(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0020】
図1〜
図5は、本発明の第1実施形態に基づく包装体を示している。本実施形態の包装体A1は、台材1、筒状フィルム2、接合部3および被包装物4を備えている。
【0021】
図1は、包装体A1を示す斜視図である。
図2は、包装体A1を示す平面図である。
図3は、
図2のIII−III線に沿う断面図である。
図4は、
図2のIV−IV線に沿う断面図である。
図5は、
図3のV−V線に沿う断面図である。また、以降の図においては、本発明で言う軸方向(
図2における上下方向)がy方向に相当し、幅方向(
図2における左右方向)がx方向に相当し、x方向およびy方向に対して直角である方向がz方向である。なお、筒状フィルム2および接合部3の外観が表れる図面においては、筒状フィルム2に相対的に薄いトーンのハッチングを付しており、接合部3に相対的に濃いトーンのハッチングを付している。
【0022】
被包装物4は、筒状フィルム2によって包装されるものであり、包装体A1において台材1に対して保持されるとともに、筒状フィルム2によって保護されるものである。被包装物4としては、店頭で販売される様々な商品が採用され、筒状フィルム2によって包装可能なものであればよい。
【0023】
被包装物4は、広幅部41および狭幅部42を有する。広幅部41と狭幅部42とは、y方向において隣り合っている。広幅部41は、x方向における寸法が相対的に大である部位であり、狭幅部42は、x方向における寸法が相対的に小である部位である。また、本実施形態においては、広幅部41が狭幅部42に対してx方向一方側(
図2における図中左方側)に偏って突出している。このような被包装物4としては、たとえば、液体の化粧品を収容し、広幅部41がいわゆるポンプノズルであるノズル容器型の化粧品が挙げられる。ただし、被包装物4としては、化粧品のほか、食料品、飲料、日用品、医薬品等の容器が挙げられる。
【0024】
台材1は、筒状フィルム2および接合部3を介して被包装物4を保持するものである。台材1としては、一般的な、厚紙、普通紙、合成紙等の所謂ノンコート紙と呼ばれる台紙や表面に樹脂層が設けられた所謂コート紙等の紙材を主とする台材、あるいは合成樹脂シート等の合成樹脂材を主とする台材を採用しうる。これらは単層シート、およびこれらの2以上のシートが積層接着された積層シートなどの各種シート材を用いることができる。本実施形態においては、台材1として厚紙からなり、x方向およびy方向に延びる四辺を有する略長矩形状の台紙を用いる場合を例として説明する。
【0025】
図示された例においては、台材1には、孔部18が設けられている。孔部18は、台材1のうち平面視において被包装物4とは重ならない領域に設けられた貫通孔である。孔部18は、たとえば、店頭においてフックに包装体A1を掛けるために用いられる。
【0026】
筒状フィルム2は、所謂シュリンクフィルムと称される収縮性フィルムであり、たとえば熱収縮によって被包装物4を密着状態で包装する部材である。筒状フィルム2の大きさおよび縦横比は特に限定されない。筒状フィルム2は、筒状を呈するものであればよく、y方向両側または片側に開口を有するものでもよいし、y方向両側が閉じたものでもよい。図示された例においては、筒状フィルム2は、y方向両側に開口を有している。
【0027】
