特許第6804885号(P6804885)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6804885吸排気ユニット、吸排気装置、および吸排気装置の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6804885
(24)【登録日】2020年12月7日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】吸排気ユニット、吸排気装置、および吸排気装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/20 20060101AFI20201214BHJP
   G06F 1/20 20060101ALI20201214BHJP
【FI】
   H05K7/20 H
   G06F1/20 B
   G06F1/20 D
   G06F1/20 E
【請求項の数】8
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-139894(P2016-139894)
(22)【出願日】2016年7月15日
(65)【公開番号】特開2018-11002(P2018-11002A)
(43)【公開日】2018年1月18日
【審査請求日】2019年6月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100124154
【弁理士】
【氏名又は名称】下坂 直樹
(72)【発明者】
【氏名】杉山 充
(72)【発明者】
【氏名】戸村 彰男
【審査官】 齊藤 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−105256(JP,A)
【文献】 米国特許第6364761(US,B1)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0113015(US,A1)
【文献】 特開2006−220146(JP,A)
【文献】 特開平2−199299(JP,A)
【文献】 特開2010−270630(JP,A)
【文献】 特開2008−263078(JP,A)
【文献】 特開2002−242878(JP,A)
【文献】 特開平2−215196(JP,A)
【文献】 特開2010−205968(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F1/20
H05K7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気口と排気口のそれぞれに少なくとも1つの吸排気ユニットを備える吸排気装置に用いられる吸排気ユニットは、
転倒を指示する信号に応じて取付枠を転倒させる転倒手段を有する送風機と、
前記送風機の異常を検知すると異常を通知する信号を発信する異常検知手段と、
前記異常を通知する信号を受信すると前記転倒手段に転倒を指示する信号を発信する制御部とを備える吸排気ユニットであって、
前記転倒手段は、
前記送風機に取付けられた転倒用のばねと、
前記ばねの力に反して前記転倒を阻止する、電磁石と磁性体を備えた第1のロックを備え、
前記第1のロックは、
前記転倒を指示する前記信号を受信しないと電磁石が通電して前記ばねの力より強い力で磁性体と引付けあい、前記転倒を指示する前記信号を受信すると前記電磁石の通電を停止し、
前記送風機が取り付けられるベースプレートに、前記送風機と前記ベースプレートをロックする第2のロックを備え、前記第2のロックは、前記電磁石へ通電しているときは解除され、通電がないときはロックされている吸排気ユニット。
【請求項2】
前記異常検知手段は、前記送風機に供給される電力の電圧または電流を監視するものであり、前記電圧または前記電流が一定値より低下すると異常と検知する異常検知手段であることを特徴とする請求項1に記載の吸排気ユニット。
【請求項3】
前記異常検知手段は、前記送風機に取り付けられた温度センサであり、前記送風機の温度が一定値以上になると、異常と検知する異常検知手段であることを特徴とする請求項1に記載の吸排気ユニット。
【請求項4】
前記異常検知手段は、前記吸排気装置内部に配置された温度センサであり、前記吸排気装置の内部温度が一定値以上になると、異常と検知する異常検知手段であることを特徴とする請求項1に記載の吸排気ユニット。
【請求項5】
前記異常検知手段は、前記送風機に直接、若しくは前記送風機の近傍に取り付けられた振動センサであり、前記振動センサが監視する振動が一定値以上になると、異常と検知する異常検知手段であることを特徴とする請求項1に記載の吸排気ユニット。
【請求項6】
