【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、請求項1の特徴を有する装置、各独立項の特徴を有する方法、位置調整デバイスによって解決される。本発明の更なる実施の形態は、従属項において規定される。
【0009】
ロボット支援手術のための創造性のある装置は、手術器具を含む器具ユニットを有し、その近位端は、患者の身体開口部を通して装置の座標系の座標によって定義された目標領域に通過可能である。更に、装置は、光束として光を放射する位置調整デバイスを含む。装置は、位置調整デバイス又は器具ユニットが任意に接続可能である少なくとも1つのマニプレータアームを含む。マニプレータアームに位置調整デバイスを接続する時に、位置調整デバイスによって放射された光束の中心軸の位置は、位置調整デバイスの代わりにマニプレータアームに接続される器具ユニットの器具軸の長手軸の位置に対応する。装置は、位置調整デバイスがマニプレータアームに接続される時に、中心軸に垂直であり、中心軸と座標によって定義された目標領域との間の距離ベクトルを測定し、距離ベクトルの測定量が第1の設定値を有するか、及び/又はそれ未満に下がる時に、第1の制御情報を生成し、好ましくは、出力する制御ユニットを含む。
【0010】
そのようなロボット支援手術のための装置によって、位置調整デバイスの代わりにマニプレータアームに接続される器具ユニットが装置の座標系X,Y,Zの座標x
Z,y
Z,z
Zによって定義された目標領域と手術される患者の身体の計画された入口点とに対して適切な位置に存在するように、位置調整デバイスによってマニプレータアームを簡単に位置調整することができる。位置は、特に、器具ユニットの手術器具の器具軸の長手軸の位置と方向とを含む。
【0011】
その結果として、患者の手術に先立ってロボット支援手術のための装置のマニプレータアームを簡単に方向調整することが可能である。これは、マニプレータアームの位置調整と方向調整とを医師によって行う必要は無く、適切なスタッフによって行うことができることを可能にする。医師は、位置調整デバイスによって位置調整された器具ユニットの位置をチェックするための役割のみを担う。本発明の意味における手術器具は、特に、ロッド内視鏡等の内視鏡又はエンドエフェクタを有する手術器具である。
【0012】
距離ベクトルの測定量が第2の設定値を有するか、又はそれ未満に下がる時は常に、制御ユニットが少なくとも第2の制御情報を生成し、好ましくは、出力する場合に有利である。第2の制御情報によって、目標領域に対する器具ユニットの器具軸の長手軸の位置の適切な方向を示すことができる。
【0013】
好ましくは、光束の中心軸又は手術器具の長手軸が目標領域を貫くように、第2の設定値は、ゼロであるか、又はゼロに近い値である。その結果として、空間におけるマニプレータアームの位置に対する特に簡単な位置調整と手術器具の長手軸に対するマニプレータアームの方向調整とが可能である。
【0014】
垂直の距離ベクトルの測定量は、好ましくは、中心軸と目標領域との間の最短の垂直の距離ベクトルの量である。
【0015】
更に、生成された第1の制御情報と生成された第2の制御情報とを制御ユニットが位置調整デバイスに伝送する場合に有利である。このように、制御情報を更に処理することができると共に位置調整デバイスに出力することができる。
【0016】
更に、装置及び/又は位置調整デバイスが、第1の制御情報に基づいて第1の音響信号及び/又は第1の光信号を出力し、及び/又は第2の制御情報に基づいて第2の音響信号又は第2の光信号のみを出力する出力装置を有する場合に有利である。光信号及び/又は音響信号によって、マニプレータアームの適切な位置調整が手術に先立って簡単な方法で支援されるように、マニプレータアームに接続された位置調整デバイスの適切な方向と修正を待っている方向とをユーザに簡単に通知することができる。第1の光信号及び/又は第2の光信号は、位置調整デバイスによって放射された光束によって、特に、光束によって放射された光の波長スペクトルの波長の変化によって、光束の形状の形態/変化によって、及び/又は光パルスの出力又は周波数の変化及び/又は光パルスの時間によって出力することができる。
