガスを生成する改質部と、
前記改質部で生成された前記燃料ガスが供給されるアノード及び酸素ガスが供給されるカソードを有する燃料ガス消費部としての燃料電池と、
発電反応で用いられた後に前記アノードから排出される排出燃料ガスに含まれる前記燃料ガスを燃焼させ、その燃焼熱によって前記改質部を加熱する前記燃料ガス消費部としての燃焼部と、
前記改質部への前記原燃料ガスの供給量を調節する原燃料供給量調節部と、
前記燃料ガス消費部での前記燃料ガスの消費状態を検出する消費状態検出部と、
前記アノードに供給される前記燃料ガスの量に対応する前記原燃料ガスの量に対する、前記アノードで発電反応に用いられる前記燃料ガスの量に対応する前記原燃料ガスの量の比率である燃料利用率の目標値を燃料電池の出力電流の関数として定めている基準燃料利用率特性曲線に従って、前記原燃料供給量調節部の動作を制御して前記改質部への前記原燃料ガスの単位時間当たりの供給量を調節する運転制御部と
、
前記改質部と前記燃料電池と前記燃焼部とを収容する筐体の内部から排気される排気ガスに含まれる前記燃料ガスを触媒燃焼する前記燃料ガス消費部としての燃焼触媒部とを備え、
前記消費状態検出部は、前記燃料ガス消費部としての前記燃焼触媒部の温度を検出する触媒温度検出部を有し、
前記運転制御部は、前記消費状態検出部の検出結果に基づいて、
前記改質部に供給する原燃料ガスが不足している供給不足条件が満たされると判定した場合、前記改質部への前記原燃料ガスの単位時間当たりの供給量を増加させることで、前記基準燃料利用率特性曲線で定まる前記燃料利用率の目標値よりも燃料利用率が低くなるように前記原燃料供給量調節部の動作を制御し、
前記改質部に供給する原燃料ガスが過剰である供給過剰条件が満たされると判定した場合、前記改質部への前記原燃料ガスの単位時間当たりの供給量を減少させることで、前記基準燃料利用率特性曲線で定まる前記燃料利用率の目標値よりも燃料利用率が高くなるように前記原燃料供給量調節部の動作を制御
し、
前記運転制御部は、前記燃焼触媒部の温度が上限触媒温度より高い場合に前記供給不足条件が満たされたと判定する点にある。
【0011】
上記特徴構成によれば、運転制御部は、消費状態検出部の検出結果に基づいて、改質部に供給する原燃料ガスが不足している供給不足条件が満たされると判定した場合、改質部への原燃料ガスの単位時間当たりの供給量を増加させることで、基準燃料利用率特性曲線で定まる燃料利用率の目標値よりも燃料利用率が低くなるように原燃料供給量調節部の動作を制御する。つまり、燃料利用率が低くなるように改質部への原燃料ガスの単位時間当たりの供給量が増加するため、改質部に供給する原燃料ガスが不足する状態の解消が期待される。
また、運転制御部は、消費状態検出部の検出結果に基づいて、改質部に供給する原燃料ガスが過剰である供給過剰条件が満たされると判定した場合、改質部への原燃料ガスの単位時間当たりの供給量を減少させることで、基準燃料利用率特性曲線で定まる燃料利用率の目標値よりも燃料利用率が高くなるように原燃料供給量調節部の動作を制御する。つまり、燃料利用率が高くなるように改質部への原燃料ガスの単位時間当たりの供給量が減少するため、改質部に供給する原燃料ガスが過剰な状態の解消が期待される。
このように、改質部に供給する原燃料ガスの量が、燃料電池装置の燃料ガス消費部での燃料ガスの実際の消費状態に基づいて調節されることで、適切な燃料利用率へと修正される。
また、アノードに供給されるべき燃料ガス(発電反応で消費される分の燃料ガスと燃焼部で燃焼される分の燃料ガス)がどこかで外部にリークしている場合、発電反応で消費される燃料ガスの量が一定であるとすると、リークしている分だけ、燃焼部に供給されて燃焼される燃料ガスの量が減少する。そして、リークしたために、燃料電池の発電反応でも消費されず、且つ、燃焼部でも燃焼されない燃料ガスが筐体の内部で存在している場合、その燃料ガスは燃焼触媒部で触媒燃焼されるため、触媒燃焼部の温度が高くなる。そのため、例えば燃料ガスのリークが発生している可能性がある燃料電池では、適正な量の燃料ガスが燃焼部へと供給されるように、より多くの燃料ガスがアノードに供給されること、即ち、より低い燃料利用率を設定することが好ましい。そこで本特徴構成では、運転制御部は、燃焼触媒部の温度が上限触媒温度より高い場合に供給不足条件が満たされたと判定し、改質部への原燃料ガスの単位時間当たりの供給量を増加させることで、基準燃料利用率特性曲線で定まる燃料利用率の目標値よりも燃料利用率が低くなるように原燃料供給量調節部の動作を制御する。その結果、改質部に供給する原燃料ガスが不足する状態の解消、即ち、燃焼部に供給されて燃焼される燃料ガスの量の増加、が期待される。
従って、燃料電池を適正に運転できるような適正な燃料利用率が設定される燃料電池装置を提供できる。
【0012】
本発明に係る燃料電池装置の別の特徴構成は、前記消費状態検出部は、前記燃焼部の温度を検出する燃焼温度検出部を有し、
前記運転制御部は、前記燃焼部の温度が下限燃焼温度より低い場合に前記供給不足条件が満たされたと判定し、前記燃焼部の温度が前記下限燃焼温度よりも高い上限燃焼温度より高い場合に前記供給過剰条件が満たされたと判定する点にある。
【0013】
燃料電池の燃焼部での燃料ガスの燃焼性が燃料電池毎に異なる場合、複数の燃料電池の燃焼部に同じ量の燃料ガスが供給されても、燃焼部の温度が異なる可能性がある。そのため、例えば燃焼部での燃料ガスの燃焼性が相対的に悪い燃料電池では、より多くの燃料ガスが燃焼部に供給されること、即ち、より低い燃料利用率を設定することが好ましい。それに対して、例えば燃焼部での燃料ガスの燃焼性が相対的に良い燃料電池では、より少ない燃料ガスが燃焼部に供給されること、即ち、より高い燃料利用率を設定することが好ましい。
そこで本特徴構成では、運転制御部は、燃焼部の温度が下限燃焼温度より低い場合に供給不足条件が満たされたと判定し、改質部への原燃料ガスの単位時間当たりの供給量を増加させることで、基準燃料利用率特性曲線で定まる燃料利用率の目標値よりも燃料利用率が低くなるように原燃料供給量調節部の動作を制御する。その結果、改質部に供給する原燃料ガスが不足する状態の解消、即ち、燃焼部の温度が下限燃焼温度以上になること、が期待される。それに対して、運転制御部は、燃焼部の温度が下限燃焼温度よりも高い上限燃焼温度より高い場合に供給過剰条件が満たされたと判定し、改質部への原燃料ガスの単位時間当たりの供給量を減少させることで、基準燃料利用率特性曲線で定まる燃料利用率の目標値よりも燃料利用率が高くなるように原燃料供給量調節部の動作を制御する。その結果、改質部に供給する原燃料ガスが過剰な状態の解消、即ち、燃焼部の温度が上限燃焼温度以下になること、が期待される。
【0014】
本発明に係る燃料電池装置の別の特徴構成は、前記消費状態検出部は、前記燃料ガス消費部としての前記燃料電池の出力電圧を検出する出力電圧検出部を有し、
前記運転制御部は、前記燃料電池の出力電圧が下限出力電圧より低い場合に前記供給不足条件が満たされたと判定し、前記燃料電池の出力電圧が前記下限出力電圧よりも高い上限出力電圧より高い場合に前記供給過剰条件が満たされたと判定する点にある。
【0015】
燃焼部の温度が低いことに伴って燃料電池の温度が低くなっている場合、及び、燃料電池のアノードでの燃料ガス濃度が低くなっている場合、燃料電池の出力電圧が低くなる可能性がある。その場合、より多くの燃料ガスが燃焼部に供給されること、及び、より多くの燃料ガスが燃料電池のアノードに供給されること、即ち、より低い燃料利用率を設定することが好ましい。それに対して、燃焼部の温度が高いことに伴って燃料電池の温度が高くなっている場合、及び、燃料電池のアノードでの燃料ガス濃度が高くなっている場合、燃料電池の出力電圧が高くなる可能性がある。その場合、より少ない燃料ガスが燃焼部に供給されること、及び、より少ない燃料ガスが燃料電池のアノードに供給されること、即ち、より高い燃料利用率を設定することが好ましい。
