特許第6804757号(P6804757)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6804757
(24)【登録日】2020年12月7日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】粘着テープの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/29 20180101AFI20201214BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20201214BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20201214BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20201214BHJP
【FI】
   C09J7/29
   C09J201/00
   B32B27/00 M
   B32B27/30 D
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-226913(P2016-226913)
(22)【出願日】2016年11月22日
(65)【公開番号】特開2018-83883(P2018-83883A)
(43)【公開日】2018年5月31日
【審査請求日】2019年9月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000211156
【氏名又は名称】中興化成工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜飼 健
(72)【発明者】
【氏名】大森 貴文
(72)【発明者】
【氏名】濱田 啓司
【審査官】 横山 敏志
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−323027(JP,A)
【文献】 特開平05−247413(JP,A)
【文献】 特開2003−213226(JP,A)
【文献】 特開2010−046998(JP,A)
【文献】 特開2007−308666(JP,A)
【文献】 特開2012−184324(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/043652(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J1/00−201/10
B32B27/00
B32B27/30
Japio−GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリテトラフルオロエチレンを含む多孔質フィルムを準備することと、
二酸化ケイ素粒子、フッ素樹脂粒子及び水を含む分散液を、前記多孔質フィルムの片面に滴下するか、又はスプレー塗布により塗布することと、
前記分散液が塗布された前記多孔質フィルムを予備乾燥に供することと、
前記予備乾燥後の前記多孔質フィルムを、360℃〜420℃の範囲内の温度で焼成して中間層を形成することと、
粘着剤及び硬化剤を含む粘着剤含有溶液を、前記中間層上に塗布した後、熱処理に供して、前記中間層上に粘着層を形成することとを含む粘着テープの製造方法であって、
前記粘着剤含有溶液が含む前記硬化剤の含有量は、1.5重量%〜15重量%の範囲内にある粘着テープの製造方法。
【請求項2】
前記分散液は、1.5重量%〜10重量%の範囲内の固形分濃度で前記二酸化ケイ素粒子を含む請求項1に記載の粘着テープの製造方法。
【請求項3】
前記粘着剤含有溶液が含む前記硬化剤の含有量は、1.5重量%である請求項1又は2に記載の粘着テープの製造方法。
【請求項4】
前記フッ素樹脂粒子はポリテトラフルオロエチレン及びペルフルオロアルコキシフッ素樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含む請求項1〜3の何れか1項に記載の粘着テープの製造方法。
【請求項5】
前記粘着剤含有溶液は、トルエン及びキシレンからなる群より選択される少なくとも1種を含む請求項1〜4の何れか1項に記載の粘着テープの製造方法。
【請求項6】
