(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6804890
(24)【登録日】2020年12月7日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】安全スイッチ
(51)【国際特許分類】
G05B 9/03 20060101AFI20201214BHJP
【FI】
G05B9/03
【請求項の数】21
【外国語出願】
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-154604(P2016-154604)
(22)【出願日】2016年8月5日
(65)【公開番号】特開2017-37644(P2017-37644A)
(43)【公開日】2017年2月16日
【審査請求日】2019年5月13日
(31)【優先権主張番号】10 2015 112 995.7
(32)【優先日】2015年8月6日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】516027731
【氏名又は名称】オイヒナー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング プルス コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】EUCHNER GmbH + Co. KG
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マティアス クラウス
(72)【発明者】
【氏名】マークス ヘアトリング
(72)【発明者】
【氏名】モニカ シュミート
(72)【発明者】
【氏名】ドミニク シュミート
(72)【発明者】
【氏名】ティモ ズィーファート
(72)【発明者】
【氏名】イェンス ローテンブアク
【審査官】
牧 初
(56)【参考文献】
【文献】
特表2007−532838(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2016/0178125(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 9/00−9/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冗長的な入力構造と冗長的な出力構造とを備えた安全スイッチ(2)であって、
前記安全スイッチは、複数の安全スイッチ(2)を備えた直列回路(1)に組み込まれるように形成されており、
前記安全スイッチ(2)は、前記直列回路(1)内の動作モードを識別および設定する手段を有しており、
前記安全スイッチ(2)は、前記直列回路の動作中に、前記直列回路(1)内で交換されるように形成されており、
前記安全スイッチは、二値の切換信号を生成し、
前記切換信号は、前記冗長的な出力構造を介して出力され、
前記切換信号は、第1の切換状態として、スイッチオン状態を、アクティブな安全条件若しくはイネーブル信号に相応して有しており、第2の切換状態として、スイッチオフ状態を、アクティブではない安全条件に相応して有しており、
前記スイッチオン状態においてのみ、テストパルスが、前記冗長的な出力構造を介して出力可能である、
ことを特徴とする安全スイッチ。
【請求項2】
前記テストパルスによって、前記冗長的な出力構造の切換能力がテストされる、
請求項1記載の安全スイッチ。
【請求項3】
前記冗長的な出力構造は、2つの出力側(OA,OB)によって形成されており、前記冗長的な入力構造は2つの入力側(IA,IB)によって形成されており、
第1の出力側と第1の入力側とにより第1のチャネルを形成し、第2の入力側と第2の出力側とにより第2のチャネルを形成し、
前記テストパルスを再び読み込むことによって、一方のチャネルの出力側について、各他方のチャネル上で、前記出力側の切換能力がテストされる、
請求項2記載の安全スイッチ。
【請求項4】
前記冗長的な出力構造を介してテストパターンを出力し、前記冗長的な入力構造を介してテストパターンを受け取るように形成されている、
請求項1記載の安全スイッチ。
【請求項5】
テストパターンは、パワーアップ中、および、その他は、前記安全スイッチ(2)のスイッチオン状態においてのみ出力される、
請求項4記載の安全スイッチ。
【請求項6】
各テストパターンは、個別パルスのシーケンスから成る、
請求項4または5記載の安全スイッチ。
【請求項7】
テストパターンを介して、前記安全スイッチ(2)の前記動作モードが設定可能である、
