特許第6804789号(P6804789)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6804789グランドパッキン切断用メタルソー及びこれを備えたグランドパッキン切断機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6804789
(24)【登録日】2020年12月7日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】グランドパッキン切断用メタルソー及びこれを備えたグランドパッキン切断機
(51)【国際特許分類】
   B26D 1/14 20060101AFI20201214BHJP
   B26D 3/02 20060101ALI20201214BHJP
   B26D 7/01 20060101ALI20201214BHJP
   B26D 3/16 20060101ALI20201214BHJP
   F16J 15/00 20060101ALI20201214BHJP
【FI】
   B26D1/14 B
   B26D3/02
   B26D7/01 C
   B26D3/16 G
   F16J15/00 B
【請求項の数】9
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2020-146693(P2020-146693)
(22)【出願日】2020年9月1日
【審査請求日】2020年9月1日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】594079338
【氏名又は名称】大同機械製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 普三
(72)【発明者】
【氏名】大田 龍一郎
【審査官】 永井 友子
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭56−104897(JP,U)
【文献】 特開2019−209388(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第03804400(DE,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第02186589(EP,A2)
【文献】 特開昭56−027727(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 1/14
B26D 3/02
B26D 3/16
B26D 7/01
F16J 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円盤状の基部と、
前記基部の外周縁に等角度間隔で形成された複数の切断刃と、を少なくとも有し、
前記切断刃は、両刃でかつすくい部と先端逃げ部と背面逃げ部とを少なくとも有しており、
前記すくい部のすくい角は、負の値であり、
平面視で、前記すくい部と前記先端逃げ部とは鈍角をなし、
前記先端逃げ部と前記背面逃げ部とは90度または鈍角をなし、
一の前記切断刃の前記背面逃げ部と、一の前記切断刃の前記背面逃げ部に隣り合う他の前記切断刃の前記すくい部とが連続するコーナー部は、所定の曲率半径を有していることを特徴とするグランドパッキン切断用メタルソー。
【請求項2】
請求項1に記載のグランドパッキン切断用メタルソーにおいて、
断面視で、
前記すくい部は三角形状であり、
前記すくい部の頂角は鋭角をなしていることを特徴とするグランドパッキン切断用メタルソー。
【請求項3】
請求項に記載のグランドパッキン切断用メタルソーにおいて、
前記すくい角は、−60度以上、−30度以下であり、
断面視で、
前記基部及び前記切断刃の底部の厚さは、0.7mm以上、1.3mm以内であり、
前記すくい部の頂角の角度は、7度以上、15度以下であることを特徴とするグランドパッキン切断用メタルソー。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載のグランドパッキン切断用メタルソーにおいて、
前記すくい部の長さは、前記先端逃げ部の長さよりも長いことを特徴とするグランドパッキン切断用メタルソー。
【請求項5】
請求項1ないしのいずれか1項に記載のグランドパッキン切断用メタルソーにおいて、
互いに隣り合う前記切断刃の間には刃室が設けられており、
前記コーナー部は、前記刃室の全部または一部をなしていることを特徴とするグランドパッキン切断用メタルソー。
【請求項6】
平坦な上面を有する作業台と、
前記作業台に上下動可能に取り付けられたカッターと、
前記作業台に取り付けられた基準部と、
前記作業台に取り付けられた第1パッキン位置決め手段及び第2パッキン位置決め手段と、を少なくとも備え、
前記カッターは、請求項1ないしのいずれか1項に記載のグランドパッキン切断用メタルソーを有しており、
上面視で、前記作業台は、前記基準部の側面と所定の角度をなすように形成されたメタルソー収容溝を少なくとも有しており、
前記第1パッキン位置決め手段は、前記基準部の側面と平行な方向である左右方向に沿って前記作業台の上面を変位可能に設けられ、
前記第1パッキン位置決め手段の前記第2パッキン位置決め手段と対向する側面は、上面視で前記基準部の側面と前記所定の角度をなしており、
前記第2パッキン位置決め手段は、前記メタルソー収容溝の長手方向と平行な方向に沿って前記作業台の上面を変位可能に設けられ、
前記カッターを下降させたときに、前記グランドパッキン切断用メタルソーの一部が前記メタルソー収容溝に収容され、
前記基準部には、前記メタルソー収容溝を基準として、前記基準部の側面に沿ったグランドパッキンの長さを測定するためのスケーラが配置されていることを特徴とするグランドパッキン切断機。
【請求項7】
請求項に記載のグランドパッキン切断機において、
上面視で、前記作業台は、
前記基準部の側面と平行に形成された第1溝と、
前記基準部の側面と前記所定の角度をなすように、かつ前記基準部の側面に沿って前記第1溝と所定の間隔をあけて形成された第2溝と、をさらに有し、
前記第1パッキン位置決め手段は、前記第1溝に沿って前記作業台の上面を移動可能に設けられ、
前記第2パッキン位置決め手段は、前記第2溝に沿って前記作業台の上面を移動可能に設けられ、
前記メタルソー収容溝は、前記第1溝と前記第2溝との間に形成されていることを特徴とするグランドパッキン切断機。
【請求項8】
請求項またはに記載のグランドパッキン切断機において、
前記グランドパッキンを前記作業台の上面に送り込むためのフィーダーをさらに備えたことを特徴とするグランドパッキン切断機。
【請求項9】
請求項ないしのいずれか1項に記載のグランドパッキン切断機において、
前記第1パッキン位置決め手段には、第1パッキン固定手段が前記第1パッキン位置決め手段の長手方向に沿って変位可能に取り付けられており、
前記第1パッキン固定手段は、
前記第1パッキン位置決め手段に取り付けられた第1部材と、
第1押圧部と第2押圧部とを少なくとも有し、前記第1部材に連結され、前記第1部材に対して所定の範囲で前後方向及び上下方向のいずれにも変位可能に構成された第2部材と、
前記第2部材を前記第1部材に連結する第3部材と、を少なくとも有し、
前記第1押圧部は、前記基準部の側面と平行に、かつ前記メタルソー収容溝に向かって延びており、
前記第2押圧部は、前記作業台の上面に対向しかつ該上面と平行に設けられており、
前記第2パッキン位置決め手段には、第2パッキン固定手段が取り付けられており、
前記第2パッキン固定手段は、
前記第2パッキン位置決め手段に取り付け固定された第4部材と、
前記作業台の上面に対向しかつ該上面と平行に設けられた第3押圧部を有し、前記第4部材に連結され、前記第4部材に対して所定の範囲で前後方向及び上下方向のいずれにも変位可能に構成された第5部材と、を少なくとも有し、
前記第1〜3押圧部で前記グランドパッキンを押圧することで、前記グランドパッキンの位置が固定され、
前記第2部材と前記第5部材との上下方向の位置を調整することで、切断される前記グランドパッキンの上下方向の積層数を変更可能に構成されたことを特徴とするグランドパッキン切断機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、グランドパッキン切断用メタルソー及びこれを備えたグランドパッキン切断機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回転ポンプの回転シャフトをシールするために、グランドパッキンが用いられている。グランドパッキンは、断面が角形または丸形で、回転シャフトを取り囲むスタッフィングボックスに詰め込んで用いるパッキンの総称である。通常、グランドパッキンは、回転シャフトに巻き付けられて、スタッフィングボックスに詰め込まれる。