前記熱処理は、160℃〜220℃の範囲内の温度で、120秒〜600秒に亘り行われる請求項1〜5の何れか1項に記載の粘着テープの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着テープに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体及び液晶パネルなどの電子工業用途において、清浄空間での作業が要求される工程はクリーンルーム内で行われている。クリーンルームには、200℃程度の高温な液体が流れる配管が設置されていることがある。このような配管の外周部には、例えば、発泡ポリスチレン、ウレタンフォーム又はフェノールフォームからなるプラスチック系断熱材が配置されている。
【0003】
上記のプラスチック系断熱材は、いずれも200℃という高温の熱には弱い。また、これらプラスチック系断熱材は十分な耐薬品性を備えていない。
【0004】
特許文献1には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのオレフィン系樹脂層(1)の外面にゴム層(2)を、そのゴム層(2)の外面にスポンジゴム層(3)をそれぞれ形成し、且つ端部にゴムホース用継手金具(4)を接続してなる曲がりホースが記載されている。
【0005】
このホースは、断熱材となり得るオレフィン系樹脂層が粘着性を有しているわけではない。このように、従来、粘着性を有した断熱材は広く普及していないため、配管への断熱材の固定には結束バンド等が使用されている。或いは、円筒型の断熱材チューブが使用されている。結束バンド等による断熱材の固定又は断熱材チューブの使用は、配管のT字及びL字などの継ぎ手部分を断熱材で覆うのに適しておらず、手間が掛かる作業であった。それ故、配管に容易に断熱性を付与できる断熱材が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平4−323027号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされ、耐熱性に優れた粘着テープを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面によると、粘着テープの製造方法が提供される。粘着テープの製造方法は、
ポリテトラフルオロエチレンを含む多孔質フィルムを準備することと、
二酸化ケイ素粒子、フッ素樹脂粒子及び水を含む分散液を、多孔質フィルムの片面に滴下するか、又はスプレー塗布により塗布することと、
分散液が塗布された多孔質フィルムを予備乾燥に供することと、
予備乾燥後の多孔質フィルムを、360℃〜420℃の範囲内の温度で焼成して中間層を形成することと、
粘着剤及び硬化剤を含む粘着剤含有溶液を、中間層上に塗布した後、熱処理に供して、前記中間層上に粘着層を形成することとを含む。
上記粘着剤含有溶液が含む硬化剤の含有量は、1.5重量%〜15重量%の範囲内にある。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、耐熱性に優れた粘着テープを提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係る粘着テープの一例を概略的に示す断面図。
図2】実施例に係る粘着テープの多孔質フィルムの表面を示す顕微鏡画像。
図3】実施例に係る粘着テープの中間層の表面を示す顕微鏡画像。
図4】実施例に係る粘着テープの断面の一例を示す顕微鏡画像。
図5図4に示す顕微鏡画像の一部を拡大して示す画像。
図6】実施例に係る粘着テープの断面の他の例を示す顕微鏡画像。
図7図6に示す顕微鏡画像の一部を拡大して示す画像。
【発明を実施するための形態】
【0011】
断熱材として、例えば、断熱材の一方の面に粘着層を設けた粘着テープが考えられる。この粘着テープが上述した高温の配管に貼付されると、粘着層が時間経過によって徐々に劣化し、粘着テープが剥がれる可能性がある。また、粘着テープが剥がれた際に、いわゆる糊残りが生じる可能性がある。クリーンルーム内に設置されている配管に糊残りが生じると、糊残りとして付着した粘着層などが異物になる可能性があり好ましくない。
【0012】
実施形態に係る粘着テープは、優れた耐熱性を有しているため、糊残りの発生を抑制することができる。以下、この粘着テープについて詳述する。
【0013】
実施形態に係る粘着テープは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含んだ多孔質フィルムと、多孔質フィルムの一方の面に積層され、フッ素樹脂及び二酸化ケイ素粒子を含む中間層と、中間層に積層された粘着層とを含む。
【0014】
