特許第6804829号(P6804829)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6804829ボタン留め、ボタン外し力を差異化した雌部品を有するスナップ・ファスナ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6804829
(24)【登録日】2020年12月7日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】ボタン留め、ボタン外し力を差異化した雌部品を有するスナップ・ファスナ
(51)【国際特許分類】
   A44B 17/00 20060101AFI20201214BHJP
【FI】
   A44B17/00
【請求項の数】5
【外国語出願】
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-95722(P2015-95722)
(22)【出願日】2015年5月8日
(65)【公開番号】特開2015-221205(P2015-221205A)
(43)【公開日】2015年12月10日
【審査請求日】2018年3月16日
(31)【優先権主張番号】MI2014A000844
(32)【優先日】2014年5月9日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】515123133
【氏名又は名称】フィンマ エス.ピー.エー.
【氏名又は名称原語表記】FIMMA S.p.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ラコスタ,ガエタノ
【審査官】 金丸 治之
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−252809(JP,A)
【文献】 実開昭61−136915(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3181052(JP,U)
【文献】 国際公開第2013/121650(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0193006(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0109352(US,A1)
【文献】 米国特許第01880317(US,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02441340(EP,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第02401934(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A44B 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側穴(20)を有する平坦なリングばね(11)を含む雌部品(2)、及び前記リングばね(11)と係合する雄部ステム(5)を有する雄部品(4)を備える種類のスナップ・ファスナにおいて、
前記スナップ・ファスナは、前記雄部ステム(5)と前記リングばね(11)との間にボタン留め力とボタン外し力とを差異化した係合手段を更に備え、
前記係合手段は、前記リングばね(11)を収容するために、外側の肩部(12)及び内側の肩部(13)により形成されるチャンバ(10)を備え、
前記外側の肩部(12)の長さ(L1)は、前記内側の肩部(13)の長さ(L2)より長く、
前記リングばね(11)の長さ(L3)は、前記外側の肩部(12)の長さ(L1)に等しく、
前記スナップ・ファスナの係合を容易にするために、
前記リングばね(11)の内周部の厚さを外周部の厚さより薄くし、
内周部を薄くされた前記リングばね(11)の形状に合致するように、前記外側の肩部(12)の内周部を内側方向へ変移させ、及び
前記リングばね(11)は、内側穴(20)の縁部(19)で前記外側の肩部(12)から突出する、ことを特徴とするスナップ・ファスナ。
【請求項2】
より長い前記外側の肩部(12、12a、12b)は、対応するより短い自由部分(15、15a、15b)を前記リングばね(11、11a、11b)上に残すこと、及びより短い前記内側の肩部(13、13a、13b)は、対応するより長い自由部分(14、14a、14b)を前記リングばね(11、11a、11b)上に残すこと、を特徴とする、請求項1に記載のスナップ・ファスナ。
【請求項3】
前記雌部品(2)は、2つの雌本体(2a、2b)を備え、各前記2つの雌本体(2a、2b)は、対応するばね(11a、11b)を収容する内側チャンバ(10a、10b)を画定することを特徴とする、請求項2に記載のスナップ・ファスナ。
