(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態について、図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
実施形態に係る予測システムは、道路を走行する電気自動車などの車両が消費する電力を予測するものである。たとえば、予測システムは、予測される消費エネルギー(予測消費エネルギー)を車両のユーザへ提供する。
【0008】
予測システムが予測消費エネルギーを算出する車両は、バッテリを搭載し自走するものである。以下に説明する各実施形態において予測消費エネルギーの算出対象となる車両は、道路を走行する電気自動車であるものとする。なお、車両は、電気自動車に限定されるものではなく、バッテリで駆動する電車、航空機、又は、船舶などであってもよい。
【0009】
図1は、実施形態に係る予測システム1の構成例を示すブロック図である。
図1が示すように、予測システム1は、予測サーバ10、気象情報サーバ20、交通情報サーバ30、充電器管理サーバ40、アプリ管理サーバ50、充電器Q1乃至Qn、車両V1乃至Vn及びユーザ端末F1乃至Fnなどを備える。
【0010】
予測サーバ10は、気象情報サーバ20、交通情報サーバ30、充電器管理サーバ40及びアプリ管理サーバ50と通信接続する。たとえば、予測サーバ10は、インターネット又は独自のネットワークを通じて気象情報サーバ20、交通情報サーバ30、充電器管理サーバ40及びアプリ管理サーバ50と接続する。
【0011】
また、充電器管理サーバ40は、インターネットなどを通じて、充電器Q1乃至Qnと通信接続する。また、アプリ管理サーバ50は、インターネットなどを通じて、ユーザ端末F1乃至Fnと通信接続する。また、充電器Q1乃至Qnは、それぞれ車両V1乃至Vnに搭載されるバッテリに対して充電可能となるように車両に接続する。
【0012】
予測サーバ10(消費エネルギー予測装置)は、気象情報サーバ20、交通情報サーバ30、充電器管理サーバ40及びアプリ管理サーバ50などからの情報に基づいてユーザが使用する車両V1乃至Vnの予測消費エネルギーを算出する。予測サーバ10は、アプリ管理サーバ50を通じて、算出された予測消費エネルギーを車両V1乃至Vnを所持するユーザのユーザ端末F1乃至Fnに送信する。予測サーバ10については、後に詳述する。
【0013】
気象情報サーバ20は、気象に関する情報(気象情報)を予測サーバ10に送信する。気象情報サーバ20は、気象情報DB21を有する。気象情報DB21は、複数の気象情報を格納する。気象情報は、所定の期間における気温、降水量、風速、風向又は降雪量などの情報である。気象情報DB21は、地域及び期間ごとの気象情報を格納する。たとえば、気象情報サーバ20は、気象に関するデータを取得すると、当該データに基づいて気象情報を生成し、気象情報DB21に格納する。
【0014】
気象情報サーバ20は、気象情報DB21が格納する気象情報を予測サーバ10へ送信する。たとえば、気象情報サーバ20は、予測サーバ10からのリクエストに応じて気象情報を予測サーバ10へ送信する。また、気象情報サーバ20は、定期的に気象情報を予測サーバ10へ送信してもよい。
【0015】
交通情報サーバ30は、道路の交通に関する交通情報を予測サーバ10へ送信する。交通情報サーバ30は、複数の交通情報DB31を有する。交通情報DB31は、交通情報を格納する。交通情報は、所定の道路を走行する各車両の速度(たとえば、各車両の平均速度)を示す情報などである。交通情報DB31は、道路ごとの交通情報を格納する。たとえば、交通情報サーバ30は、新たな道路の交通の関するデータを取得すると、当該データに基づいて交通情報を生成し交通情報DB31に格納する。
【0016】
交通情報サーバ30は、交通情報DB31が格納する交通情報を予測サーバ10へ送信する。たとえば、交通情報サーバ30は、予測サーバ10からのリクエストに応じて交通情報を予測サーバ10へ送信する。また、交通情報サーバ30は、定期的に交通情報を予測サーバ10へ送信してもよい。
【0017】
充電器管理サーバ40は、車両V1乃至Vnの消費エネルギーを示す消費履歴情報を予測サーバ10へ送信する。消費履歴情報は、たとえば、所定の期間(たとえば、車両V1乃至Vnの移動を開始してから終了するまで)における車両V1乃至Vnの消費エネルギーを示す情報などである。
【0018】
消費履歴情報は、車両V1乃至Vnの運動情報及び車両情報を含む。充電器管理サーバ40は、消費履歴情報DB41を有する。消費履歴情報DB41は、消費履歴情報を格納する。たとえば、充電器管理サーバ40は、新たなデータを取得すると、当該データに基づいて消費履歴情報を生成し、生成した消費履歴情報を消費履歴情報DB41に格納する。
【0019】
運動情報は、車両V1乃至Vnの運動エネルギーに関する情報である。運動情報は、たとえば、走行日時、走行区間、当該走行区間の走行距離、当該走行区間を走行した走行時間、及び、当該走行区間に表示されたエネルギー消費量などを含む。
車両情報は、車両V1乃至Vnに関する情報である。車両情報は、たとえば、車両V1乃至Vnの車種を示す車種情報、及び、車両V1乃至Vnに搭載されるバッテリに関するバッテリ情報などを含む。
【0020】
充電器管理サーバ40は、充電器Q1乃至Qnからのデータに基づいて消費履歴情報を生成する。たとえば、充電器管理サーバ40は、充電器Q1乃至Qnから運動情報及び車両情報を取得する。充電器管理サーバ40は、充電器Q1乃至Qnからの運動情報及び車両情報を示す消費履歴情報を生成し、生成した消費履歴情報を消費履歴DB41に追加する。
【0021】
充電器管理サーバ40は、消費履歴情報DB41が格納する消費履歴情報を予測サーバ10へ送信する。たとえば、充電器管理サーバ40は、予測サーバ10からのリクエストに応じて消費履歴情報を予測サーバ10へ送信する。また、充電器管理サーバ40は、定期的に(たとえば、日ごとに)消費履歴情報を予測サーバ10へ送信してもよい。
【0022】
充電器Q1乃至Qnは、車両に搭載されたバッテリを充電する。ここでは、充電器Q1乃至Qnは、それぞれ車両V1乃至Vnに搭載されたバッテリを充電するものとする。充電器Q1乃至Qnは、充電した車両から当該車両の運動情報及び車種情報を取得する。たとえば、充電器Q1乃至Qnは、車両と接続した際に、車両から運動情報及び車種情報を取得する。
【0023】
充電器Q1乃至Qnは、充電スタンドなどに設置されてもよい。また、充電器Q1乃至Qnは、車両V1乃至Vnを所持するユーザの住宅に設置されてもよい。
【0024】