筒状フィルム2を構成する樹脂フィルムの具体例としては、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系、ポリスチレン系(PS)、ならびにポリ乳酸(PLA)、ポリアミド、およびエチレン酢酸ビ二ル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、ポリ塩化ビ二ル等のビ二ル系の樹脂からなるフィルムが挙げられる。また、これらの樹脂を2種以上混合した樹脂混合物を含むフィルムを用いることもできるし、2種以上のフィルムを積層した積層フィルムを用いることもできる。特に、熱収縮性であるシュリンクフィルムとしては、適切な収縮応力と高い透明性を有することから、ポリエステル系、ポリオレフィン系、およびポリスチレン系のフィルムが好ましく、ポリエステル系およびポリスチレン系フィルムが特に好ましい。また、主として周方向に収縮する一軸延伸フィルムを好ましく使用できるが、軸方向にも収縮する二軸延伸フィルムであってもよい。なお、一軸延伸フィルムとは、実質的に一軸延伸されているフィルムをいい、周方向(所謂TD方向)と軸方向(所謂MD方向)との収縮率が大きく異なるフィルムのことを意味するのであって、いずれかの方向に全く収縮しない(所謂収縮率がゼロである)フィルムのみをいうものではない。具体的には、例えば、90℃、10秒(温水処理)における周方向の熱収縮率が35〜80%、軸方向の熱収縮率が−5〜10%のフィルムが挙げられる。
【0028】
筒状フィルム2の厚みとしては、特に限定されないが、8〜100μmであることが好ましく、より好ましくは10〜80μm、特に好ましくは15〜60μmである。また、筒状フィルム2としては、着色された樹脂筒状フィルム、あるいは商品名やデザイン等を表示するための印刷層が形成された樹脂フィルムを用いることができる。
【0029】
本実施形態においては、筒状フィルム2は、熱収縮性一軸延伸フィルムである。筒状フィルム2の主延伸方向は、x方向に沿っている。このような筒状フィルム2は、加熱されるとx方向に沿った熱収縮が他の方向に沿った熱収縮よりも顕著に大である性質を有する。また、このような筒状フィルム2は、y方向に分離されるように主延伸方向(x方向)に沿って容易に引き裂くことができる。
【0030】
筒状フィルム2は、広幅被覆部21、狭幅被覆部22および分断部23を有する。広幅被覆部21と広幅被覆部21とは、y方向において隣り合う部位である。広幅被覆部21は、被包装物4の広幅部41を覆っている。狭幅被覆部22は、被包装物4の狭幅部42を覆っている。広幅部41および狭幅部42のy方向寸法に起因して、広幅被覆部21のy方向寸法は、狭幅被覆部22のy方向寸法よりも大である。後述するように、広幅被覆部21および狭幅被覆部22の収縮前のy方向寸法は、同一である。このため、広幅被覆部21と狭幅被覆部22との収縮量は互いに異なっており、狭幅被覆部22の収縮量が広幅被覆部21の収縮量よりも大である。
【0031】
分断部23は、y方向において広幅被覆部21と狭幅被覆部22との間に位置しており、広幅被覆部21および狭幅被覆部22の少なくとも一部同士を分断する部位である。本実施形態においては、分断部23は、筒状フィルム2のx方向における一部(
図2における図中左側部分)のみに設けられており、広幅被覆部21の一部と狭幅被覆部22の一部とを分断している。一方、
図2におけるy方向図中右側においては、広幅被覆部21と狭幅被覆部22とは分断部23によっては分断されておらず、互いに一体的に繋がっている。
【0032】
図1、
図2、
図4および
図5に示すように、本実施形態においては、分断部23は、被包装物4の一部を露出させる開口部からなる。より具体的には、分断部23は、被包装物4の広幅部41と狭幅部42との境界を部分的に跨ぐようにして、広幅部41の一部および狭幅部42の一部を露出させている。このような分断部23は、後述する切断線または切断予定線が形成された筒状フィルム材料が、広幅部41および狭幅部42に密着するように収縮することによって形成される。
【0033】
接合部3は、台材1と筒状フィルム2とを接合している。接合部3の大きさや設けられる位置は特に限定されず、台材1と筒状フィルム2とを適切に接合可能な構成であればよい。図示された例においては、接合部3は、筒状フィルム2および被包装物4のx方向略中央に位置しており、y方向において
図2の図中下方側において狭幅被覆部22(狭幅部42)と重なる位置に配置されている。
