(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1及び2に記載のような電解研磨法は、エッチングを行うために水酸化カリウムや硝酸等の有害な薬品を用いる必要がある。またこれらの薬品を処理するための設備、金属細線に電気を印加するための電気化学設備が必要になる。
【0007】
また電解研磨法は、エッチング液の濃度変化、揺れ等の外因による影響を受けやすい。そのため、作製される金属探針の均一性が乏しく、生産歩留まりも低い。さらに金属探針を1本作製するために必要な時間も長く、1本あたり15分程度はかかってしまう。
【0008】
一方で、特許文献3に記載のイオンビームを用いた方法は、薬品を用いる必要がない。しかしながら、イオンビームを安定的に発生するためには、真空設備等のより大掛かりな設備が必要である。またイオンビームの照射は高い精度が求められ、金属探針を1本作製するために必要な時間はより長くなる。
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、先端が先鋭な金属探針の簡便な製造方法及びその製造方法により作製された金属探針を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、鋭意検討の結果、昇華性を有する金属又は合金の細線の一部を酸化しながら加熱することで、先端が先鋭な金属探針を簡便に作製できることを見出した。またこの製造方法により作製された金属探針は、均一性が高く特性のバラツキが小さいことを見出した。
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を提供する。
【0010】
(1)第1の態様にかかる金属探針の製造方法は、酸化により昇華性を有する金属又は合金の細線の一部を酸化しながら加熱する工程を有し、前記加熱された部分が昇華により先鋭化する。
【0011】
(2)上記態様にかかる金属探針の製造方法において、前記金属又は合金が、タングステン又はモリブデンを含んでもよい。
【0012】
(3)上記態様にかかる金属探針の製造方法において、前記加熱をバーナーから吐出される炎を用いて行ってもよい。
【0013】
(4)上記態様にかかる金属探針の製造方法において、前記バーナーは燃焼系ガスと酸素ガスを同時に吐出し、前記バーナーから吐出される炎は酸化炎であってもよい。
【0014】
(5)上記態様にかかる金属探針の製造方法において、前記昇華により先鋭化した先端を超音波処理又は酸処理してもよい。
【0015】
(6)第2の態様にかかる金属探針は、酸化により昇華性を有する金属又は合金を含み、第1の方向に延在する細線状の基体と、前記基体から先端に向かって縮径する錐状の先端部と、を有し、前記第1の方向に対する前記先端部の傾斜面の傾斜角が略一定である。
【0016】
(7)上記態様にかかる金属探針は、前記先端部の前記傾斜面に纏いついた前記金属又は合金の酸化物からなる繊毛を有してもよい。
【0017】
(8)上記態様にかかる金属探針は、前記先端部の傾斜面に纏いつき、前記金属又は合金の酸化物からなる繊毛が除去されてなる根部を有してもよい。
【0018】
(9)第3の態様にかかるデバイスは、上記態様にかかる金属探針を備える。
【発明の効果】
【0019】
上記態様にかかる金属探針の製造方法によれば、簡便かつ安価に金属探針を製造できる。またこの方法で作製された金属探針は、均一性が高く、バラツキが少ない。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0022】
「金属探針の製造方法」
図1は、本実施形態にかかる金属探針の製造方法を模式的に示した図である。本実施形態にかかる金属探針の製造方法では、酸化により昇華性を有する金属又は合金の細線1の一部1aを酸化しながら加熱する。細線1の加熱された一部1aは昇華し、先鋭化する。以下、具体的に本実施形態にかかる金属探針の製造方法について説明する。
