(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
貯蔵室と、冷気を発生させる冷却器が収納された冷却器室と、前記貯蔵室と前記冷却器室とを連結するダクトと、前記ダクト内の、冷気の流れ方向に対して垂直な面内に設けられた複数のファンと、前記ファンよりも冷気の流れの下流側の場所に配置された空気浄化装置とを備え、前記複数のファンが冷気の流れ方向の同一位置に設けられ、前記複数のファンのうちの一部である空気浄化装置用ファンが前記空気浄化装置へ送風するよう構成され、
前記空気浄化装置用ファンの冷気の流れの下流側の場所とその他のファンの冷気の流れの下流側の場所との間が仕切壁で仕切られ、前記空気浄化装置は前記仕切壁よりも前記空気浄化装置用ファン側の場所に設けられている冷蔵庫。
貯蔵室と、冷気を発生させる冷却器が収納された冷却器室と、前記貯蔵室と前記冷却器室とを連結するダクトと、前記ダクト内の、冷気の流れ方向に対して垂直な面内に設けられた複数のファンと、前記ファンよりも冷気の流れの下流側の場所に配置された空気浄化装置とを備え、前記複数のファンが冷気の流れ方向の同一位置に設けられ、前記複数のファンのうちの一部である空気浄化装置用ファンが前記空気浄化装置へ送風するよう構成され、
前記空気浄化装置の冷気の吸込口が、空気浄化装置用ファンの送風方向に平行な面内に設けられている冷蔵庫。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本実施形態について図面に基づき説明する。
【0009】
図1に示すように、実施形態に係る冷蔵庫10は冷蔵空間20と冷凍空間30とを有する。冷蔵空間20は、冷蔵温度(例えば、2〜3℃)に冷却される空間であって、必要に応じて内部がさらに区画されている。例えば
図1の冷蔵庫10の場合は、冷蔵空間20の内部が仕切板によって上下に区画され、上は複数段の載置棚が設けられた冷蔵室22に、下は引き出し式の収納容器が配置された野菜室24となっている。冷凍空間30は、冷凍温度(例えば、−18℃以下)に冷却される空間であって、自動製氷機を備えた製氷室32と、冷凍室34とが設けられている。冷蔵室22、野菜室24、製氷室32、冷凍室34等の貯蔵室の前方開口部は、それぞれ、観音式や引き出し式等の扉により閉塞されている。
【0010】
冷凍空間30の奥には背面カバー36が設けられている。背面カバー36の裏側は、冷気を発生させる冷却器45やファン47が収納された冷却器室46となっている。冷却器室46で発生した冷気は、ファン47によって冷凍空間30に送られ、冷凍空間30内を循環した後、冷却器室46に設けられた開口を通って冷却器室46に戻る。
【0011】
冷蔵空間20の奥には背面カバー26が設けられている。背面カバー26は、その裏側に、ダクト40を形成している。ダクト40の内部は冷気の流路となっている。背面カバー26の複数箇所に、ダクト40から冷蔵空間20へ冷気が出て行くための開口27が形成されている。ダクト40の下には、冷気を発生させる冷却器41が収納された冷却器室42が設けられている。ダクト40の範囲は、冷却器41の冷気の流れ方向側の端部41aから、背面カバー26に形成された開口27までである。冷気はダクト40内を下から上へ流れる。冷却器室42で発生した冷気は、ダクト40を通って冷蔵空間20に流入し、冷蔵空間20内を冷蔵温度に冷却した後、冷却器室42に設けられた開口を通って冷却器室42に戻る。
【0012】
ダクト40内の下部には、冷気を循環させるファン43が設けられている。本実施形態では、2つのファン43a、43b(
図4〜6参照)が、ダクト40内の冷気の流れる方向に対して垂直な面内に並べて設けられている。
図1の冷蔵庫では、2つのファン43a、43bは、奥方向(冷蔵庫正面から見て左右方向)に並んでいる。
【0013】
ファン43よりも冷気の流れの下流側の場所には、空気浄化装置50が設けられている。空気浄化装置50は、空気を浄化できるもの、例えば、消臭・除菌・エチレン分解のうち少なくともいずれか1つの効果を奏するものであれば良い。空気浄化装置50の具体的な構造は限定されない。空気浄化装置50の具体的な構造の例を3つ挙げる。
【0014】
1つ目の例を
図2に示す。1つ目の例の空気浄化装置50aは、平行に並べられた2枚のフィルタ51、51と、それらを挟むように配置された基板52、52と、フィルタ51、51及び基板52、52を収納するフレーム53とを備える。
【0015】
