(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記優先度決定手段は、前記一の処理対象物の優先度を、前記処理設備における前記一の処理対象物の工程時間と、前記段取り替えが生じない処理対象物の工程時間との合計に基づいて決定するように構成されている、
請求項1に記載の生産スケジュール決定装置。
前記優先度決定手段は、前記先行処理設備の生産性指標と、前記後続処理設備の生産性指標とのそれぞれに重み付けをして、前記一の処理対象物の優先度を決定するように構成されている、
請求項1ないし3の何れかに記載の生産スケジュール決定装置。
前記調整手段は、前記先行処理設備における時間あたりの前記処理対象物の処理量と、前記後続処理設備における時間あたりの前記処理対象物の処理量とにさらに基づいて、前記重みを調整するように構成されている、
請求項5又は6に記載の生産スケジュール決定装置。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下に示す各実施の形態は、本発明の技術的思想を具体化するための方法及び装置を例示するものであって、本発明の技術的思想は下記のものに限定されるわけではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において種々の変更を加えることができる。
【0019】
本実施の形態では、アルミニウム合金板又は圧延鋼板の生産ラインにおける生産スケジュールを決定する生産スケジュール決定装置について説明する。
図1は、生産スケジュールを決定する対象となる生産ラインを示す模式図である。生産ライン10は、圧延機によって圧延された材料(処理対象物)に対して処理を施すように構成されている。
図1に示すように、生産ライン10は、素材置場10aと、スリッタ設備11と、熱処理設備12と、表面処理設備13とを備えている。
【0020】
素材置場10aは、生産ライン10によって処理が施される前に処理対象物を設置するための領域である。
【0021】
スリッタ設備11は、処理対象物である金属板を幅方向に切断するための設備である。本生産ライン10で製造される製品は品目A,B,Cの3つの種別があり、それぞれの品目に応じて処理に必要な時間(工程時間)が定められている。具体的には、品目A及びBのスリッタ処理についての工程時間は60分であり、品目Cのスリッタ処理についての工程時間は70分である。かかるスリッタ設備11においては、投入される処理対象物の製品幅に応じて治具を調整する必要がある。品目A,B,Cの3つの製品種別毎に製品幅が定められている。具体的には、品目A及びBの製品幅は300mmであり、品目Cの製品幅は500mmである。スリッタ設備11において、現在処理中の処理対象物の製品幅と次の処理対象物の製品幅とが異なる場合、次の処理対象物の製品幅に合わせて治具を調整する段取り替え作業が必要となる。製品幅が異なる処理対象物に切り替える際の段取り替え作業に必要な時間(段取り替え時間)は30分である。かかるスリッタ設備11には、スリッタ設備11に投入される前の処理対象物を設置するための仕掛置場11aが設けられている。仕掛置場11aの容量は、処理対象物20個である。
【0022】
熱処理設備12は、処理対象物である金属板に対して熱処理を施すための設備である。品目A,B,Cのそれぞれについて、熱処理の工程時間が定められている。具体的には、品目A,B,Cの熱処理についての工程時間は何れも120分である。かかる熱処理設備12においては、投入される処理対象物に応じて、熱処理温度を調整する必要がある。品目A,B,Cの3つの製品種別毎に熱処理温度が定められている。具体的には、品目Aの熱処理温度は450℃であり、品目B及びCの熱処理温度は550℃である。熱処理設備12において、現在処理中の処理対象物の熱処理温度と次の処理対象物の熱処理温度とが異なる場合、次の処理対象物の熱処理温度に設定する段取り替え作業が必要となる。熱処理温度が異なる処理対象物に切り替える際の段取り替え時間は70分である。かかる熱処理設備12には、熱処理設備12に投入される前の処理対象物を設置するための仕掛置場12aが設けられている。仕掛置場12aの容量は、処理対象物20個である。
【0023】
表面処理設備13は、処理対象物である金属板の表面に塗装を施すための設備である。品目A,B,Cのそれぞれについて、表面処理の工程時間が定められている。具体的には、品目A,B,Cの表面処理についての工程時間は何れも90分である。かかる表面処理設備13においては、投入される処理対象物に合わせて表面処理塗料を設定する必要がある。品目A,B,Cの3つの製品種別毎に表面処理塗料が定められている。具体的には、品目A及びCの表面処理塗料は青色であり、品目Bの表面処理塗料は緑色である。表面処理設備13において、現在処理中の処理対象物の表面処理塗料と次の処理対象物の表面処理塗料とが異なる場合、次の処理対象物の表面処理塗料に設定する段取り替え作業が必要となる。表面処理塗料が異なる処理対象物に切り替える際の段取り替え時間は120分である。かかる表面処理設備13には、表面処理設備13に投入される前の処理対象物を設置するための仕掛置場13aが設けられている。仕掛置場13aの容量は、処理対象物10個である。
