特許第6804940号(P6804940)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6804940
(24)【登録日】2020年12月7日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】天板付什器
(51)【国際特許分類】
   A47B 9/00 20060101AFI20201214BHJP
   A47B 13/00 20060101ALI20201214BHJP
   A47B 97/04 20060101ALI20201214BHJP
   A47B 17/02 20060101ALI20201214BHJP
   A47B 17/00 20060101ALI20201214BHJP
【FI】
   A47B9/00 Z
   A47B13/00 Z
   A47B97/04 E
   A47B17/02
   A47B17/00 Z
【請求項の数】2
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-216175(P2016-216175)
(22)【出願日】2016年11月4日
(65)【公開番号】特開2018-68939(P2018-68939A)
(43)【公開日】2018年5月10日
【審査請求日】2019年5月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(72)【発明者】
【氏名】小林 さやか
【審査官】 下井 功介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−065096(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0266274(US,A1)
【文献】 特開2008−093069(JP,A)
【文献】 特開2013−017707(JP,A)
【文献】 特開2014−223160(JP,A)
【文献】 特開2001−353028(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 1/00〜41/06、97/04
B43L 1/04
G09F 7/18、15/00、19/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に作業面有する天板部と、
前記天板部を昇降可能に支持する脚部と、
外方に情報を表示可能な情報表示面が設けられ前記情報表示面の全面を露出した状態で前記天板部とともに昇降可能な情報表示手段と、を有し、
前記情報表示手段は、板状に形成され、両面それぞれに前記情報表示面が形成されていて、前記情報表示面のうちの一方の情報表示面が一の水平方向の一方側を向き他方の情報表示面が前記一の水平方向の他方側を向く第1姿勢、および前記一方の情報表示面が前記一の水平方向の他方側を向き前記他方の情報表示面が前記一の水平方向の一方側を向く第2姿勢に切り替え可能に支持されていることを特徴とする天板付什器。
【請求項2】
上面に作業面有する天板部と、
前記天板部を昇降可能に支持する脚部と、
外方に情報を表示可能な情報表示面が設けられ前記情報表示面の全面を露出した状態で前記天板部とともに昇降可能な情報表示手段と、を有し、
前記情報表示手段は、上側から見て前記天板部の周縁部の内側に配置されていることを特徴とする天板付什器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天板付什器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ディスプレイやホワイトボードなどの文字や画像などの情報を表示可能な情報表示面を有する情報表示手段が天板から出没可能に設けられたデスクやテーブルなどの天板付什器が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような天板付什器では、天板から突出した情報表示手段に情報を表示しつつ、天板上で作業することができる。
ところで、近年、学校などの教育施設では、指定された座席に着座して講義をうけるだけでなく、デスクや椅子のレイアウトを適宜変更し、生徒同士のディスカッションや情報表示手段による情報の表示を取り入れながら講義を受け、生徒同士のコミュニケーションを促進する手法が提案されている。この手法を採用する場合は、床面を移動可能なデスクや椅子を使用することが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公平6−59254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、情報を表示させる場所や情報の表示対象となる相手に合わせて情報表示面の高さを変えることで、表示させた情報を効果的に掲示することができる。