請求項4から6までのいずれか1項記載の安全スイッチ。
【請求項8】
テストパターンを介して、直列回路(1)における安全スイッチ(2)の順位を付与することができる、
請求項4から7までのいずれか1項記載の安全スイッチ。
【請求項9】
複数の安全スイッチ(2)を備えた直列回路(1)であって、
ある安全スイッチ(2)の前記冗長的な出力構造は、次の安全スイッチ(2)の前記冗長的な入力構造に結合されており、
前記直列回路(1)内には、請求項1から8までのいずれか1項に記載されている安全スイッチ(2)が少なくとも1つ設けられており、
前記安全スイッチ(2)は、前記動作モードの識別および設定のための手段を有している、
ことを特徴とする直列回路。
【請求項10】
前記直列回路(1)の最初の安全スイッチ(2)の前記冗長的な入力構造は、ジャンパプラグ(3,3a)に接続されており、
前記直列回路(1)の最後の安全スイッチ(2)の前記切換信号は、自身の冗長的な出力構造を介して、制御部に供給される、
請求項9記載の直列回路。
【請求項11】
複数の前記安全スイッチ(2)のうちの1つが、自身の冗長的な入力構造を介して、切換状態「スイッチオフ状態」を有する切換信号を出力すると、前記切換状態は、前記直列回路(1)の後続する複数の前記安全スイッチ(2)を経由して、制御部に供給される、
請求項10記載の直列回路。
【請求項12】
1つまたは複数の安全スイッチ(2)の他に、少なくとも1つの標準安全スイッチ(2a)が設けられており、
前記標準安全スイッチ(2a)は、前記切換信号が切換状態「スイッチオン状態」にある場合、および、前記切換信号が切換状態「スイッチオフ状態」にある場合に、テストパルスを送出するという点において前記安全スイッチ(2)と異なり、
前記標準安全スイッチ(2a)は、前記直列回路(1)の動作中に交換可能ではない、請求項9から11までのいずれか1項記載の直列回路。
【請求項13】
少なくとも1つの標準安全スイッチ(2a)とともに直列回路(1)内に配置されている1つまたは複数の前記安全スイッチ(2)は、コンパチブルモードにおいて動作し、
前記コンパチブルモードにおいて、前記安全スイッチ(2)は、標準安全スイッチ(2a)のように動作する、
請求項12記載の直列回路。
【請求項14】
前記直列回路(1)における前記安全スイッチ(2)の前記動作モードは、自発的に、パワーアップの間に確認される、
請求項9から13までのいずれか1項記載の直列回路。
【請求項15】
標準安全スイッチ(2a)が最初の機器として、前記直列回路(1)内に設けられている場合には、1つまたは全ての後続の安全スイッチ(2)は、前記標準安全スイッチ(2a)によって生成されたテストパルスに基づいて、コンパチブルモードで動作する、
請求項12から14までのいずれか1項記載の直列回路。
【請求項16】
前記最初の機器に割り当てられたジャンパプラグ(3)は、前記標準安全スイッチ(2a)の前記入力側(IA,IB)の「ハイ」レベルに相当する電圧レベルを設定する、
請求項15記載の直列回路。
【請求項17】
安全スイッチ(2)が最初の機器として、前記直列回路(1)内に設けられている場合には、前記安全スイッチ(2)に能動的なジャンパプラグ(3a)が割り当てられており、
前記能動的なジャンパプラグ(3a)は、標準安全スイッチ(2a)のテストパルスを出力し、
前記テストパルスを検出することによって、前記安全スイッチ(2)はコンパチブルモードで動作する、
請求項12から14までのいずれか1項記載の直列回路。
【請求項18】
前記直列回路内に、標準安全スイッチ(2a)は設けられておらず、安全スイッチ(2)だけが設けられており、
安全スイッチ(2)は、前記直列回路(1)の動作中に交換可能である、
請求項9から12までのいずれか1項記載の直列回路。
【請求項19】
前記直列回路(1)の最後の安全スイッチ(2)の前記切換信号は、制御部に直接供給される、
請求項12から18までのいずれか1項記載の直列回路。
【請求項20】
前記直列回路(1)の最後の安全スイッチ(2)の前記切換信号は、評価機器(4)を介して、制御部に供給され、
このために、前記最後の安全スイッチ(2)の前記出力側(OA,OB)は、前記評価機器(4)の各入力側に接続されている、
請求項12から19までのいずれか1項記載の直列回路。
【請求項21】
前記評価機器(4)は、通信システムを介して、前記直列回路(1)の前記安全スイッチ(2)に接続されている、
請求項20記載の直列回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安全スイッチおよび複数の安全スイッチを有する直列回路に関する。
【背景技術】
