(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
サーバーラックは、ラックフレームを有し、このラックフレームに、例えば、平坦状に形成された水平板を取り付けることによって領域が区分けされる。そして、この水平板上には、サーバーとして機能するコンピュータ等の電子機器等が載置され、サーバーラックはこのような電子機器等を収容可能である。
【0003】
このようなサーバーラックは、室内に複数組み合わされて配置されており、サーバーラックに収容されているサーバーのメンテナンス作業では、作業者が、例えば別途適当な場所に保管されている折畳み椅子に座ってコンピュータを膝の上に置くなどして作業が行われている。
【0004】
本件出願人は、このような問題に鑑み、平坦状な折畳み椅子を開発するとともに、その折畳み椅子をサーバーラックに収容可能な収容体を製造している(特許文献1参照)。
【0005】
特許文献1の収容体は、折畳み椅子を収容可能な筐体を有し、この筐体の天板が引出可能となっており、天板が机として機能するとともに、折畳み椅子を収容可能となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した特許文献1に示す机では、作業スペースが少なく、もう少し作業スペースを有する机が必要であるとの要望がある。
【0008】
また、特許文献1に示すサーバーラックは、折畳み椅子等の家具を収容できるものの、地震等によって家具がずれたり、収容場所から飛び出す可能性がある。
【0009】
そこで、本発明は上記問題を課題の一例として為されたもので、折畳み椅子やテーブル等の家具をサーバーラックに容易に収容又は取り出し可能であるとともに、家具を容易に固定可能な収容体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の収容体は、サーバーラックに取り付けられ、折畳み可能な家具を収容可能な空間を有する収容体であって、前記収容体は、少なくとも前記家具を支持する支持体(15)を備え、前記支持体は、前記家具を前後方向に摺動可能なガイド(15a、15d)と、前記家具の移動を規制する規制体と、
前記規制体の一部を収納する貫通孔とを備え、前記規制体は、前記家具の一部に接触可能な基体を備え、前記基体を、前記家具と接触させ当該家具の移動を規制する第1の位置と、前記第1の位置と90度変位し、前記家具との接触を回避する第2の位置との間で移動可能であり、前記第2の位置において、前記規制体の一部は、前記貫通孔に収納されることを特徴とする。
【0012】
また、請求項
2に記載の収容体は、請求項
1に記載の収容体において、前記支持体の一部が折り曲げられて形成され、前記家具の後方への移動を規制する第2の規制体(19)を備えていることを特徴とする。
【0013】
また、請求項
3に記載の収容体は、請求項1、又は請求項2に記載の収容体において、前記支持体は、2つの部材の一部が重ね合されて配置されていることを特徴とする。
【0014】
また、請求項
4に記載の収容体は、請求項1乃至
3のいずれか一項に記載の収容体において、
前記規制体の一部が折り曲げられて形成され、前記第2の位置において、前記規制体の回動範囲を規制する係止片を備えていることを特徴とする。
【0016】
また、請求項
5に記載のサーバーラックは、折畳み可能な家具と、前記家具を摺動して収容可能な空間を有する収容体と、を備えるサーバーラックであって、
前記収容体は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の収容体であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、家具をまとまりよくサーバーラックに収納することができる。また、地震等における家具のずれや前方への飛び出しを容易に防止できる。さらに、家具を容易に取り出すことができるため、メンテナンス作業を行う際の作業者の負担を軽減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本願の最良の実施形態について添付図面を参照して説明する。
【0020】
本実施形態の収容体10は、
図1に示すように、サーバーラック2内に収容される。