【0017】
更に、第1の音響信号が上昇トーン及び下降トーン又は第1の反復率を有するトーンシーケンスである場合、及び第2の音響信号が連続トーンである場合に有利である。トーンシーケンスは、好ましくは、幾つかの同一のトーンを含む。反復率は、反復率を通じて目標領域からの距離に関しての概算又は増加についてユーザに音響的に通知されるように、距離ベクトルの測定量の減少と共に増加することができる。
【0018】
音響信号は、制御パネル又は位置調整デバイスの制御ユニットにおいて出力することができる。
【0019】
代わりに又は更に、第1の光信号が第1の点滅率を有する点滅光信号であると共に第2の光信号が連続光信号であることができる。ここで、第1の光信号の光と第2の光信号の光は、同一の波長又は同一の波長スペクトルを有することができる。点滅信号は、特に、パルス光線によって生成される。連続光信号は、好ましくは、連続的な光線によって生成される。点滅率は、目標領域に対する距離ベクトルの量の減少と共に増加し、目標領域に対する距離ベクトルの量の増加と共に低下することができる。光信号は、制御パネル又は位置調整デバイスの制御ユニットにおいて出力することができる。
【0020】
代わりに又は更に、位置調整デバイスが、第1の光信号を生成するために、第1の波長を有する光を放射し、第2の光信号を生成するために、第1の波長と異なる第2の波長を有する光を放射する場合に有利である。光信号を生成するために、可視領域の波長を有する光が使用される。好ましくは、第1の波長の光が赤色光であり、第2の波長の光が緑色光である。このように、ユーザは、光信号によって簡単に直観的に知覚することができるマニプレータアームの位置と方向とに関しての情報を得る。光信号は、制御パネル又は位置調整デバイスの制御ユニットにおいて出力することができる。
【0021】
第1の光信号及び/又は第2の光信号を生成するために、位置調整デバイスが光束を放射するユニットを装備し、それによって、十字線及び/又は光束の中心軸の周囲に同心的に配置される少なくとも1つの円が投影領域において画像化される場合に特に有利である。投影領域は、患者の身体表面又は患者の身体に既に挿入されたトロカールであることができる。このように、既存の又は意図された、特に、患者の身体に手術器具を挿入するために既に印を付けられた入口点に対して光ビームを方向調整することが簡単に可能である。十字線及び/又は同心的に配置された円を、この所望の入口点に対して容易に方向調整することができる。
【0022】
ここで、第1の光信号及び/又は第2の光信号を生成するための光ビームが15°と35°との間の範囲の角度で放射される場合に有利である。その結果として、患者の表面に又は患者の身体に挿入されたトロカールに光信号を投影するための適切な結像領域を簡単に形成することが可能である。第1の光信号及び/又は第2の光信号を生成するための光束によって、光束の中心軸の周囲に同心的に配置された幾つかの円の画像化が行われ、好ましくは、円が合計発射角に対して同一の角距離を有する場合に特に有利である。好ましくは、各円の間の距離角度アルファ(k)の量は、以下の方程式によってもたらされる: アルファ(k)=アルファ(g)/(2*i)
ここで、アルファ(g)が合計発射角であると共にiが円の数である。
【0023】
5つの円の場合は、相互に対する円の角距離アルファ(k)は、28.2°の合計発射角が与えられた2.82°である。
【0024】
更に、位置調整デバイスが、第1の光信号及び/又は第2の光信号を生成するための、及び/又は第1の音響信号及び/又は第2の音響信号を生成するための信号生成ユニットを供給するためのエネルギ源を有する場合に有利である。信号生成ユニットは、電子回路の一部であることができる。その結果として、位置調整デバイスによってマニプレータアームを位置調整するために必要とされる情報は、位置調整デバイスによって簡単且つ直接に出力することができ、その結果として、その簡単且つ小型な構造が可能である。