【0002】
安全スイッチは、安全技術の領域において使用される。ここでこれは特に、機械および施設の周辺の危険区域を安全防護するために使用される。
【0003】
例えば、この種の安全スイッチは、トランスポンダと協働する。ここでこのトランスポンダ信号に基づいて、ドア、または、機械や施設への入口等が閉鎖されているか否かを識別することができる。
【0004】
この種の安全スイッチは、典型的に、2つの入力側から成る冗長的な入力構造と、2つの出力側を有する冗長的な出力構造とを有している。安全スイッチは、自身の監視機能に相応して、特に、トランスポンダ信号に依存して、切換信号を生成する。この切換信号は、監視されるべき機械を制御する制御部に出力される。この安全スイッチによって、危険の無い状態が検知されると、特に、監視されるべきドアが閉じられていることが検知されると、切換状態「スイッチオン状態」の切換状態を有する切換信号が、アクティブな安全条件、すなわちイネーブル信号に相応して生成される。制御部が安全スイッチから、このようなイネーブル信号を受け取ると、制御部は、機械の運転を開始させる、若しくは、運転させる。しかし、安全スイッチによって、ドアが開放されていることが確認されると、安全スイッチは、アクティブでない安全条件に相応して、切換状態「スイッチオフ状態」を有する切換信号を生成する。このような場合に、安全スイッチは、危険を伴う状態を回避するために、機械をスイッチオフする。
【0005】
一般的に、複数のこの種の安全スイッチの直列回路を設けることもできる。これは特に、複雑な危険区域を監視するためである。
【0006】
このような直列回路において、危険をもたらす状態を確実に排除するために、直列回路は次のように機能する。すなわち、安全スイッチが、切換状態「スイッチオフ状態」を有する切換信号を出力した場合に、このような切換状態が、後続する全ての安全スイッチを経由して、制御部に供給されるように機能する。従って制御部はこの切換信号に基づいて、機械を安全な、すなわちスイッチオフされた状態に移行させる。
【0007】
直列回路で使用可能であるこの種の安全スイッチは、Euchner GmbH+Co.KG(有限合資会社)のタイプCES−ARの安全スイッチである。このような安全スイッチを以降で、標準安全スイッチと称する。
【0008】
このような標準安全スイッチの重要な特徴は、これが、自身の出力側でテストパルスを、この出力側を介して、切換状態「スイッチオン状態」を有する切換信号が出力される場合にも、切換状態「スイッチオフ状態」を有する切換信号が出力される場合にも出力する、ということである。このテストパルスは、各標準安全スイッチの出力側の切換能力を検査するためだけに使用されるのではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、構造的なコストが低く、かつ、機能性が高い安全スイッチと、複数の安全スイッチを伴う直列回路とを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の課題を解決するために、独立請求項の特徴部分に記載された構成が採用される。本発明の有利な実施形態および有利な発展形態は従属請求項に記載されている。
【0011】
本発明は、冗長的な入力構造と冗長的な出力構造とを有する安全スイッチに関する。この安全スイッチは、複数の安全スイッチを備えた直列回路に組み込まれるように形成されている。ここでこの安全スイッチは、直列回路内の動作
モードを識別および設定する手段を有している。この安全スイッチは、動作中に、この直列回路において交換されるように形成されている。
【0012】
以降で、冒頭に記載した、公知の標準安全スイッチと区別するために、単に安全スイッチと称される(付加的な名称のない)本発明の安全スイッチは、この公知の標準安全スイッチと比べて、格段に高い機能性を有する。
【0013】
一般的に、この安全スイッチは、個別配置において使用可能である。本発明の方法の安全スイッチは自発的に、直列回路内の動作
モードを識別し、これを自発的に相応に設定することができるので、安全スイッチを種々の直列回路において、特に柔軟に使用することができる。
【0014】
特に有利には、本発明の安全スイッチの直列回路では、直列回路の動作中に、安全スイッチを交換することができる。詳細には、この交換は、この安全スイッチがどのような切換信号を目下出力しているのかに依存せずに行われる。
【0015】
1つの安全スイッチが、直列回路から取り外されると、次の安全スイッチは、切換状態「スイッチオフ状態」に相応する電圧信号をそれ以降、受け取らない。このような切換状態において、テストパルスは出力されないので、次の安全スイッチは、テストパルスを待たない。従って、安全スイッチの取り外しは、クリチカルではない。
