特許第6804754号(P6804754)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6804754
(24)【登録日】2020年12月7日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】管状体
(51)【国際特許分類】
   F16L 9/12 20060101AFI20201214BHJP
   F02M 35/10 20060101ALI20201214BHJP
   F16L 47/14 20060101ALI20201214BHJP
【FI】
   F16L9/12
   F02M35/10 101N
   F02M35/10 101G
   F02M35/10 101K
   F16L47/14
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-192837(P2016-192837)
(22)【出願日】2016年9月30日
(65)【公開番号】特開2018-54059(P2018-54059A)
(43)【公開日】2018年4月5日
【審査請求日】2019年8月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000225359
【氏名又は名称】内山工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002686
【氏名又は名称】協明国際特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100087664
【弁理士】
【氏名又は名称】中井 宏行
(74)【代理人】
【識別番号】100143926
【弁理士】
【氏名又は名称】奥村 公敏
(74)【代理人】
【識別番号】100149504
【弁理士】
【氏名又は名称】沖本 周子
(72)【発明者】
【氏名】森 昌之
(72)【発明者】
【氏名】松木 克則
【審査官】 渡邉 聡
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−174156(JP,A)
【文献】 特開2003−129909(JP,A)
【文献】 特開平07−205299(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0025955(US,A1)
【文献】 特開平03−230924(JP,A)
【文献】 特開平07−246654(JP,A)
【文献】 特開平10−318056(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 9/12
F02M 35/10
F16L 47/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
径方向に分割された2つの半管状部同士が接合され、ボルト孔が設けられた接続フランジ部を少なくとも一端部に有し、かつ該接続フランジ部に連なる近傍部位が直管状部とされた管状体であって、
前記2つの半管状部の周方向両縁部には、径方向に突出し軸方向に延びる接合突部が前記直管状部に至るように設けられており、
これら半管状部の周方向両側のうちの少なくとも一方側のそれぞれの接合突部は、これらが突き合わせられて形成される接合部が前記接続フランジ部のボルト孔近傍の所定範囲において該ボルト孔に挿通されるボルトを締結する工具に干渉しないように中心軸を通る半割仮想面からずれるように屈曲されていることを特徴とする管状体。
【請求項2】
請求項1において、
前記接合突部の屈曲された部位は、前記2つの半管状部のうちの一方の半管状部の周方向縁部を他の部位よりも接線方向に延出させ、かつ他方の半管状部の周方向縁部を他の部位よりも周方向に凹ませるようにして形成されており、
前記他方の半管状部の凹ませられた周方向縁部の内周側には、前記一方の半管状部の接線方向に延出された部位の内周面に沿うように配され、かつこれら半管状部の他の部位の内周面に連なるような内周面を構成する突片部が設けられていることを特徴とする管状体。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記接続フランジ部は、前記2つの半管状部のうちのいずれか一方の半管状部に一体的に設けられていることを特徴とする管状体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管状体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、射出成形等によって一体的に成形し難い屈曲部を有した樹脂製の管状体としては、径方向に分割された半管状部同士が接合されたものが知られている。
