(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
AC/DCコンバータをはじめとする様々な電源回路に、フライバック型のDC/DCコンバータが利用される。
図1は、本発明者が検討したAC/DCコンバータ100Rの基本構成を示すブロック図である。AC/DCコンバータ100Rは主としてフィルタ102、整流回路104、平滑キャパシタ106およびDC/DCコンバータ201を備える。
【0003】
商用交流電圧V
ACは、ヒューズおよび入力キャパシタ(不図示)を介してフィルタ102に入力される。フィルタ102は、商用交流電圧V
ACのノイズを除去する。整流回路104は、商用交流電圧V
ACを全波整流するダイオードブリッジ回路である。整流回路104の出力電圧は、平滑キャパシタ106によって平滑化され、直流電圧V
INに変換される。
【0004】
絶縁型のDC/DCコンバータ201は、入力端子P
1に直流電圧V
INを受け、それを降圧して、目標値に安定化された出力電圧V
OUTを出力端子P
2に接続される負荷(不図示)に供給する。DC/DCコンバータ201は、一次側コントローラ202、フォトカプラ204、シャントレギュレータ206、出力回路210およびその他の回路部品を備える。出力回路210は、トランスT
1、ダイオードD
1、出力キャパシタC
1、スイッチングトランジスタM
1を含む。出力回路210のトポロジーは、一般的なフライバックコンバータのそれである。
【0005】
トランスT
1の一次巻線W
1と接続されるスイッチングトランジスタM
1がスイッチングすることにより、入力電圧V
INが降圧され、出力電圧V
OUTが生成される。そして一次側コントローラ202は、スイッチングトランジスタM
1のスイッチングのデューティ比を調節することにより、出力電圧V
OUTを目標値に安定化させる。
【0006】
DC/DCコンバータ201の出力電圧V
OUTは、抵抗R
11、R
12により分圧される。シャントレギュレータ206は、分圧された電圧(電圧検出信号)V
Sと内部に設定される所定の基準電圧V
REF(不図示)の誤差を増幅し、誤差に応じた順電流I
Fを、フォトカプラ204の入力側の発光素子(発光ダイオード)から引き込む(シンク)。
【0007】
フォトカプラ204の出力側の受光素子(フォトトランジスタ)には、順電流I
Fに応じたコレクタ電流I
Cが流れる。このコレクタ電流I
C(フィードバック電流I
FB)が、一次側コントローラ202のフィードバック(FB)端子に入力される。FB端子には、コレクタ電流I
Cと負の相関を有するフィードバック電圧V
FBが発生する。一次側コントローラ202は、フィードバック電圧V
FBに応じたデューティ比でスイッチングトランジスタM
1をスイッチングする。
【0008】
DC/DCコンバータ201の出力電流I
OUTは、負荷の状態に応じて変化する。スイッチングトランジスタM
1がとあるデューティ比でスイッチングしているときに出力電流I
OUTが減少すると、出力電圧V
OUTが上昇する。そうすると、順電流I
Fおよびコレクタ電流I
Cが増加し、フィードバック電圧V
FBが低下するため、スイッチングトランジスタM
1のデューティ比が低下し、出力キャパシタC
1への電流供給が減少して、出力電圧V
OUTの上昇が抑制される。
【0009】
反対にスイッチングトランジスタM
1のデューティ比が一定の状態で出力電流I
OUTが増加すると、出力電圧V
OUTが低下する。そうすると、順電流I
Fおよびコレクタ電流I
Cが減少し、フィードバック電圧V
FBが上昇するため、スイッチングトランジスタM
1のデューティ比が増加し、出力キャパシタC
1への電流供給が増加して、出力電圧V
OUTの低下が抑制される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
図2は、出力電流I
OUTとコレクタ電流I
Cの関係を示す図である。ここでは説明の簡素化のため、フォトカプラ204の変換効率(ゲイン)が100%(I
C/I
F≒1)であるとする。
【0012】
上述のように、コレクタ電流I
Cは、出力電流I
OUTが少ない軽負荷状態において小さくなり、出力電流I
OUTが大きい重負荷状態において大きくなる。回路の動作点は、回路の安定性を考慮して定める必要がある。たとえば実線で示すように、定格電流I
OUT=I
RATEにおいて、コレクタ電流I
C=0.5mAが最適であったとすると、軽負荷状態(I
OUT≒0mA)では、コレクタ電流I
Cは1mA程度まで上昇する。I
C=I
F=1mA、V
OUT=24Vとすると、二次側での消費電力は24mWとなる。
【0013】
近年の省エネ化の要請から、軽負荷あるいは無負荷状態(待機状態、スタンバイ状態ともいう)の消費電力の低減が要求されており、具体的はAC/DCコンバータ100R全体で100mW以下の待機時電力が要求される。DC/DCコンバータ201の二次側で24mWもの電力消費が発生すると、AC/DCコンバータ100R全体で100mW以下に抑えることは難しくなる。
【0014】
図2に一点鎖線で示すように、軽負荷状態(I
OUT≒0mA)におけるコレクタ電流I
Cがたとえば0.5mAとなるように回路の動作点を定めたとする。この場合にフォトカプラ204の変換効率が100%を維持していれば、I
C=I
F=0.5mAとなるから二次側での消費電力は12mWに低減することができるが、許容される100mWに占める割合は依然として10%を超えている。
【0015】
一点鎖線にしたがって出力電流I
OUTが定格電流I
RATEまで増加すると、コレクタ電流I