【0016】
一般的に、テストパルスによって、冗長的な出力構造の切換能力がテストされる。
【0017】
有利には、冗長的な出力構造は2つの出力側によって形成され、冗長的な入力構造は2つの入力側によって形成される。ここで第1の出力側と第1の入力側とが第1のチャネルを形成し、第2の入力側と第2の出力側とが第2のチャネルを形成する。テストパルスを再び読み込むことによって、一方のチャネルの出力側について、各他方のチャネル上で、この出力側の切換能力がテストされる。
【0018】
特に有利には、本発明の安全スイッチは、冗長的な出力構造を介してテストパターンを出力し、冗長的な入力構造を介してテストパターンを受け取るように形成されている。
【0019】
ここでこれらのテストパターンは、パワーアップ(Power−UP:電源投入、出力増加)の間、および、その他は、安全スイッチのスイッチオン状態においてのみ出力される。
【0020】
テストパターンを出力することによって、安全スイッチの機能性は格段に拡張される。
【0021】
特に、テストパターンを介して、直列回路内の安全スイッチの順位が、設定可能、識別可能および区別可能である。
【0022】
さらに有利には、テストパターンを介して、安全スイッチの動作
モードを設定することができる。
【0023】
特に、テストパターンは、直列回路内での安全スイッチの交換のために使用される。
【0024】
新たな安全スイッチが直列回路内で使用される場合には、これは、先行する安全スイッチから、そのテストパターンを介して、自身の順位を知り、その後、次の安全スイッチのために、自身のテストパターンを、直列回路において生成する。
【0025】
一般的に、各テストパターンは、個別パルスのシーケンスから成る。
【0026】
有利な構成では、本発明の安全スイッチは、パラメーター化のための手段を有している。
【0027】
本発明では、このような安全スイッチによって、直列回路が実現される。
【0028】
一般的に、ここでは、直列回路の最初の安全スイッチの冗長的な入力構造は、ジャンパプラグ(Brueckenstecker)に接続されている。直列回路の最後の安全スイッチの切換信号は、自身の冗長的な出力構造体を介して、制御部に供給される。
【0029】
ここで、複数の安全スイッチのうちの1つが、自身の冗長的な出力構造体を介して、切換状態「スイッチオフ状態」を有する切換信号を出力する場合、この切換状態は、直列回路の後続の安全スイッチを介して、制御部に供給される。
【0030】
本発明の第1の形態では、直列回路内に標準安全スイッチは設けられておらず、安全スイッチだけが設けられている。ここでこれらの安全スイッチは、自身の仕様に相応して、短いテストパルスとテストパターンとを出力する。
【0031】
このような場合には、安全スイッチによって生成され、それぞれ、次の安全スイッチに供給されたテストパターンによって、直列回路内での個々の安全スイッチの順位が既知になり、確認される。安全スイッチは、ここで、テストパターンも、テストパルスも次のような場合にのみ送出する。すなわち、各センサが切換状態「スイッチオン状態」を有する切換信号を出力した場合にのみ、送出する。これによって、直列回路の動作時に、安全スイッチを交換することが可能になる。ここで、この列内に新たに入れられた安全スイッチは、先行する安全スイッチから、テストパターンを介して、列内の自身の順位を知り、列内のこれらの安全スイッチと通信することができる。
【0032】
第1の選択肢では、直列回路の最後の安全スイッチの切換信号は、制御部に直接供給される。
【0033】
第2の選択肢では、直列回路の最後の安全スイッチの切換信号は、評価機器を介して、制御部に供給される。ここでこのために、最後の安全スイッチの出力側は、評価機器の各入力側に接続されている。
【0034】
ここでこの評価機器は、通信システムを介して、直列回路の安全スイッチに接続されている。
【0035】
従って、この評価機器によって、別の通信チャネルが供給され、この別の通信チャネルによって、直列回路の安全スイッチとのデータ交換が可能になる。この通信チャネルを介して、安全に関していないデータも安全に関するデータも伝送することができる。
【0036】
一般的に、評価機器を介して安全スイッチに順位が割り当てられ、この順位で、以降で、評価機器が安全装置に呼びかけをする。
【0037】
ここで、安全スイッチへのこの順位付与は、一方では、評価機器と、通信システムの通信線路とを介して行われる。択一的に、この順位付与が次のように行われてもよい。すなわち、評価機器が自身の入力側を介して、順位情報を、安全スイッチの冗長的な出力構造に出力するように行われてもよい。