例えば、下記特許文献1には、半管体の周方向の両端に沿って延在されたフランジ同士を接合して形成された管状体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5444926号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような管状体の軸方向(長手方向)の端部には、接続対象に接続するためのボルト孔が設けられた接続フランジ部が設けられる場合が多々ある。上記のような半管体の周方向の両端に接合部を構成するフランジを設けたものでは、このフランジが接続フランジ部のボルト孔の軸上に位置すれば、ボルトを締結し難くなることが考えられ、更なる改善が望まれる。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、径方向に分割された半管状部同士を接合する軸方向に延びる接合突部を設けながらも、接続フランジ部のボルト孔に挿通されるボルトの締結性を向上し得る管状体を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明に係る管状体は、径方向に分割された2つの半管状部同士が接合され、ボルト孔が設けられた接続フランジ部を少なくとも一端部に有し、かつ該接続フランジ部に連なる近傍部位が直管状部とされた管状体であって、前記2つの半管状部の周方向両縁部には、径方向に突出し軸方向に延びる接合突部が前記直管状部に至るように設けられており、これら半管状部の周方向両側のうちの少なくとも一方側のそれぞれの接合突部は、これらが突き合わせられて形成される接合部が前記接続フランジ部のボルト孔近傍の所定範囲において該ボルト孔に挿通されるボルトを締結する工具に干渉しないように中心軸を通る半割仮想面からずれるように屈曲されていることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、径方向に分割された2つの半管状部の周方向両縁部に設けられた接合突部同士が突き合わせられて接合部が形成されるので、このような接合突部を設けていないものと比べて接合強度を向上させることができる。また、これら半管状部の周方向両側のうちの少なくとも一方側のそれぞれの接合突部が上記のように屈曲されている。従って、管状体自体の屈曲に応じて、各半管状部を成形し易いように設定される金型の分割面(パーティングライン)、つまり、半管状部同士の半割仮想面に概ね応じた位置やその近傍部位に接続フランジ部のボルト孔を設ける必要がある場合にも、接続フランジ部を接続対象に接続するボルトを締結する際に接合突部に工具が干渉し難くなり、締結性を向上させることができる。換言すれば、接続対象との関係で定められる接続フランジ部のボルト孔の軸上に接合部が位置しないように、各半管状部の成形性の観点等から接合部を軸方向の全体に亘って周方向にずらし難いような場合にも、接続フランジ部のボルト孔近傍の所定範囲の接合部を他の部位から屈曲させてずらすことで対応することができる。
【0008】
また、本発明においては、前記接合突部の屈曲された部位を、前記2つの半管状部のうちの一方の半管状部の周方向縁部を他の部位よりも接線方向に延出させ、かつ他方の半管状部の周方向縁部を他の部位よりも周方向に凹ませるようにして形成された構成としてもよい。また、前記他方の半管状部の凹ませられた周方向縁部の内周側に、前記一方の半管状部の接線方向に延出された部位の内周面に沿うように配され、かつこれら半管状部の他の部位の内周面に連なるような内周面を構成する突片部を設けた構成としてもよい。
本発明によれば、一方の半管状部における接線方向に延出されて他の部位よりも拡径部となる内周側部位を、他方の半管状部に設けられた突片部によって埋めることができ、管状体内において圧力損失が生じるようなことを抑制することができる。
【0009】
また、本発明においては、前記接続フランジ部を、前記2つの半管状部のうちのいずれか一方の半管状部に一体的に設けた構成としてもよい。