そこで本特徴構成では、運転制御部は、燃料電池の出力電圧が下限出力電圧より低い場合に供給不足条件が満たされたと判定し、改質部への原燃料ガスの単位時間当たりの供給量を増加させることで、基準燃料利用率特性曲線で定まる燃料利用率の目標値よりも燃料利用率が低くなるように原燃料供給量調節部の動作を制御する。その結果、改質部に供給する原燃料ガスが不足する状態の解消、即ち、燃料電池の出力電圧が下限出力電圧以上になること、が期待される。それに対して、運転制御部は、燃料電池の出力電圧が下限出力電圧よりも高い上限出力電圧より高い場合に供給過剰条件が満たされたと判定し、改質部への原燃料ガスの単位時間当たりの供給量を減少させることで、基準燃料利用率特性曲線で定まる燃料利用率の目標値よりも燃料利用率が高くなるように原燃料供給量調節部の動作を制御する。その結果、改質部に供給する原燃料ガスが過剰な状態の解消、即ち、燃料電池の出力電圧が上限出力電圧以下になること、が期待される。
【0016】
上記目的を達成するための本発明に係る燃料電池管理システムの特徴構成は、互いに情報通信可能な燃料電池装置とサーバー装置とを備え、
前記燃料電池装置は、原燃料ガスを水蒸気改質して水素を含む燃料ガスを生成する改質部と、前記改質部で生成された前記燃料ガスが供給されるアノード及び酸素ガスが供給されるカソードを有する燃料ガス消費部としての燃料電池と、発電反応で用いられた後に前記アノードから排出される排出燃料ガスに含まれる前記燃料ガスを燃焼させ、その燃焼熱によって前記改質部を加熱する前記燃料ガス消費部としての燃焼部と、前記改質部への前記原燃料ガスの供給量を調節する原燃料供給量調節部と、前記燃料ガス消費部での前記燃料ガスの消費状態を検出する消費状態検出部と、前記アノードに供給される前記燃料ガスの量に対応する前記原燃料ガスの量に対する、前記アノードで発電反応に用いられる前記燃料ガスの量に対応する前記原燃料ガスの量の比率である燃料利用率の目標値を燃料電池の出力電流の関数として定めている基準燃料利用率特性曲線に従って、前記原燃料供給量調節部の動作を制御して前記改質部への前記原燃料ガスの単位時間当たりの供給量を調節する運転制御部と、前記改質部と前記燃料電池と前記燃焼部とを収容する筐体の内部から排気される排気ガスに含まれる前記燃料ガスを触媒燃焼する前記燃料ガス消費部としての燃焼触媒部とを備え、前記消費状態検出部は、前記燃料ガス消費部としての前記燃焼触媒部の温度を検出する触媒温度検出部を有し、
前記燃料電池装置の前記運転制御部は、前記消費状態検出部の検出結果を前記サーバー装置に送信する検出結果送信処理と、前記サーバー装置で行われる検出結果判定処理の判定結果を受信する判定結果受信処理と、前記サーバー装置から受信した前記判定結果に基づいて、前記改質部への前記原燃料ガスの単位時間当たりの供給量を増加させることで、前記基準燃料利用率特性曲線で定まる前記燃料利用率の目標値よりも燃料利用率が低くなるように前記原燃料供給量調節部の動作を制御する、又は、前記改質部への前記原燃料ガスの単位時間当たりの供給量を減少させることで、前記基準燃料利用率特性曲線で定まる前記燃料利用率の目標値よりも燃料利用率が高くなるように前記原燃料供給量調節部の動作を制御する供給量調節処理とを行うように構成され、
前記サーバー装置は、前記燃料電池装置から前記消費状態検出部の検出結果を受信する検出結果受信処理と、当該検出結果受信処理で前記燃料電池装置から受信した前記消費状態検出部の検出結果に基づいて、前記改質部に供給する前記原燃料ガスが不足している供給不足条件が満たされるか又は前記改質部に供給する前記原燃料ガスが過剰である供給過剰条件が満たされるか又は前記供給不足条件と前記供給過剰条件との両方が満たされないかを決定して、前記燃料電池装置に送信する判定結果をその決定内容に基づいて作成する前記検出結果判定処理と、当該検出結果判定処理の前記判定結果を前記燃料電池装置に送信する判定結果送信処理とを行うように構成され、前記サーバー装置は、前記燃焼触媒部の温度が上限触媒温度より高い場合に前記供給不足条件が満たされたと判定する点にある。
【0017】
ここで、前記サーバー装置が前記検出結果判定処理において作成する前記判定結果は、前記供給不足条件が満たされるという結果を示す情報、又は、前記供給過剰条件が満たされるという結果を示す情報、又は、前記供給不足条件と前記供給過剰条件との両方が満たされないという結果を示す情報を含み、
前記燃料電池装置は、前記供給量調節処理において、前記サーバー装置から受信した前記判定結果が、前記供給不足条件が満たされるという結果である場合、前記改質部への前記原燃料ガスの単位時間当たりの供給量を増加させることで、前記基準燃料利用率特性曲線で定まる前記燃料利用率の目標値よりも燃料利用率が低くなるように前記原燃料供給量調節部の動作を制御し、前記サーバー装置から受信した前記判定結果が、前記供給過剰条件が満たされるという結果である場合、前記改質部への前記原燃料ガスの単位時間当たりの供給量を減少させることで、前記基準燃料利用率特性曲線で定まる前記燃料利用率の目標値よりも燃料利用率が高くなるように前記原燃料供給量調節部の動作を制御するように構成されていてもよい。
【0018】
また、前記サーバー装置は、前記検出結果判定処理において、前記検出結果受信処理で前記燃料電池装置から受信した前記消費状態検出部の検出結果が前記供給不足条件を満たす場合、前記燃料電池装置で設定されている前記基準燃料利用率特性曲線で定まる前記燃料利用率の目標値よりも燃料利用率を低くさせるための情報を前記判定結果に含め、前記検出結果受信処理で前記燃料電池装置から受信した前記消費状態検出部の検出結果が前記供給過剰条件を満たす場合、前記燃料電池装置で設定されている前記基準燃料利用率特性曲線で定まる前記燃料利用率の目標値よりも燃料利用率を高くさせるための情報を前記判定結果に含め、
前記燃料電池装置は、前記供給量調節処理において、前記サーバー装置から受信した前記判定結果が前記燃料利用率を低くさせるための情報を含んでいる場合、当該情報に基づいて、それまで設定されていた前記基準燃料利用率特性曲線で定まる前記燃料利用率の目標値よりも燃料利用率が低くなるように前記原燃料供給量調節部の動作を制御し、前記サーバー装置から受信した前記判定結果が前記燃料利用率を高くさせるための情報を含んでいる場合、当該情報に基づいて、それまで設定されていた前記基準燃料利用率特性曲線で定まる前記燃料利用率の目標値よりも燃料利用率が高くなるように前記原燃料供給量調節部の動作を制御するように構成されていてもよい。
【0019】
上記特徴構成によれば、燃料電池装置の運転制御部は、サーバー装置から受信した判定結果が、改質部に供給する原燃料ガスが不足している供給不足条件が満たされるという決定内容に基づいて作成された判定結果である場合、改質部への原燃料ガスの単位時間当たりの供給量を増加させることで、基準燃料利用率特性曲線で定まる燃料利用率の目標値よりも燃料利用率が低くなるように原燃料供給量調節部の動作を制御する。つまり、燃料利用率が低くなるように改質部への原燃料ガスの単位時間当たりの供給量が増加するため、改質部に供給する原燃料ガスが不足する状態の解消が期待される。また、燃料電池装置の運転制御部は、サーバー装置から受信した判定結果が、改質部に供給する原燃料ガスが過剰である供給過剰条件が満たされるという決定内容に基づいて作成された判定結果である場合、改質部への原燃料ガスの単位時間当たりの供給量を減少させることで、基準燃料利用率特性曲線で定まる燃料利用率の目標値よりも燃料利用率が高くなるように原燃料供給量調節部の動作を制御する。つまり、燃料利用率が高くなるように改質部への原燃料ガスの単位時間当たりの供給量が減少するため、改質部に供給する原燃料ガスが過剰な状態の解消が期待される。