車両V1乃至Vnは、バッテリを搭載し、バッテリから要求される電力により自走する車両である。車両V1乃至Vnは、GPSセンサなどからの信号又は内部の時計などに基づいて自身の運動情報を生成する。また、車両V1乃至Vnは、自身の車両情報を格納する。または、高速道路のような移動経路が推測可能な道上の充電器の情報を用いて、推定してもよい。
【0025】
車両V1乃至Vnは、充電器Q1乃至Qnに接続すると充電器Q1乃至Qnからの電力によりバッテリを充電する。また、車両V1乃至Vnは、充電器Q1乃至Qnに自身の運動情報及び車両情報を送信する。
【0026】
アプリ管理サーバ50は、車両V1乃至Vnのユーザが所持するユーザ端末F1乃至Fnに対して予測消費エネルギーを配信する。たとえば、アプリ管理サーバ50は、ユーザ端末F1乃至Fn上で動作するアプリに対して予測消費エネルギーを配信する。
【0027】
また、アプリ管理サーバ50は、ユーザ端末F1乃至Fnから、予測消費エネルギーを予測するために必要な予測用データを取得する。たとえば、アプリ管理サーバ50は、アプリに対してユーザが入力した操作に基づいて生成された予測用データを当該アプリから取得する。また、予測用データの取得は、アプリ、カーナビ、又は車両からGPSでリアルタイムでデータを取得するようにしてもよい。
【0028】
予測用データは、ユーザが消費エネルギーを予測したい区間及び日時などを示す走行情報と、ユーザの車両V1乃至Vnの車両情報とを含む。走行情報は、たとえば、走行日時、出発地及び目的地などの情報である。
【0029】
アプリ管理サーバ50は、予測用データDB51を備える。予測用データDB51は、予測用データを格納する。
アプリ管理サーバ50は、予測用データDB51が格納する予測用データを予測サーバ10へ所定のタイミングで送信する。
【0030】
ユーザ端末F1乃至Fnは、車両V1乃至Vnを所持又は利用するユーザの端末機器である。たとえば、ユーザ端末F1乃至Fnは、スマートフォン、タブレットPC、PC、又は、カーナビなどであってもよい。ユーザ端末F1乃至Fnは、ユーザから走行情報及び車両情報の入力を受け付ける。ユーザ端末F1乃至Fnは、走行情報及び車両情報から構成される予測用データを生成する。ユーザ端末F1乃至Fnは、生成した予測用データをアプリ管理サーバ50へ送信する。
なお、予測システム1は、上述した構成に限定されるものではなく、適宜、必要な構成を追加し、不要な構成を削除してもよい。
【0031】
次に、予測サーバ10について説明する。
予測サーバ10は、基本的な構成として、CPU、ROM、RAM、NVM、通信部、操作部及び表示部などを備える。たとえば、CPUは、NVMなどのメモリが格納するプログラムを実行することで種々の処理を実現するプロセッサである。
【0032】
図2は、予測サーバ10の機能を説明するブロック図である。
図2が示すように、予測サーバ10は、学習用データ取得部11、クラスタ分類部12、分類基準DB13、消費モデル学習部14、モデルパラメータDB15、予測用データ取得部16、消費エネルギー予測部17、エネルギー消費情報DB18及び道路形状情報DB19などを備える。
【0033】
学習用データ取得部11は、予測消費エネルギーを計算するモデル(消費モデル)を生成するための複数の学習用データを取得する。学習用データは、消費履歴情報、気象情報及び道路形状情報などから構成される。道路形状情報については、後述する。
【0034】
学習用データ取得部11は、充電器管理サーバ40から消費履歴情報を取得する。また、学習用データ取得部11は、気象情報サーバ20から気象情報を取得する。学習用データ取得部11は、充電器管理サーバ40及び気象情報サーバ20に対して、消費履歴情報のリクエスト及び気象情報のリクエストをそれぞれ送信してもよい。
また、学習用データ取得部11は、道路形状情報DB19から道路形状情報を取得する。なお、学習用データ取得部11は、道路形状情報を外部装置から取得してもよい。
【0035】
学習用データ取得部11は、消費履歴情報、気象情報及び道路形状情報を対応付けて学習用データを生成する。たとえば、学習用データ取得部11は、消費履歴情報と、当該消費履歴情報の走行日時に対応する気象情報と、当該消費履歴情報の走行区間に対応する道路形状情報とを対応付けて、学習用データを取得する。
【0036】
クラスタ分類部12は、複数の学習用データを複数のクラスタに分類する。たとえば、クラスタ分類部12は、後述する分類基準DB13が格納する分類基準に従って学習用データを複数のクラスタに分類する。たとえば、分類基準は、車両情報又はバッテリ情報などに基づく基準であってもよい。たとえば、分類基準は、車種に基づく基準であってもよい。分類基準は、特定の構成に限定されるものではない。
クラスタ分類部12は、分類基準DB13から分類基準を取得する。クラスタ分類部12は、取得した分類基準に従って複数の学習用データを複数のクラスタに分類する。
【0037】
図3は、クラスタ分類部12がクラスタに分類した学習用データの構成例を示す。
図3が示すように、学習用データは、ID、エネルギー消費量y、走行距離x1、及び、クラスタ等から構成される。
【0038】
IDは、学習用データを識別するための識別子である。たとえば、IDは、消費履歴情報に設定されたIDであってもよい。また、クラスタ分類部12は、学習用データにIDを付与してもよい。
【0039】
エネルギー消費量yは、車両V1乃至Vnが走行のために消費した電力である。たとえば、エネルギー消費量yは、運動情報から取得された値である。
走行距離x1は、車両V1乃至Vnが走行した距離である。
【0040】
クラスタは、クラスタ分類部12が学習用データに付与したクラスタ名である。ここでは、クラスタ分類部12は、A、B又はCをクラスタ名として付与したものとする。
分類基準DB13は、分類基準を格納する。たとえば、分類基準DB13は、予めオペレータの操作によって分類基準を格納する。分類基準DB13は、オペレータの操作によって分類基準を更新してもよい。
【0041】
消費モデル学習部14(モデル生成部)は、クラスタごとに、予測消費エネルギーを算出するためのモデル(モデルパラメータ)を生成する。消費モデル学習部14は、クラスタごとに学習用データを集める。消費モデル学習部14は、クラスタに分類される学習用データに基づいて、当該クラスタのモデルを生成する。
【0042】
図4は、消費モデル学習部14がクラスタごとに集める学習用データの構成例である。
図4が示す例では、消費モデル学習部14は、A(クラスタ名)のモデルを生成するために、Aの学習用データを集める。消費モデル学習部14は、生成したモデル(モデルのパラメータ)をモデルパラメータDB15に格納する。