【0024】
かかる生産ライン10はフローショップラインであり、処理対象物に対してスリッタ設備11、熱処理設備12、表面処理設備13の順番で処理を施す。本実施の形態に係る生産スケジュール決定装置は、上記のような構成の生産ライン10における処理対象物の処理のシミュレーションを実行し、スリッタ設備11、熱処理設備12、表面処理設備13のそれぞれにおける処理スケジュールを決定する。
【0025】
[生産スケジュール決定装置の構成]
本実施の形態に係る生産スケジュール決定装置の構成について説明する。
図2は、本実施の形態に係る生産スケジュール決定装置の構成を示すブロック図である。生産スケジュール決定装置100は、コンピュータ200によって実現される。
図2に示すように、コンピュータ200は、本体300と、入力部400と、表示部500とを備えている。本体300は、CPU301、ROM302、RAM303、読出装置304、ハードディスク305、入出力インタフェース306、及び画像出力インタフェース307を備えており、CPU301、ROM302、RAM303、読出装置304、ハードディスク305、入出力インタフェース306、及び画像出力インタフェース307は、バスによって接続されている。
【0026】
CPU301は、RAM303にロードされたコンピュータプログラムを実行することが可能である。そして、生産スケジュール決定用のコンピュータプログラムである生産スケジュール決定プログラム140を当該CPU301が実行することにより、コンピュータ200が生産スケジュール決定装置100として機能する。
【0027】
ROM302は、マスクROM、PROM、EPROM、又はEEPROM等によって構成されており、CPU301に実行されるコンピュータプログラム及びこれに用いるデータ等が記録されている。
【0028】
RAM303は、SRAM又はDRAM等によって構成されている。RAM303は、ハードディスク305に記録されている生産スケジュール決定プログラム140の読み出しに用いられる。また、RAM303は、CPU301がコンピュータプログラムを実行するときに、CPU301の作業領域として利用される。
【0029】
ハードディスク305は、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラム等、CPU301に実行させるための種々のコンピュータプログラム及び当該コンピュータプログラムの実行に用いられるデータがインストールされている。生産スケジュール決定プログラム140も、このハードディスク305にインストールされている。
【0030】
また、ハードディスク305には、設備データベース(DB)151、段取り替え時間データベース(DB)152、工程時間データベース(DB)153、及び段取り替え属性値データベース(DB)154が設けられている。
図3は、設備DB151の構成を示す模式図である。設備DB151は、生産ライン10が備えるスリッタ設備11、熱処理設備12、及び表面処理設備13のそれぞれについての工程番号、設備名、段取り替え属性、及び仕掛置場11a,12a,13aの容量をそれぞれ記憶する。
図3に示す1行目はスリッタ設備11についての情報を、2行目は熱処理設備12についての情報を、3行目は表面処理設備13についての情報をそれぞれ示している。
図3に示すように、スリッタ設備11について、工程番号が「1」であり、設備名が「スリッタ」であり、段取り替え属性が「製品幅」であり、仕掛置場11aの容量が「(処理対象物)20個」である。同様に、熱処理設備12については、工程番号が「2」であり、設備名が「熱処理」であり、段取り替え属性が「熱処理温度」であり、仕掛置場12aの容量が「(処理対象物)20個」である。また、表面処理設備13については、工程番号が「3」であり、設備名が「表面処理」であり、段取り替え属性が「表面処理塗料」であり、仕掛置場13aの容量が「(処理対象物)10個」である。
【0031】
ここで、「段取り替え属性」とは、各設備における段取り替え時間を決定するための属性である。上記のように、スリッタ設備11において、先行して処理した処理対象物から後続の処理対象物へ切り替える際に、切り替えの前後において処理対象物の製品幅が同一であれば段取り替え作業が発生せず(段取り替え時間「0分」)、製品幅が異なれば段取り替え作業が発生する(段取り替え時間「30分」)。つまり、段取り替え作業が発生するか否かは、先行する処理対象物(以下、「先行処理対象物」という)と後続の処理対象物(以下、「後続処理対象物」という)との間で製品幅が異なるか否かによる。このように、スリッタ設備11においては、段取り替え時間は処理対象物の製品幅によって決定される。このため、スリッタ設備11の段取り替え属性は「製品幅」である。また、熱処理設備12において、段取り替え時間は処理対象物の熱処理温度によって決定され、表面処理設備13において、段取り替え時間は処理対象物の表面処理塗料によって決定される。このため、熱処理設備12の段取り替え属性は「熱処理温度」であり、表面処理設備13の段取り替え属性は「表面処理塗料」である。
【0032】
