特許第6804887号(P6804887)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6804887
(24)【登録日】2020年12月7日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】間仕切りの施工方法
(51)【国際特許分類】
   E04B 2/74 20060101AFI20201214BHJP
【FI】
   E04B2/74 511F
【請求項の数】8
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-145943(P2016-145943)
(22)【出願日】2016年7月26日
(65)【公開番号】特開2018-16961(P2018-16961A)
(43)【公開日】2018年2月1日
【審査請求日】2019年5月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095212
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 武
(72)【発明者】
【氏名】直井 豊
【審査官】 新井 夕起子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−051860(JP,A)
【文献】 実公昭38−010331(JP,Y1)
【文献】 実開昭56−174615(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 2/74
E04F 13/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
立設された支柱に間仕切りパネルを止着することにより間仕切りを施工する間仕切りの施工方法において、
前記支柱と前記間仕切りパネルのうち、一方に設けられた係止部に、他方に設けられた被係止部を係止することにより、前記支柱に前記間仕切りパネルを仮止めするための第1作業工程と、
この第1作業工程の後に行われ、前記支柱に前記間仕切りパネルを止着具により止着するための第2作業工程と、
を含んでいることを特徴とする間仕切りの施工方法。
【請求項2】
請求項に記載の間仕切りの施工方法において、前記係止部は、前記支柱に先端側が結合された軸部の後端に頭部が設けられている第1止着具であり、前記被係止部は、前記間仕切りパネルに開口側が下向きとなって形成された窪み部であり、前記第2作業工程における前記止着具は、第2止着具であり、
前記第1作業工程を行うときにおける前記第1止着具は、前記軸部の前記先端側の一部が前記支柱に侵入していて、前記軸部の残り部分が前記支柱から突出しているものとなっており、
前記軸部の前記残り部分を前記窪み部に挿入させて行う前記第1作業工程を実施し、かつ前記第2作業工程を実施した後に、前記第1止着具の前記頭部が前記間仕切りパネルに当たるまで前記軸部を前記支柱に侵入させるための第3作業工程を実施することを特徴とする間仕切りの施工方法。
【請求項3】
請求項2に記載の間仕切りの施工方法において、前記間仕切りパネルは、前記支柱の両側に2枚配置するものであり、前記第3作業工程を実施した後に、一方の前記間仕切りパネルと他方の前記間仕切りパネルとの間の隙間に目地部材を圧入配置する第4作業工程を実施することを特徴とする間仕切りの施工方法。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の間仕切りの施工方法において、前記間仕切りパネルは、金属板で形成された表面部材を有し、この表面部材に前記窪み部が形成されていることを特徴とする間仕切りの施工方法。
【請求項5】
請求項4に記載の間仕切りの施工方法において、前記間仕切りパネルは、前記表面部材と、この表面部材の本体部の裏面に固定され、前記間仕切りパネルの厚さ方向の寸法を有している芯部材とを含んで構成され、前記表面部材の幅方向の端部には、前記本体部から前記間仕切りパネルの前記厚さ方向の段差をもって前記芯部材とは反対側へ延出し、前記本体部と平行又は略平行になっているフランジ部が設けられ、このフランジ部に前記窪み部が形成されていることを特徴とする間仕切りの施工方法。
【請求項6】
請求項5に記載の間仕切りの施工方法において、前記窪み部の下側は、この窪み部と連通していて、前記窪み部の幅寸法よりも大きい幅寸法を有する開口部となっており、この開口部から前記第1止着具の前記軸部が前記窪み部に挿入可能となっていることを特徴とする間仕切りの施工方法。
【請求項7】
