(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
平面視において、第1辺に屋内空間との間を区画する第1区画壁が設けられ、前記第1辺に対向する第2辺に建物の外部空間又は前記屋内空間との間を区画する第2区画壁が設けられ、第3辺に建物の外部空間又は前記屋内空間との間を区画する第3区画壁が設けられ、前記第3辺に対向する第4辺に建物の外部空間と通じる採風部が設けられた、平面視で前記第1辺〜第4辺により略矩形に形作られた採風空間と、
前記採風部に設けられ、前記第4辺よりも建物の外部空間に向かって突出し、風の流れを変えて前記採風空間内に前記風を取り入れる板状部材と、を備え、
前記第1区画壁には、前記屋内空間と通じる通風開口部が形成され、
前記採風部は、前記板状部材を挟んだ前記第4辺の一方側に設けられた第1採風開口部と、前記板状部材を挟んだ前記第4辺の他方側に設けられた第2採風開口部と、を備え、
前記第4辺に、建物の外部空間との間を区画する第4区画壁を備え、
前記第1採風開口部と前記第2採風開口部とは前記第4区画壁に配置され、
前記板状部材は、前記第1採風開口部と前記第2採風開口部とを開閉可能な縦辷り出し形式の建具であることを特徴とする、建物。
平面視において、第1辺に屋内空間との間を区画する第1区画壁が設けられ、前記第1辺に対向する第2辺に建物の外部空間又は前記屋内空間との間を区画する第2区画壁が設けられ、第3辺に建物の外部空間又は前記屋内空間との間を区画する第3区画壁が設けられ、前記第3辺に対向する第4辺に建物の外部空間と通じる採風部が設けられた、平面視で前記第1辺〜第4辺により略矩形に形作られた採風空間と、
前記採風部に設けられ、前記第4辺よりも建物の外部空間に向かって突出し、風の流れを変えて前記採風空間内に前記風を取り入れる板状部材と、を備え、
前記第1区画壁には、前記屋内空間と通じる通風開口部が形成され、
前記採風部は、前記板状部材を挟んだ前記第4辺の一方側に設けられた第1採風開口部と、前記板状部材を挟んだ前記第4辺の他方側に設けられた第2採風開口部と、を備え、
前記第4辺に、建物の外部空間との間を区画する第4区画壁を備え、
前記第1採風開口部と前記第2採風開口部とは前記第4区画壁に配置され、
前記板状部材は、前記第1採風開口部を開閉可能な片開き窓と、前記第2採風開口部を開閉可能な片開き窓からなり、前記2つの片開き窓は互いが隣接する側が吊元となり、それぞれ外側が開くように設置されていることを特徴とする、建物。
前記通風開口部を第1通風開口部とした場合に、前記第2区画壁に前記屋内空間と通じる第2通風開口部が形成されている、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の建物。
前記第4辺は、隣接する建物の外周壁に対して略平行にかつ50センチメートル〜200センチメートルの対向距離で配置される、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の建物。
平面視において、第1辺に屋内空間との間を区画する第1区画壁が設けられ、前記第1辺に対向する第2辺に建物の外部空間又は前記屋内空間との間を区画する第2区画壁が設けられ、第3辺に建物の外部空間又は前記屋内空間との間を区画する第3区画壁が設けられ、前記第3辺に対向する第4辺に建物の外部空間と通じる採風部が設けられた、平面視で前記第1辺〜第4辺により略矩形に形作られた採風空間と、
前記採風部に設けられ、前記第4辺よりも建物の外部空間に向かって突出し、風の流れを変えて前記採風空間内に前記風を取り入れる板状部材と、を備え、
前記第1区画壁には、前記屋内空間と通じる第1通風開口部が形成され、
前記第2区画壁に前記屋内空間と通じる第2通風開口部が形成されていることを特徴とする、建物。
平面視において、第1辺に屋内空間との間を区画する第1区画壁が設けられ、前記第1辺に対向する第2辺に建物の外部空間又は前記屋内空間との間を区画する第2区画壁が設けられ、第3辺に建物の外部空間又は前記屋内空間との間を区画する第3区画壁が設けられ、前記第3辺に対向する第4辺に建物の外部空間と通じる採風部が設けられた、平面視で前記第1辺〜第4辺により略矩形に形作られた採風空間と、