図1及び
図2に示すように、サーバーラック2は、前後左右に配設された4本の支柱5を備え、例えば、この支柱5の外部を覆うようにして、正面パネル2a、左右の側面パネル2b、図示しない背面パネル、底板パネル2c、及び天板パネル2dを備え、箱状に形成される。なお、正面パネル2a及び図示しない背面パネルは、扉として機能するものであって開閉可能に取り付けられており、この扉の開閉によってサーバーラック2の内部に収容される電子機器等のメンテナンスを行うことが可能である。
【0021】
図1及び
図2に示すように、支柱5には、上下方向に複数の孔部5aが等間隔で形成されており、この孔部5aを用いて収容体10がネジ等の固定具11によって各支柱5に高さ調整可能に装着される。なお、固定具11の係止位置を別の孔部5aに変更することで、収容体10の装着位置を変更可能である。
【0022】
この収容体10は、一例として、19インチサーバーラックの三区画(3U)に収まる開口高さを有する。なお、この一区画の大きさは、EIAによって規格化された幅19インチ、高さ1.75インチの領域を言うものである。
【0023】
収容体10は、平坦状に折畳み可能な椅子やテーブル等の家具(以下、「収容物50」と称する。)を収容可能な空間を有し、
図2及び
図3に示すように、サーバーラック2の正面側の開口7を介して収容物50を挿入可能であるととともに、前方へと引き出すことによって外部へと取り出すことが可能になっている。
【0024】
図4に示すように、収容体10は、一例として、収容物50の左右を保持可能な左右一対の側枠15(本願の支持体)を備え、この側枠15によって収容物50を収容可能な空間を形成する。各側枠15は、3Uの高さを有する側壁15aと、側壁15aの上下端部が折り曲げられて形成される天壁15b及び底壁15cと、を有する断面が略コ字型形状に形成され、
図2及び
図3に示すように、左右それぞれの前後支柱5に取り付けられ、収容物50の両側を下方から支持する。
【0025】
側枠15は、前方と後方で2分割され、サーバーラック2の前方部に配置される前方側枠16と、一部が重ね合されて前方側枠16の外側に配置される後方側枠17と、を備える。各側枠16、17は、前後方向(長さ方向)に互いに摺動可能であって、側枠15の長さを支柱5の前後間の長さに合わせて調整することが可能である。
【0026】
図2〜
図4に示すように、各側枠15の底壁15cは、平板状の部材が折り曲げられて階段状に形成され、前方側枠16の内側には段差15fを有して平坦部15dが形成され、その平坦部15dによって収納物50が下方から支持される。そして、収容物50は、この側枠15と平坦部15dによって前後方向に摺動可能にガイドされる。
【0027】
また、左側の前方側枠16の底壁15cの先端部には、一例として上方に折り曲げられて起立する起立片15eが形成され、段差15fの高さはその起立片15eとほぼ同じ高さに設計される。
【0028】
また、側枠15は、側枠15の前端部と後端部が外側へと折り曲げられ、適当な箇所に孔部18aが形成された係止片18を備え、
図2及び
図3に示すように、この係止片18の孔部18aは、所定の固定具11によって支柱5に形成された孔部5aと共締めされ、支柱5に側枠15が固定される。
【0029】
また、前方側枠16は、側壁15aの後端部が内側へと折り曲げられた突起片19(第2の規制体)を備え、この突起片19は収容物50の一部と係合され、収容物50の後方への移動が規制される。なお、本実施形態では、この突起片19を後述する天板61の部材61aの後端に接触させることで後方への移動を規制している。また、この突起片19は、収容物50の大きさ等によって適宜変更されるものであって、収容体10の一部に適宜形成されるものであって、突起片19の位置が前方側枠16の後端部に限定されるものではない。
【0030】
また、
図2及び
図5に示すように、前方側枠16の前端部には、収容物50の前方への移動を規制する規制体21が設けられており、この規制体21は、一端が前方側枠16に有する起立片15eに軸支されてサーバーラック2の前方開口面に沿って回動自在に設けられている。
【0031】
規制体21は、
図5に示すように、収容物50の一部に接触可能な平坦状の部材21a(本願の基体)を備え、この部材21aの一端が、底壁15cに有する起立片15eに回転可能に軸支されている。
