(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、第1の実施形態の構成を
図1ないし
図4を参照して説明する。
【0011】
図4において、11は電動送風機を示し、この電動送風機11は、例えば電気掃除機やブロワなどに用いられるものである。
【0012】
この電動送風機11は、
図1ないし
図4に示すように、電動機であるブラシレスモータ12と、このブラシレスモータ12より回転されるファンである遠心ファン13と、この遠心ファン13の一部を覆うファンカバーであるカバー部14とを一体的に備えている。なお、以下、説明をより明確にするために、電動送風機11のブラシレスモータ12側を後側(矢印RR側)とし、遠心ファン13側を前側(矢印FR側)として説明する。
【0013】
ブラシレスモータ12は、ロータ(回転子)21と、このロータ21を回転させる力を発生させるステータ(固定子)22と、ロータ21の回転位置を検出する検出部23と、ステータ22で発生させる力を制御する制御部24と、ステータ22および検出部23を位置決めしつつ固定する固定部材25と、この固定部材25を介してステータ22および検出部23が固定される被固定部材であるフレーム26とを備えている。
【0014】
ロータ21は、一端側(前端側)に遠心ファン13が取り付けられる出力軸(シャフト)である回転軸28と、この回転軸28の他端側(後端側)に一体的に固定される磁石部であるロータ本体29と、このロータ本体29よりも一端側(前端側)の位置で回転軸28を回転可能に保持するベアリング部30とを備えている。
【0015】
回転軸28は、例えばステンレスなどの金属により細長い円柱状に形成されている。
【0016】
ロータ本体29には、図示しない永久磁石が埋め込まれ、外周の略半分(略半周分)が例えばN極の(一の)磁極29a、残りの略半分(略半周分)がS極の(他の)磁極29bとなっている。すなわち、このロータ本体29は、略等しい大きさでかつ互いに極性が異なる一対の磁極29a,29bを周方向(回転方向)に隣接して備えている。
【0017】
ベアリング部30は、フレーム26に固定される円筒状のスリーブ32と、このスリーブ32内の両端の位置に固定されたベアリング33,33とを備えており、これらベアリング33,33の内部に回転軸28が挿通されてこれらベアリング33,33に保持されている。
【0018】
ステータ22は、例えば電磁鋼板などの磁性体により形成されたステータコア35と、このステータコア35に一体成形されたステータ絶縁である絶縁体36とを備えており、この絶縁体36に銅線などの線材37が巻き付けられて構成されている。
【0019】
ステータコア35は、互いに離間された一および他の磁極部である対をなす一および他のコア歯部41,42の一端部間が連結部43により連結され、略U字状(略C字状)に形成されている。
【0020】
これら一および他のコア歯部41,42は、それぞれ円弧状に湾曲して互いに対向する一および他の磁気作用面45,46を有し、互いに離間されている。これら一および他の磁気作用面45,46は、ロータ21を回転させるための磁気をロータ本体29(磁極29a,29b)に作用させる部分であり、ロータ本体29の外周面(磁極29a,29b)に所定の間隙を介して対向している。
【0021】
絶縁体36は、ステータコア35の一および他のコア歯部41,42に配置された一および他の被巻回部51,52と、中間保持部53と保持部54とが一体に設けられ、中間保持部53に中間端子56が取り付けられるとともに保持部54に端子部57が取り付けられている。そして、一および他の被巻回部51,52に線材37が巻回されてコイルである一および他のコイル58,59が構成される。これら一および他のコイル58,59は、ステータコア35の一および他のコア歯部41,42(一および他の磁気作用面45,46)に互いに極性が異なる磁極を発生させる電磁石をなすものであり、電気的には、端子部57と中間端子56との間に並列に接続されている。
【0022】
検出部23は、基板61、この基板61に実装された位置検出手段62および温度検出手段63を備えている。
【0023】
位置検出手段62は、ロータ21のロータ本体29の磁極29a,29bの極性を検出することによってロータ21の回転位置(回転角度)を検出するもので、例えばホールICなどである。この位置検出手段62は、ロータ21のロータ本体29の外周面に対向して配置されている。