【0003】
グランドパッキン切断機として、例えば、特許文献1に開示されるように、一般的な回転式丸鋸を用いる構成が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実願昭55−003673号(実開昭56−104897号)の願書に添付した明細書及び図面の内容を撮影したマイクロフィルム(昭和56年8月15日特許庁発行)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、グランドパッキンは、両端の切断面同士が重ね合わされた状態で、回転シャフトに巻き付けられる。切断面同士の接触面積を確保するため、切断面は、グランドパッキンの長手方向に対して所定の角度で傾斜している。したがって、切断面が滑らかでないと、回転シャフトの潤滑油等のシール漏れが生じてしまう。
【0006】
しかし、特許文献1には、切断面が滑らかになるようにグランドパッキンを切断可能とする構成は何ら開示されていない。
【0007】
本開示はかかる点に鑑みてなされたもので、その目的は、切断面が滑らかになるようにグランドパッキンを切断できるグランドパッキン切断用メタルソー及びこれを備えたグランドパッキン切断機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本開示に係るグランドパッキン切断用メタルソーは、円盤状の基部と、前記基部の外周縁に等角度間隔で形成された複数の切断刃と、を少なくとも有し、前記切断刃は、両刃でかつすくい部と先端逃げ部と背面逃げ部とを少なくとも有しており、前記すくい部のすくい角は、負の値であり、平面視で、前記すくい部と前記先端逃げ部とは鈍角をなし、前記先端逃げ部と前記背面逃げ部とは90度または鈍角をなし、一の前記切断刃の前記背面逃げ部と、一の前記切断刃の前記背面逃げ部に隣り合う他の前記切断刃の前記すくい部とが連続するコーナー部は、所定の曲率半径を有していることを特徴とする。
【0009】
本開示に係るグランドパッキン切断機は、平坦な上面を有する作業台と、前記作業台に上下動可能に取り付けられたカッターと、前記作業台に取り付けられた基準部と、前記作業台に取り付けられた第1パッキン位置決め手段及び第2パッキン位置決め手段と、を少なくとも備え、前記カッターは、前記グランドパッキン切断用メタルソーを有しており、上面視で、前記作業台は、前記基準部の側面と所定の角度をなすように形成されたメタルソー収容溝を少なくとも有しており、前記第1パッキン位置決め手段は、前記基準部の側面と平行な方向である左右方向に沿って前記作業台の上面を変位可能に設けられ、前記第1パッキン位置決め手段の前記第2パッキン位置決め手段と対向する側面は、上面視で前記基準部の側面と前記所定の角度をなしており、前記第2パッキン位置決め手段は、前記メタルソー収容溝の長手方向と平行な方向に沿って前記作業台の上面を変位可能に設けられ、前記カッターを下降させたときに、前記グランドパッキン切断用メタルソーの一部が前記メタルソー収容溝に収容され、前記基準部には、前記メタルソー収容溝を基準として、前記基準部の側面に沿ったグランドパッキンの長さを測定するためのスケーラが配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本開示のグランドパッキン切断用メタルソーによれば、切断面が滑らかになるようにグランドパッキンを切断できる。本開示のグランドパッキン切断機によれば、切断面が滑らかになるようにグランドパッキンを切断できる。また、複数のグランドパッキンを同時に切断することができる。また、グランドパッキンの幅に大きな制約が加わることなく、グランドパッキンを切断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態1に係るグランドパッキン切断機の概略構成を示した斜視図である。
図2】グランドパッキン切断機の要部を模式的に示した平面図である。
図3】グランドパッキンの切断方法の工程説明図である。
図4】メタルソーの概略構成を示す図である。
図5】比較のためのグランドパッキン切断機を模式的に示した図である。
図6】変形例1に係るメタルソーの概略構成を示す図である。
図7A】変形例2に係るグランドパッキン切断機の概略構成を示す図である。
図7B】フィーダーの内部構成の模式図である。
図8】実施形態2に係る第3スライダーの概略構成を示す図である。
図9】第2スライダーの概略構成を示す図である。
図10】第2位置決め工程の工程説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本開示、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0013】
(実施形態1)
[グランドパッキン切断機の構成]
図1は、本実施形態に係るグランドパッキン切断機の概略構成の斜視図を示し、図2は、グランドパッキン切断機の要部の平面図を模式的に示す。なお、図1,2に示す各部の大きさ及び各部間の大小関係は、実際の大きさ等と異なっている。
【0014】
また、以降の説明において、作業台200の厚さ方向を上下方向と呼び、基準部300が配置された側を上または上方と呼び、その反対側を下または下方と呼ぶことがある。また、基準部300の長手方向を左右方向と呼び、第1スライダー400が配置された側を右または右方と呼び、第2スライダー500が配置された側を左または左方と呼ぶことがある。上下方向及び左右方向とそれぞれ交差する方向を前後方向と呼び、基準部300が配置された側を前または前方と呼び、その反対側を後または後方と呼ぶことがある。また、本願の図面において、白抜きの矢印は、部材の移動方向を示す。
【0015】
図1,2に示すように、グランドパッキン切断機1000は、カッター100と作業台200と基準部300と第1スライダー(第1パッキン位置決め手段)400と第2スライダー(第2パッキン位置決め手段)500とを有している。また、グランドパッキン切断機1000は、第3スライダー(第1パッキン固定手段)410を有している。
【0016】
カッター100は、モータ160の回転軸(図示せず)にメタルソー110(以下、グランドパッキン切断用メタルソー110と呼ぶことがある。)が取り付けられた回転切断機である。また、カッター100は、カバー120とハンドル121とガイド130と支持脚140とベース150とをさらに有している。なお、メタルソー110の構成については後で詳述する。
【0017】
ベース150は、支持脚140によって作業台200に取り付け固定されている。ベース150は、カバー120とカバー120に取り付けられたモータ160とを支持している。また、ベース150とカバー120とを連結するように1/4円弧形状のガイド130が設けられている。ハンドル121を手動で操作することで、カバー120がガイド130に沿って上下動する。また、モータ160の回転軸に取り付けられたメタルソー110は、その上方がカバー120で覆われており、ハンドル121の操作により、カバー120とともにガイド130に沿って上下動する。
【0018】
作業台200は、平坦な上面を有する箱型の金属部材である。ただし、底部が設けられていなくてもよい。作業台200の上面には第1溝210と第2溝220、さらにメタルソー収容溝230が形成されている。
【0019】
第1溝210は、上面視で、基準部300の後方側面301(以下、単に基準部300の側面301という)と平行に、つまり、左右方向に延びて作業台200の上面に形成されている。また、第1溝210は、メタルソー収容溝230の右側にメタルソー収容溝230と間隔をあけて形成されている。第1溝210には第1スライダー400が取り付けられている。
【0020】
第2溝220は、3本の第1〜第3副溝221,222,223からなり、第1〜第3副溝221,222,223のそれぞれが、基準部300の側面301と所定の角度をなすように形成されている。具体的には、上面視で、基準部300の側面301と直交する仮想線と角度Aをなすように、第1〜第3副溝221,222,223のそれぞれが形成されている。第2溝220には第2スライダー500が取り付けられている。なお、以降の説明において、角度Aを切断角Aと呼ぶことがある。なお、本願明細書において、「平行」とは、グランドパッキン切断機1000を構成する各部品の加工公差や組立公差を含んで平行という意味であり、比較対象間が厳密な意味で平行であることまでも意味するものではない。
【0021】
メタルソー収容溝230は、作業台200を上下に貫通して形成され、左右方向で見て、第1溝210と第2溝220との間に形成されている。また、メタルソー収容溝230は、上面視で、基準部300の側面301と直交する仮想線と角度Aをなすように形成されている。カッター100を下降させて、グランドパッキン2000を切断する場合、メタルソー収容溝230にメタルソー110の一部が収容される。また、グランドパッキン2000の切断屑がメタルソー収容溝230から作業台200の外部に排出される。