この粘着テープは、多孔質フィルムと粘着層と、これらの間に介在した中間層とを有している。粘着テープは、多孔質フィルムと粘着層と中間層とからなっていてもよい。多孔質フィルムは、非粘着性(離型性)が非常に高いPTFEを含んでいるため、この多孔質フィルムに他の材料を接着させることは比較的困難である。しかしながら、中間層は、多孔質フィルムのPTFEと融着し易いフッ素樹脂を含んでいるため、多孔質フィルム上に中間層を融着させるのが容易である。つまり、多孔質フィルムと中間層との接着性(剥離強度)は高い。また、中間層が含んでいる二酸化ケイ素粒子は、非粘着性の高い多孔質フィルム表面の非粘着性を低減させる。それ故、中間層と粘着層との接着性(剥離強度)は高い。その結果、実施形態に係る粘着テープは、例えば、粘着層と中間層との間の層間剥離又は中間層と多孔質フィルムとの間の層間剥離を抑制することができる。
【0015】
従って、実施形態に係る粘着テープは、高温な被着体に貼付され、その後剥がした場合であっても層間剥離が生じ難い。即ち、実施形態に係る粘着テープは、耐熱性に優れている。
【0016】
本明細書において耐熱性に優れた粘着テープとは、粘着テープが高温の被着体に貼付され、長時間が経過した後に剥がされた場合であっても、糊残りを少なくすることの可能な粘着テープであるという意味を包含している。なお、糊残りとしての糊は、粘着層のみを含んでいてもよく、粘着層及び中間層を含んでいてもよく、粘着層、中間層及び多孔質フィルムを含んでいてもよい。粘着テープの被着体は特に制限されないが、例えば、ステンレス(SUS)及びペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)などが考えられる。被着体の温度は、例えば50℃〜200℃の範囲内にある。この粘着テープは、高温の被着体に貼付された後のみならず、常温程度の比較的低温の被着体に貼付された後であっても糊残りを生じ難い。言い換えると、実施形態に係る粘着テープは、例えば200℃までの耐熱性を有している。中間層及び粘着層は、主に、糊残りを少なくする特性に寄与する。
【0017】
また、耐熱性に優れた粘着テープとは、被着体の熱を、粘着テープを介して外部に伝達しにくい粘着テープであるという意味も包含している。即ち、この粘着テープは断熱性を有している。多孔質フィルムは、主に、断熱性に寄与する。
【0018】
図1は、実施形態に係る粘着テープの一例を概略的に示す断面図である。
粘着テープ1は、多孔質フィルム2と、中間層3と、粘着層4とを含んでいる。中間層3は、多孔質フィルム2の一方の面に積層されている。粘着層4は、中間層3に積層されている。
【0019】
粘着テープの厚みは、例えば120μm〜3100μmの範囲内にある。この厚みは、以下に説明するように、多孔質フィルム及び粘着層の厚みから決定され得る。中間層の厚みは、多孔質フィルム又は粘着層の厚みと比較して非常に小さいため、ここでは考慮しない。
【0020】
粘着層の厚みを厚くすると粘着力は向上するが、粘着層の厚みを際限なく厚くしても、粘着力の向上は頭打ちになる。具体的には、粘着層の厚みが約100μmを超えても、粘着力は向上しない可能性がある。また、粘着層の厚みが約20μm未満であると、粘着テープをPFA製配管などの非粘着性の高い材質に巻きつけた際に十分な粘着力が得られず、端部から剥がれてしまう可能性がある。それ故、粘着層の厚みは、例えば20μm〜100μmの範囲内にあり、好ましくは40μm〜70μmの範囲内にある。粘着層の厚みが70μmを超えると、粘着力が向上しにくくなるためである。
【0021】
このように、粘着層の粘着力には上限がある。それ故、多孔質フィルムが過度に厚いと、円形の配管などに粘着テープを貼付した際に、多孔質フィルムの剛直性が高過ぎて、粘着力が不足する可能性がある。つまり、この場合粘着テープが剥がれやすくなる可能性がある。
【0022】
従って、多孔質フィルムの厚みは、例えば100μm〜3000μmの範囲内にある。多孔質フィルムの厚みがこの範囲内にあると、多孔質フィルムの剛直性に対して粘着層の粘着力が十分に高いため、粘着テープを剥がれにくくすることができる。粘着テープを円形などの湾曲した被着体に貼付しない場合は、多孔質フィルムの厚みは更に厚くてもよい。
多孔質フィルムの厚みは、500μm〜3000μmの厚みの範囲内にあることが好ましい。多孔質フィルムの厚みがこの範囲内にあると、多孔質フィルムの剛直性と粘着層の粘着力とのバランスが良いため、粘着テープがより剥がれ難い。
【0023】
多孔質フィルムの厚みに対する粘着層の厚みの比率は適宜変更することが可能であるが、例えば、1%〜50%の範囲内にある。
【0024】
それぞれの層の層厚は、以下のようにして測定することができる。