本発明によれば、2つの半管状部の接合部が接続フランジ部に位置しないので、接続フランジ部の接続対象側に向く面における段差等の発生を抑制することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る管状体は、上述のような構成としたことで、径方向に分割された半管状部同士を接合する軸方向に延びる接合突部を設けながらも、接続フランジ部のボルト孔に挿通されるボルトの締結性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る管状体の一例を模式的に示す概略斜視図である。
図2】同管状体を模式的に示す図1に対応させた概略分解斜視図である。
図3】(a)は、同管状体を模式的に示す概略正面図、(b)は、図1におけるX1−X1線矢視に対応させた一部破断概略縦断面図である。
図4】(a)は、図1におけるX2−X2線矢視に対応させた概略縦断面図、(b)は、(a)に対応させた概略分解縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
本実施形態に係る管状体1は、図1及び図2に示すように、径方向に分割された2つの半管状部10,20同士が接合され、ボルト孔17bが設けられた接続フランジ部17を少なくとも一端部に有した構成とされている。本実施形態では、管状体1は、軸方向一端部に第1接続フランジ部17を設け、軸方向他端部に第2接続フランジ部19を設けた構成とされている。つまり、管状体1は、軸方向(長手方向)両端部のそれぞれに接続フランジ部17,19を設けた構成とされている。
この管状体1は、気体や液体等の種々の流体を流通させる管路として配設されるものでもよい。例えば、この管状体1を、エンジン冷却水管やインテークマニホールド等として自動車等の車両に用いられるものとしてもよい。また、管状体1としては、このような車両用に限られず、例えば、ガス等の設備機器や、水回り設備機器の配管等として用いられるものでもよい。
【0013】
また、管状体1は、図1に示すように、直管(ストレート管)状ではなく、軸方向途中部位において屈曲(湾曲)されて少なくとも1つのコーナー部(屈曲部)を有した屈曲管状とされている。このように屈曲されて少なくとも軸方向一端部に接続フランジ部17を有した管状体1は、一体的には成形困難な構成とされている。図例では、この管状体1を、軸方向両端側の各接続フランジ部17,19が同方向を向く構成とされた2つのコーナー部を有する180度エルボ管状とした例を示している。つまり、これら接続フランジ部17,19の接続対象側に向く面が互いに平行状とされている。また、管状体1の軸方向両端側の各接続フランジ部17,19に連なる近傍部位を直管状部としている。また、管状体1に、これら軸方向両端側の直管状部同士を接続するように、コーナー部を介して直管状部を設けた構成としている。
【0014】
また、図3(b)及び図4(a)に示すように、管状体1を、略真円状の円筒状とした例を示している。また、管状体1を、軸方向の全体に亘って中心軸(円心)5が略同一平面上に位置する構成としている(図3(a)参照)。つまり、管状体1を径方向に仮想的に二等分するように形成した半割仮想面6が軸方向の全体に亘って略平坦面状となる構成とされている。換言すれば、管状体1を、概ね同一平面内において屈曲させた屈曲管状とした例を示している。なお、管状体1としては、上記のような構成とされたものに限られず、1つのみまたは3つ以上のコーナー部を有したものとしたり、半割仮想面6が軸方向の途中部位において屈曲状となるような構成としたりしてもよい。また、管状体1を、楕円筒状や多角筒状とされたものとしてもよい。
【0015】
また、この管状体1は、合成樹脂製とされている。合成樹脂としては、例えば、フェノール樹脂やエポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂でもよく、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン、ABS、アクリル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリアセタール、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン等の熱可塑性樹脂でもよい。また、合成樹脂としては、種々の添加剤が添加されたものでもよく、例えば、炭素繊維やガラス繊維等の強化繊維を含む繊維強化樹脂でもよい。なお、管状体1は、インサート成形等によって一部に金属製の部位を有したものでもよい。