【0022】
基準部300は、左右方向に延びる部材であり、作業台200の上面かつ前側に取り付けられている。基準部300の側面301は、グランドパッキン2000を切断する際のグランドパッキン2000の位置基準面となる。また、基準部300の上面には、スケーラ310が配置されている。スケーラ310は、メタルソー収容溝230を基準として、基準部300の側面301に沿ったグランドパッキン2000の長さを測定するために設けられている。
【0023】
第1スライダー400の下面には、図示しない2本のガイドピンが左右方向に間隔をあけて設けられている。それぞれのガイドピンが第1溝210に摺動可能に嵌め込まれている。第1スライダー400は、作業台200の上面を第1溝210に沿って、つまり左右方向に変位可能に作業台200に取り付けられている。第1スライダー400の前方側面及び後方側面は、基準部300の側面301と平行となるように形成されている。一方、第1スライダー400の左方側面401、つまり、第2スライダー500に対向する側面は、上面視で、基準部300の側面301と直交する仮想線と角度Aをなしている。後で述べるように、第1スライダー400の左方側面401は、グランドパッキン2000の長さ方向の位置基準面となる。また、互いに離間した2本のガイドピンを設けることで、基準部300との平行度を保ちつつ、第1スライダー400をスムーズに移動させることができる。特に、ガイドピンの直径と第1溝210の幅とのクリアランスを適切に設定することで、第1スライダー400と基準部300との平行度を良好に保つことができる。なお、一方のガイドピンを固定ねじとすることで、第1スライダー400の位置を固定できる。固定ねじは、第1スライダー400を貫通して上方に延びていてもよい。
【0024】
第2スライダー500の前方側面及び後方側面は、基準部300の側面301と平行となるように形成されている。第2スライダー500の下面には、図示しない2本のガイドピンが左右方向に間隔をあけて設けられている。一方のガイドピンが第1副溝221に、他方のガイドピンが第3副溝223に、それぞれ摺動可能に嵌め込まれている。また、第2スライダー500にはクランプ機構510が取り付けられている。クランプ機構510は、固定金具511とクランプレバー512とで構成されている。クランプレバー512には、固定金具511を貫通するようにガイドピン(図示せず)が設けられている。このガイドピンは、第1副溝221と第3副溝223の間に設けられた第2副溝222に摺動可能に嵌め込まれている。
【0025】
クランプ機構510を含めた第2スライダー500に設けられた3本のガイドピンが、第2溝220を構成する第1〜第3副溝221,222,223のそれぞれに摺動可能に嵌め込まれている。このことにより、基準部300との平行度を保ちつつ、第2スライダー500を第2溝220に沿ってスムーズに移動させることができる。つまり、第2スライダー500は、その前方側面及び後方側面が、上面視で、基準部300の側面301と平行な状態を保って、作業台200の上面を第2溝220に沿って変位可能に設けられている。特に、ガイドピンの直径と第1〜第3副溝221,222,223のそれぞれの幅とのクリアランスを適切に設定することで、第2スライダー500と基準部300との平行度を良好に保つことができる。なお、固定金具511が第2スライダー500の後方側面に取り付けられているため、第1〜第3副溝221,222,223のうち中央に位置する第2副溝222が、第1及び第3副溝221,223よりも後方に形成されている。
【0026】
クランプ機構510のクランプレバー512を操作することで、固定金具511が下方に押され、第2スライダー500の変位が規制される。また、クランプレバー512の操作を解除することで、第2スライダー500の変位規制が解除され、第2スライダー500は、第2溝220に沿って作業台200の上面を変位可能な状態に復帰する。
【0027】
第3スライダー410は、第1スライダー400に取り付けられており、第1スライダー400の長手方向に沿って変位可能に設けられている。つまり、第3スライダー410は、上面視で、基準部300の側面301と直交する仮想線と切断角Aをなす方向に変位可能に設けられている。
【0028】
また、第3スライダー410は、基準部300の側面301と平行に、かつメタルソー収容溝230に向かって延びる押さえ板(第1押圧部)411を有している。また、図示しないが、第3スライダー410にはクランプレバーまたは固定ねじ等の変位規制部品が取り付けられている。当該変位規制部品により、第3スライダー410の第1スライダー400の長手方向に沿った変位が規制または規制解除される。
【0029】
[グランドパッキンの切断方法]
図3は、グランドパッキンの切断方法の工程説明図を示し、(a)図は、フィード工程の説明図を、(b)図は、切断工程までの説明図をそれぞれ示す。(c)図は、切断後のグランドパッキンの側面図を示す。なお、説明の便宜上、図3において、カッター100の図示を省略している。なお、グランドパッキン2000は、樹脂材料、例えばアラミド樹脂からなり、断面視で略四角形状の紐状部材である。
【0030】
図3の(a)図に示すように、作業台200の左側、つまり、第2スライダー500が配置された側からグランドパッキン2000を基準部300の側面301に沿って作業台200の上面に送り込む(フィード工程)。グランドパッキン2000を送り込むにあたって、予め、第2スライダー500は後方に移動させておく。また、第1スライダー400は右方に移動させておく。第3スライダー410は後方に移動させておく。
【0031】
なお、本実施形態では、2本のグランドパッキン2000を作業台200に同時に送り込む場合を例に取って説明する。ただし、特にこれに限定されず、グランドパッキン2000は1本ずつ送り込んでもよいし、3本以上を作業台200に同時に送り込んでもよい。一度に切断可能なグランドパッキン2000の本数は、メタルソー110のサイズや作業台200の前後方向のサイズや第2スライダー500及び第3スライダー410の前後方向の可動範囲等に応じて適宜変更されうる。
【0032】
次に、図3の(b)図に示すように、グランドパッキン2000を基準部300の側面301に沿って右方にさらに送り込み、グランドパッキン2000の先端面と第1スライダー400の左方側面401とを当接させる。なお、グランドパッキン2000の先端面は、上面視で、基準部300の側面301と直交する仮想線と切断角Aをなすように、予め切断加工されている。グランドパッキン2000の先端面と第1スライダー400の左方側面401とを当接させつつ、第1スライダー400を第1溝210に沿って移動させ、グランドパッキン2000の長さが目標値となるようにグランドパッキン2000の先端面の位置決めを行う(第1位置決め工程)。具体的には、メタルソー収容溝230を基準として、基準部300の側面301に沿ったグランドパッキン2000の長さが目標値となるようにグランドパッキン2000の先端面の位置決めを行う。
【0033】
第1位置決め工程の実行後に、第2スライダー500を第2溝220に沿って基準部300に向けて変位させる。第2スライダー500の前方側面と基準部300の側面301とでグランドパッキン2000を挟み込む。さらに、第3スライダー410を基準部300に向けて変位させ、押さえ板411と基準部300の側面301とでグランドパッキン2000を挟み込む。このことにより、グランドパッキン2000を基準部300の側面301に対して位置決めする(第2位置決め工程)。つまり、グランドパッキン2000が幅方向に位置決めされる。
【0034】
第2位置決め工程の実行後に、メタルソー110を所定の回転方向に回転させつつ、カッター100を下降させることで、グランドパッキン2000を切断する(切断工程)。
【0035】
図3の(c)図に示すように、グランドパッキン2000は、その切断面が、上面視で、基準部300の側面301と直交する仮想線と切断角Aをなすように切断される。また、切断後のグランドパッキン2000は切断面同士が合わされた状態で、回転ポンプ等の回転シャフト(図示せず)に巻き付けられ、回転ポンプで潤滑油等のシール漏れが防止される。
【0036】
図3に示す方法によれば、第1スライダー400によってグランドパッキン2000の長さ方向の位置決めを行うことができる。また、第2スライダー500と第3スライダー410によってグランドパッキン2000の幅方向の位置決めを行うことができる。また、グランドパッキン2000の位置を固定できる。この状態でメタルソー110によりグランドパッキン2000を切断することで、グランドパッキン2000の長さを目標値とすることができる。また、グランドパッキン2000の位置が固定されており、切断面が滑らかになるようにグランドパッキン2000を切断できる。また、複数のグランドパッキン2000を同時に切断することができ、作業効率を向上できる。また、グランドパッキン2000の幅に大きな制約が加わることなく、グランドパッキン2000を切断することができる。