【0038】
本発明の第2の形態では、直列回路内に、1つまたは複数の安全スイッチの他に、少なくとも1つの標準安全スイッチが設けられている。ここでこの標準安全スイッチは、安全スイッチと、次の点において異なっている。すなわち、切換信号が、切換状態「スイッチオン状態」にある場合、および、切換信号が切換状態「スイッチオフ状態」にある場合に、これがテストパルスを送出する、という点において異なっている。標準安全スイッチは、直列回路の動作中に交換可能ではない。
【0039】
このような場合には、直列回路内に設けられている、本発明の安全スイッチは、コンパチブルモードで動作する。ここでは、この安全スイッチは、標準安全スイッチと全く同じように動作する。ここで、安全スイッチは、自発的に、自身の動作
モードを、直列回路内に設けられている安全スイッチに合わせる。従って、直列回路の高い機能性が得られる。
【0040】
有利には、安全スイッチの動作
モードは、直列回路において、自発的に、パワーアップの間に確認される。
【0041】
安全スイッチの設定は、動作
モード、コンパチブルモードにおいて、次のことによって行われる。すなわち、安全スイッチが、直列回路内の先行する安全スイッチから、テストパルスを、標準安全スイッチの仕様に応じて受信することによって行われる。
【0042】
このような場合には、最初の機器に割り当てられたジャンパプラグが、電圧レベルを設定する。この電圧レベルは、標準安全スイッチの入力側の「ハイ」レベルに相当する。すなわち、ジャンパプラグは、受動的な素子を形成する。直列回路内の最初の機器として安全スイッチが設けられている場合には、これには、能動的なジャンパプラグが割り当てられている。これは、標準安全スイッチのテストパルスを出力する。ここで、このテストパルスを検出することによって、安全スイッチは、コンパチブルモードで動作する。
【0043】
このような場合には、能動的な素子であるこのジャンパプラグによって、コンパチブルモードにおける安全スイッチの動作
モードが設定される。
【0044】
標準安全スイッチが設けられており、これによって、直列回路内に設けられている安全スイッチがコンパチブルモードで動作する直列回路では、列の全ての加入素子が、テストパルスを、標準安全スイッチの仕様に相応して生成する。このテストパルスのパルス持続時間は、本発明の安全スイッチのテストパルスのパルス持続時間よりも長い。
【0045】
それにもかかわらず、列の最後の加入素子が本発明の安全スイッチである場合には、複数の安全スイッチと複数の標準安全スイッチとから成る列の後方に配置された制御部に、本発明の安全スイッチの仕様に従って、短いテストパルスを供給するために、本発明の安全スイッチは相応に、パラメーター化若しくは設定される。
【0046】
本発明を以下で、図面に基づいて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【
図1a】複数の本発明の安全スイッチが配置された、直列回路の第1の例
【
図1b】安全スイッチと、標準安全スイッチとが配置された直列回路の第1の例
【
図1c】安全スイッチと、標準安全スイッチとが装置された直列回路の第2の例
【
図1d】評価機器を有する、複数の本発明の安全スイッチが配置された、直列回路の第2の例
【
図2a】
図1aに示された直列回路の安全スイッチ間のテストパルスの伝送の概略図
【
図2b】
図1aに示された直列回路の安全スイッチ間のテストパターンの伝送の概略図
【
図3】評価機器に接続される場合の、
図1dに示された直列回路の安全スイッチの回路装置
【発明を実施するための形態】
【0048】
図1aは、複数の本発明の安全スイッチ2を備えた直列回路1の第1の例を示している。
【0049】
等しい構造を有するこれらの安全スイッチ2は、この場合、トランスポンダによって制御されるスイッチである。ここでは、確認されたトランスポンダ信号に基づいて、例えば、機械の危険区域への入口であるドアが閉鎖されているか否か、すなわち、インターロックされているか否かが監視される。このために、安全スイッチ2において、入力信号および出力信号が、誤り保護されて処理される。
【0050】
各安全スイッチ2は、2つの出力側OA,OBの形態の冗長的な出力構造と、2つの入力側IA,IBの形態の冗長的な入力構造を有している。従って、安全スイッチ2は、チャネルA(出力側OA,入力側IA)とチャネルB(出力側OB,入力側IB)とを有する2チャネルの構造を有している。
【0051】