【0016】
また、本実施形態では、図2に示すように、接続フランジ部17,19のうちの少なくともいずれか一方を、2つの半管状部10,20のうちのいずれか一方の半管状部としての第1半管状部10に一体的に設けた構成としている。具体的には、軸方向両端側の接続フランジ部17,19を、第1半管状部10に一体的に設けた構成としている。なお、このような態様に代えて、軸方向一端側の第1接続フランジ部17を第1半管状部10に一体的に設け、軸方向他端側の第2接続フランジ部19を他方の半管状部としての第2半管状部20に一体的に設けた構成等としてもよい。
これら接続フランジ部17,19は、第1半管状部10の軸方向の各端部の周縁部から径方向に突出するように設けられている。また、これら接続フランジ部17,19は、第1半管状部10の軸方向の各端部の周縁部の全周に亘って設けられたものでもよく、周縁部の一部に設けられたものでもよい。本実施形態では、図3(a)に示すように、これら接続フランジ部17,19を、これらの厚さ方向(第1半管状部10の各端部における軸方向(開口方向))に見て、外郭形状が略方形状とされたものとしている。
【0017】
また、第1接続フランジ部17に、3つのボルト孔17a,17a,17bを設けた構成としている。また、これらボルト孔17a,17a,17bのうちの少なくとも一つのボルト孔17bを、半割仮想面6に概ね応じた位置またはその近傍部位に設けた構成としている(図4(a)参照)。図例では、第1接続フランジ部17の半割仮想面6に直交する方向の両側の角部のそれぞれにボルト孔17a,17aを設け、反第2接続フランジ部側の角部に、半割仮想面6に同一な平面の近傍部位に位置するようにボルト孔17bを設けた構成としている。このボルト孔17bは、後記するように屈曲された第2接合部3を、屈曲させることなく設けて第1接続フランジ部17側を軸方向に見た場合に、第2接合部3が近接した位置または一部が重なり合う位置となるように設けられている。つまり、このボルト孔17bは、第2接合部3の第1接続フランジ部17側部位に、後記するような屈曲された部位を設けていない場合には、このボルト孔17bに挿通されるボルト7を締結する工具が第2接合部3に干渉するような位置に設けられている。また、これらボルト孔17a,17a,17bが設けられた第1接続フランジ部17の角部は、残余の角部と比べて突出するように設けられている。
【0018】
また、第2接続フランジ部19に、2つのボルト孔19a,19aを設けた構成としている。図例では、第2接続フランジ部19の半割仮想面6に直交する方向の両側の角部のそれぞれにボルト孔19a,19aを設けた構成としている。また、上記同様、これらボルト孔19a,19aが設けられた第2接続フランジ部19の角部は、残余の角部と比べて突出するように設けられている。
なお、これら接続フランジ部17,19のボルト孔17a,17a,17b,19a,19aは、インサート成形等によって埋込状に設けられた金属製筒部材によって構成されたものでもよい。
【0019】
また、2つの半管状部10,20の周方向両縁部には、径方向に突出し軸方向に延びる接合突部12,13,22,23が設けられている。これら半管状部10,20は、図3(b)に示すように、半筒状(半円筒状)とされた半管本体部11,21の周方向両縁部に、径方向外側に向けて突出させるように接合突部12,13,22,23を設けた構成とされている。また、これら半管状部10,20の周方向両側の接合突部12,13,22,23が突き合わせられて管状体1の周方向両側に軸方向に延びるように接合部2,3が形成されている。
また、これら半管状部10,20の周方向両側のうちの少なくとも一方側のそれぞれの接合突部13,23は、これらが突き合わせられて形成される接合部3が接続フランジ部17のボルト孔17b近傍の所定範囲においてボルト孔17bに挿通されるボルト7を締結する工具に干渉しないように中心軸5を通る半割仮想面6からずれるように屈曲されている。
【0020】
管状体1の周方向両側の接合部2,3は、上記のように半割仮想面6からずれるように屈曲された部位を除いて、軸方向の概ね全体に亘って半割仮想面6に応じた位置となるように設けられている。
本実施形態では、軸方向中央部位の直管状部において接続対象側に沿うように設けられた第1接合部2を、軸方向の全体に亘って半割仮想面6に応じた位置となるように設けた構成としている。つまり、この第1接合部2を構成する各半管状部10,20の第1接合突部12,22は、互いの突き合わせ面が軸方向の全体に亘って半割仮想面6に略一致するように設けられている。