【0037】
[メタルソーの構成]
図4は、メタルソーの概略構成を示す図であり、(a)図は、平面図を、(b)図は、(a)図に示す破線で囲まれた部分の拡大図を、(c)図は、切断刃の断面図をそれぞれ示す。なお、説明の便宜上、図4の(b)図において、刃先111dとメタルソー110の中心とを通る仮想線を紙面の左方にずらして図示している。
【0038】
メタルソー110は、鋼板を加工してなり、図4の(a)図に示すように、円盤状の基部112と、基部112の外周縁に等角度間隔で形成された複数の切断刃111とを有している。基部112の中心には、モータ160の回転軸が挿通される挿通孔112aが設けられている。また、図4の(c)図に示すように、基部112及び切断刃111の底部の厚さT(以下、単に厚さTと呼ぶことがある。)は、1mm程度である。ただし、この値に特に限定されず、厚さTは、0.7mm〜1.3mm程度の範囲を採りうる。また、切断刃111の半径方向の高さH(以下、単に高さHと呼ぶことがある。)は、5.72mmmm程度であり、メタルソー110の直径Dは、170mm程度である。ただし、厚さTや直径Dは、これらの値に特に限定されず、適宜変更しうる。
【0039】
図4の(b)図、(c)図に示すように、切断刃111は両刃であり、すくい部111aと先端逃げ部111bと背面逃げ部111cとを有している。すくい部111aは、両刃の稜線にあたり、グランドパッキン2000の切断時に、グランドパッキン2000に当接してこれを切断する部分である。平面視で、すくい部111aと先端逃げ部111bとは連続している。また、先端逃げ部111bと背面逃げ部111cとは連続している。背面逃げ部111cは、基部112の外周方向である周方向において、すくい部111aと対向している。また、互いに隣り合う切断刃111の間には刃室111eが設けられている。なお、通常、目立てを行うことで、切断刃111が完成する。一方、通常の目立てでは、先端逃げ部111bに両刃が形成される一方、すくい部111aには、両刃が形成されない。よって、本実施形態では、すくい部111aに両刃が形成されるように別途、目立てを行っている。このようにすることで、すくい部111aから先端逃げ部111bにかけて、切断刃111が滑らかにグランドパッキン2000に食い込んでいく。また、刃室111eを設けることで、グランドパッキン2000の切断部分が刃室111eに流れ込み、メタルソー110の回転によって、次の切断刃111がスムーズにグランドパッキン2000に食い込んでいく。このサイクルが繰り返されることにより、メタルソー110によってグランドパッキン2000が切断される。
【0040】
平面視で、すくい部111aと先端逃げ部111bとは鈍角をなしており、切断刃111の刃先111d、この場合は、平面視で、すくい部111aと先端逃げ部111bとが連続するコーナー部は、所定の曲率半径R1を有している。本実施形態における曲率半径R1は、5mmであるが、特にこれに限定されず、切断刃111の大きさや半径方向の高さH等に応じて適宜変更しうる。例えば、当該コーナー部に曲率半径R1を持たせず、角張るようにしてもよい。
【0041】
すくい部111aのすくい角αとは、刃先111dとメタルソー110の中心とを通る仮想線とすくい部111aとがなす角度である。刃先111dがすくい部111aの底部よりも回転方向の前方に位置している場合、すくい角は正の値を取り、後方に位置している場合、すくい角は負の値を取る。図4の(b)図から明らかなように、すくい角αは、負の値であり、本実施形態では、−60度程度である。ただし、この値に特に限定されず、すくい角αは、−30度〜―60度程度の範囲を採りうる。また、図4の(a)図に示すように、平面視で、すくい部111aの長さL1は、先端逃げ部111bの長さL2よりも長くなるように設定されている。
【0042】
平面視で、先端逃げ部111bと背面逃げ部111cとが連続するコーナー部は、所定の曲率半径R2を有しており、R1≧R2の関係を満たしている。また、平面視で、先端逃げ部111bと背面逃げ部111cとがなす角度βは、90度または鈍角である。なお、曲率半径R2は、適宜変更されうる。例えば、当該コーナー部に曲率半径R2を持たせず、角張るようにしてもよい。
【0043】
また、図4の(b)図に示すように、平面視で、一の切断刃111の背面逃げ部111cと、回転方向に沿って後方に隣り合う他の切断刃111のすくい部111aとが連続するコーナー部は、刃室111eの全部または一部をなしており、所定の曲率半径R3(R3>0)を有している。本実施形態では、曲率半径R3は、3mmであるが、適宜変更されうる。例えば、高さHに対して、曲率半径R3の範囲は、以下に示す式(1)で表される。
【0044】
H/2≦R3≦H ・・・(1)
【0045】
前述のコーナー部に曲率半径R3を持たせることで、グランドパッキン2000の切断部分が滑らかに刃室111eに流れ込んでいく。さらに、次の切断刃111がスムーズにグランドパッキン2000に食い込んでいく。
【0046】
また、図4の(c)図に示すように、断面視で、すくい部111aは三角形状であり、その頂角は鋭角をなしている。本実施形態では、その角度γは10度程度である。ただし、この値に特に限定されず、断面視で、すくい部111aの頂角の角度γは、7度〜15度程度の範囲を採りうる。また、切断刃111の底部から刃先111dに亘って、すくい部111aは、図4の(c)図に示す断面形状である。
【0047】
なお、断面視で、高さHが、すくい部111aの位置によって変化することは言うまでもない。高さHは、グランドパッキン2000を切断するときの抵抗と、切断時の発熱に起因した切断刃111の欠けの発生頻度とに応じて適宜定められる。なお、先端逃げ部111bの近傍での断面における高さHは、以下に示す式(2)で表される。
【0048】
H=(T/2)÷tan(γ/2) ・・・(2)
【0049】
[効果等]
以上説明したように、本実施形態に係るグランドパッキン切断用メタルソー110は、円盤状の基部112と、基部112の外周縁に等角度間隔で形成された複数の切断刃111と、を少なくとも有している。切断刃111は、両刃でかつすくい部111aと先端逃げ部111bと背面逃げ部111cとを少なくとも有しており、すくい部111aのすくい角αは、負の値である。また、平面視で、すくい部111aと先端逃げ部111bとは鈍角をなしており、先端逃げ部111bと背面逃げ部111cとは90度または鈍角をなしている。平面視で、一の切断刃111の背面逃げ部111cと、当該背面逃げ部111cに隣り合う他の切断刃111のすくい部111aとが連続するコーナー部は、所定の曲率半径R3(R3>0)を有している。
【0050】
メタルソー110をこのように構成することで、切断面が滑らかになるようにグランドパッキン2000を切断できる。このことについてさらに説明する。
【0051】
例えば、すくい角αが正の値であると、切断開始時に、刃先111dのみがグランドパッキン2000に対して局所的に食い込むこととなる。このような場合、樹脂材料からなるグランドパッキン2000が一部引きちぎれたりほどけたりして、切断面ががたつくおそれがある。
【0052】
一方、本実施形態によれば、すくい角αが負の値であるため、切断刃111がグランドパッキン2000に対して局所的に食い込むことが無く、すくい部111aが連続的にグランドパッキン2000に食い込んで、グランドパッキン2000が切断される。また、平面視で、すくい部111aと先端逃げ部111bとは鈍角をなしているため、すくい部111aがグランドパッキン2000に当接する場合も、引っ掛かりが少なくなり、グランドパッキン2000が一部引きちぎれたりほどけたりして、切断面ががたつくおそれが無い。また、一の切断刃111の背面逃げ部111cと、当該背面逃げ部111cに隣り合う他の切断刃111のすくい部111aとが連続するコーナー部は、互いに隣り合う切断刃111の間に設けられた刃室111eの全部または一部をなしている。当該コーナー部に曲率半径R3を持たせることで、グランドパッキン2000の切断部分が滑らかに刃室111eに流れ込んでいくため、次の切断刃111もスムーズにグランドパッキン2000に食い込んでいく。このことにより、切断面が滑らかになるようにグランドパッキン2000を切断できる。また、すくい部111aを目立てして両刃にすることで、刃室111eに入り込んだグランドパッキン2000の切断部分が、次の切断刃111のすくい部111aにスムーズに食い込んでいき、滑らかな切断面が形成される。
【0053】
特に、グランドパッキン2000が、紐状の樹脂材料、例えばアラミド繊維が編み込まれてなる編組パッキンである場合、樹脂材料の編み込みがほどけやすく、グランドパッキン2000の切断面のがたつきが大きくなってしまう。