図4は、段取り替え時間DB152の構成を示す模式図である。段取り替え時間DB152は、スリッタ設備11、熱処理設備12、及び表面処理設備13のそれぞれについて、先行処理対象物と後続処理対象物との間で段取り替え属性の属性値が同一の場合及び属性値が異なる場合それぞれの段取り替え時間を記憶する。
図4に示す1行目はスリッタ設備11についての情報を、2行目は熱処理設備12についての情報を、3行目は表面処理設備13についての情報をそれぞれ示している。
図4に示すように、スリッタ設備11について、先行処理対象物と後続処理対象物との段取り替え属性の属性値が異なる場合(つまり、製品幅が異なる場合)の段取り替え時間は30分である。同様に、熱処理設備12について、先行処理対象物と後続処理対象物との段取り替え属性の属性値が異なる場合(つまり、熱処理温度が異なる場合)の段取り替え時間は70分であり、表面処理設備13について、先行処理対象物と後続処理対象物との段取り替え属性の属性値が異なる場合(つまり、表面処理塗料が異なる場合)の段取り替え時間は120分である。また、スリッタ設備11、熱処理設備12、及び表面処理設備13の何れについても、先行処理対象物と後続処理対象物との段取り替え属性の属性値が同一の場合の段取り替え時間は0分である。
【0033】
図5は、工程時間DB153の構成を示す模式図である。工程時間DB153は、品目A,B,Cのそれぞれについて、スリッタ処理、熱処理、表面処理の各工程時間を記憶する。
図5に示す1行目は品目Aについての情報を、2行目は品目Bについての情報を、3行目は品目Cについての情報をそれぞれ示している。
図5に示すように、品目A及びBについて、スリッタ処理の工程時間は60分であり、熱処理の工程時間は120分であり、表面処理の工程時間は90分である。また、品目Cについて、スリッタ処理の工程時間は70分であり、熱処理の工程時間は120分であり、表面処理の工程時間は90分である。
【0034】
図6は、段取り替え属性値DB154の構成を示す模式図である。段取り替え属性値DB154は、品目A,B,Cのそれぞれについて、段取り替え属性「製品幅」、「熱処理温度」、及び「表面処理塗料」における各属性値を記憶する。
図6に示す1行目は品目Aについての情報を、2行目は品目Bについての情報を、3行目は品目Cについての情報をそれぞれ示している。
図6に示すように、品目Aについて、「製品幅」の属性値は300mmであり、「熱処理温度」の属性値は450℃であり、「表面処理塗料」の属性値は青である。また、品目Bについて、「製品幅」の属性値は300mm、「熱処理温度」の属性値は550℃、「表面処理塗料」の属性値は緑であり、品目Cについて、「製品幅」の属性値は500mm、「熱処理温度」の属性値は550℃、「表面処理塗料」の属性値は青である。
【0035】
再び
図2を参照する。入出力インタフェース306は、例えばUSB,IEEE1394,又はRS-232C等のシリアルインタフェース、SCSI,IDE,又は IEEE1284等のパラレルインタフェース、及びD/A変換器、A/D変換器等からなるアナログインタフェース等から構成されている。入出力インタフェース306には、キーボード及びマウスからなる入力部400が接続されており、ユーザが当該入力部400を使用することにより、コンピュータ200にデータを入力することが可能である。
【0036】
画像出力インタフェース307は、LCDまたはCRT等で構成された表示部500に接続されており、CPU301から与えられた画像データに応じた映像信号を表示部500に出力するようになっている。表示部500は、入力された映像信号にしたがって、画像(画面)を表示する。
【0037】
[生産スケジュール決定装置の動作]
次に、上述したように構成された生産スケジュール決定装置の動作について、フローチャートを参照しながら説明する。
【0038】
CPU301は、生産スケジュール決定プログラム140を読み出すことで、生産スケジュール決定処理を実行する。
図7は、本実施の形態に係る生産スケジュール決定装置100が実行する生産スケジュール決定処理の手順を示すフローチャートである。
【0039】
生産スケジュール決定処理において、まず、CPU301は、生産スケジュール決定処理に使用する設定パラメータに初期値をセットする(ステップS101)。この設定パラメータには、後述する重み係数c
1及びc
2が含まれる。c
1およびc
2の初期値は「1」である。
【0040】
シミュレーションを実行する際、仕掛置場11a,12a,13aのそれぞれに、A,B,Cの各品目の処理対象物がいくつ設置されているかを設定しておく必要がある。そこでCPU301は、シミュレーションの初期状態として、生産ライン10の仕掛置場11a,12a,13aの状態を設定する(ステップS102)。この処理では、例えば予め与えられた仕掛置場11a,12a,13aの状態を示すデータをCPU301が読み出したり、ユーザが入力部400から入力した仕掛置場11a,12a,13aの状態を受け付けたりして、シミュレーションの初期状態が設定される。かかるシミュレーション状態は、ハードディスク305に記憶される。