【0034】
接合部3は、たとえば台材1および筒状フィルム2との接着強度が強く、被包装物4の荷重に耐えて、流通過程や陳列過程における長時間の接着状態を維持できる種々の接着剤(粘着剤を含む)によって構成することができる。このような接着剤の例示としては、エラストマー系接着剤、熱可塑性樹脂系接着剤、およびホットメルト接着剤等の感圧性接着剤や感熱性接着剤等が挙げられ、特に加熱塗工して後述する筒状フィルム材料2Aを台材1に張り合わせた後、常温に冷却されたときに強い接着強度を発現するホットメルト接着剤が好適であり、中でも湿気反応型ホットメルト接着剤がより好適である。なお、接着強度は、接着剤の種類だけでなく、接着剤の塗布面積や各種添加物等によっても調整することができ、被支持物の重量等に応じて適宜調整できる。また、接合部3は、接着剤に代えて、所謂両面テープによって構成してもよい。後述する本発明が意図する効果を奏するには、接合部3の厚さが厚い方が好ましい。
【0035】
図6および
図7は、包装体A1の製造に用いられる包材の一例を示している。図示された包材B1は、台材1、筒状フィルム材料2Aおよび接合部3を備えている。
【0036】
台材1は、上述した台材1と同様の構成である。なお、複数の台材1を形成可能な大サイズの台材材料を用いて、複数の包装体A1を一括して製造する構成であってもよい。筒状フィルム材料2Aは、上述した筒状フィルム2で述べたフィルム材料からなるものであり、熱収縮することにより、筒状フィルム2を構成するものである。接合部3は、台材1と筒状フィルム材料2Aとを接合しており、その具体的構成は上述した通りである。
【0037】
筒状フィルム材料2Aは、筒状のフィルム材料が平坦に折り畳まれた状態のものである。図示された筒状フィルム材料2Aは、y方向両端が開口しているが、y方向一端のみが開口したものであってもよい。また、本実施形態の筒状フィルム材料2Aは、z方向視矩形状であるが、その形状は特に限定されない。
【0038】
筒状フィルム材料2Aは、広幅被覆予定部21A、狭幅被覆予定部22Aおよび異収縮許容部23Aを有する。広幅被覆予定部21Aと狭幅被覆予定部22Aとは、y方向において隣り合う部位である。広幅被覆予定部21Aは、上述した広幅被覆部21となる部位である。狭幅被覆予定部22Aは、上述した狭幅被覆部22となる部位である。なお、本実施形態においては、接合部3は、z方向視において狭幅被覆部22のみと重なる位置に設けられている。
【0039】
異収縮許容部23Aは、y方向において広幅被覆予定部21Aおよび狭幅被覆予定部22Aの少なくとも一部ずつの間に位置するものであり、図示された例においては、異収縮許容部23Aは、
図2における筒状フィルム材料2Aの図中x方向左側に設けられている。異収縮許容部23Aは、後述する包装体A1の製造において、筒状フィルム2が被包装物4に密着するように熱収縮する際に、広幅被覆予定部21Aおよび狭幅被覆予定部22Aの少なくとも一部同士が異なる収縮量で収縮することを許容する部位である。このような異収縮許容部23Aの具体的構成は特に限定されず、図示された例においては、異収縮許容部23Aは、いわゆるミシン目線によって構成されている。また、図示された例においては、異収縮許容部23Aは、折り畳まれた筒状フィルム材料2Aの
図7における筒状フィルム材料2Aのx方向左端を経由して手前側部分と台材1側部分との双方に形成されている。
【0040】
包装体A1の製造においては、
図6および
図7に示す包材B1の筒状フィルム2を拡開し、一方の開口部から被包装物4を挿入する。この際、
図7によく表れているように、広幅部41と狭幅部42との境界が、異収縮許容部23A付近、好ましくは異収縮許容部23Aよりもy方向において若干上方に位置するように、筒状フィルム材料2A内において被包装物4を配置する。これにより、被包装物4の広幅部41が筒状フィルム材料2Aの広幅被覆予定部21Aに概ね収容され、狭幅部42が狭幅被覆予定部22Aに概ね収容される。