【0054】
一方、本実施形態によれば、グランドパッキン2000の引きちぎれやほどけ等が抑制されるため、編組パッキンにおいても、その切断面を滑らかなものとすることができる。
【0055】
なお、刃先111dが曲率半径R1を有しておらず角張っていると、切断開始時に、刃先111dのみがグランドパッキン2000に対して局所的に食い込むことがある。この場合、グランドパッキン2000の切断面ががたつくおそれがある。このような不具合を防止する観点で言えば、平面視で、すくい部111aと先端逃げ部111bとが連続するコーナー部である刃先111dは、所定の曲率半径R1を有していてもよい。
【0056】
断面視で、切断刃111の底部の厚さTは、0.7mm以上、1.3mm以内であることが好ましい。また、すくい部111aの頂角の角度γは、7度以上、15度以下であることが好ましく、7度以上、10度以下であることがより好ましい。
【0057】
基部112及び切断刃111をこのように構成することで、切断刃111のすくい部111aがグランドパッキン2000に食い込む際の抵抗を小さくすることができる。また、切断刃111が両刃であるため、片刃の場合に比べて、当該抵抗をより小さくすることができる。このことにより、グランドパッキン2000の引きちぎれやほどけ等が抑制され、その切断面を滑らかなものとすることができる。また、基部112の厚さTを前述の範囲とすることで、メタルソー110の機械的強度を確保でき、グランドパッキン2000の切断を安定して行うことができる。
【0058】
すくい角αは、−60度以上、−30度以下であることが好ましい。
【0059】
すくい角αをこの範囲に設定することで、切断刃111のすくい部111aがグランドパッキン2000に食い込む際の抵抗を小さくすることができる。また、すくい部111aからグランドパッキン2000に加わる圧力が大きく逃げることが無く、適切な圧力ですくい部111aをグランドパッキン2000に食い込ませることができる。このことにより、切断面を滑らかなものにしつつ、確実にグランドパッキン2000を切断することができる。
【0060】
先端逃げ部111bと背面逃げ部111cとが連続するコーナー部は、所定の曲率半径R2(R1≧R2)を有していてもよい。
【0061】
切断刃111がグランドパッキン2000に食い込んで、これを切断する際、先端逃げ部111bと背面逃げ部111cとが平面視で鋭角をなしていると、当該コーナー部によりグランドパッキン2000が一部引きちぎれたりほどけたりすることがある。この場合、切断面ががたつくことがあるのは前述の通りである。
【0062】
一方、本実施形態によれば、平面視で、先端逃げ部111bと背面逃げ部111cとが連続するコーナー部が90度または鈍角をなすことで、グランドパッキン2000の引きちぎれやほどけ等が抑制され、その切断面を滑らかなものとすることができる。また、この効果を確実にするために、切断刃111の先端逃げ部111bと背面逃げ部111cとが連続するコーナー部に曲率半径R2を持たせるようにしてもよい。
【0063】
平面視で、すくい部111aの長さL1は、先端逃げ部111bの長さL2よりも長くなるように設定されている。このようにすることで、グランドパッキン2000を切断する際の切断刃111の抜けが良くなる。このことにより、グランドパッキン2000の引きちぎれやほどけ等が抑制され、その切断面を確実に滑らかなものとすることができる。また、メタルソー110の回転方向と逆方向にグランドパッキン2000を引き切るように、切断刃111のすくい部111aが移動する。さらに、すくい部111aを目立てして両刃にすることで、刃室111eに入り込んだグランドパッキン2000の切断部分を次の切断刃111のすくい部111aがスムーズに食い込んでいく。このことにより、グランドパッキン2000を確実に切断しつつ、その切断面を滑らかなものとすることができる。
【0064】
また、グランドパッキン2000が編組パッキンである場合に、本実施形態のメタルソー110を用いることで、切断面を確実に滑らかにできることは前述した通りである。
【0065】
本実施形態に係るグランドパッキン切断機1000は、平坦な上面を有する作業台200と、作業台200に上下動可能に取り付けられたカッター100と、作業台200に取り付けられた基準部300と第1スライダー(第1パッキン位置決め手段)400と第2スライダー(第2パッキン位置決め手段)500と、を少なくとも備えている。カッター100は、メタルソー110を有する回転切断機である。
【0066】
上面視で、作業台200は、基準部300の側面301と所定の角度Aをなすように形成されたメタルソー収容溝230を少なくとも有している。第1スライダー400は、基準部300の側面301と平行な方向に沿って作業台200の上面を変位可能に設けられている。第2スライダー500は、メタルソー収容溝230の長手方向と平行な方向に沿って作業台200の上面を変位可能に設けられている。
【0067】
カッター100を下降させたときに、メタルソー110の一部がメタルソー収容溝230に収容される。基準部300には、メタルソー収容溝230を基準として、基準部300の側面301に沿ったグランドパッキン2000の長さを測定するためのスケーラ310が配置されている。
【0068】
グランドパッキン切断機1000をこのように構成することで、切断面が滑らかになるようにグランドパッキン2000を切断できる。また、複数のグランドパッキン2000を同時に切断することができ、作業効率を向上できる。また、グランドパッキン2000の幅に大きな制約が加わることなく、グランドパッキン2000を切断することができる。これらについてさらに説明する。
【0069】
図5は、比較のためのグランドパッキン切断機を模式的に示しており、(a)図が、比較のための回転刃の平面図を示し、(b)図が、比較のためのグランドパッキン切断機の要部の平面図を模式的に示す。また、図5の(a)図は、特許文献1の第1図の回転刃7に、(b)図は、特許文献1の第3図にそれぞれ対応している。
【0070】
図5の(a)図から明らかなように、回転刃7は、公知のコンクリートカッターと同様の形状である。つまり、円盤状の基部の外周縁に等角度間隔で台形状の切断刃が設けられ、互いに隣り合う切断刃の間にはV字形状の切込み24が形成されている。
【0071】
本願発明者等の検討によれば、この回転刃7でグランドパッキン2000を切断すると、グランドパッキン2000の切断面が滑らかにならないことが分かっている。この理由として以下が考えられる。
【0072】
まず、図5の(a)図に示す回転刃7を用いてグランドパッキン2000を切断すると、台形状の切断刃の角部がグランドパッキン2000に対して局所的に食い込み、グランドパッキン2000の切断面ががたつくおそれがある。また、回転刃7に対して、互いに隣り合う回転刃7の隙間である刃室が小さく、さらに、回転刃7の背面逃げ部と、これに隣り合う次の回転刃7のすくい部とが連続するコーナー部が、平面視で鋭角をなしている。
【0073】
一方、本実施形態のメタルソー110によれば、前述した通り、切断刃111がグランドパッキン2000に対して局所的に食い込むことが無く、すくい部111aにより連続的にグランドパッキン2000が切断される。また、刃先111dがグランドパッキン2000に当接する場合も、引っ掛かりが少なくなる。また、一の切断刃111の背面逃げ部111cと、当該背面逃げ部111cに隣り合う他の切断刃111のすくい部111aとが連続するコーナー部に曲率半径R3を持たせることで、グランドパッキン2000の切断部分が滑らかに刃室111eに流れ込んでいくため、次の切断刃111もスムーズにグランドパッキン2000に食い込んでいく。このことにより、グランドパッキン2000が一部引きちぎれたりほどけたりして、切断面ががたつくおそれが無い。よって、切断面が滑らかになるようにグランドパッキン2000を切断できる。
【0074】
また、図5の(a)図に示す回転刃7では、すくい部、つまり、台形の回転刃7の側辺に対して先端逃げ部、つまり、台形の上辺が大幅に長くなっているため、グランドパッキン2000を切断する際の切断刃の抜けが悪くなり、グランドパッキン2000が一部引きちぎれたりほどけたりして、その切断面ががたつくおそれがある。一方、本実施形態のメタルソー110では、すくい部111aの長さL1が先端逃げ部111bの長さL2よりも長くなっているため、グランドパッキン2000を切断する際の切断刃111の抜けが良くなる。このことにより、グランドパッキン2000の切断面のがたつきを確実に抑制でき、切断面が滑らかになるようにグランドパッキン2000を切断できる。
【0075】
また、図5の(b)図に示すグランドパッキン切断機1000は、前述の回転刃7及びこれを駆動するモータ等の機構(図示せず)以外に、テーブル2と固定板5とスライド板6とを少なくとも有している。