請求項2から請求項5のいずれか一項に記載される2つ以上の異常検知手段を備えることを特徴とする吸排気ユニット。
【請求項7】
吸気口と排気口のそれぞれに請求項1に記載の吸排気ユニットを少なくとも1つ備える吸排気装置であって
異常を通知する信号を受信すると前記転倒手段に転倒を指示する信号を発信する制御部を備えることを特徴とする吸排気装置。
【請求項8】
吸気口と排気口のそれぞれに請求項1に記載の吸排気ユニットを少なくとも1つ備える吸排気装置の制御方法であって、
前記吸排気ユニットが有する送風機の異常を検知すると、
前記送風機が取付けられる取付枠の転倒手段に転倒を指示する信号を発信することを特徴とする吸排気装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸排気ユニット、吸排気装置、および吸排気装置の制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
サーバー等の電子機器の吸排気装置として、吸気口と排気口それぞれに送風機を取り付けるプッシュプル(push-pull)方式を用いるものがある。非特許文献1には、プッシュプル方式の吸排気装置の例が記載されている。
【0003】
プッシュプル方式の吸排気装置は、正常動作では図9に示すように通気性が確保されている。尚、図9乃至図13の図中の矢印は空気の流れを模式的に示している。
【0004】
しかし、送風機の故障等の原因で送風機が停止した場合、図10もしくは図11のように送風機の取付部、および停止した動翼(羽根)自体が通気の妨げとなり、電子機器の内部の熱を外部へ排出することが出来なくなる。その結果、電子機器の内部の温度が急上昇して電子機器の温度保護装置が動作して、電子機器が運転停止してしまう場合がある。或いは、電子機器の内部の温度上昇により、電子機器の本体の故障を誘発する場合もある。
【0005】
そこで、高可用性が要求される装置のなかには、送風機が停止したことを保守作業者に通知し、停止した送風機の交換を促す機能を有するものがある。
【0006】
或いは、図14のように複数の送風機を使用することで、送風機の稼働に冗長性を持たせて、送風機が1台故障しても温度上昇を防ぐ対策をとるなどの対策がなされているものもある。
【0007】
尚、特許文献1および特許文献2では、送風機を用いた吸排気構造が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−006993号公報
【特許文献2】特開昭58−117936号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】「コンパクトサーバ PRIMERGY TX120を実現する革新技術」雑誌FUJITSU 2007-9月号 (VOL.58, NO.5) 富士通株式会社http://www.fujitsu.com/downloads/JP/archive/imgjp/jmag/vol58-5/paper08.pdf
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、図14のように複数の送風機を使用すると、送風機の故障時にも可用性を維持出来るが、送風機の数が多くなることで電子機器の形状が大きくなってしまう。
【0011】
本発明の吸排気ユニット(unit)、吸排気装置、および吸排気装置の制御方法は、少ない送風機の数で、送風機の故障時にも可用性を維持することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するために、本発明の吸排気ユニットは、吸気口と排気口のそれぞれに少なくとも1つの吸排気ユニットを備える吸排気装置に用いられる吸排気ユニットであり、転倒を指示する信号に応じて取付枠を転倒させる転倒手段を有する送風機と、前記送風機の異常を検知すると異常を通知する信号を発信する異常検知手段と、前記異常を通知する信号を受信すると前記転倒手段に転倒を指示する信号を発信する制御部とを備える。
【0013】
上記の目的を達成するために、本発明の吸排気装置は、吸気口と排気口のそれぞれに少なくとも1つの吸排気ユニットを備える吸排気装置であり、転倒を指示する信号に応じて取付枠を転倒させる転倒手段を有する送風機と、前記送風機の異常を検知すると異常を通知する信号を発信する異常検知手段と、前記異常を通知する信号を受信すると前記転倒手段に転倒を指示する信号を発信する制御部とを有する吸排気ユニットを備える。
【0014】