図8は、仕掛置場11a,12a,13aの状態の一例を示す図である。
図8に示す例では、スリッタ設備11において品目Aの処理対象物が処理中であり、仕掛置場11aに、品目Aの処理対象物が2個、品目Bの処理対象物が4個、品目Cの処理対象物が3個設置されている。また、熱処理設備12において品目Bの処理対象物が処理中であり、仕掛置場12aに、品目Aの処理対象物が3個、品目Bの処理対象物が1個、品目Cの処理対象物が6個設置されており、表面処理設備13において品目Bの処理対象物が処理中であり、仕掛置場13aに、品目Aの処理対象物が0個、品目Bの処理対象物が1個、品目Cの処理対象物が1個設置されている。
【0041】
ここで、スリッタ設備11,熱処理設備12のそれぞれにおいて処理中の処理対象物については、処理が完了したものとして次工程の仕掛置場12a,13aに組み入れる。つまり、スリッタ設備11において処理中の処理対象物は、仕掛置場12aに設置されたものとされ、熱処理設備12において処理中の処理対象物は、仕掛置場13aに設置されたものとされる。したがって、
図8に示す例では、スリッタ設備11において品目Aの処理対象物が処理中であるため、当該品目Aの処理対象物が仕掛置場12aに設置された処理対象物に加えられ、仕掛置場12aにある品目Aの処理対象物の数は4個となる。同様に、熱処理設備12において品目Bの処理対象物が処理中であるため、当該品目Bの処理対象物が仕掛置場13aに設置された処理対象物に加えられ、仕掛置場13aにある品目Bの処理対象物の数は2個となる。また、表面処理設備13において処理中の処理対象物は、処理が完了して表面処理設備13から搬出されたものとして取り扱われる。つまり、
図8に示す例では、表面処理設備13において処理中である品目Bの処理対象物が、生産ライン10から搬出されたものとされる。
【0042】
再び
図7を参照する。シミュレーションの初期状態を設定した後、CPU301は、生産ライン10による生産計画を設定する(ステップS103)。
図9は、生産計画の一例を示す図である。ステップS103の処理では、CPU301が
図9に示すような日毎の生産品目と数量とを設定する。なお、
図9に示す例のように、日によって品目毎の生産数が異なる生産計画ではなく、品目毎の生産数が毎日同じである生産計画を設定してもよい。この場合、1日に生産する品目毎の生産数を決め、それを毎日繰り返し継続するように設定することができる。また、その時点で確定している生産計画だけでは不足する場合にも、1日に生産する品目毎の生産数を決め、それを確定した生産計画の後に繰り返し継続するように設定することもできる。
【0043】
再び
図7を参照する。次に、CPU301は、生産ライン10による処理対象物に対する処理のシミュレーションを実行する(ステップS104)。以下、このシミュレーション処理について説明する。このシミュレーション処理では、所定の時間(例えば、1時間)に生産ライン10の各処理設備11,12,13がどのように動作するかが計算され、これが時系列的に逐次実行される。かかるシミュレーション処理では、設定された重み係数c
1及びc
2にしたがって構成されたディスパッチルールにしたがい、設定されたシミュレーションの初期状態及び生産計画に基づいて、予め設定されたシミュレーション期間における生産ライン10の動作が模擬される。
【0044】
図10は、シミュレーション処理の手順を示すフローチャートである。シミュレーション処理を開始すると、CPU301は、処理対象時刻としてシミュレーション期間の最初の時刻を設定する(ステップS201)。
【0045】
次に、CPU301は、次式に示されるディスパッチルールにしたがって、仕掛置場11a,12a,13aのそれぞれにおける処理待ちの処理対象物毎に、優先度を計算する(ステップS202)。式(1)において、E
j,iは工程iの処理待ちの品目jの処理対象物の優先度を示している。
【数1】
例えば、第1工程における処理待ちの品目Aの処理対象物についての優先度を計算する場合、CPU301は、i=1、j=Aとして式(1)を計算する。また、第3工程の次工程はないためc
3は常に「1」である。
【0046】
式(1)において、γ
j,iiは、優先度を決定する対象の処理対象物を工程iの処理設備(以下、「先行処理設備」という。)で処理する場合における先行処理設備の生産性を示す生産性指標であり、γ
j,ii+1は、当該処理対象物を工程i+1の処理設備(以下、「後続処理設備」という。)で処理する場合における後続処理設備の生産性を示す生産性指標である。式(1)では、工程iの処理待ちの処理対象物についての優先度を決定するにあたり、先行処理設備の生産性指標γ
j,iiと、後続処理設備の生産性指標γ
j,ii+1とを、重み係数c
iで平均することを示している。なお、重み係数c
iは0以上1以下の実数である。
【0047】
式(1)において、生産性指標γ
j,iiは、先行処理設備の処理待ちの品目jの処理対象物の工程iにおける工程時間と、先行処理設備における処理待ちの処理対象物のうち、品目jの処理対象物と段取り替え属性値が同一の他の処理対象物の工程時間との合計に対する、この工程時間の合計に、先行処理設備において次に処理する対象として品目jの処理対象物に切り替える場合の段取り替え時間を加えたものの割合である。