【0076】
スライド板6は、テーブル2上に固定されたナット11に螺入された送りねじ10に接続されている。送りねじ10にはハンドル12が取り付けられ、ハンドル12の回転により、スライド板6は前後方向に移動可能となっている。また、スライド板6は、左右方向の両縁をスライド板押さえ9a,9bによって保持されて、テーブル2に設けられた固定板5上を摺動可能となっている。
【0077】
固定板5とパッキン送り溝4とスライド板6とに亘って、切断刃溝3が連続して形成されており、切断刃溝3は前後方向に延びている。パッキン送り溝4は、その長手方向が切断刃溝3と切断角Bをなすように固定板5に形成されている。また、上面視で、固定板5の後方側面である斜縁部14及びスライド板6の前方側面である斜縁部13もそれぞれ、切断刃溝3と切断角Bをなすように形成されている。また、固定板5の上面には、切断刃溝3を基準としたグランドパッキン2000の長さを測定するためのスケーラ18が配置されている。
【0078】
グランドパッキン2000を切断するにあたって、以下に示す手順で、グランドパッキン2000を位置決め固定している。
【0079】
まず、パッキン送り溝4にグランドパッキン2000をセットする。この際、グランドパッキン2000の長さが目標値となるように、グランドパッキン2000をパッキン送り溝4に沿って右方に送り込む。この際、スケーラ18を用いて、切断刃溝3を基準としたグランドパッキン2000の長さを測定する。
【0080】
次に、ハンドル12を回転させ、スライド板6を前方に移動させて、固定板5の斜縁部14とスライド板6の斜縁部13とでグランドパッキン2000を挟み込む。前述したように、パッキン送り溝4の長手方向と固定板5の斜縁部14とスライド板6の斜縁部13とは、それぞれ切断刃溝3と切断角Bをなしている。このため、回転刃7を回転させつつ下降させて切断刃溝3に通すと、切断面の先端が常にグランドパッキン2000の長手方向と切断角Bをなすようにグランドパッキン2000が切断される。
【0081】
このように、図5の(b)図に示すグランドパッキン切断機を用いることで、グランドパッキン2000の長さを目標値に合わせることができる。また、グランドパッキン2000の切断面の先端が常に長手方向と切断角Bをなすようにできる。このことにより、グランドパッキン2000の切断面同士を隙間無く重ね合わせることができる。
【0082】
しかし、図5の(b)図に示すグランドパッキン切断機を用いると、切断されるグランドパッキン2000の幅や本数が、パッキン送り溝4の幅によって制約されてしまう。また、切断刃溝3が、固定板5とスライド板6の両方に亘って形成されており、固定板5に対してスライド板6を左右方向に正確に位置決めする必要がある。また、加工上の制約から、切断刃溝3の幅を一定以上に狭くできない場合がある。
【0083】
一方、本実施形態にグランドパッキン切断機1000によれば、第1スライダー400の前後方向の長さや第2スライダー500及び第3スライダー410の可動範囲を適切に設定することで、切断されるグランドパッキン2000の幅や本数に大きな制約が加わることが無い。特に、本実施形態のグランドパッキン切断機1000において、第2スライダー500は、メタルソー収容溝230の長手方向と平行な方向に、第2溝220に沿って作業台200の上面を変位可能に設けられている。第2溝220の長さを適切に設定することで、図5Bに示す構成と異なり、グランドパッキン2000の本数や各々の幅に大きく制約を受けること無く、グランドパッキン2000の幅方向及び長さ方向の位置決めをそれぞれ確実に行うことができる。また、図5に示す切断刃溝3に相当する本実施形態のメタルソー収容溝230は、第1スライダー400や第2スライダー500とは独立して、作業台200に形成されている。このため、メタルソー110の幅に応じて、メタルソー収容溝230の幅を適切に設定することができる。
【0084】
本実施形態のグランドパッキン切断機1000は、上面視で、作業台200は、基準部300の側面301と平行に形成された第1溝210と、基準部300の側面301と所定の角度Aをなすように、かつ基準部300の側面301に沿って第1溝210と所定の間隔をあけて形成された第2溝220と、をさらに有している。
【0085】
第1スライダー400は、第1溝210に沿って作業台200の上面を変位可能に設けられている。第2スライダー500は、第2溝220に沿って作業台200の上面を変位可能に設けられている。メタルソー収容溝230は、左右方向で見て、第1溝210と第2溝220との間に形成されている。
【0086】
このようにすることで、作業台200の上面における第1スライダー400及び第2スライダー500の変位方向を、基準部300及びメタルソー収容溝230に対して正確に定めることができる。
【0087】
また、第2スライダー500は、クランプ機構510を有している。クランプ機構510を操作することで、第2スライダー500の第2溝220に沿った変位が規制される。クランプ機構510の操作を解除することで、第2スライダー500の第2溝220に沿った変位の規制が解除される。
【0088】
このようにすることで、第2スライダー500の位置を確実に固定でき、ひいては、グランドパッキン2000の幅方向の位置決めを確実に行うことができる。また、第2スライダー500を変位可能な状態にすることができ、例えば、第1位置決め工程でグランドパッキン2000の送り出しを妨げることが無い。また、切断工程でメタルソー110との衝突を回避できる。
【0089】
上面視で、第1スライダー400の第2スライダー500と対向する左方側面401は、基準部300の側面301と所定の角度Aをなしている。第1スライダー400には、第3スライダー(第1パッキン固定手段)410が取り付けられている。第3スライダー410は、第1スライダー400の長手方向に沿って変位可能に設けられている。第3スライダー410は、基準部300の側面301と平行に、かつメタルソー収容溝230に向かって延びる押さえ板(第1押圧部)411を有している。
【0090】
まず、第1スライダー400の左方側面401の形状をこのようにすることで、グランドパッキン2000の切断面の角度を切断角Aに維持しつつ、グランドパッキン2000の長さを目標値に定めることができる。
【0091】
また、第3スライダー410が、前述の押さえ板411を有することで、基準部300の側面301と平行な方向からグランドパッキン2000の先端を押さえ付けることができる。図3で示したように、メタルソー110でグランドパッキン2000を切断した場合、残ったグランドパッキン2000の先端が自由端になっていると、作業台200の上面に沿って基準部300と反対側に、つまり、後方に反り返ってしまうことがある。このようなことが起こると、続いて切断されるグランドパッキン200の長さが所望の値から外れてしまうおそれがある。一方、本実施形態に示すように、第3スライダー410でグランドパッキン2000の先端を押さえ付けることで、前述の反り返りが発生するのを防止できる。このことにより、グランドパッキン2000の先端において、幅方向の位置決めを確実に行うことができる。また、第2スライダー500の前方側面で基準部300の側面301と平行な方向からグランドパッキン2000を押さえ付けることにより、グランドパッキン2000の基端において、幅方向の位置決めを確実に行うことができる。また、グランドパッキン2000の先端が跳ね上がるのを抑制でき、目標とする長さで確実にグランドパッキン2000を切断できる。また、グランドパッキン2000の切断面ががたつくのを抑制できる。
【0092】
また、第2スライダー500は、第2溝220に沿って、第3スライダー410は、第1スライダー400の長手方向に沿って、それぞれ変位可能に設けられている。このため、グランドパッキン2000の本数や各々の幅に大きく制約を受けること無く、グランドパッキン2000の幅方向の位置決めを確実に行うことができる。
【0093】
<変形例1>
図6は、本変形例に係るメタルソーの概略構成を示す図であり、図4の(b)図に相当する図である。なお、説明の便宜上、図6及び以降に示す各図面において、実施形態1と同様の箇所については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0094】
図6に示すメタルソー170は、切断刃171の形状が、平面視で波型である点で、図4に示す実施形態1のメタルソー110と異なる。図6に示すメタルソー170において、先端逃げ部171bは、メタルソー170の半径方向外側に向かって凸となる曲面となっているため、グランドパッキン2000を切断する際の切断刃171の抜けが良くなり、グランドパッキン2000の引きちぎれやほどけ等が抑制され、その切断面を確実に滑らかなものとすることができる。
【0095】