まず、マイクロメーターを使用して粘着テープの総厚みを測定する。次に、粘着層をキシレンなどの有機溶媒で溶解し、多孔質フィルム及び中間層の厚みを測定する。その後、粘着テープの総厚みから多孔質フィルム及び中間層の厚みを引くことで、粘着層の厚みを算出する。なお、上述したように中間層の厚みは非常に小さいため、多孔質フィルム及び中間層の厚みは、多孔質フィルムの厚みとみなしてもよい。
【0025】
粘着テープの重量に対する多孔質フィルムの重量は、例えば30重量%〜99重量%の範囲内にある。粘着テープの重量に対する粘着層の重量は、例えば1重量%〜50重量%の範囲内にある。
【0026】
多孔質フィルム、中間層及び粘着層の重量は、以下のようにして測定することができる。まず、粘着テープの重量を測定する。次に、上述したように粘着層を溶解し、多孔質フィルム及び中間層の重量を測定する。粘着層の重量は、粘着テープの重量から多孔質フィルム及び中間層の重量を引くことで算出することができる。
【0027】
多孔質フィルムは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含む。多孔質フィルムは、PTFE以外のフッ素樹脂を含んでいてもよい。また、多孔質フィルムは、充填剤などの添加剤を含んでいてもよい。PTFE以外のフッ素樹脂としては、例えば、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)及び四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体樹脂(FEP)などを挙げることができる。PTFE以外のフッ素樹脂は、1種類であってもよく、2種以上の混合物であってもよい。多孔質フィルムは、PTFEからなることが好ましい。多孔質フィルムがPTFEからなると、優れた耐熱性に加え、高い耐薬品性を達成することができる。
【0028】
多孔質フィルムは、単層のフィルムからなっていてもよく、2枚以上のフィルムを積層させたフィルムであってもよい。フィルムの枚数を変更することにより、粘着テープとしての断熱性などを制御することができる。2枚以上のフィルムを積層させる場合、各層のフィルムは同一のフィルムであってもよく、互いに異なるフィルムであってもよい。例えば、多孔質フィルムは、PTFEからなるフィルムと、PTFE及びPFAからなるフィルムとを積層させた2層構造のフィルムであってよい。
【0029】
2枚以上のフィルムを積層させた多孔質フィルムは、例えば、2枚以上のフィルムを重ねた状態で荷重をかけながら加熱することで製造することができる。
【0030】
多孔質フィルムの気孔率は、例えば40%〜95%の範囲内にある。多孔質フィルムの気孔率が高いと、断熱性が高くなる傾向がある。気孔率が低いと、断熱性が低くなる傾向がある。多孔質フィルムの気孔率は、好ましくは70%〜95%の範囲内にある。
【0031】
多孔質フィルムの気孔率は、例えば、JIS R 1634:1998に準拠して測定することができる。
【0032】
多孔質フィルムの気孔率を測定するためには、上述した手順で粘着テープを複数の層に分解し、得られた多孔質フィルムについて気孔率を測定すればよい。
【0033】
中間層は、多孔質フィルムの一方の面に積層されており、フッ素樹脂及び二酸化ケイ素粒子を含んでいる。中間層は、活性剤などの添加剤を含んでいてもよい。
【0034】
中間層において、フッ素樹脂に対する二酸化ケイ素粒子の重量比が過度に大きいと、中間層が脆くなり、各層間における層間剥離が生じ易くなる可能性がある。また、この比が過度に小さい場合にも、中間層と粘着層とが剥離し易くなる可能性がある。
【0035】
中間層における、フッ素樹脂に対する二酸化ケイ素粒子の重量比は、後述する中間層形成用分散液が含んでいるこれら重量比により決定することができる。即ち、分散液が含んでいるフッ素樹脂に対する二酸化ケイ素粒子の重量比は、中間層形成後の中間層が含んでいるこれら重量比と略対応している。
【0036】
中間層が含んでいるフッ素樹脂は、例えば、PTFE及びPFAからなる群より選ばれる少なくとも1つである。
【0037】
粘着テープの重量に対する、中間層が含んでいる二酸化ケイ素粒子の重量は、例えば、0.001重量%〜0.5重量%の範囲内にある。二酸化ケイ素粒子の量が多いと、中間層を起点として多孔質フィルムと粘着層とが剥離しやすくなる傾向がある。二酸化ケイ素粒子の量が少ないと、中間層による多孔質フィルムの非粘着性を低減させる効果が薄く、各層間での層間剥離が生じ易くなる傾向がある。粘着テープの重量に対する、中間層が含んでいる二酸化ケイ素粒子の重量は、0.05重量%〜0.4重量%の範囲内にあることが好ましい。