また、軸方向中央部位の直管状部において反接続対象側に沿うように設けられた第2接合部3を、第1接続フランジ部17の近傍部位において半割仮想面6からずらすように屈曲させた構成としている。つまり、本実施形態では、第1接続フランジ部17の反第2接続フランジ部側の角部に設けられたボルト孔17bに挿通されるボルト7を締結する工具に干渉しないように、第2接合部3を、第1接続フランジ部17の近傍部位において半割仮想面6からずらすように屈曲させた構成としている。
【0021】
この第2接合部3の第1接続フランジ部17の近傍部位において屈曲された部位は、軸方向中央部位の直管状部の第1接続フランジ部17側端部から第1接続フランジ部17側に向けて半割仮想面6から徐々にずれるように設けられている。この第2接合部3における第1接続フランジ部17近傍において屈曲させる所定範囲は、ボルト孔17bに挿通されるボルト7を締結する工具に第2接合部3が干渉しないように、管状体1の屈曲形状やボルト孔17bの位置等に応じて、適宜の範囲とすればよい。図例では、第2接合部3の第1接続フランジ部17の近傍部位において屈曲された部位を、ボルト孔17bの軸上(これ挿通されるボルト7の軸上)に位置しないように設けた例を示している。また、この第2接合部3の第1接続フランジ部17の近傍部位を除いた他の部位は、軸方向の全体に亘って半割仮想面6に応じた位置となるように設けられている。つまり、この第2接合部3を構成する各半管状部10,20の第2接合突部13,23の屈曲された部位(第1接続フランジ部17の近傍部位)となるフランジ側部位14,24は、互いの突き合わせ面が半割仮想面6から概ね周方向に沿う方向にずれた位置となるように設けられている。また、各半管状部10,20の第2接合突部13,23のフランジ側部位14,24を除く他の部位は、上記同様、互いの突き合わせ面が軸方向の全体に亘って半割仮想面6に略一致するように設けられている。
【0022】
これら第2接合突部13,23のフランジ側部位14,24は、図4に示すように、2つの半管状部10,20のうちの一方の半管状部としての第1半管状部10の周方向縁部を他の部位よりも接線方向に延出させ、かつ他方の半管状部としての第2半管状部20の周方向縁部を他の部位よりも周方向に凹ませるようにして形成されている。つまり、第1半管状部10のフランジ側部位14は、半管本体部11の第2接合突部13側の縁部を半割仮想面6に直交する方向となる接線方向に延出させた延出部位15に設けられている。この延出部位15は、接線方向への延出寸法が軸方向中央部位の直管状部を構成する部位の第1接続フランジ部17側端部から第1接続フランジ部17側に向けて徐々に大きくなるように形成されている。また、この延出部位15は、接線方向に延出されているため、その内周面が他の部位の内周面と同様な円筒内周面状の凹湾曲面とならずに、軸方向に見て平坦面状とされている。また、第2半管状部20のフランジ側部位24は、半管本体部21の第2接合突部23側の縁部を上記のように延出された第1半管状部10の延出部位15に対応させて周方向に凹ませた部位に設けられている。また、これら各半管状部10,20のフランジ側部位14,24を、互いの突き合わせ面が半割仮想面6と平行状となるように設けた構成としている。
【0023】
また、本実施形態では、第2半管状部20の凹ませられた周方向縁部の内周側に、第1半管状部10の延出部位15の内周面に沿うように配され、かつこれら半管状部10,20の他の部位の内周面に連なるような内周面を構成する突片部25を設けた構成としている。この突片部25は、第2半管状部20の半管本体部21の凹ませられた縁部から概ね周方向に突出するように設けられている。また、この突片部25は、突出方向先側に向かうに従い先細状とされている。この突片部25の外周面は、半管状部10,20同士が接合された状態で、上記のように平坦面状とされた延出部位15の内周面に当接または近接するように軸方向に見て平坦面状とされている。また、この突片部25の内周面は、第2半管状部20の半管本体部21の他の部位の内周面と同様な円筒内周面状の凹湾曲面とされている。また、この突片部25は、突出方向先端部が概ね半割仮想面6に位置するように設けられている。また、この突片部25は、縁部からの突出寸法が軸方向中央部位の直管状部を構成する部位の第1接続フランジ部17側端部から第1接続フランジ部17側に向けて徐々に大きくなるように形成されている。