【0023】
まず金属探針の母材となる細線1を準備する。細線1は、市販のものを購入してもよい。
【0024】
細線1には、酸化加熱により昇華する金属又は合金を用いる。
図2は、様々な金属細線を酸化加熱した後の電子顕微鏡像である。一般に金属は加熱すると、表面張力により丸くなろうとする。これに対し、酸化加熱により昇華する金属又は合金は、昇華スピードが表面張力により丸くなろうとするスピードより速い。そのため、酸化加熱により昇華した部分は、丸くならず先鋭化する。
【0025】
図2に示すように、タングステン(W)、モリブデン(Mo)等は、酸化加熱による昇華性を有する。例えば、酸化タングステン(WO
3)は昇華温度が800℃であり、酸化モリブデン(MoO
3)は昇華温度が1000℃である。この温度以上の温度で、酸化タングステン及び酸化モリブデンは昇華する。
【0026】
図1では、細線1を固定治具10によって固定している。固定治具10は、単に細線1を支持しているだけであり、細線1の延在方向に外力を加えているわけではない。本実施形態にかかる金属探針の製造方法において金属探針の先端の先鋭化は、細線1の一部の昇華により生じる。そのため固定治具10により細線1を掃引等する必要なく、細線1の固定方向は、地面に対して垂直でも、平行でも、斜めでもよい。なお、細線1には外力を加えても、もちろん構わない。
【0027】
次いで、細線1の一部1aを酸化しながら加熱する。加熱手段は、電気等を利用した間接加熱でも、炎を利用した直接加熱でもよい。細線1の一部1aをピンポイントで加熱することを考慮すると、バーナー20から吐出される炎fを用いることが好ましい。
【0028】
例えば、
図1に示すようにバーナー20から吐出される炎fを用いる場合、酸化のために必要な酸素は、空気中に存在するものを用いても、バーナー20に強制的に供給した酸素を用いてもよい。
図1に示すバーナー20には、燃焼系ガス21と酸素22とが混合したガスが供給されている。
【0029】
燃焼系ガス21と酸素22とが混合したガスをバーナー20に同時に供給すると、バーナー20から吐出する炎fが安定的に酸化炎となる。「酸化炎」とは、過剰の空気や酸素を含む炎であり、完全燃焼に近い酸化反応を起こしている部分を意味する。一般に、炎の外炎の部分は、温度が高く酸化炎であると言われている。
【0030】
酸化炎により加熱された部分では酸化反応が生じやすい。すなわち、バーナー20から吐出する炎fを酸化炎とすることで、細線1の一部1aの酸化及び昇華が効率的に生じる。
【0031】
なお、バーナー20から吐出する炎の熱量を高めるために、バーナー20に水素ガスを供給することが一般的に行われている。この場合、バーナー20から吐出するガスが還元炎となりやすい。還元炎になりやすいとは、還元作用のある内炎の炎全体に占める割合が高くなることを意味する。
【0032】
バーナー20に供給する燃焼系ガス21には、炭化水素のガスを用いることができる。炭化水素のガスは、アルカンガス、アルケンガス等、公知のものを用いることができる。例えば、プロパン(C
3H
8)、ブタン(C
4H
10)は、入手が容易で、燃焼性も高い。そのため、これらのガスは燃焼系ガス21として好適に用いることができる。
【0033】
細線1の一部1aを酸化加熱すると、細線1の加熱された部分は徐々に昇華する。そして、ある程度加熱されると細線1の一部1aは完全に昇華し、細線1は二つに分かれる。細線1が二つに分かれるまでに要する加熱時間は、加熱温度等の条件によっても異なるが、30秒程度である。
【0034】
図3は、本実施形態にかかる金属探針の一部の電子顕微鏡像である。
図3に示す金属探針は、細線1の二つに分かれた端部に対応する。
【0035】