【0048】
この生産性指標γ
j,iiを算出するために、CPU301は、段取り替え属性値DB154を参照し、工程iにおける処理待ちの処理対象物のうち、選択された処理対象物と工程iについての段取り替え属性値が同一の処理対象物を抽出し、工程時間DB153を参照して、抽出された全処理対象物の工程時間を合計する。例えば、第1工程における処理待ちの品目Aの処理対象物が選択されている場合、この処理対象物の段取り替え属性「製品幅」の属性値は「300mm」である。段取り替え属性「製品幅」の属性値が「300mm」であるのは、品目A及びBの処理対象物である(
図6参照)。したがって、仕掛置場11aに設置されている処理待ちの処理対象物のうち、品目A及びBの処理対象物が抽出される。
図8に示す例では、仕掛置場11aに、品目Aの処理対象物が2個、品目Bの処理対象物が4個、品目Cの処理対象物が3個設置されている。したがって、この例の場合、品目Aの処理対象物2個及び品目Bの処理対象物4個が抽出される。第1工程において、品目Aの処理対象物の工程時間は60分であり、品目Bの処理対象物の工程時間も同じく60分である(
図5参照)ので、工程時間の合計は360分となる。
【0049】
また、生産性指標γ
j,iiを算出するために、CPU301は、段取り替え時間DB152を参照し、先行処理設備における段取り替え時間を特定し、上記のように求めた工程時間の合計に、特定された段取り替え時間を加算する。第1工程における品目Aの処理対象物の段取り替え時間は、先行処理対象物と段取り替え属性の属性値が同一の場合には「0」であり、先行処理対象物と段取り替え属性の属性値が異なる場合には「30分」である(
図4参照)。
図8に示す例では、スリッタ設備11では、品目Aの処理対象物が処理中であるため、先行処理対象物と後続処理対象物とが共に品目Aであり、工程iにおける段取り替え属性値は同一である。したがって、段取り替え時間は「0分」であり、工程時間の合計に段取り替え時間を加算した結果は「360分」である。よって、生産性指標γ
A,11は次のようになる。
【数2】
【0050】
図8に示す例において、第1工程における処理待ちの品目Bの処理対象物が選択された場合について考える。この場合、選択された品目Bの処理対象物の段取り替え属性「製品幅」の属性値が「300mm」である(
図6参照)ため、仕掛置場11aに設置されている処理待ちの処理対象物のうち、品目Aの処理対象物2個及び品目Bの処理対象物4個が抽出される。第1工程において、品目A及びBの処理対象物の工程時間は60分である(
図5参照)ので、工程時間の合計は360分となる。また、スリッタ設備11では品目Aの処理対象物が処理中であるため、先行処理対象物(品目A)と後続処理対象物(品目B)との段取り替え属性「製品幅」の属性値は「300mm」であり同一なので、段取り替え時間は「0分」である。このため、生産性指標γ
B,11は次のようになる。
【数3】
【0051】
次に、
図8に示す例において、第1工程における処理待ちの品目Cの処理対象物が選択された場合について考える。この場合、選択された品目Cの処理対象物の段取り替え属性「製品幅」の属性値が「500mm」である(
図6参照)ため、仕掛置場11aに設置されている処理待ちの処理対象物のうち、品目Cの処理対象物3個が抽出される。第1工程において、品目Cの処理対象物の工程時間は70分である(
図5参照)ので、工程時間の合計は210分となる。また、スリッタ設備11では品目Aの処理対象物が処理中であるため、先行処理対象物(品目A)と後続処理対象物(品目C)との段取り替え属性「製品幅」の属性値は異なるので、段取り替え時間は「30分」である。このため、生産性指標γ
C,11は次のようになる。
【数4】
【0052】
また、式(1)において、生産性指標γ
j,ii+1は、後続処理設備の処理待ちの品目jの処理対象物の工程i+1における工程時間と、後続処理設備における処理待ちの処理対象物のうち、品目jの処理対象物と段取り替え属性値が同一の他の処理対象物の工程時間との合計に対する、この工程時間の合計に、後続処理設備において次に処理する対象として品目jの処理対象物に切り替える場合の段取り替え時間を加えたものの割合である。
【0053】
この生産性指標γ
j,ii+1を算出するために、CPU301は、段取り替え属性値DB154を参照し、後続処理設備における処理待ちの処理対象物のうち、選択された処理対象物と工程i+1についての段取り替え属性値が同一の処理対象物を抽出し、工程時間DB153を参照して、抽出された全処理対象物の工程時間を合計する。例えば、第1工程における処理待ちの品目Aの処理対象物が選択されている場合、この処理対象物の段取り替え属性「熱処理温度」の属性値は「450℃」である。段取り替え属性「熱処理温度」の属性値が「450℃」であるのは、品目Aの処理対象物だけである(
図6参照)。したがって、仕掛置場12aに設置されている処理待ちの処理対象物のうち、品目Aの処理対象物が抽出される。