請求項2〜6のいずれかに記載の間仕切りの施工方法において、前記間仕切りパネルは前記支柱の両側に2枚あり、これらの間仕切りパネルにおける前記支柱側の端部に前記窪み部が設けられ、前記第1止着具の前記軸部は、前記2枚の間仕切りパネルの前記窪み部に共通して挿入されるものとなっていることを特徴とする間仕切りの施工方法。
【請求項8】
請求項2〜7のいずれかに記載の間仕切りの施工方法において、前記窪み部の幅寸法は、前記第1止着具の前記軸部の直径寸法と同じ又はこの直径寸法よりも大きく、かつ前記第1止着具の前記頭部の直径寸法よりも小さくなっていることを特徴とする間仕切りの施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物等の構造物の内部に2つに仕切られた空間を形成するための間仕切りの施工方法に係り、例えば、学校の内部を教室と廊下に仕切るために用いることができるものである。
【背景技術】
【0002】
建物等の構造物の内部を2つの空間に仕切るためには、下記の特許文献1に示されているように、間仕切りが用いられる。一般的な間仕切りは、間隔をあけて複数本の支柱を立設し、これらの支柱に間仕切りパネルを止着することにより設置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−236760号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のように支柱に間仕切りパネルを止着することにより設置される間仕切りでは、作業者は、施工時において、支柱に間仕切りパネルを押し付け、この後に、支柱に間仕切りパネルを止着具で止着する作業を行わなければならず、このため、施工作業に手間と時間がかかり、この施工作業の容易化が望まれる。
【0005】
本発明の目的は、施工作業を容易に行え、作業効率を向上させることができるようになる間仕切り及びその施工方法を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る間仕切りは、立設された支柱と、この支柱に止着される間仕切りパネルとを含んで構成される間仕切りにおいて、前記支柱と前記間仕切りパネルのうち、一方に係止部が設けられているとともに、他方に被係止部が設けられ、この被係止部が前記係止部に係止されることにより、前記支柱に前記間仕切りパネルが仮止め可能となっていることを特徴とするものである。
【0007】
この間仕切りでは、支柱と間仕切りパネルのうち、一方に係止部が設けられているとともに、他方に被係止部が設けられ、この被係止部が係止部に係止されることにより、支柱に間仕切りパネルが仮止め可能となっているため、支柱に間仕切りパネルを止着具で止着するときに、上記仮止めにより、支柱に間仕切りパネルを押し付ける作業が不要になり、このため、間仕切りの施工作業を容易に行え、作業効率を向上させることができる。
【0008】
本発明において、係止部と被係止部は、被係止部を係止部に係止することにより、支柱に間仕切りパネルを仮止めできるものであれば、任意の形態のものでよく、例えば、係止部は、止着具やピン等による突起でもよく、あるいは、プレス加工等で形成された膨出部でもよく、また、被係止部は、突起が挿入可能となっている窪み部でもよく、あるいは、突起に係止可能のフック状のものでもよい。
【0009】
また、係止部を支柱に設け、被係止部を間仕切りパネルに設けてもよく、あるいは、係止部を間仕切りパネルに設け、被係止部を支柱に設けてもよい。
【0010】
係止部を支柱に設けられた突起とし、被係止部を、間仕切りパネルに設けられ、突起を挿入可能となっている窪み部とする場合には、この窪み部を、開口側を下向きにして間仕切りパネルに形成することが好ましい。
【0011】
これによると、間仕切りパネルに形成された窪み部に支柱の突起を挿入すると、間仕切りパネルの重量を突起を介して支柱に支持させることができるため、支柱に間仕切りパネルの重量を支持させながら支柱に間仕切りパネルを止着する作業を行える。
【0012】
また、本発明において、間仕切りパネルは任意の形態で形成することができ、その一例は、間仕切りパネルを、金属板で形成された表面部材を有するものとすることである。
【0013】
このように間仕切りパネルを、金属板で形成された表面部材を有するものとする場合には、この表面部材に、被係止部としての窪み部を形成してもよい。
【0014】
これによると、窪み部を、プレス機等による打ち抜き加工で金属板に容易に形成することができる。
【0015】