上記の目的を達成するために、本発明の吸排気装置の制御方法は、吸気口と排気口のそれぞれに少なくとも1つの吸排気ユニットを備える吸排気装置の制御方法であり、前記吸排気ユニットが有する送風機の異常を検知すると、前記送風機が取付けられる取付枠の転倒手段に転倒を指示する信号を発信する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、少ない送風機の数で、送風機の故障時にも可用性を維持する吸排気ユニット、吸排気装置、および吸排気装置の制御方法を実現する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1の実施形態の構成例を示す図である。
図2】第1の実施形態の構成例を示す図である。
図3】第1の実施形態の構成例を示す図である。
図4】第1の実施形態の構成例を示す図である。
図5】第1の実施形態の構成例を示す図である。
図6】第1の実施形態の構成例を示す図である。
図7】第1の実施形態の動作を示す図である。
図8】第1の実施形態の動作を示す図である。
図9】第1の実施形態の動作を示す図である。
図10】関連技術の動作を説明する図である。
図11】関連技術の動作を説明する図である。
図12】第1の実施形態の動作を示す図である。
図13】第1の実施形態の動作を示す図である。
図14】関連技術の構成例を示す図である。
図15】第2の実施形態の構成例を示す図である。
図16】第2の実施形態の動作を示す図である。
図17】第3の実施形態の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[第1の実施形態]
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
[構成の説明]
図1乃至図6に第1の実施形態の構成を示す。
【0018】
図1は、本実施形態の吸排気装置1000の電気的な構成例である。
【0019】
吸排気装置1000は、可倒式送風機取付基盤100、制御部200、電源310、および電源スイッチ(switch)311によって構成される。また、吸排気装置1000は外部電源400に接続されている。吸排気装置1000がサーバー等に用いられる場合、外部電源400は、無停電電源であることが一般的である。
【0020】
可倒式送風機取付基盤100は、送風機取付部101、電磁石103、送風機取付部ロック(rock)108、および電源スイッチ回路113を備える。
【0021】
可倒構造を有する送風機取付部101には、回転数センサ(sensor)112を有する送風機である送風機110が取り付けられている。回転数センサ112は、送風機110の回転数を監視して回転数の値を含む信号を制御部200へ出力する手段である。
【0022】
尚、回転数センサ112は、送風機110に付随していても、送風機110に外付けされていても良い。
【0023】
電源スイッチ回路113は、外部電源400に接続され、制御部200の指示に従って送風機110と電磁石103の電源をオン、オフする。
【0024】
送風機取付部ロック108は、送風機取付部101が倒れない様にロックする機構である。送風機取付部ロック108は小形のアクチュエータ(actuator)を備え、制御部200はアクチュエータへの電源供給の有無を切換えることで、ロックと解除を切換える。構造的な説明は後述する。
【0025】
制御部200は、CPU(Central Processing Unit;中央処理装置)を含む制御手段であり、外部電源400に接続されている。
【0026】
尚、可倒式送風機取付基盤100と制御部200の組み合わせを吸排気ユニットと称しても良い。
【0027】
電源310は、外部電源400の電力を電力変換して、電源スイッチ回路113と送風機取付部ロック108に電力を供給する電源である。
【0028】
電源スイッチ311は制御部200に接続されて、吸排気装置1000の電源をオンオフするためのスイッチである。
【0029】
次に、図2乃至図6を参照して構造的な構成例について説明する。
【0030】
図2および図3は、可倒式送風機取付基盤100の構造を示す図である。
【0031】
可倒式送風機取付基盤100は、ケーブル(cable)106を介して、制御部200、および電源310に電気的に接続される。
【0032】
可倒式送風機取付基盤100は、送風機取付部101を有し、送風機取付部101には送風機110が取付けられている。そして、送風機110のケーブルは送風機ケーブルコネクタ(connector)107に接続されている。
【0033】
また、送風機取付部101は、ばね102を介してベースプレート(base plate)109に取付けられ、ばね102の弾性力により、図4に示す様に倒れる構造となっている。
【0034】