しかしながら、特許文献1に開示されたような天板付什器は、情報表示手段を最上位置まで上昇させないと、情報表示面の全面を露出させることができず、また、情報表示面の全面を露出した状態で情報表示面の高さを調整することができない構成である。
このため、情報表示面の全面を露出させた状態で、用途や状況に合わせて情報表示面を所望の高さに調整できることが望まれている。
【0005】
そこで、本発明は、情報表示面の全面を露出させた状態で、情報表示面を所望の高さに調整することができる天板付什器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る天板付什器は、上面に作業面有する天板部と、前記天板部を昇降可能に支持する脚部と、外方に情報を表示可能な情報表示面が設けられ前記情報表示面の全面を露出した状態で前記天板部とともに昇降可能な情報表示手段と、を有し、前記情報表示手段は、板状に形成され、両面それぞれに前記情報表示面が形成されていて、前記情報表示面のうちの一方の情報表示面が一の水平方向の一方側を向き他方の情報表示面が前記一の水平方向の他方側を向く第1姿勢、および前記一方の情報表示面が前記一の水平方向の他方側を向き前記他方の情報表示面が前記一の水平方向の一方側を向く第2姿勢に切り替え可能に支持されていることを特徴とする。
【0007】
本発明では、情報表示手段が天板部とともに昇降可能であることにより、天板部を昇降させることで情報表示面を所望の高さに配置することができる。また、情報表示手段は、情報表示面の全面を露出した状態で昇降するため、昇降によって配置可能な所望の高さにおいて情報表示面の全面に表示された情報を掲示することができる。
【0009】
また、本発明に係る天板付什器では、前記情報表示手段は、板状に形成され、両面それぞれに前記情報表示面が形成されていて、前記情報表示面のうちの一方の情報表示面が一の水平方向の一方側を向き他方の情報表示面が前記一の水平方向の他方側を向く第1姿勢、および前記一方の情報表示面が前記一の水平方向の他方側を向き前記他方の情報表示面が前記一の水平方向の一方側を向く第2姿勢に切り替え可能に支持されている
一方の情報表示面に表示された情報と他方の情報表示面に表示された情報とを異なる情報とし、情報表示手段を第1姿勢と第2姿勢とに切り替えることで、両方の情報表示面のそれぞれ表示された情報を一の水平方向の両側に表示することができる。
また、一の水平方向のいずれか一方側のみに情報を表示する場合に、情報表示手段を第1姿勢と第2姿勢とに切り替えることで一方の情報表示面に表示された内容と他方の表示面に表示された内容の両方を掲示することができる。
【0010】
本発明に係る天板付什器は、上面に作業面を有する天板部と、前記天板部を昇降可能に支持する脚部と、外方に情報を表示可能な情報表示面が設けられ前記情報表示面の全面を露出した状態で前記天板部とともに昇降可能な情報表示手段と、を有し、前記情報表示手段は、上側から見て前記天板部の周縁部の内側に配置されていることを特徴とする。
本発明では、情報表示手段が天板部とともに昇降可能であることにより、天板部を昇降させることで情報表示面を所望の高さに配置することができる。また、情報表示手段は、情報表示面の全面を露出した状態で昇降するため、昇降によって配置可能な所望の高さにおいて情報表示面の全面に表示された情報を掲示することができる。
また、本発明に係る天板付什器では、前記情報表示手段は、上側から見て前記天板部の周縁部の内側に配置されている
このような構成とすることにより、天板付什器の周囲にいる使用者が情報表示手段とぶつかったり、天板付什器の周囲に配置された什器や機器などが情報表示手段と接触したりすることを抑制することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、情報表示面の全面を露出させた状態で、情報表示面を所望の高さに調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態による天板付什器の一例を奥行方向の奥側かつ幅方向の一方側から見た斜視図である。
図2】本発明の実施形態による天板付什器の一例を奥行方向の手前側かつ幅方向の一方側から見た斜視図である。
図3】情報表示手段を外した天板付什器の一例を奥行方向の奥側から見た斜視図である。
図4】情報表示手段を外した天板付什器の一例を奥行方向の手前側から見た図である。
図5】情報表示手段を外した天板付什器の一例を幅方向の一方側から見た図である。