このように、改質部に供給する原燃料ガスの量が、燃料電池装置の燃料ガス消費部での燃料ガスの実際の消費状態に基づいて調節されることで、適切な燃料利用率へと修正される。
更に、消費状態検出部の検出結果に基づいて、供給不足条件が満たされるか又は供給過剰条件が満たされるか又は供給不足条件と供給過剰条件との両方が満たされないかを決定する機能を燃料電池装置が有していなくても、サーバー装置でそのような決定を行うことができる。そして、サーバー装置がその決定内容に基づいて作成された判定結果を燃料電池装置に送信することで、燃料電池装置で設定される燃料利用率を適正な値にさせることができる。
また、アノードに供給されるべき燃料ガス(発電反応で消費される分の燃料ガスと燃焼部で燃焼される分の燃料ガス)がどこかで外部にリークしている場合、発電反応で消費される燃料ガスの量が一定であるとすると、リークしている分だけ、燃焼部に供給されて燃焼される燃料ガスの量が減少する。そして、リークしたために、燃料電池の発電反応でも消費されず、且つ、燃焼部でも燃焼されない燃料ガスが筐体の内部で存在している場合、その燃料ガスは燃焼触媒部で触媒燃焼されるため、触媒燃焼部の温度が高くなる。そのため、例えば燃料ガスのリークが発生している可能性がある燃料電池では、適正な量の燃料ガスが燃焼部へと供給されるように、より多くの燃料ガスがアノードに供給されること、即ち、より低い燃料利用率を設定することが好ましい。そこで本特徴構成では、運転制御部は、燃焼触媒部の温度が上限触媒温度より高い場合に供給不足条件が満たされたと判定し、改質部への原燃料ガスの単位時間当たりの供給量を増加させることで、基準燃料利用率特性曲線で定まる燃料利用率の目標値よりも燃料利用率が低くなるように原燃料供給量調節部の動作を制御する。その結果、改質部に供給する原燃料ガスが不足する状態の解消、即ち、燃焼部に供給されて燃焼される燃料ガスの量の増加、が期待される。
従って、燃料電池を適正に運転できるような適正な燃料利用率が設定される燃料電池管理システムを提供できる。
【0020】
本発明に係る燃料電池管理システムの別の特徴構成は、前記消費状態検出部は、前記燃焼部の温度を検出する燃焼温度検出部を有し、前記サーバー装置は、前記燃焼部の温度が下限燃焼温度より低い場合に前記供給不足条件が満たされたと判定し、前記燃焼部の温度が前記下限燃焼温度よりも高い上限燃焼温度より高い場合に前記供給過剰条件が満たされたと判定する点にある。
燃料電池の燃焼部での燃料ガスの燃焼性が燃料電池毎に異なる場合、複数の燃料電池の燃焼部に同じ量の燃料ガスが供給されても、燃焼部の温度が異なる可能性がある。そのため、例えば燃焼部での燃料ガスの燃焼性が相対的に悪い燃料電池では、より多くの燃料ガスが燃焼部に供給されること、即ち、より低い燃料利用率を設定することが好ましい。それに対して、例えば燃焼部での燃料ガスの燃焼性が相対的に良い燃料電池では、より少ない燃料ガスが燃焼部に供給されること、即ち、より高い燃料利用率を設定することが好ましい。そこで本特徴構成では、サーバー装置は、燃焼部の温度が下限燃焼温度より低い場合に供給不足条件が満たされたと判定し、燃料電池装置が、改質部への原燃料ガスの単位時間当たりの供給量を増加させることで、基準燃料利用率特性曲線で定まる燃料利用率の目標値よりも燃料利用率が低くなるように原燃料供給量調節部の動作を制御する。その結果、改質部に供給する原燃料ガスが不足する状態の解消、即ち、燃焼部の温度が下限燃焼温度以上になること、が期待される。それに対して、サーバー装置は、燃焼部の温度が下限燃焼温度よりも高い上限燃焼温度より高い場合に供給過剰条件が満たされたと判定し、燃料電池装置が、改質部への原燃料ガスの単位時間当たりの供給量を減少させることで、基準燃料利用率特性曲線で定まる燃料利用率の目標値よりも燃料利用率が高くなるように原燃料供給量調節部の動作を制御する。その結果、改質部に供給する原燃料ガスが過剰な状態の解消、即ち、燃焼部の温度が上限燃焼温度以下になること、が期待される。
【0021】
本発明に係る燃料電池管理システムの更に別の特徴構成は、前記消費状態検出部は、前記燃料ガス消費部としての前記燃料電池の出力電圧を検出する出力電圧検出部を有し、前記サーバー装置は、前記燃料電池の出力電圧が下限出力電圧より低い場合に前記供給不足条件が満たされたと判定し、前記燃料電池の出力電圧が前記下限出力電圧よりも高い上限出力電圧より高い場合に前記供給過剰条件が満たされたと判定する点にある。
燃焼部の温度が低いことに伴って燃料電池の温度が低くなっている場合、及び、燃料電池のアノードでの燃料ガス濃度が低くなっている場合、燃料電池の出力電圧が低くなる可能性がある。その場合、より多くの燃料ガスが燃焼部に供給されること、及び、より多くの燃料ガスが燃料電池のアノードに供給されること、即ち、より低い燃料利用率を設定することが好ましい。それに対して、燃焼部の温度が高いことに伴って燃料電池の温度が高くなっている場合、及び、燃料電池のアノードでの燃料ガス濃度が高くなっている場合、燃料電池の出力電圧が高くなる可能性がある。その場合、より少ない燃料ガスが燃焼部に供給されること、及び、より少ない燃料ガスが燃料電池のアノードに供給されること、即ち、より高い燃料利用率を設定することが好ましい。そこで本特徴構成では、サーバー装置は、燃料電池の出力電圧が下限出力電圧より低い場合に供給不足条件が満たされたと判定し、燃料電池装置が、改質部への原燃料ガスの単位時間当たりの供給量を増加させることで、基準燃料利用率特性曲線で定まる燃料利用率の目標値よりも燃料利用率が低くなるように原燃料供給量調節部の動作を制御する。その結果、改質部に供給する原燃料ガスが不足する状態の解消、即ち、燃料電池の出力電圧が下限出力電圧以上になること、が期待される。それに対して、サーバー装置は、燃料電池の出力電圧が下限出力電圧よりも高い上限出力電圧より高い場合に供給過剰条件が満たされたと判定し、燃料電池装置が、改質部への原燃料ガスの単位時間当たりの供給量を減少させることで、基準燃料利用率特性曲線で定まる燃料利用率の目標値よりも燃料利用率が高くなるように原燃料供給量調節部の動作を制御する。その結果、改質部に供給する原燃料ガスが過剰な状態の解消、即ち、燃料電池の出力電圧が上限出力電圧以下になること、が期待される。
【発明を実施するための形態】
【0023】
<第1実施形態>
以下に図面を参照して本発明の第1実施形態に係る燃料電池装置30について説明する。
図1は、燃料電池装置30の構成を示す図である。燃料電池装置30は、原燃料ガスを水蒸気改質して水素を含む燃料ガスを生成する改質部7と、改質部7で生成された燃料ガスが供給されるアノード9a及び酸素ガスが供給されるカソード9bを有する燃料電池10と、発電反応で用いられた後にアノード9aから排出される排出燃料ガスに含まれる燃料ガスを燃焼させ、その燃焼熱によって改質部7を加熱する燃焼部11とを備える。加えて、燃料電池装置30は、原燃料供給量調節部2と、消費状態検出部20と、運転制御部16とを備える。本実施形態では、筐体1の内部に改質部7と燃料電池10と燃焼部11とが収容される。加えて、筐体1の内部には、供給される改質用水を気化する気化部6も収容されている。燃焼部11で発生した燃焼熱は気化部6にも与えられる。発電反応によって燃料ガスを消費する燃料電池10と、燃焼によって燃料ガスを消費する燃焼部11とは、燃料ガス消費部24として用いることができる。
【0024】