ここで、電磁石103に電源供給されていない状態では送風機取付部101が倒れないようにする必要がある。その為に、ベースプレート109と送風機取付部101との間に送風機取付部ロック108を設けている。そして、送風機取付部ロック108がロックしている時は、送風機取付部101がベースプレート109と接触した状態で固定される。送風機取付部ロック108のロック機構には、前述の様に可倒式送風機取付基盤100に取り付けることが可能な小型のアクチュエータを使用し、アクチュエータに電源が供給されるとロックが解除される。
【0035】
図5および図6ではアクチュエータとしてソレノイド(solenoid)124を使用した例を示している。ソレノイド124は、強磁性体である可動鉄芯120、固定鉄芯121、ばね122、コイル123を有する。そして、図5および図6において、ばね122の左端と固定鉄芯121、およびコイル123は、それぞれベースプレート109に対して動かない様に固定されている。図5に示す様に、ソレノイド124に電源が供給されていない状態では、可動鉄芯120は、ばね122が縮もうとする弾性力により固定鉄芯121から離れた場所に位置する。次に、ソレノイド124に電源が供給されると、コイル123に磁気が発生し、図6に示す様に可動鉄芯120は、ばね122の弾性力に抗して固定鉄芯121に吸着する。
【0036】
この特性を利用して、送風機取付部ロック108は次の様に動作する。送風機取付部ロック108の有する図示せぬ電子回路が、制御部200からロック解除の信号を受信すると、送風機取付部ロック108の前記図示せぬ電子回路はソレノイド124に外部電源400から電源を供給する。そして、送風機取付部ロック108の爪が摺動する結果、送風機取付部ロックのロックが解除される。
【0037】
また、送風機取付部101の対面には電磁石103を有した電磁石取付フレーム(frame)104が配置されている。そして、電磁石103に対向し、送風機取付部101と接触する部分には鉄などの磁性体105が配置されている。電磁石103が通電すると磁力を発生して、電磁石103と磁性体105が磁力によって引き合う。電磁石103と磁性体105が磁力によって引き合う力は、ばね102の弾性力によって送風機取付部101が倒れようとする力より強い。そのため、送風機取付部ロック108のロックが解除されていても、送風機取付部101は立った状態が維持される。
【0038】
しかし、電磁石103への通電が停止すると、電磁石103が発生する磁力が失われるので、送風機取付部ロック108のロックが解除されていると、ばね102の弾性力により送風機取付部101が倒れる。
[動作の説明]
次に本実施形態の動作の説明を図1乃至図8、および図10乃至図13を参照して説明する。
【0039】
図7および図8は、本実施形態の動作を示すフローチャートである。
【0040】
はじめに、電源スイッチ311がオンに操作された場合の動作について、図7を参照して説明する。
【0041】
電磁石103に電力が供給されていない状態では、送風機取付部ロック108がロック状態であり、送風機取付部101は立った状態で固定されている。
【0042】
はじめに、電源スイッチ311がオンに操作される(S101)。
【0043】
すると、制御部200は、電源スイッチ回路113に送風機110と電磁石103の電源をオンにすることを伝える信号を発信する。電源スイッチ回路113は送風機110に電源310からの電力を通電して送風機110が回転を開始し、電磁石103に電源310からの電力を通電する(S102)。
【0044】
ステップS102に続き、制御部200は、送風機取付部ロック108に対してロック解除信号を出力する。そして、送風機取付部ロック108は、ロックを解除する(S103)。
【0045】
ステップS103で、送風機取付部ロック108がロックを解除しても、ステップS102で電磁石103が通電している。そのため、電磁石103と磁性体105の間に引合う力が働き、この引合う力が、ばね102の弾性力より強いので、送風機取付部101は転倒しない。
【0046】
ステップS104で、制御部200は回転数センサ112の送風機110の回転数を検知する(S104)。
【0047】
制御部200は、検知した送風機110の回転数が、予め決められた停止回転数以下の値かどうかを判断する(S105)。
【0048】
ここで、予め決められた停止回転数とは、これ以下の値であれば送風機が故障したと判断する回転数である。
【0049】
ステップS105で、送風機110の回転数が停止回転数以下であると判断されると(S105でY)、ステップS106にすすむ。
【0050】
ステップS105で、送風機110の回転数が停止回転数より大きいと判断されると(S105でN)、ステップS104に戻る。
【0051】
ステップS106では、制御部200は電源スイッチ回路113に対して電源供給停止信号を出力する。そして、電源スイッチ回路113は、送風機110、および電磁石103に対する電源供給を停止する(S106)。