図6】情報表示手段を外した天板付什器の一例を奥行方向の奥側から見た図である。
図7】天板部が最下位置に配置された天板付什器を示す図である。
図8】天板部が最上位置に配置された天板付什器を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態による天板付什器について、図1乃至図8に基づいて説明する。
図1および図2に示すように、本実施形態による天板付什器1は、上面に作業面2aを有する天板部2と、床面11に支持され天板部2を昇降可能に支持する脚部3と、情報表示面45,46を有する情報表示手段4と、情報表示手段4を支持する支持部5(図1参照)と、を有している。
【0016】
図3乃至図6に示すように、天板部2は、天板本体21と、天板本体21の下側に配置され天板本体21との間に収納部22を形成する収納トレー23と、を有している。
天板本体21は、例えばパーチクルボードなどで平板状に形成され、板面が上下方向を向く向きに配置されている。天板本体21の上面が作業面2aを構成している。本実施形態では、天板本体21の板面は、約600mm×約500mmの略長方形状に形成されている。天板本体21の板面の略長方形の各辺に対応する4つの縁部のうち、長さが約600mmとなる対向する2つの縁部を第1縁部211および第2縁部212とし、長さが約500mmとなる対向する2つの縁部をそれぞれ第3縁部213および第4縁部214とする。
【0017】
本実施形態では、使用者12が天板付什器1を使用する際には、主に第1縁部211に対向して使用すると想定している。天板付什器1において第1縁部211および第2縁部212が延在する方向を幅方向とし、第3縁部213および第4縁部214が延在する方向を奥行方向とする。幅方向のうち、第3縁部213側を一方側とし、第4縁部214側を他方側とする。奥行方向のうち第1縁部211側を手前側とし、第2縁部212側を奥側とする。
【0018】
収納トレー23は、例えば樹脂などで平面視形状(上下方向から見た形状)が天板本体21よりも小さい幅方向に長い略長方形に形成されている。本実施形態では、収納トレー23は、幅方向の寸法が約480mm、奥行方向の寸法が約400mmに設定されている。収納トレー23は、天板本体21の鉛直方向下側において天板本体21の下面215に固定されている。具体的には、収納トレー23の奥行方向の手前側の縁部が天板本体21の奥行方向の手前側の縁部の下側に配置され、奥行方向の奥側の縁部が天板本体21の奥行方向の奥側の縁部よりもやや奥行方向の手前側に入った位置の下側に配置されている。また、収納トレー23の幅方向の一方側の縁部が天板本体21の幅方向の一方側の縁部よりもやや幅方向の他方側に入った位置の下側に配置され、収納トレー23の幅方向の他方側の縁部が天板本体21の幅方向の他方側の縁部よりもやや幅方向の一方側に入った位置の下側に配置されている。
【0019】
図4乃至図6に示すように、収納トレー23は、板面が略長方形状に形成され板面が略水平面となるように配置される底板部231と、底板部231の幅方向の一方側の縁部全体から上側に延びる第1側板部232と、底板部231の幅方向の他方側の縁部全体から上側に延びる第2側板部233と、底板部231の奥行方向の奥側の縁部の全体から上側に延びる後板部234と、底板部231の奥行方向の中間部において幅方向全体にわたって上側に延びる仕切り板部235と、を有している。
底板部231、第1側板部232、第2側板部233、後板部234、および仕切り板部235は、一体に形成されている。
【0020】
底板部231は、天板本体21の下側に天板本体21と高さ方向に間隔をあけて配置されている。
第1側板部232および第2側板部233は、それぞれの奥行方向の奥側の縁部が後板部234の幅方向の縁部と連続している。第1側板部232、第2側板部233および後板部234を合せた平面視形状は、奥行方向の手前側に開口する略C字形状に形成されている。
第1側板部232の上縁部には、幅方向の一方側に延びる取付片232aが形成されている。第2側板部233の上縁部には、幅方向の他方側に延びる取付片233aが形成されている。後板部234の上縁部には、奥行方向の奥側に延びる取付片234aが形成されている。
これらの取付片232a,233a,234aが天板本体21の下面215にネジなどの固定具や接着などによって固定されることとで、収納トレー23が天板本体21に固定されるように構成されている。
【0021】
仕切り板部235は、板面が奥行方向を向く板状に形成され、幅方向の一方側の縁部が第1側板部232と接続され、幅方向の他方側の縁部が第2側板部233と接続されている。仕切り板部235の上端部は、天板本体21の下面215と当接またはわずかな隙間をあけて近接している。