【0043】
モデルパラメータDB15は、消費モデル学習部14が生成したモデルを格納する。モデルパラメータDB15は、クラスタごとにモデルを格納する。モデルパラメータDB15は、消費モデル学習部14が生成したモデルを取得し、既存のモデルを更新してもよい。
【0044】
予測用データ取得部16は、アプリ管理サーバ50から予測用データを取得する。たとえば、予測用データ取得部16は、アプリ管理サーバ50から電力予測のリクエストと共に予測用データを取得する。また、予測用データ取得部16は、交通情報サーバ30から交通情報を取得する。
【0045】
消費エネルギー予測部17は、モデルパラメータDB15から、予測用データのクラスタに対応するモデルを取得する。また、消費エネルギー予測部17は、気象情報サーバ20から、予測用データに対応する気象情報(たとえば、予測用データの日時に対応する気象情報)を取得する。また、消費エネルギー予測部17は、予測用データに対応する道路形状情報(たとえば、予測用データの出発地及び目的地の間の道路に対応する道路形状情報)を取得する。
【0046】
消費エネルギー予測部17(予測部)は、予測用データ及びモデルに基づいて車両V1乃至Vnで消費される予測消費エネルギーを算出する。消費エネルギー予測部17は、予測用データに基づいて予測用データのクラスタを判定する。消費エネルギー予測部17は、分類基準DB13が格納する分類基準に基づいてクラスタ分類部12と同様に、予測用データのクラスタを判定する。
【0047】
消費エネルギー予測部17は、取得したモデル、気象情報及び道路形状情報と予測用データとに基づいて、予測消費エネルギーを算出する。たとえば、消費エネルギー予測部17は、モデルパラメータを含む予測式に気象情報、道路形状情報及び予測用データを代入して予測消費エネルギーを算出する。また、消費エネルギー予測部17は、さらに、交通情報に基づいて予測消費エネルギーを算出してもよい。
【0048】
消費エネルギー予測部17は、算出した予測消費エネルギーを示すエネルギー消費情報をアプリ管理サーバ50へ送信する。また、消費エネルギー予測部17は、エネルギー消費情報をエネルギー消費情報DB18に格納する。
【0049】
エネルギー消費情報DB18は、消費エネルギー予測部17が算出した予測消費エネルギーを示すエネルギー消費情報を格納する。
【0050】
道路形状情報DB19は、予め道路形状情報を格納する。道路形状情報は、車体V1乃至Vnの位置エネルギーに関する情報である。たとえば、道路形状情報は、道路の距離又は勾配などを示す。道路形状情報DB19は、道路ごと又は位置ごとの道路形状情報を格納する。
なお、予測サーバ10は、適宜、必要な構成を追加し、不要な構成を削除してもよい。
【0051】
次に、消費モデル学習部14について説明する。
図5は、消費モデル学習部14の機能を示すブロック図である。
図5が示すように、消費モデル学習部14は、モデル構築法分類部141、モデルパラメータ学習部142及び少数データモデルパラメータ学習部143などを備える。
【0052】
モデル構築法分類部141(判定部)は、クラスタのモデルを作成する構築法を決定する。モデル構築法分類部141は、クラスタに分類される学習用データの個数に基づいて構築法を決定する。たとえば、モデル構築法分類部141は、クラスタに分類される学習用データの個数が所定の閾値以上であると、モデルパラメータ学習部142でモデルを生成する。また、モデル構築法分類部141は、学習用データの個数が所定の閾値より少ないと、少数データモデルパラメータ学習部143でモデルを生成する。所定の閾値は、たとえば、予測消費エネルギーを推定するために利用される説明変数の個数である。たとえば、説明変数は、学習用データを構成する個々の要素(消費エネルギーyを除く)である。説明変数は、距離又は走行時間などである。なお、説明変数は、学習用データを構成する個々の要素の一部であってもよい。
【0053】
モデルパラメータ学習部142(第1の生成部)は、学習用データの個数が所定の閾値より大きいラスタのモデルを算出する。たとえば、モデルパラメータ学習部142は、以下の式に従ってエネルギー消費量を算出するための回帰係数を算出する。
【0055】
式(1)では、yは、予測消費エネルギーであり、xiは、説明変数であり、αiは、回帰係数である。pは説明変数の個数であり、xi、αiはi番目の説明変数を示す。
【0056】
モデルパラメータ学習部142は、式(1)で使用する説明変数を選択する。
たとえば、モデルパラメータ学習部142は、学習用データから取得できる説明変数に対して正規化及び主成分分析を行う。たとえば、モデルパラメータ学習部142は、分散拡大係数(VIF)を算出する。モデルパラメータ学習部142は、VIFが10以上となる説明変数を除外する。
【0057】
また、モデルパラメータ学習部142は、残りの説明変数を総当たりで組合せて、赤池情報量規準(AIC)が最小の説明変数の組合せを決定する。
たとえば、モデルパラメータ学習部142は、以下のように説明変数の組合せを生成する。なお、モデルパラメータ学習部142は、説明変数同士を加算、減算、積算又は除算して新たな説明変数を設定してもよい。
【0058】
組合せ1:距離、走行時間、距離×走行時間・・・
組合せ2:距離、距離×走行時間・・・
モデルパラメータ学習部142は、上記のように説明変数の組合せを複数生成する。モデルパラメータ学習部142は、各組合せについてAICを算出して、AICが最小の組合せを決定する。
【0059】
モデルパラメータ学習部142は、AICが最小の組合せを、式(1)で使用する説明変数として選択する。
なお、モデルパラメータ学習部142は、AICの代わりにベイジアン情報量規準(BIC)を算出してもよい。
【0060】
モデルパラメータ学習部142は、選択した説明変数を用いて式(1)を構築する。たとえば、モデルパラメータ学習部142は、選択した説明変数に基づいて、αiを算出する。モデルパラメータ学習部142は、算出したαiをモデルとしてモデルパラメータDB15に格納する。
【0061】
少数データモデルパラメータ学習部143(第2の生成部)は、学習用データの個数が所定の閾値以下であるクラスタのモデルを算出する。たとえば、モデルパラメータ学習部142は、以下の式に従ってエネルギー消費量を算出するための回帰係数を算出する。
【0063】
式(2)では、yは、予測消費エネルギー(エネルギー消費量)であり、xiは、説明変数であり、βiは、回帰係数である。
【0064】
少数データモデルパラメータ学習部143は、モデルを生成するクラスタに近似するクラスタ(近似クラスタ)のモデル(近似モデル)のモデルに基づいて、対象となるクラスタ(対象クラスタ)のモデルを生成する(転移学習)。