また、間仕切りパネルを、金属板で形成された表面部材を有するものとする場合には、間仕切りパネルを、前記表面部材と、この表面部材の本体部の裏面に固定され、間仕切りパネルの厚さ方向の寸法を有している芯部材とを含んで構成されたものとし、表面部材の幅方向の端部には、本体部から間仕切りパネルの厚さ方向の段差をもって芯部材とは反対側へ延出し、本体部と平行又は略平行になっているフランジ部を設け、このフランジ部に前記被係止部としての窪み部を形成するようにしてもよい。
【0016】
また、このようにする場合には、窪み部の下側に、この窪み部と連通していて、窪み部の幅寸法よりも大きい幅寸法を有する開口部を設け、この開口部から突起を窪み部に挿入できるようにしてもよい。
【0017】
これによると、支柱の突起を間仕切りパネルの表面部材に形成されている窪み部に挿入するための作業を、窪み部の下側に設けられている開口部に突起を一旦挿入した後に行うことができるため、窪み部への突起の挿入作業を容易に行える。
【0018】
また、本発明において、間仕切りパネルが支柱の両側に2枚ある場合には、これらの間仕切りパネルにおける支柱側の端部に前記被係止部としての窪み部を設け、支柱に前記係止部として設けられている突起を、2枚の間仕切りパネルの窪み部に共通して挿入するようにしてもよい。
【0019】
これによると、支柱に係止部として設けられている突起が、支柱の両側に2枚ある間仕切りパネルの窪み部に共通して挿入されるため、突起がこれらの間仕切りパネルについて兼用されることになり、それだけ支柱の形状や構造の簡単化を図ることができるようになる。
【0020】
また、本発明において、支柱に前記係止部として設けられている突起を前述した止着具とする場合には、この止着具を、支柱に先端側の一部が侵入し、残りの部分が支柱から突出している軸部と、この軸部の後端に設けられた頭部とを有する止着具とし、間仕切りパネルに前記被係止部として設けられる窪み部の幅寸法を、止着具の軸部の直径寸法と同じ又はこの直径寸法よりも大きくて、止着具の頭部の直径寸法よりも小さくすることが好ましい。
【0021】
これによると、窪み部の幅寸法は、止着具の軸部の直径寸法と同じ又はこの直径寸法よりも大きいため、支柱に間仕切りパネルを仮止めするために、止着具の軸部のうち、支柱から突出している部分を窪み部に挿入することができ、また、窪み部の幅寸法は、止着具の頭部の直径寸法よりも小さいため、窪み部が止着具から脱落することを防止することができ、したがって、支柱に間仕切りパネルを仮止めすることを一層確実に行える。また、止着具の頭部が間仕切りパネルに当たるまで止着具の軸部を支柱に侵入させる作業を行うと、仮止め用の止着具により、支柱に間仕切りパネルを止着することもできるようになる。
【0022】
なお、以上のように軸部の後端に頭部が設けられている止着具は、タッピングビスを含むビスでもよく、釘でもよい。
【0023】
本発明に係る間仕切りの施工方法は、立設された支柱に間仕切りパネルを止着することにより間仕切りを施工する間仕切りの施工方法において、前記支柱と前記間仕切りパネルのうち、一方に設けられた係止部に、他方に設けられた被係止部を係止することにより、前記支柱に前記間仕切りパネルを仮止めするための第1作業工程と、この第1作業工程の後に行われ、前記支柱に前記間仕切りパネルを止着具により止着するための第2作業工程と、を含んでいることを特徴とするものである。
【0024】
この間仕切りの施工方法によると、支柱に間仕切りパネルを止着具により止着するための第2作業工程を行うときには、その前に実施されている第1作業工程において、支柱と間仕切りパネルのうち、一方に設けられた係止部に、他方に設けられた被係止部を係止することにより、支柱に間仕切りパネルが仮止めされているため、第2作業工程で支柱に間仕切りパネルを止着具で止着するときに、支柱に間仕切りパネルを押し付ける作業が不要になり、このため、間仕切りの施工作業の容易化、作業効率の向上を図ることができる。
【0025】
なお、係止部は、止着具やピン等による突起でもよく、あるいは、プレス加工等で形成された膨出部でもよく、被係止部は、突起が挿入される箇所が窪み部となっている窪み部でもよく、あるいは、突起に係止可能のフック状のものでもよい。
【0026】
また、係止部を支柱に設け、被係止部を間仕切りパネルに設けてもよく、あるいは、係止部を間仕切りパネルに設け、被係止部を支柱に設けてもよい。
【0027】
また、上述の間仕切りの施工方法において、係止部を、支柱に先端側が結合された軸部の後端に頭部が設けられている第1止着具とし、前記被係止部を、間仕切りパネルに開口側が下向きとなって形成された窪み部とし、また、第2作業工程における前記止着具を第2止着具とし、前記第1作業工程を行うときにおける第1止着具を、前記軸部の先端側の一部が支柱に侵入していて、軸部の残り部分が前記支柱から突出しているものとし、軸部のこの残り部分を窪み部に挿入させて行う第1作業工程を実施し、かつ第2作業工程を実施した後に、第1止着具の頭部が間仕切りパネルに当たるまで軸部を前記支柱に侵入させるための第3作業工程を実施するようにしてもよい。