【0032】
また、
図5に示すように、規制体21の回転軌跡に一致する側壁15aの部分は規制体21を挿入可能な縦長の貫通孔23が形成されている。規制体21は、一部が前方に折り曲げられた係止片21bを有し、この係止片21bは、貫通孔23に規制体21が挿入された際に側壁15aによって係止され、規制体21の回動範囲を規制する。
【0033】
このように規制体21は、
図5(a)の起立位置と
図5(b)の傾倒位置との間で回転可能であって、本実施形態では、軸支された回動中心軸を回転中心として、90度変位する。
【0034】
また、規制体21は、
図5(a)に示す起立位置にあるとき、支柱5の内側に沿って縦方向に位置されて起立姿勢に保持され、サーバーラック2の正面側の開口7を開放しており、収納物50を出し入れ可能としている。
【0035】
一方、規制体21は、
図5(a)に示す起立位置から
図5(b)に示す傾倒位置に移動すると、サーバーラック2の正面側の開口7の内側に向けて90度回動変位して横方向に位置されて傾倒姿勢に保持され、これによって開口7の一部を遮断して収納物50の前方への移動を規制し、振動等による収納物50のずれや落下を未然に防止するようになっている。なお、本実施形態では、この規制体21を後述する天板61の部材61aの前端に接触させることで前方への移動を規制している。
【0036】
このように本実施形態の収容体10は、一対の側枠15、15によって囲まれた空間部を有し、側枠15の底壁15cによって収納物50をこの空間部に保持可能であるとともに、収納物50を前後方向に移動(ガイド)可能であり、収納物50を前方からこの空間部に挿入することで収納物50をサーバーラック2内に収容可能であるとともに、引き出すことによって収納物50をサーバラック2の外部に取り出すことが可能である。
【0037】
なお、空間部の上を閉塞する天板を設けてもよいが、特に必須の構成ではなく、省略して構わない。また、一対の側枠15の底壁15cを接続することで一体的に形成しても構わない。
【0038】
また、この側枠15には、サーバラック2の開口面に沿って回動自在に設けられた規制体21を備え、この規制体21は、開口7を開放する起立位置(本願の第2の位置)と、開口7の一部を遮断する傾倒位置(本願の第1の位置)と、の間で移動可能である。
【0039】
そして、規制体21を傾倒位置に配置することで、収納物50と接触させ移動が規制される一方で、規制体21を起立位置に配置することで、収納物50との接触を回避させ、収納物50を前方へと引き出しサーバラック2の外部に取り出すことが可能である。
【0040】
以上に説明したように、収容体10をサーバーラック2に取り付けることで、収納物50をまとまりよくサーバーラック2に収容することが可能である。また、地震等の振動等における収納物50のずれや前方への飛び出し(落下等)を容易に防止できる。
【0041】
次に、収容体10に収容される収容物50としての折畳みテーブル60について説明する。以下の説明において、折畳みテーブル60を展開した(開いた)状態とは、天板61を水平状態に保ち、使用者がコンピュータ等を載置して使用可能な状態(
図7(c)参照)を言い、折畳みテーブル60を収納した(閉じた)状態とは、天板61が2つに分割されて折り畳まれた状態(
図7(a)参照)を言うものとする。
【0042】
本実施形態の折畳みテーブル60は、例えば、アルミニウムやSUS等の金属材料により形成され、
図6に示すように、利用者がコンピュータ等を載置して使用するための平板状の天板61と、この天板61を支持する支持脚70と、を備えている。この折畳みテーブル60は、
図7に示すように、折畳みテーブル60を側面視で平坦状に折り畳んだ状態から展開して天板を水平状態に保持することが可能である。
【0043】
天板61は、
図7に示すように、2つに分割され並べて配置される2枚の板状の部材61a、61aをピン63を介して夫々が同一方向に折り曲げ自在に結合され、天板61の裏面側に折畳み可能に構成される。
【0044】
支持脚70は、側面視で略山型状に配置される2本の脚フレーム71、71を備える。脚フレーム71、71は、