Cはたとえば0.25mAまで小さくなる。フォトカプラ204の変換効率は温度依存性を有するが、動作電流が小さいほど温度依存性が大きくなる。したがって一点鎖線に示すように動作点を定めると、温度変動によってフィードバックループのゲインが大きく変動することとなり、系の安定性が低下する。
【0016】
以上のことから、一点鎖線で示すように、コレクタ電流I
Cが小さくなるように動作点を設定することは実際には困難である。
【0017】
本発明はかかる課題に鑑みてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、軽負荷時の消費電力を低減可能なDC/DCコンバータの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明のある態様は、絶縁型のDC/DCコンバータに関する。DC/DCコンバータは、一次巻線および二次巻線を有するトランスと、トランスの一次巻線と接続されるスイッチングトランジスタと、トランスの二次巻線と接続される整流素子と、フォトカプラと、DC/DCコンバータの出力電圧とその目標電圧の誤差に応じた順電流によって前記フォトカプラの入力側の発光素子を駆動するフィードバック回路と、フォトカプラの出力側の受光素子に流れるコレクタ電流を、コレクタ電流と負の相関を有するフィードバック電圧に変換する変換回路と、フィードバック電圧に応じたパルス信号を生成するパルス信号生成器と、パルス信号に応じてスイッチングトランジスタを駆動するドライバと、を備える。変換回路は、コレクタ電流からフィードバック電圧への変換特性が、DC/DCコンバータの出力電流にもとづいて変化するよう構成される。
【0019】
軽負荷状態においては、フォトカプラの入力側の順電流が小さくなるように、変換特性を定めることができ、軽負荷状態において消費電力を低減できる。また重負荷状態においては、フォトカプラの入力側の順電流が大きくなるように変換特性を定めることができ、重負荷状態において回路の安定性を改善できる。
【0020】
DC/DCコンバータは、スイッチングトランジスタと直列に設けられる電流センス抵抗をさらに備えてもよい。電流センス抵抗の電圧降下にもとづいて、変換特性が制御されてもよい。電流センス抵抗の電圧降下にもとづいて出力電流を検出できる。
【0021】
DC/DCコンバータは、電流センス抵抗の電圧降下をしきい値と比較する第1コンパレータを含み、第1コンパレータの出力に応じて、変換特性を制御する負荷監視回路をさらに備えてもよい。
【0022】
負荷監視回路は、第1コンパレータの出力をトリガとして、一定時間、出力が変化するタイマー回路をさらに含み、タイマー回路の出力に応じて変換特性を制御してもよい。
【0023】
タイマー回路は、第1コンパレータの出力と接続されるキャパシタと、キャパシタを充電する抵抗または電流源と、キャパシタの電圧を判定基準値と比較する第2コンパレータと、を含み、第2コンパレータの出力に応じて変換特性を制御してもよい。
【0024】
フォトカプラの受光素子のエミッタは接地されてもよい。変換回路は、フォトカプラの受光素子のコレクタと基準電圧ラインの間に設けられた可変インピーダンス回路を含み、可変インピーダンス回路のインピーダンスが出力電流に応じて可変に構成されてもよい。
コレクタ電流をI
C、基準電圧ラインの電圧をV
REF、可変インピーダンス回路のインピーダンスをZとするとき、フィードバック電圧V
FBは、式(1)で表される。
V
FB=V
REF−Z×I
C …(1)
したがってインピーダンスZにもとづいて変換特性を設定できる。
【0025】
可変インピーダンス回路は、フォトカプラの受光素子のコレクタと基準電圧ラインの間に設けられた第1抵抗と、第1抵抗の両端間に直列に設けられた第2抵抗およびスイッチと、を含んでもよい。スイッチのオン、オフが、出力電流に応じて切りかえ可能に構成されてもよい。
【0026】
変換回路は、フィードバック電圧が発生するフィードバック端子と、フィードバック端子と基準電圧ラインの間に設けられた抵抗と、コレクタ/ドレインがフィードバック端子と接続され、エミッタ接地/ソース接地され、ベース/ゲートがフォトカプラの受光素子のエミッタと接続される第1トランジスタと、第1トランジスタのベース/ゲートと接地の間に設けられた可変インピーダンス回路と、を含んでもよい。
【0027】
第1トランジスタQ
31に流れる電流をI
FB、抵抗R
31の抵抗値をRとする。このとき、フィードバック電圧V
FBは式(2)で表される。
V
FB=V
REF−R×I
FB …(2)
可変インピーダンス回路のインピーダンスをZとするとき、第1トランジスタのベース電圧(もしくはゲート電圧)V
BEは式(3)で表される。
V
BE≒I
C×Z …(3)
第1トランジスタの相互コンダクタンスをgmと書くとき、式(4)を得る。
I
FB=V
BE×gm …(4)
式(2)〜(4)から式(5)を得る。
V
FB=V
REF−R×I
C×Z×gm …(5)
このように、可変インピーダンス回路のインピーダンスZを変化させることにより、コレクタ電流I
Cからフィードバック電圧V
FBへの変換特性の傾きを変化させることができる。
【0028】
可変インピーダンス回路は、第1トランジスタのベース/ゲートから、出力電流に応じた補正電流をシンクする可変電流源を含んでもよい。
コレクタ電流をI
C、補正電流をI
CMP、第1トランジスタの電流増幅率をβとすると、フィードバック電流I
FBは、式(3)で表される。
I
FB=β×(I
C−I
CMP) …(6)
したがって、コレクタ電流I
Cからフィードバック電圧V
FBへの変換特性は、式(7)で表される。
V
FB=V