燃料電池10は、改質部7で生成された水素を主成分とする燃料ガスが供給されるアノード9aと酸素ガス(空気)が供給されるカソード9bとを備えた固体酸化物形のセル9を複数個電気的に直列接続した状態で備えたセルスタックにて構成されている。図示は省略するが、セル9は、アノード9aとカソード9bとの間に固体電解質層を備えた固体酸化物形で構成される。アノード9aには燃料ガスが通流するように構成され、カソード9bには空気が通流するように構成される。燃料電池10は、複数のセル9がアノード9aの燃料ガス排出口(図示せず)及びカソード9bの空気排出口(図示せず)が上向きになる姿勢で横方向に並ぶ状態で、筐体1の内部に設置されている。尚、セル9の形状や構造は
図1に例示したものに限定されない。
【0025】
燃料電池10には、改質部7から燃料ガス流路8を通して供給される燃料ガスを受け入れるガスマニホールド21が設けられる。複数のセル9は、ガスマニホールド21の上方側に上述のように並ぶ状態で配置され、ガスマニホールド21と複数のセル9におけるアノード9aの下端のガス導入口(図示せず)とが連通接続されている。そして、ガスマニホールド21に供給された燃料ガスが、複数のセル9の夫々のアノード9aに対して下端のガス導入口から供給され、各アノード9aに対して下方側から上方側に通流して発電反応に供される。発電反応に供された後の燃料ガスは、上端の燃料ガス排出口から排出燃料ガスとして排出される。
【0026】
筐体1には、空気導入口22が設けられ、ブロアなどを用いて実現される酸素供給量調節部15によって、酸素ガス(空気)がその空気導入口22を介して筐体1内に供給される。複数のセル9の夫々におけるカソード9bの下端部近傍には、筐体1内とカソード9bとを連通する空気供給孔(図示せず)が設けられている。複数のセル9の夫々のカソード9bには筐体1内の空気がこの空気供給孔を通して供給され、各カソード9bに対して下方側から上方側に通流して発電反応に供される。発電反応に供された後の空気は、上端の空気排出口から排出酸素ガスとして排出される。また、筐体1の内部に供給された酸素ガス(空気)は、排出燃料ガスを燃焼部11で燃焼させるためにも利用される。つまり、酸素供給量調節部15は、カソード9b及び燃焼部11への酸素ガスの供給量を調節する役割を担う。
酸素供給量調節部15の動作は運転制御部16が制御する。
【0027】
燃料電池10の上方には、各セル9のアノード9aの燃料ガス排出口から排出される排出燃料ガスとカソード9bの空気排出口から排出される排出酸素ガスとを燃焼させる燃焼空間が形成される。この燃焼空間が燃焼部11となる。気化部6と改質部7とが、燃料電池10の上方の燃焼空間(燃焼部11)に隣接して設けられている。
【0028】
筐体1には、燃焼部11にて発生した燃焼排ガスを外部に排出させる排出部23が下面部等に形成されている。そして、筐体1内には、筐体1の内部から排気される、燃焼部11で発生した燃焼排ガスを含む排気ガスに含まれる燃料ガスを触媒燃焼する燃焼触媒部12が設けられている。燃料ガスを触媒燃焼することで消費する燃焼触媒部12は、本発明の燃料ガス消費部24として用いることができる。
【0029】
気化部6には、原燃料ガスが供給される原燃料流路3と、改質用水が供給される改質用水流路5とが接続される。そして、気化部6の内部に、原燃料ガス及び改質用水が供給される。原燃料流路3には、改質部7への原燃料ガスの供給量を調節する原燃料供給量調節部2が設けられる。改質用水流路5には、改質部7への改質用水の供給量を調節する水供給量調節部4が設けられる。
燃料電池装置30が備える原燃料供給量調節部2及び水供給量調節部4の動作は運転制御部16が制御する。
【0030】
気化部6では、供給される改質用水を、燃焼部11から伝えられる燃焼熱を用いて加熱して蒸発させる。更に、気化部6では、改質用水の蒸発によって生成された水蒸気と、供給される原燃料ガスとが混合される。
【0031】
改質部7は、供給される原燃料ガスを気化部6にて生成された水蒸気を用いて改質処理する。具体的には、改質部7の内部には改質触媒が充填されており、この改質触媒の触媒作用によって原燃料ガスが改質処理される。
改質部7に供給される原燃料ガスの量及び水蒸気の量を調節することで改質部7での燃料ガスの生成量、即ち、改質部7からアノード9aへの燃料ガスの供給量が調節される。
【0032】
燃料電池10には、例えばインバータ装置などの電力変換装置が接続されており、この電力変換装置を介して、燃料電池10の発電電力が様々な電力消費装置に供給される。
【0033】
本実施形態では、燃料電池10のセルスタックの出力電圧を検出する出力電圧検出部18と、燃料電池10のセルスタックの出力電流を検出する出力電流検出部19とが設けられる。出力電圧検出部18の検出結果及び出力電流検出部19の検出結果は運転制御部16に伝達される。
【0034】
燃料電池装置30の筐体1の内部には、燃料ガス消費部24としての燃焼部11の温度を検出する燃焼温度検出部13が設けられる。燃焼温度検出部13が検出する温度は、燃焼部11で燃料ガスを燃焼することにより発生する火炎が存在する部位の温度である。燃焼温度検出部13の検出結果は運転制御部16に伝達される。
【0035】
燃料電池装置30の筐体1の内部には、燃焼触媒部12の温度を検出する触媒温度検出部14が設けられる。触媒温度検出部14の検出結果は運転制御部16に伝達される。
【0036】
燃料電池10では電力変換装置(図示せず)に出力される出力電流に応じた発電反応(即ち、出力電流に応じた燃料ガスの消費)が行われる。尚、燃料電池10の出力電流が所望の値になるためには、燃料電池10のアノード9aに対して適切な量の燃料ガスが供給されていること及びカソード9bに対して適切な量の酸素ガスが供給されていることが必要である。そのため、運転制御部16は、原燃料供給量調節部2及び水供給量調節部4の動作を制御して改質部7へ供給される原燃料ガスの量及び改質用水の量を調節することで、改質部7で生成される燃料ガスの量、即ち、改質部7から燃料電池10のアノード9aに供給される燃料ガスの量を調節する。また、運転制御部16は、酸素供給量調節部15の動作を制御して、燃料電池10のカソード9bに供給される酸素ガスの量を調節する。
【0037】
図2は、燃料電池10の出力電流Iと燃料電池10での燃料利用率Ufとの関係を示すグラフである。
図3は、燃料電池10の出力電流Iと改質部7での改質処理のS/Cとの関係を示すグラフである。
図2に示すような燃料電池10の出力電流Iと燃料電池10での燃料利用率Ufとの関係、及び、
図3に示すような燃料電池10の出力電流Iと改質部7での改質処理のS/Cとの関係は、運転制御部16が参照可能な状態で記憶部17に記憶されている。本実施形態において、燃料利用率Ufは、アノード9aに供給される燃料ガスの量に対応する原燃料ガスの量(即ち、改質部7に供給される原燃料ガスの量)に対する、アノード9aで発電反応に用いられる燃料ガスの量に対応する原燃料ガスの量の比率であり、S/Cは、改質部7に供給される原燃料ガス中のカーボンに対する水蒸気のモル比である。
【0038】
そして、運転制御部16は、出力電流検出部19で検出される出力電流と、燃料利用率の目標値を燃料電池10の出力電流の関数として定めている
図2の基準燃料利用率特性曲線と、S/Cの目標値を出力電流の関数として定めている
図3の基準S/C特性曲線とに従って、原燃料供給量調節部2及び水供給量調節部4の動作を制御して改質部7(気化部6)への原燃料ガス及び改質用水の単位時間当たりの供給量を調節することで、改質部7での燃料ガスの生成量、即ち、改質部7からアノード9aへの燃料ガスの供給量を調節する。
【0039】