【0024】
また、本実施形態では、各半管状部10,20の接合突部12,13,22,23の突き合わせ面に、互いに向き合う方向に向けて開口する接合樹脂充填溝12a,13a,22a,23aを軸方向に延びるように設けた構成としている。本実施形態では、これら半管状部10,20を、これらの接合樹脂充填溝12a,13a,22a,23aに充填された接合樹脂(二次樹脂)4を介して接合された構成としている。なお、この接合樹脂4は、上記同様の種々の樹脂としてもよく、半管状部10,20を構成する樹脂組成物と同一の構成とされたものでもよく、異なる構成とされたものでもよい。また、各接合突部12,13,22,23の突き合わせ面の接合樹脂充填溝12a,13a,22a,23aの内周側に、互いに係合して位置ずれや接合樹脂4の内周側への漏れを抑制する係止突条及び係止溝を設けた構成としてもよい。
【0025】
第1半管状部10の軸方向両端部には、図2に示すように、両端側の各接続フランジ部17,19に連なるように短筒部(短円筒部)11a,11aが設けられている。つまり、本実施形態では、第1半管状部10の半管本体部11を軸方向の全体に亘って半筒状(半円筒状)とせずに、軸方向両端部に短筒部(短円筒部)11a,11aを設けた構成としている。これら軸方向両側の短筒部11a,11aと半筒状(半円筒状)部位との境界部となる短筒部11a,11aの露出する周縁部には、径方向外側に向けて突出する鍔状部16,18が周方向に延びるように設けられている。
第1接続フランジ部17側の鍔状部16は、周方向一端部が第1接合突部12に連なるように設けられ、周方向他端部が第2接合突部13のフランジ側部位14に連なるように設けられている。第2接続フランジ部19側の鍔状部18は、周方向一端部が第1接合突部12に連なるように設けられ、周方向他端部が第2接合突部13に連なるように設けられている。
【0026】
第2半管状部20の半管本体部21は、第1半管状部10とは異なり、軸方向の全体に亘って半筒状(半円筒状)とされている。この第2半管状部20の軸方向両端部には、径方向外側に向けて突出する鍔状部26,28が周方向に延びるように設けられている。第1接続フランジ部17側の鍔状部26は、周方向一端部が第1接合突部22に連なるように設けられ、周方向他端部が第2接合突部23のフランジ側部位24に連なるように設けられている。この第2半管状部20の第1接続フランジ部17側の鍔状部26と第1半管状部10の第1接続フランジ部17側の鍔状部16とが突き合わせられて軸方向一端側の接合部を構成する。第2接続フランジ部19側の鍔状部28は、周方向一端部が第1接合突部22に連なるように設けられ、周方向他端部が第2接合突部23に連なるように設けられている。この第2半管状部20の第2接続フランジ部19側の鍔状部28と第1半管状部10の第2接続フランジ部19側の鍔状部18とが突き合わせられて軸方向他端側の接合部を構成する。
【0027】
なお、これら半管状部10,20の各鍔状部16,26,18,28の突き合わせ面に、上記のような接合樹脂4が充填される接合樹脂充填溝を設けた構成としてもよい。または、これら半管状部10,20の各鍔状部16,26,18,28の突き合わせ面間に接合樹脂4が充填される隙間が形成される構成としてもよい。
また、上記のような構成とされた管状体1は、半管状部10,20を一次成形品としてそれぞれ成形した後に、一方を他方に対してスライドさせて、軸方向両端部の接合部及び周方向両側の接合部2,3に沿うように接合樹脂(二次樹脂)4を充填して成形する、いわゆるDSI(ダイスライドインジェクション)成形等によって成形されたものでもよい。また、管状体1を構成する半管状部10,20同士は、二次樹脂としての接合樹脂4を介して接合されたものに限られず、接着剤や、熱板溶着、振動溶着、超音波溶着、レーザー溶着等の種々の接合態様によって接合されたものでもよい。
【0028】
本実施形態に係る管状体1は、上述のような構成としたことで、径方向に分割された半管状部10,20同士を接合する軸方向に延びる接合突部12,13,22,23を設けながらも、接続フランジ部17のボルト孔17bに挿通されるボルト7の締結性を向上させることができる。
つまり、径方向に分割された2つの半管状部10,20の周方向両縁部に設けられた接合突部12,13,22,23同士が突き合わせられて接合部2,3が形成されるので、このような接合突部12,13,22,23を設けていないものと比べて接合強度を向上させることができる。