REF−R×β×(I
C−I
CMP) …(7)
つまり、補正電流I
CMPに応じて変換特性を制御できる。
【0029】
トランスは、一次側に設けられた補助巻線をさらに含んでもよい。DC/DCコンバータは、補助巻線に流れる電流を整流、平滑化し、電源電圧を生成する補助電源回路と、スイッチングトランジスタと直列に設けられる電流センス抵抗と、をさらに備えてもよい。
【0030】
変換特性は、出力電流と少なくともひとつのしきい値との比較結果にもとづいて離散的に変化してもよい。変換特性は、出力電流に応じて連続的に変化してもよい。
【0031】
本発明の別の態様は、絶縁型のDC/DCコンバータに使用される一次側コントローラに関する。DC/DCコンバータは、一次巻線および二次巻線を有するトランスと、トランスの一次巻線と接続されるスイッチングトランジスタと、トランスの二次巻線と接続される整流素子と、フォトカプラと、DC/DCコンバータの出力電圧とその目標電圧の誤差に応じた順電流によってフォトカプラの入力側の発光素子を駆動するフィードバック回路と、を備える。一次側コントローラは、フォトカプラの出力側の受光素子に流れるコレクタ電流を、コレクタ電流と負の相関を有するフィードバック電圧に変換する変換回路と、フィードバック電圧に応じたパルス信号を生成するパルス信号生成器と、パルス信号に応じてスイッチングトランジスタを駆動するドライバと、を備える。変換回路は、コレクタ電流からフィードバック電圧への変換特性が、DC/DCコンバータの出力電流にもとづいて変化するよう構成される。
【0032】
軽負荷状態においては、フォトカプラの入力側の順電流が小さくなるように、重負荷状態においては、フォトカプラの入力側の順電流が大きくなるように変換特性を定めることができ、これにより軽負荷状態において消費電力を低減でき、重負荷状態において回路の安定性を改善できる。
【0033】
DC/DCコンバータは、スイッチングトランジスタと直列に設けられる電流センス抵抗をさらに備えてもよい。電流センス抵抗の電圧降下にもとづいて変換特性が制御されてもよい。
【0034】
一次側コントローラは、電流センス抵抗の電圧降下をしきい値と比較する第1コンパレータを含み、第1コンパレータの出力に応じて変換特性を制御する負荷監視回路をさらに備えてもよい。
【0035】
負荷監視回路は、第1コンパレータの出力をトリガとして、一定時間、出力が変化するタイマー回路をさらに含み、タイマー回路の出力に応じて変換特性を制御してもよい。
【0036】
タイマー回路は、第1コンパレータの出力と接続されるキャパシタと、キャパシタを充電する抵抗または電流源と、キャパシタの電圧を判定基準値と比較する第2コンパレータと、を含み、第2コンパレータの出力に応じて変換特性を制御してもよい。
【0037】
フォトカプラの受光素子のエミッタは接地されてもよい。変換回路は、フォトカプラの受光素子のコレクタと基準電圧ラインの間に設けられた可変インピーダンス回路を含み、可変インピーダンス回路のインピーダンスが出力電流に応じて可変に構成されてもよい。
【0038】
可変インピーダンス回路は、フォトカプラの受光素子のコレクタと基準電圧ラインの間に設けられた第1抵抗と、第1抵抗の両端間に直列に設けられた第2抵抗およびスイッチと、を含んでもよい。スイッチのオン、オフが、出力電流に応じて切りかえ可能に構成されてもよい。
【0039】
一次側コントローラはひとつの半導体基板に一体集積化されてもよい。
「一体集積化」とは、回路の構成要素のすべてが半導体基板上に形成される場合や、回路の主要構成要素が一体集積化される場合が含まれ、回路定数の調節用に一部の抵抗やキャパシタなどが半導体基板の外部に設けられていてもよい。回路を1つのチップ上に集積化することにより、回路面積を削減することができるとともに、回路素子の特性を均一に保つことができる。
【0040】
本発明の別の態様も絶縁型のDC/DCコンバータに関する。DC/DCコンバータは上述のいずれかの一次側コントローラを備えてもよい。
【0041】
本発明の別の態様は電子機器に関する。電子機器は、負荷と、商用交流電圧を全波整流するダイオード整流回路と、ダイオード整流回路の出力電圧を平滑化し、直流入力電圧を生成する平滑キャパシタと、直流入力電圧を降圧し、負荷に供給する上述のいずれかのDC/DCコンバータと、を備えてもよい。
【0042】
本発明の別の態様は電源アダプタに関する。電源アダプタは、商用交流電圧を全波整流するダイオード整流回路と、ダイオード整流回路の出力電圧を平滑化し、直流入力電圧を生成する平滑キャパシタと、直流入力電圧を降圧し、負荷に供給する上述のDC/DCコンバータと、を備えてもよい。
【0043】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや本発明の構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0044】
本発明のある態様によれば、軽負荷時の消費電力を低減できる。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0047】
本明細書において、「部材Aが、部材Bと接続された状態」とは、部材Aと部材Bが物理的に直接的に接続される場合や、部材Aと部材Bが、電気的な接続状態に影響を及ぼさず、あるいは機能を阻害しない他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0048】