【0024】
温度検出手段63は、ステータ22(一および他のコイル58,59)の温度を検出するもので、例えばサーミスタなどである。
【0025】
制御部24は、検出部23と電気的に接続され、位置検出手段62により検出したロータ21の回転位置に応じて一および他のコイル58,59に流れる電流の向きや通電時間を切り換える電流切換手段の機能を有しており、通電時間の切り換えによってロータ21の回転数を制御するようになっている。また、この制御部24は、温度検出手段63により検出した一および他のコイル58,59の温度が所定以上である場合には、一および他のコイル58,59に流れる電流を遮断するなどしてステータ22(一および他のコイル58,59)を過熱に対して保護できる保護手段の機能を有している。そして、この制御部24は、例えばフレーム26以外の所定の位置に固定される。
【0026】
固定部材25は、検出部23(基板61)を位置決めするとともに、ステータ22および検出部23(基板61)をフレーム26に対して保持するもので、例えば絶縁性の合成樹脂などにより、基板61と略等しい外郭を有する長尺の板状に形成されている。
【0027】
また、フレーム26は、例えばPET(polyethylene terephthalate)にガラス繊維を混入した合成樹脂により略円筒状に形成されており、円柱状の被固定部材本体であるフレーム本体66と、このフレーム本体66の周囲に位置する円筒状の外壁部67と、これらフレーム本体66と外壁部67とを連結する複数の整流フィンである整流部68とを一体に備えている。
【0028】
フレーム本体66には、前側である一端側に、遠心ファン13が嵌合する円形状の嵌合受部71が凹設されているとともに、この嵌合受部71の中央部に、ベアリング部30(スリーブ32)が挿入固定される保持孔72が前後両端間を貫通して設けられている。また、このフレーム本体66には、後側である他端側に、一および他のねじ止め孔となる一および他のボス部73,74が突設されている。そして、これら一および他のボス部73,74には、ステータ22および検出部23(基板61)を固定部材25とともにフレーム26に固定する固定体であるねじ75,75が後方からフレーム26の軸方向(前後方向)に沿って挿入されてそれぞれねじ止めされる。
【0029】
外壁部67は、フレーム本体66の外周面に対して全周に亘って略等間隔に離間されており、この外壁部67の内周面とフレーム本体66の外周面との間に、各整流部68が位置する流通路77が区画されている。そして、この流通路77の後側である他端側が、遠心ファン13から吹き出された空気を電動送風機11(ブラシレスモータ12)の外部へと排出する排気口78となっている。また、この外壁部67は、一端側である前端側の内周面が、カバー部14に対して軸方向(前後方向)と交差(直交)する径方向に僅かな隙間G1を介して対向する(一の)対向面部であるフレーム対向面部81となっているとともに、一端部である前端部が、カバー部14に対して軸方向に隙間G2を介して対向する(一の)端部対向面部としての前端面部であるフレーム端面部82となっている。
【0030】
フレーム対向面部81は、円筒面状に形成されている。このフレーム対向面部81には、隙間G1、および、この隙間G1を介して隙間G2に連通する(一の)溝部であるフレーム溝部84が形成されている。このフレーム溝部84は、フレーム26の中心軸を含む仮想的な断面で見たときに、フレーム対向面部81のフレーム26(外壁部67)の軸方向に略等間隔に離間された複数段となっている。本実施形態では、このフレーム溝部84は、フレーム26(外壁部67)の中心軸を中心とし互いに連通せずに軸方向に離間された円環状に複数形成されている、もしくは、フレーム26(外壁部67)の中心軸を中心とし複数回旋回する連続的な螺旋状に形成されている。このフレーム溝部84の断面形状は、軸方向(前後方向)に沿って延びる面と、この面の前後両端から中心軸に向けて径方向に沿って延びる各面とにより区画された略コ字状となっている。また、このフレーム溝部84は、最も前端側の位置が、フレーム対向面部81の前端近傍となっている。すなわち、このフレーム溝部84は、フレーム対向面部81の前端近傍から後方へと軸方向に延びる領域に配置されている。