【0028】
これによると、第3作業工程を実施すると、第1止着具の頭部が間仕切りパネルに当たるため、仮止め用の止着具を用いて支柱に間仕切りパネルを止着することができる。
【0029】
なお、第1止着具は、タッピングビスを含むビスでもよく、釘でもよい。また、第2止着具は、タッピングビスを含むビスでもよく、釘でもよく、ステープルでもよい。
【0030】
また、以上説明した本発明に係る間仕切り及びその施工方法において、支柱に係止部又は被係止部を設けることは、支柱に直接係止部又は被係止部を設けることでもよく、あるいは、支柱にスペース部材等の取付部材が取り付けられる場合には、この取付部材に係止部又は被係止部を設けることにより、取付部材を介して支柱に間接的に係止部又は被係止部を設けることでもよい。
【0031】
さらに、本発明に係る間仕切り及びその施工方法は、任意の箇所に支柱を立設するものに適用することができ、支柱の立設箇所は、例えば、床と天井の間でもよく、床と下り壁の間でもよく、腰壁と天井の間でもよく、腰壁と下り壁の間でもよい。
【発明の効果】
【0032】
本発明によると、間仕切りの施工作業を容易に行え、作業効率を向上させることができるという効果を得られる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る間仕切りを示す正面図である。
図2図2は、支柱に間仕切りパネルが止着される前の状態を示す図1と同様の図であって、支柱が立設されている状態を示す図である。
図3図3は、床に固定された下枠部材に支柱の下端部を支持させるためのアジャストユニットを示す斜視図である。
図4図4は、図3のアジャストユニットに支柱の下端部を支持させる作業を示す斜視図である。
図5図5は、図4の作業の後に、床に固定された下枠部材にカバー部材を被せる作業を行うことを示す斜視図である。
図6図6は、支柱にビスの軸部の先端側をねじ込み、このビスにより、支柱に係止部としての突起を設けたときを示す斜視図である。
図7図7は、間仕切りパネルの表面部材を示す斜視図である。
図8図8は、支柱に間仕切りパネルを仮止めするために、図6のビスの軸部を、間仕切りパネルの表面部材に被係止部として設けた窪み部に挿入する作業を示す斜視図である。
図9図9は、支柱に間仕切りパネルを仮止めした後の状態を示す間仕切りの平断面図である。
図10図10は、支柱の両側に配置された2枚の間仕切りパネルの間に目地部材を圧入配設したときを示す間仕切りの平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。図1には、本発明の一実施形態に係る間仕切り1の正面図が示されており、この間仕切り1は、学校の内部を教室と廊下に仕切るために、床2と天井3の間に設置されている。床2と天井3には、下枠部材4と上枠部材5とが取り付けられ、これらの下枠部材4及び上枠部材5の長さ方向である左右方向に複数の間仕切りパネル10が並設され、間仕切りパネル10同士の間には、目地部材11が配設されている。
【0035】
なお、図1の実施形態で示されている間仕切り1は、床面近傍から天井面近傍まで達する上下寸法の大きい間仕切りパネル10が用いられたものとなっているが、間仕切りは、全高のうちの一部に、例えば、引き違い式の障子や採光用の窓、引戸等が設けられ、他の部分が、間仕切りパネル10よりも上下寸法が小さい間仕切りパネルによって塞がれるようになっているものでもよく、また、複数の間仕切りパネルが上下に配設され、これらの間仕切りパネルにより全高が塞がれるようになっているものでもよい。
【0036】
図2には、図1の間仕切りパネル10が配設される前の状態が示されている。下枠部材4は、上側に開口したチャンネル材(図3図5を参照)で形成されており、上枠部材5は、下側に開口したチャンネル材で形成されており、下枠部材4は床2にビス6により固定され、上枠部材5は天井3にビス7により固定されている。また、図1で示した目地部材11が配設されるそれぞれの箇所には、支柱12が立設されている。
【0037】