仕切り板部235は、底板部231の奥行方向の中央よりも奥行方向の奥側に寄った位置に配置され、後板部234と奥行方向に離間している。
【0022】
天板本体21、底板部231、第1側板部232、第2側板部233および後板部234に囲まれた空間のうちの仕切り板部235よりも奥行方向の手前側には、文房具や書籍、機器類などの物品を収納可能な収納部22が形成され、仕切り板部235よりも奥行方向の奥側には、天板本体21に固定される脚部3の内筒部322の上端部近傍が配置される脚部用空部24が形成されている。
本実施形態では、仕切り板部235が天板本体21の奥行方向の略中央の下側に配置されている。これにより、収納部22が天板本体21の奥行方向の略中央よりも手前側に配置され、脚部用空部24が天板本体21の奥行方向の略中央よりも奥側に配置されている。
底板部231のうちの脚部用空部24の下側の部分には、幅方向の略中央に脚部3の内筒部322が挿通される孔部231a(図5参照)が形成されている。
【0023】
本実施形態では、後述する脚部3の昇降機構323を操作するための操作レバー324(図4および図6参照)が収納トレー23に支持されている。
操作レバー324は、使用者12が把持して操作する操作部324aと、操作部324aと接続されて昇降機構323と連係された軸部(不図示)と、を有している、操作レバー324は、使用者12が操作部324aを把持して軸部を操作することで、昇降機構323が操作されるように構成されている。本実施形態では、操作部324aは、天板本体21の下側で、収納トレー23の幅方向の一方側に配置されている。軸部は、天板本体21と収納トレー23とに挟まれた脚部用空部24において天板本体21の下面215に沿って操作部324aから内筒部322に向かって延び、昇降機構323と連係されている。
【0024】
図5および図6に示すように、支持部5は、収納トレー23の後板部234に連設されていて、後板部234の幅方向の略中央となる中間部から奥行方向の奥側に突出している。
支持部5は、後板部234と略同じ高さ寸法に形成され後板部234と接続される接続部51と、接続部51の下端部近傍から奥行方向の奥側に延びる突出部52と、突出部52の先端部(奥行方向の奥側の端部)に接続され板面が奥行方向を向く板部53と、を有している。
板部53は、板面が幅方向に長い長円状に形成され、高さ方向の中間部が突出部52の先端部と接続され、突出部52の上側および下側それぞれに突出している。支持部5は、フック状に形成されている。支持部5は、情報表示手段4の孔部47(図1参照)に板部53および突出部52が挿通されて、情報表示手段4の孔部47に突出部52が挿通された状態となると情報表示手段4を吊り支持可能に構成されている。
【0025】
図3乃至図6に示すように、脚部3は、床面11に設置されるベース部31と、ベース部31から上側に延びて天板部2と接続される支柱部32と、を有している。
ベース部31は、支柱部32が接続される基部311と、基部311と接続された4本の脚杆312〜315と、4本の脚杆312〜315それぞれに取り付けられて床面11を走行可能なキャスタ316,316…と、を有している。
【0026】
基部311は、平面視で幅方向に長い略長方形状に形成されている。基部311には、幅方向の中央で、かつ奥行方向の中央よりもやや奥側に支柱部32が上方に延びる支柱部接続部311aが形成されている。ここで、基部311の奥行方向における支柱部32の軸の位置を支柱部立設位置311b(図3および図5参照)とする。
【0027】
基部311の上面は、奥行方向の手前側の縁部から支柱部立設位置311bに向かって漸次上側に向かって傾斜している。また、基部311の上面は、奥行方向の奥側の縁部から支柱部立設位置311bに向かって漸次上側に向かって傾斜している。基部311の上面のうち、奥行方向の手前側の縁部から支柱部立設位置311bまでを第1傾斜面311cとし、奥行方向の奥側の縁部から支柱部立設位置311bまでを第2傾斜面311dとする。第1傾斜面311cと第2傾斜面311dとは、連続した面を形成している。
【0028】
4つの脚杆312〜315は、平面視における基部311の四隅にそれぞれ接続されている。
4つの脚杆312〜315のうちの基部311の幅方向の一方側で奥行方向の手前側に接続された第1脚杆312は、基部311から奥行方向の手前側に向かって漸次幅方向の一方側に傾斜し、かつ下側に傾斜している。第1脚杆312の奥行方向の手前側の端部近傍の下側にキャスタ316が取り付けられている。