【0031】
フレーム端面部82は、フレーム26(外壁部67)の軸方向に対して交差(直交)する径方向に沿って延びる円環平面状に形成されている。このフレーム端面部82の内縁部、すなわちフレーム対向面部81と連続する部分は、後方に向けてC面状に傾斜した傾斜面86となっている。この傾斜面86は、フレーム溝部84の前端に近接している。
【0032】
各整流部68は、遠心ファン13から外周側へと吹き出されて流通路77を一端側から他端側へと通過する空気を整流するもので、それぞれリブ状に形成されているとともに、一端側から他端側へと、フレーム26の周方向に沿って傾斜するようになっている。
【0033】
一方、遠心ファン13は、ブラシレスモータ12の回転軸28の前端部に一体的に固定されている。この遠心ファン13は、例えばPEEKなどの、耐熱性、寸法安定性および耐摩耗性などに優れた合成樹脂、あるいはアルミニウムなどの軽量の金属などの部材によって形成され、一端部から他端部に向かって徐々に拡径する円筒状に形成されている。そして、この遠心ファン13は、フレーム26の嵌合受部71に配置されるとともに、このフレーム26に対して一体的に固定されるカバー部14により中央部を除く前側全体が覆われている。
【0034】
また、カバー部14は、例えばPET(polyethylene terephthalate)にガラス繊維を混入した合成樹脂、すなわちフレーム26と同一の材質(合成樹脂)により略円筒状に形成されており、円板状のカバー部本体91と、このカバー部本体91の中央部にて前方に突設された円筒状の吸込部92と、カバー部本体91の後端部に同軸状に突設されフレーム26の外壁部67に内挿される円筒状(円環状)の挿入部93とを備えている。そして、このカバー部14の中央部には、吸込部92により外縁部が囲まれた円形状の吸込口94が開口されている。そして、このカバー部14は、ブラシレスモータ12のフレーム26に対して、エポキシ系樹脂95を介して軸方向に固定されるとともに周方向に回り止めされている。
【0035】
カバー部本体91は、ブラシレスモータ12のフレーム26よりも僅かに小さい外径寸法を有している。このカバー部本体91の前端部には、吸込部92の周囲に軽量化用の複数の肉抜き部96が周方向に略等間隔(略等角度)に離間されて凹設されており、隣接する肉抜き部96,96間が、径方向に沿って放射状に延びるリブ部97となっている。したがって、これらリブ部97は、吸込部92の外周面とカバー部本体91の外縁部との間に亘ってそれぞれ直線状に連続している。また、このカバー部本体91のフレーム26側である後面は、フレーム26のフレーム本体66の前端部に対して嵌合受部71の外方の位置で対向しているとともに、挿入部93の内周側と連続しており、フレーム26の前端側との間に、吸込口94と流通路77とを連通する連通路98を区画する連通路区画面部99となっている。さらに、このカバー部本体91の外縁部は、挿入部93の外周面に対して径方向に突出しており、この挿入部93よりも外方の位置の後面が、フレーム26のフレーム端面部82に対して軸方向に隙間G2を介して対向する(他の)端部対向面部としての後端面部であるカバー部端面部100となっている。このカバー部端面部100は、カバー部14(カバー部本体91)の軸方向に対して交差(直交)する径方向に沿って延びる円環平面状に形成されている。
【0036】
吸込部92は、カバー部本体91と略同軸に設けられ、内周側が吸込口94となっており、この吸込口94に連通する内周面に遠心ファン13が極めて小さい隙間(図示せず)を介して対向しており、遠心ファン13の外周側に吹き出された空気がこの隙間を介して吸込口94へと実質的に循環しないように構成されており、このような循環流の発生によるブラシレスモータ12の効率の低下を防止している。
【0037】
挿入部93は、カバー部本体91と略同軸に設けられ、内周面がカバー部本体91の後面と湾曲状に連続して連通路98を区画する連通路区画面部99となっているとともに、外周面がフレーム26のフレーム対向面部81に対して径方向に僅かな隙間G1を介して対向する(他の)対向面部であるカバー部対向面部102となっている。
【0038】