【請求項4】
前記チャンバ(10a、10b)は、異なる長さを有するチャンバ肩部、即ち、ボタン留め側により長い外側のチャンバ肩部(12a、12b)及び反対側により短い内側のチャンバ肩部(13a、13b)をそれぞれ備えることを特徴とする、請求項3に記載のスナップ・ファスナ。
【請求項5】
前記ばね(11a、11b)は、より長い自由部分(14a、14b)及びより短い自由部分(15a、15b)を備え、前記雌本体(2a、2b)内での前記ステム(5)との係合は、前記より長い自由部分(14a、14b)によって促進され、前記ステム(5)係合側のばね(11a、11b)のより短い自由部分(15a、15b)は、ボタン外しに対する抵抗を強化することを特徴とする、請求項4に記載のスナップ・ファスナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボタン留め、ボタン外し力を差異化した雌部品を有するスナップ・ファスナに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の分野は、スナップ・ファスナ雄部品のステムがスナップ・ファスナ雌部品内に係合され、保持ばねによってスナップ・ファスナ雌部品内に保持される自動スナップ・ファスナの分野である。
【0003】
そのようなデバイスでは、ボタン留め動作を妨げることなく、スナップ・ファスナの所与の抵抗をスナップ・ファスナの「開放」、またはボタン外しに対して与える必要があるが、この「開放」は、むしろできる限り迅速で簡単であるべきである。
【0004】
市販のスナップ・ファスナは、ボタン留め力とボタン外し力との間に何ら差を与えておらず、そのためにスナップ・ファスナを開放又は外すのに必要な力は、通常、スナップ・ファスナの閉鎖又はボタン留めに必要な力とほぼ同じである。
【0005】
しかし、上記の従来のスナップ・ファスナは、閉鎖後しっかりと締結すべきであるため、ボタン留め力は比較的強いものであり、そのために、主に付勢当接部のない位置又は緩衝当接部を有する位置ではスナップ・ファスナの閉鎖又はボタン留め動作をかなり困難なものにするという欠点を有する。
【0006】
特許文献1は、スナップ・ファスナ雌部品ばねを含むチャンバの反対側の肩部同士が実質的に同様の長さを有するため、スナップ・ファスナのステムが雌部品内に係合すると、もっぱら径方向にばね変形が拡張する、スナップ・ファスナを開示している。
【0007】
特許文献2は、チャンバ内に収容したばねを含むスナップ・ファスナを開示しており、このチャンバは、ボタン留め側に、反対側の対応する肩部よりも短い肩部を有する。この従来のスナップ・ファスナは、比較的強い閉鎖力、またはボタン留め力を必要とするので、前記ばねは、一体型弾性変形可能舌部により形成され、スナップ・ファスナの閉鎖動作を容易にするように設計されている一方で、しかしながら、スナップ・ファスナの予期しない不要な開放に対してスナップ・ファスナの締付け具合又は力が弱いという欠点を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】US2014/109352A1
【特許文献2】EP2441340A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の主な目的は、従来の同様のファスナとは異なり、スナップ・ファスナの閉鎖又はボタン留め状態時に締付け具合に悪影響を与えることなくボタン留め動作を容易にする新規なスナップ・ファスナを提供することである。
【0010】
本発明の別の目的は、単純な構造及びわずかな厚みをもち、低い製造コストで容易に製造できるそのようなスナップ・ファスナを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述及び更に他の目的は、請求項1に記載の本発明のスナップ・ファスナによって達成される。
【0012】
本発明の好ましい実施形態は、従属請求項で請求する。
【0013】
従来のスナップ・ファスナに対して、本発明のスナップ・ファスナは、本発明のスナップ・ファスナが非常にわずかなボタン留め力しか必要としないという利点をもたらし、このボタン留め力は、ボタン外しに必要な力よりもかなりわずかである。
【0014】
したがって、スナップ・ファスナの閉鎖又はボタン留め動作を簡単、容易にする一方で、スナップ・ファスナ雄部品と雌部品とをボタン留めした後に緊密な閉鎖を実現する。
【0015】
本発明の上記及び更に他の目的、利点及び特徴は、本発明の好ましい実施形態の以下の開示からより明らかになるであろう。本発明の好ましい実施形態は、添付の図面の図において非限定例として示される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明によるスナップ・ファスナの第1の実施形態の分解断面図である。