前記採風部に設けられ、前記第4辺よりも建物の外部空間に向かって突出し、風の流れを変えて前記採風空間内に前記風を取り入れる板状部材と、を備え、
前記第1区画壁には、前記屋内空間と通じる通風開口部が形成され、
前記第4辺は、隣接する建物の外周壁に対して略平行にかつ50センチメートル〜200センチメートルの対向距離で配置されることを特徴とする、建物。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態としての建物の2階平面図である。
【
図2A】
図1の破線Iで囲まれた部分を示すとともに、建物内に流れる風の一例を表す、建物の拡大平面図である。
【
図2B】
図1の破線Iで囲まれた部分を示すとともに、建物内に流れる風の他の例を表す、建物の拡大平面図である。
【0017】
以下、本発明に係る建物の実施形態について、
図1〜
図2Bを参照して説明する。なお、各図において共通の部材には、同一の符号を付している。
【0018】
ここで、
図1は、本発明に係る建物の一実施形態としての建物1の2階平面図である。
図2A及び
図2Bは、
図1の破線Iで囲まれた部分を示す、建物1の拡大平面図である。
【0019】
まず、建物1の全体構成について説明する。建物1は、鉄骨造の軸組みを有する2階建ての工業化住宅である。
【0020】
建物1の1階には、玄関、廊下、リビング・ダイニング・キッチン(LDK)、部屋、収納室、階段室等が配置されている。また、
図1に示すように、建物1の2階には、採風空間11、廊下17、リビング18、部屋としての主寝室19a、部屋としての子供室19b、部屋19c、ベランダ19d、洗面室20、屋根付きの屋外空間21、浴室23、トイレ24等が配置されている。主寝室19a及び子供室19bにはそれぞれ、クローゼット19a1及び19b1が設けられている。
【0021】
建物1は、地盤に固定された鉄筋コンクリート造の基礎構造体(図示省略)と、柱部材や梁部材などの軸組部材で構成された軸組架構を有し、基礎構造体に固定された上部構造体と、で構成されている。なお、軸組架構を構成する軸組部材は、規格化(標準化)されたものであり、予め工場にて製造されたのち建築現場に搬入されて組み立てられる。
【0022】
基礎構造体は、軸組架構の下方に位置し、軸組架構を支持している。具体的に、基礎構造体は、鉄筋コンクリート造の断面T字状の布基礎であり、フーチング部と、基礎梁としての立ち上がり部とを備える。また、基礎構造体の立ち上がり部の上端部には、露出型固定柱脚工法により軸組架構の柱部材の柱脚を固定するための柱脚固定部が設けられ、アンカーボルトが立ち上がり部の上面から突出している。
【0023】
上部構造体は、複数の柱部材及び柱部材間に架設された複数の梁部材から構成される軸組架構と、この軸組架構の外周部に配置される外周壁2と、階層間を上階屋内空間と下階屋内空間とに隔てる床仕切体3と、を備えている。なお、本実施形態の建物1は2階建ての住宅であるため、本実施形態の上階屋内空間は2階の屋内空間であり、本実施形態の下階屋内空間は1階の屋内空間である。
【0024】
外周壁2は、外装部材と、断熱部材と、内装部材と、を含んでいる。外装部材は、例えば、軽量気泡コンクリート(以下、「ALC」と記載する。「ALC」とは「autoclaved light weight concrete」の略である。)のパネルにより構成することができ、軸組架構の周囲にALCパネルを複数連接させることにより、外周壁2の外層を形成することができる。断熱部材は、例えば、フェノールフォーム、ポリスチレンフォーム、ウレタンフォーム等の発泡樹脂系の材料で形成することができ、上述の外装部材により形成された外層の内面に沿って連接することにより、外周壁2の断熱層を形成することができる。更に、内装部材は、例えば、石膏ボードを用いることができ、断熱層の内側に連接することにより、外周壁2の内層を形成することができる。なお、
図1では、外周壁2の外装部材、断熱部材及び内装部材を区別せずに一体として描いている。
【0025】
床仕切体3は、床支持部材を含んでいる。床支持部材は、例えば、ALCパネルにより構成することができる。床支持部材は、梁部材間に架設され、梁部材により直接的又は間接的に支持される。なお、床仕切体3のうち格子床部40a及び40bについては、床支持部材として、鋼材又は木材で形成された複数の桟材41が用いられている(