【0065】
まず、少数データモデルパラメータ学習部143は、近似モデルを選択する。たとえば、少数データモデルパラメータ学習部143は、モデルパラメータDB15から各モデルを取得する。少数データモデルパラメータ学習部143は、対象クラスタの各学習用データを各モデルに当てはめて、予測消費エネルギーを算出する。少数データモデルパラメータ学習部143は、予測消費エネルギーと学習用データのエネルギー消費量との誤差が最も小さいモデルを近似モデルとして選択する。
【0066】
図6は、対象クラスタと近似クラスタとを示す図である。
図6において、横軸は、推定値(予測消費エネルギー)を示し、縦軸は、実測値(学習用データのエネルギー消費量)を示す。また、
図6が示す例において、対象クラスタは、クラスタBであり、近似クラスタは、クラスタAである。
図6において、各点は、1つの学習用データを示す。即ち、各点は、学習用データからクラスタAのモデルを用いて得られた予測消費エネルギーと当該学習用データのエネルギー消費量とを示す。また、
図6において、線61は、実測値=推定値である直線を示す。
図6が示すように、クラスタA(近似クラスタ)に属する各点は、予測消費エネルギーとエネルギー消費量とがほぼ一致していることを示す。
また、クラスタB(対象クラスタ)に属する各点は、予測消費エネルギーとエネルギー消費量とが一致しないが、比較的両者が近接していることを示す。
【0067】
少数データモデルパラメータ学習部143は、近似クラスタのモデル(近似モデル)に基づいて対象クラスタのモデルを算出する。
たとえば、少数データモデルパラメータ学習部143は、βiを以下の式に従って算出する。
【0069】
式(3)では、αiは、近似モデルの回帰係数であり、εi(補正値)は、近似モデルと対象クラスタのモデルとの比率を示す。
式(3)が示すように、少数データモデルパラメータ学習部143は、βiをαiの定数倍として定義する。
【0070】
即ち、少数データモデルパラメータ学習部143は、以下の式に従って予測消費エネルギーyを算出する。
【0072】
たとえば、少数データモデルパラメータ学習部143は、以下の式の仮定に従ってεiを算出する。
【0074】
即ち、少数データモデルパラメータ学習部143は、αiに掛かる係数が一定であるものと仮定する。
【0075】
少数データモデルパラメータ学習部143は、以下の式の通り予測消費エネルギーyを算出する。
【0077】
式(6)では、yは、予測消費エネルギーを示し、y’は、近似モデルから算出される予測消費エネルギーを示す。
【0080】
即ち、少数データモデルパラメータ学習部143は、対象クラスタのモデルを、近似クラスタを用いた線形式と仮定する。少数データモデルパラメータ学習部143は、対象クラスタの学習用データに基づいて回帰により、εe及びεを算出する。
【0081】
図7は、対象クラスタのモデルのイメージを示す図である。
図7において、線62は、式(6)を示す。即ち、線62は、切片をεeとし、傾きをεとする直線である。
図7が示すように、線62は、クラスタB(対象クラスタ)の各点に近似する。
【0082】
また、少数データモデルパラメータ学習部143は、βiを以下の式に従って算出してもよい。
【0084】
式(8)では、αiは、近似モデルの回帰係数であり、εiは、近似モデルと対象クラスタのモデルとの差異を示す。
式(8)が示すように、少数データモデルパラメータ学習部143は、αiにεiを加算した値をβiと定義する。
即ち、少数データモデルパラメータ学習部143は、以下の式に従って予測消費エネルギーyを算出する。
【0086】
近似モデルから算出される予測消費エネルギーとの差異は、以下の式で算出される。
【0088】
式(10)では、yは、予測消費エネルギーを示し、y’は、近似モデルから算出される予測消費エネルギーを示す。
【0089】
少数データモデルパラメータ学習部143は、対象クラスタのモデルのスパース性を仮定して、スパース推定を行う。即ち、少数データモデルパラメータ学習部143は、εiのいくつかは0であるものと仮定して、モデルを算出する。
【0090】
次に、スパース推定について説明する。ここでは、回帰係数の推定方法として最小二乗法を用いて説明する。スパース推定には代表的な2つの手法Lasso、Elastic Netが存在する。
Lassoは、Elastic Netの一種であるためElastic Netについて説明する。
【0091】
Elastic Netとは、βを求める最小二乗法を行う際に罰則項を用いて、最小二乗法の損失関数J(Jは実測値と推定値の二乗誤差の和)の最小化問題式(11)を解く(式(3)は凹関数である)。Elastic Netの罰則項を式(12)に示す。
【0094】
λは罰則項の強さを決定するパラメータである。λは、通常、学習用データを分割し、交差検定法により最適なλを決定する(一般的には10〜100分割程度)。αは、式(12)の第一項と第二項の強さを調節するパラメータであり、Elastic Netでは0<α<1の範囲で、Lassoではα=1である。パラメータの値は任意であるがここでは10分割、α=0.5とする。
【0095】
また、少数データモデルパラメータ学習部143は、スパース推定と交差検定法とを用いて、εi及び誤差を測定する。
図8は、交差検定法について説明するための図である。
図8では、円1乃至円5は、それぞれ学習用データを示す。また、実線の円は、回帰でεi(回帰係数)を求めるために用いられる学習用データを示す。また、破線の円は、求められたεiを用いて誤差を算出するために用いられる学習用データを示す。ここでは、各試行は、5つの学習用データを用いて行われるものとする。
【0096】
試行71では、円1が示す学習用データが誤差を算出するために用いられる。
試行72では、円2が示す学習用データが誤差を算出するために用いられる。
試行73では、円3が示す学習用データが誤差を算出するために用いられる。
試行74では、円4が示す学習用データが誤差を算出するために用いられる。
試行75では、円5が示す学習用データが誤差を算出するために用いられる。
【0097】
たとえば、少数データモデルパラメータ学習部143は、試行71において、円2乃至5の学習用データを用いてεiを算出する。少数データモデルパラメータ学習部143は、算出したεiを用いて円1の学習用データに基づいて予測消費エネルギーを算出する。また、少数データモデルパラメータ学習部143は、円1の学習用データのエネルギー消費量と予測消費エネルギーとの差異を誤差として取得する。
【0098】