図8に示す例では、仕掛置場12aに、品目Aの処理対象物が3個、品目Bの処理対象物が1個、品目Cの処理対象物が6個設置されている。したがって、この例の場合、品目Aの処理対象物3個が抽出される。また、スリッタ設備11では、品目Aの処理対象物が処理中であるため、これも第2工程の処理待ちに加えると、処理待ちの品目Aの処理対象物は4個となる。第2工程において、品目Aの処理対象物の工程時間は120分である(
図5参照)ので、工程時間の合計は480分となる。
【0054】
また、生産性指標γ
j,ii+1を算出するために、CPU301は、段取り替え時間DB152を参照し、工程i+1における段取り替え時間を特定し、上記のように求めた工程時間の合計に、特定された段取り替え時間を加算する。第2工程における品目Aの処理対象物の段取り替え時間は、先行処理対象物と段取り替え属性の属性値が同一の場合には「0」であり、先行処理対象物と段取り替え属性の属性値が異なる場合には「70分」である(
図4参照)。
図8に示す例では、スリッタ設備11では、品目Bの処理対象物が処理中であるため、先行処理対象物(品目B)と後続処理対象物(品目A)との段取り替え属性「熱処理温度」の属性値は異なるので、段取り替え時間は「70分」である。このため、生産性指標γ
A,12は次のようになる。
【数5】
【0055】
図8に示す例において、第1工程における処理待ちの品目Bの処理対象物が選択された場合について考える。この場合、選択された品目Bの処理対象物の段取り替え属性「熱処理温度」の属性値が「550℃」である(
図6参照)ため、仕掛置場12aに設置されている処理待ちの処理対象物のうち、品目Bの処理対象物1個及び品目Cの処理対象物6個が抽出される。第2工程において、品目B及びCの処理対象物の工程時間は120分である(
図5参照)ので、工程時間の合計は840分となる。また、熱処理設備12では品目Bの処理対象物が処理中であるため、先行処理対象物(品目B)と後続処理対象物(品目B)との段取り替え属性「熱処理温度」の属性値は「550℃」であり同一なので、段取り替え時間は「0分」である。このため、生産性指標γ
B,12は次のようになる。
【数6】
【0056】
次に、
図8に示す例において、第1工程における処理待ちの品目Cの処理対象物が選択された場合について考える。この場合、選択された品目Cの処理対象物の段取り替え属性「熱処理温度」の属性値が「550℃」である(
図6参照)ため、仕掛置場12aに設置されている処理待ちの処理対象物のうち、品目Bの処理対象物1個及び品目Cの処理対象物6個が抽出される。第2工程において、品目B及びCの処理対象物の工程時間は120分である(
図5参照)ので、工程時間の合計は840分となる。また、スリッタ設備11では品目Bの処理対象物が処理中であるため、先行処理対象物(品目B)と後続処理対象物(品目C)との段取り替え属性「熱処理温度」の属性値は同一なので、段取り替え時間は「0分」である。このため、生産性指標γ
C,12は次のようになる。
【数7】
【0057】
上記をまとめると、第1工程における各品目の処理対象物についてのスリッタ設備11の生産性指標及び熱処理設備12の生産性指標は次表のようになる。
【表1】
【0058】
CPU301は、上記のように求めた先行処理設備の生産性指標γ
j,iiと、後続処理設備の生産性指標γ
j,ii+1とをc
iにしたがって重み付け平均し、優先度E
j,iを算出する。初期状態では、c
1は1である。したがって、上表に示す例の場合、c
1が初期値のときには、優先度E
A,1は1であり、E
B,1は1であり、E
C,1は0.88である。また、例えばc
1が0.8のときには、E
A,1は0.8×1+0.2×0.87=0.974であり、E
B,1は0.8×1+0.2×1=1であり、E
C,1は0.8×0.88+0.2×1=0.904である。このように重み付けをすることで、各処理設備の工程時間、空き時間等に適応した生産スケジュールを決定できる。
【0059】
上記のように、式(1)にしたがって、優先度E
A,1,E
B,1,E
C,1,E
A,2,E
B,2,E
C,2,E
A,3,E
B,3,E
C,3がそれぞれ算出される。
【0060】
再び
図10を参照する。CPU301は、第1工程、第2工程、及び第3工程のそれぞれについて、優先度が最も高い品目の処理対象物を次に投入する処理対象物として選択する(ステップS203)。つまり、CPU301は、第1工程について、優先度E
A,1,E
B,1,E
C,1の中で最高値の品目を選択し、第2工程について、優先度E
A,2,E
B,2,E
C,2の中で最高値の品目を選択し、第3工程について、優先度E
A,3,E
B,3,E
C,3の中で最高値の品目を選択する。上記のc
1=0.8の例では、E
A,1=0.974であり、E
B,1=1であり、E
C,1=0.904であるので、第1工程について品目Bが選択される。
【0061】
また、ステップS203において、2以上の優先度が同一で最高値である場合、優先度が最高値の複数の品目のうち、最先で仕掛置場に設置された品目が選択される。上記のc
1=1の例では、E
A,1=1であり、E
B,1=1であり、E
C,1=0.88であるので、品目A及びBの優先度が同一で最高値である。このため、品目A及びBのうち、先に仕掛置場11aに設置されたものが選択される。