【0025】
エネルギ供給ユニットは、電池、アキュムレータ、キャパシタ、又はマニプレータアームの連結ユニットから位置調整デバイスまでの無線エネルギ伝送のための配置であることができる。エネルギ供給ユニットは、マニプレータアームの連結ユニット側にRFID読取及び/又は書込ユニットを含むことができ、それによって位置調整デバイスのRFID配置にエネルギが供給されると共にRFID読取及び/又は書込ユニットと位置調整デバイスとの間のデータ伝送が可能である。代わりに又は更に、無線エネルギ供給のための先行技術において一般に知られているように、エネルギ伝送のためにコイル配置を使用することができる。
【0026】
更に、制御ユニットの制御信号及び/又は更なる情報が、光インタフェースを通じて光学的に又は電気接点を通じた固定有線接続を通じて、無線データ伝送によって無線方式で位置調整デバイスに伝送可能である場合に有利である。
【0027】
このために、位置調整デバイスは、RFIDトランスポンダを有することができ、情報は、レジスタ又はRFIDトランスポンダのメモリに書き込まれる。第1の制御情報と第2の制御情報は、マニプレータアームの連結ユニットのRFID読取及び/又は書込ユニットによってRFIDトランスポンダに伝送することができる。第1の光信号及び/又は第2の光信号を生成するために、位置調整デバイスは、好ましくは、光源を含み、特に、光源は、少なくとも1つのレーザ光源、少なくとも1つの単色のLED光源、又は多色のLED光源を含み、LED光源は、少なくとも2つのLEDを含み、LEDは、異なる波長を有する光を放射し、少なくとも光バルブは、カラーフィルタを有するか、又は有さない。このように、光束を放射するための光は、位置調整デバイスにおいて簡単に生成することができる。
【0028】
エネルギ及び/又はデータ伝送は、電気接点及び/又は無線を通じて、及び/又は位置調整デバイスと連結ユニットとの間の光インタフェースを通じて二方向で行うことができる。
【0029】
更に、位置調整デバイスと器具ユニットの両方が、マニプレータアームの連結ユニットに接続された殺菌ロックを通じてマニプレータアームに接続可能である場合に有利である。この殺菌ロックを通じて、殺菌領域からの無殺菌連結ユニットの殺菌分離を行うことができる。殺菌ロックに器具ユニットの殺菌ユニットを連結する時に、殺菌ユニットと連結ユニットのエレメントの間の直接接続を確立することができるように、殺菌ロックの殺菌フラップは、好ましくは、開放される。殺菌ロックに位置調整デバイスを接続する時に、ロックフラップは開放されるか、又は閉鎖され続ける。殺菌ロックから位置調整デバイスを分離した後に、ロックフラップが閉鎖される。好ましくは、殺菌ユニットは、伝達エレメントの間の、特に、連結ユニットと殺菌ユニットとの間の機械的駆動エレメントの直接接続が可能であるように、殺菌ロックに殺菌ユニットを接続する時に開放される殺菌フラップを有する。殺菌ロックから殺菌ユニットを分離した後に、殺菌ユニットの伝達エレメントと連結ユニットの伝達エレメントの両方が殺菌方法で保護されるように、ロックフラップと殺菌フラップの両方が再び閉鎖される。殺菌ユニットを通じて、更に、連結ユニットと位置調整デバイスとの間の電気的接続及び/又は光学的接続を確立することができる。
【0030】
本発明の第2の態様は、ロボット支援手術のための装置の座標系におけるマニプレータアームの位置調整を支援するための位置調整デバイスに関し、位置調整デバイスは、器具ユニットの代わりにマニプレータアームの連結ユニットに接続可能である。位置調整デバイスは、光束として光を放射する光源を有し、連結ユニットに接続された位置調整デバイスの光源によって放射された光束の中心軸の位置は、連結ユニットに接続された器具ユニットの手術器具の長手軸を有する位置に対応する。更に、位置調整デバイスは、中心軸に垂直であり、座標系の座標x
Z,y
Z,z