同様に、少数データモデルパラメータ学習部143は、試行72乃至75においても同様の動作を行う。
【0099】
図9は、εiと誤差とを示すテーブルである。
図9において、試行IDは、試行を特定する。たとえば、試行ID「1」乃至「5」は、それぞれ試行71乃至75を示す。
【0100】
図9が示すように、少数データモデルパラメータ学習部143は、試行ID「1」において、ε0=0、ε1=0、…誤差=32.4%を算出する。同様に、少数データモデルパラメータ学習部143は、試行ID「2」において、ε0=8.3728、ε1=0、…誤差=13.3%を算出する。
【0101】
また、少数データモデルパラメータ学習部143は、εiを選択するための選択基準値を算出する。選択基準値は、パラメータごとに算出される。選択基準値は、各試行においてεi/誤差を算出し各試行におけるεi/誤差を平均した値である。
【0102】
たとえば、ε1の選択基準値を算出する場合、少数データモデルパラメータ学習部143は、試行「1」乃至「5」において、ε1/誤差%を算出する。少数データモデルパラメータ学習部143は、算出した値を平均して選択基準値を算出する。
【0103】
少数データモデルパラメータ学習部143は、選択基準値に基づいて、対象クラスタのモデルに必要なεi(0でないεi)の組合せを選択する。たとえば、少数データモデルパラメータ学習部143は、最も大きな選択基準値のパラメータに対応するεiを必要なεiとして、それ以外のεiを0と仮定する組合せを生成する。
【0104】
また、少数データモデルパラメータ学習部143は、次に大きな選択基準値のパラメータに対応するεiも必要なεiと仮定する組合せを生成する。即ち、少数データモデルパラメータ学習部143は、最も大きな選択基準値のパラメータに対応するεiと次の大きな選択基準値のパラメータに対応するεiとを0でないと仮定し、他を0と仮定する組合せを生成する。
【0105】
以上の動作を繰り返して、少数データモデルパラメータ学習部143は、選択基準値の大きなパラメータに対応するεiから0でないと仮定し、組合せを生成する。
【0106】
少数データモデルパラメータ学習部143は、各組合せにおいて回帰でεiを算出し、モデルパラメータ(βi)を算出する。少数データモデルパラメータ学習部143は、各モデルのAICなどを算出し、最も適当な組合せを選択する。
【0107】
少数データモデルパラメータ学習部143は、最も適当な組合せを対象クラスタのモデルに必要なεi(0でないεi)の組合せと判定する。少数データモデルパラメータ学習部143は、当該組合せにおけるεiに基づいてβiを算出する。
【0108】
少数データモデルパラメータ学習部143は、算出したβiをモデルパラメータDB15に格納する。
なお、少数データモデルパラメータ学習部143がスパース推定する方法は、特定の構成に限定されるものではない。
【0109】
次に、予測サーバ10の動作例について説明する。
まず、予測サーバ10が学習用データをクラスタごとのモデルを構築する動作例について説明する。
図10は、予測サーバ10が学習用データをクラスタごとのモデルを構築する動作例について説明するためのフローチャートである。
【0110】
まず、予測サーバ10の学習用データ取得部11は、充電器管理サーバ40からの消費履歴情報と気象情報サーバ20からの気象情報と道路形状情報DB19からの道路形状情報とに基づいて複数の学習用データを取得する(S11)。
【0111】
学習用データ取得部11が学習用データを取得すると、クラスタ分類部12は、分類基準DB13が格納する分類基準に従って各学習用データを複数のクラスタに分類する(S12)。
【0112】
クラスタ分類部12が学習用データを複数のクラスタに分類すると、消費モデル学習部14は、iに1を代入する(S13)。ここで、iは、クラスタを特定する番号である。ここでは、クラスタに1から順に番号が振られているものとする。
【0113】
iに1を代入すると、消費モデル学習部14は、i番目のクラスタのモデルを構築する(S14)。i番目のクラスタのモデルを構築すると、消費モデル学習部14は、構築したモデルをモデルパラメータDB15に格納する(S15)。
【0114】
構築したモデルをモデルパラメータDB15に格納すると、消費モデル学習部14は、iをインクリメントする(S16)。iをインクリメントすると、iがクラスタの数より大きいか判定する(S17)。
【0115】
iがクラスタの数より大きくないと判定すると(S17、NO)、消費モデル学習部14は、S14に戻る。
消費モデル学習部14が、iがクラスタの数より大きいと判定すると(S17、YES)、予測サーバ10は、動作を終了する。
【0116】
次に、予測サーバ10がモデルを構築する動作例(
図10のS14に相当)について説明する。
図11は、予測サーバ10がモデルを構築する動作例について説明するためのフローチャートである。
【0117】
まず、予測サーバ10のモデル構築法分類部141は、クラスタの学習用データの個数が所定の閾値を超えているか判定する(S21)。
モデル構築法分類部141が、クラスタの学習用データの個数が所定の閾値より大きいと判定すると(S21、YES)、モデルパラメータ学習部142は、クラスタの学習用データに基づいてモデルを構築する(S22)。
【0118】
モデル構築法分類部141が、クラスタの学習用データの個数が所定の閾値以下であると判定すると(S21、NO)、少数データモデルパラメータ学習部143は、モデルパラメータDB15から各モデルのパラメータを取得する(S23)。
【0119】
各モデルのパラメータを取得すると、少数データモデルパラメータ学習部143は、各モデルで予測消費エネルギーを算出する(S24)。各モデルで予測消費エネルギーを算出すると、少数データモデルパラメータ学習部143は、学習用データのエネルギー消費量と各モデルから算出された予測消費エネルギーとの誤差を算出する(S25)。
【0120】
誤差を算出すると、少数データモデルパラメータ学習部143は、最も誤差の少ないモデルを近似モデルとして選択する(S26)。近似モデルを選択すると、少数データモデルパラメータ学習部143は、近似モデルを補正するεiを算出する(S27)。
モデルパラメータ学習部142がクラスタの学習用データに基づいてモデルを構築した場合(S22)、又は、少数データモデルパラメータ学習部143がεiを算出した場合(S27)、予測サーバ10は、動作を終了する。
【0121】
次に、予測サーバが予測用データから予測消費エネルギーを算出する動作例について説明する。
図12は、予測サーバが予測用データから予測消費エネルギーを算出する動作例について説明するためのフローチャートである。