同様に、「部材Cが、部材Aと部材Bの間に設けられた状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cが直接的に接続される場合のほか、電気的な接続状態に影響を及ぼさず、あるいは機能を阻害しない他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0049】
図3は、実施の形態に係る絶縁型のDC/DCコンバータ200の回路図である。
DC/DCコンバータ200は、入力端子P
1に直流電圧V
INを受け、それを降圧して、目標値に安定化された出力電圧V
OUTを出力端子P
2に接続される負荷(不図示)に供給する。
【0050】
DC/DCコンバータ200は、一次側コントローラ202、フォトカプラ204、シャントレギュレータ206、出力回路210およびその他の回路部品を備える。出力回路210は、トランスT
1、整流素子D
1、出力キャパシタC
1、スイッチングトランジスタM
1を含む。出力回路210のトポロジーは、一般的なフライバックコンバータのそれであるため、説明を省略する。
【0051】
スイッチングトランジスタM
1は、トランスT
1の一次巻線W
1と接続される。このスイッチングトランジスタM
1がスイッチングすることにより、入力電圧V
INが降圧され、出力電圧V
OUTが生成される。そして一次側コントローラ202は、スイッチングトランジスタM
1のスイッチングのデューティ比を調節することにより、出力電圧V
OUTを目標値に安定化させる。
【0052】
DC/DCコンバータ200の出力電圧V
OUTは、抵抗R
11、R
12により分圧される。フィードバック回路206はたとえばシャントレギュレータであり、分圧された電圧(電圧検出信号)V
Sと内部に設定される所定の基準電圧V
REF(不図示)の誤差を増幅し、誤差に応じた順電流I
Fによってフォトカプラ204の入力側の発光素子(発光ダイオード)を駆動する。フォトカプラ204の出力側の受光素子(フォトトランジスタ)には、順電流I
Fに応じたコレクタ電流I
Cが流れる。
【0053】
一次側コントローラ202は、変換回路220、パルス信号発生器222、ドライバ224を備える。後述のように一次側コントローラ202の一部あるいは全部は、ひとつの半導体基板上に一体集積化してもよい。変換回路220は、フォトカプラ204の出力側の受光素子に流れるコレクタ電流I
Cを、コレクタ電流I
Cと負の相関を有するフィードバック電圧V
FBに変換する。変換回路220は、電流/電圧変換回路と把握することができ、トランスインピーダンス回路と把握することができる。
【0054】
パルス信号発生器222は、フィードバック電圧V
FBに応じたパルス信号S
PWMを生成する。たとえばパルス信号発生器222はパルス幅変調器であり、パルス信号S
PWMは、フィードバック電圧V
FBに応じたデューティ比を有する。パルス信号発生器222の構成は限定されず、電圧モード、平均電流モード、ピーク電流モード、疑似共振モードなどを採用することができる。あるいはパルス信号発生器222は、パルス周波数変調器など、別の変調器であってもよい。ドライバ224は、パルス信号S
PWMに応じてゲートパルスS
OUTを生成し、スイッチングトランジスタM
1を駆動する。
【0055】
トランスT
1は、補助巻線W
3を備える。補助電源回路212はダイオードD
3およびキャパシタC
3を含み、補助巻線W
3に流れる電流を整流、平滑化し、電源電圧V
CCを生成する。電源電圧V
CCは、一次側の回路ブロックに供給される。
【0056】
スイッチングトランジスタM
1と接地の間には、電流センス抵抗R
CSが挿入される。電流センス抵抗R
CSには、スイッチングトランジスタM
1のオン期間において、一次巻線W
1に流れる電流I
Pに比例した電圧降下(電流検出信号V
CS)が発生する。電流検出信号V
CSは、一次側コントローラ202において過電流保護に用いられる。あるいはピーク電流モードあるいは平均電流モードのパルス信号発生器222は、電流検出信号V
CSにもとづいてパルス信号S
PWMを生成する。
【0057】
変換回路220は、コレクタ電流I
Cからフィードバック電圧V
FBへの変換特性が、DC/DCコンバータ200の出力電流I
OUTにもとづいて変化するよう構成される。
【0058】
図4(a)〜(c)は、変換回路220の変換特性の例を示す図である。実線(i)は、出力電流I
OUTが定格電流I
RATEであるとき(重負荷状態)の特性を、一点鎖線(ii)は、出力電流I
OUTが実質的にゼロであるとき(軽負荷状態)の特性を示す。特性は、実線(i)と一点鎖線(ii)の間で、出力電流I
OUTに応じて連続的に変化してもよいし、離散的に変化してもよい。
【0059】
図4(a)の制御特性(V−I特性)は、負荷電流I
OUTに応じて傾きが変化している。
図4(b)の制御特性は、負荷電流I
OUTに応じてY切片(オフセット量)が変化している。
図4(c)の制御特性は、負荷電流I
OUTに応じて、傾きとY切片(オフセット量)の両方が変化している。変換回路220における制御特性の変化は、
図4(a)〜(c)に限定されず、そのほかの制御特性を採用してもよい。
【0060】
以上がDC/DCコンバータ200の構成である。続いてその動作を説明する。
【0061】
ここでは
図4(a)の制御特性に即して説明する。定格出力状態(重負荷状態)においては(i)の変換特性が選択される。定格出力状態では、DC/DCコンバータ200は電流連続モードで動作し、スイッチングのデューティ比Dは出力電流I
OUTに依存せず、入力電圧V
IN,出力電圧V
OUTおよびトランスT
1の巻線比で決まる値D
1となる。このときの動作点を破線OP
1で示す。フィードバック電圧V
FBは、このデューティ比D
1に応じた電圧V