また、すくい角α1をすくい部171aの底部からメタルソー170の中心を通る仮想線と、すくい部171aのうち最も曲率が大きい部分の接戦とがなす角度と定義すると、すくい角α1は負の値となる。また、すくい角α1は、−30度以上、−60度以下となるように設定される。このことにより、切断面を滑らかなものにしつつ、確実にグランドパッキン2000を切断することができる。
【0096】
なお、すくい部171aと先端逃げ部171bとは明確に区画されず、同様に、先端逃げ部171bと背面逃げ部171cとは明確に区画されない。しかし、図6から明らかなように、平面視で、すくい部171aと先端逃げ部171bとが連続するコーナー部171dは、所定の曲率半径R4(R4>0)を有している。また、一の切断刃171の背面逃げ部171cと当該背面逃げ部171cに隣り合う他の切断刃171のすくい部171aとが連続するコーナー部も、所定の曲率半径R4を有している。また、平面視で、すくい部171a及び背面逃げ部171cの最も曲率が大きい部分の接線と、先端逃げ部171bの最も曲率が小さい部分の接線とがなす角度β1は鈍角である。これらのことにより、実施形態1に示す構成が奏するのと同様に、グランドパッキン2000の引きちぎれやほどけ等が抑制され、その切断面を滑らかなものとすることができる。
【0097】
なお、図示しないが、断面視で、すくい部171aの形状は、図4の(c)図に示すのと同様である。つまり、基部及び切断刃171の底部の厚さTは、0.7mm以上、1.3mm以下である。このようにすることで、メタルソー170の機械的強度を確保でき、グランドパッキン2000の切断を安定して行うことができる。
【0098】
また、切断刃171は両刃であり、断面視で、すくい部171aの頂角の角度γは、7度以上、15度以下であり、好ましくは、7度以上、10度以下である。このようにすることで、切断刃171のすくい部171aがグランドパッキン2000に食い込む際の抵抗を小さくすることができ、グランドパッキン2000の引きちぎれやほどけ等が抑制され、その切断面を滑らかなものとすることができる。
【0099】
<変形例2>
図7Aは、本変形例に係るグランドパッキン切断機の概略構成を示し、図7Bは、フィーダーの内部構成を模式的に示す。
【0100】
図7Aに示すグランドパッキン切断機1000は、作業台200の左側にフィーダー600が配置されている点を除けば、図1,2に示すグランドパッキン切断機1000と同様の構造である。
【0101】
図7Bに示すように、フィーダー600は、グランドパッキン2000が巻き付けられたローラ610と、一対の第1ガイドローラ620,620と一対の第2ガイドローラ630,630とを有している。ローラ610は、自動または手動で回転可能に構成されている。ローラ610を所定の方向に回転させると、グランドパッキン2000が右方に送り出される。ただし、このままでは、グランドパッキン2000に縒りが掛かって、ねじれている可能性がある。このため、第1ガイドローラ620,620及び第2ガイドローラ630,630を用いて、グランドパッキン2000のねじれを低減している。また、第1ガイドローラ620,620でグランドパッキン2000を挟み込むことで、作業台200上でのグランドパッキン2000の前後方向の位置が確定される。第2ガイドローラ630,630でグランドパッキン2000を挟み込むことで、グランドパッキン2000の先端の跳ね上がり、つまり、作業台200の上面からの浮き上がりを抑制することができる。また、ローラ610を用いてグランドパッキン2000を自動または手動で作業台200の上面に送り出すことができ、作業の省力化が図れる。
【0102】
なお、図7Bに示すフィーダー600はあくまでも一例であって、種々の構造を採用しうる。図示しないが、例えば、複数のローラと、それぞれロータに掛け回され、上下方向に対向して設けられた一対のベルトとを有する構造としてもよい。この場合は、ローラを回転させることによりベルトに挟み込まれたグランドパッキン2000が作業台200の上面に送り出される。
【0103】
(実施形態2)
図8は、本実施形態に係る第3スライダーの概略構成を、図9は、第2スライダーの概略構成をそれぞれ示す。図10は、第2位置決め工程の工程説明図を示す。なお、説明の便宜上、図10において、後で述べる第2支持部材521と第2押さえ部材522の側板522a及び第2横溝522c、さらにボルト523a、ナット523bの図示を省略している。
【0104】
本実施形態に示す第3スライダー(第1パッキン固定手段410)は、第1支持部材(第1部材)412と第1押さえ部材(第2部材)413と連結バー(第3部材)414とを有している点で、実施形態1に示す第3スライダー410と異なる。
【0105】
図8に示すように、第1支持部材(第1部材412)は、第3スライダー410から延びて、上面視で、L字形状である。つまり、第1支持部材412は、第1スライダー400の長手方向に沿って変位可能に第1スライダー400に取り付けられていると言える。第1支持部材412の基準部300の側面301に対向する部分が押さえ板(第1押圧部)412aである。押さえ板412aは、基準部300の側面301と平行に、かつメタルソー収容溝230に向かって延びている。また、第1支持部材412は、押さえ板412aの左側端部に連続し、後方に延びる側板412bを有している。側板412bの中央には上下方向に延びる第1縦溝412cが形成されている。第1縦溝412cには、連結バー414の一端が嵌まり込んでいる。
【0106】
第1押さえ部材(第2部材)413は、側面視でL字形状であり、側板413aと第1底板(第2押圧部)413bとを有している。側板413aは、第1支持部材412の側板412bと対向し、上面視で当該側板412bと平行に、つまり、前後方向に延びている。側板413aの中央には前後方向に延びる第1横溝413cが形成されている。第1横溝413cには、連結バー414の他端が嵌まり込んでいる。第1底板413bは、側板413aの下端に連続し、左方に延びている。また、連結バー414を介して、第1押さえ部材413が第1支持部材412に取り付けられた状態で、第1底板413bは、作業台200の上面に対向し、かつ当該上面と平行となるように配置される。
【0107】
連結バー(第3部材)414は、両端がねじ切りされた棒状の部材であり、第1押さえ部材413を第1支持部材412に連結している。第1支持部材412の側板412bに形成された第1縦溝412cと第1押さえ部材413の側板413aに形成された第1横溝413cのそれぞれに、端部が嵌まり込んでおり、ナット414aでそれぞれ締め込むことにより、第1支持部材412に対する第1押さえ部材413の位置が確定する。
【0108】
第1縦溝412cの中での連結バー414の締結位置を変更することで、第1支持部材412に対する第1押さえ部材413の上下方向の位置が変更される。また、第1横溝413cの中での連結バー414の締結位置を変更することで、第1支持部材412に対する第1押さえ部材413の前後方向の位置が変更される。つまり、第1押さえ部材413は、第1支持部材412に連結され、第1支持部材412に対して前後方向及び上下方向のいずれにも所定の範囲で変位可能に構成されている。なお、第1押さえ部材413の前後方向の可動範囲が、第1横溝413cの長さに対応し、上下方向の可動範囲が、第1縦溝412cの長さに対応していることは言うまでもない。
【0109】
また、長さの異なる連結バー414を準備し、適宜交換することで、第1支持部材412と第1押さえ部材413との左右方向の距離を変更できる。このことにより、切断されるグランドパッキン2000の幅や本数の変化に対応することができる。特に、グランドパッキン2000の幅や本数が変化した場合にも、第1スライダー400の左方側面401と当接するグランドパッキン2000の先端の跳ね上がりを抑えることができる。
【0110】
また、本実施形態に示す第2スライダー500は、パッキン固定部材(第2パッキン固定手段)520が取り付けられている点で、実施形態1に示す第2スライダー500と異なる。また、パッキン固定部材520は、第2支持部材(第4部材)521と第2押さえ部材(第5部材)522を有している。
【0111】
図9に示すように、第2支持部材(第4部材)521は、側面視でL字形状であり、第2スライダー500の上面から上方に延びる側板521aを有している。側板521aの中央には上下方向に延びる第2縦溝521bが形成されている。
【0112】
第2押さえ部材(第5部材)522は、側面視でL字形状であり、側板522aと第2底板522b(第3押圧部)とを有している。側板522aは、第2支持部材521の側板521aと接しており、上面視で当該側板521aと平行に、つまり、前後方向に延びている。側板522aの中央には前後方向に延びる第2横溝522cが形成されている。第2底板522bは、側板522aの下端に連続し、左方に延びている。また、第2支持部材521に第2押さえ部材522が取り付けられた状態で、第2底板522bは、作業台200の上面に対向し、かつ当該上面と平行となるように配置される。