フィルタ51は冷気が透過できるものである。フィルタ51には可視光応答型光触媒が吸着されている。可視光応答型光触媒とは、可視光が当たると活性化する光触媒のことで、例えば、窒素ドープ型酸化チタン、銅系化合物担持酸化チタン、銅系化合物担持酸化タングステン、等が挙げられる。基板52には多数の孔54が開けられている。また、基板52にはフィルタ51に向かって可視光を発する複数の光源55が設けられている。フレーム53の基板52、52と対向する2箇所には窓56、56が開けられている。そのため、冷気が空気浄化装置50aを通過できる。つまり、一方の窓56からフレーム53内に入った冷気が、基板52の孔54及びフィルタ51を通過し、他方の窓56からフレーム53外に出ることができる。
【0016】
この空気浄化装置50aにおいて、光源55が点灯すると、フィルタ51の可視光応答型光触媒が活性化される。そのフィルタ51を冷気が通過し可視光応答型光触媒と冷気とが接触すると、冷気に含まれている臭気成分や雑菌等が分解され除去される。従って、空気浄化装置50aの一方の窓56(吸込口とする)から入った冷気は、浄化されて他方の窓56から出てくる。
【0017】
2つ目の例を
図3に示す。2つ目の例の空気浄化装置50bは、平行に並べられた2枚のフィルタ61、61と、フィルタ61、61の間に配置された放電電極62と、フィルタ61、61の両側に配置された対極63、63と、放電電極62と対極63との間に電圧を加える電源回路64と、これらを収納するフレーム65とを備える。
【0018】
フィルタ61は冷気が透過できるものである。フィルタ61には紫外線が当たると活性化する光触媒が吸着されている。紫外線が当たると活性化する光触媒としては、例えば二酸化チタンが挙げられる。放電電極62と対極63とには多数の孔が開けられている。またフレーム65の対極63、63と対向する2箇所には窓67、67が開けられている。そのため冷気が空気浄化装置50bを通過できる。つまり、一方の窓67からフレーム65内に入った冷気が、放電電極62や対極63の孔66及びフィルタ61を通過し、他方の窓67からフレーム65外に出ることができる。
【0019】
この空気浄化装置50bにおいて、電源回路64により放電電極62と対極63との間に電圧が加わると、これらの間に放電が起きて紫外線が発生する。その紫外線を受けてフィルタ61の光触媒が活性化される。そのフィルタ61を冷気が通過し光触媒と冷気とが接触すると、冷気に含まれている臭気成分や雑菌等が分解され除去される。従って、空気浄化装置50bの一方の窓67(吸込口とする)から入った冷気は、浄化されて他方の窓67から出てくる。
【0020】
3つ目の例の空気浄化装置50は、図示しないが、フレーム内に活性炭が充填されたものである。フレームには、冷気の吸込口となる窓と、冷気の吹出口となる窓とが設けられている。この空気浄化装置50を冷気が通過すると、冷気内の臭気成分や雑菌等が活性炭に吸着され除去される。従って、空気浄化装置50の吸込口から入った冷気は、浄化されて吹出口から出てくる。
【0021】
図4〜6にファン43a、43bを示す。ファン43a、43bの回転軸48は冷気の流れる方向すなわち上下方向に伸びており、ファン43a、43bの羽根49は回転軸48に垂直な面内で回る。そのためファン43a、43bは冷気を下から上へ送ることができる。冷気の流れる方向は、
図4〜6に矢印Aで示されている。
図4〜6に示されているように、本実施形態では、ダクト40内に、冷気の流れる方向に対して垂直にプレート44が設けられ、そのプレート44に形成された孔にファン43a、43bが嵌め込まれている。そのため、冷気はファン43a、43bを通過してプレート44の下から上へ流れる。ただしプレート44は無くても良い。プレート44が無い場合は、冷気の一部は、ファン43a、43bを通過せずその横を通過する。
【0022】
本実施形態では、前記の2つのファン43a、43bのうち、一方のファン43a(空気浄化装置用ファンとする)のみが、空気浄化装置50へ向けて送風するようになっている。そのための構造の例を以下に3つ挙げる。なお、空気浄化装置用ファン43aから送られる冷気の流れが他のファン43bから送られる冷気の流れの影響を受けていたり、他のファン43bが発生させる冷気の流れのうち主たる流れ以外の流れが空気浄化装置50の吸込口に向かっていたりしても構わない。
図4〜6では、空気浄化装置50として、上記の空気浄化装置50aを例示している。
【0023】
1つ目の例を
図4に示す。1つ目の例では、空気浄化装置用ファン43aが、他のファン43bよりも、空気浄化装置50aに近接している。空気浄化装置50aは、空気浄化装置用ファン43aの羽根49が回転する領域よりも冷気の流れの下流側に当たる場所(図中に符号Lで示されている場所)を避けて設けられていても良いが、この場所に空気浄化装置50aが入っていても良い。