1となる。このときのフォトカプラ204のコレクタ電流I
Cは、I
1となる。
【0062】
軽負荷状態となると(ii)の変換特性が選択される。軽負荷状態では、DC/DCコンバータ200は不連続モードで動作し、スイッチングのデューティ比Dは、出力電流I
OUTに依存する。したがってフィードバック電圧V
FBは出力電流I
OUTに応じて、一点鎖線に沿って変化する。出力電流I
OUTが最小(実質的にゼロ)となる最軽負荷状態(待機状態)の動作点が破線OP
2で示される。このときのデューティ比Dは小さい値D
2となり、フィードバック電圧V
FBは、小さいデューティ比D
2に応じた値V
2となる。このときのフォトカプラ204のコレクタ電流I
Cは、I
2となる。
【0063】
図2のDC/DCコンバータ200において、I
1=1mA、I
2=0.02mAとなるように動作点を規定したとする。フォトカプラ204の効率を100%とすると、待機状態においてフォトカプラ204の順電流I
Fは0.02mAまで下がる。V
OUT=24Vとすると、待機時消費電力は、0.48mWとなり、従来の24mWに比べて1/50まで減らすことができる。
【0064】
定格負荷状態(重負荷状態)では、フォトカプラ204の動作電流は、1mAと十分に大きいため、変換効率の温度依存性が小さい領域で使用することができる。したがって、フィードバックループのゲインの温度依存性を小さくし、系の安定性を高めることができる。
【0065】
なお動作電流I
1,I
2は、使用するフォトカプラ204の特性にもとづいて最適化すればよく、上述の数値は例示に過ぎない。
図4(b)や
図4(c)の制御特性を利用した場合にも、同様の効果を得ることができる。
【0066】
本発明は、
図3のブロック図や回路図として把握され、あるいは上述の説明から導かれるさまざまな装置、回路に及ぶものであり、特定の構成に限定されるものではない。以下、本発明の範囲を狭めるためではなく、発明の本質や回路動作の理解を助け、またそれらを明確化するために、より具体的な構成例や実施例を説明する。
【0067】
(第1構成例)
図5は、DC/DCコンバータ200の第1構成例(200A)の回路図である。一次側コントローラIC(Integrated Circuit)(以下、単に一次側コントローラという)300Aは、
図2の一次側コントローラ202をひとつの半導体基板に集積化した機能ICである。
【0068】
一次側コントローラ300Aは、FB(フィードバック)ピン、CS(電流検出)ピン、OUT(出力)ピン、VCC(電源)ピンを有する。また一次側コントローラ300Aは、変換回路220A、パルス信号発生器222、ドライバ224を備える。一次側コントローラ300AのCSピンは、電流センス抵抗R
CSと接続されており、電流センス抵抗R
CSの電圧降下にもとづく電流検出信号V
CSを受ける。OUTピンは、スイッチングトランジスタM
1のゲートと接続され、VCCピンには補助電源回路212が生成した電源電圧V
CCが供給される。
【0069】
フォトカプラ204の受光素子のエミッタは接地される。またフォトカプラ204の受光素子のコレクタは、FBピンと接続される。変換回路220Aは、可変インピーダンス回路240および負荷監視回路250を含む。変換回路220Aは、FBピンと基準電圧ライン230の間に設けられており、そのインピーダンスZがDC/DCコンバータ200Aの出力電流I
OUTに応じて可変に構成される。基準電圧ライン230には、図示しない基準電圧源によって生成された基準電圧V
REFが供給される。
【0070】
可変インピーダンス回路240のインピーダンスをZとするとき、FBピン(端子)のフィードバック電圧V
FBは、式(1)で表される。
V
FB=V
REF−Z×I
C …(1)
したがってインピーダンスZを変化させることによって、変換回路220の変換特性を制御できる。
【0071】
負荷監視回路250は、出力電流I
OUTを監視し、出力電流I
OUTにもとづいて可変インピーダンス回路240のインピーダンスZを制御する。ここでスイッチングトランジスタM
1に流れる電流I
Pのピーク値(あるいは平均値)は、出力電流I
OUTに応じており、出力電流I
OUTが大きい重負荷状態では、スイッチングトランジスタM
1に大きな電流I
Pが流れ、出力電流I
OUTが小さい軽負荷状態では、スイッチングトランジスタM
1に小さな電流I
Pが流れる。そこで変換回路220Aは、電流検出信号V
CSにもとづいて、DC/DCコンバータ200Aの出力電流I
OUTを監視し、電流検出信号V
CSに応じてインピーダンスZを変化させる。
【0072】
図6(a)〜(c)は、変換回路220Aの具体的な構成例を示す回路図である。
【0073】
図6(a)を参照する。可変インピーダンス回路240は、フォトカプラ204の受光素子のコレクタ(すなわちFBピン)と基準電圧ライン230の間に設けられた第1抵抗R
21と、第1抵抗R
21の両端間に直列に設けられた第2抵抗R
22およびスイッチSW
21と、を含む。スイッチSW
21のオン、オフが、出力電流I
OUTに応じて切りかえ可能となっている。スイッチSW
21はバイポーラトランジスタあるいはFET(Field Effect Transistor)で構成することができる。可変インピーダンス回路240のインピーダンスZは、スイッチSW
21がオフのとき第1値R
21となり、オンのとき第2値R
21//R
22となる。//は、並列抵抗の合成インピーダンスを表す。
図6(a)の可変インピーダンス回路240は、2段階の可変抵抗と把握することができる
図6(a)の可変インピーダンス回路240によれば、