【0122】
まず、予測サーバ10の予測用データ取得部16は、アプリ管理サーバ50から予測用データを取得する(S31)。たとえば、アプリ管理サーバ50は、ユーザ端末F1乃至Fnから予測消費エネルギーを要求するリクエストを受信する。アプリ管理サーバ50は、リクエストと共に予測用データを予測サーバ10へ送信する。
【0123】
予測用データ取得部16が予測用データを取得すると、消費エネルギー予測部17は、予測用データのクラスタを判定する(S32)。
【0124】
予測用データのクラスタを判定すると、消費エネルギー予測部17は、モデルパラメータDB15から、判定したクラスタのモデルを取得する(S33)。モデルを取得すると、消費エネルギー予測部17は、取得したモデルに従って予測用データから予測消費エネルギーを算出する(S34)。
【0125】
予測消費エネルギーを算出すると、消費エネルギー予測部17は、算出した予測消費エネルギーを示すエネルギー消費情報をエネルギー消費情報DB18に格納する(S35)。消費エネルギー予測部17がエネルギー消費情報をエネルギー消費情報DB18に格納すると、予測サーバ10は、動作を終了する。
なお、消費エネルギー予測部17は、交通情報サーバ30からの交通情報にさらに基づいて予測消費エネルギーを算出してもよい。
【0126】
予測サーバ10は、算出した予測消費エネルギーをアプリ管理サーバ50へ送信する。アプリ管理サーバ50は、予測サーバ10からの予測消費エネルギーを、リクエストを送信したユーザ端末F1乃至Fnへ送信する。
ユーザ端末F1乃至Fnは、受信した予測消費エネルギーを表示部などに表示する。
【0127】
なお、予測サーバ10は、予測消費エネルギーを表示部に表示してもよい。
【0128】
以上のように構成された予測サーバは、学習用データをクラスタに分類する。予測サーバ10は、各クラスタについてモデルを構築する。予測サーバは、予測用データのクラスタに応じたモデルを用いて当該予測用データから予測消費エネルギーを算出する。その結果、予測サーバは、複数のモデルを使い分けることができ、より効果的に予測消費エネルギーを算出することができる。
【0129】
また、予測サーバは、学習用データの数が閾値以下であるクラスタについては、近似するモデルに基づいてモデルを構築する。その結果、予測サーバは、学習用データが少ないクラスタについても適切なモデルを構築することができる。
【0130】
また、予測サーバは、スパース推定を行う際に、選択基準値に基づいて必要なεiを選択する。その結果、予測サーバは、過学習を防止することができる。
【0131】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る予測システム1’について説明する。
第2実施形態に係る予測システム1’は、分類基準を構築する点で第1実施形態に係る予測システム1と異なる。従って、他の構成については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0132】
図1は、第2実施形態に係る予測システム1’の構成例を示すブロック図である。
予測システム1’は、予測サーバ10の代わりに予測サーバ10’を備える。
その他の各部の構成は、第1実施形態のそれらと同様であるため説明を省略する。
【0133】
図13は、予測サーバ10’の構成例を示すブロック図である。
図13が示すように、予測サーバ10’は、さらに、分類基準学習部25を備える。
【0134】
分類基準学習部25は、学習用データに基づいて分類基準を構築する。
たとえば、分類基準学習部25(第1の分類基準生成部)は、非階層型クラスタ分析を用いて分類基準を構築する。
【0135】
図14は、非階層型クラスタ分析を説明するための図である。
分類基準学習部25は、オペレータからの操作に従って、条件を設定する。
図14が示す例では、分類基準学習部25は、条件a及び条件bを設定する。
【0136】
条件aは、バッテリ情報が備える所定のパラメータ(パラメータN)が所定の閾値(パラメータN)より大きいことである。即ち、条件aは、パラメータN>パラメータN閾値である。
【0137】
条件bは、電費が所定の閾値(電費閾値)より大きいことである。即ち、条件bは、電費>電費閾値である。電費は、単位電力あたりに走行した距離である。即ち、電費は、走行距離/エネルギー消費量である。
【0138】
分類基準学習部25は、パラメータN閾値及び電費閾値を設定する。
次に、
図14が示すように、分類基準学習部25は、学習用データが条件aを満たすかを判定する。分類基準学習部25は、条件aを満たした学習用データがさらに条件bを満たすかを判定する。分類基準学習部25は、条件bを満たす学習用データ(即ち、条件a及びbを満たす学習用データ)をクラスタAに分類する。
【0139】
また、分類基準学習部25は、条件bを満たさない学習用データ(即ち、条件aを満たさないが条件bを満たす学習用データ)をクラスタBに分類する。
また、分類基準学習部25は、条件aを満たさない学習用データをクラスタCに分類する。
【0140】
分類基準学習部25は、各クラスタのモデルを構築する。分類基準学習部25がモデルを構築する方法は、消費モデル学習部14の動作と同様である。
分類基準学習部25は、各モデルに従って各クラスタに生じる誤差を算出する。たとえば、分類基準学習部25は、モデルから算出される予測消費エネルギーと学習用データのエネルギー消費量との差を誤差として算出する。たとえば、分類基準学習部25は、クラスタの各学習用データから算出される誤差の平均を当該クラスタに生じる誤差として算出する。なお、分類基準学習部25は、交差検定法を用いてクラスタに生じる誤差を算出してもよい。
【0141】
分類基準学習部25は、各クラスタに生じる誤差から評価関数に従って評価値を算出する。たとえば、評価関数は、誤差の総和である。
分類基準学習部25は、パラメータN閾値及び電費閾値を所定の範囲で変更して上記の動作を行う。
【0142】
分類基準学習部25は、最も評価値の小さいパラメータN閾値及び電費閾値を分類基準として取得する。即ち、分類基準学習部25は、最も誤差が少ない閾値の組合せを分類基準として取得する。
分類基準学習部25は、取得した分類基準を分類基準DB13に格納する。
【0143】
なお、分類基準学習部25は、1つ又は3つ以上の条件を設定してもよい。また、分類基準学習部25は、異なる条件の階層(条件のつながり)を設定してもよい。分類基準学習部25が学習用データを分類する条件は、特定の構成に限定されるものではない。
【0144】