図2図1に示すスナップ・ファスナ雌部品のリング又は環状ばねを示す斜視図である。
図3図1に示すスナップ・ファスナ雌部品の蓋型本体の詳細図である。
図4】ボタン留め動作中の図1のスナップ・ファスナを示す図である。
図5】ボタン外し動作中の図1のスナップ・ファスナを示す図である。
図6】2つの雌構成要素を含むスナップ・ファスナ雌部品を示す分解断面図である。
図7図6に示す雌部品を含むスナップ・ファスナを示す図である。
図8図1のスナップ・ファスナの修正実施形態を示す図である。
図9】本発明によるスナップ・ファスナの更なる修正実施形態を示す図である。
図10】本発明によるスナップ・ファスナの更なる修正実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1において参照番号1により全体が示してある本発明によるスナップ・ファスナは、クランプ止め頭部3によって(布又は他の材料のいずれかである)第1の支持フラップ7上にクランプ止めしたスナップ・ファスナ雌部品2を備える。
【0018】
スナップ・ファスナ1の雄部品4は、上記雌部品2と協働し、前記雄部品は、雄部品ステム5を含み、クランプ止め要素6によって第2の支持部8上にクランプ止めされる。
【0019】
より具体的には、前記雌部品2は蓋型本体9を備え、蓋型本体9は、好ましくはプラスチック材料のリング要素(図2を参照)から製造したばね11を保持する保持チャンバ10を中に画定する。
【0020】
図3及び図4にはっきりと示すように、蓋型本体9のチャンバ10は、雄部品係合側に長さ部L1を有する肩部12、及び反対側に長さ部L2を有する更なる肩部13を備え、前記長さ部L1は、前記長さ部L2よりも長い。
【0021】
蓋型本体9の肩部12及び13の上記異なる長さは、チャンバ10に収容したばね11に、対応するばね自由部分、即ち肩部13側のより長い部分14、及び肩部12側のより短い部分15のそれぞれをもたらす。
【0022】
したがって、上記の実施形態では、図4及び図5に示すように、ステム5を雌部品2内に係合する(図4の矢印F1を参照)場合のばね11の変形は、前記ばね11のより長い長さの自由部分14によって促進される。
【0023】
反対に、ステム5係合側の前記ばね11のより短い長さの自由部分15は、ボタン外しに対し強化した、又はより高い抵抗をもたらすことになり(図5の矢印F2を参照)、それによって、ボタン留め動作に必要であるよりわずかな力と差異化される。
【0024】
有利には、図9及び図10にはっきりと示すように、環状ばね11の長さ部L3は、本発明のスナップ・ファスナ雌部品2の蓋型本体9のチャンバ10の肩部12の長さ部L1に実質的に等しく、前記環状ばね11の内側穴20の縁部19でのみ前記肩部12から突出する。したがって、ばね11を覆う肩部12の部分L1は前記ばねを補強することになり、ばねがあらゆるボタン外し力を効果的に妨害することを可能にする。一方、ボタン留め動作では、スナップ・ファスナ雄部品4のステム5は、ばね11の自由縁部19と接触することになり、それによりステム5及びばね11の相互の芯合せ及び結合を促進する。
【0025】
図6及び図7に示す修正実施形態では、雌部品2は、2つの雌本体2a、2bを備え、これら雌本体2a、2bは、本体2bの対応する座17内にクランプ止めした本体2aの鋭い部分又は先端部16によって互いに結合できる。
【0026】
各前記雌本体2a、2bは、対応するばね11a、11bを収容する内側チャンバ10a、10bを形成する。
【0027】
前記チャンバ10a、10bはそれぞれ、異なる長さの肩部、即ちボタン留め側により長い肩部12a、12b、その反対側により短い肩部13a、13bも備える。
【0028】
上記の構成は、それぞれのばね11a、11b上により長いばね自由部分14a、14b及びより短いばね自由部分15a、15bをもたらし、図4及び図5の実施形態に関して既に開示した動作の効果を有する。
【0029】
本発明は、上記で開示したように、いくつかの修正形態及び変形形態が可能であり、これらの全ては、以下の特許請求の範囲内にある。
【0030】
したがって、具体的には図8に示すように、ループ又はリング要素11は、スナップ・ファスナ雄部品の係合を容易にする傾斜した壁の勾配付き部分18を有する。
【0031】
更に、リング又はループ要素11は、例えば添付の図9及び図10に示すように、スナップ・ファスナ雌部品本体9のチャンバ10の対応する構成に応じて、異なる構成で製造もできる。
【符号の説明】
【0032】
2 雌部品
4 雄部品
5 雄部品ステム
10 チャンバ
11 リングばね
12 肩部
13肩部
14a より長いばね部分
15a より短いばね部分
16 先端部
17 座
18 勾配付き部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10