カバー部対向面部102は、円筒面状に形成されている。このカバー部対向面部102には、隙間G1、および、この隙間G1を介して隙間G2と連通する(他の)溝部であるカバー部溝部104が形成されている。このカバー部溝部104は、カバー部14の中心軸を含む仮想的な断面で見たときに、カバー部14(挿入部93)の軸方向に略等間隔に離間された複数段となっている。本実施形態では、このカバー部溝部104は、カバー部14(挿入部93)の中心軸を中心とし互いに連通せずに軸方向に離間された円環状に複数形成されている、もしくは、カバー部14(挿入部93)の中心軸を中心とし複数回旋回する連続的な螺旋状に形成されている。このカバー部溝部104の断面形状は、軸方向(前後方向)に沿って延びる面と、この面の前後両端から中心軸と反対側に向けて径方向に沿って延びる各面とにより区画された略コ字状となっている。また、このカバー部溝部104は、カバー部14の中心軸を含む仮想的な断面での各段がフレーム溝部84に対して軸方向に沿って前方にずれた位置で隙間G1を介してフレーム溝部84と径方向に対向し、この隙間G1を介してフレーム溝部84と直接連通している。本実施形態では、カバー部溝部104とフレーム溝部84とが、軸方向に互いに半分程度ずつずれて対向している。
【0039】
そして、エポキシ系樹脂95は、例えばエポキシ系樹脂を主成分とする2液を混合して使用され、使用時には流体状であり、各溝部84,104に隙間G1,G2に充填された後に化学反応などによって硬化して、カバー部14をフレーム26に対して抜け止めおよび回り止めするようになっている。なお、このエポキシ系樹脂95は、フレーム26およびカバー部14に対して接着可能なものであることが好ましいが、本実施形態の場合、硬化したエポキシ系樹脂95は溝部84,104間に連続するアンカー(爪)として作用するため、その接着力は必ずしも強固である必要はない。
【0040】
次に、上記第1の実施形態の製造方法を説明する。
【0041】
電動送風機11を製造する際には、概略として、ベアリング部30、ロータ本体29および遠心ファン13を回転軸28に取り付けたロータ21をフレーム26に取り付けるとともに、別途組み立てたステータ22および検出部23を固定部材25とともにフレーム26に取り付け、フレーム26にカバー部14を取り付ける。
【0042】
より詳細に、ロータ21を組み立てる際には、スリーブ32の内部にベアリング33,33を例えば接着固定したベアリング部30を形成し、このベアリング部30のベアリング33,33に回転軸28を挿通した後、ロータ本体29を回転軸28の後端側に例えば接着固定する。この後、この回転軸28に対して遠心ファン13を接着剤などにより一体的に固定し、ロータ21が完成する。
【0043】
また、ステータ22の組み立ての際には、まず、ステータコア35と一体成形した絶縁体36の一および他の被巻回部51,52に対して線材37を巻き付けて一および他のコイル57,58を形成するとともに、中間保持部53および保持部54に中間端子56および端子部57を圧入することで一および他のコイル57,58と中間端子56および端子部57とを導通させ、ステータ22が完成する。
【0044】
この後、完成したロータ21およびステータ22などをフレーム26に組み付ける。ロータ21は、ベアリング部30を保持孔72に挿入して接着固定する。また、ステータ22および検出部23は、固定部材25の後側に検出部23を重ね、さらにこれら固定部材25および検出部23をステータコア35の後側に重ねて、ねじ75,75によりフレーム26に対してねじ止め固定する。
【0045】
この状態で、ロータ本体29の外周面(磁極29a,29b)が一および他のコア歯部41,42(一および他の磁気作用面45,46)間に所定の間隙を介して位置して位置検出手段62に対向するように位置決めされる。
【0046】
そして、カバー部14をフレーム26に、エポキシ系樹脂95を介して固定する。このとき、カバー部14の挿入部93をフレーム26の外壁部67の内周側へと前方から挿入した状態で、カバー部14とブラシレスモータ12との相対的な軸方向位置を、遠心ファン13の外周面とカバー部14の吸込部92の内周面とが所定の隙間を介して対向するように互いに治具などを用いて固定し、カバー部14を上側とした状態で、フレーム端面部82とカバー部端面部100との隙間G2から流体状のエポキシ系樹脂95を注入して隙間G1および各溝部84,104に充填する。このエポキシ系樹脂95は、傾斜面86からカバー部溝部104、フレーム溝部84の最前部、その後方(下方)のカバー部溝部104、その後方(下方)のフレーム溝部84……と、カバー部溝部104とフレーム溝部84とに交互に自重によって垂れ落ちながら流入し、これら溝部84,104を隙間G1とともに充填していく。この後、このエポキシ系樹脂95を硬化させることにより、カバー部14が軸方向に位置決めされるとともに軸方向に抜け止めおよび周方向に回り止めされた状態でフレーム26に固定される。