図4(a)の制御特性を実現できる。
【0074】
たとえば負荷監視回路250は、CSピンの電流検出信号V
CSをしきい値電圧V
THと比較し、V
CS>V
THのときすなわち重負荷状態において、スイッチSW
21をオンし、V
CS<V
THのとき、すなわち軽負荷状態において、スイッチSW
21をオフする。
【0075】
図6(a)において、可変インピーダンス回路240の抵抗とスイッチの個数を増やせば、3段階以上の可変抵抗を構成することも可能である。この場合、負荷監視回路250におけるしきい値電圧V
THの個数を増やして、可変インピーダンス回路240の抵抗値を3段階以上で切りかえてもよい。
【0076】
図6(b)を参照する。可変インピーダンス回路240は、フォトカプラ204の受光素子のコレクタ(すなわちFBピン)と基準電圧ライン230の間に設けられた第1抵抗R
21と、第1抵抗R
21の両端間に直列に設けられた電流源242およびスイッチSW
22と、を含む。スイッチSW
22のオン、オフは、出力電流I
OUTに応じて切りかえ可能となっている。スイッチSW
22がオンのとき、電流源242がFBピンと接続され、したがって可変インピーダンス回路240のインピーダンスZは高くなる。
図6(b)の可変インピーダンス回路240によれば、
図4(b)の制御特性を実現できる。スイッチSW
22は、電流源242に内蔵されてもよい。
【0077】
図6(c)を参照する。可変インピーダンス回路240は、フォトカプラ204の受光素子のコレクタ(すなわちFBピン)と基準電圧ライン230の間に設けられた第1抵抗R
21と、第1抵抗R
21の両端間に直列に設けられた可変電流源244と、を含む。可変電流源244は、出力電流I
OUTに応じた補正電流I
CMPを生成する。たとえば可変電流源244は、CSピンの電流検出信号V
CSに応じた電流I
CMPを生成してもよい。
【0078】
図6(c)の可変インピーダンス回路240によれば、
図4(b)の制御特性を実現でき、さらにV−I特性を、出力電流I
OUTに応じて(i)と(ii)の間を連続的に変化させることができる。
【0079】
まとめると、可変インピーダンス回路240は、離散的あるいは連続的な可変抵抗、可変電流源、それらの組み合わせなどで構成することができる。
【0080】
図7(a)、(b)は、負荷監視回路250の構成例を示す回路図である。
図7(a)の負荷監視回路250は、第1コンパレータ252およびタイマー回路253を備える。第1コンパレータ252は、電流センス抵抗R
CSの電圧降下(電流検出信号)V
CSをしきい値V
THと比較する。負荷監視回路250は、第1コンパレータ252の出力に応じて、変換特性を制御する。
【0081】
タイマー回路253は、第1コンパレータ252の出力をトリガとして、一定時間、出力が変化する。可変インピーダンス回路240のインピーダンス、すなわち変換回路220Aの変換特性はタイマー回路253の出力に応じて制御される。
【0082】
図7(b)の負荷監視回路250は、ピークホールド回路255および第3コンパレータ257を含む。ピークホールド回路255は、電流検出信号V
CSをピークホールドする。第3コンパレータ257は、電流検出信号V
CSのピーク値V
CS(PEAK)を、しきい値V
THと比較する。可変インピーダンス回路240のインピーダンス、すなわち変換回路220Aの変換特性は第3コンパレータ257の出力に応じて制御される。
【0083】
図8(a)、(b)は、変換回路220Aの具体的な構成例を示す回路図である。
【0084】
図8(a)は
図6(a)に対応する。トランジスタQ
21はPNP型バイポーラトランジスタであり、抵抗R
23,R
24とともに、
図6(a)のスイッチSW
21を形成する。
【0085】
タイマー回路253は、第1コンパレータ252の出力と接続されるキャパシタC
20と、キャパシタC
20を充電する抵抗R
27(もしくは電流源)と、キャパシタC
20の電圧V
C20を判定基準値K×V
REFと比較する第2コンパレータ254と、を含む。第2コンパレータ254の出力に応じて変換特性が制御される。
【0086】
抵抗R
28およびR
29は、基準電圧ライン230とGNDピンの間に直列に設けられ、基準電圧V
REFを分圧し、しきい値電圧V
THを生成する。第1コンパレータ252は、電流検出信号V
CSをしきい値電圧V
THと比較する。第1コンパレータ252はオープンコレクタ(オープンドレイン)の出力を備え、その出力には、キャパシタC
20および抵抗R
27を含む時定数回路が接続される。抵抗R
25およびR
26は、基準電圧ライン230とGNDピンの間に直列に設けられ、基準電圧V
REFを分圧して判定基準電圧K×V
REF(0<K<1、ここではK=1/2とする)を生成する。第2コンパレータ254は、オープンコレクタ(オープンドレイン)の出力を備え、キャパシタC
20の電圧V
C20が判定基準電圧V
REF/2より低いとき、トランジスタQ
21のベースの電位をローレベルにプルダウンし、トランジスタQ
21をターンオンさせる。
【0087】
タイマー回路253の構成は特に限定されず、クロックをカウントするデジタルタイマー、ワンショットマルチバイブレーション回路、そのほかの公知の回路を用いてもよい。
【0088】
図8(a)の変換回路220Aの動作を説明する。
図9(a)、(b)は、
図8(a)の変換回路220Aの動作波形図である。
図9(a)は軽負荷状態の、
図9(b)は重負荷状態の動作を示す。
【0089】
図9(a)を参照する。軽負荷状態においては、スイッチングトランジスタM
1に流れる一次電流I
Pの振幅は小さく、電流検出信号V