図3に示すように、この段階で金属探針の先端部1Aの傾斜面1Aaには、繊毛2が纏わりついている。繊毛2は、昇華した金属又は合金の酸化物である。この繊毛2は、昇華により先鋭化した先端部1Aを超音波処理又は酸処理することで容易に除去することができる。
【0036】
上述のように、本実施形態にかかる金属探針の製造方法によれば、有害な薬液等を殆ど用いることなく、簡便に金属探針を作製することができる。また細線の昇華により金属探針の先端部は形成されるため、外乱の影響を受けにくい。すなわち、均一な金属探針を高い精度で得ることができる。
【0037】
「金属探針」
(第1実施形態)
図4は、第1実施形態にかかる金属探針の一部の電子顕微鏡像である。第1実施形態にかかる金属探針は、基体(図視略)と、先端部1Aと、を有する。
【0038】
基体は、細線1(
図1参照)の内、昇華しなかった部分に対応する。すなわち、細線1の内、加熱された一部1a以外の部分を指す。そのため、基体は第1の方向に延在する細線状であり、酸化すると昇華性を有する金属又は合金を含む。ここで、細線1の主な構成要素は金属又は合金であり、その他の物質は不純物程度であることが多い。そのため、基体1は、金属又は合金からなると言ってもよい。
【0039】
先端部1Aは、基体から先端tに向かって縮径する錐状の部分である。すなわち、金属探針の先端に当る部分である。先端部1Aの形状は、円錐状、三角錐状、四角錐状等いずれでもよい。加熱が等方的に行われれば、先端部1Aの形状は通常、円錐状となる。
【0040】
先端部1Aが錐状の形状を有するため、先端部1Aの側面は傾斜面1Aaとなる。傾斜面1Aaの基体が延在する第1の方向に対する傾斜角θは、基体から先端tに向かって略一定である。ここで、「略一定」とは、僅かな誤差も許さず一定であるという意味ではなく、ある程度の幅をもった一定を意味する。
【0041】
すなわち、先端部1Aの先端tと細線1の断面中央とを通るいずれかの切断面において、先端部1Aの先端tと基体との境界とを結ぶ線分Lと傾斜面1Aa上の任意の点における接線とのなす角が20°以内であれば、傾斜面1Aaの傾斜角θが基体から先端tに向かって略一定であると言える。
【0042】
図5は、細線1の直径を変更した際の傾斜面1Aaの傾斜角θの変化を示すグラフである。
図5に示すように、傾斜角θの平均値に対する角度バラツキは最大でも15.1°であり、角度のバラツキは20°以内であり、略一定である。特に細線1の直径が狭い領域では、傾斜角θの平均値に対する角度バラツキは最大でも10°以下であり、傾斜面1Aaは基体から先端に向かって極めて一定の傾斜角を有していると言える。
【0043】
そのため、傾斜面1Aの形状は、先端部1Aの先端tと基体との境界とを結ぶ線分Lに対して上に凸でもなく下に凸の形状でもなく、その中間の形状である。
【0044】
図6は、電解研磨により先端を先鋭化した金属探針の電子顕微鏡像である。
図6に示すように、電解研磨により先鋭化した金属探針の先端部は、基体から先端に向かって指数関数的に縮径している。すなわち、傾斜面は細線の中央に向かって窪み、先端部の傾斜面の傾斜角は、基体から先端に向かって徐々に小さくなる。このような形状は、溶液の表面張力の影響を受けたものであり、電解研磨により作製した金属探針特有のものである。
【0045】
また電解研磨により先端を先鋭化した金属探針の傾斜面には、傾斜面に対して起立する突起が生じる場合がある。これは、研磨開始直後に発生する気泡が付着して、先端の研磨速度にムラが生じるためと考えられる。
【0046】
このように本実施形態にかかる金属探針は、電解研磨により作製された金属探針とは異なる。このような金属探針の先端形状は、上述の金属探針の製造方法によって得られる特有の形状である。
【0047】
本実施形態にかかる金属探針の先端部1Aの先端曲率半径は、加工する際に準備する細線1(