また、分類基準学習部25(第2の分類基準生成部)は、階層型クラスタ分析を用いて分類基準を構築してもよい。
図15は、階層型クラスタ分析を説明するための図である。
分類基準学習部25は、学習用データの説明変数に基づいて学習用データ間の距離を算出する。分類基準学習部25は、距離の近い学習用データをクラスタとして設定する。例えば、学習用データ間の距離とはいくつかの説明変数を用いたユークリッド距離を示す。ただし、マハラノビス距離などの一般的な距離尺度を用いても構わない。
【0145】
分類基準学習部25は、クラスタを設定すると、各クラスタに生じる誤差を算出する。誤差の算出方法は、前述の通りである。
分類基準学習部25は、各クラスタに生じる誤差から評価関数に従って評価値を算出する。たとえば、評価関数は、誤差の総和である。なお、評価関数は、誤差の総和に、分類数(クラスタの個数)をペナルティとして加算してもよい。
【0146】
分類基準学習部25は、異なる分類基準でクラスタを設定する。たとえば、分類基準学習部25は、距離の近いクラスタを1つのクラスタとして設定する。分類基準学習部25は、前述の通り、評価値を算出する。
【0147】
分類基準学習部25は、以上の動作を繰り返して、最も評価値の小さなクラスタの分類基準を取得する。
分類基準学習部25は、取得した分類基準を分類基準DB13に格納する。
【0148】
次に、分類基準学習部25の動作例について説明する。
図16は、分類基準学習部25の動作例について説明するためのフローチャートである。ここでは、学習用データ取得部11は、学習用データを取得しているものとする。
【0149】
まず、分類基準学習部25は、予測誤差に無限大を代入する(S41)。予測誤差に無限大を代入すると、分類基準学習部25は、分類基準を設定する(S42)。分類基準を設定すると、分類基準学習部25は、S42で設定された分類基準で学習用データをクラスタに分類する(S43)。
【0150】
学習用データをクラスタに分類すると、分類基準学習部25は、各クラスタのモデルを構築する(S44)。各クラスタのモデルに従って、各モデルに生じる誤差を算出する(S45)。各モデルに生じる誤差を算出すると、分類基準学習部25は、各誤差から評価値を算出する(S46)。
【0151】
評価値を算出すると、分類基準学習部25は、予測誤差より評価値が小さいか判定する(S47)。予測誤差より評価値が小さいと判定すると(S47、YES)、分類基準学習部25は、予測誤差に評価値を代入する(S48)。予測誤差に評価値を代入すると、分類基準学習部25は、評価値が最も小さい分類基準をS42で設定した分類基準に置き換える(S48)。
【0152】
予測誤差より評価値が小さくないと判定した場合(S47、NO)、又は、分類基準を置き換えた場合(S49)、分類基準学習部25は、他に設定可能な分類基準があるか判定する(S50)。
【0153】
他に設定可能な分類基準があると判定すると(S50、YES)、分類基準学習部25は、S42に戻る。なお、分類基準学習部25は、S42で異なる分類基準を設定する。
【0154】
他に設定可能な分類基準がないと判定すると(S50、NO)、分類基準学習部25は、S49で置き換えられた最も評価値の小さい分類基準を分類基準DB13に格納する(S51)。分類基準を格納すると、分類基準学習部25は、動作を終了する。
【0155】
以上のように構成された予測サーバは、分類基準に従って予測用データをクラスタに分類し各クラスタのモデルに従って各クラスタに生じる誤差を算出する。予測サーバは、分類基準を変更しながら誤差を算出することで、誤差の小さな分類基準を構築することができる。その結果、予測サーバは、効果的に予測消費エネルギーを算出することができるクラスタを設定することができる。
【0156】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。
第3実施系に係る予測システム1’’は、アプリ管理サーバ50が車両V1乃至Vnに接続する点で第1実施形態と異なる。従って、他の構成については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0157】
図17は、第3実施形態に係る予測システム1’’の構成例を示すブロック図である。
図17が示すように、予測システム1’’は、予測サーバ10、気象情報サーバ20、交通情報サーバ30、アプリ管理サーバ50’’及び車両V1乃至Vnなどを備える。
【0158】
車両V1乃至Vnは、消費履歴情報及び予測用データをアプリ管理サーバ50’’へ送信する。たとえば、車両V1乃至Vnは、処理部、記憶部及び通信部などを備える。車両V1乃至Vnは、消費履歴情報を生成し格納する。車両V1乃至Vnは、所定のタイミングで消費履歴情報をアプリ管理サーバ50’’へ送信する。
【0159】
また、車両V1乃至Vnは、予測消費エネルギーが必要なタイミングで予測用データをアプリ管理サーバ50’’へ送信する。たとえば、車両V1乃至Vnは、ユーザの操作に従って予測用データをアプリ管理サーバ50’’へ送信する。たとえば、車両V1乃至Vnは、予測消費エネルギーを要求するリクエストと共に予測用データをアプリ管理サーバ50’’へ送信する。
【0160】
アプリ管理サーバ50’’は、消費履歴情報DB41及び予測用データDB51を備える。
アプリ管理サーバ50’’は、アプリ管理サーバ50の機能に加えて、消費履歴情報DB41が格納する消費履歴情報を予測サーバ10へ送信する機能を有する。たとえば、アプリ管理サーバ50’’は、予測サーバ10からのリクエストに応じて消費履歴情報を予測サーバ10へ送信する。また、アプリ管理サーバ50’’は、定期的に(たとえば、日ごとに)消費履歴情報を予測サーバ10へ送信してもよい。
【0161】
なお、予測システム10’’は、第2実施形態に係る予測サーバ10’を備えるものであってもよい。
【0162】
以上のように構成された予測システムは、車両から消費履歴情報を取得する。その結果、予測システムは、充電器管理サーバを用いることなく学習用データを取得することができる。
【0163】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について説明する。
第4実施形態に係る予測システム1’’’は、予測サーバ10’’’がアプリ管理サーバ50を通じてユーザ端末F1乃至Fnにモデルを送信する点で第1実施形態に係る予測システム1と異なる。従って、その他の点については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0164】
第4実施形態に係る予測システム1’’’は、予測サーバ10’’’を備える。