【0052】
ステップS106の結果、送風機110は停止する。更に、電磁石103の通電が停止されたので、電磁石103が磁性体105を引き付ける力は無くなり、図4に示す様に、ばね102の弾性力によって、送風機取付部101は転倒する(S107)。
【0053】
以上が、電源スイッチ311がオンに操作された場合の動作である。
【0054】
次に、電源スイッチ311がオフに操作された場合の動作について、図8を参照して説明する。
【0055】
はじめに、吸排気装置1000が動作中に、電源スイッチ311がオフに操作される(S201)。
【0056】
続いて、制御部200は、送風機取付部ロック108に対してロックを掛ける信号を発信する。送風機取付部ロック108が、ロックを掛ける信号を受信すると、送風機取付部ロック108のソレノイド124の通電が停止する。その結果、送風機取付部ロック108は、ばね122の弾性力により図5の状態に摺動してロック状態となる(S202)。
【0057】
ステップS202に続いて、制御部200は電源スイッチ回路113に対して電源供給停止信号を出力する。そして、電源スイッチ回路113は、送風機110、および電磁石103に対する電源供給を停止する(S203)。
【0058】
この様にして、電磁石103の磁力が喪失する前に、送風機取付部ロック108がロック状態になっているので送風機取付部101は転倒しない。
【0059】
以上が、電源スイッチ311がオフに操作された場合の動作である。
【0060】
前述の様に、関連技術によるプッシュプル方式による吸排気装置の場合、故障等の原因で送風機が停止することで通気性が妨げられると、図10もしくは図11の様に装置の熱を外部へ排出することが出来なかった。
【0061】
しかし、本実施形態の吸排気装置1000は、排気側の送風機110の故障、または排気側の可倒式送風機取付基盤100に電源を供給する電源310が故障して排気側の送風機110が停止しても、図12に示す様に排気側の送風機取付部101が転倒する。そして、排気経路が確保される。
【0062】
また、本実施形態の吸排気装置1000は、吸気側の送風機110の故障、または吸気側の可倒式送風機取付基盤100に電源を供給する電源310が故障して吸気側の送風機110が停止しても、図13に示す様に吸気側の送風機取付部101が転倒する。そして、吸気経路が確保される。
【0063】
この様に、本実施形態の吸排気装置1000は、送風機110または電源310の故障時にも吸排気経路が確保されるため、一定量の吸排気が維持される。
【0064】
また、本実施形態の吸排気装置1000は、送風機の稼働に冗長性を持たせるために、送風機の数を増加させる必要が無い。
【0065】
以上説明した様に、本発明の吸排気装置は、少ない送風機の数で、送風機の故障時にも可用性を維持することができる。
[第2の実施形態]
[構成の説明]
図15は、本実施形態の吸排気装置2000の電気的な構成例である。
【0066】
本実施形態の吸排気装置2000は、図1に示される第1の実施形態の吸排気装置1000の電気的構成と比べて、電磁石103が削除され、制御部200が制御部300に代わっている点が異なり、その他の電気的構成要素は同じである。
【0067】
また、本実施形態の構造的な構成は、図2乃至図6に示される第1の実施形態の構造的構成要素の内、電磁石103、および磁性体105が削除されており、その他の構造的構成要素は同じである。
[動作の説明]
次に、本実施形態の動作について、図16を参照して説明する。
【0068】
はじめに、電源スイッチ311がオンに操作された場合の動作について、図16を参照して説明する。
【0069】
可倒式送風機取付基盤100に電源が投入されていない状態では、送風機取付部ロック108がロック状態であり、送風機取付部101は立った状態で固定されている。
【0070】
はじめに、電源スイッチ311がオンに操作される(S301)。
【0071】
すると、制御部300は、電源スイッチ回路113に送風機110の電源をオンにすることを伝える信号を発信する。電源スイッチ回路113は送風機110に電源310からの電力を通電して送風機110が回転を開始する(S302)。
【0072】
ステップS302に続き、制御部300は回転数センサ112の送風機110の回転数を検知する(S303)。
【0073】
制御部300は、検知した送風機110の回転数が、予め決められた停止回転数以下の値かどうかを判断する(S304)。
【0074】
ここで、予め決められた停止回転数とは、前述の様に、これ以下の値であれば送風機が故障したと判断する回転数である。
【0075】