以下に、運転制御部16により、改質部7に供給する原燃料ガスの量及び水蒸気の量が決定される場合の手順例について説明する。
先ず、出力電流Iが決まると、その出力電流Iを燃料電池10で発生させるのに要する燃料ガスの量が決まる。つまり、燃料電池10のアノード9aで発電反応に用いられる燃料ガスの量が決まる。また、
図2に示したように、出力電流Iが決まると、燃料利用率Ufが決まる。その結果、燃料電池10のアノード9aで発電反応に用いられる燃料ガスの量と、燃料利用率とから、燃料電池10のアノード9aで発電反応に用いられずに排出される排出燃料ガス中の燃料ガスの量も決まる。従って、出力電流Iに対して、
図2の基準燃料利用率特性で決定される燃料利用率を満たすための、燃料電池10のアノード9aに供給する必要がある燃料ガスの量(発電反応に用いられる燃料ガスの量、及び、発電反応に用いられずに排出される排出燃料ガス中の燃料ガスの量)が決まる。そして、その燃料電池10のアノード9aに供給する必要がある燃料ガスの量は、改質部7で生成するべき燃料ガスの量であるので、その燃料ガスを生成するために必要な、改質部7に供給する原燃料ガスの量が決まる。
【0040】
図3に示したように、出力電流Iが決まると、S/Cが決まる。上述したように、出力電流Iに応じた、改質部7に供給する原燃料ガスの量が決まるので、その原燃料ガスの量と、
図3の基準S/C特性とで決定されるS/Cを満たすための、改質部7に供給する必要のある水蒸気(改質用水)の量が決まる。
【0041】
尚、全ての燃料電池装置30で同じ燃料利用率を設定するのではなく、各燃料電池装置30に適した燃料利用率を設定することが好ましい。
例えば、燃料電池10の燃焼部11での燃料ガスの燃焼性が燃料電池10毎に異なる場合、複数の燃料電池10の燃焼部11に同じ量の燃料ガスが供給されても、燃焼部11の温度が異なる可能性がある。そのため、例えば燃焼部11での燃料ガスの燃焼性が相対的に悪い燃料電池10では、より多くの燃料ガスが燃焼部11に供給されること、即ち、より低い燃料利用率を設定することが好ましい。それに対して、例えば燃焼部11での燃料ガスの燃焼性が相対的に良い燃料電池10では、より少ない燃料ガスが燃焼部11に供給されること、即ち、より高い燃料利用率を設定することが好ましい。
【0042】
他には、アノード9aに供給されるべき燃料ガス(発電反応で消費される分の燃料ガスと燃焼部11で燃焼される分の燃料ガス)がどこかで燃料電池10の外部にリークしている可能性もある。その場合、発電反応で消費される燃料ガスの量が一定であるとすると、リークしている分だけ、燃焼部11に供給されて燃焼される燃料ガスの量が減少する。そして、燃焼部11の温度が適正な温度範囲よりも低くなる。そのため、例えば燃料ガスのリークが発生している可能性がある燃料電池10では、適正な量の燃料ガスが燃焼部11へと供給されるように、より多くの燃料ガスがアノード9aに供給されること、即ち、より低い燃料利用率を設定することが好ましい。尚、リークすることで、燃料電池10の発電反応でも消費されず、且つ、燃焼部11でも燃焼されない燃料ガスが筐体1の内部に存在していたとしても、筐体1の排出部23に設けられる燃焼触媒部12で触媒燃焼することで除去できる。
また、燃料ガスが燃料電池10の外部へリークする以外にも、アノード9a側からカソード9b側へリークする可能性もある。その場合、アノード9aでの発電反応に用いることができる燃料ガス量が減少して、燃料電池10の出力電圧が低下する可能性がある。
【0043】
次に、
図2に示したような基準燃料利用率特性に基づいて燃料電池10を適正に運転できるような適正な燃料利用率を設定して、改質部7に供給する原燃料ガスの量を調節する燃料電池装置30の運転方法について説明する。
【0044】
本実施形態の燃料電池装置30では、運転制御部16は、燃料ガス消費部24での燃料ガスの消費状態を検出する消費状態検出部20の検出結果に基づいて、改質部7に供給する原燃料ガスが不足している供給不足条件が満たされると判定した場合、改質部7への原燃料ガスの単位時間当たりの供給量を増加させることで、基準燃料利用率特性曲線で定まる燃料利用率の目標値よりも実際の燃料利用率が低くなるように原燃料供給量調節部2の動作を制御し、改質部7に供給する原燃料ガスが過剰である供給過剰条件が満たされると判定した場合、改質部7への原燃料ガスの単位時間当たりの供給量を減少させることで、基準燃料利用率特性曲線で定まる燃料利用率の目標値よりも実際の燃料利用率が高くなるように原燃料供給量調節部2の動作を制御する。
以下に、適正な燃料利用率を設定する場合の例について説明する。
【0045】
〔例1〕
例1では、燃焼部11が燃料ガス消費部24となる。そして、消費状態検出部20が、燃料ガス消費部24としての燃焼部11の温度を検出する燃焼温度検出部13を有する場合、運転制御部16は、燃焼部11の温度が下限燃焼温度(例えば550℃など)より低い場合に供給不足条件が満たされたと判定し、燃焼部11の温度が下限燃焼温度よりも高い上限燃焼温度(例えば650℃など)より高い場合に供給過剰条件が満たされたと判定する。つまり、運転制御部16は、燃料ガス消費部24としての燃焼部11の温度が下限燃焼温度より低い又は上限燃焼温度より高い場合、燃料ガス消費部24としての燃焼部11での燃料ガスの消費状態が不適正状態であると判定して、その不適正状態が解消されるように原燃料供給量調節部2の動作を制御する。
【0046】
例1において、燃焼部11の温度が下限燃焼温度より低いという供給不足条件が満たされた状態(不適正状態)は、燃焼部11で燃焼される燃料ガスの量が適正量よりも少ないために生じていると考えることができる。そのため、燃料利用率Ufを低下させれば、即ち、燃料電池10の出力電流を変化させない状態で、燃焼部11で燃焼される燃料ガスの量を現在よりも増加させれば、燃焼部11の温度が上昇して下限燃焼温度以上になって不適正状態が解消されることを期待できる。従って、この例1では、運転制御部16は、改質部7への原燃料ガスの単位時間当たりの供給量を増加させて燃料利用率Ufを低下させるように原燃料供給量調節部2の動作を制御する。
【0047】
記憶部17には、
図2の基準燃料利用率特性曲線に加えて、それより低い燃料利用率となる特性曲線Aが記憶されている。そして、運転制御部16は、上記供給不足条件が満たされたと判定した場合には、特性曲線Aを新たな基準燃料利用率特性曲線に設定して、その基準燃料利用率特性曲線(特性曲線A)と、
図3の基準S/C特性曲線とに従って、原燃料供給量調節部2及び水供給量調節部4の動作を制御して改質部7(気化部6)への原燃料ガス及び改質用水の単位時間当たりの供給量を調節することで、改質部7での燃料ガスの生成量、即ち、改質部7からアノード9aへの燃料ガスの供給量を調節する。
【0048】
例1において、燃焼部11の温度が上限燃焼温度より高いという供給過剰条件が満たされた状態(不適正状態)は、燃焼部11で燃焼される燃料ガスの量が適正量よりも多いために生じていると考えることができる。そのため、燃料利用率Ufを上昇させれば、即ち、燃料電池10の出力電流を変化させない状態で、燃焼部11で燃焼される燃料ガスの量を現在よりも減少させれば、燃焼部11の温度が低下して上限燃焼温度以下になって不適正状態が解消されることを期待できる。従って、この例1では、運転制御部16は、改質部7への原燃料ガスの単位時間当たりの供給量を減少させて燃料利用率Ufを上昇させるように原燃料供給量調節部2の動作を制御する。
【0049】
記憶部17には、
図2の基準燃料利用率特性曲線に加えて、それよりも高い燃料利用率となる特性曲線Bが記憶されている。そして、運転制御部16は、上記供給過剰条件が満たされたと判定した場合には、特性曲線Bを新たな基準燃料利用率特性曲線に設定して、その基準燃料利用率特性曲線(特性曲線B)と、