【0024】
2つ目の例を
図5に示す。2つ目の例では、空気浄化装置用ファン43aの冷気の流れの下流側の場所40aと他のファン43bの冷気の流れの下流側の場所40bとの間が、仕切壁70で仕切られている。そして、空気浄化装置50aが、仕切壁70よりも、空気浄化装置用ファン43a側の場所に設けられている。空気浄化装置50aは、空気浄化装置用ファン43aの羽根49が回転する領域よりも冷気の流れの下流側に当たる場所(
図4に符号Lで示されている場所と同じ場所)を避けて設けられていても良い。仕切壁70の高さは、空気浄化装置50aの冷気の流れの一番下流側の部分を超える高さであることが望ましい。つまり、仕切壁70の頂部が、空気浄化装置50aの冷気の流れの一番下流側の部分よりも、冷気の流れの下流側の位置にあることが望ましい。
【0025】
3つ目の例を
図6に示す。3つ目の例では、ファン43a、43bがなす列の一端部に、空気浄化装置50aが配置されている。ここで、ファンがなす列の一端部とは、列をなす複数のファンのうち一番端(最も外側)にあるファンの回転軸48よりも外側で、そのファンよりも冷気の流れの下流側の部分のことである。またこの一端部に空気浄化装置50aが配置されているとは、この一端部に空気浄化装置50aの冷気の吸込口が位置するように配置されているという意味である。この場合も、空気浄化装置50aが、空気浄化装置用ファン43aの羽根49が回転する領域よりも冷気の流れの下流側に当たる場所(
図4に符号Lで示されている場所と同じ場所)を避けて設けられていても良い。
【0026】
冷蔵庫10は、以上の3つの例の特徴のうちいずれか2つを備えていても良い。また以上の3つの例の特徴を全て備えていても良い。
【0027】
いずれの例においても、空気浄化装置50aの配置の姿勢は限定されない。しかし、
図5の例のように、空気浄化装置50aの冷気の吸込口(一方の窓56)が、空気浄化装置用ファン43aの回転軸48に平行な面内に設けられていることが望ましい。
【0028】
冷蔵庫10は、冷却器45、ファン47、冷却器41、ファン43等を制御する制御部11を備える。制御部11は、空気浄化装置用ファン43aの回転数が他のファン43bの回転数よりも大きくなるように制御することが望ましい。ただし、制御部11が制御するまでもなく、空気浄化装置用ファン43aの回転数が他のファン43bの回転数よりも大きい値で固定されていても良い。また、制御部11は、冷蔵空間20内の温度が所定温度よりも低い場合は、空気浄化装置用ファン43aのみが回転し他のファン43bが回転しないよう制御することが望ましい。ここで所定温度とは、予め定められている温度のことで、例えば上記の冷蔵温度である。
【0029】
上記実施形態の効果について説明する。
【0030】
本実施形態では、冷気の流れ方向に対して垂直な面内に複数のファン43a、43bが並べて設けられているため、冷蔵空間20へ送られる冷気の風量が多い。そのため冷蔵空間20が十分に冷却される。ここで、冷気は、空気浄化装置50を通過すると、減速されてしまう。しかし、本実施形態では、複数のファン43a、43bのうち空気浄化装置用ファン43aのみが空気浄化装置50へ送風するように構成されているため、他のファン43bから送られる冷気は減速されずに冷蔵空間20へ送られる。そのため、冷蔵空間20へ送られる冷気の風量が多く、しかも安定している。よって、ダクト40内に空気浄化装置50が設けられていても、冷蔵空間20が十分に冷却される。また、空気浄化装置用ファン43aが空気浄化装置50へ送風するため、多くの冷気が空気浄化装置50を通過できる。そのため空気浄化の効果が大きい。
【0031】
ここで、
図4〜6のようにファン43a、43bが並べて設けられている場合、これらのファン43a、43bから等距離の場所では、空気浄化装置用ファン43aから送られる冷気の流れとファン43bから送られる冷気の流れとが打ち消し合っている。そのためこのような場所に空気浄化装置50が配置された場合、空気浄化装置50に十分な冷気が送られず、冷蔵空間20の冷気が浄化されない。しかし上記実施形態のように、空気浄化装置用ファン43aが他のファン43bよりも空気浄化装置50に近接している場合、空気浄化装置50周辺においては、空気浄化装置用ファン43aから送られる冷気の流れの強さが、他のファン43bから送られる冷気の流れの強さに勝る。そのため空気浄化装置用ファン43aから送られる冷気が空気浄化装置50へ冷気が届く。その結果、空気浄化装置50に十分な冷気が送られ、冷蔵空間20の冷気が浄化される。またこの場合、他のファン43bから送られる冷気は空気浄化装置50を通らずに冷蔵空間20へ送られるため、冷蔵空間20が十分に冷却される。