【0041】
次いで、たとえば筒状フィルム材料2Aを所定温度まで加熱することにより、筒状フィルム材料2Aを熱収縮させる。この熱収縮により、筒状フィルム材料2Aは、x方向において顕著に収縮する。この際、筒状フィルム材料2Aの広幅被覆予定部21Aは、広幅部41を収容していることから、広幅部41に密着するように熱収縮する。一方、狭幅被覆予定部22Aは、狭幅部42を収容していることから、狭幅部42に密着するように熱収縮する。上述したとおり、広幅部41は、狭幅部42と比べて、x方向寸法が大である。このため、狭幅被覆予定部22Aは、広幅被覆予定部21Aよりも大きな収縮量で収縮しようとする。この異なる収縮量に起因して、筒状フィルム材料2Aの広幅被覆予定部21Aと狭幅被覆予定部22Aとの境界には、大きなせん断力が生じる。本実施形態においては、このせん断力によってミシン目からなる異収縮許容部23Aが切断される。これにより、広幅被覆予定部21Aおよび狭幅被覆予定部22Aの一部同士が分断され、異なる収縮量での収縮が許容される。そして、広幅被覆予定部21Aが広幅部41に密着し、狭幅被覆予定部22Aが狭幅部42に密着し、異収縮許容部23Aが開口部分となる。この結果、
図1〜
図5に示した、広幅被覆部21、狭幅被覆部22および分断部23を有する筒状フィルム2によって被包装物4が密着状態で覆われた包装体A1が得られる。
【0042】
次に、包装体A1および包材B1の作用について説明する。
【0043】
本実施形態によれば、筒状フィルム2は、被包装物4の広幅部41を覆う広幅被覆部21と狭幅部42を覆う狭幅被覆部22との少なくとも一部ずつを分断する分断部23を有する。これにより、筒状フィルム2の材料となる筒状フィルム材料2Aが熱収縮等によって被包装物4に密着するように収縮する際に、少なくとも筒状フィルム材料2Aの収縮が完了した時点において、広幅被覆部21と狭幅被覆部22との一部ずつが分断されている。このため、互いの収縮量が異なる広幅被覆部21と狭幅被覆部22との全体が一体的に繋がれたままとされることによって生じうる内力を軽減することが可能である。したがって、台材1に対して筒状フィルム2および被包装物4が意図せず傾いてしまうことを抑制することができる。また、広幅部41と狭幅部42との境界部分において、筒状フィルム2が斜めに引っ張られたように被包装物4から浮かんでしまう部位が生じることを回避することが可能である。したがって、被包装物4の形状によって包装体A1の外観が損なわれることを抑制することができる。
【0044】
包材B1において筒状フィルム材料2Aに異収縮許容部23Aを設けることにより、互いの収縮量の差が異なる広幅被覆予定部21Aおよび狭幅被覆予定部22Aを被包装物4に沿って適切に収縮させつつ、包装体A1の完成時に筒状フィルム2にアンバランスな内力が生じることを回避することが可能である。また、異収縮許容部23Aを設けることにより、広幅被覆予定部21Aと狭幅被覆予定部22Aとは、互いにx方向寸法が同じものとすることが可能である。これにより、筒状フィルム材料2Aとして、ごく一般的な一定幅の筒状フィルム材料を使用することが可能であり、製造コストの増大を回避し、製造率の低下を防止するのに適している。
【0045】
分断部23(異収縮許容部23A)が筒状フィルム2(筒状フィルム材料2A)のx方向における一部のみに設けられていることにより、筒状フィルム2の完成時において、広幅被覆部21と狭幅被覆部22とを部分的に繋げておくことが可能である。これは、筒状フィルム2に不要な隙間等が生じることにより、被包装物4が筒状フィルム2から過度に露出することを防止するのに好ましい。分断部23(異収縮許容部23A)が、x方向において広幅部41が狭幅部42から突出する側に設けられていることは、広幅被覆予定部21Aと狭幅被覆予定部22Aとを互いに異なる収縮量で収縮することを許容するのに好ましい。