【0062】
次に、CPU301は、第1工程、第2工程、及び第3工程のそれぞれについて、処理対象時刻において処理対象物の処理が完了したか否かを判定する(ステップS204)。ステップS204においては、CPU301は工程時間DB153を参照し、第1工程、第2工程、及び第3工程のそれぞれについて、処理対象物が投入された時刻から工程時間が経過したか否かを判定することで、処理が完了したか否かを判定する。例えば、第1工程において品目Aの処理対象物が処理中である場合、当該処理対象物がスリッタ設備11に投入された時刻が12:00であり、処理対象時刻が13:00であるとすると、投入時刻から工程時間の60分が経過しているので、処理が完了したと判定される。
【0063】
CPU301は、処理が完了した処理対象物を次工程の仕掛置場に移動し、処理対象物が投入されていない処理設備があれば、当該処理設備にステップS203において選択した品目の処理対象物を投入するように、生産ライン10のシミュレーション状態を更新する(ステップS205)。ここで、各仕掛置場の容量を超えないことが制約条件として課される。つまり、仕掛置場に空きがない場合、CPU301は、当該仕掛置場には処理対象物を移動せず、当該処理対象物を前工程の処理設備に待機させたままとする。
【0064】
次に、CPU301は、処理対象時刻がシミュレーション期間の最終時刻であるか否かを判定する(ステップS206)。処理対象時刻がシミュレーション期間の最終時刻ではない場合(ステップS206においてNO)、CPU301は処理対象時刻を所定時間進め(ステップS207)、ステップS202に処理を移す。他方、処理対象時刻がシミュレーション期間の最終時刻である場合(ステップS206においてYES)、CPU301はシミュレーション処理を終了し、メインルーチン(生産スケジュール決定処理)に処理を戻す。
【0065】
再び
図7を参照する。シミュレーション処理が終了すると、CPU301は、シミュレーション結果を評価する(ステップS105)。この処理では、CPU301は、シミュレーション結果から、スリッタ設備11、熱処理設備12、及び表面処理設備13のそれぞれについて、シミュレーション期間全体に対する稼働時間、段取り替え時間、及び空き時間のそれぞれの割合を算出する。次表に、評価結果の一例を示す。
【表2】
【0066】
シミュレーション結果の評価が終了すると、CPU301は、シミュレーション結果及び評価結果を表示部500に出力する(ステップS106)。
【0067】
次にCPU301は、生産スケジュール決定処理の終了条件を満たしているか否かを判定する(ステップS107)。ここで、終了条件として任意の条件を設定することができる。例えば、シミュレーション処理の実行回数が規定回数に達することを終了条件とすることができる。また、シミュレーションの評価結果において、各処理設備における空き時間が規定値以下であることを終了条件とすることもできる。
【0068】
生産スケジュール決定処理の終了条件を満たしていない場合(ステップS107においてNO)、CPU301は、評価結果に基づいて重み係数c
1及びc
2を調整する(ステップS108)。この処理では、次のルールに従って重み係数c
1及びc
2が調整される。
<重み係数調整ルール>
(1)後続処理設備の空き時間が所定の閾値以上である場合は、先行処理設備の重み係数を所定値増やす
(2)後続処理設備の空き時間が閾値未満であり、且つ、先行処理設備の空き時間が閾値以上である場合は、先行処理設備の重み係数を所定値減ずる。
(3)後続処理設備の空き時間が閾値未満であり、且つ、先行処理設備の空き時間が閾値未満である場合は、先行処理設備の処理量が後続処理設備の処理量以上であれば先行処理設備の重み係数を所定値減じ、先行処理設備の処理量が後続処理設備の処理量未満であれば先行処理設備の重み係数を所定値増やす。
【0069】
表2の例において、閾値を3%とした場合の重み係数調整について説明する。重み係数c
1の調整においては、先行処理設備がスリッタ設備11であり、後続処理設備が熱処理設備12である。スリッタ設備11の空き時間(44.2%)は閾値以上であり、熱処理設備12の空き時間(1.7%)は閾値未満である。したがって、(2)の条件に合致するため、重み係数c
1を所定値減少させることになる。例えば、重み係数c
1を1、減少量を0.1とすれば、次回の重み係数c
1は0.9となる。このように重み係数を調整することで、より効率的な生産スケジュールを決定するためのディスパッチルールを規定できる。
【0070】
重み係数c
2の調整においては、先行処理設備が熱処理設備12であり、後続処理設備が表面処理設備13である。熱処理設備12の空き時間(1.7%)は閾値未満であり、表面処理設備13の空き時間(8.7%)は閾値以上である。したがって、(1)の条件に合致するため、重み係数c
1を所定値増加させることになる。ただし、重み係数c
2が1の場合、これは重み係数の上限値であるため、次回の重み係数c
2は増加されることなく1のままとなる。
【0071】
また、(3)の条件に合致する場合、生産重量、生産個数などの評価期間あたりの処理量が先行処理設備と後続処理設備とのそれぞれについて計算され、例えば次式のように計算される。