Zによって定義された目標領域と中心軸の間の距離ベクトルの測定量が第1の設定値を有するか、又はそれ未満に下がることを示す第1の制御情報を受信するためのインタフェースを有する電子回路を有する。そのような位置調整デバイスによって、マニプレータアームは、簡単に測定目標領域に対して位置調整、即ち、対応する位置と方向とにもたらすことができる。電子回路のインタフェースは、好ましくは、装置の制御ユニットを有するインタフェースであり、制御ユニットは、好ましくは、中心軸に垂直であり、座標系の座標x
Z,y
Z,z
Zによって定義された目標領域と中心軸との間の距離ベクトルの量を測定し、測定量が第1の設定値を有するか、又はそれ未満に下がるか否かを検査する。検査の結果に依存して、制御ユニットは、第1の制御情報及び/又は第2の制御情報を生成し、それを電子回路にインタフェースを介して送信する。
【0031】
更に、電子回路のインタフェースは、目標領域の座標x
Z,y
Z,z
Zと中心軸との間の距離ベクトルの量が第2の設定値を有するか、又はそれ未満に下がることを示す第2の制御情報を受信する役割を果たすことができる。好ましくは、第2の設定値は、ゼロである。
【0032】
第3の態様は、ロボット支援手術のための装置の座標系にマニプレータアームを配置する方法に関し、そこにおいて患者の目標領域の座標x
Z,y
Z,z
Zが測定される。特に、患者に関する手術の準備において、ロボット支援手術のための装置のマニプレータアームを位置調整するために、位置調整デバイスは、器具ユニットの代わりにマニプレータアームの連結ユニットに接続される。光は、位置調整デバイスによって光束として放射され、連結ユニットに接続された位置調整デバイスによって放射された光束の中心軸の位置は、位置調整デバイスの代わりにマニプレータアームに接続された器具ユニットの手術器具の長手軸の位置に対応する。手術器具の長手軸は、特に、手術器具の器具軸の長手軸である。マニプレータアームに位置調整デバイスを接続する時に、中心軸に垂直であり、中心軸と座標x
Z,y
Z,z
Zによって定義された目標領域との間の距離ベクトルの量は、制御ユニットによって測定される。測定量が第1の設定値を有するか、及び/又はそれ未満に下がる時に、第1の光信号及び/又は音響信号が出力される。従って、意図された、特に、既に印付けされた、又は既存の患者の手術中の身体開口部と目標領域の両方を通じて、光束の中心軸又は続く手術器具の長手軸が延びることが保証される。その結果として、特に、手術のためにロボット支援手術のための装置の準備において、マニプレータアームを簡単に直観的に適切に位置調整することが容易に可能である。このために、特別に訓練された医療スタッフ、特に、医師は不要である。
【0033】
更に、距離ベクトルの測定量が第2の設定値を有するか、又はそれ未満に下がる時は常に、第2の光信号及び/又は音響信号が出力される場合に有利である。好ましくは、この第2の設定値は、ゼロである。
【0034】
光束の中心軸が、意図された、特に、印付けされた、又は患者の既存の手術中の身体開口部を通じて延びるように、マニプレータアームは、好ましくは、手動で方向調整される。更に、第1の光信号及び/又は音響信号、及び/又は第2の光信号及び/又は音響信号が出力されるように、マニプレータアームが方向調整される。
【0035】
更に、最初に、光束の中心軸が、意図された、特に、既に印付けされた、又は患者の現存の手術中の身体開口部を通して延びるように、マニプレータアームが方向調整されると共に、第1の光信号及び/又は音響信号、及び/又は第2の光信号及び/又は音響信号が出力される場合に有利である。その結果として、距離ベクトルの測定量が第2の値を有するか、又はそれ未満に下がるまで、簡単にマニプレータアームの更なる方向調整と位置調整とが可能である。
【0036】