4つの脚杆312〜315のうちの基部311の幅方向の他方側で奥行方向の手前側に接続された第2脚杆313は、基部311から奥行方向の手前側に向かって漸次幅方向の他方側に傾斜し、かつ下側に傾斜している。第2脚杆313の奥行方向の手前側の端部近傍の下側にキャスタ316が取り付けられている。第1脚杆312と第2脚杆313とは、幅方向に離間している。基部311の奥行方向の手前側には、第1脚杆312と第2脚杆313との間に第1空部31aが形成されている。
【0029】
4つの脚杆312〜315のうちの基部311の幅方向の一方側で奥行方向の奥側に接続された第3脚杆314は、基部311から奥行方向の奥側に向かって漸次幅方向の一方側に傾斜し、かつ下側に傾斜している。第3脚杆314の奥行方向の奥側の端部近傍の下側にキャスタ316が取り付けられている。
4つの脚杆312〜315のうちの基部311の幅方向の他方側で奥行方向の奥側に接続された第4脚杆315は、基部311から奥行方向の奥側に向かって漸次幅方向の他方側に傾斜し、かつ下側に傾斜している。第4脚杆315の奥行方向の奥側の端部近傍の下側にキャスタ316が取り付けられている。
第3脚杆314と第4脚杆315とは、幅方向に離間している。基部311の奥行方向の奥側には、第3脚杆314と第4脚杆315との間に第2空部31bが形成されている。
【0030】
4つの脚杆312〜315それぞれに設けられたキャスタ316,316…が床面11を転動することにより、天板付什器1が床面11を走行するように構成されている。なお、キャスタ316,316…には、ロック機構等が適宜設けられている。
【0031】
第1脚杆312および第2脚杆313は、第3脚杆314および第4脚杆315よりも長く形成されている。このため、第1空部31aは第2空部31bよりも奥行方向の寸法が大きく形成されている。
第1脚杆312および第2脚杆313それぞれの上面は、第1傾斜面311cと連続し、第3脚杆314および第4脚杆315それぞれの上面は、第2傾斜面311dと連続している。
本実施形態では、使用者12が天板付什器1に奥行方向の手前側から対向して天板付什器1で作業する場合に、使用者の足を第1空部31aや第1傾斜面311cの上に置くことが可能に構成されている。
【0032】
支柱部32は、上下方向に延在する筒状に形成された外筒部321と、上下方向に延在する筒状に形成され外筒部321に挿通された内筒部322と、内筒部322を外筒部321に挿通された状態で外筒部321に対して昇降させるガススプリングなどの昇降機構323と、を有している。
外筒部321は、下端部が基部311の支柱部接続部311aに固定されている。
内筒部322は、上端部が天板部2に固定されている。内筒部322の上端部は、天板部2の収納トレー23の底板部231に形成された孔部231aを貫通して、脚部用空部24において天板本体21の下面215にネジなどの固定具や接着などによって固定されている。支柱部32は、天板部2に対して天板部2の幅方向の略中央において天板部2の奥行方向の中央よりも奥行方向の奥側に配置されている。
【0033】
天板付什器1は、昇降機構323が操作されて内筒部322が外筒部321に対して上昇することで内筒部322とともに天板部2が上昇し、内筒部322が外筒部321に対して下降することで内筒部322とともに天板部2が下降するように構成されている。
本実施形態では図7に示すように、昇降機構323の動作によって天板部2が下降して最下位置に配置されると、天板本体21の上面(作業面2a)が床上約800mmの高さに配置されるように設定されている。また、本実施形態では図8に示すように、昇降機構323の動作によって天板部2が上昇して最上位置に配置されると、天板本体21の上面(作業面2a)が床上約1100mmの高さに配置されるように設定されている。
なお、天板本体21の作業面2aの高さは、操作によって床上約800mm〜1100mmの間の任意の高さに調整することができる。
【0034】
本実施形態による天板付什器1は、図7に示すように使用者12が椅子に着座した状態で天板部2の作業面2aで作業する場合は、天板本体21の上面の高さを約800〜900mmとするように想定され、図8に示すように、使用者12が床面11に立った状態で天板部2の作業面2aで作業する場合は、天板本体21の上面の高さを約900〜1100mmとするように想定されている。
【0035】
図1および図2に戻り、情報表示手段4は、板状に形成されている。本実施形態では、情報表示手段4は、例えば、板面が約500mm×約600mmの略長方形状に形成されている。情報表示手段4の板面の略長方形の各辺に対応する4つの縁部のうち、長さが約500mmとなる対向する2つの縁部を第1縁部41(図1参照)および第2縁部42とし、長さが約600mmとなる対向する2つの縁部をそれぞれ第3縁部43および第4縁部44とする。