図3には、下枠部材4における支柱12が立設される箇所に、支柱12の下部を支持し、かつ支柱12の高さ位置を調整可能とするために配設されているアジャストユニット13が示されている。このアジャストユニット13は、基礎部材14と、この基礎部材14の上に載せられた土台部材15とを含んで構成されており、基礎部材14は、下枠部材4の内部に上から挿入されて、この下枠部材4に溶接等で結合された一対の脚部14A,14Bと、間仕切り1の厚さ方向に離間しているこれらの脚部14A,14Bの上端間を連結している連結部14Cとからなる板金の折り曲げ品であり、土台部材15は、基礎部材14の連結部14Cの上に載せられた連結部15Aと、この連結部15Aにおける間仕切り1の厚さ方向の両端部から立ち上がっている2個の立上り部15B,15Cとからなる板金の折り曲げ品である。
【0038】
基礎部材14の連結部14Cと土台部材15の連結部15Aには、支柱12の高さ位置調整部材となっているビス16の軸部16Aが上から挿入された孔14D,15Dが形成され、連結部14Cの下面には、孔14Dから突出した軸部16Aが螺入されるナット17が溶接等で取り付けられている。このため、皿ビスであるビス16の頭部16Bをドライバ等の工具で回転操作すると、ビス16が上下に移動して頭部16Bの高さ位置が変化する。
【0039】
図4には、アジャストユニット13で下部が支持される支柱12の下部構造が示されている。支柱12は、ウエブ部12Aで連結された2個のフランジ部12B,12Cを間仕切り1の厚さ方向に離間対面させて配置されているリップ部付きチャンネル材で形成されており、この支柱12の下部には、一部を残す切除加工により、間仕切り1の厚さ方向に間隔をあけて互いに対面する2個の延出部12D,12Eが、2個のフランジ部12B,12Cからそのまま下向きに延出形成されており、これらの延出部12D,12Eの基端部において、板状のベース部材18が支柱12に溶接等で水平又は略水平に固定されている。このベース部材18には、支柱12のフランジ部12B,12Cや延出部12D,12Eとの間で隙間S1,S2を形成するための凹部18A,18Bが形成されている。
【0040】
支柱12の下部をアジャストユニット13で支持させるためには、このようなベース部材18が下部に取り付けられている支柱12を下方へ降ろし、この降ろし作業を行うときに、隙間S1,S2に土台部材15の立上り部15B、15Cを下から挿入し、これにより、図5に示されているように、ビス16の頭部16Bにベース部材18の下面が当たるまで支柱12を降ろす。
【0041】
なお、図2に示されているように、支柱12の上部には、この支柱12の内部に下部が挿入されたブラケット部材20が配置されており、止めねじ19で支柱12に下部が結合可能となっているこのブラケット部材20の上部は、下側に開口したチャンネル材で形成されている上枠部材5の内部に挿入され、ブラケット部材20の上部は、上枠部材5にビス等で結合されている。
【0042】
前述したようにビス16の頭部16Bにベース部材18の下面が当たるまで支柱12を降ろすときには、止めねじ19を緩めておき、ビス16の頭部16Bにベース部材18が当たった後に、ベース部材18に形成されている図5の孔18Cにドライバ等の工具の先端部を挿入し、この工具でビス16の頭部16Bを回転操作することによりビス16を上下に移動させ、これにより、支柱12の高さ位置を調整する。次いで、図2の止めねじ19の締め付け作業を行い、これにより、支柱12の上部をブラケット部材20に連結する。
【0043】
なお、工具でビス16の頭部16Bを回転操作して支柱12の高さ位置を調整する際には、前述した隙間S1,S2に下から挿入されている土台部材15の立上り部15B、15Cが、支柱12が上下に移動するときのガイド部となるため、図5に示されているように、下枠部材4の外面に沿って下向きに延びている支柱12の延出部12D,12Eによるガイド作用と併せ、支柱12の上下の移動を円滑に行わせることができ、また、この支柱12の下部が鉛直軸を中心に回転することを防止できる。
【0044】
以上の作業により、支柱12の下部が、支柱12の高さ位置を調整するために下枠部材4に配設されているアジャストユニット13で支持されて、この支柱12は、下枠部材4と上枠部材5との間に立設されることになり、この立設作業は、図2に示されているように、下枠部材4及び上枠部材5の長さ方向に間隔をあけて複数本が配置されるそれぞれの支柱12について行われる。
【0045】
このようにそれぞれの支柱12を立設した後に、支柱12が配置されている箇所を除く下枠部材4の上面に図5で示すカバー部材21を被せるための作業を行う。このカバー部材21は、開口側が下向きになったコ字状又は略コ字状の縦断面形状を有する部材であり、カバー部材21の長さ方向の端部に形成された長孔21Aと、ベース部材18に形成された孔18Dとに挿入されるビス22により、下枠部材4の上面に被せられたカバー部材21は、ベース部材18を介して支柱12に連結される。