図6に示すように、平行に配置される前後一対のフレーム72、72と、このフレーム72、72間に架け渡される連結フレーム73と、を備える。本実施形態の連結フレーム73は所定の間隔を有して上下に2つ配置されているが、その大きさやフレームの材質等によって1つ若しくはさらに多くの数でも構わない。
【0045】
また、夫々の脚フレーム71は、各フレーム72の上端部が天板61の各部材61aの連結側の端部にピン結合されて回転可能に連結される。
【0046】
また、天板61と支持脚70はリンク機構80によって連結され、このリンク機構80によって、テーブル60を展開した状態において天板61の各部材61a、61aが水平状態に保たれるとともに、各脚フレーム71、71の開き角度が規定され、天板61が安定的に保持される。
【0047】
リンク機構80は、天板の左右の部材61a、61aに取り付けられる第1及び第2のリンク81、81と、第1及び第2のリンク81とピン82により結合される中央リンク83と、を備える。
【0048】
中央リンク83は、2つのリンク84、84がピン結合され、各リンク84、84の略中央部が脚フレーム71とピン86により各リンク84、84の両側が回動可能に結合され、このピン86による中央リンク83との結合位置により脚フレーム71の開き角度が規定される。
【0049】
また、第1及び第2のリンク81は断面が略L字状に形成され、中央リンク83の回転範囲を規制する規制体87が設けられている。具体的には、テーブル60を展開する過程において、第1又は第2のリンク81、81に対して中央リンクの各リンク84、84が所定の方向に回転し、各リンク84、84と第1又は第2のリンク81、81がほぼ直線状に配置された際に当該規制体87が中央リンク83の各リンク84、84と接触し各リンク84、84のそれ以上の回転が規制される。
【0050】
なお、本実施形態では、規制体87を第1及び第2のリンク81に設けているが、中央リンクの各リンク84、84に設けても構わない。
【0051】
すなわち、天板61の各部材61aを開いた状態において、中央リンク83と第1又は第2のリンク81がほぼ直線状に配置され、その位置で規制体87により回転が規制されて固定される。この時、各リンク81と天板61と脚フレーム71とでトラス状に形成されるため、安定的に天板61が保持される。
【0052】
ここで、
図7を用いて、折畳みテーブル60の折り畳み動作について説明する。
図7(c)に示す展開状態では、天板61の2つの部材61a、61aが水平状態に支持脚70によって支持され、脚フレーム71の下端が開いた状態にある。そして、この状態から、中央リンク83と第1又は第2のリンク81、81の2つの連結部を上方に持ち上げると、
図7(b)に示すように、各連結部が曲折し、各リンク81、84が折り畳まれて天板61の2つの部材61a、61aが下方へと移動するとともに、中央リンク83の2つのリンク81、81が折り畳まれて2つの脚フレーム71、71が徐々に近接し閉脚しようとする。
【0053】
さらに、天板61を折り畳むと、閉脚動作が更に進み、
図7(a)に示すように、各部材61aと脚フレーム71とが完全に重なり、折畳み動作は終了する。逆の手順で、折畳みテーブル60が閉じた状態から、天板61の各部材61aを上方へと引き上げるとともに、脚フレーム71の下方を左右に広げると、折畳みテーブル60は展開される。
【0054】
このように構成された折畳みテーブル60は、折り畳まれた状態において、全体が略平坦状に形成される。よって、狭い隙間にすっきりと収めることができ、見栄えがよい。また、載置面に対して天板61の面が接触するように配置することで、スライド移動しやすくなっている。
【0055】
なお、本願は本実施形態に限定されるものではなく、種々の形態にて実施することが可能である。例えば、本実施形態では、家具の一例として、折畳み式のテーブルを説明したが、折畳み式の椅子であっても構わない。この場合、ほぼ平坦状に折り畳まれる必要がある。また、本実施形態では、規制体21は、収容体に設けられているが、収容体と家具に部材を設け、2つの部材が協働することで収容体内に家具が固定されても構わない。また、折畳み式のテーブルは、平坦状に折り畳まれればよく、特に本実施形態に限定されるものではなく、一般的に公知な折畳み式のテーブルを用いることができる。