第1のステップにおいて、光束の中心軸が、意図された、又は既存の手術中の患者の身体開口部を通じて延びるように、マニプレータアームが方向調整され、第2のステップにおいて、第2の光信号及び/又は音響信号が出力されるように、制御ユニットによって測定され、意図された、又は既存の手術中の患者の身体開口部を通って延びる中心軸と座標によって定義された目標領域との間の距離が第2の設定距離を有するか、又はそれ未満に下がるように、マニプレータアームが移動される場合に有利である。このために、マニプレータアームは、装置自身によって機械的に又は手動で移動される。同様に、方向調整移動の一部を装置自身によって機械的に行うことができ、方向調整移動の一部をユーザによって手動で行うことができる。
【0037】
更に、第3のステップにおいて、位置調整デバイスをマニプレータアームから分離することができ、第4のステップにおいて、器具ユニットをマニプレータアームに接続することができる。ここで、第3のステップと第4のステップの両方において、マニプレータアームの位置と方向は、第2のステップにおいて測定された位置と方向のままである。
【0038】
代わりに、第1のステップにおいて、制御ユニットによって測定され、中心軸と目標領域の座標x
Z,y
Z,z
Zとの間の距離ベクトルの量が第2の設定距離を有するか、又はそれ未満に下がるように、マニプレータアームを方向調整することができる。第2のステップにおいて、光束の中心軸が、既存の又は意図された、特に、印付けされた手術中の身体開口部を通して延びると共に、光束の中心軸が目標領域に方向調整され続けるように、マニプレータアームが方向調整される。ここで、マニプレータアームは、第1のステップ及び/又は第2のステップにおいて、装置自身によって機械的に及び/又はユーザによって手動で移動させることができる。
【0039】
第3のステップにおいて、位置調整デバイスがマニプレータアームから分離され、第4のステップにおいて、器具ユニットがマニプレータアームに接続される場合に特に有利である。第3のステップと第4のステップの実行中において、マニプレータアームの位置と方向は変わらない、即ち、第2のステップ中にもたらされた位置と方向のままである。
【0040】
独立項と従属項として本発明の目的のために図示された解決策によって、ロボット支援手術のための装置のマニプレータアームの手動及び/又は自動のプレ位置調整による器具ユニットの最適なプレ位置調整を達成することが可能である。本発明によれば、このために、位置調整デバイスは、手術器具を有する現存の器具ユニットの代わりにマニプレータアームの連結ユニットに接続される。ここで、位置調整デバイスは、以下の幾つかの機能を果たす:
【0041】
1.患者の表面への光束の投影によって、特に、十字線又は同心円等の光学的に認識することができるパターンの投影によって、患者の身体に手術器具を挿入するための意図された、又は既存の身体開口部の位置調整がユーザに示される。光ビーム又はパターンは、マニプレータアームに接続された器具ユニットの手術器具が入り込む患者の身体の位置を示す。この位置に、貫通された手術器具の器具軸を通してトロカールが挿入される。
【0042】
2.投影された光束の色又はパターンによって、及び/又は音響信号によって、器具ユニットの手術器具の器具軸の延長が目標領域を通過するように、マニプレータアームの連結ユニットによって形成された連結インタフェースの方向調整が行われたか否かを示す情報がユーザに出力される。従って、例えば、緑の十字線は、器具軸の適切な方向調整を示すことができ、赤い十字線は、器具軸の延長又はその長手軸が目標領域を指し示すように、マニプレータ軸に接続される器具ユニットの器具軸の方向が方向調整されていないことを示す。マニプレータアームは、伸縮自在配置の伸縮自在軸の方向において連結ユニットを移動させるための伸縮自在配置を有することができる。伸縮自在配置の拡張中と収縮中に、器具軸がその拡張された長手軸に沿って移動する、即ち、空間における長手軸の位置が一定のままであるように、伸縮自在配置の位置が制御される。
【0043】