【0047】
この状態で、遠心ファン13がフレーム26の嵌合受部71に位置するとともに吸込口94に挿入され、吸込口94と流通路77とが連通路98によって連通される。
【0048】
このように完成した電動送風機11は所定の位置に組み付けるとともに、中間端子56および端子部57にリード線などを電気的に接続することで、電力が供給されて回転可能な状態となる。
【0049】
検出部23では、位置検出手段62が磁極29a,29bを介してロータ21の回転位置、すなわち磁極29a,29bの回転位置を検出しており、この回転位置に応じて制御部24が一および他のコイル58,59に流す電流の向きを切り換えることで、一および他のコア歯部41,42(一および他の磁気作用面45,46)に生じる磁極を切り換えて、ロータ21を回転させる。
【0050】
より詳細には、位置検出手段62により検出したロータ21の回転位置が、例えば磁極29aが一のコア歯部41(一の磁気作用面45)に対向し、磁極29bが他のコア歯部42(他の磁気作用面46)に対向した位置である場合には、一のコイル58に磁極29aと同じ極性(N極)が生じ、他のコイル59に磁極29bと同じ極性(S極)が生じるように制御部24によって線材37に流す電流の向きを設定すると、一のコア歯部41(一の磁気作用面45)と磁極29aとの間、および、他のコア歯部42(他の磁気作用面46)と磁極29bとの間に反発力が生じるとともに、一のコア歯部41(一の磁気作用面45)と磁極29bとの間、および、他のコア歯部42(他の磁気作用面46)と磁極29aとの間に吸引力が生じることで、ロータ21が約半周回転する。次いで、制御部24が電流の向きを反対方向に切り換えることで、一および他のコイル58,59に上記と反対の磁極が生じ、ロータ21がさらに約半周回転して、全体として一周する。この動作を繰り返すことにより、ロータ21を一定方向に回転させ続けることができる。
【0051】
ロータ21の回転により、このロータ21の回転軸28と一体的に固定された遠心ファン13が回転することで負圧が生じ、吸込口94から空気が吸い込まれる。この空気は、各羽根部122に沿って整流されつつ連通路98から流通路77へと流れ、この流通路77を通過する際に各整流部68により整流されるとともにブラシレスモータ12を冷却し、排気口78から排気される。
【0052】
なお、温度検出手段63は、ステータコア35を介して一および他のコイル58,59の温度、すなわちステータ22の温度を検出している。そして、制御部24では、当該温度が所定温度以上であるかどうかを判断し、所定温度以上となった場合には、一のコイル58および(または)他のコイル59が過熱しているものと判断し、この制御部24が一および他のコイル58,59に流れる電流を低下させることで、ロータ21の回転を停止させ、電動送風機11(ブラシレスモータ12)を保護する。
【0053】
このように、第1の実施形態によれば、フレーム26のフレーム対向面部81にフレーム溝部84を複数設ける、および/またはカバー部14のカバー部対向面部102にカバー部溝部104を複数設けて、溝部84,104を含むフレーム26とカバー部14との隙間G1にエポキシ系樹脂95を充填して硬化することでフレーム26とカバー部14とを互いに固定するので、エポキシ系樹脂95のフレーム26あるいはカバー部14に対する固着面積を溝部84,104によってより確実に増加させることができるとともに、溝部84,104内で硬化したエポキシ系樹脂95がアンカーとして作用するので、合成樹脂製のブラシレスモータ12のフレーム26と合成樹脂製のカバー部14とをより確実に互いに軸方向に固定できる。
【0054】