【0046】
図6には、支柱12に、図1で示した間仕切りパネル10を支柱12に仮止めするための係止部となる突起25を設けた状態が示されている。この突起25は、軸部30Aと、この軸部30Aの後端に設けられた頭部30Bとからなるビス30である。支柱12の全長のうち、支柱12に間仕切りパネル10を仮止めするための箇所には、タッピングビスであるビス30の軸部30Aの先端側を螺入させるための下孔26が予め形成されており、この下孔26に軸部30Aの先端側が螺入されているため、軸部30Aの残りの部分が支柱12から突出しており、この残り部分が、間仕切りパネル10を支柱12に仮止めするために用いられる突起25となっている。
【0047】
図9及び図10に示されているように、間仕切りパネル10は、間仕切り1の厚さ方向における支柱12の両側(下枠部材4及び上枠部材5の長さ方向と直交する水平方向における支柱12の両側)に配設されるため、図6に示されているように、ビス30による突起25は、支柱12のうち、間仕切り1の厚さ方向に互いに対面している2個のフランジ部12B,12Cに設けられる。また、図6に示されているように、これらのフランジ部12B,12Cには、突起25から上下方向に所定間隔をあけて下孔27が設けられており、フランジ部12B,12Cに上下方向に所定間隔で複数設けられているこれらの下孔27は、図8に示されているように、間仕切りパネル10を支柱12に止着するための止着具であって、タッピングビスとなっているビス28を螺入するための孔である。
【0048】
図7には、間仕切りパネル10を構成する構成部材となっている表面部材31が示されている。図7にはこの表面部材31だけが示されているが、図9及び図10に示されているように、間仕切りパネル10は、表面部材31に芯部材32を接着等で固定したものであり、この芯部材32は、例えば、石膏ボードである。図7から分かるように、表面部材31は、折り曲げ加工と打ち抜き加工が行われた金属板製であり、表面部材31の本体部31Aは、表面部材31の大部分の面積を占めており、この本体部31Aの裏面に、間仕切りパネル10の厚さ方向の寸法を有する図9及び図10の芯部材32が固定されている。
【0049】
図7に示されているように、本体部31Aの上下左右の四周辺部には、間仕切り1の厚さ方向に折り曲げられ、間仕切りパネル10の厚さを形成している折り曲げ部31B,31C,31D,31Eが設けられ、上辺部の折り曲げ部31Bの端部と下辺部の折り曲げ部31Cの端部には、表面部材31に強度を付与するための補強部31F、31Gが、間仕切りパネル10の内側への折り曲げにより設けられている。また、表面部材31の幅方向の両端部である左右両辺部の折り曲げ部31D,31Eの端部には、左フランジ部31Hと右フランジ部31Iが、間仕切りパネル10の外側への折り曲げにより設けられている。
【0050】
このため、これらの左フランジ部31Hと右フランジ部31Iは、左辺部の折り曲げ部31Dと右辺部の折り曲げ部31Eにより、本体部31Aから間仕切りパネル10の厚さ方向の段差をもって芯部材32とは反対側へ延出したものとなっており、左フランジ部31Hと右フランジ部31Iは、本体部31Aと平行又は略平行になっている。
【0051】
これらの左フランジ部31Hと右フランジ部31Iには、支柱12に間仕切りパネル10を仮止めするための被係止部となっている窪み部35が形成されており、この窪み部35の下側は、窪み部35の左右寸法、すなわち、窪み部35の幅寸法よりも幅寸法が大きい開口部36となっており、窪み部35と開口部36は連通しているため、窪み部35は開口側が下向きとなって、左フランジ部31Hと右フランジ部31Iに設けられている。これらの窪み部35と開口部36は、表面部材31の材料である金属板に打ち抜き加工を行うことにより、容易に表面部材31に形成することができる。
【0052】
なお、図7で示されている開口部36の大きさは、左フランジ部31Hと右フランジ部31Iの左右寸法と同じ大きさとなっているため、左フランジ部31Hにおける開口部36の左端部は開口し、右フランジ部31Iにおける開口部36の右端部は開口しているが、これらの開口部36の大きさは、図6で示したビス30の頭部30Bの大きさよりも大きければよく、言い換えると、この頭部30Bを通過させることができる大きさがあればよく、このため、開口部36を、窪み部35の下側に、この窪み部35と連通させて形成した大孔としてもよい。
【0053】