ステップS304で、送風機110の回転数が停止回転数以下であると判断されると(S304でY)、ステップS305にすすむ。
【0076】
ステップS304で、送風機110の回転数が停止回転数より大きいと判断されると(S304でN)、ステップS303に戻る。
【0077】
ステップS305では、制御部300は、送風機取付部ロック108に対してロック解除信号を出力する。そして、送風機取付部ロック108は、ロックを解除する。(S305)。すると、ばね102の弾性力によって、送風機取付部101は転倒する(S306)。
【0078】
続いて、制御部300は電源スイッチ回路113に対して電源供給停止信号を出力する。そして、電源スイッチ回路113は、送風機110に対する電源供給を停止する(S307)。
【0079】
尚、ステップS307はステップS305の前であっても、ステップS305と同時であっても良い。
【0080】
以上が、電源スイッチ311がオンに操作された場合の動作である。
【0081】
次に、電源スイッチ311がオフに操作された場合の動作については、図8と同じであるため説明を省略する。
【0082】
以上説明した様に、本発明の吸排気装置2000は第1の実施形態の吸排気装置1000と比べて、電磁石103および磁性体105が削除されている。しかし、第1の実施形態の吸排気装置と同様に、少ない送風機の数で、送風機の故障時にも可用性を維持することができる。
[第3の実施形態]
図17に第3の実施形態の構成を示す。
【0083】
本実施形態の吸排気ユニット500は、吸気口と排気口のそれぞれに少なくとも1つの吸排気ユニット500を備える吸排気装置に用いられる。そして、吸排気ユニット500は、転倒を指示する信号に応じて取付枠を転倒させる転倒手段501を有する送風機502と、前記送風機502の異常を検知すると異常を通知する信号を発信する異常検知手段503を備える。更に吸排気ユニット500は、前記異常を通知する信号を受信すると前記転倒手段501に転倒を指示する信号を発信する制御部504とを備える。
【0084】
以上説明した様に、本発明の吸排気ユニット500は、少ない送風機の数で、送風機の故障時にも可用性を維持することができる。
【0085】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、上記実施形態に限定されるものではなく、次のように拡張または変形できる。
【0086】
本発明の吸排気ユニット、および吸排気装置は、電子機器の吸排気以外にも、建物の部屋の吸排気に用いることも可能である。
【0087】
また、図1に示した第1の実施形態の構成例では、1つの可倒式送風機取付基盤100に対して1つの制御部200が接続されていた。しかし、吸気側の可倒式送風機取付基盤100と排気側の可倒式送風機取付基盤100の制御部を1つの制御部に統合して、1つの制御部で吸気側と排気側の可倒式送風機取付基盤100の制御を行っても良い。同様に、吸気側、排気側それぞれに複数の可倒式送風機取付基盤100を有する場合、すべての可倒式送風機取付基盤100の制御部を1つ若しくは複数の制御部に統合しても良い。
【0088】
或いは、第1の実施形態の吸排気装置1000の回転数センサ112に代えて、吸排気装置1000の異常を検知すると制御部200に異常通知信号を発信する、異常検知手段としても良い。そして、制御部200が異常通知信号を受信すると、制御部200は電源スイッチ回路113をオフにする。この異常検知手段は、次の様なものが考えられる。
【0089】
即ち、異常検知手段は、送風機110の回転数を監視する回転数センサであり、送風機110の回転数が一定値より低下すると、異常と検知するものであっても良い。ここで、第1の実施形態の吸排気装置1000の回転数センサ112との違いは、送風機110の回転数を制御部200に通知し、異常を検知するのは制御部200であった点が異なる。
【0090】
また、異常検知手段は、送風機110の電源に供給される電力の電圧または電流を監視するものであり、電圧または電流が一定値より低下すると、異常と検知するものであっても良い。
【0091】
更に、異常検知手段は、送風機110に取り付けられた温度センサであり、送風機110の温度が一定値以上になると、異常と検知するものであっても良い。
【0092】
或いは、異常検知手段は、吸排気装置1000内部に配置された温度センサであり、吸排気装置1000の内部温度が一定値以上になると、異常と検知するものであっても良い。
【0093】
また、異常検知手段は、送風機110に直接、若しくは送風機110の近傍に取り付けられた振動センサであり、振動が一定値以上になると、異常と検知するものであっても良い。
【0094】