図1aでは右側にある、直列回路1の最初の安全スイッチ2が、ジャンパプラグ3に接続されている。このジャンパプラグ3は、直列回路1の終端部を形成する。
図1aでは左側にある、最後の安全スイッチ2は、図示されていない制御部に接続されている。この制御部は、例えば、安全制御部によって形成されている。これは、その危険区域が、直列回路1の安全スイッチ2によって監視される機械を制御する。
【0052】
各安全スイッチ2は、確認されたトランスポンダ信号に依存して、出力側OA,OBを介して出力可能な切換信号を生成する。この切換信号は、2つの切換状態を有する。第1の切換状態は、スイッチオン状態であり、アクティブな安全条件若しくはイネーブル信号に相応する。このような切換状態は、危険をもたらす状況が存在しない場合に発生し、これは例えば、安全スイッチ2によって、監視されているドアが閉鎖されていることが検知された場合である。第2の状態は、スイッチオフ状態であり、これは、アクティブでない安全条件に相当する。このような切換状態は、危険をもたらす状況が検出された場合に発生し、これは例えば、安全スイッチ2によって、監視されているドアが開放されていることが検知された場合である。
【0053】
最も簡単な場合には、直列回路1は、1つの安全スイッチ2のみを備える。このような場合には、制御部は、この安全スイッチ2内で生成された切換信号によってだけ制御される。
【0054】
図1aの直列回路1では、4つの安全スイッチ2が、直列回路1内に設けられている。一般的に、他の数の安全スイッチ2が設けられてもよい。特に、4つよりも多くの安全スイッチ2が直列回路1を形成してもよい。直列回路1はこの場合には、次のように作用する。すなわち、最初の安全スイッチ2が、自身のトランスポンダ信号にのみ依存して、自身の切換信号を生成し、出力側OA,OBに出力するように作用する。他の安全スイッチ2は、自身の切換信号を、トランスポンダ信号と、入力側IA,IBに生じた信号と、に依存して生成する。安全スイッチ2が、切換状態「スイッチオフ状態」を有する切換信号を、危険をもたらす状態に相応して生成すると、この切換信号は、後続の安全スイッチ2を経由して、制御部に供給される。従って、この制御部は、機械を安全な状態に移行させる。すなわち、スイッチオフする。この過程は、直列回路1の全ての後続する実施例に、同様に当てはまる。
【0055】
各安全スイッチ2はテストパルスを生成し、このテストパルスは
図2aに示されているように、ある安全スイッチ2から次の安全スイッチ2へと伝送される。
【0056】
図2bが示しているように、各安全スイッチ2は、テストパターン、すなわち、複数の個別パルスから成るパルスシーケンスも出力する。個別パルスのパルス持続時間と、個別パルス間の休止と、が等しくても、異なっていてもよい。
【0057】
テストパターンを読み込むことによって、安全スイッチ2は、各動作
モードを識別することができる。従って、安全スイッチ2は、自発的に、自身の動作
モードを相応に設定することができる。
【0058】
さらに、このテストパターンに基づいて、冒頭に記載されたように、直列回路1内での安全スイッチ2の順位を特定することができる。
【0059】
図1aに示されているように、直列回路1の安全スイッチ2では、各安全スイッチ2がテストパルスを、スイッチオン状態でのみ出力する。これによって、安全スイッチ2を、直列回路1の動作中に交換することが可能になる。直列回路1から安全スイッチ2が取り外されると、次の安全スイッチ2は、電圧信号を受け取らない。これによって、その出力側OA,OBは、スイッチオフ状態に移行し、直列回路1は安全な状態に移行する。スイッチオフ状態では、テストパルスが安全スイッチ2から出力されるべきではないので、直列回路1は、機能することができる状態に保たれる。新たな安全スイッチ2が組み込まれる場合には、この安全スイッチ2は、先行する安全スイッチ2から、次のテストパターンを受け取るまで待機する。これに続いて、安全スイッチ2は、直列回路1における自身の順位を知り、これによって、列内で通信をすることができる。
【0060】
図1dは、
図1aに示した、直列回路1の実施形態の拡張を示している。
図1dのこのような直列回路1では、最後の安全スイッチ2の出力側OA,OBが直接的に制御部に導かれるのではなく、評価機器4の入力側IA,IBに導かれる。
【0061】
評価機器4から、通信システムのさらなる通信線路5、6が、安全スイッチ2およびジャンパプラグ3に導かれる。
【0062】
通信システムに接続するために、各安全スイッチ2は、