【0038】
粘着テープが含んでいる二酸化ケイ素粒子の重量は、例えば、粘着テープを高熱で熱処理し、フッ素樹脂を分解させて、残渣の重量を測定することで測定することができる。
【0039】
二酸化ケイ素粒子の形状は、例えば、真球形状である。複数の二酸化ケイ素粒子の一部は、互いに凝集していてもよい。
二酸化ケイ素粒子のメディアン径(d50)は、例えば0.005μm〜0.5μmの範囲内にある。メディアン径がこの範囲内にあると、中間層と粘着層との接着性が高まる傾向にある。
【0040】
中間層が含む活性剤は、例えば、アニオン系界面活性剤及びノニオン系界面活性剤から選ばれる少なくとも1つである。中間層が、活性剤を含んでいると、レベリング性及び濡れ性を高める効果を奏する。
【0041】
粘着層は、粘着性を有した層である。粘着層は、例えば粘着剤及び硬化剤を含んでいる。
【0042】
粘着剤としては、例えば、天然ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤及びアクリル系粘着剤から選択される少なくとも1つを使用することができる。これらの中でも、耐熱性の観点から、粘着剤はシリコーン系粘着剤及び/又はアクリル系粘着剤を含むことが好ましい。
【0043】
シリコーン系粘着剤の例は、過酸化物硬化型の粘着剤又は付加硬化型の粘着剤である。粘着剤として過酸化物硬化型の粘着剤を使用する場合、硬化剤としては、過酸化ベンゾイル、過酸化ジクミル、過酸化−p−クロルベンゾイル、過酸化−2,4−ジクロルベンゾイル及び過酸化ジ−t−ブチルからなる群より選択される少なくとも1つを使用することができる。粘着剤として付加硬化型の粘着剤を使用する場合は、硬化剤としては、例えば白金を使用することができる。
【0044】
粘着剤として過酸化物硬化型の粘着剤を使用する場合、硬化剤の添加量を多くするほどゲル分率が高まり、糊残りをより抑制できる傾向がある。但し、硬化剤を過度に添加し過ぎると、粘着層中に残留した硬化剤の影響で、糊残りが増加する可能性があるため好ましくない。
【0045】
粘着テープは、粘着層上に剥離紙を備えていてもよい。
【0046】
続いて、実施形態に係る粘着テープの製造方法の一例を説明する。
【0047】
まず、PTFEを含んだ多孔質フィルムを作製する。この多孔質フィルムは、例えば公知の方法により製造することができる。
【0048】
次いで、中間層を構成する固形分を含んだ分散液を用意する。この分散液は、溶媒に固形分を分散させることで作製することができる。溶媒としては、例えば水を使用することができる。分散液は、例えば、二酸化ケイ素粒子、フッ素樹脂粒子及び活性剤などの添加剤を固形分として含んでいる。
【0049】
フッ素樹脂粒子としては、PFA粒子及びPTFE粒子などを使用することができる。活性剤としては、上述したように、アニオン系界面活性剤及びノニオン系界面活性剤から選ばれる少なくとも1つを使用することができる。
【0050】
分散液は、例えば、二酸化ケイ素粒子を0.1重量%〜20重量%の固形分濃度で含んでおり、フッ素樹脂粒子を1重量%〜30重量%の固形分濃度で含んでいる。分散液は、二酸化ケイ素粒子を1重量%〜10重量%の固形分濃度で含んでいることが好ましい。
【0051】
この分散液を、多孔質フィルムの片面に滴下するか、又はスプレー塗布により塗布する。
【0052】
次に、分散液が塗布された多孔質フィルムを予備乾燥に供する。予備乾燥は、例えば、100℃〜200℃の範囲内の温度で、5秒〜90秒に亘って行う。
【0053】
更に、予備乾燥後の多孔質フィルムを焼成する。この焼成は、フッ素樹脂の融点以上の温度、例えば360℃〜420℃の範囲内の温度で、5秒〜30秒に亘って行う。これにより、塗膜の溶媒が蒸発して中間層が形成される。焼成が不十分であると、粘着層との十分な密着性が得られない。
【0054】
その後、公知の方法に従って、中間層上に粘着層を形成する。粘着層は、例えば、粘着剤及び硬化剤を含んだ粘着剤含有溶液を用意し、中間層上にこの溶液を塗布し、更に熱処理することで形成することができる。この溶液に使用する溶媒としては、例えばトルエン及びキシレンなどが挙げられる。
【0055】
粘着剤含有溶液が含む硬化剤の量は、例えば、0.1重量%〜15重量%の範囲内にある。
【0056】
粘着層形成のための溶液の粘度は、例えば、1000cP〜100000cPの範囲内にある。
【0057】
粘着剤含有溶液の塗布に続く熱処理により、粘着剤が硬化して粘着層が形成される。この熱処理は、例えば、160℃〜220℃の範囲内の温度で、120秒〜600秒の時間に亘って行う。