【0046】
異収縮許容部23Aがミシン目線によって形成されていることにより、包材B1においては、筒状フィルム材料2Aは、全体として平滑な形状であり、y方向途中部分に切れ目や突出した部位などを有さないものである。このため、筒状フィルム材料2Aに被包装物4を挿入する際に、筒状フィルム2が被包装物4に不当に引っかかること等を防止することができる。
【0047】
図8〜
図15は、本発明の変形例および他の実施形態を示している。なお、これらの図において、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付している。
【0048】
図8は、包材B1の変形例を示している。本変形例においては、筒状フィルム材料2Aの異収縮許容部23Aが切断線によって構成されている。この切断線は、たとえば平坦に折り畳まれた筒状フィルム材料2Aの一部を、カッターがz方向に貫通することによって形成される。このような変形例の包材B1を用いて製造された包装体A1は、
図1〜
図5に示す包装体A1と同様の分断部23を有するものとなる。切断線からなる分断部23を有する包材B1は、筒状フィルム2の熱収縮が開始する前から、広幅被覆予定部21Aおよび狭幅被覆予定部22Aの一部同士を分断している。このため、熱収縮の度合い等に左右されず、所望の大きさおよび位置の分断部23を形成するのに適している。なお、異収縮許容部23Aは、少なくとも筒状フィルム材料2Aが収縮することにより被包装物4の広幅部41および狭幅部42に密着した際に、広幅被覆予定部21Aおよび狭幅被覆予定部22Aが異なる収縮量で収縮することを許容する構成であれば、その具体的構成は特に限定されない。異収縮許容部23Aとしては、ミシン目線および切断線以外に、たとえば切込み(ノッチ)や部分的に厚さが減じられた所謂ハーフカット部等が挙げられる。
【0049】
図9は、包材B1の他の変形例を示している。本変形例においては、異収縮許容部23Aが、筒状フィルム材料2Aのx方向全長にわたって設けられている。すなわち、広幅被覆予定部21Aの全体と狭幅被覆予定部22Aの全体とが、異収縮許容部23Aによって区画されている。
【0050】
筒状フィルム材料2Aがx方向に顕著に収縮し、y方向に実質的な収縮を示さない場合、熱収縮の後においても、筒状フィルム2の広幅被覆部21と狭幅被覆部22とは、y方向に大きく離間することなく、隣接するものとなる。また、異収縮許容部23Aがミシン目線からなる場合、図示された例においては、広幅被覆予定部21Aと狭幅被覆予定部22Aとの収縮量の差が大である異収縮許容部23Aのx方向左側部分は、熱収縮によって切断され分断部23を構成する可能性が高い。一方、異収縮許容部23Aの図中右側部分は、広幅被覆予定部21Aと狭幅被覆予定部22Aとの収縮量の差が相対的に小さいため、熱収縮においても切断されず、筒状フィルム2において広幅被覆部21と狭幅被覆部22とを一体的に繋ぐ部位として残存する可能性がある。ミシン目線からなる異収縮許容部23Aが残存した場合、この残存部分を包装体A1を開封する際に筒状フィルム2の切断を補助する開封切断用の補助線として用いることができるという利点がある。なお、x方向全長に設けられた異収縮許容部23Aが、切断線によって構成されていてもよい。この場合、異収縮許容部23Aのy方向両側に接合部3が設けられることが好ましい。
【0051】
図10は、本発明の第2実施形態に基づく包材を示している。本実施形態の包材B2は、異収縮許容部23Aの構成が上述した実施形態と異なっている。
【0052】
本実施形態においては、異収縮許容部23Aは、いわゆる溶断線によって構成されている。溶断線とは、加熱した切断刃等によって筒状フィルム材料2Aを挟むことにより、筒状フィルム材料2Aの一部同士を、溶融を利用して接合すると同時に、筒状フィルム材料2Aの一部を切断する処理である。図示された例においては、x方向左方を先端とするくさび状の切断刃によって形成された溶断線からなる場合を示している。より具体的には、異収縮許容部23Aのうち広幅被覆予定部21A側に位置する部分は、x方向に対して平行であり、異収縮許容部23Aのうち狭幅被覆予定部22A側に位置する部分は、x方向に対して斜めに傾いている。