図3の基準S/C特性曲線とに従って、原燃料供給量調節部2及び水供給量調節部4の動作を制御して改質部7(気化部6)への原燃料ガス及び改質用水の単位時間当たりの供給量を調節することで、改質部7での燃料ガスの生成量、即ち、改質部7からアノード9aへの燃料ガスの供給量を調節する。
【0050】
〔例2〕
例2では、燃料電池10が燃料ガス消費部24となる。そして、消費状態検出部20が、燃料ガス消費部24としての燃料電池10の出力電圧を検出する出力電圧検出部18を有する場合、運転制御部16は、燃料電池10の出力電圧が下限出力電圧(例えば55Vなど)より低い場合に供給不足条件が満たされたと判定し、燃料電池10の出力電圧が下限出力電圧よりも高い上限出力電圧(例えば65Vなど)より高い場合に供給過剰条件が満たされたと判定する。つまり、運転制御部16は、燃料ガス消費部24としての燃料電池10の出力電圧が下限出力電圧より低い又は上限出力電圧より高い場合、燃料ガス消費部24としての燃料電池10での燃料ガスの消費状態が不適正状態であると判定して、その不適正状態が解消されるように原燃料供給量調節部2の動作を制御する。
【0051】
例2において、燃料電池10の出力電圧が下限出力電圧より低いという燃料ガスの消費状態(不適正状態)は、燃焼部11で燃焼される燃料ガス量が少ないために燃料電池10の温度が低下したことや、燃料電池10のアノード9aでの燃料ガス濃度が低いことなどにより生じていると考えることができる。そのため、燃料利用率Ufを低下させれば、即ち、燃料電池10の出力電流を変化させない状態で、燃焼部11で燃焼される燃料ガスの量を現在よりも増加させれば、燃料電池10の温度が上昇して、燃料電池10の出力電圧が下限出力電圧以上になって不適正状態が解消されることを期待できる。或いは、燃料利用率Ufを低下させれば、即ち、燃料電池10の出力電流を変化させない状態で、燃料電池10のアノード9aでの燃料ガス濃度を上昇させれば、燃料電池10の出力電圧が下限出力電圧以上になって不適正状態が解消されることを期待できる。従って、この例2では、運転制御部16は、改質部7への原燃料ガスの単位時間当たりの供給量を増加させて燃料利用率Ufを低下させるように原燃料供給量調節部2の動作を制御する。
運転制御部16が燃料利用率を低下させる場合の具体例は、上記例1で説明したのと同様である。
【0052】
例2において、燃料電池10の出力電圧が上限出力電圧より高いという燃料ガスの消費状態(不適正状態)は、燃焼部11で燃焼される燃料ガス量が多いために燃料電池10の温度が上昇したことや、燃料電池10のアノード9aでの燃料ガス濃度が高いことにより生じていると考えることができる。そのため、燃料利用率Ufを上昇させれば、即ち、燃料電池10の出力電流を変化させない状態で、燃焼部11で燃焼される燃料ガスの量を現在よりも減少させれば、燃料電池10の温度が低下して、燃料電池10の出力電圧が上限出力電圧以下になって不適正状態が解消されることを期待できる。或いは、燃料利用率Ufを上昇させれば、即ち、燃料電池10の出力電流を変化させない状態で、燃料電池10のアノード9aでの燃料ガス濃度を低下させれば、燃料電池10の出力電圧が上限出力電圧以下になって不適正状態が解消されることを期待できる。従って、この例2では、運転制御部16は、改質部7への原燃料ガスの単位時間当たりの供給量を減少させて燃料利用率Ufを上昇させるように原燃料供給量調節部2の動作を制御する。
運転制御部16が燃料利用率を上昇させる場合の具体例は、上記例1で説明したのと同様である。
【0053】
〔例3〕
例3では、燃焼触媒部12が燃料ガス消費部24となる。そして、消費状態検出部20が、燃料ガス消費部24としての燃焼触媒部12の温度を検出する触媒温度検出部14を有する場合、運転制御部16は、燃焼触媒部12の温度が上限触媒温度(例えば220℃など)より高い場合に供給不足条件が満たされたと判定する。つまり、運転制御部16は、燃料ガス消費部24としての燃焼触媒部12の温度が上限触媒温度より高い場合、燃料ガス消費部24としての燃焼触媒部12での燃料ガスの消費状態が不適正状態であると判定して、改質部7への原燃料ガスの単位時間当たりの供給量を増加させることで不適正状態が解消されるように原燃料供給量調節部2の動作を制御する。
【0054】
例3において、燃焼触媒部12の温度が上限触媒温度より高いという燃料ガスの消費状態(不適正状態)は、燃料電池10の発電反応及び燃焼部11での燃焼で消費される燃料ガスの量が減少したために生じていると考えることができる。例えば、原燃料ガスが改質部7に供給され、改質部7で燃料ガスが生成され、その燃料ガスで発電反応が行われ、燃料ガスの燃焼が行われる間にガスのリークが発生して、そのリークしたガスが燃焼触媒部12で触媒燃焼されることで、燃焼触媒部12の温度が上限触媒温度より高くなった可能性が考えられる。つまり、燃焼触媒部12の温度が上限触媒温度より高いという状態が発生している場合、燃料電池10の発電反応及び燃焼部11での燃焼において燃料ガスの不足状態(不適正状態)が生じている可能性が考えられる。そのため、燃料利用率Ufを低下させれば、即ち、燃料電池10の出力電流を変化させない状態で、改質部7への原燃料ガスの単位時間当たりの供給量を増加させれば、燃料電池10の発電反応及び燃焼部11での燃焼において燃料ガスの不足が解消に近付くことで不適正状態が解消されることを期待できる。従って、この例3では、運転制御部16は、改質部7への原燃料ガスの単位時間当たりの供給量を増加させて燃料利用率Ufを低下させるように原燃料供給量調節部2の動作を制御する。
運転制御部16が燃料利用率を低下させる場合の具体例は、上記例1で説明したのと同様である。
【0055】
<第2実施形態>
以下に図面を参照して本発明の第2実施形態について説明するが、上記実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0056】
図4は、燃料電池管理システムの構成を示す図である。図示するように、燃料電池管理システムは、情報通信線31を介して互いに情報通信可能な燃料電池装置30とサーバー装置32とを備える。そして、サーバー装置32が、上記実施形態で説明したような、改質部7に供給する原燃料ガスが不足している供給不足条件が満たされるという判定、及び、改質部7に供給する原燃料ガスが過剰である供給過剰条件が満たされるという判定などを行うように構成されている。
尚、
図4では、3台の燃料電池装置30(30A,30B,30C)を描いているが、サーバー装置32と通信する燃料電池装置30の台数は適宜設定可能である。
【0057】
燃料電池装置30は、原燃料ガスを水蒸気改質して水素を含む燃料ガスを生成する改質部7と、改質部7で生成された燃料ガスが供給されるアノード9a及び酸素ガスが供給されるカソード9bを有する燃料ガス消費部24としての燃料電池10と、発電反応で用いられた後にアノード9aから排出される排出燃料ガスに含まれる燃料ガスを燃焼させ、その燃焼熱によって改質部7を加熱する燃料ガス消費部24としての燃焼部11と、改質部7への原燃料ガスの供給量を調節する原燃料供給量調節部2と、燃料ガス消費部24での燃料ガスの消費状態を検出する消費状態検出部20と、アノード9aに供給される燃料ガスの量に対応する原燃料ガスの量に対する、アノード9aで発電反応に用いられる燃料ガスの量に対応する原燃料ガスの量の比率である燃料利用率の目標値を燃料電池10の出力電流の関数として定めている基準燃料利用率特性曲線に従って、原燃料供給量調節部2の動作を制御して改質部7への原燃料ガスの単位時間当たりの供給量を調節する運転制御部16とを備える。