図1参照)。
【0026】
ここで、「床仕切体」とは、上階屋内空間と下階屋内空間とを仕切るものであり、軸組架構を除く、下階屋内空間の天面から上階屋内空間の床面までの間に位置する部材の集合体を意味するものである。従って、床仕切体は、上述した床支持部材に加えて、例えば、床支持部材に対して直接的又は間接的に固定された、下階屋内空間の天井面を構成する天井内装部材や、床支持部材上に積層された、上階屋内空間の床面を構成するフローリング等の床内装部材などを含む概念である。そして、本実施形態の床仕切体3は、上階屋内空間としての2階の屋内空間と、下階屋内空間としての1階の屋内空間とを仕切るものである。
【0027】
本実施形態の外周壁2は、
図1に示すように上階としての2階の周囲を取り囲む上階外周壁2aと、下階としての1階の周囲を取り囲む下階外周壁と、を備えている。
【0028】
図1に示すように、上階外周壁2aは、西側の一側面を構成する第1外壁2a1と、北側の一側面を構成する第2外壁2a2と、東側の一側面を構成する第3外壁2a3と、南側の一側面を構成する第4外壁2a4と、を備えている。
【0029】
図1に示すように、第1外壁2a1は、南北方向に直線状に延在しており、廊下17や洗面室20や浴室23等の西側を屋根付きの屋外空間21と区画している。また、
図1に示すように、第2外壁2a2は、東西方向に直線状に延在しており、リビング18、主寝室19a、洗面室20、浴室23及びトイレ24の北側を建物1の外部空間と区画している。更に、
図1に示すように、第3外壁2a3は、南北方向に直線状に延在しており、採風空間11、部屋19a〜19c及びベランダ19dの東側を建物1の外部空間と区画している。また更に、
図1に示すように、第4外壁2a4は、東西方向に直線状に延在しており、部屋19c、及び第1床開口部3aが形成された簀の子状の床部の南側を建物1の外部空間と区画している。
【0030】
そして、平面視での第1外壁2a1の延在方向(本実施形態では南北方向である。以下、単に「延在方向A」と記載する。)における第1外壁2a1の両端は、平面視において第1外壁2a1と直交する2つの外壁としての第2外壁2a2及び第4外壁2a4と連続して出隅部4a及び4bを形成している。また、上階外周壁2aは、平面視において略四角形状を有しており、互いに略平行して延在する第1外壁2a1及び第3外壁2a3と、これら第1外壁2a1及び第3外壁2a3と略直交し、互いに略平行する第2外壁2a2及び第4外壁2a4と、で構成されている。
【0031】
以下、建物1の特徴部分について説明する。
【0032】
図2Aは、
図1の破線Iで囲んだ部分を示す、建物1の拡大平面図である。
図2Aに示すように、採風空間11は平面視で周囲の壁により略矩形に形作られている。具体的には、第1辺に第1通風開口部12aが形成された第1区画壁11aが設けられ、第1辺と対向する第2辺に第2通風開口部12bが形成された第2区画壁11bが設けられ、第1辺及び第2辺と略直交する第3辺に開口部が形成されていない第3区画壁11cが設けられる。第1通風開口部12a及び第2通風開口部12bにはそれぞれ、開閉可能な建具としての引き違い戸13a及び13bが設けられている。第1〜第3区画壁11a〜11cは、採風空間11と屋内空間としての室内空間、具体的には主寝室19a及び子供室19bとを区画する。なお、第1区画壁11a及び/又は第2区画壁11bを、引き違い戸のみで構成することもできる。
【0033】
平面視において第1及び第2辺と略直交し、第3辺と対向する第4辺には、第1採風開口部14a及び第2採風開口部14bが形成された第4区画壁11dが設けられる。なお、第4区画壁11dは上述した第3外壁2a3の一部である。採風空間11は、第4辺において、第1通風開口部12aと第2通風開口部12bとを通じて、建物1の外部と連通することができる。言い換えれば、第4辺には建物1の外部空間と通じる採風部が設けられている。なお、第4辺に、第4区画壁11dを設けずに、採風空間11を屋外空間とすることもできる。かかる場合には、第4辺に例えば手すりを設けることができる。
【0034】
ここでいう「区画壁」は、屋内外を区画する外壁と、屋内の空間同士を区画する仕切壁との両方を含む意味である。
【0035】