【0053】
このような異収縮許容部23Aは、z方向に対向する筒状フィルム材料2Aの内端縁同士が溶融の後に冷却されることによって接合されている。このため、異収縮許容部23Aは、筒状フィルム材料2Aのx方向左端から筒状フィルム材料2Aの内方に入り込む形状であるものの、筒状フィルム材料2Aの内外を通じさせる開口部分とはなっていない。本実施形態の異収縮許容部23Aによっても、広幅被覆予定部21Aおよび狭幅被覆予定部22Aのうち異収縮許容部23Aを挟む部分同士は、互いの収縮量が異なる熱収縮が許容される。
【0054】
図11は、包材B2を用いて製造された包装体A2を示している。包装体A2においては、包材B2の筒状フィルム材料2Aの異収縮許容部23Aが溶断線によって構成されていたことから、筒状フィルム2の分断部23が、溶断線によって構成されている。すなわち、分断部23は、広幅被覆部21および狭幅被覆部22の一部同士を分断しているものの、筒状フィルム2の内端縁同士が接合された部位となっており、被包装物4を露出させるものではない。このような実施形態によっても、被包装物4の形状によって包装体A2の外観が損なわれることを抑制することができる。また、
図10に示す例において、y方向図中上方から被包装物4を筒状フィルム2に挿入すれば、異収縮許容部23Aに被包装物4の広幅部41が引っかかる格好となる。これにより、さらなる被包装物4の挿入が阻止され、広幅被覆予定部21Aおよび狭幅被覆予定部22Aに対して広幅部41および狭幅部42が、自ずと位置決めされることとなる。これは、包材B2の製造効率の向上や、筒状フィルム材料2Aと被包装物4との位置合わせの高精度化に好ましい。
【0055】
また、異収縮許容部23Aの広幅被覆予定部21A側部分がx方向に平行であったことにより、分断部23の広幅被覆部21側部分は、広幅被覆部21に沿っておりx方向に平行な部位となっている。一方、分断部23の狭幅被覆部22側部分は、狭幅被覆部22のy方向寸法が広幅被覆部21よりも小であることから、狭幅被覆部22よりも若干浮かんだ角状の部位となっている。ただし、異収縮許容部23Aの狭幅被覆予定部22A側部分がx方向に対して傾いた構成であったため、たとえば異収縮許容部23Aの狭幅被覆予定部22A側部分がx方向に平行である構成と比べて分断部23の前記角状の部位が過度に大きな部位となることが抑制されている。
【0056】
図12は、本発明の第3実施形態に基づく包装体を示している。本実施形態の包装体A3は、被包装物4の構成が上述した実施形態と異なっている。
【0057】
本実施形態においては、被包装物4は、第1被包装要素4Aおよび第2被包装要素4Bからなる。第1被包装要素4Aおよび第2被包装要素4Bは、互いのy方向寸法が異なっており、第1被包装要素4Aのy方向寸法が第2被包装要素4Bのy方向寸法よりも大とされている。そして、第1被包装要素4Aのy方向下端と第2被包装要素4Bのy方向下端とが略一致していることにより、第1被包装要素4Aが第2被包装要素4Bに対してy方向上方に突出している。これにより、本実施形態においては、x方向において第1被包装要素4Aと第2被包装要素4Bとが隣り合っている部位が広幅部41を構成し、第1被包装要素4Aのみが存在する部位が狭幅部42を構成している。このような構成の広幅部41および狭幅部42に対応して、分断部23は、y方向において第2被包装要素4Bのy方向上端付近に設けられている。
【0058】
図13は、包装体A3の製造に用いられる包材B3を示している。包材B3においては、異収縮許容部23Aは、筒状フィルム材料2Aのx方向左端から少なくとも第1被包装要素4Aと重なる位置まで設けられている。異収縮許容部23Aは、上述したミシン目線および切断線でもよいし、溶断線でもよい。