更に、第1の実施形態では、送風機取付部ロック108は、ソレノイド124の動作によってロックとロックの解除を行っていた。しかし、送風機取付部ロック108のロックおよび解除は必ずしもソレノイドの動作による必要はない。例えば、モーターの動作によってロック機構が摺動するなどで、ロックとロック解除を行っても良い。
【0095】
或いは、第1の実施形態では、ばね102と送風機取付部ロック108、および電磁石103の組合せによって送風機取付部101の転倒を制御していたが、送風機取付部101がモーター駆動によって転倒する様にしてもよい。即ち送風機取付部101が転倒する時はモーターが回転し、モーターの回転の力によって送風機取付部101が転倒するようにしてもよい。
【0096】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0097】
(付記1)
吸気口と排気口のそれぞれに少なくとも1つの吸排気ユニットを備える吸排気装置に用いられる吸排気ユニットは、
転倒を指示する信号に応じて取付枠を転倒させる転倒手段を有する送風機と、
前記送風機の異常を検知すると異常を通知する信号を発信する異常検知手段と、
前記異常を通知する信号を受信すると前記転倒手段に転倒を指示する信号を発信する制御部とを備えることを特徴とする吸排気ユニット。
【0098】
(付記2)
前記異常検知手段は、前記送風機に供給される電力の電圧または電流を監視するものであり、前記電圧または前記電流が一定値より低下すると異常と検知する異常検知手段であることを特徴とする付記1に記載の吸排気ユニット。
【0099】
(付記3)
前記異常検知手段は、前記送風機に取り付けられた温度センサであり、前記送風機の温度が一定値以上になると、異常と検知する異常検知手段であることを特徴とする付記1に記載の吸排気ユニット。
【0100】
(付記4)
前記異常検知手段は、前記吸排気装置内部に配置された温度センサであり、前記吸排気装置の内部温度が一定値以上になると、異常と検知する異常検知手段であることを特徴とする付記1に記載の吸排気ユニット。
【0101】
(付記5)
前記異常検知手段は、前記送風機に直接、若しくは前記送風機の近傍に取り付けられた振動センサであり、前記振動センサが監視する振動が一定値以上になると、異常と検知する異常検知手段であることを特徴とする付記1に記載の吸排気ユニット。
【0102】
(付記6)
付記2乃至付記5に記載される2つ以上の異常検知手段を備えることを特徴とする付記1に記載の吸排気ユニット。
【0103】
(付記7)
前記転倒手段は、前記送風機に取付けられた転倒用のばねと、前記ばねの力に反して前記転倒を阻止するロックからなり、
前記ロックは前記転倒を指示する前記信号を受信するとロックが解除されることを特徴とする付記1乃至付記6に記載の吸排気ユニット。
【0104】
(付記8)
前記ロックは電磁石と磁性体とを備え、
前記転倒を指示する前記信号を受信しないと電磁石が通電して前記ばねの力より強い力で磁性体と引付けあい、
前記転倒を指示する前記信号を受信すると前記電磁石の通電を停止することを特徴とする付記7に記載の吸排気ユニット。
【0105】
(付記9)
前記ロックはモーターの回転力によってロックが移動し、
前記転倒を指示する前記信号を受信すると前記モーターが通電してロックが移動することでロックが解除されることを特徴とする付記7に記載の吸排気ユニット。
【0106】
(付記10)
前記転倒手段は、モーター駆動であって、
前記モーターの回転力に伴って前記転倒が行われることを特徴とする付記1乃至付記6に記載の吸排気ユニット。
【0107】
(付記11)
吸気口と排気口のそれぞれに少なくとも1つの吸排気ユニットを備える吸排気装置は、
転倒を指示する信号に応じて取付枠を転倒させる転倒手段を有する送風機と、
前記送風機の異常を検知すると異常を通知する信号を発信する異常検知手段と、
前記異常を通知する信号を受信すると前記転倒手段に転倒を指示する信号を発信する制御部とを有する吸排気ユニットを備えることを特徴とする吸排気装置。
【0108】
(付記12)
前記異常検知手段は、前記送風機に供給される電力の電圧または電流を監視するものであり、前記電圧または前記電流が一定値より低下すると異常と検知する異常検知手段であることを特徴とする付記11に記載の吸排気装置。
【0109】
(付記13)
前記異常検知手段は、前記送風機に取り付けられた温度センサであり、前記送風機の温度が一定値以上になると、異常と検知する異常検知手段であることを特徴とする付記11に記載の吸排気装置。
【0110】
(付記14)
前記異常検知手段は、前記吸排気装置内部に配置された温度センサであり、前記吸排気装置の内部温度が一定値以上になると、異常と検知する異常検知手段であることを特徴とする付記11に記載の吸排気装置。
【0111】
(付記15)