【0058】
サーバー装置32は、情報の演算処理機能及び情報の入出力機能及び情報の記憶機能などを備える1台又は複数台のコンピュータ装置などを用いて実現される。
【0059】
〔燃料電池装置30〕
燃料電池装置30の運転制御部16は、後述する検出結果送信処理及び判定結果受信処理及び供給量調節処理を行うよう構成される。
【0060】
燃料電池装置30の運転制御部16が行う検出結果送信処理は、消費状態検出部20の検出結果をサーバー装置32に送信する処理である。消費状態検出部20は、上記実施形態で説明したのと同様に、燃料ガス消費部24としての燃焼部11の温度を検出する燃焼温度検出部13、燃料ガス消費部24としての燃料電池10の出力電圧を検出する出力電圧検出部18、燃料ガス消費部24としての燃焼触媒部12の温度を検出する触媒温度検出部14などである。燃料電池装置30の運転制御部16は、この送信結果送信処理を、例えば1時間に1回、1日に1回などの所定のタイミングで実行する。本実施形態では、各燃料電池装置30(30A,30B,30C)は、自身を識別するための識別子(例えばMACアドレスなど)と、消費状態検出部20の検出結果とを関連付けて、サーバー装置32へ送信する。その結果、サーバー装置32は、消費状態検出部20の検出結果がどの燃料電池装置30から送信されたものなのかを上記識別子を用いて判別できる。
【0061】
燃料電池装置30の運転制御部16が行う判定結果受信処理は、サーバー装置32で行われる検出結果判定処理の判定結果を受信する処理である。尚、詳細は後述するが、サーバー装置32で行われる検出結果判定処理は、検出結果受信処理で燃料電池装置30から受信した消費状態検出部20の検出結果に基づいて、改質部7に供給する原燃料ガスが不足している供給不足条件が満たされるか又は改質部7に供給する原燃料ガスが過剰である供給過剰条件が満たされるか又は供給不足条件と供給過剰条件との両方が満たされないかを決定して、燃料電池装置30に送信する判定結果をその決定内容に基づいて作成する処理である。
【0062】
燃料電池装置30の運転制御部16が行う供給量調節処理は、サーバー装置32から受信した判定結果に基づいて、改質部7への原燃料ガスの単位時間当たりの供給量を増加させることで、基準燃料利用率特性曲線で定まる燃料利用率の目標値よりも燃料利用率が低くなるように原燃料供給量調節部2の動作を制御する、又は、改質部7への原燃料ガスの単位時間当たりの供給量を減少させることで、基準燃料利用率特性曲線で定まる燃料利用率の目標値よりも燃料利用率が高くなるように原燃料供給量調節部2の動作を制御する処理である。
【0063】
後述するように、例えば、サーバー装置32が検出結果判定処理において作成する判定結果は、供給不足条件が満たされるという結果を示す情報、又は、供給過剰条件が満たされるという結果を示す情報、又は、供給不足条件と供給過剰条件との両方が満たされないという結果を示す情報を含む。その場合、燃料電池装置30は、供給量調節処理において、サーバー装置32から受信した判定結果が、供給不足条件が満たされるという結果である場合、改質部7への原燃料ガスの単位時間当たりの供給量を増加させることで、基準燃料利用率特性曲線で定まる燃料利用率の目標値よりも燃料利用率が低くなるように原燃料供給量調節部2の動作を制御し、サーバー装置32から受信した判定結果が、供給過剰条件が満たされるという結果である場合、改質部7への原燃料ガスの単位時間当たりの供給量を減少させることで、基準燃料利用率特性曲線で定まる燃料利用率の目標値よりも燃料利用率が高くなるように原燃料供給量調節部2の動作を制御する。
つまり、この例では、燃料電池装置30の運転制御部16は、上記実施形態と同様に、自身で適正な燃料利用率の特性曲線(例えば、
図2の特性曲線A,Bなど)を決定し、その決定した燃料利用率の特性曲線を新たな基準燃料利用率特性曲線に設定する。
【0064】
或いは、後述するように、サーバー装置32は、検出結果判定処理において、検出結果受信処理で燃料電池装置30から受信した消費状態検出部20の検出結果が供給不足条件を満たす場合、燃料電池装置30で設定されている基準燃料利用率特性曲線で定まる燃料利用率の目標値よりも燃料利用率を低くさせるための情報を、燃料電池装置30に送信する判定結果に含め、検出結果受信処理で燃料電池装置30から受信した消費状態検出部20の検出結果が供給過剰条件を満たす場合、燃料電池装置30で設定されている基準燃料利用率特性曲線で定まる燃料利用率の目標値よりも燃料利用率を高くさせるための情報を、燃料電池装置30に送信する判定結果に含める。その場合、燃料電池装置30は、供給量調節処理において、サーバー装置32から受信した判定結果が燃料利用率を低くさせるための情報を含んでいる場合、当該情報に基づいて、それまで設定されていた基準燃料利用率特性曲線で定まる燃料利用率の目標値よりも燃料利用率が低くなるように原燃料供給量調節部2の動作を制御し、サーバー装置32から受信した判定結果が燃料利用率を高くさせるための情報を含んでいる場合、当該情報に基づいて、それまで設定されていた基準燃料利用率特性曲線で定まる燃料利用率の目標値よりも燃料利用率が高くなるように原燃料供給量調節部2の動作を制御する。
つまり、この例では、サーバー装置32が、燃料電池装置30で設定されるべき適正な燃料利用率の特性曲線(例えば、
図2の特性曲線A,Bなど)を決定して燃料電池装置30に送信し、燃料電池装置30の運転制御部16は、サーバー装置32から受信した、その燃料利用率の特性曲線を新たな基準燃料利用率特性曲線に設定する。
【0065】
以上のように、本実施形態では、消費状態検出部20の検出結果に基づいて、供給不足条件が満たされるか又は供給過剰条件が満たされるか又は供給不足条件と供給過剰条件との両方が満たされないかを決定する機能を燃料電池装置30が有していなくても、サーバー装置32でそのような決定を行うことができる。そして、サーバー装置32がその決定内容に基づいて作成された判定結果を燃料電池装置30に送信することで、燃料電池装置30で設定される燃料利用率を適正な値にさせることができる。
【0066】
〔サーバー装置32〕
サーバー装置32は、検出結果受信処理及び検出結果判定処理及び判定結果送信処理を行うように構成される。
【0067】
サーバー装置32が行う検出結果受信処理は、燃料電池装置30から消費状態検出部20の検出結果を受信する処理である。本実施形態では、サーバー装置32は、燃料電池装置30から受信した、消費状態検出部20の検出結果と、燃料電池装置30を識別するための識別子とを、互いに関連付けて記憶部(図示せず)などに記憶する。また、燃料電池装置30のIPアドレスなどを併せて記憶していてもよい。
【0068】
サーバー装置32が行う検出結果判定処理は、検出結果受信処理で燃料電池装置30から受信した消費状態検出部20の検出結果に基づいて、改質部7に供給する原燃料ガスが不足している供給不足条件が満たされるか又は改質部7に供給する原燃料ガスが過剰である供給過剰条件が満たされるか又は供給不足条件と供給過剰条件との両方が満たされないかを決定して、燃料電池装置30に送信する判定結果をその決定内容に基づいて作成する処理である。そして、サーバー装置32は、この検出結果判定処理の判定結果を、燃料電池装置30を識別するための識別子と互いに関連付けて記憶部(図示せず)などに記憶する。
【0069】
例えば、サーバー装置32が検出結果判定処理において作成する判定結果は、供給不足条件が満たされるという結果を示す情報、又は、供給過剰条件が満たされるという結果を示す情報、又は、供給不足条件と供給過剰条件との両方が満たされないという結果を示す情報を含む。一例を挙げると、サーバー装置32が検出結果判定処理において作成する判定結果は、供給不足条件が満たされるという結果、又は、供給過剰条件が満たされるという結果、又は、供給不足条件と供給過剰条件との両方が満たされないという結果だけを含んでいてもよい。