本実施形態の採風空間11は屋内空間であり、第1〜第3区画壁11a〜11cは、屋内の空間同士を区画する仕切壁である。また、本実施形態では、第4区画壁11dは、屋内外を区画する外壁により構成される。
【0036】
但し、採風空間11を、ルーフバルコニーや、周囲を壁に囲まれて上部が開放されている屋外空間(「オープンロッジア」と称される場合がある。)などの屋外空間とすることもできる。採風空間11をルーフバルコニーとした場合には、第1〜第3区画壁11a〜11cは、屋内外を区画する外壁により構成される。また、採風空間11を所謂オープンロッジアとした場合には、第1〜第4区画壁11a〜11dは、屋内外を区画する外壁により構成される。
【0037】
また、本実施形態の建物1は、他の建物200と隣接している。より具体的には、採風空間11の第4辺は、他の建物200の外周壁に対して略平行にかつ近接して配置されている。第4辺と他の建物200の外周壁との間の対向距離は、例えば50センチメートル〜200センチメートルである。
【0038】
採風部には、板状部材としての縦辷り出し窓15が設けられている。縦辷り出し窓15は、第1採風開口部14aと第2採風開口部14bとを開閉することができる。
図2Aに示すように縦辷り出し窓15が開いている際には、縦辷り出し窓15は、第1採風開口部14aと第2採風開口部14bとの間に挟まれ、第4辺よりも建物1の外部空間に向かって突出し、建物1の外周壁2に沿って流れる風の流れを変えて採風空間11内に風を取り入れる。板状部材を縦辷り出し窓15とすることで、板状部材を1つの建具のみで構成することができるとともに、建具の開閉作業を容易にすることができる。また、縦辷り出し窓15は、窓としての機能と、風の流れを変えて採風空間11内に風を取り入れる機能とを併せ持つことができる。
【0039】
なお、上述した板状部材は、第4辺から建物1の外部空間に向かって突出し、建物1の外周壁2に沿って流れる風の流れを変えて採風部から採風空間11内に風を取り入れるものであればよく、本実施形態の縦辷り出し窓15に限られるものではない。したがって、例えば、第4区画壁11dに設けられた第1採風開口部14a及び/又は第2採風開口部14bを開閉可能な片開き窓としてもよい。但し、第1採風開口部14a及び第2採風開口部14bそれぞれに板状部材として片開き窓を設ける場合には、これらの片開き窓を、互いが隣接する側が吊元となり、それぞれ外側が開くように設置することが好ましい。このようにすれば、建物1の外部空間に向かって両方の片開き窓を開いた場合であっても、第1採風開口部14a及び第2採風開口部14bの両方から風を取り入れ易くなる。但し、上述したように、板状部材を本実施形態のような縦辷り出し窓15とすれば、1つの建具のみで、第1採風開口部14a及び第2採風開口部14bの開閉が可能となる。
【0040】
建物1では、第1採風開口部14a、第2採風開口部14b、第1通風開口部12a及び第2通風開口部12bをそれぞれ開閉することで、建物1の中に所望の風の流れを作り出すことができる。
図2Aに示す状態では、縦辷り出し窓15及び引き違い戸13aを開いて、第1採風開口部14a、第2採風開口部14b及び第1通風開口部12aを開く一方で、引き違い戸13bを閉じて、第2通風開口部12bを閉じる。このような状態で、
図2Aに示すように建物1と建物200との間に南から風Wが吹いた場合には、風Wは、縦辷り出し窓15に当たり、第1採風開口部14aを通じて採風空間11内に流れ込む。風Wはその後、第2区画壁11b及び第3区画壁11cに沿って流れ、第1通風開口部12aを通じて室内空間である主寝室19aへ流れ込む。
【0041】
ここで、縦辷り出し窓15の開き加減を調整することで、採風空間11内に流れ込む風の量を調整することができる。また、引き違い戸13aの開き加減を調整することで、主寝室19aへ流れ込む風の量を調整することができる。
【0042】
この実施形態では、第1通風開口部12aが、第1区画壁11aと、第3区画壁11cとにより形成される入隅部11eに隣接して配置されている。これにより、第1区画壁11a及び第3区画壁11cに沿って流れる風Wを、室内空間である主寝室19aに取り込みやすくすることができる。
【0043】