【0059】
このような実施形態によっても、被包装物4の形状によって包装体A3の外観が損なわれることを抑制することができる。また、被包装物4が複数の商品からなる場合であっても、本願における広幅部41および狭幅部42を有する構成であれば、本願が意図する効果を奏する。すなわち、被包装物4を構成する複数の商品が、互いの外径(幅)に差があったり、互いの高さが異なったりする場合、これらの商品を隣り合わせることにより被包装物4が構成されると、広幅部41および狭幅部42が自ずと形成される。たとえば相対的に高さが高い商品と低い商品とを、互いの中心高さが揃うように隣り合わせると、広幅部41を挟んで2つの狭幅部42が上下に存在するような被包装物4となる。このような場合には、広幅部41を挟んで上下に離間した2つの分断部23(異収縮許容部23A)が設けられればよい。
【0060】
図14は、本発明の第4実施形態に基づく包装体を示している。本実施形態の包装体A4においては、被包装物4の形状が上述した実施形態と異なっている。
【0061】
本実施形態においては、被包装物4の広幅部41は、狭幅部42に対してx方向両側に突出している。また、筒状フィルム2の分断部23は、広幅部41と狭幅部42との境界付近において、x方向両側に設けられている。広幅被覆部21が広幅部41を覆い、狭幅被覆部22が狭幅部42を覆う点は、上述した実施形態と同様である。
【0062】
このような実施形態によっても、被包装物4の形状によって包装体A4の外観が損なわれることを抑制することができる。また、分断部23(異収縮許容部23A)を備えない構成においては、広幅部41と狭幅部42との境界において、筒状フィルム2が被包装物4から離間して斜めに張られた部分が生じる可能性が大きい。本実施形態においては、当該部分に2つの分断部23が設けられていることにより、斜めに張られた部分が生じることを回避可能であり、包装体A4の外観を美しく保つのに好ましい。
【0063】
図15は、本発明の第5実施形態に基づく包装体を示している。本実施形態の包装体A5においては、被包装物4が2つの広幅部41を有する点が上述した実施形態と異なっている。
【0064】
本実施形態においては、被包装物4は、狭幅部42を挟んでy方向両側に位置する2つの広幅部41を有している。y方向上方の広幅部41は、x方向左方に突出しており、y方向下方の広幅部41は、x方向右方に突出している。2つの広幅部41に対応して、筒状フィルム2は、狭幅被覆部22を挟んでy方向両側に2つの広幅被覆部21を有している。また、2つの広幅被覆部21と狭幅被覆部22との境界には、2つの分断部23が設けられている。
【0065】
このような実施形態によっても、被包装物4の形状によって包装体A5の外観が損なわれることを抑制することができる。また、被包装物4がx方向において互いに反対側に突出する広幅部41を有するため、上述した筒状フィルム材料2Aの熱収縮によって、筒状フィルム2および被包装物4が台材1に対して傾く傾向がより強いことが懸念される。本実施形態においては、2つの広幅部41に対応して2つの分断部23を設けることにより、筒状フィルム2および被包装物4の傾きを抑制することができる。
【0066】
包装体A4および包装体A5から理解されるように、本発明において広幅部41および狭幅部42の個数や位置は特に限定されない。広幅部41と狭幅部42とが隣り合う部分に分断部23が設けられることにより、上述した効果が奏されると期待できる。
【0067】
本発明に係る包装体および包材は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る包装体および包材の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。