情報表示手段4には、両方の面それぞれに文字などの情報を表示可能な情報表示面45,46が形成されている。本実施形態では、情報表示手段4は、両面に情報を記載可能なホワイトボードや黒板などで構成されている。情報表示手段4の一方の面に形成された情報表示面45を第1情報表示面45し、他方の面に形成された情報表示面45を第2情報表示面46とする。
【0036】
図1に示すように、情報表示手段4には、第1縁部41近傍に厚さ方向(板面に直交する方向)に貫通し支持部5を挿通させることができる孔部47が形成されている。情報表示手段4は、板面が奥行方向を向き、第1縁部41が鉛直方向の上側、第2縁部42が鉛直方向の下側となる姿勢で、孔部47に支持部5を挿通させた状態とすることで、支持部5に吊り支持されるように構成されている。情報表示手段4は、支持部5に対して着脱可能に構成されている。
【0037】
情報表示手段4は、第1情報表示面45を奥行方向の奥側に向けて第2情報表示面46を奥行方向の手前側に向けた第1姿勢、および第1情報表示面45を奥行方向の手前側に向けて第2情報表示面46を奥行方向の奥側に向けた第2姿勢のいずれの姿勢であっても支持部5が支持可能に構成されている。情報表示手段4は、第1情報表示面45の情報を掲示する場合には第1姿勢とし、第2情報表示面46の情報を掲示する場合には第2姿勢とする。
【0038】
情報表示手段4は、孔部47に支持部5の板部53および突出部52が挿通されて、情報表示手段4の孔部47に突出部52が挿通された状態となると支持部5に吊り支持される。このとき、支持部5の板部53が情報表示手段4の奥行方向の奥側に配置されるため、情報表示手段4が支持部5から意図せずに外れることが防止される。
【0039】
図7および図8に示すように、情報表示手段4は、支持部5に吊り支持されると板面が略鉛直面となり、上端部(第1縁部41)が天板本体21の上面から約50mm下側において天板本体21の第2縁部212近傍に第2縁部212に沿うように配置される。
図7に示すように情報表示手段4が第1姿勢で支持部5に吊り支持された状態において、天板本体21の上面(作業面2a)の高さが約800mmとなると、情報表示手段4は第1情報表示面45の全面が奥行方向の奥側に露出した状態で、床上約150mm〜750mmの高さに配置される。なお、第2情報表示面46は、第1情報表示面45と同じ高さにおいて奥行方向の手前側を向いているが、脚部3の支柱部32によって一部が隠れた状態となる。
【0040】
また、図8に示すように情報表示手段4が支持部5に吊り支持された状態において、天板本体21の上面の高さが約1100mmとなると、情報表示手段4は第1情報表示面45の全面が奥行方向の奥側に露出した状態で、床上約450mm〜1050mmの高さに配置される。この場合も、第2情報表示面46は、第1情報表示面45と同じ高さにおいて奥行方向の手前側を向いているが、脚部3の支柱部32によって一部が隠れた状態となる。
なお、天板本体21の上面の高さは、操作によって床上約800mm〜1100mmの間の任意の高さに調整することができるため、情報表示手段4の高さも上縁部が床上約750mm〜1050mmの間の任意の高さとなるように配置することができる。
また、情報表示手段4は、支持部5に対して着脱可能に構成されているため、第1姿勢の情報表示手段4を支持部5から取り外し、第2姿勢となるように再度支持部5に取り付けることができる。
【0041】
次に、上述した本実施形態による天板付什器1の作用・効果について図面を用いて説明する。
本実施形態による天板付什器1では、情報表示手段4が天板部2とともに昇降可能であることにより、天板部2を昇降させることで第1情報表示面45および第2情報表示面46を所望の高さに配置することができる。また、情報表示手段4は、第1情報表示面45または第2情報表示面46の全面を露出した状態で昇降するため、昇降によって配置可能な所望の高さにおいて第1情報表示面45または第2情報表示面46の全面に表示された情報を掲示することができる。
【0042】
また、情報表示手段4は、板状に形成され両面に形成された第1情報表示面45および第2情報表示面46を有することにより、第1情報表示面に表示された情報と第2表示面に表示された情報とを異なる情報として、情報表示手段4を第1姿勢と第2姿勢とに切り替えることで第1情報表示面45および第2情報表示面46のそれぞれ表示された情報を奥行方向の奥側に向かって表示することができる。
【0043】
また、情報表示手段4は、上側から見て天板部2の周縁部の内側に配置されていることにより、天板付什器1の周囲にいる使用者が情報表示手段4とぶつかったり、天板付什器1の周囲に配置された什器や機器などが情報表示手段4と接触したりすることを抑制することができる。