処理量=評価単位時間(例えば、1日)×稼働率÷平均工程時間
例えば、重み係数c
2を調整する場合に、熱処理設備12の処理量が表面処理設備13の処理量以上であれば重み係数c
2を所定値(例えば、0.1)減じ、熱処理設備12の処理量が表面処理設備13の処理量未満であれば重み係数c
2を所定値(例えば、0.1)増やす。
【0072】
重み係数c
1及びc
2を調整すると、CPU301は、ステップS102へ処理を移す。これにより、調整後の重み係数c
1及びc
2を用いて、再度シミュレーション処理が行われる。
【0073】
他方、生産スケジュール決定処理の終了条件を満たしている場合(ステップS107においてYES)、CPU301は、生産スケジュール決定処理を終了する。
【0074】
上記のように構成することで、生産スケジュール決定装置100は、処理設備による処理待ちの一の処理対象物の優先度を、当該処理設備による処理待ちの処理対象物のうち、優先度を決定する対象の一の処理対象物と段取り替え属性値が同一の処理対象物の工程時間の合計に基づいて決定する。ここで、一の処理対象物と段取り替え属性値が同一である処理対象物は、当該処理設備において一の処理対象物に続いて処理する場合に段取り替えが生じない処理対象物である。段取り替えが生じない処理対象物を連続して処理すれば、複数の処理対象物を効率的に処理できる。このため、一の処理対象物の優先度を、一の処理対象物に続いて処理する場合に段取り替えが生じない処理対象物を考慮して決定することで、複数回後の処理を考慮して生産スケジュールを決定でき、中長期的な生産性を向上させることができる。
【0075】
(その他の実施の形態)
上述した実施の形態では、一の処理対象物の優先度を、処理設備における一の処理対象物の工程時間と、一の処理対象物と段取り替え属性値が同一の処理対象物の工程時間との合計に基づいて決定する構成について述べたが、これに限定されるものではない。例えば、処理設備における処理待ちの処理対象物のうち、優先度を決定する対象の処理対象物と段取り替え属性値が同一の処理対象物の数を計数し、この数に基づいて優先度を決定する等、工程時間以外の情報を用いることも可能である。しかし、工程時間を用いれば、段取り替えが生じない処理対象物を連続して処理する工程時間が長くなるほど優先度を高くするようにできる。この結果、段取り替えが生じずに連続処理が可能な処理対象物が次の処理対象物として選択され、効率的な処理が可能となる。したがって、工程時間を用いる構成とすることが好ましい。
【0076】
また、上述した実施の形態では、一の処理対象物の優先度を、処理設備における一の処理対象物の工程時間と、一の処理対象物と段取り替え属性値が同一の処理対象物の工程時間との合計と、一の処理対象物を処理するために生じる段取り替え時間とに基づいて決定する構成について述べたが、これに限定されるものではない。段取り替え時間を考慮することなく、工程時間の合計によって優先度を決定する構成とすることもできる。しかし、連続して段取り替えが生じることなく処理できる処理対象物の工程時間が長くても、その処理対象物に切り替える際に生じる段取り替え時間が長ければ、効率的に処理できない可能性がある。したがって、工程時間の合計だけでなく、段取り替え時間をも考慮することで、効率的な生産スケジュールを決定できるため、段取り替え時間を考慮する構成とすることが好ましい。
【0077】
また、上述した実施の形態では、優先度E
j,iを、先行処理設備の生産性指標γ
j,iiと後続処理設備の生産性指標γ
j,ii+1とに基づいて決定する構成について述べたが、これに限定されるものではない。後続処理設備の生産性指標γ
j,ii+1を用いず、先行処理設備の生産性指標γ
j,iiのみを用いて優先度を決定することもできる。ただし、先行処理設備の生産性指標γ
j,iiだけでなく、後続処理設備の生産性指標γ
j,ii+1も考慮して優先度を決定することで、中長期的な生産性を向上させることができるため、後続処理設備についての生産性指標γ
j,ii+1を用いる構成とすることが好ましい。
【0078】
また、上述した実施の形態では、スリッタ設備11、熱処理設備12、及び表面処理設備13の3つの処理設備を有する生産ライン10についての生産スケジュールを決定する構成について述べたが、これに限定されるものではない。1つの処理設備のみを有する生産ラインについての生産スケジュールを決定する構成としてもよいし、3以外の複数の処理設備を有する生産ラインについての生産スケジュールを決定する構成としてもよい。1つの処理設備のみを有する生産ラインについての生産スケジュールを決定する場合、後続処理設備が存在しないため、先行処理設備の生産性指標γ
j,iiを優先度E
j,iとすればよい。
【0079】
また、上述した実施の形態では、単一のコンピュータ200によって生産スケジュール決定プログラム140のすべての処理が実行される構成について述べたが、本発明はこれに限定されるものではなく、生産スケジュール決定プログラム140と同様の処理を、複数の装置(コンピュータ)により分散して実行する分散システムとすることも可能である。