図1参照)の直径に依存する。細線1の径が大きいと先端曲率半径は大きくなり、細線1の径が小さいと先端曲率半径は小さくなる。換言すると、本実施形態にかかる金属探針の先端部1Aの先端曲率半径は、任意に設定できる。例えば、細線1の径が0.5mmであれば先端曲率半径は500nm程度となり、細線の径が0.1mmであれば先端曲率半径は50nm程度となる。
【0048】
(第2実施形態)
図3は、第2実施形態にかかる金属探針の一部の電子顕微鏡像である。
図3に示す第2実施形態にかかる金属探針の下部は、上述の金属探針の製造方法における超音波又は酸処理を加えていない。
【0049】
第2実施形態にかかる金属探針は、第1実施形態にかかる金属探針に対して繊毛2を有する点が異なる。その他の点は、第1実施形態にかかる金属探針と同一である。すなわち、第2実施形態にかかる金属探針は、基体(図視略)と、先端部1Aと、繊毛2と、を有する。
【0050】
繊毛2は、
図3に示すように、先端部1Aの傾斜面1Aaに纏わりつくように形成されている。繊毛2は、酸化されて昇華した細線1(
図1参照)の一部が、再付着したものである。そのため、繊毛2は細線1を構成する金属又は合金の酸化物からなる。
【0051】
繊毛2は、本実施形態にかかる金属探針の製造方法特有のものである。金属探針を用いて被測定物等の表面を測定する場合、金属探針と直接対向するのは先端部1Aの先端tである。そのため、先端部1Aの傾斜面1Aaに繊毛2が纏わりついていても測定を行うことは可能である。
【0052】
(第3実施形態)
図7は、第3実施形態にかかる金属探針の一部の電子顕微鏡像である。
図7に示す第3実施形態にかかる金属探針は、
図3における金属探針の上部を拡大したものである。
【0053】
第3実施形態にかかる金属探針は、第1実施形態にかかる金属探針に対して根部3を有する点が異なる。その他の点は、第1実施形態にかかる金属探針と同一である。すなわち、第3実施形態にかかる金属探針は、基体(図視略)と、先端部1Aと、根部3と、を有する。
【0054】
根部3は、
図7に示すように、先端部1Aの傾斜面1Aaに纏わりつくように形成されている。根部3は、
図3に示す繊毛2が除去された状態である。超音波又は酸処理の条件によっては繊毛2の毛根に当る部分が根部3として残存する。根部3は、繊毛2と同様に、細線1を構成する金属又は合金の酸化物からなる。
【0055】
根部3は、本実施形態にかかる金属探針の製造方法特有のものである。金属探針を用いて被測定物等の表面を測定する場合、金属探針と直接対向するのは先端部1Aの先端tである。そのため、先端部1Aの傾斜面1Aaに根部3が纏わりついていても測定を行うことは可能である。
【0056】
なお、金属探針は先端部1Aに繊毛2と根部3とを同時に有していてもよい。上述のように
図7は、
図3の上部を拡大したものであり、繊毛2と根部3とを同時に有する場合もある。金属探針の製造方法において、超音波又は酸処理をどの範囲まで加えるかによって、形状は変化する。
【0057】
本実施形態にかかる金属探針は、様々なデバイスに用いられる。デバイスは、原子間力顕微鏡(AFM)、走査型トンネル顕微鏡(STM)、4端子測定用プローブ、LSIなどの半導体素子の故障解析用プローブ、プローブステーションなどの電気計測用のプローブ、神経電位、脳など生体電気信号を計測するためのプローブ等が挙げられる。また金属探針は一つのデバイスに一つに限られず、本実施形態にかかる複数の金属探針を多数集めて作製したプローブなどのデバイスにも用いることができる。
【0058】
これらのデバイスの中で例えば、AFMやSTMは、測定試料と近接する部分に金属探針を備える。試料と探針との間の原子間力やトンネル電流を検出して試料の表面構造を観察する。また例えば、検査プローブは、測定対象と接触する部分に金属探針を備える。金属探針は、金属電極として機能し、脳等における神経伝達を電気信号として測定する。検査プローブは、複数の箇所の神経伝達を同時に測定するために複数の金属探針を有していてもよい。