【0165】
図18は、予測サーバ10’’’の構成例を示すブロック図である。
予測サーバ10’’’は、学習用データ取得部11、クラスタ分類部12、分類基準DB13、消費モデル学習部14、モデルパラメータDB15、予測用データ取得部16、消費エネルギー予測部17、道路形状情報DB19及びモデル決定部26などを備える。
【0166】
モデル決定部26は、予測用データに基づいて予測用データのクラスタを判定する。モデル決定部26は、分類基準DB13が格納する分類基準に基づいてクラスタ分類部12と同様に、予測用データのクラスタを判定する。
モデル決定部26は、判定したクラスタのモデルをモデルパラメータDB15から取得する。
【0167】
なお、予測用データは、クラスタを判定するために必要最低限のデータであってもよい。
【0168】
予測サーバ10’’’は、モデル決定部26が取得したモデルをアプリ管理サーバ50へ送信する。アプリ管理サーバ50は、モデルをユーザ端末F1乃至Fnへ送信する。
ユーザ端末F1乃至Fnは、アプリ管理サーバ50から受信したモデルに従って予測消費エネルギーを算出する。たとえば、ユーザ端末F1乃至Fnは、モデルにユーザが入力したデータを当てはめて予測消費エネルギーを算出する。
【0169】
また、ユーザ端末F1乃至Fnは、モデルを格納し継続して使用してもよい。たとえば、ユーザ端末F1乃至Fnは、予測消費エネルギーを算出する際に、アプリ管理サーバ50にモデルを要求せずに、内部に格納されるモデルを用いて予測消費エネルギーを算出してもよい。
【0170】
なお、予測システム1’’’は、第2実施形態又は第3実施形態の特徴を備えるものであってもよい。
【0171】
以上のように構成された予測システムは、モデルをユーザ端末に送信する。ユーザ端末は、受信したモデルに従って予測消費エネルギーを算出する。そのため、予測サーバは、ユーザから予測用データを取得する必要がなくなる。その結果、予測システムは、ユーザのプライバシーを保護することができる。
【0172】
ユーザ端末は、継続してモデルを利用することができる。その結果、予測システムは、ユーザ端末からのリクエストを処理する頻度が低下し、予測サーバの負荷を軽減することができる。
【0173】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下に本件出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[C1]
モデルを用いて車両の消費エネルギーを予測する予測システムで用いられる消費エネルギー予測装置であって、
車両のバッテリに関するバッテリ情報と前記車両の消費エネルギーを含む運動情報とを備える複数の学習用データを取得する学習用データ取得部と、
前記学習用データ取得部により取得する学習用データを分類基準に従って複数のクラスタに分類するクラスタ分類部と、
前記クラスタ分類部により学習用データから分類した各クラスタにおける車両の消費エネルギーを予測するモデルを生成するモデル生成部と、
車両の消費エネルギーを予測するための予測用データを取得する予測用データ取得部と、
前記予測用データ取得部が取得する予測用データのクラスタを判定し、前記モデル生成部が生成した、判定された前記クラスタのモデルに従って前記予測用データから前記車両の消費エネルギーを予測する予測部と、
を備える消費エネルギー予測装置。
[C2]
前記モデル生成部は、
クラスタの学習用データの個数が閾値以上であるか判定する判定部と、
前記判定部が前記個数が前記閾値以上であると判定すると、前記クラスタの学習用データに基づいて回帰で前記クラスタのモデルを生成する第1の生成部と、
前記判定部が前記個数が前記閾値以上でないと判定すると、前記クラスタに近接する近似クラスタのモデルである近似モデルに基づいて、前記クラスタのモデルを生成する第2の生成部と、を備える、
前記C1に記載の消費エネルギー予測装置。
[C3]
前記モデル生成部が生成するモデルは、複数のパラメータから構成され、
前記第2の生成部は、前記クラスタのモデルのパラメータを近似モデルの各パラメータに各補正値を積算した値とし、各補正値が同一であると仮定して補正値を算出する、
前記C2に記載の消費エネルギー予測装置。
[C4]
前記第2の生成部は、前記クラスタのモデルのパラメータを近似モデルの各パラメータに各補正値を加算した値とし、スパース推定を用いて補正値を算出する、
前記C2に記載の消費エネルギー予測装置。
[C5]
前記第2の生成部は、各パラメータの選択基準値を算出し、前記選択基準値に基づいて0とする補正値を決定する、
前記C4に記載の消費エネルギー予測装置。
[C6]
前記第2の生成部は、各パラメータに加算する各補正値の少なくとも一部が0であると仮定して、補正値を算出する、
前記C5に記載の消費エネルギー予測装置。
[C7]
前記第2の生成部は、交差検定法で算出された各補正値と、予測された消費エネルギーと学習用データの消費エネルギーとの誤差とを算出し、前記補正値と前記誤差とに基づいて前記選択基準値を算出する、
前記C5又は6に記載の消費エネルギー予測装置。
[C8]
前記第2の生成部は、交差検定法で算出された各補正値を誤差で除算した値に基づいて、前記選択基準値とする、
前記C7に記載の消費エネルギー予測装置。
[C9]
前記第2の生成部は、前記選択基準値に基づいて0と仮定する補正値の組合せを複数生成し、各組合せの誤差を算出し、前記誤差に基づいて0と仮定する補正値を決定する、
前記C5乃至8の何れか1項に記載の予測装置。
[C10]
条件を設定し、前記条件に従う非階層型クラスタ分析を用いて前記分類基準を生成する第1の分類基準生成部を備える、
前記C1乃至9の何れか1項に記載の消費エネルギー予測装置。
[C11]
前記学習用データに基づく階層型クラスタ分析を用いて前記分類基準を生成する第2の分類基準生成部を備える、
前記C1乃至9の何れか1項に記載の消費エネルギー予測装置。
[C12]
モデルを用いて車両の消費エネルギーを予測する予測システムで用いられる消費エネルギー予測方法であって、
車両のバッテリに関するバッテリ情報と前記車両の消費エネルギーを含む運動情報とを備える複数の学習用データを取得し、
前記複数の学習用データを分類基準に従って複数のクラスタに分類するクラスタ分類部と、
前記複数の学習用データから分類された各クラスタにおける車両の消費エネルギーを予測するモデルを生成し、
車両の消費エネルギーを予測するための予測用データを取得し、
前記予測用データのクラスタを判定し、判定された前記クラスタのモデルに従って前記予測用データから前記車両の消費エネルギーを予測する、
を備える消費エネルギー予測方法。