【0058】
以上のようにして粘着テープを製造することができる。この粘着テープは、粘着層が片面にのみ設けられているため、例えば、粘着層形成後にロール状に巻くことができる。
【0059】
[実施例]
以下に実施例を説明するが、実施形態は、以下に記載される実施例に限定されるものではない。
【0060】
(実施例1)
<多孔質フィルムの作製>
PTFEファインパウダー100質量部に、炭化水素油26質量部を均一に混合した。この混合物をペースト押出して、棒状に予備成形を行った。この予備成形物を一対の金属製圧延ロール間に通し、長方形の未焼成テープを得た。次に、この未焼成テープを、ロール延伸機を用いて融点未満(200℃)の温度で、先だって圧延した方向、即ち縦方向(機械方向:MD)に2.7倍延伸した。更にロール延伸機で融点以上の温度(360℃)で焼成し、多孔質フィルムを得た。
【0061】
得られた多孔質フィルムの気孔率を測定したところ、75%であった。
【0062】
<中間層の形成>
溶媒としての水に、フッ素樹脂粒子、二酸化ケイ素粒子及び活性剤を分散させ、中間層形成用分散液を作製した。分散液中のフッ素樹脂粒子及び二酸化ケイ素粒子の重量は、それぞれ8.6重量%及び2.9重量%であった。この分散液を多孔質フィルムの片面に塗布し、塗膜を形成した。分散液を塗布した後の多孔質フィルムを、150℃の温度で20秒に亘って予備乾燥に供した。次いで、この多孔質フィルムを、400℃の温度で20秒に亘って焼成して中間層を形成した。
【0063】
<粘着層の形成>
粘着剤として過酸化物硬化型のシリコーン系粘着剤(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製 YR3340)を用意し、硬化剤として過酸化ベンゾイルを用意した。これら粘着剤及び硬化剤を、溶媒としてのキシレンに溶解させて、粘着剤含有溶液を作製した。この溶液は、溶液の重量に対して粘着剤を50重量%の量で含んでおり、硬化剤を1重量%の量で含んでいた。
【0064】
この溶液を、中間層上に塗布し、塗膜を形成した。中間層上に塗膜が形成された積層体を電気オーブンに入れて、バッチにて熱処理に供した。この熱処理は、200℃の温度で、280秒に亘って実施した。形成された粘着層の厚みは50μmであった。以上のようにして、実施例1に係る粘着テープを作製した。
【0065】
<重量測定>
得られた粘着テープを25mm×100mmに裁断し、重量を測定したところ、0.16gであった。
【0066】
<糊残りの評価>
得られた粘着テープを25mm×200mmに裁断し、180℃のステンレス板に貼り付け、15時間放置した。その後、粘着テープを剥がした際に、糊残りが生じるか否かを以下の基準に沿って確認した。結果を表1に記載する。
○:糊残りが生じなかった。
△:糊残りがわずかに生じた。
×:広範囲に亘って糊残りが生じた。
【0067】
以上の結果を下記表1にまとめる。表1には、後述する実施例2〜4及び、比較例1〜6の結果も記載している。
【0068】
(実施例2〜4及び比較例2〜6)
中間層形成用分散液及び粘着剤含有溶液の組成を表1に示す通りに変更したことを除いて、実施例1に記載したのと同様の方法により、実施例2〜4及び比較例2〜6のそれぞれに係る粘着テープを製造した。また、これら例で製造した粘着テープについて、上述した方法により糊残りを評価した。
【0069】
(比較例1)
中間層の形成を省略したことを除いて、実施例1で記載したのと同様の方法により比較例1に係る粘着テープを製造した。また、この比較例1で製造した粘着テープについて、上述した方法により糊残りを評価した。
【0070】
【表1】
【0071】
表1より、以下のことが分かる。
例えば、実施例1と比較例5及び6とを比較すると、中間層形成用分散液の固形分濃度が高い方が、糊残りが少ないことが分かる。これは、中間層が含む二酸化ケイ素粒子の重量が比較的大きいためであると考えられる。
【0072】
また、例えば、実施例2〜4と、比較例2〜4とを対比すると、粘着剤含有溶液に添加した硬化剤の量が多い方が、糊残りが少ないことが分かる。これは、硬化剤の量が多い方が、粘着層のゲル分率が高いからであると考えられる。本発明者らは、ゲル分率が高いと、粘着層の凝集力が高まるため、粘着テープを剥がす際に、粘着層内を起点とした粘着層の破壊を抑制することができると推測している。
【0073】
ところで、ゲル分率を測定する場合、例えば以下のように測定することができる。
まず、所定の寸法に裁断した第1サンプルとしての粘着テープを用意し、これをキシレンに24時間に亘り浸漬させる。24時間後、浸漬させた第1サンプルを取り出し、乾燥させた後に重量を測定する。