【0113】
第2支持部材521の側板521aに形成された第2縦溝521bと第2押さえ部材522の側板522aに形成された第2横溝522cのそれぞれに、ボルト523aが嵌まり込んでおり、ナット523bで締め込むことにより、第2支持部材521に対する第2押さえ部材522の位置が確定する。
【0114】
また、第2縦溝521bの中でのボルト523aの締結位置を変更することで、第2支持部材521に対する第2押さえ部材522の上下方向の位置が変更される。また、第2横溝522cの中でのボルト523aの締結位置を変更することで、第2支持部材521に対する第2押さえ部材522の前後方向の位置が変更される。つまり、第2押さえ部材522は、第2支持部材521に連結され、第2支持部材521に対して前後方向及び上下方向のいずれにも所定の範囲で変位可能に構成されている。なお、第2押さえ部材522の前後方向の可動範囲が、第2横溝522cの長さに対応し、上下方向の可動範囲が、第2縦溝521bの長さに対応していることは言うまでもない。
【0115】
本実施形態のグランドパッキン切断機1000では、実施形態1で示したのと同様に、第2位置決め工程において、第3スライダー410の第1支持部材412の押さえ板(第1押圧部)412aと、第2スライダー500の前方側面とで、グランドパッキン2000を基準部300の側面301に押圧して、グランドパッキン2000を幅方向に位置決め固定する。
【0116】
さらに、第2位置決め工程において、第3スライダー410の第1押さえ部材(第2部材)413の第1底板(第2押圧部)413bで、グランドパッキン2000を下方に押圧し、グランドパッキン2000を作業台200の上面に固定している。メタルソー110でグランドパッキン2000を切断した場合、その先端が自由端になっていると、実施形態1で説明した以外に、作業台200の上面から離れて、上方に跳ね上がってしまうことがある。このような場合も、続いて切断されるグランドパッキン200の長さが所望の値から外れてしまうおそれがある。一方、本実施形態に示すように、第1押さえ部材413の第1底板413bでグランドパッキン2000の先端を作業台200の上面に押さえ付けることで、前述の跳ね上がりが発生するのを防止できる。このことにより、グランドパッキン2000を作業台200に送り込む際、グランドパッキン2000の作業台200の上面からの浮き上がりを確実に抑制できる。
【0117】
また、第2スライダー500に取り付けられた第2押さえ部材(第4部材)522の第2底板(第3押圧部)522bとで、グランドパッキン2000を下方に押圧し、グランドパッキン2000を作業台200の上面に位置決め固定している。このようにすることで、切断時にグランドパッキン2000の基端が浮き上がるのを抑制でき、目標とする長さで確実にグランドパッキン2000を切断できる。また、グランドパッキン2000の切断面ががたつくのを抑制できる。
【0118】
また、本実施形態によれば、切断されるグランドパッキン2000の前後方向の本数だけでなく、上下方向の本数、つまり、上下方向の積層数を変更することができる。
【0119】
例えば、図10に示すように、第2位置決め工程において、グランドパッキン2000の上下方向の積層数を1段から2段に変更した場合、第2スライダー500に取り付けられた第2押さえ部材522の位置、具体的には第2底板522bの位置を上方に移動させる。さらに、第2押さえ部材522を下方に移動させて、第2底板522bでグランドパッキン2000を作業台200の上面に押圧する。また、図示しないが、第3スライダー410の第1押さえ部材413も同様に上方に移動させる。さらに、第1押さえ部材413を下方に移動させて、第1底板413bでグランドパッキン2000を作業台200の上面に押圧する。
【0120】
つまり、本実施形態のグランドパッキン切断機1000は、第1スライダー400に取り付けられた第3スライダー410の第1押さえ部材413(第2部材)と第2スライダー500に取り付けられた第2押さえ部材(第5部材)522との上下方向の位置を調整することで、切断されるグランドパッキン2000の上下方向の積層数を変更可能に構成されている。このようにすることで、1段または複数段に積み重ねられたグランドパッキン2000を上方から確実に押圧できる。このことにより、グランドパッキン2000を作業台200の上面に位置決め固定し、切断時にグランドパッキン2000の先端が跳ね上がり、また基端が浮き上がるのを抑制できる。また、目標とする長さで確実にグランドパッキン2000を切断できる。また、グランドパッキン2000の切断面ががたつくのを抑制できる。なお、切断可能なグランドパッキン2000の上下方向の積層数が、第1及び第2支持部材412,521のそれぞれに形成された第1及び第2縦溝412c,521bの長さに対応していることは言うまでもない。
【0121】
(その他の実施形態)
実施形態1,2及び変形例1,2にそれぞれ示す構成要素を適宜組み合わせて、新たな実施形態とすることもできる。例えば、変形例1に示すメタルソー170を変形例2や実施形態2に示すグランドパッキン切断機1000に適用できることは言うまでもない。
【0122】
なお、第1〜第3スライダー400,500,410の形状は、実施形態1,2に示すものに特に限定されない。例えば、第1スライダー400の左方側面401が、基準部300の側面301と直交する仮想線と切断角Aをなす平面であれば、その他の形状は、図2に示す形状と異なっていてもよい。また、第1スライダー400及び第2スライダー500を作業台200の上面に沿って変位可能とする構成は、実施形態1,2に示すものに特に限定されない。例えば、第2溝220を構成する副溝の本数が、実施形態1に示すものと異なっていてもよい。また、第1溝210や第2溝220以外のガイド機構が作業台200に設けられていてもよい。
【0123】
また、実施形態2に示す第1及び第2支持部材412,521や第1及び第2押さえ部材413,522は、適宜他の形状とすることもできる。押さえ板(第1押圧部)411,412aが、基準部300の側面301と平行に延び、かつ基準部300の側面301に向かって変位可能に構成されていればよい。また、第1支持部材412の第1底板(第2押圧部)413bと第2支持部材521の第2底板(第3押圧部)522bは、作業台200の上面と平行でかつ当該上面に向かって変位可能に構成されていればよい。
【産業上の利用可能性】
【0124】
本開示のグランドパッキン切断用メタルソーは、切断面が滑らかになるようにグランドパッキンを切断できるため、グランドパッキン切断機に用いる上で有用である。
【符号の説明】
【0125】
100 カッター
110 メタルソー
111 切断刃
111a すくい部
111b 先端逃げ部
111c 背面逃げ部
111d 刃先
111e 刃室
112 基部
120 カバー
121 ハンドル
130 ガイド
140 支持脚
150 ベース
160 モータ
170 メタルソー
171 切断刃
200 作業台
210 第1溝
220 第2溝
221〜223 第1〜第3副溝
230 メタルソー収容溝
300 基準部
301 基準部の側面
310 スケーラ
400 第1スライダー(第1パッキン位置決め手段)
410 第3スライダー(第1パッキン固定手段)
411 押さえ板(第1押圧部)
412 第1支持部材(第1部材)
412a 押さえ板(第1押圧部)
413 第1押さえ部材(第2部材)
413b 第1底板(第2押圧部)
414 連結バー(第3部材)
500 第2スライダー(第2パッキン位置決め手段)
510 クランプ機構
520 パッキン固定部材(第2パッキン固定手段)
521 第2支持部材(第4部材)
522 第2押さえ部材(第5部材)
522b 第2底板(第3押圧部)
600 フィーダー
1000 グランドパッキン切断機
2000 グランドパッキン
【要約】
【課題】切断面が滑らかになるようにグランドパッキンを切断できるグランドパッキン切断用メタルソーを提供する。
【解決手段】グランドパッキン切断用メタルソー110は、円盤状の基部112と、基部112の外周縁に等角度間隔で形成された複数の切断刃111と、を有している。切断刃111は、両刃でかつすくい部111aと先端逃げ部111bと背面逃げ部111cとを有している。すくい部111aのすくい角αは、負の値である。平面視で、すくい部111aと先端逃げ部111bとは鈍角をなしており、先端逃げ部111bと背面逃げ部111cとは90度または鈍角をなしている。一の切断刃111の背面逃げ部111cと、これに隣り合う他の切断刃111のすくい部111aとが連続するコーナー部は、曲率半径R3を有している。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10