【0059】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【実施例】
【0060】
「実施例1」
まず直径0.2mmのモリブデンからなる細線を準備した。そして、細線の一端を固定し、細線の一部にバーナーから吐出する炎を当てた。バーナーには、ブタン(C
4H
10)と酸素(O
2)を等量で供給した。細線にあたる炎の温度は、約3000度であった。
【0061】
そして、細線の一部に炎を30秒当て続けた時点で、細線が切断された。そして切断した端部をエタノール中で超音波洗浄(55Wの超音波バス中で30秒)して、金属探針を作製した。
図3は作製された金属探針の電子顕微鏡像であり、
図7は超音波処理を行った部分の電子顕微鏡像である。
【0062】
また電子線マイクロアナライザ(EPMA)を用いて、実施例1の金属探針の組成分析を行った。その結果、金属探針の先端部はモリブデンからなり、先端部に纏わりついている繊毛は酸化モリブデンからなることを確認した。
【0063】
図8は、電子線マイクロアナライザを用いて金属探針の組成分析を行った結果を示す。
図8(a)は、電子顕微鏡像であり、
図8(b)は特定元素をモリブデンとして組成分析を行った結果であり、
図8(c)は特定元素を酸素として組成分析を行った結果である。
図8(b)から先端部及び繊毛はモリブデンを含んでいることが確認でき、
図8(c)から繊毛はその他の部分より酸素を多く含んでいることが確認できる。すなわち、繊毛は、酸化モリブデンからなることが確認できる。
【0064】
「実施例2」
実施例2は、細線をタングステンに変えた点のみが異なる。その他の条件は実施例1と同様とした。
【0065】
図9は作製された直径0.2mmの金属探針の電子顕微鏡像であり、(a)は500倍で撮影した写真であり、(b)は1万倍で先端を拡大した写真である。
【0066】
実施例1及び実施例2で示す金属探針は、いずれも先端部の傾斜面の第1の方向に対する傾斜角が基体から先端に向けて一定であった。
【0067】
次いで、実施例2で作製した金属探針の電気抵抗を測定した。直径0.2mm、長さ15mmのタングステン線から作製した探針を、プローブステーションのマニピュレータに設置し、シリコン基板上に形成した厚さ30nmの金の電極パッドに探針を接触させた時の電気抵抗を測定することで、探針表面の電気抵抗を計測した。同時に、加工前の細線(比較例1)と、電解研磨により作製した金属探針(比較例2)の電気抵抗も測定した。その結果を
図10に示す。
【0068】
図10に示すように、実施例2の金属探針は、電解研磨により作製した金属探針(比較例2)より電気抵抗が低かった。例えばSTM等は、試料と金属探針の間に流れるトンネル電流を用いて試料の表面構造を観察している。そのため、金属探針の電気抵抗が低いとより精密な測定を行うことができる。
【0069】
また
図10に示すように実施例2の金属探針は、比較例2の金属探針と比較してエラーバーが小さい。すなわち、実施例2の金属探針は、比較例2の金属探針と比較して均一性に優れ、ノイズが少ないと言える。
【0070】
「実施例3」
金属探針を作製するために用いる細線の直径を変えて、金属探針の先端の先端曲率半径を測定した。細線を構成する材料としてはモリブデン、タングステンを用いた。先端曲率半径は、それぞれの直径で5個の金属探針を作製し、その平均値として求めた。その結果を
図11に示す。
【0071】
図11に示すように、金属探針の作製に用いる細線の直径と、金属探針の先端の先端曲率半径との間には相関関係がみられた。また細線の直径が200μm以下の領域では、先端曲率半径のエラーバーの幅が小さくなっている。実際に金属探針として用いることが想定される範囲はこの領域であり、当該領域で特に均一性に優れた金属探針が得られた。