また、図7に示されているように、左フランジ部31Hと右フランジ部31Iには、下孔37も設けられており、窪み部35から上下方向に所定間隔離れていて、左フランジ部31Hと右フランジ部31Iに上下方向に所定間隔で複数設けられているこれらの下孔37は、図8で示したビス28を挿通するための孔である。
【0054】
なお、支柱12に間仕切りパネル10を仮止めできるようにするために、間仕切りパネル10における支柱12側の端部に被係止部として形成されている窪み部35の幅寸法は、支柱12に係止部として設けられているビス30の軸部30Aの直径寸法と同じ又はこの直径寸法よりも大きく、かつビス30の頭部30Bの直径寸法よりも小さくなっている。
【0055】
次に、支柱12に間仕切りパネル10を止着することにより、図1の間仕切り1を形成する作業について説明する。
【0056】
この作業は、支柱12に間仕切りパネル10を仮止めすることから始まり、この仮止めは、図8から分かるように、支柱12の左右両側に配置される2枚の間仕切りパネル10を順番に持ち上げて支柱12側へ移動させ、これにより、これらの間仕切りパネル10の左フランジ部31Hと右フランジ部31Iのうち、例えば、左側の間仕切りパネル10の右フランジ部31Iに形成されている開口部36の内部に、支柱12に軸部30Aの先端側を侵入していて、この軸部30Aの残りの部分が支柱12から突出しているビス30の頭部30Bを通過させ、この後に、左側の間仕切りパネル10を下げることにより、軸部30Aの上記残りの部分を、左側の間仕切りパネル10の右フランジ部31Iに開口側が下向きとなって形成されている窪み部35に挿入する。次いで、支柱12の左右両側に配置される2枚の間仕切りパネル10の左フランジ部31Hと右フランジ部31Iのうち、右側の間仕切りパネル10の左フランジ部31Hに形成されている開口部36の内部に、ビス30の頭部30Bを通過させ、この後に、右側の間仕切りパネル10を下げることにより、ビス30の軸部30Aの上記残りの部分を、右側の間仕切りパネル10の左フランジ部31Hに開口側が下向きとなって形成されている窪み部35に挿入する。
【0057】
これにより、図9に示されているように、左側の間仕切りパネル10の右フランジ部31Iと右側の間仕切りパネル10の左フランジ部31Hとが間仕切りパネル10の厚さ方向に重なりながら、支柱12に係止部として、すなわち、前述した突起25として支柱12に設けられているビス30の軸部30Aの上記残りの部分に、これらの左右2枚の間仕切りパネル10に被係止部として形成されている窪み部35が係止されることになり、このため、支柱12の両側に配置される2枚の間仕切りパネル10が支柱12に仮止めされることになる。
【0058】
また、以上と同様の作業を行うことにより、左側の間仕切りパネル10の左フランジ部31Hと右側の間仕切りパネル10の右フランジ部31Iも、支柱12の左右両側に立設されている支柱12に仮止めされ、それぞれの間仕切りパネル10は、間仕切りパネル10の幅方向の両側に立設されている支柱12に仮止めされる。
【0059】
この後に、図8で示したビス28を、間仕切りパネル10の厚さ方向に互いに重なっている左側の間仕切りパネル10の右フランジ部31Iの孔37と右側の間仕切りパネル10の左フランジ部31Hの孔37とに挿入し、ビス28を支柱12の下孔27にねじ込む作業を行い、このねじ込み作業を、左右2枚の間仕切りパネル10に上下方向の所定間隔をあけて形成されている孔37と、支柱12に上下方向の所定間隔をあけて形成されている孔27とに挿入されるそれぞれのビス28について行う。
【0060】
この作業は、ビス30と窪み部35とにより支柱12に仮止めされている左右2枚の間仕切りパネル10をビス28で支柱12に止着するための作業であり、この作業を行うときに、ビス30の軸部30Aのうち、支柱12に前述の係止部である突起25となって支柱12から突出している部分が、間仕切りパネル10の前述の被係止部となっている窪み部35に挿入係止しているため、それぞれの間仕切りパネル10を支柱12にビス28で止着する作業者は、これらの間仕切りパネル10を支柱12に押し付ける作業を行うことなく、すなわち、これらの間仕切りパネル10が支柱12から大きく離間することをなくしながら、それぞれの間仕切りパネル10を支柱12にビス28で止着する作業を行うことができる。
【0061】
次いで、作業者は、間仕切りパネル10を支柱12に仮止めするために軸部30Aの先端側が支柱12にねじ込まれている、言い換えると、支柱12に結合されているビス30をさらに支柱12の内部に侵入させる作業を行い、これにより、ビス30の頭部30Bを、間仕切りパネル10の厚さ方向に重なっている左側の間仕切りパネル10の右フランジ部31Iと右側の間仕切りパネル10の左フランジ部31Hとのうち、図10に示されているように、間仕切り1の外側となっている右側の間仕切りパネル10の左フランジ部31Hに当てる。