【0032】
また、上記実施形態のように、空気浄化装置用ファン43aの冷気の流れの下流側の場所と他のファン43bの冷気の流れの下流側の場所との間が、仕切壁70で仕切られている場合は、より確実に、空気浄化装置用ファン43aによる冷気が他のファン43bにより打ち消されずに空気浄化装置50へ送風される。またこの場合、より確実に、ファン43bによる冷気が空気浄化装置50を経由せずに冷蔵空間20へ送風される。
【0033】
また、上記実施形態のように、ファン43a、43bがなす列の一端部に、空気浄化装置50が配置されている場合も、より確実に、空気浄化装置用ファン43aによる冷気が他のファン43bにより打ち消されずに空気浄化装置50へ送風される。またこの場合、より確実に、ファン43bによる冷気が空気浄化装置50を経由せずに冷蔵空間20へ送風される。
【0034】
また、空気浄化装置用ファン43aは、冷気を主にその回転軸48方向へ送る。そのため、空気浄化装置50の吸込口が空気浄化装置用ファン43aの回転軸48に平行な面内に設けられている場合は、空気浄化装置50は、空気浄化装置用ファン43aから送られる冷気の一部のみを吸い込むことになる。そのため、空気浄化装置50が冷気を吸い込むことによる冷気の圧力損失を抑えることができ、冷蔵庫10の冷却性能に大きな悪影響が出ることを抑えることができる。
【0035】
また、空気浄化装置50が、空気浄化装置用ファン43aの羽根49が回転する領域よりも冷気の流れの下流側に当たる場所を避けて設けられている場合、空気浄化装置50が空気浄化装置用ファン43aからの冷気の流れを阻害しない。そのため、冷蔵空間20が十分に冷却され、しかも冷気が浄化される。
【0036】
また、空気浄化装置用ファン43aから送られる冷気の少なくとも一部が、空気浄化装置50で減速させられることにより、冷気の圧力損失が生じる。しかし、空気浄化装置用ファン43aの回転数が他のファン43bの回転数よりも大きい場合は、空気浄化装置用ファン43aから送られる冷気は、空気浄化装置50で減速させられたとしても、十分な圧力を保持することができる。そのためダクト40内に空気浄化装置50が設けられていても、冷蔵庫10の冷却性能に大きな悪影響が無い。
【0037】
また、制御部11が、冷蔵空間20内の温度が所定温度よりも低い場合に、複数のファン43のうち空気浄化装置用ファン43aのみが回転するよう制御する場合、冷却する必要が無い冷蔵空間20に冷気を送るためにエネルギーが浪費されることを抑えながら空気浄化を行うことができる。
【0038】
上記実施形態の変更例について説明する。
【0039】
冷蔵空間20への冷気の流路だけでなく、冷凍空間30への冷気の流路にも空気浄化装置50が設けられ、その周囲が上記実施形態と同様の構造となっていても良い。
【0040】
また、上記実施形態では、ダクト40内の冷気の流れ方向に対して垂直な面内に、2つのファン43a、43bが並べて設けられている。しかし、3つ以上のファンがダクト40内の冷気の流れ方向に対して垂直な面内に並べて設けられていても良い。その場合も、3つ以上のファンのうち1つが、空気浄化装置用ファンとして、空気浄化装置へ送風する。
【0041】
3つ以上のファンが設けられている場合において、空気浄化装置へ冷気を送る空気浄化装置用ファンの、他のファンや空気浄化装置との位置関係は、上記実施形態の場合と同じである。1つ目の例として、空気浄化装置用ファンが他のファンよりも空気浄化装置に近接している例が挙げられる。また2つ目の例として、空気浄化装置用ファンの冷気の流れの下流側の場所とその他のファンの冷気の流れの下流側の場所との間が仕切壁で仕切られ、空気浄化装置は仕切壁よりも空気浄化装置用ファン側の場所に設けられている例が挙げられる。2つ目の例において、空気浄化装置用ファンの冷気の流れの下流側の場所とその隣のファンの冷気の流れの下流側の場所とだけが仕切られていてもいいし、空気浄化装置用ファンを含む全てのファンの下流側の場所が独立するように仕切られていても良い。また3つ目の例として、3つ以上のファンが一列に並べて設けられ、その列の一端部に空気浄化装置が設けられ、同じ一端側のファンが空気浄化装置用ファンとして空気浄化装置に送風する例が挙げられる。
【0042】
以上の実施形態は例示であり、発明の範囲はこれに限定されない。以上の実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。以上の実施形態やその変形は、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。