CSはしきい値電圧V
THより低い。そのため第1コンパレータ252はハイインピーダンス(オープン)であり、キャパシタC
20の電圧V
C20は基準電圧V
REFと等しいレベルを維持する。V
C20>V
REF/2が成り立つため、第2コンパレータ254の出力はハイインピーダンスであり、トランジスタQ
20はオフを維持する。
【0090】
図9(b)を参照する。重負荷状態においては、スイッチングトランジスタM
1に流れる一次電流I
Pの振幅が大きくなり、電流検出信号V
CSがしきい値電圧V
THを超えるようになる。そのため第1コンパレータ252は周期的にローレベルとなり、キャパシタC
20が放電され、その電圧V
C20が0Vに低下する。これにより第2コンパレータ254の出力がローレベルとなり、トランジスタQ
21がオンする。
【0091】
スイッチングトランジスタM
1のターンオフにより一次電流I
Pがゼロになると、V
CS<V
THとなり、第1コンパレータ252の出力はハイインピーダンスとなる。その結果、キャパシタC
20は抵抗R
27を介して充電され、電圧V
C20は、C
20とR
27の時定数τにしたがって増大していく。時定数τは、重負荷状態においてV
C20<V
REF/2が維持されるように規定される。
【0092】
次のサイクルでスイッチングトランジスタM
1がターンオンすると、再び一次電流I
Pが増加しはじめ、V
CS>V
THとなると、第1コンパレータ252の出力がローレベルとなり、キャパシタC
20が放電され、電圧V
C20が再び0Vとなる。重負荷状態ではこの動作を繰り返すことにより、トランジスタQ
21がオンの状態が維持される。
【0093】
このように
図8(a)の変換回路220Aによれば、電流検出信号V
CSに応じて可変インピーダンス回路240のインピーダンスZを適切に変化させることができる。
【0094】
図8(b)に戻る。
図8(b)の可変インピーダンス回路240は、
図8(a)の可変インピーダンス回路240に加えて電流源242をさらに備える。その他の構成は、
図8(a)と同様である。なお、スイッチとして機能するトランジスタQ
21を、電流源242の内部に設けてもよい。
【0095】
(第2構成例)
図10は、DC/DCコンバータ200の第2構成例(200B)の回路図である。一次側コントローラ300Bは、
図3の一次側コントローラ202のうち、パルス信号発生器222、ドライバ224および変換回路220の一部を内蔵したものであり、変換回路220の一部が外付けされている。
【0096】
変換回路220Bは、抵抗R
31、第1トランジスタQ
31、可変インピーダンス回路260および負荷監視回路270を備える。抵抗R
31は、基準電圧ライン230とFBピンの間に設けられる。すなわち一次側コントローラ300Bは、従来の一次側コントローラと同じ構成である。
【0097】
第1トランジスタQ
31は、NPN型バイポーラトランジスタであり、そのコレクタがFBピンと接続され、そのエミッタが接地され、そのベースがフォトカプラ204の受光素子のエミッタと接続される。
【0098】
可変インピーダンス回路260は、第1トランジスタQ
31のベースと接地の間に設けられる。可変インピーダンス回路260のインピーダンスZは、出力電流I
OUTに応じて可変に構成される。
【0099】
第1トランジスタQ
31に流れる電流をI
FB、抵抗R
31の抵抗値をRとする。このとき、フィードバック電圧V
FBは式(2)で表される。
V
FB=V
REF−R×I
FB …(2)
【0100】
第1トランジスタQ
31のベース電流をゼロと近似し、可変インピーダンス回路260のインピーダンスをZとするとき、第1トランジスタQ
31のベース電圧V
BEは式(3)で表される。
V
BE≒I
C×Z …(3)
第1トランジスタQ
31の相互コンダクタンスをgmと書くとき、式(4)を得る。
I
FB=V
BE×gm …(4)
【0101】
式(2)〜(4)から式(5)を得る。
V
FB=V
REF−R×I
C×Z×gm …(5)
したがって可変インピーダンス回路260のインピーダンスZが変化すると、
図4(a)に示すように、コレクタ電流I
Cからフィードバック電圧V
FBへの変換特性の傾きを変化させることができる。第1トランジスタQ
31は、NチャンネルMOSFETで構成してもよい。
【0102】
別の観点から見ると可変インピーダンス回路は、可変電流源と把握することもできる。第1トランジスタQ
31の電流増幅率をβ、可変インピーダンス回路260に流れる電流をI
CMPとすると、式(6)を得る。
I
FB=β×(I
C−I
CMP) …(6)
【0103】
式(6)を式(2)に代入すると、式(7)を得る。
V
FB=V
REF−R×β×(I
C−I
CMP) …(7)
式(7)を変形すると、式(7’)を得る。
V
FB=V
REF+R×β×I
CMP−(R×β×I
C) …(7’)
V
REF+R×β×I
CMPは、
図4(b)のY切片に相当する。可変インピーダンス回路260のインピーダンスを変化させると電流I
CMPが変化するため、制御特性のオフセットを変化させることができる。
【0104】
図10の変換回路220Bが、
図4(a)、(b)、(c)のいずれの特性を示すかは、変換回路220の動作点に依存するといえる。
【0105】
負荷監視回路270は、出力電流I
OUTに応じて可変インピーダンス回路260のインピーダンスZを制御する。負荷監視回路270は、電流検出信号V
CSにもとづいて出力電流I
OUTを検出してもよい。
【0106】
図11(a)〜(d)は、変換回路220Bの具体的な構成例を示す回路図である。