このような風の流れを作り出すことで、採風空間11及び主寝室19aに風を流し、採風空間11及び主寝室19aを通風させることができる。また、第1採風開口部14a、第2採風開口部14b及び第1通風開口部12aを通じて、光を採風空間11及び主寝室19aに取り入れることができる。その一方で、子供室19bと採風空間11との間は引き違い戸13bによって閉じられているため、子供室19bの気密性等を確保することができる。
【0044】
ここで、採風空間11に屋根を設けることで、採風空間11に雨等が入り込むことを防ぐことができる。また、採風空間11に屋根に天窓を設けることで、採風空間11及び主寝室19aの採光性を向上させることができる。
【0045】
さらにこの実施形態では、第2区画壁とは反対側で、第1区画壁と対向する第2外壁2a2に換気開口部16aを形成する。換気開口部16aには、開閉可能な建具としての引き違い窓16bが設けられている。上述した
図2Aに示す状態で、引き違い窓16bを開いた場合には、主寝室19aに流れ込んだ風Wは、主寝室19aを通り、換気開口部16aを通って建物1の外に流れ出る。このようにして、主寝室19aを換気することができる。
【0046】
また、建物1に、上述した風の流れとは異なる風の流れを作り出すことができる。
図2Bに示すように、引き違い戸13a及び13bを開いて、第1通風開口部12a及び第2通風開口部12bを開く一方で、縦辷り出し窓15を閉じて、第1採風開口部14a及び第2採風開口部14bを閉じた状態について以下説明する。なお、子供室19bの南側の引き違い戸19b2、及び部屋19cの南側の引き違い戸19c1も開いているものとする。このような状態で、
図2Bに示すように、南から風Wが吹いた場合には、風Wは、ベランダ19dから部屋19c、子供室19b、採風空間11及び主寝室19aを順に通り、主寝室19aの換気開口部16aを通って建物1の外へ流れ出る。このように、多数の部屋を通る風を生み出すこともできる。
【0047】
建物1に、更に異なる風の流れを作り出すことができる。縦辷り出し窓15を開いて、第1採風開口部14a及び第2採風開口部14bを開く一方で、引き違い戸13a及び13bを閉じて、第1通風開口部12a及び第2通風開口部12bを閉じた状態について以下説明する。このような状態では、建物1と建物200との間に南から風Wが吹いた場合には、風Wは、縦辷り出し窓15に当たり、第1採風開口部14aを通じて採風空間11内に流れ込む。風Wはその後、第2区画壁11b、第3区画壁11c及び第1区画壁11aに順に沿って流れ、第2採風開口部14bを通じて建物の外に流れ出る。このように、採風空間11以外の室内空間の気密性を確保したまま、採風空間11のみに風を流すこともできる。
【0048】
詳述はしないが、建物1の各建具の開閉状態等を操作することで、建物1に更に異なる風の流れを作り出すこともできる。
【0049】
さらに建物1によれば、屋内空間へのプライバシーを確保することができる。上述したように、採風空間11の第3辺に設けられた第3区画壁11cには開口部が形成されておらず、また、第1及び第2通風開口部12a及び12bが設けられた第1及び第2区画壁11a及び11bは、第4辺と略直交する。このため、採風部の第1及び第2採風開口部14a及び14bが開いていても、又は第1及び第2採風開口部14a及び14bに設けられる建具がガラス等を含む透明部材であっても、建物1に隣接する他の建物200から、採風空間11以外の室内空間を見ることは困難である。
【0050】
なお、上述した実施形態では、採風部に2つの採風開口部14a、14bを設けているが、採風部に採風開口部を1つのみ設けることもできる。この構成を、例えば縦辷り出し窓15を片開き窓とすることによって実現することができる。また、採風部に3つ以上の採風開口部を設けることもできる。
【0051】
本発明に係る建物は、上述した実施形態に示した構成に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上述した建物1は、鉄骨造の軸組みを有する2階建ての住宅であるが、1階建て(平屋)の建物や3階建て以上の建物であってもよい。また、鉄骨造の軸組み構造に限られるものではなく、木造の軸組みを有する建物や、鉄筋コンクリート造の建物であってもよい。更に、上述した建物1では、建物1の西側に屋外空間21を設けているが、屋外空間21の位置は、建物1の立地条件等により適宜変更することが可能である。