また、情報表示手段4は、天板部2に対して奥行方向の奥側に配置されていることにより、使用者が奥行方向の手前側から天板部2の作業面2aで作業する際に、情報表示手段4が使用者から離れた位置に配置されるため、作業を行いやすくできる。
また、情報表示手段4は、天板部2の下側に配置されていることにより、情報表示手段4が天板部2の作業面2aに干渉することがなく、作業面2aを広く利用することができる。
【0044】
以上、本発明による天板付什器の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記の実施形態では、情報表示手段4の両面に情報表示面45,46が形成されているが、いずれか一方の面に情報表示面45が形成されていてもよい。
また、上記の実施形態では、情報表示手段4は、両面に情報を記載可能な情報表示面45,46を有するホワイトボードや黒板などで構成されているが、コンピュータなどの機器から出力された静止画や動画などの情報を表示可能な板状のディスプレイ等で構成されていてもよい。
【0045】
また、上記の実施形態では、情報表示手段4は、天板部2に着脱可能に構成されているが、天板部2に固定されていてもよい。
また、上記の実施形態では、情報表示手段4を支持する支持部5がフック状に形成されているが、フック状以外に形成されていてもよい。例えば、支持部5は、情報表示手段4を天板部2に固定するためのマグネットや面ファスナー、クリップなどで構成されていてもよい。
また、上記の実施形態では、支持部5は収納トレー23に固定されているが、天板部2とともに昇降可能であれば、例えば天板本体21や内筒部322に支持された部材などの収納トレー23以外に固定されていてもよい。
また、上記の実施形態では、情報表示手段4は板状に形成されているが、情報を表示可能な情報表示面が形成されていれば、板状以外に形成されていてもよい。
【0046】
また、上記の実施形態では、情報表示手段4は、上側から見て天板部2の周縁部の内側に配置されているが、上側から見て天板部2の周縁部の外側に配置されていてもよい。
また、上記の実施形態では、情報表示手段4は、天板部2に対して奥行方向の奥側に配置されているが、奥行方向の手前側に配置されていてもよい。
また、上記の実施形態では、機能部材4は、天板本体21の第2縁部212に沿って配置可能に構成されているが、天板本体21の第1〜第4縁部214のいずれか1つ以上に沿って配置可能に構成されていてもよい。
また、上記の実施形態では、情報表示手段4は、天板部2の下側に配置されているが、天板部2の上側に配置されていてもよいし、上部側が天板部2の上側に配置され、下部側が天板部2の下側に配置されていてもよい。
また、情報表示手段4の情報表示面が向く方向は適宜設定されてよい。
【0047】
また、上記の実施形態では、天板付什器1は、脚部3にキャスタ316,316…が設けられていて床面11を走行可能に構成されているが、キャスタ316,316…等の走行手段が設けられておらず、床面11を走行しないように構成されていてもよい。
また、上記の実施形態では、脚部3のベース部31は、基部311および4つの脚杆312〜315を有する形状であるが、他の形状であってもよい。また、基部311の上面の形状は、上記以外であってもよい。
【0048】
また、上記の実施形態では、天板部2は、収納トレー23を有し収納部22が形成されているが、収納部22が形成されずに天板本体21のみで構成されていてもよい。また、天板部に収納が設けられている場合は、収納の形状は適宜設定されてよい。また、脚部3に支持された収納が設けられていてもよい。
また、上記の実施形態では、支柱部32の昇降機構323はガススプリングを利用した自動式の形態であるが、ガススプリングに代わってラチェット機構を利用した手動式の形態であってもよい。
また、上記の実施形態では、1つの支柱部32で天板部2を支持しているが、2以上の支柱部32で天板部2を支持してもよい。
また、上記の実施形態では、機能部材4は、支持部5に支持されると上端部が天板部2の作業面2aよりも下側に配置されているが、上端部が作業面2aと同じ高さや、作用面2aよりも上側に配置されていてもよい。
また、上記の実施形態では、各部材の寸法を一例として示しているが、各部材の寸法や形状は適宜設定されてよい。
【符号の説明】
【0049】
1 天板付什器
2 天板部
3 脚部
4 情報表示手段
5 支持部
11 床面
12 使用者
21 天板本体
45 第1情報表示面(情報表示面)
46 第2情報表示面(情報表示面)
211 第1縁部
212 第2縁部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8