【0070】
或いは、サーバー装置32は、検出結果判定処理において、検出結果受信処理で燃料電池装置30から受信した消費状態検出部20の検出結果が供給不足条件を満たす場合、燃料電池装置30で設定されている基準燃料利用率特性曲線で定まる燃料利用率の目標値よりも燃料利用率を低くさせるための情報を燃料電池装置30に送信する判定結果に含め、検出結果受信処理で燃料電池装置30から受信した消費状態検出部20の検出結果が供給過剰条件を満たす場合、燃料電池装置30で設定されている基準燃料利用率特性曲線で定まる燃料利用率の目標値よりも燃料利用率を高くさせるための情報を燃料電池装置30に送信する判定結果に含める。
一例を挙げると、サーバー装置32は、各燃料電池装置30で現在設定されている基準燃料利用率特性曲線に関する情報を記憶している。そして、サーバー装置32は、検出結果判定処理において、燃料電池装置30から受信した消費状態検出部20の検出結果が供給不足条件を満たす場合、燃料電池装置30で設定されている基準燃料利用率特性曲線で定まる燃料利用率の目標値よりも燃料利用率を低くさせるための新たな燃料利用率の特性曲線(例えば
図2の特性曲線Aなど)を決定して、燃料電池装置30に送信する判定結果に含める。また、サーバー装置32は、検出結果判定処理において、燃料電池装置30から受信した消費状態検出部20の検出結果が供給過剰条件を満たす場合、燃料電池装置30で設定されている基準燃料利用率特性曲線で定まる燃料利用率の目標値よりも燃料利用率を高くさせるための新たな燃料利用率の特性曲線(例えば
図2の特性曲線Bなど)を決定して、燃料電池装置30に送信する判定結果に含める。
【0071】
サーバー装置32が行う判定結果送信処理は、検出結果判定処理の判定結果を燃料電池装置30に送信する処理である。例えば、サーバー装置32は、燃料電池装置30のIPアドレスなどを用いて、消費状態検出部20の検出結果を送信してきた燃料電池装置30に対して、検出結果判定処理の判定結果を送信できる。
【0072】
以上のように、本実施形態では、燃料電池装置30が、消費状態検出部20の検出結果に基づいて、供給不足条件が満たされるか又は供給過剰条件が満たされるか又は供給不足条件と供給過剰条件との両方が満たされないかを判定する機能を有していなくても、サーバー装置32でそのような判定を行うことができる。そして、サーバー装置32が判定結果を燃料電池装置30に送信することで、燃料電池装置30で設定される燃料利用率を適正な値にさせることができる。
【0073】
<別実施形態>
<1>
上記実施形態では、燃料電池装置30及び燃料電池管理システムの構成について具体例を挙げて説明したが、その構成については適宜変更可能である。
【0074】
<2>
上記実施形態では、燃料電池10の出力電流Iと燃料電池10での燃料利用率Ufとの関係(
図2)、及び、燃料電池10の出力電流Iと改質部7での改質処理のS/Cとの関係(
図3)について説明したが、それらは例示目的で記載したものであり、適宜変更可能である。
また、
図2には、基準燃料利用率特性曲線よりも高い燃料利用率となる特性曲線(特性曲線B)と、基準燃料利用率特性曲線よりも低い燃料利用率となる特性曲線(特性曲線A)とを、1種類ずつ例示したが、本発明では、基準燃料利用率特性曲線よりも高い燃料利用率となる特性曲線が燃料電池装置30及びサーバー装置32などで複数個用意されていてもよく、基準燃料利用率特性曲線よりも高い燃料利用率となる特性曲線が燃料電池装置30及びサーバー装置32などで複数個用意されていてもよい。
また、
図2には、全ての出力電流範囲で燃料利用率が変更されるような特性曲線A,Bを例示したが、特定の出力電流範囲(例えば定格出力電流付近など)のみで燃料利用率が変更されるような特性曲線であってもよい。
【0075】
<3>
燃料利用率を高く又は低くする場合に、基準燃料利用率特性曲線自体を
図2に例示したような特性曲線A,Bなどへ変更する例を上述したが、燃料利用率を変更する手法はそれに限定されず適宜設定可能である。
例えば、供給不足条件が満たされた場合に適用される燃料利用率の減少量と、供給過剰条件が満たされた場合に適用される燃料利用率
の増加量とを予め記憶しておく。そして、供給不足条件が満たされた場合には、
図2の基準燃料利用率特性で決定される仮の燃料利用率から上記燃料利用率の減少量を減算することで、基準燃料利用率特性曲線よりも低下した燃料利用率を決定できる。同様に、供給過剰条件が満たされた場合には、
図2の基準燃料利用率特性で決定される仮の燃料利用率に上記燃料利用率の増加量を加算することで、基準燃料利用率特性曲線よりも増加した燃料利用率を決定できる。
【0076】
他にも、供給不足条件が満たされた場合及び供給過剰条件が満たされた場合に適用される燃料利用率の減少量及び増加量を予め記憶しておくのではなく、改質部7への原燃料ガスの単位時間当たりの供給量の減少量及び増加量を記憶しておいてもよい。
例えば、供給不足条件が満たされた場合に適用される、改質部7への原燃料ガスの単位時間当たりの供給量の増加量と、供給過剰条件が満たされた場合に適用される、改質部7への原燃料ガスの単位時間当たりの供給量の減少量とを予め記憶しておく。そして、供給不足条件が満たされた場合には、
図2の基準燃料利用率特性で決定される燃料利用率を満たすための、改質部7に供給する原燃料ガスの量を仮決定し、その原燃料ガスの仮供給量に上記増加量を加算することで、燃料利用率を低下させるための原燃料ガス供給量を最終決定できる。或いは、供給過剰条件が満たされた場合には、
図2の基準燃料利用率特性で決定される燃料利用率を満たすための、改質部7に供給する原燃料ガスの量を仮決定し、その原燃料ガスの仮供給量から上記減少量を減算することで、燃料利用率を上昇させるための原燃料ガス供給量を最終決定できる。
【0077】
上述した増加量及び減少量は一定値であってもよいし、変動値であってもよい。例えば、上述した増加量及び減少量を変動値とする場合、消費状態検出部20の検出値(例えば燃焼部11の温度、燃料電池10の出力電圧、燃焼触媒部12の温度など)及びその基準値の間の差分と、上記増加量及び減少量との関係を予め定めて記憶しておけばよい。つまり、上記増加量及び減少量を、消費状態検出部20の検出値(例えば燃焼部11の温度、燃料電池10の出力電圧、燃焼触媒部12の温度など)及びその基準値の間の差分の関数で定めてもよい。
【0078】
<4>
上記実施形態では、温度や電圧などについての具体的な数値を挙げて本発明の燃料電池装置30及び燃料電池管理システムの説明を行ったが、それらの数値は例示目的で記載したものであり、本発明はそれらの数値に限定されない。
【0079】
<5>
尚、上記実施形態(別実施形態を含む)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【解決手段】燃料電池装置30の運転制御部16は、改質部7に供給する原燃料ガスが不足している供給不足条件が満たされると判定した場合、改質部7への原燃料ガスの単位時間当たりの供給量を増加させることで、基準燃料利用率特性曲線で定まる燃料利用率の目標値よりも燃料利用率が低くなるように原燃料供給量調節部2の動作を制御し、改質部7に供給する原燃料ガスが過剰である供給過剰条件が満たされると判定した場合、改質部7への原燃料ガスの単位時間当たりの供給量を減少させることで、基準燃料利用率特性曲線で定まる燃料利用率の目標値よりも燃料利用率が高くなるように原燃料供給量調節部2の動作を制御する。