前述の2つの機能の組み合わせによって、ユーザは、位置調整(光ビームは、位置を所望の入口点に投影する)と方向調整(例えば、光束の対応する色、特に、緑、及び/又は音響信号によって)とが同時に上手く設定されたか否かを認識する。この位置において、位置に挿入されたトロカールは、このために、最善の方法で任意に提供されたマニプレータアームの連結インタフェースに接続することができる。如何なる場合も、この位置におけるマニプレータアームは、意図された手術のための最善の初期位置に存在する。
【0044】
好ましくは、患者の解剖に関連する領域、特に、目標領域は、患者の座標系X’,Y’,Z’の座標x’
Z,y’
Z,z’
Zによって定義される。患者の座標系X’,Y’,Z’の座標原点は、例えば、背部に位置する前額面と横断面とを有する正中面の交差点において定義される。装置のエレメントの座標x,y,zを患者の座標系X’,Y’,Z’の座標x’,y’,z’に簡単に変換することができるように、患者の座標系の座標は、ロボット支援手術のための装置の座標系X,Y,Zに固定された既知の関係に存在し、目標領域の座標x’
Z,y’
Z,z’
Z等の患者の座標系X’,Y’,Z’の座標x’,y’,z’は、装置の座標系X,Y,Zの座標x
Z,y
Z,z
Zに簡単に変換することができる。
【0045】
例えば、患者の座標系X’,Y’,Z’における目標領域の座標x’
Z,y’
Z,z’
Zは、患者の手動測定で測定することができ、例えば、巻尺によって行われる。ここで、患者の座標系X’,Y’,Z’における目標領域の座標x
Z,y
Z,z
Zのセンチメートル単位の測定とこれらの装置の座標系X,Y,Zの座標x
Z,y
Z,z
Zへの変換は、手術器具を十分に適切に位置調整すると共に方向調整することができるように複合的に十分精度を提供する。代わりに、目標領域の測定は、装置の座標系X,Y,Zの座標x
Z,y
Z,z
Zにおいて直接に行うことができる。
【0046】
更に、コンピュータ断層撮影法又は磁気共鳴断層撮影法等の最新の画像化法は、患者の座標系X’,Y’,Z’における座標とそれに基づいた装置の座標系における座標のより正確な測定を生じさせるデータを提供する。
【0047】
好ましくは、位置調整デバイスは、軸を有し、その位置と方向は、位置調整デバイスの代わりにマニプレータアームに接続可能な器具ユニットの手術器具の器具軸の位置と方向に対応する。位置調整デバイスの軸は、好ましくは、マニプレータアームの伸縮自在配置の退縮された状態において、軸が位置に挿入されたトロカールに略1cmだけ挿入される長さを有する。この状態においては、マニプレータアームに任意に存在するトロカールホルダをトロカールに接続することができる。伸縮自在配置の退縮された状態においては、軸の近位端は、5cmから30cmまでの範囲、好ましくは、10cmから25cmまでの範囲の距離を有し、及び/又は任意のトロカールホルダのガイドエレメントをその近位端に接触させる。位置調整デバイスによるマニプレータアームの方向調整によって、トロカールホルダは、位置調整デバイスの軸が1cmだけトロカールに挿入される時に、トロカールに接続するために言わば機械的に正確に配置される。
【0048】
目標領域のプレ動作可能に測定されたデータと組み合わせて、特に、コンピュータ断層撮影法又は磁気共鳴断層撮影法によって、光束の中心軸の延長の位置又は目標領域に対する器具軸の長手軸(器具ユニットのための位置調整デバイスを交換した後)は、ユーザの視野にマウントされた追加のモニタ上の位置調整デバイスによって構成中とドッキング中に図示することができる。このために、好ましくは、器具軸の長手軸に垂直であり、患者のCTデータセット及び/又はMRTデータセットによる面が図示される。CTデータセット及び/又はMRTデータセットによる面は、目標手術領域に延びる。従って、ユーザは、意図された手術のためにロボット支援手術のための装置のマニプレータアームを最善の方法で構成することができるように、既存の又は意図された手術中の身体開口部の投影光線と光束の中心軸又は目標領域に対する手術器具の長手軸の間の距離に関しての追加の音響情報と光情報とに加えて、更なる判断ツールを与えられる。