【0062】
これにより、支柱12の左右両側に2枚配置されている間仕切りパネル10は、ビス30によっても支柱12に止着されることになり、言い換えると、仮止めのためのビス30は、ビス28と同様に間仕切りパネル10を支柱12に止着するための止着具として利用されることになり、仮止め用のビス30を第1止着具としたとき、第2止着具であるビス28により支柱12に止着される間仕切りパネル10は、第1止着具も利用されて支柱12に止着されることになる。
【0063】
以上説明した作業は、下枠部材4及び上枠部材5の長さ方向に間隔をあけて並設されているそれぞれの支柱12について行われる。また、図9及び図10に示されているように、支柱12に2個設けられているフランジ部12B,12Cのうち、一方に間仕切りパネル10を止着した後に、他方に間仕切りパネル10を止着する作業も行われる。
【0064】
この後、図10に示されているように、左右方向に並設されている2枚の間仕切りパネル10のうち、一方の間仕切りパネル10の折り曲げ部31Dと他方の間仕切りパネル10の折り曲げ部31Eとの間の隙間に、言い換えると、間仕切り1の目地に目地部材11を圧入配置する作業を行う。この目地部材11は、本実施形態の間仕切り1の設置施工作業が終了した状態を示している図1にも示されている。
【0065】
以上説明した本実施形態によると、間仕切りパネル10をビス28により支柱12に止着する際には、間仕切りパネル10はビス30で仮止めされているため、間仕切りパネル10を支柱12にビス28で止着する作業者は、間仕切りパネル10を支柱12に押し付ける作業を行うことなく、支柱12に間仕切りパネル10をビス28で容易に止着することができ、この作業の効率を向上させることができる。
【0066】
また、仮止めは、支柱12に係止部であって突起25として設けられているビス30の軸部30Aを、間仕切りパネル10における支柱12側の端部に被係止部として形成されている窪み部35に挿入することにより行われ、この窪み部35は開口側が下向きとなって間仕切りパネル10に形成されているため、仮止めにより、間仕切りパネル10の重量はビス30を介して支柱12で支持されることになり、このため、支柱12に間仕切りパネル10をビス28で止着する作業を一層容易に行える。
【0067】
また、窪み部35の幅寸法は、仮止め用のビス30の軸部30Aの直径寸法と同じ又はこの直径寸法よりも大きく、かつビス30の頭部30Bの直径寸法よりも小さくなっているため、仮止めした後に、窪み部35がビス30から脱落することを防止でき、これにより、窪み部35とビス30により間仕切りパネル10を支柱12に仮止めすることを一層確実に実施できる。
【0068】
さらに、窪み部35の下側は、この窪み部35と連通していて、窪み部35の幅寸法よりも大きく、かつビス30の頭部30Bの直径寸法よりも大きい開口部36となっているため、ビス30の軸部30Aを窪み部35に挿入する作業を、開口部36にビス30の頭部30Bを一旦挿入した後に行うことができ、このため、軸部30Aを窪み部35に挿入する作業をさらに一層容易に行える。
【0069】
また、窪み部35と開口部36は、間仕切りパネル10の表面部材31に形成されており、この表面部材31は金属板製であるため、窪み部35と開口部36を打ち抜き加工により容易に表面部材31に形成できる。
【0070】
さらに、本実施形態では、ビス30の軸部30Aのうち、支柱12から突出している部分は、支柱12の左右両側に配置される2枚の間仕切りパネル10の窪み部35に挿入されるため、このビス30は、これらの間仕切りパネル10について兼用されることになり、このため、それだけ支柱12の形状や構造の簡単化を図ることができるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明は、例えば、学校の内部に教室と廊下を設ける場合のように、建物等の構造物の内部に2つに仕切られた空間を形成するために利用することができる。
【符号の説明】
【0072】
1 間仕切り
2 床
3 天井
4 下枠部材
5 上枠部材
10 間仕切りパネル
12 支柱
25 突起
28 第2止着具であるビス
30 第1止着具であるビス
30A 係止部となっている軸部
30B 頭部
31 表面部材
31A 本体部
31H,31I フランジ部
32 芯部材
35 被係止部となっている窪み部
36 開口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10