このとき、溝部84,104を互いに連通しない複数の円環状に設けることもできるし、複数回旋回する螺旋状に設けることもでき、いずれの場合でも、カバー部14とフレーム26との固定強度を向上できる。特に、溝部84,104を螺旋状に設ける場合には、溝部84,104が周方向に連続しながら軸方向に延びるため、流体状のエポキシ系樹脂95が周方向に移動することで軸方向に移動していくことができるので、エポキシ系樹脂95をより確実に隙間G1および溝部84,104に充填できるとともに、フレーム26およびカバー部14を成形する際に、金型を用いて溝部84,104を形成でき、製造性をより向上できる。
【0055】
そして、フレーム26のフレーム対向面部81に設けたフレーム溝部84とカバー部14のカバー部対向面部102に設けたカバー部溝部104とが互いに直接(隙間G1を介して)連通しているので、硬化したエポキシ系樹脂95が溝部84,104のそれぞれに対して径方向に沿って連続し、いわばアンカーとして作用することとなるため、より確実にカバー部14をフレーム26に対して抜け止めできる。
【0056】
しかも、溝部84,104が軸方向にずれて互いに対向するので、軸方向を上下方向としてエポキシ系樹脂95を注入することにより、相対的に上側の溝部84,104から下側の溝部104,84へと自重によって交互に垂れ落ちていくので、エポキシ系樹脂95を溝部84,104および隙間G1に対してより容易に充填できる。
【0057】
なお、上記第1の実施形態において、
図5に示す第2の実施形態のように、例えばフレーム26のフレーム対向面部81にフレーム溝部84を設け、カバー部14のカバー部対向面部102にカバー部溝部104を設けない構成としてもよい。
【0058】
また、
図6に示す第3の実施形態のように、カバー部溝部104をカバー部14のカバー部対向面部102に設け、フレーム26のフレーム対向面部81にフレーム溝部84を設けない構成としてもよい。
【0059】
これら第2および第3の実施形態の場合には、カバー部対向面部104、あるいはフレーム対向面部81に対してエポキシ系樹脂95が接着保持されることが好ましい。そして、これら第2および第3の実施形態によれば、カバー部14、あるいはフレーム26をより容易に形成でき、製造コストを抑制できる。
【0060】
さらに、上記各実施形態において、溝部84,104は、中心軸を含む仮想的な断面で見て軸方向に多段となるようにしたが、充分な固定強度が得られれば、一段のみ設けてもよい。
【0061】
そして、電動機はブラシレスモータ12に限らず、ブラシを有するものでもよい。すなわち、電動機の内部構成は、上記の構成に限定されるものではない。
【0062】
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、フレーム26のフレーム対向面部81にフレーム溝部84を設ける、および/またはカバー部14のカバー部対向面部102にカバー部溝部104を設けて、溝部84,104を含むフレーム26とカバー部14との隙間G1にエポキシ系樹脂95を充填して硬化することでフレーム26とカバー部14とを互いに固定するので、エポキシ系樹脂95のフレーム26あるいはカバー部14に対する固着面積を溝部84,104によって増加させることができるとともに、溝部84,104内で硬化したエポキシ系樹脂95がアンカーとして作用するので、合成樹脂製のブラシレスモータ12のフレーム26と合成樹脂製のカバー部14とを、圧入やかしめなどを行うことなく、確実に互いに軸方向に固定できる。
【0063】
また、フレーム26のフレーム対向面部84とフレーム端面部82とが連続する位置に、隙間G1に向けて傾斜した傾斜面86を設けたので、流体状のエポキシ系樹脂95を、傾斜面86によって、より容易に隙間G1へと導くことができる。
【0064】
さらに、フレーム26とカバー部14とに径方向および軸方向の隙間G1,G2を形成し、この隙間G1,G2をエポキシ系樹脂95によって充填してフレーム26とカバー部14とを固定しているので、金属などと比較して軽量であるものの寸法精度の向上が容易でない合成樹脂製のフレーム26とカバー部14とを用いながら、隙間G1,G2の調整によって寸法精度をカバーでき、軽量の電動送風機11を、遠心ファン13と吸込口94との同軸性や効率に影響を与える遠心ファン13と吸込部92の内周面との隙間の寸法を高精度に確保して製造できる。
【0065】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。