【0074】
一方、第1サンプルと同一寸法且つ同一組成の第2サンプルとしての粘着テープを用意し、この第2サンプルの重量を測定する。次に、第2サンプルの粘着層をキシレンなどの溶剤で除去する。そして、第2サンプルの多孔質フィルム及び中間層の重量を測定し、先に測定しておいた第2サンプル自体の重量から、多孔質フィルム及び中間層の重量を差し引くことで、溶剤に浸漬させない場合の粘着層の重量を測定する。
【0075】
また、この第2サンプルの多孔質フィルム及び中間層の重量を、先に乾燥させた第1サンプルの重量から差し引くことで、溶剤に浸漬させた場合の粘着層の重量を測定する。
【0076】
以上のように測定した各重量から、以下の式に従ってゲル分率を算出する。
ゲル分率(%)=(溶剤に浸漬させた場合の粘着層の重量)/(溶剤に浸漬させない場合の粘着層の重量)×100。
【0077】
<走査型電子顕微鏡(SEM: Scanning Electron Microscope)観察>
実施例1に係る粘着テープの製造の際に、以下に説明する通りSEM観察を行った。
まず、多孔質フィルムの製造後であって、中間層の形成の前に、多孔質フィルムの表面を100倍の倍率で観察した。このSEM像を図3に示す。
次に、多孔質フィルムの片面に形成した中間層の表面を100倍の倍率で観察した。このSEM像を図4に示す。
【0078】
図3及び図4のSEM画像を比較すると、図3で観察されていた多孔質フィルムの孔が、図4では中間層の形成によって部分的に覆われていることがわかる。
【0079】
また、製造した粘着テープを裁断し、その断面を観察した。図5は、実施例1に係る粘着テープを、多孔質フィルム製造時の延伸方向に対して平行に裁断し、その断面を観察したSEM像である。図6は、図5に係る断面の一部を拡大して観察したSEM像である。図5は100倍の倍率で観察したSEM像であり、図6は500倍の倍率で観察したSEM像である。図6は、図5に係るSEM像を、多孔質フィルム及び中間層の界面と、中間層及び粘着層の界面とが視野に含まれるように拡大して観察したSEM像である。
【0080】
図5及び図6を見ると、多孔質フィルムの表面近傍に白色で観察されている中間層が存在していることがわかる。中間層の一部は多孔質フィルムの孔に入り込んでいる。また、この中間層上に粘着層が形成されていることがわかる。
【0081】
図7は、実施例1に係る粘着テープを、多孔質フィルム製造時の延伸方向に対して垂直な方向に裁断し、その断面を観察したSEM像である。図8は、図7に係る断面の一部を拡大して観察したSEM像である。図7は100倍の倍率で観察したSEM像であり、図8は500倍の倍率で観察したSEM像である。図8は、図7に係るSEM像を、多孔質フィルム及び中間層の界面と、中間層及び粘着層の界面とが視野に含まれるように拡大して観察したSEM像である。
【0082】
図7及び図8のSEM像からも、白色で観察されている中間層が存在していることがわかる。また、中間層上に粘着層が形成されていることがわかる。
【0083】
なお、本願発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は可能な限り適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適当な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]
ポリテトラフルオロエチレンを含んだ多孔質フィルムと、
前記多孔質フィルムの一方の面に積層され、フッ素樹脂及び二酸化ケイ素粒子を含む中間層と、
前記中間層に積層された粘着層とを含む粘着テープ。
[2]
前記粘着層は、過酸化物硬化型の粘着剤を含む[1]に記載の粘着テープ。
[3]
前記フッ素樹脂は、ポリテトラフルオロエチレン及びペルフルオロアルコキシフッ素樹脂からなる群より選択される少なくとも1つである[1]又は[2]に記載の粘着テープ。
[4]
前記粘着層の厚みは20μm〜100μmの範囲内にある[1]〜[3]の何れか1項に記載の粘着テープ。
[5]
前記多孔質フィルムの気孔率は40%〜95%の範囲内にある[1]〜[4]の何れか1項に記載の粘着テープ。
[6]
200℃までの耐熱性を有する[1]〜[5]の何れか1項に記載の粘着テープ。
【符号の説明】
【0084】
1…粘着テープ、2…多孔質フィルム、3…中間層、4…粘着層。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7