前記異常検知手段は、前記送風機に直接、若しくは前記送風機の近傍に取り付けられた振動センサであり、前記振動センサが監視する振動が一定値以上になると、異常と検知する異常検知手段であることを特徴とする付記11に記載の吸排気装置。
【0112】
(付記16)
付記12乃至付記15に記載される2つ以上の異常検知手段を備えることを特徴とする付記11に記載の吸排気装置。
【0113】
(付記17)
前記転倒手段は、前記送風機に取付けられた転倒用のばねと、前記ばねの力に反して前記転倒を阻止するロックからなり、
前記ロックは前記転倒を指示する前記信号を受信するとロックが解除されることを特徴とする付記11乃至付記16に記載の吸排気装置。
【0114】
(付記18)
前記ロックは電磁石と磁性体とを備え、
前記転倒を指示する前記信号を受信しないと電磁石が通電して前記ばねの力より強い力で磁性体と引付けあい、
前記転倒を指示する前記信号を受信すると前記電磁石の通電を停止することを特徴とする付記17に記載の吸排気装置。
【0115】
(付記19)
前記ロックはモーターの回転力によってロックが移動し、
前記転倒を指示する前記信号を受信すると前記モーターが通電してロックが移動することでロックが解除されることを特徴とする付記17に記載の吸排気装置。
【0116】
(付記20)
前記転倒手段は、モーター駆動であって、
前記モーターの回転力に伴って前記転倒が行われることを特徴とする付記11乃至付記16に記載の吸排気装置。
【0117】
(付記21)
吸気口と排気口のそれぞれに少なくとも1つの吸排気ユニットを備える吸排気装置の制御方法において、
前記吸排気ユニットが有する送風機の異常を検知すると、
前記送風機が取付けられる取付枠の転倒手段に転倒を指示する信号を発信することを特徴とする吸排気装置の制御方法。
【0118】
(付記22)
前記送風機の異常は、前記送風機に供給される電力の電圧または電流が一定値より低下することであることを特徴とする付記21に記載の吸排気装置の制御方法。
【0119】
(付記23)
前記送風機の異常は、前記送風機の温度が一定値以上になることであることを特徴とする付記21に記載の吸排気装置の制御方法。
【0120】
(付記24)
前記送風機の異常は、前記吸排気装置の内部温度が一定値以上になることであることを特徴とする付記21に記載の吸排気装置の制御方法。
【0121】
(付記25)
前記送風機の異常は、前記送風機に直接、若しくは前記送風機の近傍に取り付けられた振動センサが監視する振動が一定値以上になることであることを特徴とする付記21に記載の吸排気装置の制御方法。
【0122】
(付記26)
前記送風機の異常は、付記22乃至付記25に記載される2つ以上の送風機の異常であることを特徴とする付記21に記載の吸排気装置の制御方法。
【0123】
(付記27)
前記転倒手段は、前記送風機に取付けられた転倒用のばねと、前記ばねの力に反して前記転倒を阻止するロックからなり、前記ロックは前記転倒を指示する前記信号を受信するとロックが解除されることを特徴とする付記21乃至付記26に記載の吸排気装置の制御方法。
【0124】
(付記28)
前記ロックは電磁石と磁性体とを備え、前記転倒を指示する前記信号を受信しないと電磁石が通電して前記ばねの力より強い力で磁性体と引付けあい、前記転倒を指示する前記信号を受信すると前記電磁石の通電を停止することを特徴とする付記27に記載の吸排気装置の制御方法。
【0125】
(付記29)
前記ロックはモーターの回転力によってロックが移動し、前記転倒を指示する前記信号を受信すると前記モーターが通電してロックが移動することでロックが解除されることを特徴とする付記27に記載の吸排気装置の制御方法。
【0126】
(付記30)
前記転倒手段は、モーター駆動であって、前記モーターの回転力に伴って前記転倒が行われることを特徴とする付記21乃至付記26に記載の吸排気装置の制御方法。
【符号の説明】
【0127】
100 可倒式送風機取付基盤
101 送風機取付部
102 ばね
103 電磁石
104 電磁石取付フレーム
105 磁性体
106 ケーブル
107 送風機ケーブルコネクタ
108 送風機取付部ロック
109 ベースプレート
110 送風機
112 回転数センサ
113 電源スイッチ回路
114 電圧センサ
120 可動鉄芯
121 固定鉄芯
122 ばね
123 コイル
124 ソレノイド
200 制御部
300 制御部
310 電源
311 電源スイッチ
400 外部電源
500 吸排気ユニット
501 転倒手段
502 送風機
503 異常検知手段
504 制御部
1000 吸排気装置
2000 吸排気装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17