図3に示された回路装置を有している。これは、マイクロコントローラ7,出力ドライバ8,ドライバ9およびリセット回路10を含んでいる。オペレーターは、機能切換スイッチ11を介して、マイクロコントローラ7によって起動される。さらに、マイクロコントローラ7は、線路12,13を介してドライバ9に接続されている。出力ドライバ8およびリセット回路10には、さらなるスイッチ14,15が割り当てられている。この回路装置によって、評価機器4が直列回路1に接続されている場合に、通信システムを介した通信が起動される。この通信システムを介して、安全に関連しないデータが伝送される。これは例えば、安全スイッチ2の状況通知またはエラーコードである。通信加入者との通信は、回路装置の通知出力側16およびリセット入力側17を介して行われる。
【0063】
通信システムを介した通信の際に、安全スイッチ2は、通信システムの運転開始時に、特に、直列回路1のパワーアップ時に設定された順位で呼びかけられる。
【0064】
安全スイッチ2の順位のこの設定は、評価機器4を介して行われる。ここで、一方では、通信線路5、6は、順位を付与するために利用される。他方では、順位情報が、評価機器4の入力側IA、IBを介して、接続されている安全スイッチ2に出力されてもよい。
【0065】
択一的に、テストパターンの転送によって、安全スイッチ2の順位の付与が行われる。その後、評価機器4はこの順位を、安全スイッチに呼びかけるために取得する。
【0066】
図1bは、直列回路1の実施例を示している。ここでは、本発明の安全スイッチ2の他に、標準安全スイッチ2aも設けられている。
【0067】
標準安全スイッチ2aは、本発明の安全スイッチ2と同様に、例えば、トランスポンダによって制御されるスイッチである。この標準安全スイッチ2aは、これが、安全スイッチ2の全ての切換状態においてテストパルスを放出するという点において、本発明の安全スイッチ2と相違する。
【0068】
図1bの直列回路1では、列の最初の機器と最後の機器とが、標準安全スイッチ2aによって形成されている。残りの機器は安全スイッチ2によって形成されている。
【0069】
このような場合には、ジャンパプラグ3は、再び、固定した電圧レベルを設定する。これは、最初の機器の入力側IA,IBでのハイレベルに相当する。最初の機器を形成する標準安全スイッチ2aは、これによって同様に、自身が列の最初の機器であることを識別する。この標準安全スイッチ2aは次に、パワーアップの間、テストパルスを、安全スイッチ2によって形成されている次の機器に出力する。この安全スイッチ2は、標準安全スイッチ2aのテストパルスを識別し、これによって、コンパチブルモードに切り替わる。同じことが、以降の安全スイッチ2に当てはまる。
【0070】
コンパチブルモードでは、直列回路1の全ての安全スイッチ2は、標準安全スイッチ2aのように作動する。すなわち、直列回路1の安全スイッチ2は、標準安全スイッチ2aのようにテストパルスを出力し、詳細には、安全スイッチ2の切換信号の切換状態とは無関係にテストパルスを出力する。
【0071】
図1cは、
図1bに示されている直列回路1の変形を示している。
図1cに示された直列回路1では、直列回路1の第1の機器と、第2の機器と、第4の機器と、が安全スイッチ2である。第3の機器は、標準安全スイッチ2aによって形成されている。
【0072】
図1cに示されている直列回路1内に、標準安全スイッチ2aが配置されているので、直列回路1の他の安全スイッチ2は、
図1bに示された実施形態に相応して、コンパチブルモードで動作する。すなわち、これらは、標準安全スイッチ2aのように動作する。
図1cに示された直列回路1では、最初の機器は標準安全スイッチ2aではなく、安全スイッチ2であるので、安全スイッチ2をコンパチブルモードに切り替えるために、最初の機器のこのテストパルスを使用することができない。従って、この場合には、直列回路1の終端部として、能動的なジャンパプラグ3aが設けられている。この能動的なジャンパプラグ3aは、標準安全スイッチ2aのテストパルスを生成し、これを、最初の機器を形成する安全スイッチ2に入力する。従って、この安全スイッチ2(およびそれ以降の全ての別の安全スイッチ2)は、コンパチブルモードに切り替わる。
【符号の説明】
【0073】
1 直列回路、 2 安全スイッチ、 2a 標準安全スイッチ、 3 ジャンパプラグ、 3a 能動的なジャンパプラグ、 4 評価機器、 5,6 通信線路、 7 マイクロコントローラ、 8 出力ドライバ、 9 ドライバ、 10 リセット回路、 11 機能切換スイッチ、 12,13 線路、 14,15 スイッチ、 16 通知出力側、 17 リセット入力側、 OA,OB 出力側、 IA,IB 入力側