【0107】
図11(a)を参照する。可変インピーダンス回路260は、抵抗R
32と可変電流源262を含む。抵抗R
32は省略してもよい。可変電流源262は、電流検出信号V
CSに応じた(正の相関を有する)電流I
CMPを生成する。この補正電流I
CMPが第1トランジスタQ
31のベースからシンクされる。
【0108】
図11(b)を参照する。可変インピーダンス回路260は、抵抗R
32,R
33、第2トランジスタQ
32を含む。
図11(a)の可変電流源262に相当するものと把握でき、あるいは第2トランジスタQ
32は
図11(c)のスイッチSW
31に相当するものと把握できる。
【0109】
負荷監視回路270は、電流検出信号V
CSにもとづいて、重負荷状態か軽負荷状態かを判定し、判定結果にもとづいて可変インピーダンス回路260のインピーダンスを制御する。たとえば負荷監視回路270は、
図8(a)の負荷監視回路250と同様に構成することができる。この場合、
図8(a)の基準電圧ライン230に対応する信号線には、電源電圧V
CCあるいは一次側コントローラ300Aが生成した基準電圧V
REFを供給すればよい。
【0110】
図11(c)を参照する。可変インピーダンス回路260は、抵抗R
32,R
34、スイッチSW
31を含む。負荷監視回路270は、電流検出信号V
CSをしきい値V
THと比較し、V
CS>V
THとなる重負荷状態においてスイッチSW
31をオン、V
CS<V
THとなる軽負荷状態においてスイッチSW
31をオフする。
図11(c)の負荷監視回路270も、
図8(a)の負荷監視回路250と同様に構成することができる。
【0111】
図11(d)を参照する。可変インピーダンス回路260は、抵抗R
32、電流源264、スイッチSW
32含む。負荷監視回路270は、
図11(c)の負荷監視回路270と同様である。電流源264はスイッチSW
32がオンのときアクティブとなり、補正電流I
CMPを生成する。
【0112】
以上が可変インピーダンス回路260の構成例である。
【0113】
第2の実施の形態では、一次側コントローラ300Bは従来のコントローラを用いることができ、周辺回路を追加することで、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。なお
図10の変換回路220Bを、一次側コントローラ300Bに集積化してもよい。
【0114】
<用途>
続いて、DC/DCコンバータ200の用途を説明する。
図12は、AC/DCコンバータ100を備えるACアダプタ800を示す図である。ACアダプタ800は、プラグ802、筐体804、コネクタ806を備える。プラグ802は、図示しないコンセントから商用交流電圧V
ACを受ける。AC/DCコンバータ100は、筐体804内に実装される。AC/DCコンバータ100により生成された直流出力電圧V
OUTは、コネクタ806から電子機器810に供給される。電子機器810は、ラップトップコンピュータ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、携帯電話、携帯オーディオプレイヤなどが例示される。
【0115】
図13(a)、(b)は、AC/DCコンバータ100を備える電子機器900を示す図である。
図13(a)、(b)の電子機器900はディスプレイ装置であるが、電子機器900の種類は特に限定されず、オーディオ機器、冷蔵庫、洗濯機、掃除機など、電源装置を内蔵する機器であればよい。
【0116】
プラグ902は、図示しないコンセントから商用交流電圧V
ACを受ける。AC/DCコンバータ100は、筐体904内に実装される。AC/DCコンバータ100により生成された直流出力電圧V
OUTは、同じ筐体904内に搭載される、マイコン、DSP(Digital Signal Processor)、電源回路、照明機器、アナログ回路、デジタル回路などの負荷に供給される。
【0117】
以上、本発明について、実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。以下、こうした変形例について説明する。
【0118】
(第1変形例)
DC/DCコンバータ200の2次側には、整流素子D
1に代えて同期整流トランジスタおよびその制御回路が設けられてもよい。整流素子D
1は二次巻線W
2の高電位側に設けられてもよいし、低電位側に設けられてもよい。
【0119】
(第2変形例)
いくつかの実施の形態では、コンパレータによって一次側の電流検出信号V
CSをしきい値と比較し、軽負荷と重負荷を判定する場合を説明したがその限りではない。たとえばA/Dコンバータによって電流検出信号V
CSをデジタル値に変換し、デジタル値にもとづいて、変換回路220の変換特性(たとえば可変インピーダンス回路240や260のインピーダンスや電流)を制御してもよい。
【0120】
(第3変形例)
実施の形態では、一次側の電流検出信号V
CSにもとづいて出力電流I
OUTを監視したがその限りではない。DC/DCコンバータ200の2次側に出力電流I
OUTを監視する回路を設け、監視結果を示す検出信号を、フォトカプラ204とは別のフォトカプラを用いて一次側に送信し、この検出信号にもとづいて変換回路220の変換特性を変化させてもよい。
【0121】
実施の形態にもとづき、具体的な語句を用いて本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用を示しているにすぎず、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が認められる。