【0029】
また、これら半管状部10,20の第2接合突部13,23の第1接続フランジ部17側の部位を、上記のように屈曲させたフランジ側部位14,24としている。従って、各半管状部10,20の成形性の観点等から設定される金型の分割面(パーティングライン)、つまり、半管状部10,20同士の半割仮想面6に概ね応じた位置やその近傍部位に第1接続フランジ部17のボルト孔17bを設けた場合にも、第1接続フランジ部17を接続対象に接続するボルト7を締結する際に、フランジ側部位14,24に工具が干渉し難くなり、締結性を向上させることができる。換言すれば、接続対象との関係で定められる第1接続フランジ部17のボルト孔17bの軸上に第2接合部3が位置しないように、各半管状部10,20の成形性の観点等から第2接合部3を軸方向の全体に亘って周方向にずらし難いような場合にも、第1接続フランジ部17のボルト孔17b近傍の所定範囲の第2接合部3を他の部位から屈曲させてずらすことで対応することができる。
【0030】
また、本実施形態では、第2接合突部13,23のフランジ側部位14,24を、2つの半管状部10,20のうちの第1半管状部10の周方向縁部を他の部位よりも接線方向に延出させ、かつ第2半管状部20の周方向縁部を他の部位よりも周方向に凹ませるようにして形成している。従って、第2接合突部13,23を上記のように屈曲させた構成としながらも、半割より大となる第1半管状部10の成形性を向上させることができる。
また、第2半管状部20の凹ませられた周方向縁部の内周側に、第1半管状部10の接線方向に延出された延出部位15の内周面に沿うように配され、かつこれら半管状部10,20の他の部位の内周面に連なるような内周面を構成する突片部25を設けた構成としている。従って、第1半管状部10における接線方向に延出されて他の部位よりも拡径部となる延出部位15の内周側部位を、第2半管状部20に設けられた突片部25によって埋めることができ、管状体1内において圧力損失が生じるようなことを抑制することができる。
【0031】
また、本実施形態では、軸方向両端側の接続フランジ部17,19を、第1半管状部10に一体的に設けた構成としている。従って、半管状部10,20同士の接合部2,3が接続フランジ部17,19に位置しないので、接続フランジ部17,19の接続対象側に向く面における段差等の発生を抑制することができる。
なお、本実施形態では、半管状部10,20の第2接合突部13,23の第1接続フランジ部17側の部位を屈曲させた構成としているが、接続フランジ部17,19に設けられるボルト孔の位置等に応じて、他の部位を屈曲させた構成としてもよい。
また、本実施形態に係る管状体1を構成する各半管状部10,20及びこれらが接合されて形成される接合部2,3としては、上記のような構成とされたものに限られず、その他、種々の変形が可能である。例えば、上記のような突片部25を設けていない構成としてもよい。また、2つの半管状部10,20が軸方向両端側の接続フランジ部17,19において分割されたようなものでもよい。この場合、例えば、上記のような短筒部11a,11aを第1半管状部10の軸方向両端部に設けずに、軸方向両端側の鍔状部16,18を接続フランジ部17,19に一体的に設けた構成としてもよい。または、軸方向両端側の鍔状部16,18を接続フランジ部17,19の一部によって構成してもよい。つまり、第1半管状部10及び第2半管状部20を、接続フランジ部17,19において軸方向(接続フランジ部厚さ方向)に分割されたものとしてもよい。または、第1半管状部10及び第2半管状部20を、接続フランジ部17,19において径方向に分割されたものとしてもよく、その他、種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0032】
1 管状体
2 第1接合部(接合部)
3 第2接合部(接合部)
5 中心軸
6 半割仮想面
7 ボルト
10 第1半管状部(半管状部)
12 第1接合突部(接合突部)
13 第2接合突部(接合突部)
14 フランジ側部位(屈曲された部位)
15 延出部位(延出された部位)
17 第1接続フランジ部(接続フランジ部)
17b ボルト孔
20 第2半管状部(半管状部)
22 第1接合突部(接合突部)
23 第2接合突部(接合突部)
24 フランジ側部位(屈曲された部位)
25 突片部
図1
図2
図3
図4