ロボット支援手術のための装置は、好ましくは、幾つかの、特に、4つ又は5つのマニプレータアームを有し、好ましくは、1つのマニプレータアームは、内視鏡に接続され、別のマニプレータアームは、手術を行うためのエンドエフェクタを有する手術器具を備えた器具ユニットに接続される。特に、エンドエフェクタを有する手術器具を備えた器具ユニットのために提供されたマニプレータアームは、好ましくは、手術に必要とされる操作を続けて実行するために位置調整デバイスによって連続的に位置調整されると共に方向調整される。マニプレータアームを構成するために関連する目標領域が空間的次元を有するように、目標領域の座標は、好ましくは、空間的領域を示すことができる。同様に、各手術器具のために、個別の目標領域を提供することができ、目標領域は、少なくとも部分的に相互を重複するかもしれない。
【0049】
位置調整デバイスは、好ましくは、位置調整デバイスを機械的に識別し、手術の殺菌手術現場において、手術における幾つかのマニプレータアームの位置調整のために使用することができる位置調整デバイスの使用を保証し、及び位置調整デバイス及び/又は制御ユニットに制御情報を送信するために、ロボット支援手術のための装置の制御ユニットに、及び/又はロボット支援手術のための装置の制御ユニットから位置調整デバイスに情報を伝達するための送信及び/又は受信ユニットを有する電子回路を含む。
【0050】
位置調整デバイスは、電子回路にエネルギを供給するために、アキュムレータ又はバッテリ等の自身のエネルギ源を有することができ、或いは、位置調整デバイスは、マニプレータアームの連結ユニットに電気的に接続するための電気接点を有し、及び/又はマニプレータアームの連結ユニットから位置調整デバイスにエネルギを伝達するための連結コイル及び/又はアンテナを含む。
【0051】
光は、好ましくは、特に、十字線、又は患者の表面又は患者に挿入されたトロカール上の同心円等の所望の光パターンを投影するビーム形成光学系等の投影デバイスによって位置調整デバイスから放射される。
【0052】
ロボット支援手術のための装置の制御ユニットは、患者の座標系及び/又は装置の座標系における目標領域の座標を入力すると共に記憶し、マニプレータアームのセグメントの位置から挿入される器具の方向調整を計算し、位置調整デバイスの使用を制御し、特に、位置調整デバイスを検出すると共に種々の手術における位置調整デバイスの多重使用から保護し、制御ユニット及び/又は位置調整デバイスにおいて、光源を消灯し、光源の緑色光のみを点灯し、光源の赤色光のみを点灯し、又は光源の白色光のみを点灯し、光源の緑色光のみを点灯し、光源の赤色光のみを点灯する切り替え状態の活性化等の光信号及び/又は音響信号の活性化を制御する役割を果たす。
【0053】
位置調整デバイスの電子回路は、特に、RFIDタグを含むか、又はそれによって形成することができる。
【0054】
目標領域は、特に、目標手術領域である。代わりに又は更に、目標領域は、目標手術領域の中央点又は別の手術器具の位置に依存する点等の目標点によって定義することができる。別の手術器具がロッド内視鏡等の患者の身体に既に少なくとも部分的に挿入された内視鏡、又は目標手術領域の少なくとも詳細な画像を取り込むための別の画像処理システムである時に、目標領域が内視鏡又は別の画像処理システムの位置に依存する場合に有利である。例えば、目標領域は、内視鏡の光学エレメントの光軸又は別の画像処理システムの光学エレメントの光軸の点によって定義することができる。目標点は、特に、被写界深度の点、例えば、焦点又は焦点と内視鏡の近位端との間の点である。
【0055】
別の画像処理システムは、特に、不可視光に基づいた光学システム、特に、X線システム、コンピュータ断層撮影システム、磁気共鳴断層撮影システム、又は別の適切な画像処理システムであることができる。
【0056】
一般に、患者に向く任意のエレメントの端が近位端として考慮される。一般に、患者から見て外方に向く任意のエレメントの端が末端として考慮される。
【0057】
更なる特徴と利点は、添付された図面に関連する実施の形態に基づいて本発明についてより詳細に説明する以下の明細書からもたらされる。